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思考置き場

 ( 書き捨て!小説 )
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兎茄 ★q4vHKkk59KE

曲があちこちから聞こえる

歩く音

喋り声

そして、広がる視界。
すごく混み合っている。


「・・・ん?」


ここは・・・?そういえばあの後、俺どうなったんだ?


「・・・・。」



だめだ落ち着け。
周りを見回す。沢山の人混みの隙間からチラリと「東京名物100選!」
という看板が見えた。

周りの、ビル、人、建物をみればここが東京だと分かった。


あの「管理人」とやらが言っていた通りだ。


あの数時間前のことを・・・。



2010/03/18 15:17 No.0
ページ: 1


 
 

兎茄 ★q4vHKkk59KE




「瀬咲 閑羅(せざき かんら)様」

あなたは、見事抽選に当選しました。

なのでこのゲームへの参加権を与えます。

もし、このゲームに勝利すればあなたは、自分の運命を

変えることが可能になります。

3日後に返事をお聞きに訪れます。

それまでにゲームに参加するか決めて下さい。

もし、ゲームに参加しないのでありましたら

あなたは、運命に従うしかありませんのでご了承ください。


                 FROM      管理人



  

2010/03/18 15:45 No.1

兎茄 ★nKNTSsTs7/s



このおかしなメールが届いたのは3日前の事だった。



第一意味がわからない。寿命?ゲーム?

それに当選って・・・

削除してやる。イタズラか何かだろう。

そう思ったのはその時だけだった。

「消えない、なんでだ?」

ケータイ自体壊れた  なんてことはまず無い。

なぜなら、他の機能は全部正常だ。

まぁ、ほっとこう・・・。






この時はこんな軽い気持ちだったんだ。






この後、どんな事が自分に起こるか知らないから。

2010/03/18 16:12 No.2

もんな ★q4vHKkk59KE

昔は感じなかったこの感覚。

今と、あの時とではこんなにも価値観が変わっているなんて。

それだけ今までに、自分が様々な事に関わったり、

観たり、聞いたり、触れたりしたことに気づいた。


やっぱり・・・俺は・・。


「何?最終的にはどうなのさ。
 
 結局君は答えが見つかったのかい?」

相手を挑発するような雰囲気を放つ玲司は真っ直ぐに瑛葵を捉えてている。




「・・・・・・」


目線を横に流しながら瑛葵は玲司から目を逸らす。

だが玲司は自虐的な笑みを浮かべながら淡々と

言葉を紡いでいく。


「うん。まぁいいさ、分からなくもないよ?俺だって。

 自分が存在していたってことは凄いことじゃないか、ってね。

 でも他の人はどうなるんだよって思ってない?」



 自分でも分かっている事なのに――・・・
 
 他人に言われるとその言葉が嫌でも正当化してしまう。

 認めたくなかったこの感情。 

 あっちに戻ってもこの心のモヤモヤは消えないんじゃないのか・・・?


 あっちに自分が存在しても自分のこともよく分からないでどうするんだ?


 

 「今更は戻れないよ。進むしか君に道はないんだ。


  だから―――・・・」






 「答えを聞かせてよ」  

 
 
 

2010/04/23 00:07 No.3

もんな ★q4vHKkk59KE

雨上がりの空。

空気は澄み渡り、周りの人々は傘を畳んだり、

どの人も慌ただしかった。

ただ彼一人を除けば――――・・・・。



葛川 汰志は先ほど玲司に言われた事を思い浮かべていた。


あの衝撃的な言葉を



「君はうすうす気づいてたのかもしれないけど・・・

 きっとその予想は当たりだよ。


 今回のゲームであっちに行けるのはさぁ、



 君の大事な友だちの瑛葵くんだから」




玲司はなんの感情も入れずに淡々と言葉を紡いでいく。


だが、この言葉は汰志にとって最も聞きたくない言葉だった。


瑛葵が、あっちに行けるのか――――・・・・。


玲司の言葉は汰志に重くのし掛かった。


そんな汰志の感情とは裏腹に天候は晴れてきている。


先ほどまで雨が降っていたが今は晴れてきている。


水分が蒸発して辺りがモヤモヤに包まれる。


はっきりしない汰志の視界の奥から、見覚えのあるシルエットが浮かび上がった。



それは――――・・・・。



思わず声に出してしまった。


今、一番会いたくない人物と・・・。



「瑛葵?」



2010/04/23 17:37 No.4

もんな ★q4vHKkk59KE



「瀬咲を・・・離せ!」



ぼやける視界から瀬崎 閑羅はその言葉をしっかりと、聞き取った。


希・・・?


なんで・・・希が?


