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黒髪忌憚

 ( 書き捨て!小説 )
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ramie @mtreho ★5i7kTS7QPP_8QL

→Mother
真っ黒い髪の毛だなんて気味が悪いわ。
まるで暗く寒い洞窟の中の風景ね。


→Mother
黒い髪のままにしていちゃだめよ、他にそんな子いないんだから。
何色がいい?あたしと同じマゼンタなんてどうかしら。


→Mother
こんな色の頭のまま街を出歩いて恥ずかしくないの!?
いい加減母さんが染め直してあげる、こっちへいらっしゃい!


→Mother
この年になってまだ黒い髪だなんて恐ろしい、きっと何かに取り憑かれているんだわ。
今すぐ教会で悪魔祓いしてもらいに行きましょう?ね?


→Mother
10歳になっても黒髪のままだなんて。
あたしが世間からどんな目で見られてるか分かってるの?
あんたなんか産むんじゃなかった。






《注意》
◆中途半端に終わっている文章ばかりです
◆人が死ぬ話が結構多いです
◆自ら命を絶つ表現も含まれます
◆明るい話はほとんどありません、暗い話ばかりです。
◆神、世界、幸福など少々宗教を匂わせる内容があるかもです
◆また、登場人物による宗教的な習慣もちらほら出てきます。
 (月光を浴びてはいけない、黒髪を嫌う、死刑は配偶者の手で、など)
◆多少生々しい表現も含まれます


上記を踏まえたうえで、大丈夫そうな方のみ、下へお進みください。






→Mother
その濡れ羽の黒髪に、真っ白い花のバレッタを挿してごらんなさい。
暗闇を思わせるそれは、あっという間に輝く星を遊ばせる美しい夜陰に様変わりするわ。
母さんのを貸してあげる。






4年前 No.0
ページ: 1

 
 

ramie @mtreho ★5i7kTS7QPP_8QL

【短編】

下町で守銭奴として悪名高いアミリアが、聞いたこともないような奇病に悩まされているらしい。
わたしは詳しいとこまでは聞いていないが、どうも絶えず喉の奥から何かが吐き出される病気だそう。
そんなもの胃潰瘍かなにかじゃないのかと思うが、巷では奇病として噂になっているほどだ、何か別物なのであろうことは確かである。

しかしあんな金亡者のアミリアの苦しむ顔など想像もできない、やつを苦しめる病気とは一体どんなものなのだ。
わたしはそこまで考えて、自分にまったく手取りのない事柄であることに気付き、勘繰りをやめた。

それから数日後、下町の友人に会いに行こうと川沿いの市境を下った。
すると、あの守銭奴アミリアが「金なんてもう懲り懲りよ!」と、時折咳き込みながら叫びわたしのすぐ横を駆け抜けてゆくではないか。
わたしは瞠目しながら、彼女の駆けた道に落ちている少し濡れたような金貨たちを拾い上げた。

4年前 No.1

ramie @mtreho ★5i7kTS7QPP_8QL

その晩、わたしは母の命の音をただひたすらに、ひたすらに心無く絶やし尽くしました。
風の強い日でした。囂囂と欄間を苛む風らを小耳に食みながら、ただひたすらに絶やし尽くしました。
そのときのわたしの心の行方は今も分からぬままで、絶やした直後のことは欠片も憶えてはおりません。

次の朝はおぞましいほど穏やかで、昨晩わたしが母の心音を根絶やしにしたことなど嘘のようで。
しかし白い日差しが照らしているのは、穴の空いた真っ赤な母の胸のなかでした。
わたしは、そうだ、ご飯をこさえねば、と思い立って、その静かな亡骸を飛び越えて水屋へ向かったのです。

日が嵩んでゆくと、家中は母の香りで満たされました。
穴が空いた母の胸には炊きたての白米のような蛆がたかり、その上空を幾百もの茶色い蠅がゆきかいます。
母からしみ出す体液が湿気た畳を縦横無尽に汚してゆくさまは、恰も萌葱色の田がみるみる金の稲穂に窶してゆくようで、
思わず恍惚と目を細め、そのさまをただただじっと見ておりました。
蛆や蠅らは、日毎に母を減らしてゆきました。食い破られた皮の隙から真白の骨が覗けば、わたしはそれがたまらなく愛しくなり、
腐れ爛れて虫にまみれたうつくしい母を抱き締めて、形骸にもなりきれず死んだ心のありかに顔を寄せ、そのまま眠りの底へとおちてゆきました。

次の朝は土砂降りの雨でした。昨晩母に抱き着いた際にわたしに移った蛆たちは、わたしの顔を這い回ります。
わたしはそれらが鬱陶しくなり、雨のやまぬ庭へ出てそれらを洗い流しました。
するとそれらは、雨に抉られぬかるんだ土の中へ、あっけなくぽとぽとと沈んでゆきました。
母を食らい尽くそうとした彼らを土に葬ったのがわたしなのだと思えば、なんだかよい気分になりました。
さあご飯の支度をせねば。わたしは母の赤黒く変色したエプロンを拝借して、朝飯をこさえる用意に取り掛かりました。
わたしの耳の中では絶え間なく雨の音が鼓膜を叩きつづけます。

雨の去った午後、わたしと母の家に黒い外套を纏った男が2人訪ねてきました。
あなたのお母様はどちらへ、と問うので、わたしは湿気て軋む廊下を案内しました。
進むにつれ増えてくる羽音に男らは顔を顰めた様子でしたが、きっとこの先に横たわる甘美な母の姿を見れば心も安らぐことだろうと思いました。
母の横たわる居間へと男らを案内しました。襖を開けた先に剥き出しで置いてある母のありさまをみると、男らはすぐさまわたしの両の手首へと縄を掛けようとするのです。
まったくわけがわかりませんでした。わたしは咄嗟に傍らに放置されていた、母の胸を愛した包丁で彼らの命もとめました。
母の血液にまみれた包丁と、誰とも知れぬ男の血を混同させたことは今でも悔やまれることです。

長いこと佇んでいたでしょうか。また雨が屋根を叩く音が聞こえてきました。
血液によって華々しくなった男ら2人に、雨が降りて参りましたのでもうしばらくご逗留くださいませ、と声をかけて、わたしはその部屋をあとにしました。
廊下を歩く間にも、雨は激しさを増すばかりです。

雨のやんだ夜、わたしは赤茶けて汚くなった男らを近くの山へ運びました。
わたしが心のありかをひとつきしたとき既に息を吸うことをやめた彼らは、身を固くして最早わたしにされるがままでした。
一頻り穴を掘って彼らを葬ったあと、わたしは母の待つ家へと急ぎ帰りました。土は大変ぬかるんでおりました。

土砂降りの雨の中家へ帰ると、いつも通りひっそり閑とした家の水屋から、ちょうど夜ご飯の炊ける音がしました。
力仕事をこなしたわたしの腹はちょうど空腹に身悶えており、わたしはすぐに炊きたての白米に口を付けました。
さなか、それらが母の胸の中でうごめく大量の蛆のようにも見えました。

一通り腹を満たしたあと、わたしはいとしい母の亡骸を土へ還す決心をしました。
居間の母へ会いにゆくと、母は最早なけなしの皮とむきだしの骨となっていました。
居間はあまたの虫でひしめいており、息をすれば口と鼻から多くの蠅が入りました。
一歩踏み出せば、足の下で白い蛆がたくさん潰れる感触がしました。しかし潰れる音など羽音で聞こえやしません。
部屋中をゆきかう虫たちをかき分けて、わたしは母の元へと歩みを進めました。
体を抱き起こそうとすると、腐った皮にわたしの掌がのめり込み、亡骸がびちゃりと音を立てます。
母の亡骸が崩れてしまうのが怖くなり、わたしは骨の部分を抱き抱えてそうっとそうっと、丁寧に部屋を出て、外へ向かいました。

庭の西側では、母の大好きな白侘助が花期を迎えており、わたしはその木の根元に母を還してやろうと決めました。
納屋から黄色いシャベルを担いで戻り、木の根元に大きな穴を掘りました。
その間、まったく雨はやみもせず、それどころか激しくなる一方でした。母は傍らでわたしが掘り終わるのをじっと静かに待っているようでした。

すっかり白い蛆だらけになってしまった母の亡骸を、丁寧に慎重に穴の中へと置きました。
もう顔も分からないくらい腐れ落ち爛れきったたそれは、もはやうつくしい母と呼ぶにはほど遠く、すっかり変わり果てていました。
しばらくの間わたしは母の骨だらけの体躯をじっと眺めておりました。涙はありません。

ながらく母を見つめたあと、とうとうわたしはそれに土とも泥ともつかぬ布団を被せはじめました。
母が一片も見えなくなった頃、わたしは疲れ果てて、雨のやまぬ泥庭に力なく横たわりました。
ぬかるみと水平な目線の先に、先日わたしが洗い落とした蛆たちの死骸が見えました。
雨に濡れて寒々しい彼らと、今のわたしはきっと同じ格好をしているのでしょう。
このままこうしていると、彼らがこのぬかるみに沈んだように、わたしも同じ場所に手を引かれてしまう。
ぼんやりとした頭でそんなことを思い、わたしは力の入らない手足を叱責してのろのろと立ち上がりました。

家へ戻ると、母がいた頃に生まれそして育った蛆虫や蠅が跡形もなく去っておりました。
母の体液が染みこんだ畳もくすんだ緑色に戻っていて、まるであんなにあいした母など初めからそこにいなかったかのようでした。
わたしは途端に悲しくなり、はじめて声を上げて泣き喚きました。もう口に蠅が入ってくることはありませんでした。

不細工な顔で泣き止んだあと、わたしは母の白い骨と同様、庭のぬかるみに死んでいた無価値な蛆たちに愛おしさがつのり、白い米を炊いて弔いました。
また、茶碗の中のそれらはひしめきうごめく蛆のようでした。一粒一粒を愛でて、ずいぶんな時間を費やし彼らを胃の中に収めました。
降り頻る雨はやまぬことを知らぬ、遠い冬のはじまりのことです。


4年前 No.2

ramie @miyakoyuu ★5i7kTS7QPP_8QL

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4年前 No.3

ramie @miyakoyuu ★5i7kTS7QPP_8QL


【ベネデッタ・クォーラルの場合】

彼女は花屋を営む18歳の少女。母が残した唯一のものが花屋で、母を愛していた彼女はその花屋をとても大事にしていた。
内気で照れ屋な彼女は友達を作ることを苦手としていたけれど、それでも明るい花々に囲まれていれば彼女はそれで満たされた気持ちになっていた。
腰まである金糸のように美しいブロンドと、晴天の下を悠然と揺蕩う真っ青な海のような瞳は、人形師が丹精込めて大事に大事に拵えたフランス人形さながらで、ベネデッタの元へ花を買い求めに来る人々はみな彼女の容貌の美しさに嘆息しながら、彼女の手で紙に包まれた花々を受け取って帰ったんですって。尤も、自身に頓着しない彼女はそのことに気付いていなかったみたいだけれどね。
そんなベネデッタ・クォーラルは、18歳の最後の夕刻、つまり19歳になる前日の夕刻に、どこの誰ともつかない声に呼び出されたんだそう。

『 Benedetta, please walk along a way as I said.(ベネデッタ、わたしの言ったとおりの道を歩いてきて。) 』

花の手入れをしていたベネデッタは、どこからともなく聞こえてきたその声に一瞬耳を疑った。それは美しく透き通る声で、しかし同時に畏れのようななにかを感じさせるものでもあった。ベネデッタは咄嗟に声の主を探してあたりを見回したわ、「誰なの?」と呼びかけながらね。しかしあたりは普段と変わらぬアチレアーレの質素な町並み。聞き間違いと思ったベネデッタは、不思議に思いながらも再び愛しのサンダーソニアに水を掛け始めた。ひとつひとつ花首を擡げながら慈しみの目で花々を手入れをしていた彼女は、突然ひどい眩暈に襲われた。目に映るすべてが幾重にもなり、場違いにも彼女は「花がたくさん」と思ったそうだけれど。
そしてまた、あの声が聞こえた。

『 Benedetta, and come over here.(ベネデッタ、こっちへいらっしゃい。) 』

今度こそ聞き間違いではなかった。ベネデッタは、歪んだ視界の中に一瞬だけ捉えた。声の主と思しき女性の姿を。ベネデッタが営む花屋のすぐ傍の青いポスト。そのすぐ傍に、籍史書に出てくる偉人が着ているような、真っ白い丈の長い服を身に纏う、美しく神々しい女性。ベネデッタは直感で感じた、あれは神様なのだと。畏怖すら感じさせる清流のような美しい声に加えて、美しさと豊かさに満ち溢れた見目。おそらく誰の目から見ても、それが異類だということは纏う空気で感じるでしょうね。しかしその女性は、まばたきとまばたきの間に消えてしまっていた。本当に一瞬だったそう。けれどその美しさ、神々しさ、畏怖の念はたったの一瞬でもベネデッタの脳裏に色濃く焼き付いた。彼女は気分が高揚するのを感じた。心臓が高鳴ってしょうがない、全身を駆け巡る血液がいつもよりずうっと瑞瑞しい。

『 Oh, I can't believe! I guess did met God!(ああ、信じられない!わたしは神様に出会ってしまったのね!) 』

彼女は舞い上がっていた。両手をまるで祈るかのように力強く合わせて、「ああ神様、ああ、神様!」と譫言のように繰り返しては、激しく双眸を輝かせた。彼女は日頃から信仰に篤い方ではあったが、ここまで神への信仰心を露にするのは礼拝のときですら見られない。幸い花屋の周りにはさほど多くの人はいなかったが、彼女の奇行とも言えるようなその姿に、普段の内気で穏やかな彼女を知る人は奇異の目を向けずにはいられなかった。
「神様、神様」と繰り返しながら、ベネデッタはふらふらと歩き始めた。覚束ない足取りはどこを目指すかも分からず、周囲の人々は狂ったかのような彼女が自分のほうへ来るのを危惧して次第にまばらに離れていった。そんな人々の心も知らないベネデッタは一瞬見えたその神の姿を捜し求めて尚もふらふらと歩く。すると彼女は再び声を聞いた。

『 You are good girl. great. Please walk straight through the streets of Carlow as it is.(いい子ね。そのままカーロウの通りをまっすぐ歩いて。) 』

