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亡霊と葬列

 ( 書き捨て!小説 )
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餅子 @kemu05 ★7dlIklBfOI_Tl2

   「わたし、あの人はとっても不幸だったと思うの」


      だから、せめてもの弔いに、花を。




 I keep my ideals.

  どうせやるなら新しくしようと思った。過去は過去として生きていくようなので。
  私はいつまでも理想を追い求める。例えそれが中二病の延長線と呼ばれても。
  創ることを愛しているのだから、咎められる筋合いはない。


      (  今世紀最高にかっこ悪い人間だぜ。  )

2年前 No.0
メモ2015/08/22 22:47 : 餅子 @kemu05★95mIFl6yhy_Tl2

 数か月ぶりの書き捨て!テンション上がってきたー!(嘘)

 相変わらず唐突に大量生産して、去っていくの繰り返しだと思います。

 暇つぶし程度に見ていただければ。



口火を切る( http://mb2.jp/_ste/1830.html )

 尊敬するマイメビさんの書き捨て。いつもうちの子書いてくれてありがとう!


∵Thank you for clap !

関連リンク: 平日休日☆ 
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餅子 @kemu05 ★y5yH4aK54E_QMQ



「よっ、元気してた? クソガキ」

1年前 No.123

餅子 @kemu05 ★y5yH4aK54E_vjv



「シューちゃん?」

 扉の前で立ち止まる。ヤツらはすぐそこまで迫っていて止まっているひまなんてないのに、先頭を走っていたシューちゃんが止まると、みんな止まった。貧弱フリーターのシューちゃんのことだから、疲れちゃったのかなあなんて思いながら声をかける。しかし呼吸が乱れてる様子もなく、冷や汗をかいているだけだ。

「……なあ、めろ」
「シューちゃん、はやくいかないと」
「俺、こえーから、一番後ろでいいか」
「え?」

 わたしの返答を訊かずに、シューちゃんは後ろへと行ってしまう。みんな責めるようにシューちゃんを見てたけど、ヤツらに追いつかれてしまう。わたしが先頭になって、また走りだした。わたしたちの呼吸と足音と、ヤツらの呻き声が混ざり合って響いている。もっと早く逃げなきゃ、走らなきゃ。

「すみません、私すっごい怖いことに気づいちゃったんですけど!」

 うしろから二番目のうーちゃんが走りながら叫ぶ。みんな振り向かずに続きを急かす。

「シューちゃんさんの足音がしないんです! それに奴らの音もだんだん遠ざかってる!」

1年前 No.124

餅子 @kemu05 ★sBj2QPcBrK_uyQ

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1年前 No.125

餅子 @kemu05 ★sBj2QPcBrK_uyQ



マーガレット
 女子高に通う物静かでまじめな女学生。物語を読むこともつくることもすきで、学生鞄には原稿用紙と文庫本が詰まっている。幼い頃から母親にピアノを習わされているが、あまり好きではない。染めたことのない真っ黒なストレートヘアに、困ったように垂れた目元、小ぶりなくちびるをしている。隣町の大きな図書館で出会ったローズに一目ぼれし、彼女に会うために通いつめ、そういう仲になる。ローズに言われたため、本名を言うことも訊くこともしない。彼女を主人公にした小説を書いている。

ローズ
 詳しいことはよくわからない美少女。隣町ではそこそこ有名らしく、一部ではファム・ファタールと呼ばれている。男女問わず魅了する蠱惑的な存在。楽譜は読めるようだが、楽器は弾けない。癖がある蜂蜜色のロングヘアに、少しつり上がって透き通った目、艶やかで色気のある薄い唇。ほぼ毎日図書館にいて、決まった本を読んでいる。マーガレットに自分の名を明かさず、彼女にも名乗らないように約束させた。どこか悲しげな表情をするときがあるが、その瞬間が最も美しい彼女の姿だとマーガレットは考える。

