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  ぼくは青色でしか染まれない

 ( 書き捨て!小説 )
- アクセス(1843) - いいね!(22)

びすこ @kirschtort ★MXgRvXwXqi_40b






≫そこで記憶の置換があったように、ところどころ赤く明滅する光が決して同意儀ではないというのなら、其処に一体何を見た?







(その正義を殺してしまえ、!)
Are you ready? ――――→ 堕ちる準備はいいかい?

4年前 No.0
メモ2016/02/27 00:36 : びすこ @choco0112★Android-wMKAtaqKkR

▲二十二ものいいね!を頂きました。ありがとうございます(;_;)

△AcCEss:)

 ◎1000/14.07.07

 ◎1600/16.01.27

▲創作(http://sns.mb2.jp/choco0112/d-6

びすこ。

ページ: 1 2 3


 
 
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びすこ ★cQP8YbvKcT_Vjk

▽Memo.
・I know that eyes.
・It's the sky falls me shall catch larks.
・Love knot.
・宇宙のような恋
・宇宙までなら深呼吸ひとつで届くのに。
・深淵へと至る口づけ

3年前 No.120

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_Vjk


「疾風!」
薄紅色の桜が吹雪のように舞い散る中で、我の名前を呼ぶ。春風に白銀の髪をたなびかせ、琥珀のように輝く瞳を眇めながら、我の名前を呼ぶ。
貴女の笑う顔を見て、ああ好きだなあと、そう思うのだ。


3年前 No.121

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_Vjk

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3年前 No.122

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY





▼鵯 槐(ひよどり えんじゅ)//「境界線を越える頃」
わたしは、はやく野を駆け、高く空を舞う。けれども鳥にはなれず、星に手は届かなかった。つばさがあれば、宇宙にさえも飛んでゆけるのに。届かぬ星に願ってもつばさは生えず、わたしは水の天体を彷徨う。白く冷たく輝く星々はわたしを見下ろし、まるでお前にはそこがお似合いだとでも言いたげであった。それでもわたしは宙を舞う。届かぬ星に手を伸ばし、受け入れられることのない願いを胸に秘めたまま、それでもなお、宙を蹴る。青き山々を飛び越え、うつくしく光る水面を滑り、わたしは駆け抜ける。風よりもはやく、鳥よりも高く。そうだ、わたしはどこにだって行ける。

▼壱ノ穂時雨(いちのほしぐれ)//「夜の天幕に沈めた深海魚」
気泡は努力することもなく、暗く冷たい海の底から、まばゆいばかりの空へと昇ってゆく。それでも僕は、ひとり静かに蒼い枠で縁取られた額の中で、ゆっくりゆっくり呼吸する。この青く静かな世界は、やさしく僕を包み込むのだ。つめたいH2Oだけが、僕をやさしくなでてくれる。宇宙にも似たこの空間。そう、光すら差し込まない、このふかいふかい海。この場所が僕にはうってつけだった。何者にも邪魔されることなく、ひとりでいられる。いらない者に口を割ることをしなくてもいい、馬鹿な奴の相手をすることもないし、品性の欠片もない輩もいない、この空間。つまり僕は、冷たい深海でまわりを囲って静かに生きる、魚のような存在であったのだ。


3年前 No.123

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY

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3年前 No.124

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY

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3年前 No.125

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY

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3年前 No.126

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY

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3年前 No.127

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY

▼memo。
一匹目の番犬は獰猛。
二匹目の番犬は賢い。
三番目の番犬は甘えたがり。
四番目の番犬は、女帝に心臓を捧げた。

・ジャックナイフに愛を込めて。
・透けた愛に痛む
・なり損ねた海でも幸福はの宿るだろう
・夜に惑う子供たち
・I know that eyes.