疑問に閑羅は包まれるがそれよりは、今の状況の方が危険だった。


辺りは閑散とし、希とロナのにらみ合いが続く。


だがその空気をぶち壊すようにロナが口を開いた。



「おい、お前ってナンバー24の碕火師 希か?」


「・・・・・。」


「黙って何になるんだよ?質問に答えろ」



「・・・・そうよ。」



「やっぱりな・・・。お前はたしか、キビシに始末されたんじゃねェのか?」



2010/04/23 17:50 No.5

もんな ★q4vHKkk59KE_y0

上谷翔は、ぼんやりと一人外を向き思案していた。

周りの会話とは裏腹な考えを、ただぼんやりと考えていた。



わけわんねぇ。

そんな事考えても、自分がむなしくなるだけなのに・・。

こういう風に喋っておかないと自分が悪者になってしまうからか――・・・?

あぁ、ホント馬鹿らしい。

自分が悪者になりたくないなら、元々あんな事を喋るなよ。

ま、別に俺には関係ない。

どうでもいい。



上谷翔が何故、こんな事を考えるのかと言うとそれは数分間前に遡る。





――――数分間前――――


「ねえ、ねぇ、

 阪部の事聞いた〜?」


「うん。聞いたぁ。 やっばいよねぇ。ホンット、ありえなぁ〜い」


このような会話が先ほどから続いている。

女子の数人のグループが坂部槙樹の方をチラチラと見ながら会話を続けている。


誰から見ても分かる

明らかに、虐めの雰囲気だった。

虐めの矛先は坂部槙樹。

槙樹はただ、自分のノートを見つめていた。

当たり前の行為なのだが、ノートに書かれている文字が明らかに「当たり前」という

行為を打ち消していた。


そのノートに書かれていたのは、

2010/05/14 17:39 No.6

もんな ★q4vHKkk59KE_y0

この街は平和だなぁ、と彼女は率直な考えを脳裏に浮かばせた。

確かにその通りだった。

彼女が居た昔の街はでは喧嘩、事故、殺傷、等が度々起こっていたのだ。

自分が事故に遭遇する確率なんて低い。

そう彼女は思っていたのだ。

あくまで、あの事件までは――――・・・・。



――数ヶ月前――


彼女、舟越ミツルは新しく来た街に心を弾ませていた。

まるで、子どもが新しい玩具を見つけた時のような。

「・・・すごいよ!うん!凄すぎるよぉ!!」

「こら、はしゃがないで」

「あはッ、相変わらずだね、りょっちぃー!」

2010/05/17 16:14 No.7

もんな ★q4vHKkk59KE_dC

結局、人の価値観なんて違う。

なのに人の考えが分かり合えるわけがないと水越は思っていた。

「ねぇ!聞いてるの!?水越!」

楓の罵声が飛ぶ。

だが水越はそんな楓を相手にしていない。

「うるさいな。そんなのお前は出来るかもしれないけど俺にはできないんだよ」

「そんなの・・!ただ水越が関わろうとしないからじゃな・・・」

静まりかえっていた裏道に水越の怒鳴り声が響き渡った。

「なんなんだよ!俺とお前は違う!お前に出来なくて俺に出来ることがある、って事と同じなんだよ!

 そもそも、昨日から仲間とか友情とかそういうのが一番ウザいんだよ。そんなに友達ごっこが好きなら

 俺につきまとうなよ!もっとまともな奴と居ればいいだろ!」


  ―――・・・なんだ?

  ここで水越は違和感に気づく。

  なんで俺はこんなに熱くなってるんだ?

  こんなに怒鳴ったのは初めてだな・・

  そもそも何で俺は昨日からこんなにイライラしてるんだ・・・・?


 まるで、あの時みたいじゃ・・・・?



  「え・・・」

思わず声に出す。


                『あの時?』

あの時って・・・・

2010/06/07 17:11 No.8

もんな ★q4vHKkk59KE_dC

木ノ下商店街には人があふれかえっていた。

沢山の 人 人 人 。

当たり前と言えば当たり前の光景だった。

何しろ今日は祝日。家族連れや友人と来たと思わせる人々があふれかえっていた。


「ねー、次はあの服屋さん行こーよ」


「えぇ?さっきはゲーセン行きたいとかいってたのに?」


「あ!芸能人だ!超やばい!〜テンションメッチャあがるー!」


「聞いてねぇし・・・」


「ねえ、それよりアレ見てー、髪が赤いー。かっこいいねぇ!」



「おいおいミナー。指さすなよ。

 都会は恐いんだぜ?中には指をさしただけで腹を刺されたって人も・・・・って、ありゃ?」

「どうしたのー?たっち?」


ここでミナと呼ばれた少女はある違和感に気づいた。

たっちと呼ばれた青年の雰囲気が先ほどとはまるで違う。

おおらかなオーラをまとっていた時とは違い、近くに居る人間を寄せ付けないオーラを放っていた。

2010/06/07 17:28 No.9

もんな ★q4vHKkk59KE_dC

黒のワンピースを纏った高校生ほどの女子と、青年らしき人物、羽賀芳斗は雨に打たれながらも

会話を続けていた。


「・・・そういうの私、凄く嫌なんです。好きでもないハナシをしたり・・・。」


黒いワンピースを纏った女子、三笠玲は消え入りそうな声で羽賀に話しかける。


「嫌いなんだったら、止めちゃえばいいんじゃないの?」


「そんな事したら、私はきっと虐められる・・・。

 私は・・・弱いから・・・・・。」



「そんなもんじゃない?人生ってさ。」



「え?」





思わず玲は声を出してしまった。




なぜなら





あまりにも簡単過ぎる返答を行う羽賀。



そんな羽賀が正直受け入れられなかった。



「驚くって事は、違う答えが君は欲しかったの?