1年前 No.126

餅子 @kemu05 ★sBj2QPcBrK_uyQ



 意識がもうろうとしている。なんだかとても眠たくて、まぶたを開けるので精一杯だ。視界の左側に点滴がみえて、ぽたりぽたりと垂れている。針の先を見ると、ちょっとだけ逆流して、管が赤くなっていた。腕を動かすと点滴と血液が押し合ってうごいて、それがなんだか面白くて、しばらくやっていた。透明なテープで手の甲につけられた針が、動くと肌をつっぱらせて痛い。あまり手を動かさないようにして、あたりを見た。カーテンが開ききって、大きな窓から夕陽が見える。窓際のベッドで良かったな、と思いながら、町を眺めた。学校が見える。もうみんなは下校したころだろうか。
 不意に吐き気がして、枕のよこに置かれたトレイを手にとる。慣れない場所に緊張しているのか、じわじわとした気持ち悪さを残したまま吐き気は収まった。気分がわるくて、眠ろうと目を閉じる。家の布団よりちょっとかたいけれど、枕はちょうどいい。布団も暖かくて心地良い。病院に借りた病衣の肌触りが心地よくて、少し気分が楽になる。

「失礼します、点滴変えますね。体温測っておいてください」

 看護師さんが入ってきて、体温計を渡してくる。脇に体温計を挟んでいる間に、看護師さんは点滴のパックを取り替えた。慣れた手つきで付け替えて、新しいパックに今の時間をペンで書く。ピピピ、と体温計が鳴り、それを看護師さんに渡す。平熱よりも低い。いくつか質問をして、看護師さんは出て行った。
 夜ご飯は十八時、あと二時間くらいある。それまで寝ていようか、持ってきてもらった本でも読もうか迷ってるうちに、うたた寝をしてしまった。気づいたときには食事が運ばれてきていた。名前と、メニューが記入された紙がトレーに乗っている。皿は全部ふたがついていて、開けてみると、お粥があった。ほかほかでいい香りだ。味の薄そうな汁物と、煮物と、魚の煮付け。しょぼい給食のようなメニューだ。一口食べてみると、案外おいしい。もらったお茶が熱くて、舌がひりひりした。おいしいと感じはしたが、なんだか食欲がわかなくて、結局ほとんど残してしまう。なんだかバツがわるくて、ふたを閉じた。病人だから特になにも言われなかったけど、ふだんだったら食べ物を粗末にするのはいけないことだ。学校だったら叱られている。

 就寝は二十二時。特にやりたいこともやる気力もないので、もう眠ってしまうことにした。薬のせいかなんだかずっと眠気がしていて、目を閉じればすっと眠れた。夢は見ないほど深い眠りをして、目が覚めた。もう朝かと思ったが、まだ深夜の二時だった。案外時の流れが遅い。テレビカードはまだ買っていないので、テレビを見ることはできない。廊下の明かりぐらいしかついていなくて、本も読めない。隣の人が起きているみたいだけど、残念ながら話しかけられるほどのコミュニケーション能力はない。もう一回眠りにつけるか、目を閉じてみたけれど、痛みを感じて目が冴えてしまった。じくじくと痛い。耐えられるかと思ったが、どうにも無理そうで、緊張しながらナースコールを押した。すぐに看護師さんが来て、痛み止めを入れてくれる。しばらくすれば何事もなかったかのように、穏やかになる。どうやら眠れそうだ。点滴が抜けないように、身体を整えて寝た。


 目が覚めた。午前五時、まあまあ外は明るい。しかし起床の時間ではないため、電気はつけられない。トイレへ行こうと立ち上がり、廊下へ出た。トイレのドアはスライド式で、点滴を引っ張ったままだと面倒だ。通りかかった看護師さんに助けられ、なんとかなった。病人ってこんなに不便だったんだなあ、と元気だったころを懐かしんだ。つい数日前のことだけど。
 部屋に戻り、朝日を頼りに本を読んでいるとなんやかんやで起床の時間になった。昨日と違う看護師さんがやってきて、また体温計を渡してきた。同じように質問を繰り返す。利き手につけられた点滴の位置を変えてもらい、看護師さんは出て行った。聞き手が自由になって、幾分か動きやすい。なんとなく濡れを感じて手元を見ると、針を抜いたところから血が出ていた。すぐに止まったものの、袖口は血まみれだ。あの看護師さんは注射が下手なのだろうか。

1年前 No.127

餅子 @kemu05 ★sBj2QPcBrK_IdS



キリング
 本名不明の死刑囚。二十代のころに三年間に渡って殺人を繰り返していたが、一昨年のクリスマスに逮捕される。すっからかんな人生なので未練はなかったが、ひょんなことから三日間だけ脱獄することになる。死ぬことに対しては前向きで、来世は金持ちが良いと思っている。一見弱そうに見えるが機転がきき、武器を持たせるとかなり凶暴。二重人格を疑われるほどテンションに落差があり、基本的に怠けている。プライドも信念もないが、約束は破らない。