3年前 No.128

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY

▽Memo。
<シレネ・ペンデュラの番犬。>
・世継 清太郎//政治家・世継宗治の長男。桜井くん曰く「よくテレビで見かける。人が好さそうで、なんか紳士って感じだよな!」。上に姉が三人居る。長女は既に若手の国会議員と結婚。次女は大手玩具会社に入社し、ガンガン働きバンバン稼いでいる。三女は大学進学中で、このまま院に残る予定。将来、特に政治家になれなどと親に言われてはいないので、高校、大学とかけて夢中になれるモノでも探そうか、と思っていた矢先に八月朔日雪斗に夢中になってしまった。
・千頭和 大雅//服飾関連を手掛ける大手企業メーカー『アンフィニ』の次男坊。兄は経営学を学んでおり、本人は将来的にデザイナーとして実家とはまた別の企業を立ち上げたいと思っている。『アンフィニ』の代表的なメンズファッションのブランドとしては、"ANANDA(アナンダ)"が有名である。特徴は、クオリティの高さと洗練されたシルエット。シックかつスタイリッシュに決めたい20〜30代男性を中心に人気を集めている。最近では、学生をターゲットとした"ESPIeGLE(エスピエーグル)"を立ち上げた。大胆な色使いと遊び心溢れるアイテムで若年層の人気を獲得。また、このブランドのデザインの一端は、大雅が担っている。
・灰斑 葵//製菓を中心とした食品を手掛ける灰桜菓子堂の三男坊。長兄は次期当主にほぼ確定しており、次兄は兄のサポート役として働いている。将来は食品関連の仕事に就くのだろうという曖昧な予測でしかない。実家は元々和菓子店であったが、今ではクッキーやキャンディなどの洋菓子や、様々な食品にまでも手を広げている。しかし、やはり基盤は未だに和菓子。生菓子なども有名であるが、どら焼きはカステラなどの焼き菓子も密かに人気を集めている。


<ワールド・オブ・スピリッツにて語る!>
*カメリア・アルチュール・ドゥ・サンサール
*アルフォンス・B・ファンターナ
*ソフィア・サン・スプライト
*フィーネ・ブルーベリー・ヒル
*ツェツィーリア・ゴールド・シャッツ
*ヴァイツェン・ウルフ・イヴァン
*リオ・ブルキエッラーロ
└→容姿まとめ( >>96

・ディレット魔法魔術学校
魔界を代表する学園。『ユニヴェール』という都市に存在する。魔界に住む幾何の種族がこの学園の門を叩き、そして歓迎される。知識を欲し、腕を磨き、一生の絆を育む。それが、この学園である。そして、この『ユニヴェール』は学園都市と言っても過言ではなく、多くの設備が整っている。この学園へ通う者の中には、地方出身者も少なくないため、寮が完備されている。また、寮には入らず『ユニヴェール』に住む学生も多い。

・魔法使い/魔女/吸血鬼/人魚/人狼/物の怪/フランケンシュタイン/端獣/亜人/ドラゴン/ジャイアント…エトセトラ。


自己満足。

3年前 No.129

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY

▼Suject。
<薬草学/魔法史/呪文学/変身術/天文学/魔法薬学/占い学/数占い/魔法生物飼育学>
・アルフォンス…得意科目:)魔法薬学、苦手科目:)特になし
・ソフィア…得意科目:)薬草学、苦手科目:)魔法史
・フィーネ…得意科目:)薬草学、苦手科目:)天文学
・ヴァイツェン…得意科目:)呪文学、苦手科目:)占い学、数占い
・リオ…得意科目:)天文学、苦手科目:)魔法薬学
・ツェツィーリア…得意科目:変身術、苦手科目:)薬草学

3年前 No.130

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY

 「フーンフフ〜〜ン、フフッフーン」
 女性にしては少しだけ低めの声が、独特な調子で鼻歌をうたった。ゆるくウェーブした燃え上がるようなな長い髪、そしてその髪と同じ赤い色をした瞳はきっ、と吊り上がっていた。真っ赤なハイヒールを強気に鳴らす彼女――カメリア・アルチュール。ドゥ・サンサール――は、上機嫌な様子である。
「カメリア殿、今日は一段とご機嫌なのだな」
 彼女以外に人影の見当たらない部屋で、突如その声は響き渡った。ぼう、っという音と共に蝋燭の炎が燃え上がる。淡く、しかし力強い炎であった。蝋燭は曇り硝子の横に置いてある小さなテーブルの上で、淡いオレンジ色の炎をゆらゆらと揺らしている。
「当たり前だろ、ステッレ!」
先程の声を発したであろう蝋燭に向き直ると、カメリアは驚いた、という風に目を開き、赤いルージュを塗った唇を吊り上げ心底楽しそうに笑った。
「なんてったって、今日はアタシの奴隷が来る日なんだから!」


 カツン、カツン。真っ暗な空間に、靴音だけが反響している。
 黒く浮き上がるドアノブは、振れればひんやりと冷たい。少し力を込めて扉を押すと、オレンジ色の光が目に飛び込んだ。





いちほ。リハビリがてら書いてるけど、ちょっと無理かも。文才なさすぎ;;;;;;;

3年前 No.131

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY

ワアルド・オブ・スピリッツにて語る!