 もしかして、俺に同情してほしかった?

 分かるよその気持ち、何て言って欲しかった?」




「・・・・え」



「簡単なことさ。


 君は自分を肯定してくれる誰かが欲しかったんじゃないの?



 クラスの友達は自分を認めてくれない。


 だからその不満を俺で満たすってとこかな・・・・・?」



玲は正直驚いた。


何かここで言い返せるのだが、あまりにも羽賀の言っていた事は真実だった。



「他人に認められてもらえないのは、まぁ、普通だと思うよ?

 だって、それぞれ価値観がちがうからねぇ。

 結局、他人に合わせたり、合わされたり・・・・って当たり前だと思う。


 まぁ、人それぞれだけど。」



「・・・・・・・・・。」



玲は羽賀に対して、何も言い返せなかった。


羽賀の言ったことは紛れもない真実だった。


自分で気づかない振りをしてその事実から逃れようとしていた。


          『現実逃避』



まさに自分にこの言葉が合っていると玲は思案した。








ただ雨は降り注ぐ―――。

だが雨は少女の憂鬱な気持ちは洗い流してはくれなかった。

むしろ少女を嘲笑うかのように、雨は降り注いでいた。

2010/06/12 23:26 No.10

もんな ★q4vHKkk59KE_dC


街に人が溢れかえっている。

中年のサラリーマン、若い男女、店の客引き、とにかく様々な模様で街は彩られている。

そんな街とは裏腹に裏路地は薄暗く静まりかえっていた。

そんな暗闇にとけ込むように、黒いフード付きのパーカーを纏った男、紫崎來斗は相方である榊 実茄と会話を続けていた。

「・・・で、何なの今日は?」

「んー、あそこの喫茶店で待ち合わせなんだけどね」

「あそこって何処だよ」

「あー、大通りの煉瓦づくりの所」

「ふーん」

実にテンポの良い会話が続けられている。

しかし周りからすれば、意味の分からない惚気た会話にしか聞こえない。


そんな惚気た会話を蹴破るように、実茄がポンと手を叩く。

「よし!ちょっと時間は早いけど行こっか!」

「まぁ、分かった。」

薄暗い裏路地をぬけ、実茄と來斗は並びながら待ち合わせの喫茶店に向かう。


2010/06/25 16:37 No.11

もんな ★q4vHKkk59KE_dC

明衣は上出来の人間だった。

勉強もできた、運動もできた、友達もいた、何か問題があったわけでは無かった。

何の不自由も無く、平和に日常は過ぎていった。

いや、平和すぎたのだ。

周りの人間は、悩みや事件があったり、人間関係のトラブルだって多かった。

もちろん毎日平和では無かった。

しかし、明衣は平和だった。

だからこそ明衣は自らあの事件の中心に向かっていったのだ。

ただ非日常を求めて―――――・・・・・。





時は現在に遡る




静まり返った廃工場で稜平が明衣に話しかける。



「・・・・で、今回の件どうしてくれんの?」

しかし明衣はそんな言葉を聞き流しながらケータイをいじっている。

頭にきたのか玲司は明衣に迫り再び問う


「聞いてる?」


「聞いてるって。ってかちょっと黙れ。」

淡々とケータイをいじりながら言葉を紡いでいく明衣。

そんな明衣の対応に稜平はため息を吐く。

「や、なにしてんの?ケータイでさぁ。」

「うるさいなぁ・・・。しょうがないから教えるけど

 今回の件は、上も関わってるんでしょ?」

「あぁ・・。確か一任されてたのは仲居さんじゃないっけ?」

「で、その仲居さんにちょっとメールしてたの。」

「?メールアドレス知ってたの?」

「・・・?メールアドレスはあんたの仲間の羽賀さんに教えて貰ったけど?」

「は?」

ここで稜平は一つの推測をする。

羽賀め・・、余計なことを。

まさか君がねぇ・・・・。

2010/06/28 16:05 No.12

もんな ★q4vHKkk59KE_dC


世界は、なにが在ろうとただ回り続ける。

毎日が平和に過ぎる。

そして、少年の日常も、ただ過ぎて行くのみだった。


彼女が来るまでは―――・・・。



高ア学園放課後



教室にチャイムが鳴り響く。

それと同時に

「では、安全な夏休みを過ごすように。以上!」

と、よくあるような挨拶が、教室内に響き渡る。


そして教室に居る少年、少女達は席を立ち帰る準備を始める。


その表情には、高揚感と興奮が入り交じっていた。


なぜなら、誰にでも楽しみな夏休みがあるからだった。


「おーぃハル、じゃぁなー!」

一人の少年が、皆神 晴(ミナカミ ハル)に、手を振り話しかける。

「あぁ、今度な」

テンポの良い会話を続けながら、ハルは玄関に向かう。

その間にも、何人かの生徒と軽い会話をしながら夏の日射しが差し込む廊下を歩いてゆく。

一見、いろんな生徒と仲の良い友好的な生徒に見えるが、脳裏には全く違うことを彼は頭に浮かばせていた。