ミチル
 脱獄してすぐに出会った家出少女。三日間だけ家を出るつもりでいたところをキリングと出会う。境遇や目的は違えど同じ「三日間」同士ともに行動するようになる。資産家の令嬢だが、家族関係はあまり良くないらしい。小学校高学年くらい。キリングのことをおじさんと呼ぶ。脚が速く体力もそこそこあり、肝が据わっている。百万円だけを鞄に詰めて家を出てきた。純粋で他人を疑わず、流されやすいが情に厚いところもある。実年齢よりは大人びている。

1年前 No.128

餅子 @kemu05 ★sBj2QPcBrK_IdS



「おじさんはたくさんのひとを殺したんだよね。でも、ミチルのこと、殺さないでしょ。それっていまはいいひとってことだよ。ミチルは、いまのおじさんがすきだよ。むかしのことなんて、あんまりきょーみないな」

1年前 No.129

餅子 @kemu05 ★sBj2QPcBrK_IdS



「金を手に入れて思ったんだけど――金って、命より重いよねぇ。金を積んで人を殺すことも、生かすことも出来る。この世界の歯車は金なんだよ。金があるものが得をして、悠々と生きれる。金のないものはそいつらに従って、尻尾振って生きるだけだ。人間って、とっても醜いものさ。ボク、よくわかったんだよ。金を持ってるとさぁ、金を欲しがる連中が寄ってくるんだよね。そいつら、最初は僕にへこへこしてたくせにさぁ、金をもらえないってなったらすぐ暴力だ。もちろん、抹殺してやったけど……ああ、社会的にね。僕、こう見えて平和主義者だからさ。争いごとって、よくないでしょ。ま、金があれば争いなんてどうにかなるんだけど」

1年前 No.130

餅子 @kemu05 ★sBj2QPcBrK_IdS




「先輩、俺ケンカ苦手なんすよねぇ。あんましたくないっつーか」

 見城がそう言いながら、顔に似合わない綺麗なハンカチで手を拭う。金髪にピアスといった風貌の典型的な不良少年といった見た目ではあるが、中身は案外お花畑みたいだ。とはいえ最終的には喧嘩をしてしまっているので、完璧な穏健派というわけではないだろう。今は落ち着いて飄々としているが、乱闘中の見城は猛獣のような暴れようだった。見境なく暴れてはいるが、どれも正確に相手へ届き、強烈な一撃を食らわせる。ただガードは甘く、隙があるので反撃を喰らいやすい。現にこいつの顔は傷だらけで、自分の血と他人の血が混ざり合っている。

「それにしても意外でしたよ、先輩、こんなことするんすねぇ。真面目そうなカッコしてんのに」
「人を見かけで判断するもんじゃない」

 詰襟のボタンをきっちり留め、眼鏡を着け直す。確かに佐橋直人は優等生として通っているが、優等生が喧嘩しちゃいけないなんて法律はない。それに、優等生と勝手に決めつけられているだけなのだから、別に何を言われても知ったこっちゃない。

1年前 No.131

餅子 @kemu05 ★sBj2QPcBrK_IdS



「ははは、そんな愚直なだけの人間が社会で生きられると思う? うんうん、わかるよ。今まではうまくいってきたんだろうねえ。そういう馬鹿な人間ほど中心になれるんだよ、学生時代っていう甘っちょろい夢のなかではね。思ったことを口にして、やりたいことやって、秩序もルールも関係ない、自分が主人公みたいなツラして生きてりゃあ、惨めに思った人間が甘やかしてくれるだろうよ。そういう人間ほど、社会にでれば相手にされなくって辛くなって、引きこもって蛆虫みたいな生活送って死んで行くんだよね。よぉく知ってる、何人も見てきたから。きみさあ、自分が特別な人間だと思ってるでしょ? 世界は自分を中心に回ってるとでも思ってるんだろうけどね、そんな考えかたしてるようなヤツ、世界は中心にしてくれないよ。自分がどうしようもない没個性で、なんの取り柄もない、フィクションだったら名前もつかずに台詞も与えられないようなモブだと思ってるような人間が、ほんとうは主人公なんだ。きみみたいなのは、よくて引き立て役だろうね。エゴイズムの権化みたいな人間がこの世の中に生きていて、いまも呼吸をして瞬きをしていると思うだけで反吐が出るよ。自分大好き人間は死ね」