「フーンフフ〜〜ン、フフッフーン」
女性にしては少しだけ低めの声が、独特な調子で鼻歌をうたった。ゆるくウェーブした燃え上がるようなな長い髪、そしてその髪と同じ赤い色をした瞳はきっ、と吊り上がっていた。真っ赤なハイヒールを強気に鳴らす彼女――カメリア・アルチュール・ドゥ・サンサール――は、上機嫌な様子である。
「カメリア殿、今日は一段とご機嫌なのだな」
彼女以外に人影の見当たらない部屋で、突如その声は響き渡った。ぼう、っという音と共に蝋燭の炎が燃え上がる。淡く、しかし力強い炎であった。蝋燭は曇り硝子の横に置いてある小さなテーブルの上で、淡いオレンジ色の炎をゆらゆらと揺らしている。
「当たり前だろ、ステッレ!」
先程の声を発したであろう蝋燭に向き直ると、カメリアは驚いた、という風に目を開き、赤いルージュを塗った唇を吊り上げ心底楽しそうに笑った。
「なんてったって、今日はアタシの奴隷が来る日なんだから!」


 暗い空間の中、カツンカツン、という冷たい靴音だけが存在していた。周りにはただただ広い空間があるだけなのか、それとも他のナニかがあるのか。その区別すらつかないほどに、その場所は暗かった。しかし、その闇の中で一枚の扉と銀色の髪をもった長身の男の姿だけが、やけにくっきりと鮮明に浮かび上がっている。木目調の扉は古びてはいるが、艶やかな飴色でよく使いこまれていることがうかがわれた。ドアノブや蝶番などはアンティークな装飾が施されており、その一切は黒で統一されている。男の白い手が、ゆっくりとドアノブに伸びた。そうっと触れ、もう一度力を込める。ギィ、と扉が開いた。


 ギィ、と扉が開いた。まず暗い扉の向こう側から見えたのは、銀色だった。月光や、冬の空に輝く星々を連想させるような、冷たい銀色である。扉を開けたのは、男にしては色白な長身の青年だった。切れ長の瞳は何処までも深く青い。オレンジ色の光を淡く反射する銀髪は項を隠す程度の長さだ。ディレット魔法魔術学校のカッターシャツを着用してはいるが、指定の着用方法とはずいぶんかけ離れている。そして、その青年は薄い唇をゆっくりと開いた。
「えーっと…、テンチョーさん?」
「……ああ」
「今日から留学制度利用してここでベンキョーさせてもらうヴァイツェンでーっす! よろしくおねしゃす」
にかっと人懐っこそうな笑みを浮かべ




むり。

3年前 No.132

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY

ワアルド・オブ・スピリッツにて語る!

「フーンフフ〜〜ン、フフッフーン」
女性にしては少しだけ低めの声が、独特な調子で鼻歌をうたった。ゆるくウェーブした燃え上がるようなな長い髪、そしてその髪と同じ赤い色をした瞳はきっ、と吊り上がっていた。真っ赤なハイヒールを強気に鳴らす彼女――カメリア・アルチュール・ドゥ・サンサール――は、上機嫌な様子である。
「カメリア殿、今日は一段とご機嫌なのだな」
彼女以外に人影の見当たらない部屋で、突如その声は響き渡った。ぼう、っという音と共に蝋燭の炎が燃え上がる。淡く、しかし力強い炎であった。蝋燭は曇り硝子の横に置いてある小さなテーブルの上で、オレンジ色の炎をゆらゆらと揺らしている。
「当たり前だろ、ステッレ!」
先程の声を発したであろう蝋燭に向き直ると、カメリアは驚いた、という風に目を開き、赤いルージュを塗った唇を吊り上げ心底楽しそうに笑った。
「なんてったって、今日はアタシの奴隷が来る日なんだから!」
そう言って喉をくつくつと鳴らす様は、まるで悪戯が成功したときの子供のようだった。
「嗚呼…、それはすこし言い過ぎではないか、カメリア殿」
ステッレがもう一度声を発する。それに合わせてオレンジ色の炎がぶわり、と風が吹いたかのように大きく揺れた。もちろん、部屋に風は吹いていない。カメリアの黄水晶に似た瞳に、炎の色が混じる。
「アァ? ゴシュジンサマに楯突こうってか。お前も馬鹿になったね」
「そうは言っていないだろう。………何せ彼らは、"留学生"なのだから」