漠然としていた声の中身は、具体的なものへと変わっていた。気分の高揚していたベネデッタは、その声に言われるままカーロウという名の喫茶店を横切り、その道を真っ直ぐ歩いた。いっそ恐ろしいほどに双眸をぎらつかせながらふらふら歩く彼女は、町ゆく人々の肩にぶつかるのも構わず、キャリーバッグを蹴り上げるのも気にせず、ひたすら次の声を求めて歩き続けた。ここの通りは道程が長い。途中、野良犬がベネデッタを睨みつけながらぎゃんぎゃんと吼えたが、ベネデッタは脇目も振らずに歩き続けた。夕刻も深まり太陽が海へと潜っていく。仕事を終えた人々が岐路を辿るなか、彼女だけが異物のようだった。一心不乱に通りを抜けようとする彼女は、さなか何度も転んだが、ひざが破けるのも、肘を擦り剥くのも意に介さずに、ぼろぼろになりながら歩き続けた。
声が聞こえた。

『 Is great. When you exit the street, please walk straight boulevard where Asian shop stand in a row.(偉いわ。その通りを抜けたら、アジアンショップが立ち並ぶ大通りをまっすぐ歩いて。) 』







力尽きた^-^ くそねむい^-^
このまま彼女は神様にいわれたとおりの道を辿るんだけど、たどり着く場所は岬に聳える誰も知らない古い教会で、ベネデッタが誘われたのは今年の生贄の選定みたいな。教会まで歩いているうちにベネデッタの意識はだんだんと薄れていって、教会へたどり着いて女神像を前にしたときにそのまま力尽きて事切れたみたいな。
実はこうして神様に贄として身を捧げた(本意ではなく)のは彼女だけじゃなくて、数年に一度、同じように「知らぬ声に呼ばれ」、「言ったとおりの道を歩くよう指示され」、「最後は必ずこの教会にたどり着く」ように仕向けられて贄となった少女たちは数多くいる。行方不明事件にはならないの??ってなりそうだけど神様の生贄になった子のことは町の人々は高速で忘れる!!なんてご都合だ('ヮ' ) その古い教会のことを誰も知らないので、選ばれた少女ら以外にここを訪れる人はおりません。歴年の少女らのご遺体は女神像の前で積み重なっててもよし、大聖堂の椅子に幾十、幾百の白骨が腰掛けたり横たわったりしていてもよし。ろまんてっく。

ベネデッタのいなくなった花屋は、もはや誰も継ぐ人がいないので無人の花屋と化す。育てる人も手入れする人もいないから当然売り物の花も枯れていく。花屋と無縁だった人々は「こんな場所に花売りの店なんてあったか??」状態。ベネデッタの花屋を愛してた人々はベネデッタに関する記憶がなくなっても、なんとなく感覚が覚えてる感じ(ご都合!!)で、店主だった少女のためになけなしの銀貨を置いて、枯れてしまった花を持ち帰っていく。とかとか。

アチレアーレってイタリアの小さな都市のはずなのになんで英語なの????そこは気にしないことだぜ、Gattini。

4年前 No.4

ramie @miyakoyuu ★5i7kTS7QPP_8QL


【どぶねずみと飼い猫】















―あたしは誰かから蔑みの言葉を恵んでほしいんだ

…そいつは随分変わった嗜好だなア

―そういったことじゃない はやく死んじまいたいの
 冷たいどぶの中で 暗いどぶの中でひとりさ

…だからそういうのを特殊嗜好だっつってんだ

―そうか あんたみたいに温いベッドに寝そべるだけのやつに分かる話じゃなかったな

…なんだって?じゃあ分かるように説明してご覧よ

―手放しに生きていたくないのさ。あたしみたいな薄汚いやつは周りからの罵声がお似合いだ
 あんたみたいに飼い主もいない、家族だっていない
 こんなあたしは誰かからの罵声が心臓に突き刺さって はやく死んでしまったらいい

…なんだ おまえ自分が汚えってのを分かってんじゃねえの
 綺麗になって 別の生き物として生きようとは思わねえのか

―そんなことができたらいいのに。生まれたときから薄汚い生き方を約束されてたみたいに、
 あたしはこんな生き方しか知らないし、できないんだ

…おれだって元は汚え玉付きの野良だったぜ
 でも今はこうして首に豪奢なネックレスを巻かれて、人間と一緒の家で飯を食らって、眠くなったら寝て

―あんたがそんなんでも、あたしはどぶねずみだ
 「そういう種類」なんだよ
 あたしはとんでもなく汚えし臭え、畜生以下のぼろ雑巾だ
 あたしなんかよりよっぽど綺麗なやつらから散々「死ね」だの「失せろ」だのと叫ばれて
 あたしなんかよりよっぽど幸せなやつらから散々後ろ指さされて尻を足蹴にされて
 そんな悪意の渦のなかにいたいんだ あたしは

…わけのわからねえやろうだ

―理解して欲しいなんざ端から思ってないさ ただあたしはあたしの存在や生き方や姿かたちを否定されることで、ある意味肯定してほしいんだ
 「おまえは汚いやつだ」は裏返しにすりゃあ「汚いやつはおまえだ」ってなるだろう
 あたしの存在確認だ この罵声のなかにあたしがいるって、あたしの場所があるって そうやって安心したいだけなんだ

…おまえ、最初は死にたいだのなんだの言ってたくせに
 自分のこと認めて欲しいだけなんじゃないのか
 死にたいなんて おまえそりゃあ嘘だぜ

――――うるせえ あたしは、









あたしは?


4年前 No.5

ramie @miyakoyuu ★5i7kTS7QPP_8QL



ハルトマン
アルカンジェリア



「綺麗なエンゼルフィッシュだってもしかしたら釣り糸を噛み千切るかもしれない」

「ありえないわ、そんなこと」

「どうしてそんなことが言える?なにを根拠に彼らがおとなしいやつらだと断言できる?」

「わからない でも、エンゼルフィッシュのように綺麗なお魚が、そんなことするわけないのよ」

「アルク、おまえってやつは本当に底なしのおめでた野郎だ」

「どうして?ひどいわハルトマン もう知らない」

「ああ おれの事なんかもう知らなくて結構だよ」



( おれが日頃なにもしないからってこれから先もおまえに手を出さないとでも? )

( おれが獰猛な熱帯魚に化ける前に おまえは勝手にどこかへ行ってくれ )

4年前 No.6

ramie @miyakoyuu ★5i7kTS7QPP_8QL


パブロフの豚














「ヴァネッタ、両手を出してごらんなさい」

母がわたしにそう言う時、母は決まって差し出したわたしの両手に甘いお菓子をくれた。
キャンディ、マシュマロ、チョコレート。見慣れたお菓子たちは、それでもわたしの目にはきらきらして映った。
小さかったわたしは、次第に短絡的にも"両手を出せばお菓子がもらえる"ということを覚えた。
幼稚園の帰り、母はよく徐にポケットに片手を忍ばせた。そしてわたしと繋いでいたもう片方の手を振り解く。それがわたしにとって合図だった。母さんがなにかくれるみたい、と期待の眼差しを向けると、やはり母はわたしに「両手を出してごらんなさい」と言い、甘くて小さなお菓子をわたしの両手に乗せるのだった。



「ヴァネッタ、両手を出してごらんなさい」

高校2年生になったわたしは、ある休日の昼下がり、リビングの壁の修繕をしていたら母にこんなことを言われた。
懐かしい。幼稚園の頃はよく聞いた言葉だったが、大きくなってから聞くのは初めてだ。
記憶を辿ろうとしなくても、"言われたとおり両手を差し出せばお菓子がもらえる"ということを思い出した。
実に短絡的な思考だった。
わたしが迷いなく差し出した両手に降りかかってきたのは、色とりどりの可愛らしいお菓子などではなく、鋭く尖った銀色の裁ち鋏だった。
裁ち鋏は勢いよくわたしの手のひらの皮を食い破り、真っ赤な血を滴らせた。わたしは痛くて痛くて、奥歯を噛み締めて呻き声を上げた。
母さん、どうしたの、と問う前に、わたしはついに矛先が自分に来たことを悟った。
母はわたしが小学校6年生の頃に、父だったひとと離婚した。父だったひとが母に離婚を持ち掛けた理由は、わたしが醜い見目をしているからだった。小さい頃母がわたしに与えた甘いお菓子の数々は、次第にわたしを家畜のように太らせていった。手足は余計な肉で浮腫み、顔はボールのように膨れ上がった。綺麗に歩こうにも太ももの肉が邪魔をする、結果歩き方はいつも外股。父だったひとはいつしかわたしと目を合わせなくなり、そのまま母となにか話し合いをして、紙にサインを書いたが最後、そのままどこかへいった。
以来母はこころがおかしくなり、衝動的にものを壊すようになった。あんなに優しげだった目元には真っ青な隈が居座っていて、わたしは小学生ながらに母が変わってしまったことを察した。母は父だったひとが好きだった。でももうそのひとはいない。2人ともいない。いるのは別人になった母だけだった。母はペンや箸で壁に穴を開け、鋏でソファを破り、時計を叩き付けて壊した。家の中は、精神の狂った母の手によってぼろぼろにされた。母はいつも泣いていた。
そしてそれから数年経ったいま、その矛先がわたし自身に向けられたのだ。裁ち鋏はまだわたしの手に刺さったままだった。奥深くまで抉られた両手は、もう既に痛みを感じなかった。異物が手にめり込んでいて、わたしの血液をひたすら一定のリズムで奪っている。そんな感覚。
母ははっとしたように目の色を変え、「ああ、ごめんなさいね 痛かったわね」と繰り返した。わたしは「いいんだよ 気にしないで」と笑顔で答えながら無造作に鋏を引き抜いた。奥で手の肉がぐじゅりと蠢いた感触がした。わざと大袈裟にテーブルの上に鋏を置くと、大きな音に母の肩がびくついたのが見えた。母は怯えたような声で「ごめんね 痛かったわね お願い許してちょうだいね」と繰り返していた。わたしはそんな母に目もくれず、再び壁の修繕に取り掛かった。
母は、「それが終わったら、美味しいケーキを食べましょうね」と言った。

4年前 No.7

ramie @miyakoyuu ★5i7kTS7QPP_8QL


美しく気高いまま終えた命と 醜く穢れても生き続ける命

果たしてあなたには どちらが正しく尊く映っただろうか

4年前 No.8

ramie @miyakoyuu ★5i7kTS7QPP_8QL


「よう 明日は幸せになれそうか?」

『どうだろう きっとまた無理だよ』


「今日はどうだ 気分はいいか?」

『まったく 腹の奥で針が疼いてしょうがない』


「今日も来てやった 調子はどうだ?」

『恩着せがましい まったく何も変わらんよ』


「なあ 今日は調子いいか?」

『ごめんね、まだ具合が悪いや』


「よう 今日は幸せになれそうか?」

『ちょっと無理かも ごめんね××、ごめんね』



「なあ 今日は」

『むりかなあ まだ掛かるよ』


「待ち草臥れた、今日はどうだ」

『むりかなあ まだ掛かるよ』


「おい いつになったら良くなるんだ」

『むりかなあ まだ掛かるよ』


「おい 今日はどうだ」

『むりかなあ まだ掛かるよ』


「まだ良くならないのか」

『むりかなあ まだ掛かるよ』


「いつになったらおまえは幸せになれるんだ」

『むりかなあ まだ掛かるよ』













"むりかなあ まだ掛かるよ"だけ録音して死んだってだけの話

いい加減電話かけるたび毎度毎度同じ声と同じ台詞だってことに気付け(怒)

4年前 No.9

ramie @miyakoyuu ★5i7kTS7QPP_SMQ

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4年前 No.10

ramie @miyakoyuu ★5i7kTS7QPP_CBR

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4年前 No.11

ramie @miyakoyuu ★5i7kTS7QPP_ClB

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4年前 No.12

ramie @miyakoyuu ★5i7kTS7QPP_nUa

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4年前 No.13

ramie @miyakoyuu ★5i7kTS7QPP_nUa




ここが桃源郷の皮を被った地獄とも知らずに

二人は揃って棺に飛び込んだ

汚らしい犬は踊り狂う

きみのかんばせを彩るその2つのザッフィーロを、どうかぼくにくれないか

どうしようもない酷暑に冬のビオラは佇んだ

甘美な女は腹の奥底に化け物を飼っている

散乱したぬいぐるみの死骸の中に彼女はいた

子羊の骨を磨り潰して粉にしたもの
母はこれに砂糖を混ぜて「お薬だからきちんと飲みなさい」と言い聞かせ続けた
わたしは今や瞳を横にしてその古き日々たちを懐かしんでいる

優しいおまえはきっと泣くんだろう

いつだって雷だけは等しくわたしを怯えさせた
晴れのように手酷くむごい期待はさせなかったし
雨のように心の傷に無遠慮に滲み込んで慰めはしなかった

人間の頭部には昔、大きな木が生えていた

この傷跡が懐かしいかい

時に寂寞は人々の鼓膜を激しく揺さぶる

ぼくは世界と交われないところにいる

その本にタイトルはない

ねえボローニャ 調子はどうだい

小さな星は水溜りに沈んでいた

激しい雨の音が掻き消したせいで、きみとわたしのさよならはなかったことになった

(だけど、)

神の両目は失われた

名前も知らない母

あなたのことを何も知らない彼女のことをあなたは何も知らない

4年前 No.14

ramie @miyakoyuu ★5i7kTS7QPP_Eca




その幸せは長続きしなかった

傘をも突き抜けわたしの目尻に降ってくるのは
雨か、それとも

地球の鼓動はまだ聞こえる

彼らは太陽に近付き過ぎたがために羽を溶かされ落ちてしまった

ブーケは花嫁の元まで届かない

最期に彼はなんと言っていた?

