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ジャイロスコープ

 ( 書き捨て!小説 )
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Rizlock @rizlize ★IWJpv31zyR_TnX

 なんの前兆もなく夕立が僕を濡らした。
 走る気力などとうの昔に使い果たしてしまって、暴力的な雨に体を委ねながら歩いた。
 いっそこの雨が全てを流してくれればいい。と、そう思っていた。
 夕立は蒸し暑さを一層際立て、町中から人々を消し去る。傘すら差さずに雨に紛れる"もの好き"など他にいるはずもなかった。

 だからこそ僕に差し出された黒い傘はいっそう不気味で。
 差出人の顔を見ずとも結論は容易に理解できた。

 おかしいな
 いるはずがないな

 起こりえない事象に直面した時
 僕は一心不乱に走り出した。

メモ2019/07/05 15:01 : Rizlock @rizlize★IWJpv31zyR_TnX

登場人物早見表


坂上智樹

平手明日香

有田みゆ

本間和樹


2件のいいね感謝します 2019.07.05

ページ: 1

 
 

Rizlock @rizlize ★IWJpv31zyR_TnX

 スマホのアラームがうるさい。
 そう思ったときにはたいてい遅刻ラインぎりぎりで、電車通学の高校三年生にとっては発狂ものである。
 結論から言えば、アラームよりも私の悲鳴の方がうるさかった。
 怒涛の勢いで身支度を済ませ、ローソンで買った安いパンをカバンに押し込んで家をとびだした。
 強烈な熱波のカーテンの中で走り出す。
 ローファーでの全力疾走はおそらく誰にも負けない。
 汗だくという大きな犠牲を払って田舎特有の一時間に一本の二両編成に無事間に合った。

 カラカラに乾いた喉を強炭酸で潤し、詰め込んで変形したパンをたいらげる。
 いつもと変わらない風景の片道30分は案外あっという間にすぎていくのだった。

 教室の冷房で汗を阻止することができたのは結局遅刻すれすれで、いつもより一本遅い電車に乗るだけでこうなってしまうくそ田舎を心底恨んだ。
 こんな思いをしてまで、学校に来たくないなぁとすら思ってしまう。

 いつものように空いた不登校の2席を見て、私もそうなりたいと心底そう思った。

17日前 No.1

Rizlock @rizlize ★IWJpv31zyR_TnX

 本間和樹が学校に来れなくなってからもう一か月は立つだろうか。いや今日がちょうど一か月だったかもしれない。
 突然消息を絶ってしまった彼に不登校というイメージはクラスメイトには全くなかっただろう。
 来なくなって数日は体調不良かと噂がされていたが、今となっては実は死んでしまったのではないかとも言われている。
 彼のSNSの類も全く更新されていないこともあり、死亡説は割と有力な説としてクラスでは今でも話題の的になっているのだ。

 そこに追い打ちをかけたのが有田みゆの不登校である。
 数日前の激しい夕立を境に彼女のSNSの更新も姿も雨水と共にどこかへ蒸発してしまった。
 消息をたってからそれほど時は経っていないが、本間と仲が良かったこともあり、すでに良からぬ噂が三年生の廊下を飛び交っていた。

 そして私は彼と彼女とはいつも一緒にいた。
 なぜいなくなったのか。どこにいるのか。連日のような質問の嵐に私も蒸発してしまいたいと何度思ったことか。
 今日もまた苦労して登校してきた汗だくの私に無慈悲で無意味な質問達が襲い掛かってくると考えるだけで、ため息が止まらないのだった。

16日前 No.2
ページ: 1

 
 
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