 暗い空間の中、カツンカツン、という冷たい靴音だけが存在していた。周りにはただただ広い空間があるだけなのか、それとも他のナニかがあるのか。その区別すらつかないほどに、その場所は暗かった。しかし、その闇の中で一枚の扉と銀色の髪をもった長身の男の姿だけが、やけにくっきりと鮮明に浮かび上がっている。木目調の扉は古びてはいるが、艶やかな飴色でよく使いこまれていることがうかがわれた。ドアノブや蝶番などはアンティークな装飾が施されており、その一切は黒で統一されている。男の白い手が、ゆっくりとドアノブに伸びた。そうっと触れ、もう一度力を込める。ギィ、と扉が開いた。


 ギィ、と扉が開いた。まず暗い扉の向こう側から見えたのは、銀色だった。月光や、冬の空に輝く星々を連想させるような、冷たい銀色である。扉を開けたのは、男にしては色白な長身の青年だった。カメリアは女性にしては背が高い。それに加え、高いヒールを履いているため、見た目の身長は平均男性並みにある。しかし、この青年は、それ以上に高かった。切れ長の瞳は何処までも深く青い。オレンジ色の光を淡く反射する銀髪は項を隠す程度の長さだ。ディレット魔法魔術学校のカッターシャツを着用してはいるが、指定の着用方法とはずいぶんかけ離れている。そして、その青年は薄い唇をゆっくりと開いた。
「えーっと…、テンチョーさん?」
「……ああ」
「今日から留学制度利用してここでベンキョーさせてもらうヴァイツェンでーっす! よろしくおねしゃす。"コッチ"に留学できるとか、最っ高! 堅っ苦しいガッコウの机に縛り付けらんなくていいんだもんな」
にかっと人懐っこそうな笑みを浮かべ、ヴァイツェンと名乗る男はそう言った。
「ただし、"問題児"としてですがね」
唐突に、声が響いた。カメリアの声でも、ヴァイツェンの声でも、ましてやステッレの声でもない。声の主は、扉の向こう側の真っ暗な空間に立っていた。穏やかな微笑を唇に称えた、夜空を溶かし込んだかのような黒髪を持つ青年。前髪の間から覗く瞳は、湖底を連想させるような緑色であった。すっきりとした目元が印象的だ。コツン、とこげ茶色の革靴を鳴らす。
「初めまして、カメリアさん。"正式な留学生"として、こちらに伺わせていただきました。アルフォンス・B・ファンターナと申します。そしてこちらが、」
「は、はははは、ははじっ、はじめましてっっ!!! そぷぃっ…ソフィア・サン・スプライトですっ! よろしくお願いいたしましゅ!!!」
「………フィーネ・ブルーベリー・ヒル。ま、よろしくとでも言っておくのが礼儀であろう」
黒髪の青年がすっと身を引く。その後ろには、ふたつの人影があった。ひとりは愛嬌のある顔立ちをした、茶色い髪の女。ゆるくウェーブした髪をひとつにくくっている。顔を真っ赤にして、スカートを握りしめ、涙目になりながら自己紹介をした。もうひとりは、淡い水色の髪の少女だった。その髪は顎あたりで切りそろえられ、真っ赤なカチューシャをしている。カッターシャツにネクタイ、ショートパンツという少々ボーイッシュな服装だ。
「あー…、"ソッチ"が本物ね。道理で。今年の留学生は随分馬鹿だなあ、とは思っていたんだ」
長い溜息を吐きながら、カメリアはがしがしっと長い髪を無造作に掻き上げた。






ミルクティには砂糖だと思っていたけれど、蜂蜜も中々美味しいと発見した今日。

3年前 No.133

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY

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2年前 No.134

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY

 最初は、物好きな奴も居るもんだと思った。
 だってそうだろう。こんなに完璧な学園が、寮では一人一部屋のを提供してくれるっていうんだ。広さもデザインも、申し分無い程素晴らしい。家が近場であっても許可は貰えるし、一日中仲の良い友達と顔を突き合わせていられるし、三食ついてくるし、そんなオイシイ話、断る理由が無いじゃないか。それなのに、"そいつら"は決して寮に入る素振りも見せなかった。嗚呼、物好きなやつら。









 西間庭おとぎの朝は早い。新聞配達のアルバイトの青年が、家のポストに新聞を突っ込む音と共にあたたかい寝床から抜け出すのだ。重たい瞼をこすりあげ、隣ですやすやと眠る少女に、小さくおはようと声をかける。柔らかそうな茶色の髪が、真っ白なシーツに散らばっていた。腹までずり下がった布団を肩まで引っ張り上げてやると、おとぎは寝巻のまま台所に立つ。冷たい床に、足元からゆっくりと熱を奪われてゆく感覚。曇り硝子の端に、鈍い朝日を見た。小さな冷蔵庫からふたつの卵を取り出す。今日の朝ごはんは卵焼きにしよう。慣れた手つきで卵をボールに割り、調理してゆく。ピーっと炊飯器が鳴った。顔を上げれば、曇り硝子一面、眩い金色の光で満たされている。きれいな黄色に焼きあがった卵焼きを、小皿に移し替え、畳の寝室へと踵を返した。