騙し愛

わたしたちの命は生まれたときから死に向かって流れ続ける
倒れたコップの中の水がもう戻らないように

死に損ないパープル

これ以上続かない物語などもはや、

わたしが死んだあの日の空

たしかにここにあった幸福の跡

薄紫の香気はきみを取り巻く

開かない宝石箱

今朝、はじめてわたしは笑うのをやめた

妹の骨はこれしか残っていなかった

夏の終わり、彼と出会った

9年の恋

少年の膝小僧に刻まれた勲章

この微かな声はきみに届いただろうか

百年の塔

落ちてこい落ちてこい、と必死になって願った

月明かりは彼女の涙に気付かないふりをした

ドーナツの穴越しに見たあなたに、首から上はなかった

どうかこの悲話を涙で買ってちょうだい

老兵は まだ死ねない

手を伸ばしたら距離を知ってしまう

徐々に終わりへと向かう

毒々しい極彩色の神様を前に、嘔吐かぬ者はいなかった

幸福への道は絶たれた

愛し方の違いがわたしたちを別つ

日の区切りを縫って縫ってきみを辿る

木苺追いかけどこへ行く

有刺鉄線は心臓を蝕んだ

ねこじゃらしから始まる恋も

(  ?  )

月は夜空に金の星を散らす

愛と憎の区別さえ分からないくらい彼女はおかしくなっていた

その桟橋がどこへ向かうのかは霧に隠され分からない

きみの話を聞かせてほしい

夢の淵の番人は一匹の白兎

傷んだ林檎は侵食された地球

銀のくじらは宇宙を泳ぐ

パレットに散らばるチークは

(かつてわたしが誰かのために)

同情という商品

もうこの箱から逃げ出すことは出来ないの

ぼくらに別れは必要ない

ライオンの首輪はダイヤモンドで出来ていた

一等星が泥沼に堕ちる瞬間

彼女の名前は一体なんだったか

夢の淵をわずかに漂って消えた

アンリェは今日も裏庭で踊る

晴れの日はいつも彼の姿が見えない

この世のすべてが嘘なのだと彼は教えてくれた

華々しい奴隷

巨大な月の見える丘まで歩こう

「この秘密はあなたにしか教えていないの」

あの風船の群れはどこを目指して飛ぶんだろう

子を持たぬ母

森の奥の寂しげな倒木

随分遠くまで来てしまった

この幸福が突然終わりを告げる瞬間を、彼らはずっと恐れている

あんなに綺麗な夕日はもう二度とないだろう

こんな傘では雨も凌げない

それが彼の骨だなんて一体誰が言ったんだい

やっぱり離れていくんだ

羊飼いたちは朝日を捕まえに東を目指す

この歌は誰が歌っているのだろう

零した涙が床の上で歪な線をつくり、わたしの横を這っていくのが見える。

(こいつは、どこへいくのだろう?)

閉じゆく瞼に仄暗い光を受け止めながら、冴えない頭で考えた。

(一体こいつは、誰の元へ。)



わたしの視界を、ゆっくりと鯨幕が覆った。

【咽び泣く声は見放された】

「わたしを連れていって」

返事はない。
体を支える両脚はついに力を失い、わたしの体は真っ黒い静謐に押し倒された。
わたしは酸素を求める金魚のようにはくはくと拙い息を漏らす。

尚も返事はない。

「わたしはどこ」

返事はない。外で雨がわたしを嗤った。
アナログ時計の忙しそうな足音がいやに耳につく。

「わたしはだれ」

返事はない。喉は引き攣ったままだ。
台所の締め忘れた雫たちは、みなわたしを揶揄してか、ぴちょん。ぴちょん。と擬似的な涙をこぼす。

【咽び泣く声は見放された】

寂しさが喉に噛み付いた。

痛い、痛い、苦しい。
呼吸もままならず、わたしは涙を零し、夜のしじまに助けを求めた。
返ってくる残酷な静謐はわたしの鼓膜を乱暴に叩く。
いや、叩かない。

あなたの名前はどれですか?

ノンフィクションになれない彼ら

炯炯たる眼光は今でも死の丘を見つめているか

西に聳える天国の塔はぼくらに向かって微笑み続けている

いまだに名を添えられていない思いたち

わたしたち人間はなにを失うことが一番致命的なのか
ある人は血液と言い、
ある人は心臓と言い、
ある人は空気と言い、
ある人は心と言った

(もういいじゃないか、)

秋の冷たい風は無事に雪の元に辿り着いただろうか
季はきちんと手を繋ぎ合えただろうか

きみはいつも見えない何かに怯えていた

どんなまやかしにでも騙されてあげよう

もう許してやるから顔をお上げ

鍵盤の上はきみのためだけに誂えられた特別な散歩道だ

忘れられた午後のロンリー

千の巡りはついに彼らの邂逅を許した

藍色の垂れ幕と大勢のピエロ

天道虫はかぼちゃ泥棒の少女を知らんぷり

蝶の標本は母を満足させた

掴み損ねた栄華の尻尾が ついに視界の隅から消えた

父はわたしを愛していた

70億の中のたったひとつ

いつも彼女が窓から覗いていることをきみは知らない

声を持たない彼らが互いに愛を囁き合う術

蛙の寝息と虫たちの内緒話

きみは残り30分の命

怪人は天頂への階段を駆け上がる

それで 桃源郷を探しにいったきみの姉はいつ帰るんだい

すべての人間がいずれ愛を見失う

ぼくらはみな楽園を生きている

西の時計塔は崩れ去った

もう雨の音以外なにも聞こえない

深夜 街は息を潜める

後ろ歩きで大人まで辿り着いてしまった子ども達

海がわたしを呼んでいる

もう本当も嘘も関係ない

その甘そうな果実はいつまで経ってもその木から落ちては来ない

血溜まりこそが人間の居場所だ

最早わたしたちを遮るものなど何もない

蝉の死骸は夕日に焼かれた 夏もきっともうじき終わる

音のない夜は不穏の種を運ぶ

海の底で死んだ彼は、最期に母親の腹の中の記憶に縋り付いたに違いない

いつかぼくを思い出して

海の端はきみの目尻へと繋がっている

ある天使が生きた14日間

冬の気配はすぐそこに

西の天空に遊ぶ金星は朝になると身を潜める

「その苦痛に終わりがあるだなんて言ったか?」

初めから退路なんて用意されていなかったのだ

トランプを一枚一枚ひっくり返していけば、いずれそれは見つかる

きらめく空はすべて幻想

おまえの居場所はほんとうにその家なのか

(ここで名前を口にするのはタブーだ)

きみはどんどん大人になっていく

またわたしは失くしてしまうのか

世界は晦日に羽化を始める

それが最後の願いか

わたしの腹は水槽 そこでは幾百の毒魚を飼い慣らしている

今日もこの窓から見えるのは曇り空だけだ

繊細な砂の底に眠る

月が砂漠に沈む頃に彼らはやってくる

水飴と古い置時計

罪の意識は日常に溶け込んでゆく

その濁った瞳はきっと二度と夢を語ったりはしないのだろう

きみの生は誰にも祝福されない

菊の花は池一面に浮かぶ

ただで愛が手に入るとでも思っているのか

よい旅を

月の裏のオーケストラ

何も知らない瞳はたいそう美しい

「もしかしてわたしを疑ってるの」

木箱の中のささやかな幸せ

花嫁の成れの果て

彼女はなかなか笑顔を見せてはくれない

山羊は母の遺体を探して歩く

それが彼の最期だったなんて誰も思わなかっただろう

今日ですべてが終わる

4年前 No.15

ramie @mtreho ★xvn8lPL9nH_Eca




祖母はその昔、首切り役人だった

ぼくがこの子の命を握っている

1世紀巡って、やっと許されたのだ

父は来る日も来る日も、「すまない」と誰かに謝っていた

花柄の喪服

悲しみの大河が海へと繋がる前に

彼女はゾートロープに連れ去られた

今度こそ 子どもたちが笑っていられる世界へ

初めて会ったはずなのに、わたしはあなたの口癖を知っている

甘いお菓子は黒い未来

あなたは忘れてしまっているだけだ

濡羽色の長髪は、まるできみの顔を隠すように

食い散らかされた椿の花

彼女の墓はいまだ見つからぬまま

きみは1000年前に消えた

美しい殺意

爪の間に真っ赤ななにかが入り込んでいる

こんなことならいっそずっと夜が続けばいいのに

みな何かを殺しながら生きている

わたしたちに隙間を作るものなら、世界すら取り去りたい

危ない道ほど甘い匂いを漂わせているもの

母のいない聖夜

雪の連なる平坦な道を、きみは嬉しそうに歩く

氷になったあなたは日に日に溶ける
時も空間もみなあなたを許しはしなかった
悲しくてわたしは、あたたかなこの両手で
最後のあなたを抱き締めた

腹の中になにかいる

あるときその男は闇夜を背負ってやってきた

あの日あの時人々はみなそれぞれ何をしていただろう

走馬灯が嵐のように襲い掛かる

世界は終わり方を知らない

雪のにおいときみのにおいは似ている

お願い、騙されて頂戴

純粋に生きようとすればするほど痛い目を見る

ぼくらの夢は最初から大人の餌だったのだ

真っ黒に塗り潰されるよりも酷な仕打ちだった

やさしくしないで

それじゃあ行こう

「初めは軽い気持ちだったの」

雨はたいそう上手に化けてくれる

突然降ってきた幸福に、動揺した彼女は慌てて手放してしまった

氷の繭玉で眠る

まさか缶詰の中に

真冬の美しい魔物

たとえあなたが殺してくれと言ったとしても

日向の欠片は踏み躙られた

ここからは見えない月の裏側の亀裂

どうして言ってくれないの

きみのそれはまだ温かかった

砂浜に残る幼い足跡は、程なくして波に攫われた

烏の群れがこちらへ逃げてくる

諦めてしまえ

4年前 No.16

ramie @mtreho ★xvn8lPL9nH_Eca



この広い墓場のどこかで母が嗤った

おそらくこれは惨くも幸せな話

連れ帰った心臓は部屋の隅でわたしに怯えている?

悲劇とポップコーン

もし地球が真っ赤なヴェールを纏った花嫁だったら

どうかきみだけは幸せになってくれ

想いを全て殺せ

わたしは砂に溺れた深海魚

雪の上で彼女は幸せそうに死んでいた

その波は彼女の目元で静かに満ちたり引いたりしている

夕方のマリア像

この楽譜が何千年先まで残りますように

今思えば、あれは夢だったのかもしれない

雪の名残はエリカの鼻先に

お母さん、薬の時間よ

つまらないきみの話

午前3時の呼び鈴

これくらい耐えてみせなくてどうする

今夜限りの星の川を渡って

弔いの花束は海底に眠る

ぼくらの求め歩いた今日がこんな色をしていただなんて

今度は苦しくない方法で

その二文字はあまりに重い

清らかな水の声

その木は水中に根を張った

この花の名前が分からないのならお家にお帰りなさい

わたしの娘はよく寂しそうに笑う

きっと初めから、棺に帰ることが決まっていた

人生のタイトル

ホットココアの溜め息は白い

二度ときみの瞳の色を見ることはない

ぬいぐるみを抱きかかえた幼い少女は、大きな姿見に見知らぬ女を見た
髪を乱し隈の染み付いた目をぎらぎらさせながら一心不乱に薬を貪る女を見た
幼い少女ははっとして鏡を蹴倒した 彼女は知ってしまったのだ

エメラルドの鏤められたスカートを翻し

乾いた床に横たわるアルバム
もう写真は一枚も入っていない

今夜は海の上に幾多の月が浮かぶ

修道女たちの悪巧みは十字架を焦がした

ショーウィンドウの中の幸福

あえて彼らは別々に埋めよう

懐かしさに抱かれて眠る

おまえの逃がした魚は何色だったんだい

彼女だけは片時も離れずあなたが線路を作るのを見守っていた

わたしより少し幼いわたしは寂しげに手を振った
未来のためにわたしはそれを見送った

うたたねのさなか

花火が照らすのは一筋の

木漏れ日と白昼夢と誰かさん

窓から迷い込んだ子守唄は腰を下ろすための耳朶を探している

きみはまるで花嫁のような純白に身を包んだ
尤も、その目が覚めることは二度とないけれど

人間の贖罪のために神へと捧げられた子羊

彼女に貸したわたしの両腕が戻ってこない

彼の言葉をどこまで信じたらいいのか

4年前 No.17

ramie @mtreho ★xvn8lPL9nH_Eca




真冬の向日葵

夢に沈む恋人たち

月は夜空に食われてしまった

きみは悲しそうな顔が一番きれいだ

缶コーヒーの中の魔物

冬の真っ白い呼気にきみは笑んだ

砂漠に埋もれた宝石

空いっぱいの飴玉

果たしてそこに愛はあったか?

赤い月は日を追うごとにわたしとの距離を詰めていた

(母は何語を話している?)

この飼い主はよく嘆息を漏らす

「愛のない執着はあれど、執着のない愛はないのだ」

いつか再びこの名前があなたの耳を通りますよう

見ないふりを装おうと目を反らした先に、

その記憶は、真っ白い天井から始まる

明くる朝、庭の奥で夜の足跡を見つけた

きみが漂うこの人の海のどこかに
いつだってわたしがいるということを

神は自らの子である人間を忌んだ

その幼子はにんまり嗤ってみせた。

夜空は真っ黒い怨嗟の池

冬の星座と覚めた夢

窮屈な愛

この花は咲いてくれるか

知っていて言わなかった

誰かわたしにとびきり美味しい薬をください

自由と名の付いた鳥籠

一体いつになったらきみは幸せに慣れるのか

狂ったコンパスのSOS

麦わら帽子の裏に隠された愛らしい陽光

あなたの心は一体どこまで転がり落ちる

虹が見たいか

輝くビー玉たちは雲になって消えた

楽園から逃げ出した末に

理想と風船、現実と錘

お願いだから目を覚まして

わたしの上にだけ降る雨

線路はここで途切れているようだ

(こっちへ来るのが早いよ)

天頂に輝くあの一等星を盗み出せ

どうかあなたの手で

どうにも辻褄が合わない
あの女は嘘をついているに違いない

昨日まで鮮やかだった花の色

我が子の泣く声が喧しい

世界一悲しいエイプリルフール

2人分の塩水の湖

とびきり美味しい赤ワイン

泣くことを忘れた赤子

雪は白く夕日は赤い 空が青ければ土は茶けている
では人間は。

小指ほどの大きさの宇宙


きみの幸せな未来にぼくはいない

激しい雨音が掻き消した、母の最後の言葉

雪の名残

たった一人生き残った旅人

三日月の帆を立てて夜の海を渡る

母はわたしの言葉に口を噤んだ

A子は内緒話が大好き

このまま眠ってしまえ 空も世界もなにもかも

寝台はすべての罪人を抱き留めた

形振り構わず喉を鳴らせよ

暗然はいまだ霧散せず立ち込める

常に恐怖だけは忘れてはならない

彼女は寂寞の裏へと還っていった

この叫び声は一体誰の元へ届いただろう

彼のような男にはおそろしい毒が必要

海の青は二度と見えない

今の人間たちのために過去に死んでいった人間たち

その傷だらけの手で掴もうとした未来は何色だった?