あー、うるさい。たかが夏休みなのになぁ。

つか逆に、気ぃ使わなくて楽だけど。



そんなことを思案しながら、人が溢れている大通りを早い足取りで歩いていく。

彼は気づかなかった。


自分を見ていた存在がいたことを・・・・。

2010/07/23 14:47 No.13

もんな ★q4vHKkk59KE_dC

翌日深夜


ハルはあの後、駅前の高層ビルに向かった。

そこに、真実が在ると信じて―――・・・。

正しくは、真実が在ると信じたかっただけなのだが。

そして重い足取りでネオンカラーに染まった道を歩いていった。

しかし、ここで重い空気を打ち破るような音が鳴り響く。

「プルルルルルルル」

ポケットの携帯を取り出し、面倒臭そうに耳へと押し当てる。

「・・・・・ハルか?」


「瑞木さん・・?」



「あぁ、久しぶりだなぁ。ってか、元気なのか?」


「・・・・・・。」


――・・・瑞木さん、分かってるんだ。今回の事は瑞木さんが裏で糸引いてるって・・・。



そう思いつつも、瑞木への返答を行う。



電話を切ろうかとも考えたが、瑞木が電話してきたことに何か意味が在るのだろうと思い、会話を続けることにした。



「元気――・・・ですよ。一応は」


「一応って、ホント元気かよ?」


黙ってやり過ごそうと思ったハルだったが、今の会話で堪忍の尾が切れた。


我慢出来なかったのだ。ビルの壁に体をもたれさせていたハルだったが、立ち上がり携帯に向けて感情を押しつけた。


「瑞木さん・・・。俺はもう分かってんだ・・・。

 リョウが消える直前に、俺に言ってくれたんだ。

 お前も分かってると思うけど、瑞木さんが裏にいるってこと・・・。

 俺もうすうす、感じてたんだ。瑞木さんが・・・・・・」


一旦会話がとぎれる。手に汗握りながら息を吸い込み確信の一言を言い放つ。




「―――――――――――――――――――――――瑞木さんが将来の俺を消したんじゃないのか・・・・?」



この一言を言うのはたかが10秒ほどだった。


しかし、ハルにとっては数時間、もしくは何日間の時が過ぎたような気がした。


2010/08/02 11:35 No.14

もんな ★q4vHKkk59KE_dC

深夜

駅前高層ビル最上階

駅前の高層ビルでは、様々なテナントが入り昼間は若者で賑わっている。

しかし、今は深夜ということで昼間の賑わいがまるで嘘だったかのように静まり返っていた。

そして最上階では一人の女性がネオンカラーに染まりつつある町をただ一人で眺めていた。

しかし、その目には何の感情も浮かんでいない。ただ、眺めているだけという状態だった。

その静まり返っていた最上階に、ある『音』が響く。

ギイィィという扉を開ける重苦しい音だ。

扉を開けて入ってきたのは一人の少年だった。

「やっぱり来たんだね。」

町を眺めていた女性、出井ミサキが振り返ることもなく言葉を紡ぐ。

「あぁ。来ないわけにはいかないんだよ。」

それに対して少年、皆神ハルも口を開いた。

そして2人の間に沈黙が走る。

ミサキは相変わらず、町を眺めていたがハルに向かってゆっくりとふり返った。

「ここに来たって事は、どんな考えを持ってきたのかな?」

「考えって言うより、決断っつー言葉の方が正しいと思う。」

「・・・・・。」

「わかってんだろ?俺が此処にきた時点で」

「うん・・・まぁね。あたしに消されるっていう覚悟してきたんでしょ?」

ミサキの顔は笑っていない。

うっすらな微笑を浮かべているがその目には狂気がうかんでいる。

それに対してハルは、真っ直ぐにミサキを捉えていた。


「いや、それは間違ってる。消される覚悟じゃなくて、お前を消して・・・


 ――――――――――――――――――――――――全部終わりにする。」


その言葉を聞いてミサキは多少驚いたような顔をした。

しかし数秒後にその驚きの顔は消える。

そしてゆっくりとバッグから銃を取り出した。何の躊躇いもなく―――――・・・。

そして銃をハルに向ける。

普通の人間なら戸惑い、恐れる行為なのだがハルは何のリアクションも取らなかった。

リアクションを取るどころかハルもまたポケットに入っている銃を取り出したのだ。

「なんで銃を持ってるの・・・?」

「アズサが消えるときに、俺に渡してくれた。いざとなったら使えって。」

「ふぅん・・。そうなんだ」

お互いに銃をむけあい張りつめた空気が走る。






ハルは後悔していなかった。


これで全てが終わると信じていたのだから。


たとえ、自分がどうなろうとも。

2010/08/03 11:19 No.15

もんな ★q4vHKkk59KE_dC


お互いに沈黙が続く。

ミサキは、笑っているが目は笑っていなかった。

その目は残虐性に溢れていて、いかにも冷たい目をしていた。

そんな中でミサキが口を開く。

「もし、あなたが私に撃たれたら・・・どうするつもり?