「…いのり、祈。起きて。朝だよ」
「………ぅむ、……んン……ぉとぎ、くん……」

 寝ゆっくりと彼女の小さな肢体を揺らせば、起きの舌っ足らずな甘い声で、名前を呼ばれる。祈がまず最初に名前を呼ぶのは、おとぎだ。それは、ずっと昔から決まっていたこと。

「お、はようございまぁす…」
「おはよう」

 ごしごしと目をこすろうとする手を握り込み、布団の上で挨拶を交わした。



いちほ。

2年前 No.135

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY

 最初は、物好きな奴も居るもんだと思った。
 だってそうだろう。こんなに完璧な学園が、寮では一人一部屋のを提供してくれるっていうんだ。広さもデザインも、申し分無い程素晴らしい。家が近場であっても許可は貰えるし、一日中仲の良い友達と顔を突き合わせていられるし、三食ついてくるし、そんなオイシイ話、断る理由が無いじゃないか。それなのに、"そいつら"は決して寮に入る素振りも見せなかった。なんて、物好きなやつら。









 西間庭おとぎの朝は早い。新聞配達のアルバイトの青年が、家のポストに新聞を突っ込む音と共にあたたかい寝床から抜け出すのだ。重たい瞼をこすりあげ、隣ですやすやと眠る少女に、小さくおはようと声をかける。柔らかそうな茶色の髪が、真っ白なシーツに散らばっていた。腹までずり下がった布団を肩まで引っ張り上げてやると、おとぎは寝巻のまま台所に立つ。冷たい床に、足元からゆっくりと熱を奪われてゆく感覚。曇り硝子の端に、鈍い朝日を見た。小さな冷蔵庫からふたつの卵を取り出す。今日の朝ごはんは卵焼きにしよう。慣れた手つきで卵をボールに割り、調理してゆく。ピーっと炊飯器が鳴った。顔を上げれば、曇り硝子一面、眩い金色の光で満たされている。きれいな黄色に焼きあがった卵焼きを、小皿に移し替え、畳の寝室へと踵を返した。

「…いのり、祈。起きて。朝だよ」
「………ぅむ、……んン……ぉとぎ、くん……」

 ゆっくりと彼女の小さな肢体を揺らせば、寝起きの舌っ足らずな甘い声で、名前を呼ばれる。祈がまず最初に名前を呼ぶのは、おとぎだ。親の名でもなく、信頼している友人でもなく、おとぎなのだ。それは、ずっと昔から決まっていたこと。

「お、はようございまぁす…」
「おはよう」

 ごしごしと目をこすろうとする手を握り込み、布団の上で挨拶を交わした。こくりこくりと舟を漕ぐ祈をゆっくりと立たせながら、優しく手を引き、ふたり向かい合わせで椅子に腰を落ち着けた。小さな机の上には、二人分の朝食が用意されている。きれいな黄色に焼けている卵焼き、ほかほかと白い湯気をたてる白米と味噌汁。祈は、白くちいさな手のひらを合わせ、おとぎに向かってとろけるような笑みを浮かべた。

「おとぎくん、いただきます」
「はい。どうぞ」

 おとぎも祈も、あまり大食いな質ではない。朝食を箸で口元まで運び、小さく咀嚼するという行為繰り返し、他愛ない会話を挟みながら食事を進める。今日の授業のこと、同学年の女子のこと、新しく出た本のこと、昨日の夢のこと。会話、といってもおとぎは祈に話題提供が出来る程、世間に興味を持っていなかった。だから、祈がぽろっと言葉を零し、おとぎが短い返事を一言二言返すのみであったが。それでも、祈は楽しそうにころころと鈴を鳴らすような声で、控えめに笑った。おとぎは何が楽しくて笑っているのかよく理解はできなかったが、祈が笑っていたので、自然におとぎの頬も緩んだ。和やかな食事がおわれば、ごちそうさまでした、とふたりで言う。小さなくすんだ銀色のシンクに食器を出す。祈が食器洗いを担当し、おとぎが洗った皿などを乾いたフキンで丁寧に拭いた。二人分の食器を洗い終わるまでに、十分とかからなかった。祈は同じ種類の皿を二枚ずつ重ね、そっと優しい手つきで食器棚ともいえない小さな戸棚の中にしまい込む。そうすると、祈はぺたぺたと素足のままおとぎの元へ走り寄り、柔らかな笑みを唇にたたえながら、今日も毎朝の決まり文句を口にするのだ。

