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× × × 。

 ( 書き捨て!小説 )
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@akira0908 ★Tablet=UIgVrM4Ag0



× × × 。





────あそこだ!あそこにアリスはいるんだ!僕はアリスを見つけたんだ!あの場所でアリスは僕を待ってる!





× × × 。



小望月に比べて際どい。
ホモグロエロリョナなんでもあり。非健全向け。
全年齢向け、ホモグロエロリョナ少は小望月。
閲覧はおまかせ。

ページ: 1

 
 

@akira0908 ★Tablet=UIgVrM4Ag0




眠 ねむる
……小五の時担任の先生の殺害に関して唯一関与していない生徒。その後はピアノを始め現在は音大に通っている。将来の夢は中学の音楽教師の勧めでピアニスト。先生の道徳の授業の際に「何故人を殺すのか」という質問に対して唯一「好奇心」と答えたひねくれ者の少年。


 「人はいずれ死ぬ。いずれ死ぬ奴にわざわざ手をかけるほど俺は愚かしい人間じゃない。隣の席のあの女に殺されるのが先生の運命だったならそれはまた一興だと思う。先生の内蔵を見た時は流石に気持ち悪いとは思ったけど、隣の席の女は全部終わったあとに後悔してた。この世界はどこかおかしいよ」

6ヶ月前 No.1

@akira0908☆G2g5KGLD3yBo ★Tablet=UIgVrM4Ag0

  「 あ…… 」
  「 あ 」

 「おはようございます、稲荷塚さん。今日は大学ですか?」
 「え、あ……お、はよう、ござい、ます、安比奈さん……」
 「俺も今日大学講義入れてるんです。良かったら一緒に行きませんか?ほら、稲荷塚さん一人で行動するの苦手でしょう?俺がいれば大丈夫です、是非一緒に行きましょう?」
 「いや、あの、でも……おれ……安比奈さん、のこと……あ、あんまり、知らない、し……」
 「大丈夫ですよ。そんなのはあとからゆっくり知っていけば良いんです。お部屋隣なんですし、知ろうと思えばいつだって知る機会はありますから。稲荷塚さんは真面目だなぁ。……あ、そうだ、下の名前教えてませんでしたね。俺は安比奈鶉っていいます。えーっと、稲荷塚さんは確か……矢颪、でしたっけ?かっこいい名前ですねぇ、羨ましいです」
 「……?お、おれ、安比奈さんに名前おしえたきおく無い、んですけど……あれ……おしえましたっ、け……?」
 「ふふ、やだなぁ、矢颪さん。同じ大学ですよ?名前くらいは聞いたことあります。それに稲荷塚さんは大学だと有名なんですよ?宇宙学部の天才って呼ばれてるんですから。ちなみに、稲荷塚さんは宇宙学部ということは将来は天文学者ですか?稲荷塚さんの白衣姿、かっこいいんだろうなぁ!……あ、俺は文学部なんです。将来小説家になりたくて!」
 「あ、え…………有名…………やだな…………」


 「ええ、俺も嫌です。“俺の”稲荷塚さんが有名になったら流石の俺も困ります。ただでさえ稲荷塚さんに近付く疚しい人間は始末したばかりなのに、今日大学に行くなんてことしたらまた稲荷塚さんに近付く有象無象を殺さないといけないじゃないですか」


 「────!?」









・稲荷塚矢颪(いなりづかやおろし)20歳。宇宙学部2年生。コミュ障、適応障害、対人恐怖症、集団恐怖症、赤面症。コミュニケーション不全。とあるマンションの301号室に住む天文学者を目指す天才。大学は本当にギリギリ必要日数行くだけ。一人で外に出られない癖して一人暮らし。男好きの趣味は一切ない。だからといって女の子も好きじゃない。何かを恋愛感情的な意味で好きにならない。鶉が怖い。

・安比奈鶉(あいなうづら)20歳。文学部3年生。人生勝ち組。稲荷塚が覚えていないだけであって稲荷塚の中学時代の先輩で稲荷塚のストーカー。とあるマンションの302号室に住む小説家(自称)を目指す。稲荷塚の事で知らないことはないし、いま書いてる小説も稲荷塚の1日を小説風にまとめただけのただの観察日記。稲荷塚が好き。稲荷塚に近付く人間は殺すし、自分に近付いてくる人間には興味を示さない。




5ヶ月前 No.2

@akira0908☆G2g5KGLD3yBo ★Tablet=UIgVrM4Ag0


 「やっちゃーん!今日やっちゃん大学来てくれたんだねッ!俺嬉しいよ!やっちゃん大好き!ちゅーしよ!」
 「うえぇ、い、いやだぁ……気持ち悪いぃ……いーくんやめてぇ……」
 「……えーっと……四十八願先輩、ですよね?初めまして」
 「あ、安比奈鶉くんだね!そうだよ、この僕が四十八願沙。ふふ、どうしたのさぁ、そーんな怖い顔で僕を見ないでおくれよ。あ、もしかしてやっちゃんと僕がベタベタしてるのが気に入らない?ごめんね、皮肉な話だけど僕とやっちゃんは切っても切っても切り離せない存在、まぁつまり運命の赤い糸で結ばれた幼馴染みってヤツだよ!安比奈鶉くん、やっちゃんは僕のものだから下手なことしない方がいいよ?ね?」
 「や、やめてよいーくん……。お、同じマンションなんだから仲良くしよう……?お、おれは無理だけど……」
 「いややっちゃん無理なら意味無ーい!そんなことよりやっちゃんちゅーしよ、ちゅー!ハグでもいいから!ちゅー!!」
 「四十八願せんぱぁい、最っ高に気持ち悪いです〜!稲荷塚さんから離れてくれます〜??」
 「だぁってろクソガキ」
 「死ねよ」