あの時の少女はまだわたしの背後で微笑んでいるか

地を這う鮮血はあと数センチでわたしの踵を捕まえる

猛る呼気に子猫らは怯え惑う

死より惨い末路

この世の何よりも鮮やかな間際

10年前のボイスレター

お預かりしているメッセージはありません

おそらく、彼の目にはもう何も

そこは小さな海だった 波がとぷんと揺れて、青色の夕日が潤む ただ、その海にサカナやヒトデなんかはひとつもおらず、そこに溶け込んでいたのは悲しい色だけだった

3月の寒さはなんだか心地がいいものね

たった1つ願いが叶うのなら、せめてこの手が届けばいいと思う

水の都は日暮れを迎え入れるとより一層美しくなる

少年は生物と植物の狭間で無意識に戸惑う

屋根の上の晩餐

真っ赤な椿は雪上に咲く

野獣の子どもは2本足で歩くことが出来た

きみといた夏は雲になって遠くへ流れていった

死んだものへの執着

蟻たちはキリギリスの死骸を取り囲んで口々に言う、

朝日がそんなに怖いか

幕の裏側での密会

一番死にたくなかったのはあなた
一番生きたいと望んでいたのもあなた
けど一番遠くへいってしまったのもあなた

(今わたしから何ていう言葉がほしいの)

夏空はあの日見下ろした先のわたしたちのことなど最早覚えてはいまい

あと一歩できみに手が届く距離で橋は途切れている

母を飼い殺した

黒猫は月を背負い踊る

種はあなたの腹の底で今まさに芽を出している

夜しか生きられないものども

終わらせられた物語たちの墓場

カーテンの隙間から見えた凄惨な月

世紀末の真っ青な太陽

冬の星座と誰かの横顔

もはや人々は終わりを望んでいた

旅人が愛した一つの歌

東の太陽、西の夕日
北の踊り子と南の商人

鋭利な月光が母の左胸を突き刺した
見ていたわたしははっと息を飲んだ
次の瞬間、母は真っ赤な目を開いた

わたしは傷が薄くなるのを恐れている

あの日の青い歌などもう忘れた

あなたはいつだって違う誰かを見てる

ねえハルトマンお願い扉を開けて

いつまでもあなただけ、と一体何度吐いてきたことだろうか

その時わたしは、自分の本来いるべき場所が水の中であることに気付いた

哀れな女に餌を与えるな

「また明日」を過ぎて10年間

墓の下も母の腹の中もみな同じ

彼の遺作はいまだ日の目を見ない

地平線に埋まる寸前、太陽はあやしく笑んだ

込み上げる嗚咽は悲しみか、

それとも遠くへいったきみへの懺悔

目が覚めたとき、腕の中には骨しかなく

焼けた足の裏は母の涙でしか癒せない

ひとは皆これをなんと呼ぶ?

イイヒトはすぐ死んでしまう

苦しくなったら息をおやめ

幾百もの左手がわたしの足首を引っ張る

宵闇の底で待っている

終わり際の世界の咆哮

ビー玉の転がる先に、塩辛い池がある

悪夢の影に閉じ込められる

白い空に浮かぶのは真っ黒な、

両手は既に縫い止められた

下民の嘆願と神の哄笑

何度見直しても彼女の顔の違和感は拭えない

桜貝は冬の海で助けてと嘆いた

水の底の聞こえない演奏会

星の合間を縫ってきみの夢の中へ

砂浜には夥しい数の人魚の死骸

あの夏の話はよしてくれ

もう死しか残されていないと言うのなら

赤い糸と血管、愛と心臓

美しい宝石は真夜中になると決まって妖しく光りだす

音のない悲鳴は夜のしじまに霧散した

その綺麗な言葉の表面をコーティングしている汚い気持ちを
わたしはとっくに知っている

あの子の笑顔はいつも化粧品の色をしている

誰にも祝福されない誕生日

それは蛇口から際限なく漏れ続ける

明日の話をしよう

黒い涙は何の涙

終焉の足音はすぐそこまで

どんなに心をひっくり返したって言葉の粒が落ちてこない

叶えたい夢ならとうの昔に椿の花弁と共に

結局2人して、最後までそれが間違いだとは気付かなかった

4年前 No.18

みやこさん @miyakoyuu ★5i7kTS7QPP_VrM




あなたの握る世界は飴玉より小さい

愛のある毒


おまえの殺意は美しい真紅だ

彼女の眠るさまはいつだって死んだように静かだ


おやすみなさい

でもね 仕方ないの

こんな夜はもう一度きみに出会えそうで

あなたにとってのどうでもいいこと

何も考えなければ幸せなままでいられたのに


おまえだって幾多の血の海を泳いでここまできたんだろ

墓のくせにやかましい

最後の桜吹雪

カタンザーロの商人が売り飛ばした赤子は今


きみがいた場所

涙を流す義眼

彼の故郷は地図には載っていない

あの部屋でずっと泣いている


わたしたちは二度と会わないほうがいい

話したいことならたくさんある


敵同士でありながら

一体今までどれほどの人間がこの子の体を踏み付けて行ったのか

今日は一人で帰りたいんだ


抜け殻になった

彼は元気にしているだろうか

あなたのいない世界での生き方

待つことには慣れている

泣き疲れた彼女が最後に選んだ道

すべての情動を取り去った夜の海


赤を咲かせてはいけない

今でも彼の亡霊を見る

だってきみが泣かないから

母は水のやり過ぎで花を腐らせる人だった


痛みだけがわたしに生きていることを教えてくれる

どうせ何も変わらない

夜明け前の音楽隊


眠らない闘志

とうに色褪せた愛に縋りながら

お願い 嘘だと言って笑ってよ


華やかな惨劇


もう誰がわたしの味方なのかもわからない

またの名を呪いと云った

彼の企みは彼女の腹の中を泳ぐ

いずれすべての願いが眠りにつく

きみを忘れてあげるために出来ること


戯曲とはわたしたちの人生の名前

今夜すべてが生まれる


これでやっと救われる

なにもないばしょ


いつからか温もりを求めることをやめた

恋情の残骸は早めに始末しろ

どうか美しいままでいて

少女は業苦に耐えかね死んでいた

わたしたちはどこへ行けばいい

もう死に縋ることしかできない

鍵をかけた部屋の奥で

今夜は真逆の空と海


華やかに散りたいなどと思うな

ついにその子どもが帰ってくることはなかった

まだきみがきみであるうちに

「天国へいけない彼らはどこへいくの?」


ハッピーエンドへの道は冷たく暗い

また太陽を見失った

涙は凍る

ぼくが死んでも世界は生き続ける


真っ赤な地面に立ったときの高揚感

きみが嘘笑いに失敗する日が来ますように

ショーウィンドウの中の幸福


わたしたちが武器を捨てられる日は遠い

最期に彼女が望んだのは ほんの些細なこと

蟻たちはキリギリスの死骸を取り囲んでこう言った。

その一秒が永遠に変わるとき

次の朝には冷たくなっていた


あの感触を もう一度

肩は重くなるばかり

「もう二度と」を何度も繰り返しながら


今更願いも希望もなにもない


これでやっと終われる

あなたからの嘘は救いでもあった

あの時やり残したことをしよう


きみの声さえ聞こえないふりをしてわたしは走る

昨晩見かけた溝鼠はおまえと似た顔をしていたよ

そう言って彼は目を眇めて笑った。


手段を選ぶ必要は無い

どうか今は振り向かないでほしい


そんなにもそっちの水は甘いか


弱音を吐いてはならない

わたしには脳が2つある

それを愛と呼ぼうが呪いと呼ぼうがきみの勝手だ

きみはこの電車に乗ってしまうんだね

いつか今日を思い出して


「わたしも明日がほしい」

どうして誰も教えてくれなかったんだ

我欲に身を食われるなよ


やつは夜目が利く

代わりのものを寄越せ

はずだった


身代わりとして生きなさい

どうしたって悲しみを避けることはできない


あの子は戦場にいるのが一番似合った

褪せないものなど無い

体中の青痣は愛の証だった

ルージュを拭い去って

わたしの幸福のために誰かの幸福が死ぬ


「こんなに汚れてたんじゃあママにも会えない」

今この肩を抱いてくれる人はいない


今だけは最愛の名さえ忘れて猛獣として駆ける


彼はひとりで死んだ

きみとなら空の果てへだって

溢れ出る憎悪に際限はない

綺麗な悲しみ

明日は笑えたらいいね


なんて心地良い雨

いつからか家は小屋になり
小屋は墓になった


これは地獄行きの列車だったのだ

甘い飴玉だと思って口に放り込んだら

今だけは罰に打ち拉がれていたい


潤んだ瞳の奥に潜む魔物


「星の散る海はみんなの墓標だ」

きみの笑顔が遠い

午前3時の秘め事

死はわたしたちに与えられた最後の救いだった


ほんとうは誰も悪くないんだ


息を呑むほど美しい化け物

お願いだから言うことを聞いて


わたしの祖母は若くして戦場に散ったのだそうだ

あの日から変わらず笑んでいた

老兵は まだ死ねない


彼の最期に間に合えなかった

みすぼらしい少女の声を聞け


今からあんたの敵はこっちだ

きみは家路を見失う

空はあんなにも遠かっただろうか


戦う理由もなければ戦わない理由もない

きみの幸せはわたしから供給されている

砂の底へ潜る


今日の分の食事


彼女は血の味に歓喜する獣になった

母が用意してくれた道


それは同時に罰でもあった

馬鹿女は悋気に踊る

夢の淵の番人はよく見知った顔をしていた

神様の愛した芝居小屋は、名を「地球」というらしい

焦げた羽を必死ではためかせ


わたしだけの勲章

おまえはいずれ憎悪に食い殺される

黒い揺籃は赤子を魔物に仕立て上げた


この有様ではどれがきみかも分からない

あなたの愛情が指になってわたしの首に強く絡み付くなら
わたしはそれで死んだってかまわないんだわ。

花が咲く日はまだ来ない


羽を毟り取られた小鳥たち


思い出のバレッタ


逃げ切れたつもりだった

対価として連れ去られたきみ


血と臓物の温かさに咽び泣いた


帰ったらみんなで


刃を交えねば生の実感さえない

きみの家はここよりずっと高い所にある

すべて肉塊に還る


どうか最後の慈悲を

子猫の仕掛けた巧妙な罠


花束と共にねむろう

はやくわたしを見捨てて

かわいいあなたの喉笛

そして少年は星への道を辿った


殺した分だけ死んだ

去年の暮れに
わたしは誰を失ったんだっけ


おまえの業をゆめゆめ忘れるな


あなたのためなら死だって怖くない

いつもつまらなそうな目をしている

エメラルドは死なない

蝋燭の光だけが明々と

★今日の雨は少しだけあたたかな赤


彼らは互いの血を交えて死んでいた

幸せな少女は今も夢の中を


( さまよう )

おまえに太陽の下は似合わない

その過ちは心地が良かった


そのために用意されているのだから


届けられなかった

終わりと始まりの狭間は永遠に続く

ノンフィクションに生きるわたし達はフィクションを嘲笑する

そこで終わりたくはない


サバイバーズギルト

罪悪感に身を浸す


果たして彼らは哀れだっただろうか

あるはずのない写真

ずいぶんと懐かしい夢を見ていた

夜風はこんなにも冷たいのに


最後に見る景色があなたの泣き顔だなんて幸せだ


白む視界で誰かの影を見た

如雨露の中の街


記憶の中の母の笑顔がかすむ

無理に見ようとしなくていい

海でなら生きていける気がした

愛と宗教


あの子が人間だった頃の顔

彼女は巨大な地図を作ろうとしている

わたしたちはなにを躊躇っているのだろう


骨の道はわたしの足元まで連なっていた

やつらは愛を持たない種類の生き物


こんな姿になってまで

月明かりは深海に住む彼女にとって救いであった


心の音はとうに途絶えた

きみと見た海は今

あの鳥の群れの中に あの花畑の中に あの満天の星空の中に


神はついにわたしたちを見放した

今の風がなにを攫って行ったのか

楽園の皮を被った墓場


あなたが生きているだけでいい

大きな水溜りにたくさんの傘が遊ぶ

口直しなんていらない

ぼくらの夢へ行こう

夜空に一人きりの太陽


蛇は地を這い息絶えるだけ


すべて燃やし尽くせ

最後の星は花霞の奥に沈む


「約束、守れなくなっちゃった」

2人は今でも泥の底で眠っている

ほんとうの目当てはこっち

話はこれで終わり


救護班の裏切り者

みんなが孤独を抱えて生きている


わたしたちは日常から追い出された者の集まりだ


きみがいつ帰ってきてもいいように

毒と薬は紙一重


( はやく終われ )

前日はひどく穏やかな夜だった

起こることはすべて最初から決まっている、日々それが実行されているだけなのだと彼女は言った

なんてずるい言葉なんだろう


誰がおまえの助けなんて借りるもんか

ご機嫌な傘


無価値な世界だ

こんな凄惨な月をわたしは一生忘れないだろう

忘れたふりすらさせてくれない


清流の如く 天空の如く 疾風の如く 劫火の如く


ついに彼女の飼っていた毒魚は死んだ

まるで「まだ消えまい」と足掻く小さな炎のようで

ひとたび枯れたらもう二度と

月が砂漠に沈む頃に彼らはやってくる


彼女の腹の奥に眠る猛獣

美しさには脆さがともなう


命の奪い合いはきみの瞳を濁らせた

既存のキャラクター

( 時間が経つのははやいね )


最後に見た背中は

息絶えた向日葵の根元で

死者とともに坂道をゆく

何も知らない瞳はたいそう美しい


艶美な人間兵器


勝利の末の暗い未来

( もういないんだった )