「おとぎくん、髪、さわらせてください!」
「……それよりも、先に服、着替えてきて」

 祈は少しだけ眉尻を下げ不満そうな顔をしたが、「着替えたら、触ってもいいから」とこちらも決まりきった返答をすれば、すぐににっこりといつもの笑みを浮かべた。はぁい、と返事をして、ぱたぱたと布団の敷いてある隣室――といっても、祈とおとぎが住んでいる小さなボロアパートは、キッチンとテーブルを置いた部屋、そして寝室の二部屋しかないのだが――へ駆けこみ、部屋の粗末な壁にハンガーで引っ掛けてあった制服を手に取る。ちらり、と祈の一連の動作を横目で確認してから、そっと襖を閉めた。色あせた襖は日に焼け、ところどころが破けている。自分は、寝室と、もうひとつの部屋を仕切るそれにかけてあった制服に袖を通し始める。祈が来る前に手早く、かつ清潔に身形を整えなければならない。どこかの獅子のように、真っ白なカッターシャツを見苦しく着たり、猫に手懐けられている犬のように、ちゃらちゃらとした恰好は絶対にしたくなかった。
 おとぎが昨晩のうちに畳んでおいたハンカチを、ズボンのポケットにしまい込んでいると、祈が勢いよく襖を開け広げた。

「おとぎくんっ! 着替えたので、椅子に座ってください!」
「……ん、」

 少し右に曲がったリボンを直してやってから、はいはい、と言い、大人しく椅子に座る。
 祈は、満面の笑みでおとぎの紫色の髪に触れた。やや色素の薄いおとぎの髪は、朝の光を浴びてきらきらとひかっている。
 祈の細い指が、その髪を掬いとる。その行為に、どうしようもなく頬が緩む。






 嗚呼、しあわせだ。

2年前 No.136

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY





ワアルド・オブ・スピリッツにて語る!





「……ッチ! ンだよ、萎えるようなことすんな。クソガラス」
「萎える萎えないの問題ではないでしょう。カメリアさんに失礼なことをするだなんて。そこまで馬鹿ではないと思ってはいましたけれど…。正真正銘の馬鹿でしたね。それから、糞カラスではない、『カラドリウス』です、ヴァイツェン。…カメリアさん、この阿保が本当に申し訳ないことをしました、すみません」
「スミマセェーン」
「誠意がない! あなたほんとうに謝る気があるんですかっ!?」
「いってぇ!! 触ンなクソ野郎ッ!」





いちほ〜〜〜。
ぜんぜん更新していないのに、ちょこちょこアクセスがふえていてうれしいです(;_;)ありがとうございます

2年前 No.137

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY

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2年前 No.138

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY

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2年前 No.139

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY

息抜きに。お題お借りいたしました。


▲いつも比べられる
 兄さんは秀才で、弟は天才だった。
 追いすがることも、迫りくる恐怖に打ち勝つこともできない。とにかく、僕は弱虫な凡人だったのだ。

▲こんなのが兄だなんて恥ずかしい
 「八雲ー!!! 迎えにきてやったぞーっ!!」
 「げっ、兄貴…!? 恥ずかしいからヤメロって言ったじゃんかー!」
 スーツ姿の兄貴が校門前で待ってる、男子高校生・安倍八雲。

▲勝手に人の部屋はいるなよ!
 「ふんふ〜〜ん……って、ぎゃーっっ!!!!! 八重姉なんで俺の部屋にいんだよっ!?!?」
 「え〜〜? 八雲もお年頃だから、"そーゆー"御本あるのかなって!」
 「ぶりっこしたって無駄だかんな…!!!」

▲彼氏連れてきているから、邪魔しないでね
 「八重ー?」
 「お兄さま? 八重に何か御用? 嗚呼、でも今からカレシとおうちデートだから、邪魔しないでくださいな!」
 「!?!?」