・四十八願沙(よいならいさご)23歳。大学4年生。明るくてちょっと馬鹿っぽい癖して医学部主席入学。稲荷塚の幼馴染みで稲荷塚大好きマン。稲荷塚以外には全くの興味を示さない。安比奈に殺意を抱いており、安比奈はそのうち始末する予定。稲荷塚のストーカー。逐一行動を監視している。稲荷塚限定のハグ魔にキス魔。夜這いもする。同じマンションで401号室に住んでいる。床に眠ることで稲荷塚の温度を感じるという変態。月一で稲荷塚の下着を盗む。稲荷塚も四十八願には甘い。



5ヶ月前 No.3

@akira0908☆G2g5KGLD3yBo ★Tablet=UIgVrM4Ag0

 「……まただ……」


 黒く伸び切ったボサボサの前髪、手入れのされていないやや伸びた後ろ髪。前髪の隙間から見えるキラキラと光る黒色の宝石のように輝く綺麗な瞳。不健康さを漂わせる華奢な体型に蒼白な色をした青年、稲荷塚矢颪は困っていた。
 月一で稲荷塚は下着泥棒というのを受ける。それも毎月毎月、時間や日にちを変えてとわざわざ器用な事をする下着泥棒だ。

 ────男の下着を盗んで何が楽しいんだろうか。それとも盗んでいるのは女性?女性だったら今すぐやめればいいのに。おれの姿を見たら幻滅するだろう。ていうかなんでほんとにおれなの?

 とにもかくにも、このマンションに引っ越してきた後に急激に始まった下着泥棒ももう早くも二年が立ち、居ても立っても居られず誰かを頼ろうと、そして人とコミュニケーションの取れない稲荷塚が頼る先はもう既に決まっている。警察を頼るなんてそもそも人と話すことが出来ないのに無理だし、外に出るのだって怖い。内容が内容なだけに本当に言いたくないと思う。真上に住まう、相手いわく赤い糸の幼なじみ。四十八願沙。
 一先ず深くキャップを被ってマスクをしていかにも不審者に思われそうだが、ただ真上に行くだけの行為にそこまで身なりを気にする必要はないのもあって、特になにかお洒落をするつもりなく、震えた手で玄関の扉を開ける。

 ────誰かに見られたら、嫌だな

 腹痛に耐えながらゆっくりと玄関の扉を開くと、「稲荷塚さん!」と声をかけられ咄嗟に扉を閉めて鍵をかけ家の最奥まで土足で向かい、カーテンにくるまる。


 「い、稲荷塚さん!すみません、俺です!安比奈鶉!ごめんなさい、稲荷塚さんが外に出るのなんて久々だったから、稲荷塚さん見られると思ってなくて、その、嬉しくて、つい……」
 「あ……安比奈、さん……?」
 「はい、そうです。入ってもいいですか?」
 「あ、え、あの、え……あ……」
 「ていうか入りますね」
 「……へ!?」


 玄関の鍵が開く音がしたかと思えば、「お邪魔しまーす」と言う隣人、安比奈鶉の声。正直、稲荷塚は少しこの男、安比奈が苦手だった。なんというか、具体的な理由がないのがもどかしいくらいだが、本能的にこれはなにかやばいと、そう思っているのだ。だからこそ、稲荷塚はカーテンにくるまっている中カーテンを握りしめる力を込める。

 ────なんで?家の鍵?あげた?あげてない、なんで?

 そもそも何故安比奈が家の鍵を持っているのだろう。稲荷塚はますます怖くなって、近付いてくる足音にびくびくとしながら身を強ばらせると、トン、と安比奈の左手が稲荷塚の右肩に触れる。


 「やだなぁ、稲荷塚さん。この前稲荷塚さんが講義終わったあと家の鍵落としてたんですよ?だから、借りて開けちゃいました。すみません。あと、スペアキー作っといた方がいいですよ?講義の日、鍵を閉めないで家を出たのが功を奏したみたいですね」
 「え、あ…………あり、が…………と、う?」


 そう言えば。
 稲荷塚は前回家を出た日から家の鍵を見かけていなかった。そして前回家に出たのが丁度一週間くらい前だっただろうか。大学の講義に行った時だったような気がする。そうか、落としていたのか。申し訳ないことをしてしまった。
 そんなことを考えながら少し複雑そうにしながらも稲荷塚は安比奈の手から鍵を受け取る。
 なんというか、違和感なのだ。大学の講義の日は、確実に家の鍵を閉めて何度も確認してから出たはずだったにも関わらず、帰る時には帰る時には何故か扉が開いていて、しかも鍵がないのでダメもとで開けてみた結果があいたということもあり、違和感を感じたのだ。

 ────もしかしておれ、ストーカーされてる……?

 稲荷塚がストーカーされている事には気が付けたが、ストーカーの犯人が可愛い顔した隣人と赤い糸で結ばれているという幼なじみだということを知るのは、まだまだ先の話だ。






5ヶ月前 No.4

@akira0908☆G2g5KGLD3yBo ★Tablet=UIgVrM4Ag0



  ――――――ある昼下がり。
 稲荷塚は平日の昼頃、長い針と短い針が頂点を回った後、昼食も終えた稲荷塚はティータイムを洒落こもうと思い、通販で頼んだ俗に言う良いお水を使ってわざわざなけなしの金をはたいてドリップやら何やら、もはや豆から仕入れた事もあり、豆を選んで焙煎し、冷蔵庫から通販で頼んだ水を取り出して水を注ぐ。
 ……が、水が丁度いいタイミングで切れた。これから飲もうと思っていたにも関わらず、だ。このままでは濃すぎるコーヒーを飲むことになる。飲めなくはないが流石に無理だ。