初めは誰一人として信じていなかった


もしもの話をしようよ


いつからかこの冷たい風が心地良くなっていた

最後の朝は幸せな朝だった

鋭利な愛

みんな一人で生まれてきた


死はいつでも背後にいる


金属を引きずる音

暗い森の奥の断罪

少女は自分のいない未来を恐れてはいなかった


今夜の空は荒れるだろう

彼女はゾートロープに連れ去られた


「 なんでそんなになってまで笑ってられるんだ 」


それは武器庫の奥から聞こえてきた

夢を見ていることにさえ気付かない


まだ死にたくない

自ら苦痛を選んだ理由は

水溜りの向こうへ

花はすでに食い散らかされた後だった

墓守娘の墓守娘


美しい殺意


爪ひとつで充分だ

ついに黒い幕が上がることはなかった

みな何かを殺しながら生きている

形あるものには必ず訪れるもの

わたしは彼を一生許しはしないだろう


最後の砦は最年少の少女


人並みの生活と幸せについて

最後のあなたを抱き締めた


昨日までとは違う色の空

功と罪はときどき真逆に入れ替わる


真っ白いスカートが深い赤に染まるとき

夜の海は誰かの瞳に似ていた

母は時々わたしを家具と見紛う

もうおかえりなさいは言えない

意味のない笑顔はきみの悪い癖


彼女は戦場に立ちながら清く生きた


ぼく達の夢は最初から大人の餌だったのだ

視界を塞がれたまま放り出された子ども達に
どこが前かなんて分かるはずもない


別の生き方だってできたはずだ

「 これで無事に諦めがつきそうだ 」


彼らとわたしは別の生き物なのだと思い知った

雨はたいそう上手に化けてくれる

それはひとりの人間が生まれてから死ぬまでの記録


飛ぶことさえ忘れて夢を見る


目の前に広がる墓の群れがすべての結果だ

真冬の美しい魔物

幸福感に包まれながら

雨に反射された光が目に飛び込んで


欠陥だらけの戦士たち

3年前 No.19

みやこさん @miyakoyuu ★5i7kTS7QPP_VrM




また夏になった


わたしたちが空も地も海も汚した

幸せは穏やかに腐っていく

妙にリアルな夢を見たせいで、またわたしは今日を見失う


そうすることでしか逃げ道がない

もう少しで言えたのに

涙腺が馬鹿になった


今もきみの骨を捜している


試しに切り裂いてみようか

あなたの心臓の音が聞きたい

きみは愛を覚えた

これはわたしの夢の形


彼女の鱗はすべて剥落した。


人はいくらでも死ぬのに

( どうして争いの息は絶えないの )

すべては絵本の中のできごと

あなたに残された時間はあとわずか

もうこの手はきみに届かないだろう


なにもかもが終わった後 雨の音だけが鼓膜を激しく揺さぶった

この延長コードの先は

彼女はあの日崖の下の花になった


戦場のうた

今日もわたしへの餌はこれだけ

もう一人になりたくない

電話の音は止まない


彼女は笑いながら泣いていた


凶悪な笑顔

「二度と会いたくないです」

きみが贈ってくれた花


1+1の計算の手順より装填の手順を

すべて美しい形骸に還る

綺麗なものだけに触れて育った娘

心臓の損壊


失うことを恐れてはいけない


こうして幼いうちから命の奪い合いを覚えたわたしたちが
大人になって普通に生きられるわけなんてなかったのだ

墓の中で、とぷんと羊水が揺れた

兄の背中の火傷


最後にきみの手を取れてよかった

ふじのやまい
不治の病
不死の病

意味を持って生まれてきたものなんてないのだと彼女は言った
それは予め用意された絨毯を歩くのと同じだと彼女は言った
みな生きていく中で各々の意味を見つけるのだと彼女は言った
きみはもう見つかったのかと問うた僕に、たった今、と彼女は言った


踊れ 歌え 煉獄の中で


真っ白だった心は戦火に焼かれた

もう欲しい言葉を歌ってくれる口ではなかった

せめて笑っていてよ


地鳴りを初めに聞きつけたのは彼だった

しあわせを運ぶ黒い鳥

それは大昔「ヒト」と呼ばれたものの骨

それ、なんの赤?


調教師はわたしの成長ぶりにひどく驚いているようだった


最終兵器は目覚めのときを待っている

白昼夢の中で誰かがわたしに手を振った

母はよく踊る女だった


明日も生きていられますように

瞳は砕け散った


あの約束は結局うそになってしまうんだろうか。

きみがくれた道標

伝染する火傷痕

もはや遠い昔の話になってしまった


「わたしの死がみんなの希望になるなら」

凶暴な純情


最後には引き金を引かなきゃならない

きみはついに鱗を脱ぎ捨てた

あれが悪夢だったのだと知るのはもう少し先の未来


結末は誰も知らない


黒い海は果てない

少しだけ苦い夢

本当の終わりは誰も知らない


あれが最後の会話になった


叶いもしない夢をきみと語ったあの日

星のような飛沫


この錆の理由にきみがいる

飼い猫のリビーは、よく後ろ足だけが汚れている

そうして暗い湖の底へ


あの日以来のどの奥の血の味は消えない


勝利を祝福する鐘がこんなにも虚しい

決して明るみに出ることはない
彼らはそういう生き物なのだから

いつしか人は幸福を忌んだ

あと少しだけ生きて


怨嗟だけで戦ってはいけない

愛されているきみへ

あまりに幸せだったので


わたしの剣はなにを裂くべきなのか


あれらはみな焼却炉へ行く

それは心臓まで凍て付くような冬の朝

母は息を潜めてこっそりわたしを置いて行った

好きになってごめんね


武器が重みに耐えられても彼女の心は耐えられないだろう

なんだか今日は気分がいい

あたたかな雨

虹色の恐怖に襲われる


降り注ぐ光の中で 彼女は踊っていた


「ぼくも一緒に罪を背負うよ」

わたしが歩くことを覚えたあの日から
一体どれほどの距離を歩いてきたのだろう


あの日言えなかった「ごめんね」

わたしとあなたしかいない街

真っ黒い夜空が月を食い潰す頃

あの大きい犬は「待て」が苦手だらしい


噎せ返るほどの涙のにおい

彼女の濁った唇も、かつては花や蝶を語っていた

彼のような人は暗闇で生きるのが好きだろう


昔の誰かの言葉がいつも枷になる

そうして姫は天へ昇っていった


たった今わたしは獣になった


昨日までは2人だった

「いつかこんな景色が見たいね」

棺を開けてはくれないか

あの子のあだ名が思い出せない


これが悪い夢なのだと思い込むことしかできない


彼を犠牲にしてまで

それを肯定してくれたのはあなただったのに

あまりに軽すぎる命


その光景はまるで一斉に星が降ってくるようだった


たしかに生きていた

「今日からここがきみの家だ」


幼い頃に母が語ってくれた夢を思い出した

水平線はわたしを優しく手招く

許しが欲しいなら祈れ


刃にこびり付く肉片を見て彼女は


それはたしかな高揚感だった

ひとはいつ初めて恐怖を知るのか

綺麗な言葉で着飾った悪意

食い意地の張った妖精

海は底へいけばいくほど明るかった


使い捨てぼろ雑巾


その鮮烈な赤は涙にも見えた

雨はきみを美しく見せる


愛など存在しないステージ


骨はなかった

それは学校の片隅を這い回る

逃がしてやろう

さあわたしを傷付けて


終戦のうた

傘がいくつあっても足りないほどの

それは誰にも気付かれないような小さな祈り

わたしの未来ならあげるから、


おいしいものがたべたい


それがあの子の最後の温もりだった

妹は今も遠い砂漠のどこかにいる


わたしは悪魔だから泣かない


愛情の籠もった殺意

あたしの幸せはママが握っている

孤独の気配は常に背後に

彼のだらしない性生活


「そいつの顔は見たか?」

宝石は転がり落ちる


彼は優しいが賢くはなかった

少女はいつも冷めた目で母親を見ていた

陳腐なラブソング


怖がらないで


きみの双眸はそんなにも夜空のようであっただろうか

やっと触れることができた

わたしの帰りなんか待ってなくたっていいんだよ

月も太陽も昇らない

風に逆らったが故に鳥は落ちた


心臓から涙


きっといつか わたしが生きていた事すら

最後の最後でその人の名前を呼ぶのか


日常はここまでだ

欠片は地に触れた瞬間から消えていく


死にゆく彼らは音もなく


わたしの血肉が憎きおまえの渇きを満たすのかと思うと

わたしの腕の中をきみの墓場にしてあげる

かぷかぷ笑ったのは誰だったのだろう


ここは世の果てだ

ぼくは知らないふりをするだけだ

ペイント戦争 イン東京


手向ける花などない


世界はただあるがまま

きみの心はわたしの近くにはいない

翼を持ってはいけない

きみを食らわば魂まで


ここには綺麗な音なんてひとつもない

きみの声ひとつで心臓がひどく震える


血飛沫が当たり前のように頬を汚す

せめてあと少しだけ
この真っ黒い虹の下で泣いていたい


この戦火の向こうにきみがいる


目の前で綺麗な花が散った

あなたがそうやってわたしの心を乱すせい

血を手繰り寄せ涙を置き去りにした


せっかくきみから貰った髪飾りを


綺麗な色に染まった唇を吊り上げて

蜃気楼は微笑んで消えた

恋に落ちるその一瞬に永遠に溺れていた

この時間がずっと続けばいいのに


永遠に終わらない命を持つものが一つだけあるという

( それが「争うこと」だと知ったのはこの地に立ってからだ )

雨季に忘却


もう人並みの幸せは掴めないだろう

この体はただの容器

冒険家の掴み得なかった空

めだかの心臓


ここは血と悲しみの坩堝


傷が癒える暇もなく

雪の舟

まだきみの手は汚れていないだろ


「 過去の自分なんて死人も同然だ 」

( 次は幸せになりたい )

もう暫し奇跡を待て

いくつもの黒い朝を越えて


大きな川を渡る夢を見た


今わたしが命を預けられるのはこの槍だけだ

初めは誰もが無力な子どもだった

3年前 No.20

みやこさん @miyakoyuu ★5i7kTS7QPP_JsZ




もうわたしがいくら愛を注いでもそれは抜け殻のまま動かない


乱反射のなかにきみの影を見た


負け犬のわたしを空が嗤った

あの夏の彼方へ

きみの一番になりたいだけ


「人殺しなんかしたくない」と笑って引き金を引いた

お母さんは夜になるといつも家を出て行く

どうして気付いてやれなかったのか

きみが心を明け渡してくれた日

あなたの見たくないものはわたしが見てあげる


骨の海はいずれわたし達も行き着く場所

この夢が終わらぬうちに


なにもかも捨ててここへやってきた

あの人に伝えて


最後に交わした言葉

"普通"から追放された人たち


泣くことくらいは許して


あんなに仲が良かったのに

今日も彼女は誰にも気付かれずに咲いている

ガラス玉の中の2人

あの人はまだわたしが帰ることを許してくれるだろうか

左手の薬指を失った少女


「甘いお菓子も争いも どちらも人がやめられないものね」


そうなるにはわたしたちはまだ幼すぎた

「もう少ししたらここを離れなきゃいけない」

さほど美しい花ではなかった


わたしにはもうこの体しかない


幸せを掴み損ねた者らが集う場所

夢の始まりはどれほど前だったか

手首は日を追うごとに細くなっていった


期待した数だけ蹴落とされた

汗と涙は睦み合ってシーツの海へと消えた

今度は誰の犬になればいいんだろう。


自らの行き先も分からぬ風船のように

100年の夢の中で何度あなたの影を見たことか

わたしなりの幸福のあり方


母の顔などとうに忘れた

彼女の愛した船は波間に死す


おまえの名前を言ってごらん

幸宿り

きみの瞳はなによりも雄弁

誰かがわたしの欠片を拾ってくれますように


きみは世界を呪いながら死んでいっただろう

また出会えるだろうか


母を殺したのは


わたしの真っ赤な揺り籠

それで枯れた世界が潤うのなら

もういっそ夢でもいい

嘘つきの嘘は本当


「雨なんかよりぼくの方が上手く誤魔化してあげられる」

それは涙と共に流れていってしまった

きみの嘘はわたしに優しくない


午後の種明かしまでお互い生き延びよう


火に包まれるのだって怖くはないよ

わたしの涙が誰かの喉を救うなら
誰かの指がわたしの涙を掬うなら


平穏は遙か彼方に

どんなに待ってもあなたは来なかった

きみに許されたい


最期は焼けるように熱い


どうか望みを捨てないで

雪の上で蹲って泣いていた

空のこの器に中身を注いでくれる誰かを探している

どんなに小さくても


きみが隣にいたのは昨日までの話

ぼくらはひたすら朝を待った


それは感情移入の必要ない相手


そんな骨なんて暖炉にでも焼べてやれ

風に靡くカーテンはあちら側へ帰りたがっているようだ

もうじき終わるぼくらのモラトリアム

今なら月に手が届くかもしれない


彼の死など詮無き事

また一つ灯りが消えた


嘘でもいいからわたしのために泣いて


賢い命乞いのしかた


「そっちは彼岸だぞ」

わたしを見てくれない目なんて

気付けば彼の背中を見失っていた


みんな自分の墓場を探すみたいに

★血塗れた微笑みはたいそう美しかった

練れ気者同士の純愛

空を知らぬまま死んだ鳥のようだ


彼は死に急いでいる

あなたはわたしをどこへ連れて行ってくれるの

きっと棚引く朝霧の向こうへ消えたのだろう

おさなごは死を理解できない


きみの涙を拭うための右手も
きみの頭を撫でるための左手も
気付けばどこかで焼け落ちてしまっていたようだった


それはあまりに自然過ぎて


綺麗なお着物ぬぎすてて


戦争のない世界での生き方なんて

2人目のわたしは母に愛してもらえるだろうか

あなたの後ろ姿は遠くなっていくばかり


あの女は敗北の呼び水だ

太陽は道をたがえるぼくらをいつも監視している


この体にも鉄が流れている
我が身さえも武器と同じ


しっかりとつかまっていて

「春になったらまたここへ来よう」

いつからか泣くこと以外を忘れていた


どうか彼のもとへいかせてください

きみに見つけてもらうことは叶わなかったけれど

わたしはここにいた

押入れの奥には


戦場だからこそ綺麗に着飾っていたいの


じきに火の手はわたし達を捕らえる


その日が来たら
きみは笑うだろう
わたしは泣くだろう


「飾り房は真っ赤なのがいい」

きみの住処は厚い雲の向こう側


聖母マリア像は埋葬された

たくさんたべて。

そうして彼女は神様になった


最後の呼吸は聞き届けた


卑怯者どうしの駆け引き

彼が誤解されるような言い方ばかりを繰り返す理由

月はにたりと笑んだ

もう隣に体温はない


決して見せないようにしていた顔


昨日あれほど夢を語っていた彼女も


わたしは笑っていた

彼の人生にもう続きはない

慕情の海に殺されるとは


もしもの時きみは引き金を引けるか


空から引き摺り下ろされた鳥たちの集まる場所

苦しかったら泣いていいんだよ

あなたの暗闇に潜る


ここは惨たらしい童話の世界

ついに星は塗り潰された

明日にはもう死んでいるだろう


守る価値のない国で


銀貨の行方


ひとり またひとり

微笑む彼女は難攻不落


幸せになれないわたし達のために

ここなら誰かが勘付くこともない

頭の中を誰かが這いずり回る音


感情の束が邪魔だというのなら


振り返らずに走って

この涙は未来を照らす何かに成り得るだろうか


ここは最果て


肉塊に成り下がったきみ

すべて幻だったのかもね

答え合わせはもう少し先の未来で


彼らは悲しい世界にいた


きみが去ってから3度目の春

大事な言葉以外はすべて書かれているのに


安物の造花を手向けながら

いつかちゃんと本当の答えを教えてね


今までの態度は化けの皮だったわけ

その憎悪はまだ淡い桃色を残している

棺の中はこの上なく心地よい

可憐な彼女は業突く張り


ここで生きて、ここで死ぬのだ


もう長らく笑った顔を見ていない


わたし達の中にまだ罪悪感が残っていた頃

「生き物を飼う」ということ

剥落は止められない

春の入り口で待ってるよ


いつしかきみの背中は慰霊碑の海に消えた


夜の帳に潜む

幸福に生きるためにはどんな不幸も受け入れなくちゃ。


綺麗な槍捌きに恋をした

「海には空が映ってるのに 空に海は映らないんだね」

(あなたにはわたしが見えてない)