1年前 No.132

餅子 @kemu05 ★sBj2QPcBrK_IdS



 殺意というのは最も単純な思考だ。反対に、愛情というのは最も複雑な思考だ。時にこれらは絡み合い、共存する。

1年前 No.133

餅子 @kemu05 ★sBj2QPcBrK_IdS



 プライバシーもクソもない世の中に生まれたアタシって、ほんとーに可哀想。言いたいことも言えずに、やりたいこともやれずに、義務教育だからって親のいいなりになって、人生十五年も損しちゃった。アタシはアタシだけのものだってのに、ずけずけと入り込んできて、ぐちゃぐちゃにして。大人っていっつもそう。アタシもそういう人間になっちゃうのかな。それならさっさと死んだほうがマシだ。成人する前にとっととおさらばしてやろう、こんな世界。どうせアタシの居場所もプライバシーもこれから先、ないんだろうから。ごめんね、神様。なんかこの世界は、アタシにちょっと意地悪みたい。

1年前 No.134

餅子 @kemu05 ★sBj2QPcBrK_IdS



 内臓をかきまわされているような、ひどい吐き気だ。嘔吐いてみたけれど、唾液が垂れただけで中身は出てこない。喉の奥が苦い。あつい。煮えくり返っているみたいだ。カミは吐こうとする僕のはらを蹴って、気持ちよさそうに笑った。クククゥ、と喉を鳴らすような気持ち悪い笑声だった。ポケットからナイフをとりだして、僕の手に突き刺す。皮膚をつきやぶり肉を裂いて、やわらかい地面に突き刺さる。磔になったように右手が動かなくなった。どくどくと血が流れて、そこに熱が集中する。あつい。あつい……。くるしくてくやしくて、カミの足首を左手で掴んだ。骨を砕いてやろうと思って握り締めたけれど、自分の握力が二十を超えていないことをおもいだして、やめる。力の抜けた僕の手を払い、踏み潰す。クククククゥ、クククハハハ。うれしそうだ。むかつく、むかつく。ムカツク……。

1年前 No.135

餅子 @kemu05 ★sBj2QPcBrK_IdS



 僕は殺し屋というモノをしている。楽だし金は入るしで僕にぴったりの仕事だ。依頼を受ける、人を殺す、金を受け取る。これを繰り返して生活している。金に困らない程度は稼げているし、どうやら警察にもバレていないようなので、しばらく続けていくつもりだ。誰が誰に殺意を抱いているかなんて興味ないし、どういう経緯で依頼してきたかなんて関係ない。善人であれ悪人であれ、依頼されたなら殺す。知人も赤の他人も殺す。以前の依頼人がターゲットになることだってある。僕は失うものがないから、誰でも殺せる。最悪捕まったっていい。ただ、自分を殺せと言われてもできない。なんのメリットもないし、楽しくもない。そんな仕事を受けられない。

1年前 No.136

餅子 @kemu05 ★hggIDq6wRq_IdS



 あたしは腐っていた。腹の底までどす黒くて、飲み込まれそうなほどだった。取り繕われた仮面はいまにも剥がれ落ちそうで、必死に押さえつけた。にこにこ。大丈夫、みんな気づかない、笑顔。

1年前 No.137

餅子 @kemu05 ★hggIDq6wRq_IdS


 忘れるなよ、お前の偽善で人が死ぬ。

1年前 No.138

餅子 @kemu05 ★hggIDq6wRq_IdS


 偽の首に両手をまわす。僕の指じゃ囲みきれなかったけど、首を締めるにはじゅうぶんだろう。親指に力をかけて、喉仏をつぶす。喉が震えて、ぐ、と息がつまるのを感じた。偽は哀しそうな眼をしながら、苦しそうに笑った。ゆっくり腕が伸びてくる。冷たい空気を裂いて、僕の頬に触れた。あったかくてかさついた指先に撫ぜられて、手が止まってしまう。偽の手を振り払う。抵抗することなく、地面に落ちる。偽は何も言わずに、僕を待った。その眼が嫌いなんだ。僕のことはぜんぶ見透かしているのに、自分のことをなんにも教えてくれないその眼が。まるで神様みたいに穏やかな眼が。雲も太陽もない、青いだけの瞳が。