 「っ…………」


 外に出て買いに行くしか、ない。一先ず作りかけのコーヒーの作業をすべて中断し、絶望に近い形で肩を落として服を見繕う。ファッションセンスが無いのでまともな服もないのだが、取り敢えず外に出ても良いような服を適当に出して着替えかける。
 そんな時だ。玄関からインターホンの音が鳴り、ビクッと肩を震わせる。ただ、荷物であれば受け取らないわけにも行かないので、着替え掛けということもあり下着1丁は流石に勘弁したいので上から大きめのパーカーだけを着て小走りで玄関に向い覗き穴から来訪者の確認をすると、緑色の制服が特徴的な配達員の人だった。
 コーヒー豆やら水の関係で定期的に顔合わせをしているので、最初こそはまともに会話ができなかったものの、今となってはそれなりの会話くらいなら交わせるようになったこともあり、未だ話せる人間だったことにホッと胸をなで下ろしながらゆっくりと鍵を開け、小さく玄関を開ける。


 「こ、……こ、ん、にちは……」
 「こんにちは!いつもお世話にーって…………うわああああ!!服!!着てください!!待ちますから!!」
 「へ、へ……!?」
 「しっ、した!見えそうで見えないので!!あの!!脱ぐか着るかしてください!着ないならパンツ見せてください!!」
 「…………は?」


 いつもの温厚そうな配達員は恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながらサラリと誤解を招くような言葉を発したかと思えば、いきなり怒鳴りつけられるようなことを言われてしまったこともあり咄嗟に稲荷塚もどうすれば良いのか分からず部屋に戻ってズボンを履いてまたすぐに玄関に戻り、稲荷塚は恥ずかしくなってあせあせしながらもちょいちょいと配達員を玄関に呼ぶ。


 「あ、パンツ見せてくれないんですね……」
 「いや、あの、その……ふ、普通の人は見せませんよ……」
 「じゃなくて、お届け物です!」
 「あ、え、あの、おれ、何も頼んでない……んです、けど……」
 「届いてるじゃないですか、ここに!」
 「…………はい?」
 「俺ですよ。おーれ」


 ────この人頭おかしいのかもしれない

 舌をペロッと出しながら少女漫画に出てきそうな効果音のようなものが付きそうな態度で「えへ」なんて言ってみせる。なんでわざわざ制服をきてるのかと聞きたくなった。そもそもこんなことをしてる暇があるなら普通に休めばいいのに、そんなふうに思う。


 「俺団地妻的なのやってみたかったんでオフですけど制服できちゃいました。ってことなので!犯させて下さい」
 「か、帰ってください」
 「お願いします!!一時期ゲイビ専門のイカせ屋だったんで腕には自信があります!!ヤらせてください!!」
 「たっ、助けて、いーくん……!!」






・老神黒河(おいがみこくが)27歳。元イカせ屋の配達員。バリタチゲイ。女の子は嫌いだけど男の人は好き。ガチムチは嫌い。ちょっとなよっとしてるくらいの地味な奴が好み。穏やかで温厚な癖して実は妄想癖のド変態。今の目標は稲荷塚を仕事中に犯すこと。


5ヶ月前 No.5

@akira0908☆G2g5KGLD3yBo ★Tablet=UIgVrM4Ag0

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5ヶ月前 No.6

@akira0908☆G2g5KGLD3yBo ★Tablet=UIgVrM4Ag0

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5ヶ月前 No.7

@akira0908☆G2g5KGLD3yBo ★Tablet=UIgVrM4Ag0




 「やっちゃん、美大の友達に美大の大学祭誘われててさ。面白いもん何も無いかもだけど、誘われちゃったからには行かないわけにはいかないっていうか……。その、やっちゃんに一緒に来てほしいなって思って……」
 「え、いや、あの、おれ……」
 「大丈夫!俺の隣歩いてるだけでいいから!離れないでくれたらそれでいいから!ねっ!」
 「……ううん、そ、そういうん、だったら……し、しょうがないなぁ、いーくんは……」
 「やった!やっちゃん愛してる!ちゅーしよ!」
 「そ、それは嫌だ……」




× 矢颪限定キス魔の沙とそれを毎回ピシャリと断るコミュ障矢颪。

× 美大の新キャラが出したい。

× 鶉くん空気?


5ヶ月前 No.8

@akira0908☆G2g5KGLD3yBo ★Tablet=UIgVrM4Ag0

 「君の絵は、その……個性的だよね。なんていうか……あんまりこういうこと言いたくないんだけど……そんな絵で美大に入れたよね……」
 「男で美大ってキモくない?」
 「大して才能もないのにね……カワイソー……」


 才能が無くて、画力が無い。だけど絵が好きだから、いっぱい勉強して、美大に入りたくて、将来はちゃんと、絵を描いて仕事がしたいって……そう思ってた。
 だけど、いざ美大に入ったら周りは当然ではあるけれど、僕よりも絵が上手い人は沢山いて、僕なんかが入っていける領域じゃなくて。それでも皮肉だけど僕は絵が大好きで。何百回も筆なんて折ってやろうと思って、何百回も右腕の骨も折ってやろうと思って。それでも、絵が大好きで。
 ただ、それでも。人間っていうものは醜くて、大人になってもいじめっていうもんは無くならない。それが辛いから。近い内に大学祭があるから、それを機に絵を描くのはやめようと思った。


 「……?やっちゃん、どうしたの?」
 「あ……い、いーくん、これ、す、すっごく素敵だよ、この絵」
 「えぇ?そう?美大生の割にはちょっと浮いてる感じするっていうか……まああんまり言いたくないけど……下手じゃない?」
 「そ、そんなことないよ……!おれ絵とか描けないし……そ、それにいーくんも絵は描けないでしょ……!な、なんていうかな……お、おれはあんまり美術的なことはと、得意じゃない、けど……その、なんていうのかな……おれは、すき。ううん……なんだろう……おれは、この人の線?っていうのかな、好きだな……」
 「え〜!?うーん、描いたの誰だろ……嫉妬しちゃ〜う」
 「し、嫉妬なんてしたっていーくんじゃ相手にならない人だよ……きっと……。うん、やっぱりおれはこれが好き」
 「珍しいね。やっちゃんがそんな事言うなんて俺と宇宙とコーヒー以外好きなものないのに……」
 「ひ、否定はしないよ……」


 ────僕の絵だ。
 初めて、誰かに評価された気がする。
 “やっちゃん”。そうか。やっちゃんって言うのか。どこの学校の人なんだろう。隣の男の人は幼馴染なのかな。それとも友達?お礼が言いたい。本名は何かな。どこに住んでるんだろう。話してみたい。どんな人なんだろう。僕の絵のどこが好き?僕の絵のどこが良いなって思ってくれた?僕の絵のどこに惹かれた?僕の、僕の、僕の絵のどこが、君は好き?