 それこそ、アズサって娘とリョウの命は無駄になるんじゃないの?」

挑発にしか聞こえない言葉を吐き出す。


辺りはとても静まり返っており、声の小さいミサキでもその言葉ははっきりと聞き取れる。



「まぁ、撃たれたら終わりだけど、撃たれなきゃ良いんだろ?」



「は?撃たれない?まさか避けるつもり・・・・?」


「ちょっと違うけど・・・・。まぁそういうことになる。」


―そんな馬鹿な・・・。できるわけがない。



そう、ミサキは考えていた。だがその考えは数分後に打ち破られることとなる。



「俺は、反射神経も自分で良い方だと思う。それに今までいろんな場面に立ち会ってきたから。

 それに、在る程度の準備はしてきたからな。」


ハルの言葉には自信が溢れていた。誰から聞いても分かるような自信が。



「いくら反射神経と、準備が在るからって、何発もの弾をよけるなんて無理じゃ・・・・・」


ここでハルが言葉を遮る。


「pxvw-14-.458」


他人からすれば何の言葉か全く分からない言葉だった。


だが、ミサキにとっては大きな意味を持つ言葉だった。



「今言った言葉・・・・・何か分かるよね・・・?」




「なん・・・で、この銃のことを知って・・・・」





ミサキの顔には驚きの表情が貼り付けられている。



あまり表情を変化させないミサキだが、今回ばかりはハルにもはっきりとその動揺は感じ取ることができた。




「やっぱり、その銃ってpxvw-14-.458?

 当たってたか、良かった。」




ハルは顔に微笑をうかべながら銃を構え続ける。


2010/08/07 10:58 No.16

もんな ★q4vHKkk59KE_dC

「あなたって、意外と博識なのね・・・・。驚いたわ。」


「どうも」


確かに、ミサキには意外だった。

ミサキにとってハルは、将来の自分の銃弾1ッ発で死ぬ。ということでしかハルを気にとめていなかった。



微妙な会話を続けながら、銃を向けあう2人。


普通に考えれば、会話から想像できない行為を2人ともしているのだが。


「あ、あとその銃って性能いいけど弾って7発が限界なんだろ?

 ってことは、さっき瑞木さんを6発撃っただろ?

 ってことは、あとその銃には1ッ発しか残ってない・・・・。違う?」



「どうかな?わたしが弾を補充した、ってことは考えなかったの?」


「もし、7発入ってるなら、俺のことを初めから撃ってると思う。

 瑞木さんのことけっこうバンバン撃ってただろ・・・?」




「へぇ・・・。勘なんだ、残念。

 でも仮に一発だけだとしてもよけれるかな?」




そして、笑みを浮かべたままミサキが引き金を引く。

ゆっくりと、ゆっくりと。


それに対してハルは銃口一転だけに集中している。



ミサキは引き金を引き、消え入りそうな言葉で喋る。






「私の回りって、馬鹿ばっかり――――・・・・・。」








その瞬間、ハルが倒れる。









ということを誰もが想像していた。



だがその予想は裏切られる事となった。



ごく簡単な行為で。




引き金を引いた瞬間、ハルが跳躍。


そして手をミサキの銃の銃口に押しつける。


そして、パンという乾いた銃声が響き渡る。

普通に考えれば十分恐ろしい行為だった。


だが手には防弾用の手袋がはめられていたのだが。


ハルだからこそできた行為だった。



銃の特徴をしっていたからこそ、出来た事だった。



その行為はミサキにも予想出来なかった。


そしてもちろん、弾は止められてしまった。

ハルは口元をニィと歪ませながら、自分の持っていた銃を斜めにしながらミサキの足にに向ける。


それに対してミサキは銃弾が入っているか分からない銃をハルの体に向ける。




そしてまたもや「パン」という音が、最上階に鳴り響いた。


















そして、ミサキが倒れ込む。





だが、その弾を放ったのは、ハルではなかった。







最上階の入り口にその人物は立っていた。銃を持ちその銃口からはわずかに煙が立ち昇っていた。








ハルは一瞬何が起こったか理解できなかった。自分は弾を撃ったりしてはいない。




だったら、自分が撃たれたのかと思いきや、倒れたのはミサキだった。






そしてようやく状況を理解する。








銃をうったのは、自分自身でもミサキでもない。






そして、ミサキを撃った者の名前を口にする。


















「―――――――――リョウ・・・・・・・・・・・・?」





ハルが口にした人物は、自分のせいで前に死んでしまった人物。尾崎リョウだった。



正確に言えば、自分のせいで死んでしまったと思っていた人物だった。



―なんで、リョウが・・・?








