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ア オ ネ

 ( 書き捨て!小説 )
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★tuk3624yQ7_mgE

「鏡の世界へ、お行き。アオネ」

「・・・おば様…?嫌、嫌よ!やめてぇ!行きたくない!」

「お前さんは、此処にいるべきじゃない」

「嫌ぁ…!」




1年前 No.0
ページ: 1


 
 

★tuk3624yQ7_mgE

一体、どこで間違ったというの?

いつ、どこで、何を間違ったの? 生まれてきた時点で罪だというならば、勝手に生み出した親を憎めばいいの?

もう分かんないよ。ねぇ、神様!


「・・・鏡の、世界・・・?」
澄んだ空気が漂う、森の中に、鏡の破片を被った私はいた。
腹部に大きな鏡の破片が刺さっている。
それを抜き取り放り投げると、視線を感じた。
「あんた、どっから来たの?」
右後ろ、斜め上の位置から、見られている。
振り返ると、黒髪の青年が、細い木の枝に立っていた。
余裕のある笑みを浮かべ、どんどん枝の先の方へ歩いていく。
(これが、鏡の世界なのね)

1年前 No.1

★tuk3624yQ7_mgE

ここは、死んだ世界だ。 wonderlandと言う名の。


「お、いたいた。雷兎、またそんなとこに・・・」
「よー、八馬都。なぁ、こいつ知ってる?」
「誰だ、知らないよ?俺」
今度は前方から金髪の青年が歩いてきた。
(雷兎?八馬都?知り合いかな)
雷兎は枝の先から飛び降りた。八馬都って人の方が体が大きい。
「アオネ・・・」
「ん?なんか言ったか、こいつ」
「矢島アオネ。あたしの名前。」
「・・・ふーん、ま、どうでもいいや。行こうぜ、八馬都。腹減った」
「ちょ、それはひどいよ。」
後頭部で手を組んでさっさと歩いていく雷兎を、八馬都は控えめに引き止めたが、無視して歩き続けるので、仕方なく、八馬都もそのあとに続いた。
「・・・・・・」

1年前 No.2

★tuk3624yQ7_mgE

木に背中を寄りかからせ、脚を伸ばして座った。
目を閉じると、蘇ってきた。吐き気のするような、酷く辛いあの時の光景が。
そして、怒りと悲しみにまかせた正気じゃなかった自分の行動が。
純粋で、無垢で、いたかったのに。いつからか、この小さな手は汚れてしまった。
真っ赤に、真っ黒に。

1年前 No.3

★tuk3624yQ7_mgE

(やった…やった…!)
燃えさかる家を背に、私は一心不乱に走った。
(お姉ちゃんの仇を…この手で!)
「アハハハッ…アハハハハハハッ…やったわよ!私は、お姉ちゃんのために、あいつらを…!」
狂ったように笑いながらも、足を動かす。

お姉ちゃんは、一言で言えば、とても冷たい人だった。
喜怒哀楽というものがあの人には存在しないみたいに。
笑った顔なんて見たことない。喜んだ姿も、泣きじゃくる姿も、怒った姿も、一切見たことがないのだ。

1年前 No.4

★tuk3624yQ7_mgE

でも、私はそんなお姉ちゃんを嫌ったりしなかった。 大切な、大切な、私の家族として、愛して、愛して、とても、大事にした。

なのにっ・・・

「いやぁっ!アカネぇ!」
土曜日で学校も休みで、何もすることがなく、部屋の中で『いつも通り』の暇を持て余していた。
母の悲鳴が聞こえたのは、丁度十時ごろ。
洗濯物を干そうとベランダに出ていた母は大慌てで救急車を呼んだ。
何事かとベランダに出てみたが、虫一匹いなかった。空は青く澄んでいて、うっすらと今にも消えそうな雲が漂っていた。
どこかの小鳥や鳩のさえずりが聞こえる。
(平和だな・・・)

ニィィ

猫の可愛らしい声がしたので、下を見下ろすと、想像していた物と一緒に全く想像していなかった物が転がっていた。
「・・・へ?おね・・・」
救急車のサイレンの音がだんだんと近づいてくる。
母のすすり泣く声、サイレンの音、木々のざわめきと、小動物たちの歌声が、混ざり合って、私の脳内を揺らした。
「…う、うぁ、ああああああああああああ!ああああっ!」
壊されてしまった。『私』が。お姉ちゃんと、日常と、平和と…っ  今までのこと全部を含めて『私』なのにっ!
「!?アオネ!大丈夫か?怪我はないか?お父さんと一緒に来なさい。大丈夫だから」