 「あっ、あ、あの、えっ、あ、の……!」
 「へっ!?えっ、あっ、あ、え、あ、え……!?」
 「ちょっと、あんた何?」
 「そ、そのッ、そ、その絵、ぼ、く、僕がっ……描いた、んです……っ、そ、その……あ、の……ほっ、本当に……あ、ありがとうございます……!ぼっ、僕、その、絵が好きって、い、言ってもらえたの、その、はっ、初めて、で……その、あの……す、すみ、すみません、ぼ、ぼく、話すの、にっ、苦手、で……」
 「あ、えと、あの……お、おれも、その、わっ、分かります、そ、その、しゃ、喋る時、そっ、そういうふうになっちゃうの……その、あの、えっと……い、1回、お、落ち着きましょう……?」
 「……は、はい……」
 「やっ、やっちゃん、帰ろうよ!」
 「い、いーくん、ちょ、ちょっと待って。……あ、あの、おれ、い、稲荷塚矢颪、です……近くの大学の宇宙学部……で……その、あの……た、たまに、ここ、あ、遊び、来てもいいですか……?」
 「あ、い、いなりづかやおろし、……さ、さん、な、なんか強そうです……ぼ、僕……せ、関本肥土高麗って言って……あ、あの、ぜっ、ぜひ、き、きてください……!来て、欲しいです……」
 「せ、せきもとあくとこま…………は、はは、な、なんか、伝説の勇者みたいな名前ですね……そ、それじゃ、あ……あの、お、おれのとこ、き、来てくれても、い、いい、ので……」
 「……!は、はい……!」


 嬉しかった。初めて絵を評価してくれて。初めて、友達ができたから。








・関本肥土高麗(せきもとあくとこま)20歳。美大1年生。コミュ障、適応障害、対人恐怖症、集団恐怖症、赤面症。コミュニケーション不全。才能は無いけど絵が好きなぴゅあぴゅあ男子。矢颪は人生初のお友達。



5ヶ月前 No.9

@akira0908☆G2g5KGLD3yBo ★Tablet=UIgVrM4Ag0




 「や、やおちゃん、これは何……?きらきらしてる……」
 「あ、あのね、これはアイソン彗星って言って……この彗星は2012年9月21日にキスロヴォツク天文台でヴィタリー・ネフスキーって人とアルチョム・ノヴィチョノクって人に発見されたものなんだよ……。名前は発見者が所属しているチーム、国際科学光学ネットワークええと……International Scientific Optical Network, それぞれの頭文字I,S,O,Nに因むって言われてて……発見時は視等級が19等級程度の極めて暗い天体として発見されてたんだけど、地球から約10億km程度離れた木星周回軌道付近にある点を考慮すると、非常に明るい彗星であって……あっ、ご、ごめん、こっちゃん、つ、つまんない、よね……」
 「つ、つまんないっていうか……難しい……かな。あっ、で、でも、も、物知りなやおちゃんかっこいいよ……!」
 「ほ、ほんと……?」
 「う、うん、ほら、その、僕、こういうのはからっきしダメ、だから……凄いなって……思う」
 「ふふ、嬉しい……」




× 百合感溢れる矢颪×高麗



5ヶ月前 No.10

@akira0908☆G2g5KGLD3yBo ★Tablet=UIgVrM4Ag0



 「───うぅっ……!いっ、嫌だぁっ……!嫌だよっ、いーくんっ……!」
 「大丈夫、大丈夫、痛くない、痛くないから。ね?やっちゃん、ちょっとだけじっとしてて?ね?大丈夫、痛くない。大丈夫。手足の一つ二つ無くなっても大丈夫だよ。だから、ね、やっちゃん、俺もやっちゃんにそんな悲しそうな顔させたくないんだ。だから、さ、やっちゃん、いい子だから、いい子だから、さ、そんなに暴れないで、ね?」
 「や、やだやだやだやだぁ……!!痛いのは嫌だよっ、いーくん!!いーくんっ!!やめて、お願い、お願い、やめてぇ……っ……!!」



 「────やっ、やおちゃん!!」
 「あ、こ、こっ、こっ、ちゃん…………!」
 「どっ、どうしたの、やおちゃん、す、すごく魘されてた、よ……?だ、だ、大丈……夫……?」
 「へ、あれ、え…………?」
 「い、いーくんって、言ってた」
 「……っ…………」





× 沙が矢颪殺そうとした経験あり

× 高麗×矢颪前提



5ヶ月前 No.11

@akira0908☆G2g5KGLD3yBo ★Tablet=UIgVrM4Ag0


 「うぅっ……ひっ…………いっ、いーくん……!!どこぉ……」


 迷子というものになってしまった矢颪はまるで女の子のようにぐすぐすと泣きながら幼馴染みである沙の名前を呼ぶ。と言っても、今矢颪は薄暗くてジメジメした俗に言う怖いところ、に居るわけであって、いくら矢颪のストーカーであろうとも、迷子になった矢颪の居場所の把握は出来るわけもなく、沙の助けなんてものは絶望的だった。
 二十歳を超えて迷子になることがそもそもとして情けなくて恥ずかしかったし、こんな時にすぐに泣いてしまう自分も自分で、そもそも一人で外に出ようとした結果がこれなわけなのだから、矢颪の生還はほぼ無理に気付かないと思っていた。


