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トばしてっ!とらんす・あっと・さみっと

 ( 書き捨て!小説 )
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ノバラノヴァ ★MIUijRrEai_keJ

ぴんぴんぴんぴんぴんぽんぽぴんぽぴんぽんぴんぽーーん……

って、そんな感じのインターホンに、突如叩き起こされる。何の騒ぎだ……と、恐る恐る扉を開けてみると、
小柄な少女が、満面の笑みで玄関先に立っている。
服装は、やたらアニアックな設定で売ってる地下ドルみたいな――……それか、アイドル崩れの女子プロレスラーみたいな……、セーラー服をコンセプトにした様なコテコテのコスチューム。
メタルバンドのメンバーが嵌めている様な、ゴツいグローブを両手に装備しており、右手にはなぜだか医療カバンを持っている。


細面で色白な、かなりの美少女である。


「あっ、やぁっと出てきたぁ! あのね、あーたしの名前はぁ、んっとぉ、アット・サミットだよぉ! キミのコト、ぶっトばしたげに来たんだけどぉっ! おっけー?」


そんなハイテンションで突拍子もない挨拶と、甲高くて所々掠れたハスキーボイスは、俺の目を覚ますのに十分だった。
冬の夜風が、ぴゅー……と廊下を吹き渡り、少女の切りそろえたられた黒いロングヘアを揺らした。


「おっけー、じゃないっす……」


答えて後悔した。答えることによって、本来ならそこにあってはならない存在を認めてしまったような気がする。
そう思うと、恐怖が体中を駆け巡り、思わず身震いした。
扉に覗き穴もチェーンもないオンボロアパートを選んでしまったことを悔やむ。


つうほうだ。そう、通報。こいつは、絶対あぶねぇ。
ストーカー的な、あれか……?とにかく、ちょっとかわいいからって気を許しちゃだめだ。絶対、変質者の類だ。


扉を閉めようとすると、少女はゴツいグローブの左手で、ガッ、とそれを制止した。
小柄な体と細腕に釣り合わない、すごい力で、扉を引き返される。


「お外、さむくって、正直つらかったんだぁ……! おっじゃましま〜ぁす!」


「やめろ、くるな! 入るな! ……だ、だれか……」


バァーン!!――扉が閉まる。少女は強引に俺の部屋に押し入り、しかも、ガチャリとご丁寧に鍵まで掛けたのであった。


「えへへぇ。あんまり騒がれちゃぁ、困るからねぇ。」


不穏なセリフと共に、真っ黒な微笑みを浮かべて小首を傾げる少女。――俺は、じわじわ苛む恐怖に後ずさりながら、悪魔って本当に居るんだと思った。
俺が一体何をしたというんだ……。俺はこのままこの子に殺されるのか……? こんなコスプレ変質少女に……?


ちょっと待てよ……、まぁ、適当に事故だとか、ビョーキだとかで逝くよりも……、だって、カワイイんだよなぁ。やっぱりこの子。
――防衛本能が、仕事を諦めた。

あーあ……。男ってホントバカだな……。
――微かに残った理性が、溜息を吐く。



「んぇっとぉ。そうだそうだ。令状令状。――せい、せいしょ……うねん……あー、だめだ、字ィがピコピコ躍ってるぅ。あわわ……」


ごそごそと、医療カバンから紙切れを取り出し、眉間にしわを寄せてそれを読み上げ始めたかと思えば、すぐにマンガみたいにくるくる目を回す少女。
俺は、少女の手から恐る恐るその紙切れ――「令状」を取り上げる。



「青少年精神幻想脳科学保健協会より、鳶屋飛鳥様。

 ……疲労と多大なストレス等の負荷により、貴方の精神バランスは現在ギリギリの状態です。現状のままですと何れ脳にも異常が起こり、神経が破壊され、近い内にバーストしかねません。
 ストレス社会のなかで、多くの青少年が貴方様の様な症状により、若いみそらで廃人同然となり、社会復帰不可能な状態まで追い込まれてしまうケースが相次いでおります。
 私共は、そんな悩める青少年を救う為に、最新の治療を提供致しております。なお、治療費は協会が負担致します。

 それでは、派遣医員の指示に従い、適切な治療を受けてください。」



青少年精神幻想脳科学保健協会なんてキョーカイ、聞いたこともないが……。
ストレスで脳みそバーストとはいくら何でも……、脳みそってのは、携帯機器みたいに、発火とか爆発とかすんの?
けれど思い当たる節はある……というより、現在、確かに頭も体もガタガタの状態ではあるのだが。ここ数か月での環境の急激な変化に、体と頭がついて行っていない状態なのだ。

