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ゆめでん

 ( 詩投稿城 )
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雨水 ★Android=0AEAJpJi4O

 この世の命あらざる全てのものは、「どこかの世界」でその性格を育まれ、運命をある程度決められる。そうして最終試験に合格してから、この世で作られるものにその魂を吹き込まれる。
 電車を養成する街の端で生まれたある電車は、ひどい出来だった。雑で無計画で、最終試験でも運転手を惑わし、10年ぶりの最終試験不合格者となった。「どこかの世界」運営幹部は電車があまりに出来損ないであることに怒りを覚え、彼の処刑を望んだ。気が弱く優しい運営会長兼神は、争いを恐れてその怒りの声に応え、電車を処刑することにした。ところが、何しろ優しい神のことだから、思い切りが無かった──電車の首(電車にどのような首があるのか私にも分からない)を切り損なってしまった。電車はたいへん苦しみ、すぐに昏睡状態になった。電車は病院で夢を見た。いや、夢の世界に発生したのだ。彼は時間を守らず、ただただのんびりと夢の世界の人々を運ぶ電車になった。
 ゆめでんにはいろいろな客が乗った。彼らはゆめでんに乗って、勝手な夢を見ていた。その夢は楽しそうだったり、悲しそうだったり、苦しそうだったりした。
 ゆめでんは夢の世界の人々からは大して意識されなかった。多くの場合ゆめでんは単なる舞台か小道具であった。それでも、現実の世界の電車よりも人々に自由を与えられるゆめでんになれたことが、彼の誇りなのだった。

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