 「おお?喘ぎ声が聞こえると思ってたら……稲荷塚さん。こんにちは」
 「ひぃ!?」


 失礼なことを言いながらいきなり矢颪の前に現れたのは老神黒河、矢颪にとっては初めて見た私服姿のいつもの配達員だ。黒河は矢颪を見るなり「大丈夫ですかぁ」なんて呑気なことを言いながら、泣いている矢颪の腕を無理矢理引っ張るようにし、ずんずんと道を歩く。矢颪の非力な力では振りほどくことも出来ず、精一杯の抵抗も普段配達員をやっているだけあってすぐに黒河に取り押さえられてしまう。


 「もー、稲荷塚さん暴れても無駄ですよ。迷子ですか?情けないなぁ。帰りますよ。……あ、そうだ。そう言えばいつものあの2人はいないんですか?ストーカー幼なじみとストーカー隣人。いやぁ、稲荷塚さんも大変ですよねぇ。2人のストーカーに囲まれて1人の変態に好かれて、しかも片方はモンスターペアレント。いつ俺が殺されちゃうかたまったもんじゃないですよ」
 「や、やめてください……」


 そもそも変態という自覚があったのかと思いつつも虚しい拒絶を起こしてみるも、助けてもらったという事実は変わらない。矢颪もついには抵抗をやめ、しぶしぶと黒河の後ろをしょんぼりとしながら歩く。
 普段配達をしてもらっているという身もあり、黒河はなんの迷いもなく矢颪を家に送り届けると、矢颪は不服そうな顔をしながら礼を言う。


 「いえいえ!」
 「あ、あ、と……えと…………なっ、なに、か、お礼……」
 「え?じゃあ今度団地妻プレイします?」
 「い、いやです」
 「うわぁ。即答……。じゃあキスしてください。そうしてくれたら満足ですから」
 「い、いやです」
 「えぇ……」





× 馬鹿野郎配達員のターン。




5ヶ月前 No.12

@akira0908☆G2g5KGLD3yBo ★Tablet=UIgVrM4Ag0

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5ヶ月前 No.13

@akira0908☆G2g5KGLD3yBo ★Tablet=UIgVrM4Ag0

 「ね〜やっちゃん〜なんで最近構ってくれないの〜ねぇねぇ〜構ってよ〜やっちゃあん〜」
 「あ、あの、え、い、いーくん……」


 8月某日。大学は休みに入るのも早く、およそ2ヶ月程の長い休暇に入り、昼間から沙は飲んでいる。つまりは彼は今ご乱心という訳だ。矢颪は沙に呼び出しをくらったかと思えばヤケ酒に付き合わされるハメになっている。
 あまり飲めない矢颪はちびちびと沙の買ったビールを飲んでいるが、沙は一気に半分ほど飲んでしばらく愚痴った後にまた半分飲み干し、また愚痴を言いながら次のプルタブを開ける。矢颪が「もうやめなよ」と声をかけても、それほどまでに乱心なのかあの沙が矢颪の言葉を素直に聞き入れずに飲んだくれる。何故呼ばれたんだろうと矢颪は考えもするが、沙の乱心の原因は構ってくれない矢颪、ということまで結論が言った。つまり、矢颪も下手にこの場を離れるわけにいかないのだ。


 「俺はさあ、ず〜っとやっちゃんの事大好きでさ〜いっ〜つもヒヤヒヤしながらやっちゃんのストーカーしてさぁ〜なのにさぁ〜安比奈だけならまだしも……あの美大のやつ……ほんと、腹立つよな〜……」
 「────!こっ、こっちゃんのことそんなふうに言わないでよ!!いっ、いーくん、なっ、なんでこっちゃんのことそんなふうに言うの……!?そ、そんなこと言ういーくんはお、おれ、好きじゃない……!!」


 矢颪が瞳に少しの涙を溜めながら、らしくもなく眉を寄せながら悔しそうに唇を噛む。今までではありえない矢颪の姿に、沙はキョトンとして思わず力が抜けてしまい、まだ半分ほど残った缶ビールは力の抜けた指からスルリと落ちて、シュワシュワとした泡の音と共に、沙の部屋のカーペットはビールで濡れていく。
 矢颪が濡れた缶ビールを見て「あっ」と小さく声を漏らすと、急いで零れそうな涙を両手で目元をぐしぐしと拭い、少し目を赤くしながら慣れたかのように沙のマンションの洗面台の方へ向かい、タオルを取ってくると沙のこぼしたビールの後始末をする。
 沙はただただ矢颪のしてくれる厚意をじっと、少し睨みつけるように見ていた。矢颪はと言うと、そんな沙の視線が怖くて、なるべく目を合わせないようにビールを吸い取ったカーペットに頭を悩ませながらも数度タオルを洗ったり新しいのを持ってきたりを繰り返していた。
 ただ、沙も矢颪をじっと見つめているだけで終わるわけがない。


 「……へ?」


 世界が反転した気がして、矢颪が目をぱちくりとさせると目の前にいる沙の姿に思わず寒気が走る。沙は感情の宿っていない瞳でただただ黙ったまま矢颪を見つめるだけだった。矢颪は目を逸らして目を合わせないようにしながら、どうにか逃げ出そうと体を起こそうとすると、沙は矢颪の腹元に座ったかと思えば、抵抗しようとする矢颪の腕を左手でひょいと掴み、右手はそっと矢颪の首元に置く。