1年前 No.5

★tuk3624yQ7_mgE

「―――――――・・・そうですか」
「うっ、うぅ、うぅ…どうして言ってくれなかったのよっ…アカネぇ」
「泣くんじゃない・・・はっ!アオネ!目を覚ましたのか」
私のことを抱きしめた父は、悲しみでいっぱいで、もう、生きていないような感じがした。
その後ろにいる母も、同じような空気を感じた。
「ここ、病院なの?」
病院の廊下の椅子に横になっていた私は、椅子に座り直し、時計を見た。
三時・・・
「私、眠ってたんだ。ねぇ、お姉ちゃんは?」
「・・・この部屋で、寝ているよ」
目の前の病室の中のベッドに、いろいろな機械に囲まれた、包帯だらけの人がいた。
(これが…お姉ちゃん?お顔、包帯で見えないよ)
「・・・アオネ。これがお姉ちゃんだ。もう、二度と、目を、覚まさない…が、」
「あなた!無理して言わなくていいのよ、この子はきっと、目を覚ますわ!」


「はぁ、あった・・・」
お姉ちゃんの部屋を隅々まで調べ上げ、やっと見つけた、一冊のノート。
表紙や裏面には、殴り書きのような線がたくさんひかれていた。
私が探していたのは、お姉ちゃんに危害を加えてであろう人物のことが書いてある物。
なんでもいい。犯人を特定して、お姉ちゃんの仇を・・・
「アオネ、何をしてるの?」
「お母さん・・・」
「それアカネの?ちょっと見せなさい! ・・・・これ・・・・」
「私が敵を討つわ」
「何を言ってるの?そんなのいいわけ ・・・こんな・・・こんな仕打ち、ひどいわ・・・どうしてアカネがぁ・・・」
母は泣き崩れ、私の肩を掴んだ。
「アオネ、やるのよ!」
「おい、お前ら、何を考えているんだ。そんなこと今すぐ止めなさい」

1年前 No.6

★tuk3624yQ7_mgE

父は、扉の影から現れ、私たちとノートを見つめた。
「人を恨み、仇を討つなど、アカネも望んでいない。止めるんだ、聞こえないのか!」
ノートを無理矢理取り上げ、「これは燃やす」と言い、背を向けた。
「あなた!あなたは、何も解っていないわ。きっと、このノートを見ても、十分の一も、アカネの苦しみを解ってあげることはできない」
母は涙ながらに、言い放った。
「お願い!あいつらを、アカネの何倍も苦しませる権利を・・・」
「……っ、あぁもうっ、何でなんだよ・・・何なんだよ本当によぉ!信じらんねぇよ、あああああぁっ」
父も泣き崩れ、床を叩きつける。
私の楽園が、狂った。これは戦争なんかじゃない。一方的にやられた、突然攻撃された、不公平な戦争だ。



その日の夜は、当然眠れなかった。
父も母も私も、一切眠りにつけず、一時くらいにノソノソと皆で起きだし、写真を眺めた。
そうすると、愛しい気持ち、悲しい気持ち、恨めしい気持ち、色々なやり切れない感情が溢れ出し、何度目かの涙を流した。

1年前 No.7

★tuk3624yQ7_mgE

「・・・もう待てない。こうやって私たちが悲しんでいる中、あいつらは、呑気に、いびきかいてやがるんだ」
バタバタと台所へ、マッチを取りに行った。
「放火殺人なら、私にもできる」
「ちょ、アオネ!待ちなさい」
「待てない、0,1秒でも早く、地獄に送ってやるの」
「・・・・・・」
アオネが家を出たのは、一時二十五分のこと。
その後、父と母は、アオネが無事に帰ってくるのを待っていた。

一時三十五分。ガチャと扉を開く音がして、アオネが帰ってきたんだと、二人はホッとした。
しかし、居間に入ってきたのは、アオネでも、女の子でも、子供でもなかった。



「お父さん、お母さん、私、やったよ!」
靴を脱ぎながら、興奮しきった声でそう伝える。
額には汗が滲み、息も乱れ、全速力で走ってきたことが分かる。
(あれ?)
ここで既に、異変に気が付いた。ほんの少しだから、あまり気にしてはいないのだけれど、何の反応もなく、物音ひとつすらせず、いつもなら出迎えてくれるのに、来てくれる気配はない。
居間への扉を開け、私の心臓は一気に凍りついた。
水道の水は勢いよく流れたままで、冷蔵庫も開けっ放し、季節は秋だというのに、冷房がついており、真冬のように寒かった。
そして、居間で横に倒れている肉塊。床は血の海で、生臭い臭いがした。
「・・・ははっ、嘘でしょ・・・嘘だよね・・・ねぇ、ねぇ、嘘だって言ってよ、冗談だって笑ってよ、お父さんも、お母さんも、どうして・・・誰かあああぁっ!」