「ありがとう、なお、俺を、殺してくれて。」

 そういって、眼を閉じる。首を締める。偽の呼吸がなくなっても、僕は手を離さなかった。しばらくして、ほんとうに偽が死んだことを確認すると、僕は泣いた。

1年前 No.139

餅子 @kemu05 ★hggIDq6wRq_IdS



 そうだ、いつだってきみは、僕の光だった。

1年前 No.140

餅子 @kemu05 ★hggIDq6wRq_iCW


「そんな目で見ないでくれよ、僕が悪いみたいじゃないか」

1年前 No.141

餅子 @kemu05 ★hggIDq6wRq_iCW



「ねえ、明日はきみを殺す日なんだけど」
「あー、そういえばそうだったな」
「未練残して成仏できないなんて、やめてよね」
「思い残すことなんてないさ。生まれた時から」
「ふうん、そう。僕に殺されてうれしい?」
「見ず知らずの人間に殺されるよりは、幸せかな」

1年前 No.142

餅子 @kemu05 ★hggIDq6wRq_iCW



 君はその優しさに溺れていたいだけなんだろ。

1年前 No.143

餅子 @kemu05 ★hggIDq6wRq_iCW



 あ〜まじむかつく。あんなやつ死んじゃえ。死ね。てか殺す。でもあいつのせいで捕まるのなんてごめんだから誰かに殺されちまえ。ぼくの障害になる人間はみんなしんじゃえばいいんだ。だってぼくが世界の中心なんだから。みんなぼくのために生きるべきでしょ?

1年前 No.144

餅子 @kemu05 ★hggIDq6wRq_AmU


 お父さんの葬式であのひとを見つけた。いつもは笑顔なのに今日は見たことのない、悲しそうな顔をしていた。もしかしたらあのひとは、お父さんのことが好きだったのかもしれない。親戚のおじさんたちがぼくの引き取り手を話し合っている。施設にいれろだとか、あそこは子供がいないとか、みんなでぼくを押し付け合っている。お父さんの遺影は楽しそうに笑っている。握り締めたお母さんの写真には皺がついた。それでもぼくはやめなかった。拳に力を入れていないと、泣き出してしまいそうだ。俯いて動かないぼくに気づいたのか、あのひとが歩いてくる。白檀の匂いが流れてきて、なんだかほっとした。何も言わずに頭を撫でられて、ぼくは、泣いてしまった。家族以外のひとのぬくもりに、ふれてしまった。家族でも、親戚でも、知り合いでもないけれど。お父さんのアルバムで見ただけだけど。ぼくは、この人がいいと思った。

1年前 No.145

餅子 @kemu05 ★hggIDq6wRq_6MN


 十年来の友人が亡くなった。数週間前に、近いうちに会おうと連絡をとったのが最後だった。付きあいは長いが、自分は上京しあいつは地元に残ったので会うことは少ない。連絡をとったのだって、半年ぶりくらいだった。学生時代を思い出す。廃部寸前の天文部に二人で入って、夜中に星を見に行ったりしていた。あいつが言うには、人間は死んだら一等星になるから、都会でも見えるらしい。当時はまったく信用していなかったが、なんとなくネット通販で安価な天体望遠鏡を買った。ボロアパートの狭いベランダに望遠鏡を置いて、空を見る。街明かりにかき消された夜空に、うっすらと無数の星が見える。ぐるりと見回して、ひとつ、眩しい星を見つけた。あれはシリウスだろうか。それとも、あいつが星になったのだろうか。

1年前 No.146

餅子 @kemu05 ★hggIDq6wRq_6MN



「二度と歌えなくなるかもしれないって、わかってるよ、でも」

 シーツを握り締める。指先が白くなる。筋力の落ちた腕ではすぐに疲れてしまうが、それでも離さない。ぐっと力をこめて起き上がり、ベッドから降りた。文成の制止する腕を押し返し、点滴を掴んで立ち上がる。これだけの動作で汗が滲むほど体力が落ちてしまった。これじゃあステージで歌って踊ることなんて出来ないだろう。でも、でも。枯れた声を絞り出して、言う。