 「やっちゃん。俺もね、こんなことしたくないんだよ」


 沙は瞳からぼろぼろと涙を零しながらいやいやと言うふうに首を横にぶんぶんと振る矢颪を見て、矢颪の首元に置いた右手に力を入れる。沙の瞳に慈悲はない。もっと言うなら感情も消え失せている。
 矢颪は泣きながら足をバタバタと動かそうとするも、バタバタと動かした足も沙の器用な鍛え上げられた足にうまく絡み取られて動けないように固定されてしまう。


 「がっ……はっ…………!?」
 「ねぇ、やっちゃん、なんで俺のこと見てくんないの?ねえ?なんで?なんでいつもあの男の話ばっかすんの?あんな能無しの話なんてしないでよ。やっちゃんがあんな男に汚されるのなんて俺見たくないよ、ねぇ、やっちゃん、なんで、なんで?小さい頃は俺の後ばっかついてたくせにさ、なんでいきなり手のひら返しするの?あ、分かったぁ、やっちゃんってば素直じゃないな、俺に見て欲しかったんでしょ?大丈夫だよやっちゃん、俺はずぅっと、ずぅっと、やっちゃんだけ見てたよ。大丈夫だよ、ね、だからさ、やっちゃん、やっちゃん、俺だけのやっちゃん、俺のやっちゃんはあんなに酷いこと言わないよね?俺のこと嫌いなんて言わないよね?いつもみたいに可愛い笑顔でいーくんって……大好きって言ってくれるでしょ?俺がこんなにやっちゃんの事好きなんだよ?やっちゃんも俺のこと好きだよね?ううん、それしか有り得ないよ、やっちゃんは俺のこと大好きなんだよね、素直になれないだけなんだよね、しょうがないんだよね、ね、やっちゃん、そうなんでしょ?ねぇやっちゃん、あんな男やっちゃんにとって害悪でしかないよ、ねぇ、安比奈は所詮ただのお隣さんだったし?幸いやっちゃんもあいつの事は好きじゃなかったみたいだし……ねぇ、でも俺やっぱり納得いかないな。なんでやっちゃんはあの男なの?あー、ムカつく、ムカつく、ムカつく、ムカつくなぁ!!ねぇ、やっちゃん!!なんで俺じゃないの!?なんで!!なんであんな暗くて才能がなくてどうしようもなくて救いようもなくてまともに人とも会話できなくてやっちゃん以外友達がいないような万年ぼっちなの!?やっちゃんには俺がいるでしょ!?やっちゃんには、やっちゃんには……」


 思いのままにまるで発狂したかのように言葉を口走る沙は次第に矢颪の首を締める手はゆるくなり、バタバタと暴れる矢颪の足を固定した絡めた足も次第に力なく解け、矢颪の抵抗しようとした腕を掴んだ左手もするりと力なく矢颪の頭を撫でるように滑り落ちていく。沙の口元は笑っていたし、未だ瞳に感情は戻っていなかった。それでも、感情には逆らうことなく矢颪の頬にぽつぽつと落ちる雫は沙の涙。


 「な、んで……そんなこと、言うの…………」


 矢颪の震えた声と共に思い切り頬を引っ叩かれた沙はハッとして跨っていた矢颪からすぐに降り、壁際の方に後退するようにそっと近付く。矢颪は苦しそうに起き上がると、右手で目元から溢れる目元を拭うように何度も何度も手を動かすが、次第にそれも意味がなくなり、矢颪の涙はカーペットに染みていく。


 「こっちゃんは……こっちゃんは……っ……お、おれ、おれ、のこと、ずっとっ……待ってたのに……なんでいーくんはそんなこと言うの……?いーくん……いーくんは、っお、おれ、のこと、嫌い、なんでしょ……?だから、おれの首、し、締めたり……」
 「ちがっ」
 「違わないよ!!いーくんはっ……!!おれが好きなんじゃなくて、いーくんと一緒にいるおれが好きなんでしょ……!?っ……いーくんなんて、大っ嫌いだ」


 沙が反論するスキもなく、矢颪は立ち上がったかと思えば乱暴に沙の部屋の扉を開けてスニーカーの踵を踏み潰して矢颪は沙の部屋から出ていった。止めようとも思ったのだが、沙は力なく腕をだらりと床に落とした。
 零したビールとどちらのものか分からない涙のツンとする匂いだけがその場には残る。
 沙は今更ながらにとんでもないことをしてしまったのだと、体育座りをしながら顔を膝に埋める。幾度となく溢れ出る涙と嗚咽と、心に残るやるせなさ。


 「やっちゃんっ……!!ごめんね……ごめんね、違う、違うんだよ、俺、あんな悲しそうな顔のやっちゃんが見たかったわけじゃないんだよ……っ、ただ、ただっ、俺はっ……やっちゃんに、見てほしくて……!!」


 言い訳をぽつりぽつりと零しながら、壁を数度力強く悔しさから叩きながら、沙はただただ泣いた。
 沙の中でずっとずっと大切にしていたものは、少し触れた瞬間に粉々に砕けた。







× 高麗×矢颪

× 沙→矢颪

× 首絞め




5ヶ月前 No.14

@akira0908☆G2g5KGLD3yBo ★Tablet=UIgVrM4Ag0

  「はぁ……」


 とある美大の絵画科、長かった髪をバッサリと切って普段は自信のかけらも無さそうに切れ長の宝石のような紫色の瞳を隠し持って目を伏せている男、関本肥土高麗は赤や青の様々な色を放つ輝かしい色のアクリル絵の具で汚れた左手と筆先が少し割れかけている随分と汚れた筆を持って思い通りに描けないキャンパスを見ながらがっくしと肩を落とした。
 高麗は絵が上手くはない。というか、得意ではない。小さな頃から絵が好きだったのだが、それが本当に相性が悪かったのかどうしても功を奏さなかった。正直こうして美大の生徒として大学に通えているのは一種の奇跡のようだとすら思っている。そしてその奇跡を無駄にしないようにも、自分が絵を描くのをやめようと思っていた矢先に現れた今の自分の支えである人間と出会った奇跡を無駄にしないためにも、高麗はグッ、と筆を握ると目を一度閉じでキャンパスをカッターで切り裂くと新しいキャンパスと入れ替える。