混乱しているハルに向かってリョウが口を開く。楽しそうに愉快に、友達に久し振りにあって挨拶をするように。









「久し振り、ハル君」




リョウはにこやかに手を振りながらハルに歩み寄ってくる。




だが、ハルには状況が理解出来なかった。





ただ、そこに立ちすくむしか出来なかった。

2010/08/07 11:49 No.17

もんな ★q4vHKkk59KE_dC

アズサはただ走る―――・・・。

深夜0時過ぎのために、回りには人がほとんどいなかった。

それどころか、灯りも少なく道を走るのは少々、困難な状況だった。

だが、アズサは駅前のわずかな光を逃さずに、

ある不安に駆られながらも、目的地へ走り続けた――――・・・・。


彼女の脳裏に浮かぶある不安とは、先ほど最上階から聞こえた「パン」という乾いた拳銃の音だった。


そして、走っている彼女を急がせているのはその拳銃の音だった。


―高層ビルまであとちょっとだ!急がないと・・・。


そんな事を考えつつも、彼女はある一人の少年の事を脳裏に思い浮かばせた。


そして、高層ビルの入り口までたどり着くことができた。


彼女が考えたある少年の名前とは―――・・・・。









高層ビル最上階










「ハル君、ケガとかしてない?ほら、そのミサキは結構危ない人じゃない?だから心配で。」



リョウはそう言ってハルの顔を見る。


―かなり混乱してるみたいだねぇ。


それも当たり前の事だった。


なぜなら、生滅したはずのリョウが生きていて、ミサキを撃ったからだった。


手には汗を滲ませ、顔は真っ青になっていたからだ。わずかに体も震えている。





―まぁ、当たり前だろうね。



ハルと違って、リョウはやけにあっさりとした面持ちでハルの返答を待つことにした。







2010/08/08 13:26 No.18

もんな ★q4vHKkk59KE_dC


ただ、彼は過去に追われていた――・・・・。


もう、どうにもならない過去に。


彼女の顔を見るたびに、彼は過去を思い出してしまう始末だった。


忘れようと思っても、忘れられない過去に追われていた――・・・・・。


そして、一つの考えを頭に浮かばせながら。


―俺が、梓の未来を壊したんだ。










現在





梓は軽い足取りで、オフィスの階段を駆け上がっていた。


古いビルのせいか、昇るたびにギシギシと嫌な音が聞こえるが、特に梓は気にしていないようだった。


そしてドアの前まで来ると、音が鳴らないように、そーっとドアを開ける。


そして、ある男の存在を確認し、トタタタと走り寄っていく。


「哲也ただいま!」


元気が良くトーンの高い声がオフィス内に響き渡る。


そしてオフィスの机で雑務をこなしていた哲也が梓にチラリと目をむける。


「早かったな。」


「うん!哲也に早く会いたくて学校の近くの山道通ってきたの!」



「山道・・・?」


顔をしかめしわを寄せるが、梓は普通どうりに話しを続ける。



「うん!先生に言わないでね!」

2010/09/16 17:26 No.19

もんな ★q4vHKkk59KE_dC

周りかから見れば、哲也と梓は実に不似合いな組み合わせだった。

梓は、可愛らしくまるで小動物のような愛らしさを振る舞っているのだが

それに対し、哲也は仏頂面で冷徹な顔立ちだったが、顔は整っておりクールという言葉が似合っていた。


そして哲也は、梓を護る番犬のようなものだった。




そしてそのような関係は今日も続く。



「ね、哲也!今日も仕事に連れてって!」


「だめだ」


梓に目を向けることもなく淡々と雑務をこなしていく哲也だったが、梓が哲也の背中をポカポカとたたき始める。



「この前連れていってくれたじゃん!」



「お前がついてきだんだろう」



オフィスでは数人が仕事をこなしているが、どの者達も日常茶飯事だと思い特に気にする様子もなく仕事を続けていた。



だがオフィス内で、一番大きく立派な作りの机に座っていた軽薄そうな30代後半といった男性が


哲也と梓のもとに鼻歌を歌いながら近づいていく。



「おーい、哲君ー。」


男性――、樫之元 健三が手をひらひらと振りながら哲也に話しかける。



「社長。」



梓に向けていた顔を社長、健三の方へ向ける。




「哲君、可愛い梓ちゃんが必死に頼んでるんだよ?連れて行ってあげなよ。

 実際、梓ちゃんのおかげで何回か助かったでしょ?それともクビになる?」


「分かりましたよ。連れてきます・・・。」



――くそ、社長め。権力使いやがった・・・・。



そんな事を考えつつも、梓を仕事に連れて行くことにため息を一つ吐いた。





そして哲也の仕事とは―――――・・・・。











「それにしても、哲也すごいね!オフィス内でいちばんの借金回収人だもんね!」

2010/09/17 16:05 No.20