▲風呂場でうっかり鉢合わせ
 「っきゃー!?!?!?!」
 「………遠八ってば、昔は一緒にお風呂入った仲なのにぃ…」

2年前 No.140

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY

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2年前 No.141

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY

スピリッツちゃんず。

(!)BoYs。
■ヴァイツェン=ウルフ・イヴァン/愛称:ヴァル/所属:ドリット
 ノリが良いバカ。基本的に明るく騒がしい。口が悪く目つきも良いとは言えないため、きつい印象を受けるが、意外にも涙もろかったり、情に厚かったりする。興味のないものには、まったくと言っていい程反応を示さない。好き嫌いの差が激しい。授業中寝てばかりいるので、成績はあまりよくない。ただし実践にはめっぽう強く、呪文学の成績のみ良好。すらりと伸びた長身、銀髪の間から覗く鋭い碧眼。人狼。
■ジルヴェスター・アンガーミュラー/愛称:ジル/所属:ドリット
 周りに星が飛行しているバカ。いつもニッコリと笑っている。人懐っこく、親しみやすい印象を受ける。実際、初対面の人とでもすぐに打ち解けることができる。他の三人と比べると、女子からの印象も明るい。ノリがヴァルと似ているためか、四人組の中でも特に気が合う。どの科目も平均点よりすこし低い。得意科目も苦手科目もない。柔らかそうな栗色の髪と、緑色の柔和な瞳。レーシー。
■ヒューバート・フォルスター/愛称:ヒューブ/所属:ドリット
 少し長めの髪と切れ長の瞳が艶っぽい二枚目。その見た目に反して口は悪い。他の三人と比べると知的に見えるかもしれないが、ヒューブも例に漏れずバカ。変なことろで頭が冴える。四人の中では一番落ち着いて見える。四人gたーぎゃー騒ぐのが大好き。狼狽える秀才をニヤニヤ見るのも大好き。担任よってやる気に差が出る。うなじを覆い隠す少し長めの薄紫の髪と、すっきりとした濃い紫の瞳。フォーン。
■ルートヴィヒ・バイルシュミット/愛称:ルート/所属:ドリット
 声が大きいバカ。大声かつ口が悪い。そのため、四人組の中で女子からの好感度は一番低い。本人は自覚しておらず、なんかオレ最近女子から避けられてる気がすんだけど……、と少々落ち込み気味。彼女が欲しいと常日頃呟いている。成績不振について両親にしこたま怒られたため、努力はしているようなのだが、イマイチ結果につながらない不憫系男子。眩いスカーレットの髪と、爛々と輝く橙色の瞳。サンダーバード。
■アルフォンス・B・ファンターナ/愛称:アル/所属:エアスト
 学年主席の秀才。エアストでもトップレベルの成績を誇る。いつも穏やかで、知的な笑みを浮かべている。
■リオ・ブルッキエッラーロ/愛称:リオ/所属:ツヴァイト

(!)giRls。
□ツェツィーリア・ゴールド・シャッツ/愛称:ツェリ/所属:ドリット
□エリーザベト・クローヴィンケル/愛称:リズ/所属:ツヴァイト
□アンネリース・ゼーネフェルダー/愛称:アンネ/所属:エアスト



いちほ〜〜。

2年前 No.142

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY

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2年前 No.143

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY

オレの世界にあるもの以外は、すべてが煩わしいものだった。オレを怯えたような目で見る奴等も、媚びるようにすり寄る奴等も、軽蔑の眼差しを投げる奴等も、ぜんぶ、ぜんぶ。気持ち悪くて憎たらしくて寂しくて、悲しくて哀しくてたまらなかった。だったら、オレにやさしい世界だけがあればいいと、なにもかもに牙を剥いたのだ。牙は鋭く引き裂き、爪は深く切り裂いた。

2年前 No.144

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY

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2年前 No.145

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY

「ど……どう、って言われてもですね……。あの、言葉で、言うのが、そのぅ、難しいんですけど……あっ、ごめんなさい! い、言いますからっ! ええと…………、イヴァン君は、青い、です。すごく、青いです。突き抜ける青空みたいな……、澄み渡りすぎて、こわいくらいなんです。でももっと、こう、明るいのに深くて、海の底とか氷とかつめたいものを思い浮かべます。……あっ、あのですね!! 決して、決してイヴァン君自信を冷たいとか、そう言っているんじゃないんです、決して!! すみません、ほんとうです……。それで、あの、すごく青く澄んでいて、それで……なんか、氷山とか、そういう類のものです。きっと……、上のほうまでずうっと伸びてて……空のほうまで届いて、ます。まわりは……すごくとんがってます……!! えっ、すみません! うぁ、ゴールドさんのもですか……? ……や、やりますっ! 是非やらせてください!! ゴールドさんは……きれいな黄色です。黄色、といっても眩しいとかそういうんじゃなくて……淡い色で、ゆらゆらって揺れてる感じです。えぇと、ススキとか……そういう植物が風に吹かれて揺れているイメージ、です……。あっ、でも……たまに、真っ赤な炎みたいなのも……飛んで、ます。あの、……ゴールドさんがこの前見せてくれたような、狐火みたいなのです。たまにふわっと出てきて、……こう、ゴールドさんのまわりをぐるっとまわると、ふって消えてゆくんです…………ヒィッ!? す、スミマセンっ、わ、悪気はありません、ほんとうです……!!」
オーラ的なものが視えるリオくん。