 「最近の高麗くんかっこいいよね〜」
 「絵も前よりキラキラしてるっていうか……!」


 美大の女子生徒はキャンパスに真剣な眼差しを向ける高麗を見ながらキャーキャーと黄色い声を上げる。高麗は一度周りの世界を遮断するかのように目をそっと閉じると、今一番描きたいもの、自分が今思い描くもの、自分が一番大切にしたいものを頭の中に思い浮かべる。ゾッとするほど鮮明に思い浮かべると、高麗は少しだけ嬉しさから頬が緩み口元からは小さな笑みが零れた。
 そんな目を閉じながら不意に笑みを浮かべた高麗の姿にはキャーキャーと黄色い声を上げていた女子数名もはっと息をのんで、まるで精密な作りの施されたガラス彫刻を見つめるかのように恍惚とした瞳で高麗の姿を、閉じたままの瞼にも関わらず繊細に、滑らかに動く手を、指先を、じっと見つめる。
 滑らかに曲線を描く右手は、止まることを知らず、高麗の口元も不意に口角があがる。
 ゆっくりと持ち上がった瞼から覗く瞳には、いつもとは違うやる気に満ち溢れたキラキラと輝く紫色の宝石のような輝きを放つ切れ長の妖艶さを帯びる瞳だ。上がった薄い唇の口角も、楽しそうに何かを言葉に紡いでおり、汚れることも気にせずにキャンパスに彩を与えていく。
 先程まで納得がいかなさそうに、落胆するかのように肩を落としていた男とは思えないほど勢いよく、そしてなんの無駄もなく、筆はキャンパスの上を滑らかに走る。彩を持ったキャンパスは光を帯びる。アクリル絵の具で汚れた手はキャンパスを優しく撫でる。


 「…………やおちゃん」


 優しさを帯びた口元は、誰かの名前を紡ぐ。
 恍惚とした瞳で高麗を見ていた女子はまるで瞬きをするのを忘れていたみたいに、高麗の一連の流れを見たあとに数度瞬きをした。そっと高麗に近付き、1人の明るい染められた桃色に近い茶髪の巻き髪ロングの女子は高麗に声を掛ける。


 「すごく素敵。まるでここに存在してるみたいだね。ねぇ、これは誰?本当に素敵だな……なんか、今までの関本肥土くんとは全く違う人みたい……」
 「え?あ、え、あ…………や…………」


 先程まで楽しそうに上がっていた優しい口角も、宝石のような輝きを放った妖艶を帯びた瞳も、自信満々に伸ばされた背中も、一気にいつも通りに口角は固く結ばれ、輝きを失い目元は伏せ、伸ばされた背中も勿体なくも猫背に戻り、手を前で組んだり弄んだりしながら高麗は目を逸らしては泳がせたりしながらなんて答えようかと言葉を探す。
 相変わらずのコミュ障具合に呆れからの言葉が出てきてしまいそうだったが、今までに見たこともないような素敵な男性の絵が描かれているキャンパスを前にしては呆れるも何もそんないかにもと言った上から目線の態度は出来なかった。


 「ぼ、僕、の…………」
 「ん?」
 「僕、の…………だ、大好きな、人……です……」


 声こそは震えていたものの、そう言ってキャンパスを撫でる高麗の手つきは本当に壊れ物に触れるかのようなもので、妖艶さを帯びる紫色の瞳もいつの間にかあどけない優しさを帯びる。
 一瞬大好きな人、という言葉に女子は怪訝そうな顔をしたものの、すぐに小さく笑って「そっか」とだけ返してすぐに高麗から離れた。キャンパスを見つめる高麗の姿は、それはそれは美しい絵画のようだった。











× 高麗×矢颪

× 絵が描けない芸術家




3ヶ月前 No.15

@akira0908☆G2g5KGLD3yBo ★Tablet=UIgVrM4Ag0

  「ふー。いい夜だなぁ」


 とある夏の日の深夜、マンションの401号室のベランダからタバコをふかしながらそんな事を言うのは四十八願沙。少し前までは愛する幼馴染に「タバコ匂いつくし臭いからやめて」と嫌悪されていたタバコも、愛する幼馴染みから恋人に変わってからは愛しいものに変わったと照れた様子で言われてからすっかり気を良くした沙は元々そこそこのスモーカーだった事もあり上機嫌でピースのアロマロイヤルのタバコをふかしていた。
 本来甘いタバコは好いていない沙だったが、メビウスにセブンスター、赤マルにキャスター、エコー、わかばと色々試して(試すと言うよりは手当り次第に手を出すといった感じだが)一番愛する恋人からの反応が一番よかった(まともだったとも言う)のがピースのアロマロイヤルだった。キャスターも悪くは無かったのだが「なんかやだ」と言われたこともありピースのアロマロイヤルに落ち着いた。
 特に一つのタバコに執着するようなことはないのだが、やはり恋人が嫌がる姿よりも少しはいい姿をしてほしいということもあってたまにはキツイのも吸いたくはなるが、その気持ちをぐっと堪えてアロマロイヤルを吸う。ベランダに腕をかけ、ぼんやりと外を眺めながら時折都会にぽつぽつと浮かぶ星を見ては「やおちゃんはこんなのが好きなんだなぁ」と一生かなうことのない恋敵と言っても過言ではない星に目を向けながらアロマロイヤルの甘い匂いを煙と共に上空へ運ぶ。
 上空に運ばれた煙はやがて白から薄くなり、そのまま夜空の色と溶けていく。その煙のさまを少し面白くなりながらも見ていると、ふと背中に感じる暖かな温もりに思わず目を数度ぱちくりとさせると、背中に感じた暖かな温もりが離れたかと思えば沙の口にくわえられたタバコを抜き取る細い腕と指が現れる。