もんな ★q4vHKkk59KE_dC

街がネオンに染まり、辺り一帯昼にはない活気に満ち溢れていた。

夜はあまり警察、治安官、の目が届きにくい事もあり犯罪者、マフィア、様々な組織まで堂々と出歩いている始末だった。

そんな街の中一際、大きく高くそびえ立つ建物があった。


その建物は37階という、とてつもなく高く外装は赤、金、オレンジといった派手な塗料で塗り尽くされていた。

そしてその塗料は夜になると光を放つようになっている。

夜になると、その建物の中からは甲高い笑い声と、話し声、その他の様々な声がまるで一つの音楽になり、

建物から外へ流れ込み、人々を活気付けさせる。


この街の中で最も重要な建物の一つであり、最も街らしいといえる建物がそこにそびえ立っていた。














その建物を人はこう呼ぶ―――――『 メイク  ノイズ  フリーダム  』









そして今日も、建物は歌い続ける。












13階、カジノ。









様々な人々が交錯し、大きな音を作り上げている。


賭けに勝ち歓声を上げている者。賭けに負け途方に暮れる者。そんな彼らを傍観する者。


その中で、そんな彼らを傍観する者に入る2人の青年がいた。



酒と思わせる物を啜る一人の青年。

青年は静かに酒をテーブルに置く。



「うぇぇっぐぉほっっぅつぁあああ!うへぇっっ!」



かなり大きな声で嗚咽する。だが既に騒がしいカジノ内では目立つことはない。



「あーっ、くそぅ。格好良く飲み終えるはずだったけど無理かぁ。」





「当たり前だ。まだ未成年だろうが」

2010/09/22 14:58 No.21

もんな ★q4vHKkk59KE_dC

夜 屋上



昼間と違い此処の屋上は全く人影が無く、まるで別世界のように静寂に包まれていた。


ここの街の中でも高いビルの屋上とあって街のネオンがぼやけて見える程の高さで街の音は、まばらにしか聞こえなかった。


その屋上で古びた鉄柵につかまるようにして、ストローハットを被り、黒いコートを身に纏った、ある青年は街を何の表情も浮かべず眺めていた。


そして屋上の錆びた扉が音を立てて静寂を打ち破る。





「よぉ」




街を眺めていた青年、榊原 陽は振り向き屋上にきた瀬崎哲也に言葉をかけた。





そして哲也は静かに陽のとなりに歩み寄ってくる。




そして先ほどまで何の表情も浮かべていなかった陽が軽薄な笑みを貼り付け哲也に話しかける。




「しかし、まぁ、お前よくあの嬢ちゃんに白状したなぁ」




それに対し哲也は、いつも通りに冷徹な表情のまま返事を返す。




「後悔はしてない。ただ自分のためにしただけだ。」





「相変わらずだねぇ。ちょっとはさ、笑ってみろよ?」



苦笑しながら言葉を紡ぐ陽に対し哲也は相変わらず無表情だった。



だが、その哲也から陽に対し質問を投げかけた。


「お前のラジオ。どっから情報を手に入れたんだ?」



陽の経営しているラジオ――通称・メイク・ふりーだむ。
かなりの情報を扱っており、街の事ならたいていの事は知っている。
そして街を大きく動かす影響力も持っているという、常識に当てはまらないラジオを経営しているのが陽だった。




「ん、まぁ独自のルートから手に入れたんだよ。」



「独自のルート?」





「あぁ。俺の後ろには何人もいるんだよ。いろんな組も関わってるな。」





―馬鹿な。あいつ一体、どんな奴と絡んでるんだ?



内心そう思ったが言うほどではないと思い、口には出さなかった。





そして、両手を鉄柵から離し、くるりと周りながら手で銃を形取りながら、質問を投げかける。






「あのさぁ、哲也くんよぉ。街のことを一番知ってるのって、誰だと思う?」





「・・・さぁな。愚労会とかか・・?」





そして陽は手で形取った銃を哲也に撃つようにして答えを紡ぐ。




               ・・・・・・
「一番街のことを知ってんのは、街に居る奴らさ。」






「・・・?」



―どういう意味だ?まさか―――・・





陽は口元をニィと歪ませ、「分かったか?おれが情報を貰ってんのは街に居る奴らからだよ。





様々な方法で、大量の情報を手に入れてるんだよ。」



2010/09/28 15:18 No.22

てるる ★q4vHKkk59KE_dC

そして哲也は、陽の行動に軽いため息をつき、鋭い眼光で陽を捉える。

「・・・お前、いい加減にしないと目つけられるぞ。

 一応言うが、警告だぞ」


「はははっ、もう目は付けられてるさ。

 でも、そんくらいの事でラジオ放送を止める事なんてできないんでね。

 何か起きたら撃退するまでよ。臨機応変さ。」


言い終わった後にまた陽は、街を見下ろす。

楽しそうに、楽しそうに――――・・・・。笑顔を見せて。


そんな陽の姿を見て哲也は思案する。


―なんで、こいつそこまでして・・・?