彼女の鍵尻尾に引っ掛かっていた幸福のかけら
ぼくらは思わず微笑んだ


命取りになる思慕は早く逃がしなさい


2人は共犯だったらしい

春のあたたかな雨はきみの瞼に触れた

みんな揃って「知らない」と言う


もしもの時はきみに引き金を引いてほしい

最後まで気付かないふりをした

昔母と歩いた悪路の名残り


死ぬのが怖くないの


「武器に体温はないもの」

いつか報われる日が来るのなら

寒々しい夜の愛

ここは光の届かない墓場


きみの心臓の色


こんなに絶望的な恋があるものか

無理に分かろうとしなくていい


戦場も閨も一緒だと彼は零した

もう二度と会えないのだと知った

いくつもの理性が容易く陥落する街


ぼくらは希望に縋るのをやめた


唯一の心安らぐ時間だった

明日の今頃、わたしがあなたの隣にいなかったとして


こんなところで初恋をするだなんて

崩れ去るのに時間はかからなかった

わたしとあなたが大事に育ててきたものだったのに


今になって初めてきみの体に触れた


いつでも赤いドレスに身を包んでいる

そうでもしないと、あなたが消えてしまいそうだった

そろそろ彼女の歌も途切れる頃合い


花の雨に打たれ


ぼくらの子供もまた武器を手にするのだろう

お母さんはわたしの地球だった

「お腹の奥が熱い」


なんて顔をするんだ


人としての終わりを迎えられるかも分からない

やつらは水の音がする方へ集まる

わたしの血と愛に染まれ


帰らなきゃいけない場所がある

呪いの言葉は3つある

まだあどけない愛のすがた


殺意にも色はある

もう一たび空は輝く


いつか平穏な日常を手に入れることが出来たとしても
ぼくらはきっと受け止めきれない幸福に打ちのめされて
最後には自分の足でこの地獄へ帰ってくることになる


小さくて幼かった彼の手は

こんな夜はもう一度きみに出会えそうで

生意気にもそんなことを思った


10年後のぼくら 10年後の世界


おまえだって幾多の血の海を泳いでここまできたんだろ


もう彼女は戦力外だ

淡い露が流れきったとき夢は覚める


すぐそこにある端正な顔は
目を眇めていやらしく笑った

たくさんの憎しみをあなたに

夜空を統べる金色の月は誰かの双眸に似ている

彼女の自己嫌悪の海は深いようだ


きみの目には怨嗟の青い炎が揺れている


黒い染みは広がり続ける

お母さんは笑って誤魔化すだけ


敵同士でありながら

凄惨な月の夜


救済なんかない


ねえ 最後に手を握ろうよ

彼の心臓は永遠に失われた

「大嫌いなきみが泣くのはもっと嫌いだ」


わたしの冷たい頬の上を滑り落ちるのは


泣き疲れて 叫び疲れて

きみの瞳に写るぼくは夜の海を漂っているようだった


噎せ返るほどの果実の匂い

嗚咽は常に笑みの裏に貼り付いている

本当に悪いのは誰だったのだろう


おまえだけは生きて


みな真っ白くなって帰ってきた

もうしばらくはこの熱と踊りたい


反旗の元に暴れ回れ


眠らない闘志

どうせあなたも

切なる願いはついに誰にも聞き届けられなかった


最近なんだかよく泣くね


わたしの背中を任せていたはずの少女は


今だけ臭い付くこの返り血が愛おしい

大丈夫 太陽以外だれも知らないよ


彼の意志は無事受け継がれた

「あんたは変わってほしくない方向にどんどん変わっていくよね」

生き残った感情は、愛か、それとも


今は包帯に隠れている鴇色の瞳


もう少しで助かっていたかもしれない

みなの手が彼女の上を這い蹲る

もうあなたがいなくても泣かない


混濁した思考の中でも、きみの笑顔は

3年前 No.21

みやこさん @miyakoyuu ★iPhone=QSHFZYgady

今やそれだけが愛情を知る生き物

休む間もなく走り続けねばならない
彼はわたしの口元を見て会話する

幾百もの蛍が天へ飛ぶ

戦いのさなかにも愛はあった
キスツスの手作りリース

「すべての責任はわたしにあります」
本音を隠し合いながら

ついぞ聞くことはなかった

どうかわたし達に空を見せてください
初恋はわたしの血肉になった
ほんの少しでいいから見せてよ

この死骸には尊厳の欠片もない

仲間の軍勢はどんどん遠のく
きみという器ならいくらでもある
あなたの瞳に揺蕩う

これが海か
ただそれだけのことが こんなにも
業火を越えて会いに来い

我慢はそう長くは続かない

わたしは何も悪くない
きみは別の何かになっていた
花は冷えていた

極めて生存率の低い作戦
誰が駒鳥殺したの

おまえのせいであいつが

完全に情動を失った目だ
引き留めるだけの勇気は今はない

海の底に戦死した学生たちの墓がある

そういえば花に水をやらずに出てきてしまった
これまで恐怖を知らずに生きてきた

記憶の中のきみの笑顔を掻き消して

死んだきみはいつまでもぼくの心を縛る

一瞬でも怯めば最後

癖になる痛み
あなたの幸福はわたしに管理されている

やはりこれが一番手に馴染む

戦えない存在に意味はない

神はあなたを失った世界で生きていけという
せいぜい路肩の花がオチだ

部隊からはぐれちゃったね
鶴九皐に鳴き 声 天に聞こゆ
食事と愛の関係性について

弱虫と罵られたままでいいのか

ずいぶんと都市伝説じみた話だ

(そんな実力を持つ者がいるものか)

今は亡き人に託された戦術
路地裏ダンスパーティー
どうして笑っていられるの
彼はあえて幸せになりづらい道を選ぶ

居場所を与えてもらっているのだから

3年前 No.22

みやこさん @miyakoyuu ★iPhone=QSHFZYgady

あなたなら許してくれると思った

次はどいつだ

罪悪感に焦がされて死ね
鳥居はまだ途絶えない
はやくこの身を盗んどくれよ

「私の墓場はここがいい」
あなたはわたしに怯える

その肉体はもはや誰のものでもない
彼女の美しさは儚さに支えられている

上物の肉ならたくさんある

きみの手だと思って縋ったのに
あなたはとうとう父親になる
花束に隠れて泣いていた

汚らしい虫の巣を見つけた

きみの考えを教えてくれ
少年は星への道を辿った
アイの表記

あなたを呼び出したのは他でもない、

母は普通の学校を卒業したと言うが
みんな同じ墓から生まれた子ども

皮膚が荒れるまで血を洗い落とした

たちの悪い嘘だと思った
彼女が死んで以来、時間は成長をやめた
闇夜にぎらぎら浮く目玉

血をかぶるのがいっとう好きだ
どこまで誤魔化せるだろうか

そりゃ死ぬのは怖いさ

点呼 きみの席 丸空きになったわたしの背中

人間に模しているだけかもしれない
そう思われても仕方がない

痛みだけがわたしの意識を繋いだ
ぐずな夜はまだ明けない

( 今のうちに悪いことをしよう )

いじめが起こる程度の幼さ

不自然なまでに犀利な証言
長年求めていたあの声がやっとわたしを迎えにきた
13番目の要らない子ども

花車に刃物

一人だけ追い付けてないのがいるな
たらればを語るのは簡単だ

おまえさんよ 幸福であれ
せめてきみの夢だけでも叶えばいい
白む空に浮く星ひとつ
安心が不得意

感覚が麻痺してきている

恒久的片想い

これを彼女に届けて
あなたがいないと歩き方さえ分からないのに
手近な幸福の作り方

「死体処理させるための合宿なんだって」

きみの霊を探して彷徨うわたしもまた、

ここはかつて彼が死んだ場所

時間稼ぎのための演劇

干上がった赤い海に大量の魚の死骸

吼えろ これが最期の声になるかもしれない
願いはどんどん遠ざかる
死を祝う

みな等しく猛虎の面
こんな都会じゃ地平線とは出会えない
何度出会い直しても

「随分と長いお散歩だこと」

戦力外通告

あんなに綺麗な髪だったのに
「とびきりうまい話を持ってきた」
こんな灯火ではすぐ消えてしまう

まだ受け入れることができてないみたい

最も小柄な少女は強靭な腕力を誇る
思いのほか遠い場所にあった

最後の生力を使い果たしてでも
どこかで誰かが笑った気配

醜い傷と恐ろしい勲章を背負ったわたしはもはや我が子ではないそうだ

そいつを殺したのはおまえか
生き抜くために捨てていかなければいけないもの
それは今晩やっと完成する
彼女の料理は鉄分過多

きみは卒塔婆に姿を変えて帰ってきた

もうだめだと思ったその時

戦場に何か大切なものを忘れてきたかもしれない
星を飛び越え幾星霜

彼の場合はそれが仇となったのだ
刹那の浮遊感

今日もきみが助けにきてくれると思っていた
月が降りてくるまであと幾晩
きみに幸せを見せてやりたいと思った

片腕が無くとも不便はないと思っていた

憎悪を纏った切っ先

その傷跡一つで幾千もの感情が蘇る
あなたの聞こえない声を聞くのが
わたしであればいいと思った

お節介焼きは勝手に死んだんだ
梅雨を思うと涙が出る
よくない虫が入り込んできた

人を殺すのに理由が必要か
きみの喉笛はうまそうな色

最後に名前を呼ばせてください

「順序を守って」と教えられた

あんたが謝ることじゃない
それだけ彼の脳髄は壊れやすいのだ
聖女のような笑みを湛えているくせに

きみの背中がぼやけて見えない

みな同じ顔をしている
単なるラジオの代わり

3年前 No.23

みやこさん @miyakoyuu ★iPhone=QSHFZYgady


みな俎上の魚

ここでは怯んだやつから消えていく
さながら出口のない家だ

二度と輝かない海のよう
ちぐはぐな愛情表現に戸惑いながら
怨恨は衝動を連れてきた

今日ですべてが終わる

戦場の絶佳において欠かせないもの

世界の赤をすべてわたしにものにしたい
疲弊しきった笑顔
思い出たちはわたしを食い尽くす

こんな幼い子どもにまで死を覚悟させてしまうような世の中
寂しいと言いなさいって教えただろう
あの子は火の始末がなってない
寝息はぱたりと止んだ

怯懦を振り払えばみな、一様に獣になれる

子供たち自身の意思はとうに沈殿している

きみがぼくを判ぜられないほど
ぼくの死に顔は酷かったのか
幼い恋慕を殺さないで
彼女の心根はゆるやかに腐敗する

見つけてもらえない
きみの口から聞きたいことがある

いつも通りの朝だった
いつになったら安心できるのか

その約束は御守りだったのに

あの日の傷はまだ癒えない

( まるで忘れるなとでも言うように )
きみならこの気持ちの名前が分かるだろうか
この薄い背中が今までわたしに縋るのを許してくれていた
求められた場所で歌を歌うだけの生活

