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14の世界

 ( 書き捨て!小説 )
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Ivanna @ivanna ★Android=jNXNvmwkEp

『永遠少年症候群』様よりお題を頂きました。

ゆっくりと、のんびりと、この14の世界をえがいていけたらなと思います。


1. 死んだら花が咲く世界
2. 魔法が大罪の世界
3. 空想が罰せられる世界
4. 通貨が血液の世界
5. 太陽が二つある世界
6. 1日が25時間の世界
7. 食人文化の世界
8. 幽霊が人間を怖がる世界
9. 悲しくならない世界
10. 年を取らない世界
11. 超格差社会の世界
12. 平和な世界
13. 科学が嫌われる世界
14. 嘘吐きの世界

7日前 No.0
ページ: 1


 
 

Ivanna @ivanna ★Android=jNXNvmwkEp

1 死んだら花が咲く世界



8月17日。午前10時44分。まともに聞いたこともない講義の試験をなんとなくパスし、特に予定もないのに何故か楽しいことが起こるんじゃないかと無駄に期待を膨らませながら迎えた夏休み。三度寝までたっぷりと貪り、しかしながら蒸し暑さに耐えかねた僕は非常に中途半端な時間に起床した。
カーテンを開けなくても分かる。本日も晴天なり。
実家から持ってきた扇風機のスイッチを「強」に合わせ、BGM代わりにテレビを付けた。ローカルニュース番組とテレビショッピング番組を経由して、全国ニュース番組にたどり着く。いかにも胡散臭そうなしかめっ面をしたコメンテーターが自らの偏見をもっともらしく演説している。
今巷を賑わせている一番ホットな話題といえば、ここ1ヶ月ほど続いている児童連続誘拐殺人事件だ。どの時間帯どの局のニュース番組でも、この事件を扱っていないところはないだろう。事件現場が近辺の市町村に集中していることから、ゼミ仲間も最近この話題で騒いでいる。テレビの中では何人もの捜査員が必死に現場検証をしていた。全く、この暑い中あんなに着込んでご苦労なこった。
そんな的はずれな感想を抱きながら眺めていると、画面は再びスタジオに戻り、今度は経済学者のオバサンが早口で言葉を捲し立て始めた。
いや、アンタ関係ないじゃん。誰だよ。
ニュース番組を横目に鍋に水を注ぎコンロにかける。こんなクソ暑い中お湯を沸かせば地獄なのは分かっているのだが、その先にあるそうめんという天国に辿り着くためなら致し方あるまい。
ニュース番組では今のところ警察が有力な手がかりを何一つ得られていないこと、現場からは遺体に咲いているはずの「花」が持ち去られていること、このことが事件の鍵になるだろうということが報じられている。
『皆さんご存知の通り、我々人間を含む哺乳類は死を迎えると植物の花のようなものが体から生えてきます。この「花」が咲くとどんな蘇生措置も無意味で、完全な死を意味するものです。今回この「花」が体の部位ごと持ち去られていることから、犯人は「花」に対して何らかのこだわり、もしくは執着を持っているのではないかと推測されーーー』
どうせ明日も明後日も同じ事を言うんだろうな。
そう思いながら沸騰したお湯に固いそうめんを投げ込む。
茹で時間は5分。
ふと脇に目をやると、淡いオレンジ色の幾重にも花弁が折り重なった花がコップに無造作に生けられている。
「あ、やっべ……忘れてた」
慌ててコップを手に取り、別室へ向かう。
かろうじて培養液に浸けておいたからいいものの、あのまま放置していたら根本である眼球が腐ってしまう。生まれつきなのだろう、肌も白く髪も茶色がかっていたあの子の眼球は色素が薄く、そこから咲いた花との色合いが気に入っているのだ。
容器も培養液も新しく入れ換え、他の「花」たちと並べてやる。
「よし、大丈夫そうだな」
ほっと一安心したところで、鍋が吹き零れる音が耳に届いた。あぁ、さよならそうめん。

6日前 No.1
ページ: 1

 
 
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