そういえば――。先週、健康診断を受けたが、何か関係あるのだろうか。病院では貧血気味だから鉄分を摂れ、としか言われなかったが……。


百歩譲ってこの内容が真実だとして、この最後の行の派遣医員ってのが、このデンパ少女のコトだろうか。
だとすれば、相当胡散臭い協会だ。とても正規の保健協会のやることではない。

要するに、俺はダマされている。詐欺だ。治療だなんだといって人んちに押し入り、治療費を巻き上げる新手の詐欺だ。
まったく、近頃の詐欺はこんなあどけない少女まで動員するのか? ――恐ろしい時代になったものだ……。



「独り言いったり、溜息ついたり、やっぱりずいぶんキミ、つかれてるんだねぇ。かあいそうに。すぐに、アットが治してあげるねぇ!」


少女はキリリとした表情で、ポンと胸を叩いた。俺に任せろっ!という様な感じで。
その姿を見ていると、何だか全てがバカバカしくなってしまい、俺は黙って少女に背を向け、キッチンで水道水をコップに注ぎ、それを飲み干した。
そして、ワンルームの片隅に敷いた布団に戻り、胡坐を組む。


「もう、何かどうでもいいや。金なんてねぇしさ。できれば、もう帰ってくれねーかなぁ……。俺、明日、仕事なんだよ。」


「んえーと、注射針注射針……」


きいちゃいねぇ。少女は、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、医療カバンを探っていた。
しばらくして、ライブ用のペンライト程もある大きな注射器を取り出すと、その先にぶっとい銀の注射針を突き刺した。
そして、一昔前のケータイアンテナの様な要領で、その注射針をぐいーんと伸ばすと、1メートルほどの長さになる。

少女は、それをもって俺にニッコリと微笑みかけた。右手に構えたゴクナガ注射針の伸びた巨大注射器は、フェンシングの剣か何かの様に見える。


「おい、それオモチャだよな?」


ゴクリと生唾を飲み込む。


「恐がらないでぇ……じっとしててねぇ……すぐ終わるからぁ……」


不敵な笑みを浮かべて、少女が近づいてくる。



「やめっ……来るな、来るなったら!」


壁際に追い詰められ、逃げ場所はない。俺は、申し訳程度に枕を構える。
さっきは、殺されてもいいかなぁなんて甘い考えを起こしてしまったが、いざ凶器を構えた狂気を目の前にすると、さすがにビビる。

次の瞬間には、大きな瞳が、目の前で俺をまっすぐに見つめていた。息が掛かる程、少女の顔が近い。サラリと触れた髪からは、甘い果物と薬の混じった様な不思議な匂いがした。
キラリ。鼻先で、銀の針が光った。


「えーへへぇ。――ぷすっとな。」


―――。



「お……おい。刺すにももっと、イイ所があるだろうがよ……」


左鼻の穴に注射器を差し込まれ、間抜けな顔で抗議する俺。



と次の瞬間、電撃が走ったかの様な衝撃が、全身を駆け巡った。脳内の至るところで金色の火花がスパークし、シューっと火の粉が吹き、とても綺麗だ。

バラ?――バラ色の草原に、倒れこむイメージ。水の中に沈んで、深く深く――そして、弾けて、空の上―――



あれ、ぶっトんでる、ぶっトんでる俺。死んだのかな? あの子に殺されたんかな、やっぱ?

やべーよ、でもこれ。超気持ちイイ―――かも ――−……




夕暮れの教室に居た。中学のとき凄く仲の良かった友達が、隣の席にいる。名前は、そう、えっと――。なんだっけ―。あいつだよ、あいつ。



がやがやがや。急に、騒がしい教室。時計は9時。俺は三列目、一番後ろの席。自分の服装は、懐かしい、中学時代の学ランだった。
椅子の背に、今はもうボロボロになって捨ててしまった、赤いリュックサックが掛かっている。

隣の席には、だれもいない。ぽっかり空いた机と椅子を眺めながら、俺は、


(今日も休みか――。)


なんて、ふと考えていた。びっくりした。社会人になった俺の意識の中で、中学生としての俺の意識も、混在しているのだろうか?
そのとき。



『皆席についてぇ――!』


聞き覚えのある、ハイテンション・ハスキー・ボイス。
嫌な予感がした。ギラリと光る注射針のイメージが鮮明に浮かび、頭を振ってそれを追い出す。恐る恐る、教卓を見ると――