「立派になったね」

これであなたを感じるすべてのものが無くなった
きみの瞳は暮れ泥む空とお揃い

限界はとうに過ぎている

本当は皆すでに気付いていた
言葉のみで彼女を縛るなど容易

わたしに託してはくださらなかった

戦い方の癖を見抜かれていた
わざと他人の名を呼ぶ
ずいぶんと回りくどい言い方をする
あなたはわたしの手の感触を知らない

長らく涙の味を忘れていた
彼女の行動範囲は日に日に狭まってゆく

一生この硝煙を纏って生きねばならない

最速と謳われる彼の両脚は

幸せなのだと思い込ませる
忘れてしまえば、あとは楽だった

危ういが心地良い酩酊感
虹の在り処を教えて

つまらない死に方だ
月明かりだけで事足りる

3年前 No.24

みやこさん @miyakoyuu ★iPhone=QSHFZYgady

人殺しが許される理由

戦線崩壊
そろそろ帰ろう

あの子の脚には幾十の矢が刺さっていた
きみと紅茶と羅針盤
しじまに滲む啜り泣き

足の速い彼らしい最期

冷たい朝に温かい水
「その人たちが今度の家族?」

そんな瓦礫の下がきみの墓標にならないように

目下最大の敵は「劣等感」
さよなら最後のひと

人間の内部は本当に繊細だ
花で埋め尽くされた水面の上で

これはせめてもの弔いだ
魂に直に歯を立てるみたいに
内側から愛してやりたい

彼の自我はまだ戻ってこないみたいだ
子どもは新たに殺意を得た
わたしたちは未来を違えた

彼女は本当に踊るのが上手

些細なことで口論になったのが最後だった
眠りの淵で誰かが名前を呼んでくれた
洒落た出会いではなかったけれど

殺すのはなにも敵ばかりではない

もう助からないと実感した
千年泣いたとて帰らぬ人は帰らぬ

この地も数年前までは

取り残された遺体を見つけた
心臓の最奥を穿たれたような感覚
温くて気味の悪い風だった

あの子はいつでもカメラを携えている
あなたにすべてを委ねてしまうのは怖い
いつか続きを聞かせてね

本当は誰より怖がりなきみの背中

彼の墓標は今や烏の止まり木
幾度となく約束を見失った
わざと冷房を強めにしている理由

鳥は力なく地面に落ちた
1人はこんなにも寒い

わたしの生きる意味をおまえたちが決めるな

その寂しい海を飛び越えてこい

いつ死んでも構わないと思っていた
唇で掬い取ってみせて

大量の恨みを買っていたんだから当然の結果
一人寝の夜を数え数え

先にいってて

不謹慎な拍手喝采
何も残さず死んでゆくのがいい
今はきみの笑顔が恐ろしい

3年前 No.25

みやこさん @miyakoyuu ★iPhone=QSHFZYgady


きみは宗教を抱えてやってきた

誰も彼も疲れ果てている

教官は20年前に戦士としてここで戦ったらしい
ぼくらは泣きながら飼い猫を食べた


ついでに拾っていこう
広漠な銀河を彷徨うようだ

あんなに気味の悪い笑みは他に知らない

100年前の戦乱の跡
わたしの入り口に立つことは許さない
新月の晩を待っているらしい
血液はわたしの傍にいたくないと言ってどんどん逃げていくのだ

骨は五月蠅く軋む

今日のスープに何入れたの
赤薔薇108本

一部分だけでも持って帰ってやろう

もはや満足に走ることもできない
未だに彼女はわたしの名前を覚えられない

作戦は失敗に終わった
消えたあなたの体温を探すように
2人一緒に幸せになる方法はない

赤い星は飛沫を上げて
きみの瞳の奥に今も沈着しているのは
世界は惰性で回っている

すべてはぼくだけが知っている

勝利を祝福する鐘がこんなにも虚しい

快感に喰われた

あいうえお順に

いつまでこんなことを続ければいいのか

戦いづらくなる季節
落ちるところまで落ちてしまえ
彼女の泣く声を聞いた人はいない

海の代替品

おまえも一緒に行くんだよ

焼却炉は美味そうに食べる
諦念に駆られたきみが一息に絶望を飲み込む前に
夜の御伽噺
あなたの世界はまだまだこれから綺麗になる

突然視界が濁った
夜明けまで取り残された一等星

背中を預ける場所を間違えたようだ
襲い来る虹色の恐怖

もはや誰が味方で誰が敵なのか

人の命の単位
まだ幸せを知らなかった頃の話
きみの行く末を占ってあげよう

もう一匹いるはずだ
気が遠くなるほどの距離を歩けど

彼女の死角を守る人はいなくなった

唯一生き残ってしまったわたしたちのために
今日もまた同じ睦言

3年前 No.26

みやこさん @miyakoyuu ★iPhone=QSHFZYgady



この船は彼女らの死の上にある
思い出の中から呼ばれている
「仮面、落としましたよ」
小娘の我慢にしてはよく続く

全員が生きて帰るために
彼女は小さな水泡の中で
黒い猫と目が合ったのだ

切ったら血の出る殺人兵器

きみがそんな風に笑うせいで

謝ったら誰か許してくれますか
おまえ一人が苦しんでいるとは思うな
致死量の幸福に怯える日々

また彼の遺品探しかい

互いの首を貫き合った

雲行きが怪しい
きみが幸せになれる確率

誕生日を持たない子らのために
燕尾つかまえた
わたしの視界から逃げないで
屋根裏の恋情

いま走れるのは自分一人だけだ

年に一度の交流会
その両手で受け取りたいものはなんですか


水中を想定しろ
二番目でも三番目でもいい

きみのその、勝手に持ち帰る悪癖
世界の切れ端を探し歩く
水溜まりは素直すぎる

諦めは早いほうがいい
もっとわたしに憎悪を与えて

雨で洗い落とすしかない

地面がいくら泥濘んでいようとも
おまえもそんな顔をするの
夕日を背に笑んで、きみは落ちていった
昨晩までの幸せが嘘のように

不思議と冷静でいられた

いつか武器を握らなくてもよくなる日

弔い合戦
わたしの妹はこんなに痩せ細っていたのか

急いで彼女の目元を覆ってやったが間に合わなかったのだ
花が開くのを待たぬうちに

きみの傷をこじ開けさせてくれ

流れ星と子守唄の夜
一体どっちが飼われてるんだか
世界で一番哀れな花束だ

どうかそいつを助けてやってくれ

黒煙が青い空を覆い隠した時代

わたしたちの夜がきた

3秒後にはもう転がっているだろう
彼女の角の先には肉片がこびり付いている

3年前 No.27

みやこさん @miyakoyuu ★iPhone=QSHFZYgady

今一番ききたくなかった声だった
わたしの視線の先のきみの視線の先の

これを持って帰れば教官は喜んでくれる
★「危険が過ぎる」と封じられた子ども

現状を理解し終える前に最早
力無い呼気
あまりに噛み合わないふたり

彼の眼窩に2度と光は届かない

周囲の啜り泣きを聞きながら
日に日に縺れてゆく

おまじないをかけた
おまえに言っても分からないだろうね
笑ってごらん

冤罪

何事もなかったかのように
わたしの娘は役立たず

初めてならば無理もない
生ぬるい風が頻りに通っている

是に於いて水魚の交わりを断つ

幼い刀身は相手の身に届かず終わった

最後の砦となるのは恐らくきみだ
狼の家とは知らずに

手の鳴るほうへ
早く新たなひとを見つけてくれ
遺言は秘密にしておく

陽だまりにぼくらの居場所はない

幼い頃のわたしが今のわたしを見たら

大切なものをすべて失った今だからこそ
きみと生きた夏
泣き顔しか思い出せないのだ
わたしの肉を食べて

一瞬の出来事だった

動物としての本能
真冬の蜃気楼
あの空に忘れ物をしてきた

この期に及んでまだ自分を守るのか

退陣の大号令が出された

足取りは何よりも雄弁
上手に自分を売り込む方法
夏の悪夢はまだそこに

決して復讐心に跪くな
それは熱を持って蠢き始めた
一番最後に愛してください

彼らの骨で編んだ舟

「普通」の定義
人間の営みの最終項目

誰かの台本の通り

今まで生き延びた甲斐があった
太陽の見えない朝
その2つの洞窟にぼくは入れない

3年前 No.28

みやこ ★iPhone=jbNMAOtzBA


明日からはひとり

夜戦に赤眼はよく映えた
せいぜい憎め
神の手により林檎は落とされた

悲鳴の一つや二つ捨て置け
見送りびと

魂だけは売るな

この荒野のどこかに彼の痕跡がある

まだこの歯牙が残ってるじゃないか
オリジナルには勝てない
きみの墓前はきみのお気に入りの場所

これ以上の延長は危険な時間帯
わたしだけが見ていた

約束を果たすために戻ってきます

言語の異なる彼らとの共同戦線

行け
それでも地球は歩き続ける
甘い瘴気に惑わされ

初めから届かない距離だったのだ
いつかここへ帰ってくると誓った

彼女はとうに泣くことを諦めている

わたしの帰りなんか待ってなくていい
もう月は黒く染まっていた
降り注ぐすべての雨粒を飲み干した頃に

幼いわたしたちが選び取った最終手段

腹の中で闘争心が唸る
どうして誰もこの亀裂に気付かないの
ドアを叩く音は止まない

地平線から蹴落とされたやつらの墓場
口先でいくら「憎い憎い」と言えども

喧嘩別れ

これを傷だなんて呼ばないで
きみは今年もどす黒い夏を連れてきた
3人の子豚

眼球は血で染め上げられた
あなたの言葉は羽根のように

( 軽い )
( 純白 )
( 宙に溶ける )