「いま歌わないと、一生後悔する」

 なんの説得力もないけれど、自分の言いたいことは伝えられた。ステージに立ちたい。歌いたい。みんなと一緒に。勝ちたい。考えれば考えるほどやりたいことが溢れてきて、全身に染み渡っていく。病気がなんだ、そんなの、後から治せばいい。最悪、治らなくたっていい。いま、歌いたい。歌わなくちゃダメだ、自分は、僕は、アイドルなんだ。

1年前 No.147

餅子 @kemu05 ★Android=qwFuWfLjRn


男の子は距離が近いなあ、なんて思う。女の子もよく手を繋ぎあったりするけれど、なんだか心は遠いのだ。心の距離まで近づける男の子同士が羨ましくて、わたしはじっとにらみつけた。

なんで男子ってあんなに距離が近いの? 無意識で腐女子を殺しているから有罪

1年前 No.148

餅子 @kemu05 ★hggIDq6wRq_Ceh



 紅色の薔薇が咲く花束を地面に叩きつけて、踏みつける。花びらが舞って、足元を踊る。通りすがる人々の視線が刺さるけれど、そんなことに構っている暇はない。涙があふれて止まらなかった。視界はぐちゃぐちゃで、立っているのも苦しい、心が散り散りに砕け散った。嘘つき、嘘つき、嘘つき。僕が幸せにしてあげるって言ったのに。僕と結婚するって、あんなに綺麗にわらって言ったのに。なにが悪いんだろう。迎えに行くのが遅かった? いつまでも待ってるって言ったのに。寂しくなった? きみが呼べばいつでも飛んでいったのに。僕にはきみしかいないのに。

1年前 No.149

餅子 @kemu05 ★hggIDq6wRq_Ceh



 八月はよく人が死ぬ。まだ六日だっていうのに、もう同級生が五人死んだ。茹だるような暑さの中で、絶望に震える自分を見つけた。

1年前 No.150

餅子 @kemu05 ★hggIDq6wRq_G29

 正直、誰も来ない階段の掃除は意味がないと思う。そんなことを教師に言う度胸があるわけでもないので、ため息と共に吐き出した。そのうえ他の人間に押し付けられた掃除だし、全く気が進まない。サボってもいいだろうなあ、と考えつつももしもバレた場合を考えて行動を起こせない。自分は悪い方向に真面目な人間だ。なんだか気分が重くなって、箒を杖にして立ち止まる。階段の途中、あと半分。ぐっと伸びをしてその場に座り込んだ。

「おサボりさんです?」

 頭上から声がして、心臓が跳ね上がる。身体も跳ね上がったものの、バランスを崩してへたりこむ。先生かと思ったけれどどうやら生徒のようだ。しかも同じ一年生、というか、クラスメートの中野さんだ。宇宙人の触覚がついたカチューシャをつけていて、クラスではかなり浮いている。しかし、こうして見ると顔立ちは整っているし、案外タイプだ。
 黒目がちな双眸がじっと見つめる。女の子にまじまじと見られることに慣れていないせいか、心拍数がガンガン上がる。年齢イコール彼女いない歴は伊達じゃない。

「さ、サボってるんじゃなくて、息抜きを」

 言い訳をしてみたが、彼女は聞いていなかった。中野さんはぴょこぴょこと触覚を揺らしながら屋上の方へ上がっていってしまう。もしかして、屋上が立ち入り禁止なのを知らないのか? そんなことはないだろう。入学から三ヶ月は経っているし、そもそも今時大抵の学校が屋上への立ち入りを禁止している。こうして屋上前階段を掃除させている学校というのも少ないはずだ。だからこそ嘆いているんだけど。
 迷うことなく扉の前まで行った中野さんに、思わず声をかけた。

「あのさ、屋上は立ち入り禁止で……」
「ひらけごま〜! おーぷんざどあ〜!」

 ふわふわとした呪文を唱えると、扉からガチャンと音がした。

11ヶ月前 No.151

餅子 @kemu05 ★hggIDq6wRq_Qc5



 何もない部屋だ。あるものといえば、僕の死体と、割れた花瓶。

10ヶ月前 No.152

餅子 @kemu05 ★hggIDq6wRq_Qc5



 爆風と閃光に襲われ、思わずぎゅっと目を閉じる。小石やガラスの破片が飛んできて、頬を掠めた。私は立っていることが精いっぱいで、今世界がどんな状況なのか知る由もない。真冬の冷たい風を爆発の衝撃が大量に運んでくる。ほかほかな肉まんの入った袋はとっくに飛ばされてしまった。暗闇のなかで、だんだんと自分の意識が曖昧になるのを感じて、意識が途絶える。