1年前 No.8

★tuk3624yQ7_mgE

「同じ時刻に事件が二件もあるなんて・・・しかも、どっちも殺人。はぁ、可哀想にね。この子一人、取り残されちゃうなんて。まだ、9歳なんでしょ?お姉さんは最近自殺未遂で眠ったまま。不幸にもほどがあるって・・・」
「そうですね。せめて犯人さえ見つかればいいのですが、証拠が全く見つからなくてですね」

家中を警察官たちが動き回り、手がかりを探している。
きっと、同じ時刻に起きたもう一つの事件って言うのは、私が犯った放火のことだ。
誰も分からないだろう。今ここにいる可哀想な少女が、放火殺人の犯人だなんて。誰も。
あのあと、自分で電話をして伯母さんに来てもらって、「トイレに起きてきたらこうなっていた」と説明した。警察にも全く同じ内容で。
物音一つ聞いていないし、恨まれるようなことも、トラブルもなかったと思うし、鍵はかけていたが、古い型なのでやろうと思えば簡単に入れる。
私のことは伯母さんが引き取ってくれるそうで、この家は売ることになった。


二年後

アオネがあの事件から11歳になるまでに、もう一つ罪を犯していた。

それは姉の仇を討った時と同じ理由で。両親を殺されたアオネは、徹底的に犯人を調べ上げ、あることを発見した。
放火をして、あいつら一家は全員消したと思ったのに、たった一人残っていたということに。
「倉木、英丸・・・?」
姉をあそこまで追い詰めた生徒の父だ。
怪しい。そう思い、調べると、倉木という生徒の友人からこんなことを聞いた。
「あぁ、そういえば、倉木の父ちゃんって超あいつ想いで、頼めばだいたいのことをしてくれるって話でさ。この前、矢島っていう女生徒に逆恨みされてて殺人予告まで来たって、すごい不気味がってて。そんで、相談したって言ってたよ。あ、いや、矢島って、君の家族とか親戚じゃないと思うから、安心して」
整った。
その日の夜、倉木英丸の住むアパートに侵入し、刺殺した。

1年前 No.9

★tuk3624yQ7_mgE

二度目の罪を犯したのは、一年後だから、今から一年前になる。
二年経った今日、私は夜中に起きだして、暖炉の前で編み物をする伯母さんに、本当のことを告げた。
「おば様・・・」
「おや、アオネ。どうしたんだい、こんな夜中に」
「あのね、話さなきゃいけないことがあったの。でも、怖くて・・・」
「言ってごらんなさい」
「・・・私、人を、殺しちゃっ、たの・・・」
「・・・」
「お姉ちゃんにひどいことした人たちと、お母さんと、お父さんにひどいことをした人を、火と、ナイフで・・・」
「もう言わなくていいよ。アオネ」
「・・・?」
顔を上げ、伯母さんの顔を見ると、編み物をして横を向いていた顔の右目が、怪しい色をしていた。緑と黒の混ざった色。
「ヒッ・・・!」
コトンと小さな机に編み途中の物を置き、立ち上ると、伯母さんはゆくっりとこちらに歩いてきた。
「鏡の世界へ、お行き。アオネ?」
両肩を掴まれ、壁掛けの大きな鏡へと押される。
「・・・おば様…?嫌、嫌よ!やめてぇ!行きたくない!」
「お前さんは、此処にいるべきじゃない」
手には力が入っていないように感じるのに、体が上手く動かない。
「嫌ぁ・・・!」


そして、着いたのが鏡の世界。 wonderland――――

1年前 No.10

★tuk3624yQ7_mgE

 ザッ  ザッ  ザッ  ザッ
(あ・・・誰か、来る・・・え?持ち上げられ・・・て・・・)



「・・・んん・・・ え、あれ?」
とても上品な、良い香りがして、ふかふかのベッドに軽くて暖かいタオルケット。
心地が良くて、もう一度深い眠りにつきたいのだが、どう考えてもおかしいだろう。
だって、さっきまで寒い森の中で、木にもたれていたはずなのに。あそこはこんなに気持ちの良い場所だったろうか。
いいや、そんなはずはない。
起きるんだ、自分!
「・・・は、はぁ?ここ、どこ・・・」
見知らぬ部屋の見知らぬベッドにいた私。机やクローゼットや鏡、とてもシンプルな物しか置いてない部屋なのに、なぜかとても居心地が良い。
ガチャリとドアが開き、そこに立っていた可愛らしい少年とバッチリ目が合った。
「! ? !!」
「あぁ、目が覚めましたか、良かったぁ。お怪我や体調不良は御座いませんか?」