『今日から皆の担任の先生になりまぁす! アット・サミットせんせぇだよぉ! よぉろしくねっ★』



……やっぱりなぁ。


ふと鼻の頭に触れると、いつの間にやら、絆創膏が貼り付けられていた。





★ ツヅクカモ

メモ2018/12/26 14:11 : ノバラノヴァ★MIUijRrEai_keJ

美少女多めでお送り致します。

キャラクターは、ゼロ年代初頭くらいのギャルゲ絵を想像して下さい。コゲ〇んぼだとか、い〇る絵だとか……

関連リンク: 小6オタク 
ページ: 1


 
 

ノバラノヴァ ★MIUijRrEai_keJ

『年齢・スリーサイズ・出身はぁ、非公表!訊くのも禁止ねぇ! んっとぉ、好きな食べ物は、冷凍みかんだよぉ! 嫌いな食べ物は、ないよぉ〜!
 これからぁ、皆とたっくさん仲良くしたいなぁっ!』


教卓の周りをくるくる舞いながら、誠にどうでもいい情報を楽しそうに教えてくれるアット先生。
どう見ても不自然極まりなく、明らかに異様な光景なのだが――
生徒らは、それがあくまで日常の中の普通の光景なのか、アットに対して特に興味深く注目することもないようだった。

あくびをしている者、机に突っ伏して寝ている者、次の時間の宿題にいそしむ者、頭の後ろで手を組み、適当に冷やかす者――


皆、見覚えのある顔ばかりだ。そう、俺の記憶が正しければ、これは確かに中学三年のときのクラスである。
黒板の右端には、チョークの白字で12月20日の日付。学ラン、女子はブレザーを着こんでおり、教室は肌寒い。

俺は現在、ちょうど、4年前の冬の記憶の中にいるようだ。
――が、この環境に違和感なく溶け込んでいる感覚が確かにあるのが不思議だった。

ガッ!
ばきっ!

『わわ!』

ガッ!
ぼきぃ!

『んあぁぁぁ! またおれちゃったぁ!』


チョークを折りまくり、焦るアット先生の後姿。
つくづく落ち着きのない、小動物か何かのような動きをするヤツだと思った。


かっかっかっ…

『……じー…しゅ……う、と…びっくりまーく、びっくりまーく、びっくり、まーく…と…、できたぁ!』


黒板に大きな悪筆で、『自習!!!』と書き、振り返って、粉まみれの顔でニッコリと微笑むアット先生。


『一時間目ぇ、自習の授業をはじめまぁす!!ってことでぇ、皆、がんばってねぇ!』


それ、授業って言わなくないか?
――というような突っ込みは特に無しに、生徒らはそれぞれノートやら教科書を取り出し、真面目に「自習の授業」に取り組み始める。
涙の出るような、優等生たちである……。


『あっ……えぇっと、鳶屋飛鳥君! お話があるからぁ、せんせぇと一緒に来てねぇ!』


びしっ!と人差し指でアット先生に指名される。数人の生徒にくすくすと笑われ、少し恥ずかしくなる。
――まあ、やっぱそうだよなぁ、なんかあるよなぁ、と、渋々腰を上げ、教卓へ向かう。
アット先生は俺を見ると、嬉しそうにニッコリ笑った。


『えへっ!お邪魔してるよぉ! あ、ちゃーんと靴、脱いできたからねぇ!
 人のせいしんげんそーに土足でズカズカ入っちゃいけませんって、教授に言われてるからぁ…』


見ると、確かに靴を履いていないアット先生。白の二―ハイソックスが汚れないか心配である。


『それにしても、学ラン、すごぉく似合ってるねぇ! 初めて会ったときとは別人みたいに清潔感が増したというかぁ、
 一人暮らしの男の悪い意味での生活感がカバーされて、ぐっとあか抜けたというかぁ、なんというかぁ……』

「わかった、わかったよ先生、わかったから外で話そう……」


生徒達のくすくす笑いに堪えられなくなり、赤面しながら、アット先生の背中を押して廊下に出るよう促した。




「――で、こりゃーどういう事か説明してくれよ……状況を1から」


廊下を抜け、階段の踊り場まで来て、アット先生に向き直り、問い詰める。
アット先生は、黒髪を人差し指でくるくると巻いたり解いたりしながら、少し決まり悪そうに微笑んだ。



