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梁鴉、 ★Android=EiqX6XEB42



 幼稚園の頃から愛している人がいる。名前は吉原和樹。イケメンで頭の回転も速く運動神経もよかった人。けれどモテてはいなかった。何故ならば性格が悪いからだ。優しいところもあるっちゃあるのだが、なんていうか、彼は凄く不器用で感情を上手く表せない人ですぐ物にぶつけてしまう人なんだ。だから男子にも女子にも本当は避けられている。けれど表面では彼の傍にいる。彼という存在が怖いのだ。
「うーみーはーらぁっ!」
 間延びした聞きなれた声が耳を打った。またかと振り返ると箒が頭に命中した。あまりの痛さに涙が溢れる。しかし泣いたら負けだとぎゅっと水に濡れた雑巾をを握り絞め耐えた。
 箒を私に向かって投げた人物を見上げた。彼は階段をにこにこ微笑みながら下っている。
「どうしたの、吉原?」
「何でもねーよ、ブス」
 笑いながら暴言を吐くと彼は私の目の前に落ちた箒を取り掃除を始めた。
「……嗚呼、なんて惨めなの」
 これは、私が私自身に呟いた言葉じゃない。彼に呟いた言葉だ。きっと彼は私に好意を持ち掛けているんだ。けれどどういう接し方をすればいいか解らないから毎日このような事を……。
 自分でもとんだ自意識過剰だと思っている。けれどこうでも考えなければ心がずたずたに折れてしまうのだ。仕方がないじゃないか。
 掃除の時間の終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。自分のクラスに戻ろうと重たい足を踏み出した。
「海原、大丈夫?」
 後ろから声が聞こえ振り返るととても心配そうな表情を浮かべている男子はいた。
 三好ふみ。班の中で誰よりも自分を心配してくれる人だ。
「うん、大丈夫。ありがとう、」
 そう微笑むと彼はそっか、と安堵に満ちた笑みを浮かべているものの、眉は下がっていた。なにもできない自分に罪悪感でも感じているのでしょうか。別にそんなもの感じなくてもいいのに。

2013/08/16 02:35 No.149

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