 「……やおちゃん。起きちゃった?」
 「う、うん」


 イタズラっぽく笑みながら恋人の頬にそっと指を滑らせると、恋人は少し恥ずかしそうに目を逸らしながらタバコを親指と人差し指にぎこちない様子で挟むというよりは掴むに近い形で持つ。吸殻が少しだけ赤みを帯びながら落ちていくのを目を細めながら沙が見ていると、恋人はきょとんと首を傾げる。
 恋人のぎこちなく握られている吸いかけのタバコを半ば奪い取るようにすると、中指と薬指の間に挟んで顔を覆うようにタバコに口をつけると、恋人が少しだけむす、としたように頬を膨らませた姿を見てぽんぽん、と軽く恋人の頭を撫でる。恋人の方はまた不服そうにしながらもぴっとりと沙にくっつく。


 「タバコの匂い、移っちゃうよ?」
 「い、今更、だよ……」


 ケラケラと笑いながら時折恋人をからかうようにして沙が恋人に声をかけると、恋人の方は恥ずかしそうに耳まで赤くさせながら少しだけ唇を尖らせながらむぅ、とたまに口から言葉を零しながらふ、と空を見上げてはうんたらかんたら言い出す。その姿がどうしても沙にはつまらなく見えてしまい、恋人の肩をトントン、と叩いて恋人が沙の方を向いた瞬間にふ、とタバコの煙を恋人の顔にかけ、口から離した短くなったアロマロイヤルを手の中で揉み潰す。


 「けほっ……!」
 「…………やおちゃん、腰、痛くない?」


 口元を抑えながら眉を寄せて目元に涙を軽くためながら沙を見る姿に沙は小さく微笑みながら尋ねると、恋人の方は少し恥ずかしそうに目を逸らした後に首を横に数度ゆっくりとではあるが振った。まあそりゃそうだよね。優しくしたしね、そんな事を頭の中で考えながら沙は恋人の控えめな姿に非常に愉快そうに口角をあげると、恋人の頬に手を添えると、恋人も沙の手の上から自らの手を重ねる。


 「やおちゃん、俺とちゅーしよ」
 「……ちゅー……だけ?」
 「やおちゃんは俺と何がしたい?」
 「い、いろいろ」
 「へぇ?」


 その場には、沙のまとうアロマロイヤルの甘い香りだけが残った。








× 沙×矢颪

× 久しぶりに書いたから書きやすい2人

× げろあまー



2ヶ月前 No.16

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2ヶ月前 No.17

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 「きれー……」


 矢颪が初めて星を見たのは、5歳の頃だった。沙とは幼馴染みということもあり、家族ぐるみに仲が良かった。沙だって星なんて全く興味がなかったが、矢颪も来るという事だったので家族と、矢颪の家族と一緒に小学生の時の夏休みに山へ星を見に行った。沙は元々はなかなかのお金持ちの家の子ということもあり、山には別荘があった。矢颪の家も普通の家庭よりは裕福な方ではあったが、沙の家ほどではなかった。今思えば、裕福な家庭が引きこもりの元凶を作っていたのかもしれない。
 まあ、矢颪とてそこが元凶かもしれない、なんて全く考えてすらいなかったが。


 「いーくん、綺麗だね」
 「やっちゃんは可愛いよ」
 「ちがうよ、ぼくの話じゃない」


 幼少期はコミュ障をそこまでこじらせていなかった事もあり、まあ幼なじみというのもあるが、昔はそこそこきついことを言う性格だった。今ももしかしたら沙相手には少しきついことを言う場面はあるが、四十八願沙という人間は稲荷塚矢颪という人間が行う行動の全てに愛しさを感じるほどにはイカレた男だ。天才は頭がおかしいとはよく言うが、沙もまた例外ではなかった。まあ、幼馴染みに度を超えた愛情を抱き、ストーカー行為をする時点で全くもって普通の思考回路をしているとは口が裂けても言えないだろうが。


 「星、綺麗。……いーくん、あの星、何か知ってる?」


 興味津々に尋ねてくる矢颪の姿に、幼少期の時から既に沙は弱かったらしい。矢颪の瞳に映った星が綺麗で、瞬きをする度に輝きを増す矢颪の瞳が、なんとなく美味しそうに見えた。昔から、彼は頭がおかしかったらしい。頭がおかしい?否、天才らしく、頭がイカレていたらしい。頭がおかしく、イカれた男。齢7歳にして、四十八願沙という男は既に形成されていたのだ。末恐ろしい事に。
 この時から既に、沙は星に嫉妬していた。矢颪の瞳を独り占めするキラキラとした空に浮かぶ小さな小さな相手に、燃えるように嫉妬していた。矢颪の目線を全て奪い取り、矢颪の興味を引く星が、憎くて、邪魔で、嫉妬した。だから、沙は矢颪の上に覆いかぶさった。矢颪の目線が全部、自分のものになれば良いのにと。


 「おれ」
 「……は?」
 「あの星は、俺だよ」


 意味がわからなそうに矢颪は首をかしげる。首をかしげた時に沙の隙間から見えた星が今まで見た中で一番綺麗なように見えた。なんだか、沙の周りに星が舞っているみたいだった。沙が、キラキラして見えた。その時の矢颪には。


 「ほんとだ。いーくんだ」


 へへ、と矢颪は嬉しそうに笑う。沙は嬉しそうに笑う矢颪を見て、酷く胸が締め付けられた。











× 沙×矢颪

× 当初はこんな話書く予定じゃなかった

× 君のせいで星が好きになったって話書く予定だった

× ど う し て こ う な っ た



1ヶ月前 No.18

@akira0908☆G2g5KGLD3yBo ★Tablet=UIgVrM4Ag0

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13時間前 No.19
ページ: 1

 
 
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