幸せを掴めなかった手が何を掴むのかというと

なにをそんなに憂えているの
波間に飲まれた一輪

闇夜に銃の一声
怒りと悲しみの炎に散った

赤い墨
ぼくらは砂のお城の下に眠る
やつらは豪雨にまぎれてやってくる
その水滴からは塩が香る

この世で一番武器の似合わないきみ

昨日までそこにいた人
2人で虹を作ろう

まだ戦えるのにどうして

2年前 No.29

みやこ ★iPhone=fIcOP4IUSU


さっさと立て
互いに聞こえないふり

あの夜の温い雨と同じ

平穏はぼくらの分の椅子を用意してくれなかった

わたしたちの青春は砂埃に掻き消えた
こうなったら徹底的に笑い飛ばせ
夜の中で花はレコードと踊る
住人のいない街にて

現在進行形の復讐心
彼女の笑顔が黒ずんでいく
理性と本能の攻防

泥の味には慣れた

焼け跡から2人の遺体が見つかりました
なにが欲しいか言ってみなさい

ベッドの上には後悔ばかりが散らばる

死んだやつの名前は明朝までに忘れろ
帽子に隠れたいやらしい笑みを目敏く捉えた
その花は水を必要としない

わたしを一番喜ばせる感触

きみの命を握りしめて進む

冬になる前に探し出さなければ
涙は空へ昇る
恋とはどんな味がするの

虚しいたられば話

どうかこの地獄が夢であれ
醜い音を浴びて
蝉時雨に遮られた言葉

誰かの亡霊はわたしを許さないらしい

守りたいものはなんだ
極彩色の情動を操る

一瞬すべての音が消えた
虹色の空の端にきみを見た
弱音なんて聞こえなかったよ

後悔を探すのはやめろ

飼い主を失った犬
やっと静かになった

結果的に彼も人間だったということだ
狼の家へ
声を殺して叫んだ

しまった、

花畑は日に日に大きく広がる

弾丸よりも軽い命
だって母が言っていたから
目玉の一つ、差し上げましょう

絶望の呼び水と聞ゆ

花を撒いて笑った
太陽が一番の化け物だ
棺の底には星空を敷いてやった

おまえを道連れに落ちていくのも悪くはない

熟れた果実を切り分けた

2年前 No.30

みやこ ★iPhone=fIcOP4IUSU



1秒で生死が決まる世界
瘡蓋を剥いだとき溢れでてくるもの
芥の行列

顔が減るたびに花は増える

一人分の食費が浮いた
裏切ることなど容易い

傷は増える一方
15歳の最後の夜に
わたしは女になった
未熟な恋心にとどめを

亡骸にもたれて少しだけ泣いた

怖かったら逃げてもいいんだよ
チョコレートには秘密の隠し味

言葉が伝わらないから武器を手に取るのだ

ここにはもう誰も花を手向けにこない

自分以外はすべて敵と思え
白い空と黒い太陽
目には見えない
これほど憐れな話があるだろうか

この期に及んで情けを捨てないとは
こんな仄かな温かさは簡単に忘れてしまう
あなたの藍の海は暗く深い

人間としての心を焼き尽くせ

暁に滲む

国は初めから3つの軍を潰し合わせるために
今も泥沼の底から手招いている
きみは雨森で見つかった

頭を狙えと教わった
幻覚と幻聴と

幼い恋を犠牲にしてまで

神隠し
きみを濾過した残渣がわたしだった

人の心は簡単に生き返ることはできない
命は海へと還っていった

許しを与えてやる代わりに
幼い目尻は雨粒が塗り潰してくれた

真冬の向日葵のように場違いな存在
罪悪感とのつきあい方
母によって敷かれた絨毯の上を逃げ惑うだけ

生き方をまた一から模索する羽目になった

死んだ甲斐があった

腐敗した良心はそこかしこに
あと少しだけ時間があれば

そいつの二の句は銃口に吸い込まれた
気持ちの悪い風が吹いた

彼は背後に立たれるのを嫌う

口封じのさよなら
しゅわしゅわ ぽとん
闇夜に深く沈み込む

足跡は一つ、また一つと消えていく
もう間に合わない

2年前 No.31

みやこ ★iPhone=fIcOP4IUSU


もうきみがいなくても泣かない
今はそれがすべてです

普通の高校生の日常
違和感を感じる場面は何度もあったのだ

身体中を恐怖が蝕む

その涙は熱かった

足音一つが命取りになる
もう二度と会うことはない
わたしたちは宇宙に飼われている

生存者は10分の1
愛に明確な輪郭はない
美味しそうな満月に手を伸ばした

彼は胡乱な証言を繰り返している

ぬるい地獄を恒久的に与え続けてやる

唇に紅をさしたようだ
いちばん美しい言葉に出会いたい
おしゃべりな瞳

きみは無事に星座になれただろうか

兵器になってくれる生徒はいくらでもいる

岩陰での密会
彼女だけはこの裂けた目尻を恐れない
神隠しに遭った子どもはある日ふらりと帰ってきた

無数の頭部
彼女は活字の海に溺れた

人間とは戦場における最後の食べ物の名

いとけない少女に落涙の気配はあるか
光はここまで届かない
涙の似合う人にだけはならないで
誰を待っていたのかも忘れたよ

目の前に自分の顔がある
きみがそれでいいと言うのなら

初めての海戦にみな狼狽えた

ぼくの夢はなんだっけ
骨の浮いた体が痛々しい
わたしのことなんか忘れてくれ
「幸せ」が恐ろしいか
きみは西の夕暮れを見て涙ぐんだ

まずそうな柘榴

墓地の面積が足りないほど

誰もが遊び半分だった
雨足は強くなる一方
笑う権利

人間が獣になる瞬間の顔を見た

隠せているつもりか

あそこへ帰る理由もなくなった
孺子は唸りを上げる

誰のせいで彼は死んだんだ
わたし達がまだ言葉を持たなかった時代
遠のく意識を誰か捕まえて

一緒に故郷へ帰ろうと言ったくせに

2年前 No.32

みやこ ★iPhone=fIcOP4IUSU

濡れた羽を必死にはためかせるように
わざと自分から毒に喰らい付く

霧の濃い日だった

毎日が別れと再会
やっと自分が悲しんでいることに気付く

逃げることは悪いことですか
そんなに睨むなよ

哀れな生き様を全うした
わたしの隣よりも空の上の方が居心地がいいらしい

楽しそうな顔しちゃって。

しょうがなかったんだ
拭い切れないほどの寂寞をくれてやろう

どれほど呼んでもきみは振り向かない
白昼夢には白群の海を敷いて

勝手に一人で死にやがれ
あの子の周りから人が絶えた
永遠の愛しい秘密を抱き締めて

もう涙は出ない
そして歩みは止まった

彼は幸せになるはずだった

今日も今日とて死体を蹴りながら歩く

いつの間にこんなに強く成長したの
重みは日に日に薄れていく
あなたにとってはくだらない話

心地よさを感じ始めたらおわりだ

とうとう雪に閉ざされた
きみは今でも迎えを待っているのだろうか
互いに手の内は隠したまま

辛うじて血までは染まっていない
とある誓いを立てた

最後の素直

苦し紛れに出た笑い

連弾は戦場に響く
運転手の気紛れ
ラミーは笑うだろう
バミューダブルーは銀河のかけら


いつもの彼ならば

留守番電話は未だに再生されていない
小さな両手がこんなにもわたしを求める
道標の尽きた暗い道
煮詰めたレモンを嵌め込んだ瞳

騙し合いは慎重に

上背のある彼のことだから、きっと誰かの盾になって死んだんだ
「いかがなさいましょう」

彼の遺志を継ぐ人はまだ現れない

今でも顔を上げられないままでいる
それが愛だとあの子に吹き込んだのはおまえだろう
きみは光の波間に掻き消えた

遅くまで語り明かした翌朝のことだった

水も火も殺人兵器になりうる

2年前 No.33

みやこ ★iPhone=fIcOP4IUSU

最後に少し縋らせて
愛は藁の代わりにすらなれない
所在なさげな瞳は誰かを探し始める

真っ赤な夕焼け空の中にいるようだった

何の躊躇いもなく火を放った
「人を殺してはいけない理由は教わらなかったよ」
不健康そうな笑顔

あなたの脆くて温かい心よ
どうか無傷であれ
一銭にもならないような過去

こんな手できみに触れてごめん

かつての猛虎は汚らしい狂犬に成り下がった
海はやさしく迎え入れてくれた
この糸を辿って行けば何に出会えますか

復讐心だけがわたしを生かし続けた
月という卵
だからわたしはあなたを責めないよ

きみの覚悟を見せてくれ
お母さんなりの愛し方

本来戦を知らずともよかったはずの
逢瀬は満月に監視されている
お気に入りの靴であなたに別れを告げに行く

きみの最後の声が離れていかない

彼女の率いる隊は全滅したと聞いたが
冬が終わらないうちはまだ

恋も愛も殺せ

すべてが麻痺した瞬間だった

ここでは様々な「あたたかさ」を知ることができる
わたしの世界を破壊する人になってくれ

なにを賭けて戦う
言葉の刺を掻き分けて
もう少しで核に触れられそう

どこからでもお好きにどうぞ
こうして彼はどんどん一人になっていったのだ

嘗てはよく笑う子どもだった

さらなる刺激を求めて

正気は簡単に失ってしまえる
憧れだった空は高層ビルに閉じ込められた

彼女は最初からいなかったことになった
噎せ返るほどの色香
わたしの涙を掬い上げて
海は完全に消え去った

そんなものまで背負わなくてもいいのに
もう笑顔は戻ってこなかった

わたしと同じ帰り道を歩こう

かつて彼がいた場所はすぐに別の誰かで埋められた
不要な感情は多々あれど
その猫はついぞ帰ってくることはなかった

獅子の皮を被った臆病者

嘘をついてもいいですか
どうして今まで気付かなかったんだ

2年前 No.34

みやこ ★iPhone=fIcOP4IUSU

落伍者たちの歌

四肢はおかしな音を立てた
嘘つき野郎の誠実な嘘

最後の蛍
荘重な夏の名残
喧騒の中だというのにあなたの声はよく響いた

盗賊同然の行い

他への情は矛となり己へ向いた
泣き顔が一番可愛らしい

空が遠い
おいで、いいもの見せたげる
誰にも言っちゃいけないよ

食べられない部位は火にくべた

預かり物だけは無傷だった
半透明な心臓を見失う前に
極彩色の夏から逃れられないでいる
荒波は憎たらしい海の笑み

まだ諦められないのか

美味しい食べ物を教えてください
忍耐の末に決壊

わたしは何も悪くない
あなたの声はこんなに汚かったか?

近頃いやに幻が会いに来る

突然自由を手渡されても
駒鳥は最初から死んでいた

誰かも知れぬ死体を枕にして眠った
「安心して」と宣うその口の中の鋭い牙
夢物語はそれ以上の展開を失った

乾いた口内にはやく赤い水がほしい
たまに本物が混じっている

死が怖いなんて言うなよ

懸念はある日突然に姿を持って現れる
悪意と善行は愛し合った
誰か一人でもそれに疑問を抱いていたら良かったのかもしれないけれど

懐かしい掌に腕を掴まれた
だったらどうして

もう言語は使い物にならない

たまに前方を見失う
歩調を合わせる相手が今はいない
差し伸べられた手を跳ね除ける方法しか知らない

不思議と恐れはない
地球は本当の名を九皐に閉じ込めた

連れ去ってあげられたらいいのだけど

居場所を与えてもらっているのだから
熱帯夜の毒蝶

化け物でいることをやめられない

おまえの心臓の形を確かめてあげよう
どうして笑っていられるの
彼はあえて幸せになりづらい道を選ぶ
泣くことしかできないのは弱音が舌を焼くせい

2年前 No.35

みやこ ★iPhone=fIcOP4IUSU


雨宿りとささやき

かくして赤い袂は分かたれた
種の割れる音がした

天の川の濁流
すべてが一時停止した
腹を空かした獣によって

きみの最後の涙

身体が生きていても
もういいかなあ

抵抗の果てに降伏
今でも帰らぬ人を待っている

「ひょっとしたら」なんて

どうせ明日には忘れている
神話の目撃者になった
死という寝台

ぼくらは死んだら何になれるのだろう
人生の値段

熟れた果実が食べたくなった

母は包丁の扱いが一等上手い
不幸は自分の尾鰭を追いかける
今日もあなたの台本通りに事が進んでいる
温かさはいなくなっていた

空気は生臭く淀んでいる
その笑みは冷めたまんま。

ナイフと同じ成分がみなの体内にはある

人々はまた繰り返すだろう
夢の残骸を捨てられずにいる
まだ空の青いうちにあそこへ行こう

内側への干渉を何よりも恐れている

一丁前に大義なんか掲げやがって
心臓が焼けるかと思った
ぐずな夜はまだ明けない

( 今のうちに悪いことをしよう )

安心の欠落した日常

憎しみは言語化を飛び越え姿を持って現れた
わたしが優しくしてあげるからこっちへおいで
話を聞いてあげているふり
花車は美しく歪んだ

この期に及んでまだ泣くか

後悔の底から救い出して

最期に贈る言葉を考えているうちに死んでしまった
わたしを泣かせてご覧なさい
幸せは常に不安定

自分の墓場を探すかのよう
舌先で心の一つや二つ拐かしてみな
きみがいなくなったせいで永遠に片思いのままだ

生き延びるためのお薬
わたしは簡単に色褪せてしまった

彼は真面目すぎたが故に

「死体処理させるための合宿なんだって」
罪悪感は捨てた

2年前 No.36

みやこ ★iPhone=fIcOP4IUSU

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2年前 No.37

みやこ ★iPhone=fIcOP4IUSU

言い訳の歌
未踏の雪原にゆっくりと足跡をつけていった

後ろに隠したものを見せなさい
白く痩けた頬がわずかに笑んだ
彼女の腐敗は止まらなかった

そいつ、もう死んでるよ

簡単に裏切ることができる
満ちても欠けていくから月は嫌い

あの日、あのとき

逃げ遅れたうさぎが一匹

花は散るべきときに散る
雲の切れ間から誰かがこちらを見ている
月の明かりが優しすぎたせいだ
美味そうな肉を探していたらおまえに出会ったのだ

誰も迎えには来なかった

いとけない少年を侮ってはいけない
ゆるやかに生温い地獄へ沈んでいく
誰にも聞こえないあえかな声

無音の終戦
小さな命の誕生の音

わたしの手が冷えているのか
彼の体が冷たくなっているのか

黒髪は乱れ舞う
歩調を合わせてあとどれくらい共に歩めるだろう

不幸にも彼女は助けの求め方を知らなかった
乗り込んだ船の上で踊れ
誰がおおかみ殺したの
吐息だけの涕泣

世界が呼吸を忘れた瞬間だった

地形が変わってしまうほどの戦争
いくら朝が来てもきみは目を覚まさない
知ってしまうのが怖かった

どうしてこんな時に思い出してしまうんだ

雪と赤とクリスマス

目を開けた先には鋭い銀色
子どもたちは雨に攫われて消えた
人々の悲しみが放置された結果
わたしたちは巨大な鳥籠の中にいる

異様な光景が広がっていた
その声はどんな音よりも痛々しく響いた

咄嗟に掴んで投げたものは

雨足は強まる一方
木偶を巧みに扱え

わたしはどうかしていたのだ

最後だと悟っていた
風がすべて攫っていったせい

人食い娘を娶るにあたって
今日は何故だか気分がいい
きみの痛みに気付けなかった自分への罰だ

不謹慎な拍手喝采

死んで残るものは「あいつは死んだ」という事実だけ

2年前 No.38

みやこ ★iPhone=fIcOP4IUSU



ゆく人へ手向ける子守唄
寂しさとのお付き合い
影法師は両手を広げた
自然と涙が溢れて止まらない

人間と食糧の見分けは日に日に曖昧になってゆく

「いやに空が遠いなあ」
その瞳は底知れぬマグマの海

今日もあんなに楽しそう

間違えて撃ってしまったのだそうだ
ちゃぷんと音を立てて、どこかへ消えた
恋には愛でしか抗えない
不安は静かに鼓膜を揺する

何度経験しても、こればかりは
愛に縋るようではいけない
どんなに痛みを施したって、きみは微笑んで見せた

「ぜんぶ返り血だから」

生き汚なさを捨てるな
毒入りの蜜を飲み干して

戦闘狂の末路
何のための穴を掘っているんだろう

臆病者は前へ歩くことを覚えた

今日もわたしだけが一目散に逃げ出した
裸の心は泥沼の底に沈殿している

今日も今日とて惰性で生きる
青空は急にぽっかり口を開けた
どこもかしこも誰も彼もが、雨漏り雨漏り、そんで雨漏りだ
純愛は急速に腐りはじめるので注意されたし

100人殺したら許してあげよう

「もしこれが夢で、」
彼女の瞳はもぬけの殻

もはや力なく笑うことしかできない
きみは体中の醜い傷さえ撫でてくれると言う
心残りはありませんか
どこに忘れて来たのかさえ忘れてしまった

抱き合って死んだ
三日月は夜空の皮肉な笑み

おまえは絶望を受け入れるのか

ついに水が断たれた
街は氷に閉じ込められた
喉の奥には蝋燭が一本

死ねない彼女はお見送り
極彩色の恐怖が視界を覆った

ところでその手に持ってるものは?

「どんな姿になってもわたしの元へ帰ってきて」という約束は果たされた
隣の芝生があんまりに綺麗だったもので
幸せな少女の話をしてあげよう

あの角で裾が翻るのを見た
目に見えない姿になって

他人を庇って死ぬなんて馬鹿ね

誰かが死んでいるからわたしが生きている

2年前 No.39

みやこ ★iPhone=fIcOP4IUSU

メッセージ性のある死
愛から愛が生まれるとは限らない

空の上がどうか美しい場所でありますよう
本当の名前はきみ一人だけに教えた

見せかけの子猫
誰がわたしの死を抱いてくれたの
小さな気泡に住む

みんなに追いつくので精一杯だ

猛々しい心臓の片鱗を見た

まずは足を奪えと教えられた
腹の中になにかいる

少しずつ人間であることを捨てていった
もうすぐ1人目が完成する

爪の間に入り込んだ肉が取れない
離れるのが嫌だから手を繋ぐのはきらい

上手に命乞いして見せて
わたしを可愛がってくれる人なら誰だって
お母さんは足跡を残さなかった

初めて命を軽んじたことを恥じた

銃声で朝を迎え、銃声で今日を終える
尻尾は軽やかに逃げ回る

遠のく笑い声に手を伸ばした

よって彼女は有罪である
後ろ姿を見送るわたしは笑っていた
夢の中で何度も聞いた声

晩夏に散った線香花火

朝が来ることだけが救いだった

ここに身を置く限り、わたしたちは失い続ける
きみは初めに銀河を作り上げた
自信家の足元は不安定である

彼は首を横に振った
大丈夫のない生活

古い墓地に行き当たった

暮れ泥む夕陽にひとりで泣いた
路肩に転がる初恋の残骸
わたしはこの世で一番美しい横顔を知っている
夜半に潜む奸濫な慕情
5分後の終末

獄卒を踊らせろ

復讐の手引き
痩せ細った妹が微笑む夕方

地獄からの脱出は失敗に終わった
早く諦めてしまえたらいいのに

窮地だというのに不思議と焦りはない

水の中で雨宿りをした
きみの笑顔から逃げたくなった
今から行われるのは世界で一番痛ましい悲劇

その一輪のために命を張るの

ぶちぶちと音がする
幸福は身を滅ぼす

2年前 No.40

みやこ ★iPhone=fIcOP4IUSU

そこが何者かの喉の奥とも気付かずに
美しい物語だけを教えて
愛すら限りある資源の一つか

幼い頃の夢は今や足枷となって纏わりつく
幸せ者が憎い
72億人の兄弟
わたしの痛みはわたしだけのものだ

呼気に雑音が混じり始めた

犬猿はその時ばかりは水魚に変貌する

光の灯らない窪んだ眼窩
届かないハートを握り潰した

眠ってもいいよ
母の理想の娘になりたい
おまえに言っても分からないだろうね
きみの愛を疑った罰
虫は外から来るとは限らない

彼女の瞳孔は悪意の巣窟

たとえ部品が足りなくとも
音楽隊は娘を囲んだ
記憶は砂の城に閉じ込められた

「終わらせてくれてありがとね」
エンドロールは終わらない
また一つ明かりが消えた
ここからきみの住む銀の塔は見えない

彼の最大の武器は言葉だ

太陽は容赦なく彼らを焼いた
わずかに聞こえる泣き声を頼りに

陽だまりを飛び越えて歩く
あの人の腕の中はどれほど温かいのだろう
誰そ彼の口約束

探し物はいつまでも見つからないまま

何をしても報われない
きみから喜びを奪うのがぼくの手だったなんて

夕刻に一筋の痛哭
逃げたくなるような笑顔
希望と呼ぶにはあまりに儚い

蜃気楼を背負ってこちらへ歩いてくる

飽きるほど約束し合った言葉

とうとうきみは諦めたらしい
魚たちの出歩く夜

こんな命ならもういらない
そうでもしないと気が狂いそうだ
きみを波間に見失った日

彼女は明かりの灯し方を知らない
人はみな海へと還る

今朝は行ってらっしゃいと言ってはくれなかった

疲れた笑顔ばかり見ている
雨に紛れて誰かに会いに行く

窓から彼の墓を見るたびに

生きていて良かったと思いたい

2年前 No.41
ページ: 1

 
 
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