10ヶ月前 No.153

餅子 @kemu05 ★hggIDq6wRq_dB9


 拳を視界に入れるよりも先に、痛みを感じる。鋭くて、鈍い痛みだ。じわじわと熱を帯び、ぐつぐつと煮えるように痛みが沸いてくる。それでも何も思わなかった。頬の内側が切れて、咥内いっぱいに錆びた味が広がる。到底いい心地とは言えないが、幼い頃から行われる行為に今更どうこう思わない。私は何も思わない。おそらく、殴っている張本人でさえも、無意識のうちに私を殴っているのだろう。兄と妹、男と女、加害者と被害者、共犯者。私たちの関係は歪で、一言でも二言でも言い表せない。ふつうの兄妹だったら、どうだったか。慈しむように頬を撫ぜるだろうか。ふつうの男女だったら、どうだったか。愛しさを溢れさせ頬に口づけるだろうか。空想しながら、血を飲み込む。こくりと喉が鳴る。きゅるると腹が鳴る。おなかがすいた。

8ヶ月前 No.154

餅子 @kemu05 ★hggIDq6wRq_dB9


「あ、わかった! 殺しちゃえばいいんだ!」

8ヶ月前 No.155

餅子 @kemu05 ★hggIDq6wRq_dB9

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8ヶ月前 No.156

餅子 @kemu05 ★hggIDq6wRq_dB9


 まるで星がすぐそこで瞬いているかのような、つよい光だった。思わず瞼を閉じたステラの身体に、光の矢が降り注ぐ。華奢な身体が吹き飛び、近くの壁に激突する。壁がなければどこまで飛んだかわからないほどの速さだ。耐え難い痛みに声を絞り出す。声とは呼べない声が出た。何かを感じる余裕もないのに、涙が流れる。ステラは争いを知らなかった。一生知ることのないような、籠の中の人間だった。平和な街の外を、どんな脅威が取り囲んでいるのかを知らなかった。やさしい大人たちの黒い思惑を知らなかった。何も知らなかった。まだ十六歳だ。知っているのは、空がきれいなことだけだ。

7ヶ月前 No.157

餅子 @kemu05 ★hggIDq6wRq_dB9



 無邪気に走り回るクルルを眺める。こうしていればただの子供と変わりない。凹凸のない寸胴の身体、小さくて柔らかい手足、透き通った瞳。この子に世界を滅ぼすだけの力があるとは到底思えない。むしろ、下手に触ったらすぐに壊れてしまうようなあやうさがあって、触れるのをためらう。舌足らずな声がきこえる。この子が生まれる前のことを思い出した。

7ヶ月前 No.158

餅子 @kemu05 ★hggIDq6wRq_dB9



「本当に、いいのか?」
「いいよ。僕はとっくに死んだから」

7ヶ月前 No.159

餅子 @kemu05 ★hggIDq6wRq_dB9



 かさかさの唇はなんの言葉も紡いでくれずに、わずかに震えて閉じる。うんともすんとも云えない。黙れば黙るほど美咲からの信用は失われていくだろう。頭ではわかっているのに、いや、わかっていないのかもしれない。頭の中がぐちゃぐちゃだ。たくさんの糸が解れて、心臓を締め上げている。うまく息ができない。呼吸が浅くなる。速くなる。わからない。どうやって息を吸ってたのか。吐いてたのか。苦しくなる。美咲が慌てたように顔を崩すのが見える。涙が勝手に流れてきて、視界がかすんだ。ごめん。木の葉が擦れるよりも小さな声が出た。美咲は笑った。