『詰まった水道管の、異物を取り除く作業に似てるかなぁ……』


よくわからない比喩を用いて、余計に話をわからなくするアット先生。


『飛鳥君がトんでる間に、飛鳥君の精神幻想を少し下見させてもらったけれど、やっぱりところどころ錆びて、崩れ落ちて、抜けてる部分があるねぇ…。
 そこを補えば、飛鳥君、今より少し楽になれるかなぁと思うよ。』


「俺の精神幻想? そういやさっきも、土足でどーとか……」


『うん、人はみんな、それぞれの精神世界を脳の中にもってるの。
 その世界はね、その人が生まれてから少しずつ、その人のエゴとか記憶、願望やトラウマなんかを複雑に溶かし合わせて、バランスよく組み上げてきた世界。
 その世界のことを、あたしたちは精神幻想世界って呼んでるの。ストレスだとかで心の病気にかかっちゃう人は、その精神幻想のバランスが崩れてしまってるということなの。
 そして、そんな患者さんの精神幻想の中に入って、壊れた部分や濁った部分を修繕するのがぁ、あたしたち派遣医員のお仕事なんだよぉ』


「――百歩譲って理解したことにする。じゃ、お前があのとき俺に打ちやがったヤバそうな注射は?」



『あれは、患者さんの人格をまるごと患者さんの精神幻想にトばすためのお薬を打ったの。
 医員が精神幻想に入っても、肝心のその人自身の人格が隠れて出てこなかったりするからぁ――、
 まぁ、依頼主さん立ち合いの元で、水道管掃除をするようなかんじだねぇ。
 ちなみに、医員が患者さんの精神幻想に入るときは、注射とは別に特別な意識同化装置を使いまぁす』


SFか、サイコホラーか……。アット先生の口から語られる、オリジナリティあふれる世界観に頭を抱える俺。
だが――こうして実際に、明らかに今までいた世界とは異質の空間に来ているわけなのだから、頑なに信じないわけにはいかないだろう。


「この世界が俺のその、精神幻想とか……ってことか?」


『そうだよぉ。飛鳥君の精神幻想は面白いねぇ。おうちみたいにたくさんの部屋割りがあって、そのそれぞれが別の年代の記憶がベースになってて……
 普通、一つの精神幻想に幾つもの年代や記憶がエゴと一緒に溶け合って、ヤミナベ状になるもんだんだけどぉ……

 それでねぇ、その部屋割りなかで、異常が現れてるのが、そのうちの一つの世界だったの。
 ここが、その――「江冬中学三年生」のときの記憶がベースになった精神幻想世界。』



21日前 No.1

ノバラノヴァ ★MIUijRrEai_keJ





背の高い本棚が円状にぐるりと取り囲む、特殊な作りの部屋。


「よりによって『あの子』に任せたですか――。」


「鈍色(にびいろ)の少女」は、そうつぶやくと、さも気だるそうに溜息をついた。
左右の高い位置で三つ編みにした長い髪が、かすかに揺れる。

左手には、白い生地の上品な学生服のような衣装に似つかわしくない、黒光りする大型拳銃。
少女の小さな手には到底扱いきれそうもない――本格的な代物だ。

だが、持て余す様な様子もなく、少女はまるで扱いなれた玩具に触るかの様に、手のひらの上や指先でそれを弄んでいる。


「ああ。アットは確かに少々危なっかしいが――『鈍色』、君よりはるかに信用ができるからね」


武器を持ち、背後に立つ「鈍色の少女」に一切目を向ける事もなく、足を組み、ゆったりと安楽椅子に座る男がいた。
優雅な手つきで、膝に置いた分厚い本を捲る。華奢な背中だが、その佇まいには余裕があった。


「鈍色の少女」は、男の言葉を聞き、きゅっと目を細めた。
――表情に乏しい彼女なりに、「微笑んで」みたのだろうか。


「教授。私ってそんなに信用できないですか」


次の瞬間、今まで弄んでいた筈の拳銃は、男の後頭部に突き付けられていた。
男――「教授」は、相変わらず足を組んだまま、何事もなかったかの様に、本に目を落としたままだ。暫しページを捲る音だけが狭い部屋に響いた。
しばらくして、少女はあきらめた様に拳銃を男から離し、くるりと踵を返す少女。



「幾ら午後の予定が空いたからってリトル・レディ――。『ライバル』の邪魔はほどほどにするんだよ。」




「貴方の精神(ココロ)に入れたら、思う存分、踏み荒らしてさしあげるのに」



「鈍色の少女」は、そう吐き捨て、部屋を後にした。



2日前 No.2
ページ: 1

 
 
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