確かに、陽は何かが起きても大抵は、対処できる。


だが、そんな陽でも危険な時は無くは無いだろう。


そこまでしてラジオ放送をする陽の気持ちが、哲也には理解できなかった。




そして、哲也も街を見下ろす。





街は、いつも通りそんな彼らを踊らせ、遊ばせ、悩ませ、様々な感情を醸し出す。

2010/10/02 16:39 No.23

もんな ★q4vHKkk59KE_dC

13階カジノ


「また勝ちやがッたよ、あの男。」


強面の男がため息混じりで、その男を見ながらつぶやく。

「ん?あの人初めて見た。」


強面の男の近くで、グラスに入ったオレンジジュースを飲みながら、ある青年はつぶやいた。

どうやら、酒を格闘するのを諦めたらしく、代わりにオレンジジュースを啜っていた。


「あいつ、初めて此処に来たくせによく勝てるなぁ。」


「ありゃ、気づいてない?伊勢さん。」



「?何がだ?」





そしてジュースを机に置き、青年―――芳岡雄渡は真実を言い放つ。



「あの新人の人、イカサマしてるよ。」



当たり前に言い放つ芳岡に驚いたが、あえて表情には出さず伊勢は冷静を保ちつつ言葉を返す。




「マジで・・・?や、誰も気づいてないぞ?」




芳岡は表情を変えずに淡々と言葉を返す。



「うん。あの人結構凄いね。結構な速さでしてるから、皆が気づかないの当たり前。

あー、もしかしたら義手かもしんない。」




―こいつ、何でそこまで分かるんだ?




「止めに行かないのか?お前・・・・。」





「えー、いやね、面倒臭いじゃないっすかぁ。余計な事に俺は、巻き込まれたくないっすよ。」




2010/10/10 15:17 No.24

もんな ★UpBYTo6kRo_BTB

葵はそれで十分だった。

この町の生活が自分に合っていると思っていたのだから。

正確に言うとそう、思い込みたかっただけかもしれない。

そして彼女は今日も街を駆ける―・・。




海辺の近くに、ある古びた駅が存在していた。木造の駅でまるで、周囲からそこだけ取り残されたような駅だった。一応、一両だけの電車

は来るのだが、人気はなく、海風がその古びた駅の壁を鳴らしていた。

そんな場所に一人の少女が現れた。

髪をショートにし、薄手のパーカーの下に何枚かの服を重ね着していた。


少女は駅の椅子に座り、空を眺めた。


青く、青く、果てしなく広がっていた。


少女がそれを心地よく感じ始めたところで『ガタン、ゴトン』と電車が向かってくる音が聞こえた。


そして、少女は勢いよく電車に駆け上がり、声を発する。



「すいませーん。またお願いしますね。」



すると、電車の奥から、強面の年を取った男が顔を出した。



「また葵か。好きだな」


「はい!この電車好きなんですよ。それに今日は、中心部へ用があるんです。」



「中心部へ行くのか?危ねぇぞ、あそこは。」


「大丈夫ですよ。この前も行ったじゃないですか。」


そうすると強面の男はふぅっとため息をつき、奥へ戻っていった。



「警告はしたぞ。」



「はい。分かってます。」



「そういやぁ・・・・、この前も中心部へ行きたいって奴が一人いたっけなぁ。」



「・・・?そんな人、私以外にも居るんですね。」



「あぁ・・・。変わった奴だった。髪を赤く染め上げてたなぁ、名前を確か・・・・芳岡だかって。」




「芳岡さんかぁ。」




―変わった人だなぁ。中心部へこの電車で行こうだなんて。



葵はそして席につく。芳岡という男のことを心中に置きながら。


7年前 No.25

もんな ★UpBYTo6kRo_BTB

―――入り口


ある一組の男女が入り口の前でたむろっていた。

入り口は普段、街とは違い、殺伐とした独特の雰囲気が漂っていた。

そんな場所に、少年の声が木霊する。

「つーかさぁ、ホントに此処に入るつもりなの?」

少年、尾ア雄平は傍らにいる少女、伊勢川美帆に向かって言葉を紡ぐ。

それに対し美帆は、冷たい表情、もしくは決意を固めた表情で返事を返す。

「・・・・当たり前。ここにあいつがいるんだから。」

雄平は美帆の言葉に軽くため息をつき、入り口の重い扉に手をかけた。

ギィィィィと重い音が周囲に鳴り響き、美帆と雄平は街に足を踏み入れる。

正確に言うと――――踏み入れてしまった。







「絶対に、捕まえてみせる・・・。芳岡京也。」







この街は、娯楽のためだけに作られた街。

そして、金持ち、セレブ、マフィア、等のうってつけの御用達場。

そして、政府もここの大きな力を恐れ、隔離した場所。

いつしか、法律もなにもない、無法地帯に成り代わってしまった場所。

それが、この日本の九州の端にある端街。



今日も、街は歌い続ける。



7年前 No.26
ページ: 1

 
 
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