7ヶ月前 No.160

餅子 @kemu05 ★hggIDq6wRq_dB9


 人が死んでいる写真を見たことがある。飛び降り自殺だ。しかも、絶頂の中にいたアイドルのものだ。卵が割れたように頭がぱっくりと割れて、黄色と赤の混じった変な液体が飛び出ていた。気持ち悪くて、思い出すだけで吐きそうだ。そこに死があった。アイドルでもホームレスでもサラリーマンでも学生でも、平等に訪れるんだ。生きていた頃の可愛い顔なんて関係ない。みんな死ぬときは醜いし、醜くなりたくなくて生きている人もいるだろう。僕はどうだったか。フェンスの奥へ行っても見つからない。死ねば分かる? そうだね、僕はとても興味がある。人間は死ぬまでに何を考えてて、死にゆくときに何を考えてて、死んで何を思うのか。空に踏み込む。支えてくれる足場なんてなくて、冷たい風が足首を掴んだ。今じゃなくてもいい。いつでも人間は死ねる。死ぬときなんて選べるんだ。生きるときが選べないだけで。見下ろすと、真っ白な雪が積もっていた。ああ、あそこに僕が散れば、どんな景色になるだろう。気になるな。手を放す。これは自殺じゃない。


 好奇心で人は死ぬのか

7ヶ月前 No.161

餅子 @kemu05 ★hggIDq6wRq_dB9


 私は頭がわるいから。何度そうやって逃げてきたんだろう。これからもそうやって逃げていくんだろう。自分はそういう人間だ。頭がわるいから。最善策なんて見つからなくて、逃げて、逃げて、逃げて。努力が一番嫌いで、賞賛が一番好きで。褒められるひとは結局努力している人なのに、どうして何もしない私が嫉妬をしているんだろう。もっと頑張ればいいのに。頑張ればよかったのに。過去を責める。今の私は悪くない、わるくない。過去の自分が頑張らなかったから。どっちも同じ自分なのに。馬鹿みたいだね、馬鹿だね。


 志望校に合格しました。けど、十五歳に受験は重過ぎるよな。

7ヶ月前 No.162

餅子 @kemu05 ★hggIDq6wRq_dB9


 ぼくが世界の中心だっつ〜のにさ、調子のんないでくれる? マジで萎えるから、面白くないし。ウケ狙いならやめたほうがい〜よそれ。うんうん。ナルシストとか今時流行んないし、キモいし。はは、ワロスワロス。愚民は黙ってぼくにひれ伏してればい〜の。ああ、家畜だったか。家畜くんはどうして人の言葉を喋ってるのかな? 突然変異? 黙らないと殺処分しちゃうからね。

7ヶ月前 No.163

餅子 @kemu05 ★hggIDq6wRq_dB9

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7ヶ月前 No.164

餅子 @kemu05 ★hggIDq6wRq_dB9


 こんな風に時々、殺したくなるんだ。

7ヶ月前 No.165

餅子 @kemu05 ★hggIDq6wRq_VuR


 空はどこまでも続いているのに、あたしの心はきゅうくつだった。ニナの手の感覚と、あたしたちが歩くとついてくる月ぐらいしか頼れるものはない。ぬかるみに足をとられたり、木の根っこにつまづいたりしながらも何とか前に進んでいる。夜はとっくに更けていた。お母さんはヒステリックになってあたしを探しているだろう。書置きは残したけれど、あの人にとってそんなものはごみくずぐらいにしか見えていない。人形をとられた子供のように、泣きわめくことしかできない。我が母ながら、なさけない。

4ヶ月前 No.166

餅子 @kemu05 ★hggIDq6wRq_P5K


 ぎゅう、と抱きしめる。その感覚は幼い頃よりもごつごつとしていて、いやでも時の流れを感じさせる。両腕にすっぽりとおさまっていた華奢な身体は跡形もなく、どんなにきつく腕を回しても、両手がくっつくことはない。ちょっとしたにあったつむじも、背伸びしなければ拝めない。ああ、こうして俺から離れていくんだなあ、と感傷に浸りつつ目を閉じた。

2ヶ月前 No.167

餅子 @kemu05 ★hggIDq6wRq_P5K

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2ヶ月前 No.168

餅子 @kemu05 ★hggIDq6wRq_P5K



 あたし殺すのは上手なんだけど、愛すのはどうも上手くいかないのよね。

2ヶ月前 No.169

削除済み ★AU=bbJnlKEXsQ

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1ヶ月前 No.170

削除済み ★AU=bbJnlKEXsQ

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1ヶ月前 No.171

削除済み ★AU=bbJnlKEXsQ

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1ヶ月前 No.172
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