1年前 No.11

★tuk3624yQ7_mgE

「僕は霧咲ヤイバです。八馬都たちから妙な話を聞いてね。『見たことのない奴が怪我をしていた』って」
お茶をもらい、私はあることに気が付いた。
「そういえば、私怪我して…」
「ヤイバー、お前また・・・って、起きてる」
黒髪に黒縁眼鏡の青年は、どこか見覚えがあった。
「あ!あの、ライトって人だ!どうしてこんな所に」
「え?ライトじゃなくて、ウトですよ?あぁ、一度会ったんですよね。この人はライトの双子の弟、雨兎です。その包帯も、彼がやってくれたんですよ」
ウトは少し恥ずかしそうに笑った。
「こんにちは、媛菱雨兎です。よろしく。お名前はなんていうのかな?」
「や、矢島アオネ。その、包帯、ありがと・・・」
ウトはうなずき、ヤイバを見た。
「それより、ヤイバ、また幼少化してるけど」
「別にこの姿も嫌いじゃないのでね。わざわざ戻るまで変化しなくてもいいかと」
私の隣に座ってお茶を飲んでいるヤイバはとても優雅に見える。
「それに、小さな子にはこの方が安心感があると思いますし」
「はぁ、それもそうだけど、急に大きくなったら、逆にビビるだろ」
「何の話してるの?」
「・・・僕は本当はこんなに小さな姿じゃないんです。もっと、この人くらい大きい姿なんです」
「?」
「ですよね、そうなりますよね。この世界の住人じゃなきゃ」

一瞬、ヤイバの瞳が、怪しく光った。

1年前 No.12

★tuk3624yQ7_mgE

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1年前 No.13

★tuk3624yQ7_mgE

「・・・チクチクする」
「ごめんね、アオネちゃん。三日すれば治ると思うけど、この包帯治癒草が入ってるから、痛みがあるんだよね。お腹のは寝ている間だっだから分からなかったみたいだけど。・・・あいつ、怖かったでしょ?病気みたいなものでさ」


あの時、ヤイバの目が光ったと思ったら、両腕を強く掴まれ爪が食い込んだ。
その姿はあの可愛らしい少年なんかではなくて、成長した姿の青年だった。
おかしくなったように私に質問を繰り返すヤイバはとても怖い。
ウトがヤイバを抑えつける。
その様子を、私は見つめていた。

(ったく、ここにはアホしかいないのか!?こういう時に助けを求められる奴が思いつかねぇ!えっとぉ・・・誰かぁ・・・)
「はっ、そうだ!キリュウくん!いたら来てくれるかな!キリュウくん!」
… … … ガチャ
「一回で分かる。何回も呼ぶな」
現れたのは、白髪の青年。
「薬でも飲ませとけ。ほら」
「今飲ませたら、拒絶反応起こしちゃいますよ!」
「ふーん、そうなんだ。面倒な身体だね。ま、そういう時はこうするんだよ」
キリュウの手にはナイフが握られている。
「え、ちょ、キリュウくっ・・・」
「ウッ・・・ァ・・・」
ヤイバの左胸から血が滲む。一瞬苦しそうに動きを止めたスキに錠剤を口の中へ放り込んだ。


1年前 No.14

★tuk3624yQ7_mgE

ちなみに、このお話は、鏡の世界での乙女ゲームみたいなものなんですが、普通とはちょっと違う主人公によって、組まれた設定と違う方向へと向かいます。

1年前 No.15

★tuk3624yQ7_mgE

こんな世界に迷い込んで、もう五年。
今日はあたしの誕生日。
あの日から居候を始め、16になったら正式な住人だと言われていた。
もちろんここは普通の家でも普通の世界でもなくて、16歳にたどり着くまでにいろいろなことが起きた。

コンコン、とノックをする音が聞こえた。
時計を見ると、まだ朝の7時ちょっと前。
こんな朝早くに誰だ?
ベッドに横たわったまま、「はい」と返事をすると、一番聞きなれた声がした。
「アオちゃん、起きてる?僕だけど、入っても良い?」
「んー、入っても良いよー」
起き上がって、邪魔な前髪をかきあげる。
「おはよーウト。どうかしたの?こんな時間に」
「もう7時だから起こそうと思ったのと…」
「?」
「覚えてないの?自分の誕生日。今日でしょ?お誕生日おめでとう、アオちゃん」

(・・・あぁ、覚えてはいたけど・・・)

1年前 No.16

★tuk3624yQ7_mgE

・・・余談・・・
この後どういう展開にするのか忘れてもた。何一つ覚えてねぇや。どうしよう。

7ヶ月前 No.17
ページ: 1

 
 
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