2年前 No.146

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY

#うちの子の家族構成
安倍八雲「親父と母さんと、兄貴二人と間に姉ちゃんひとり。俺末っ子な。親父は骨董屋やってる。店は家の敷地ん中にあるよ。俺んち、古くてだだっ広いのだけが取り柄だもん! 一見さんは外見に惹かれて来たんですーってひとが多いらしいんだよね。母さんから聞いたはなしだから詳しくは知らないんだけど。俺、店の方には全然行かねーし。儲かってるかどうかも知らねーっ! 親父の経営手腕とかどーでもいい。ていうか、あんなちゃらんぽらんが商売できてるっていうこと自体が奇跡だと思うんだよね。絶対母さんが一枚噛んでる! あ、母さんは専業主婦な。ずっと家にいるわ。料理がメチャクチャ美味いんだよ。母さんの料理は何でも美味いけど、俺はやっぱり肉じゃがが一番好きだなあ。そんで、一番上が八尋兄貴。今は……二十七歳! ただのオッサンだろ!! 市役所勤めで、もう実家出てんの。一人暮らしな。でもすげえ家に入り浸ってるし、俺の学校の校門前にスーツでキメて来たりするし、遠八兄ちゃんにやたらねちっこく絡んでるし、八重姉好きすぎて気持ちワリーし…………正直言ってかなりウゼえ! さっさと身ぃ固めてくんねーかなあ……でも、あんなオッサン、誰が旦那に欲しいって言うんだろーな…………身内ながら心配だぜ……。…………よ、よし! 次だ、次っ! 二番目は八重姉! 二十一歳。四人兄弟ん中で一人だけ女子なんだよな、でも全然男っぽくねーし、ガサツでもない! むしろ美人でさーっ! ……あ゛あぁあ、でも狙うのはヤメといた方がいい、あれはたぶん彼氏いるわ、多分っていうか、いるわ。いない方がおかしいもんな、うん。今は、鑑定士の資格取って自分で店持ってる。骨董は親父から教わってたみたい、親父、八重姉のこと大好きだから。甘々だから。溺愛だから。で、骨董だけじゃなくて、宝石とか絵画とか……漫画も本もなんでも! 鑑定してくれっから。八重姉マジ頭イイんだよね。美人で頭もイイとか、マジ最強! で、次! 遠八兄ちゃん! 優しいしぃ、頭いいしぃ、マジイケメン。ザ・兄貴って感じなんだよね。今は大学一年生で、十九歳な。俺が勉強わかんねーって言うと教えてくれんの。わかりやすいし、超丁寧だし。八尋兄貴はウソしか教えない……! それで、最後。俺はしがない一介の高校二年生で〜す」

2年前 No.147

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY

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2年前 No.148

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY

 「安倍ーっっ!!!」
 授業を進める声が一瞬途切れたと思えば、教室一杯に響き渡る怒号。そして、それに合わせて真っ白い物体が生徒の頭上を物凄い速さで横切った。
 「んぅべあっ!?」
 原先(ハラセン)の手から放たれた白い物体は、寸分の狂いもなく、ひとりの男子生徒の額に直撃した。真っ白なノートの上に、少し砕けたチョークが転がる。
 「痛っ!? 原先痛ぇよ!!」
 「ウルセー! オレの授業で寝てるお前が悪ぃ!!」
 口元のヨダレを学ランの袖で拭うのは、安倍八雲。青桐高等学校二年生である。柔らかそうなyチョコレート色の髪は硝子越しに光り、アーモンドの瞳は先程の痛みによってか、少し潤んでいる。友人・六条からソフト七三と称される前髪はすこし短めである。対して、その八雲に怒鳴り込んでいるのは、八雲が所属する二年五組の自称・帝王――担任とも言う――、原先(ハラセン)こと原月彦である。気の強そうな吊り上がった眉。体育会系で、いかにも科目は体育! といった風貌なのだが、実際のところ担当科目は古典。ばりばりの文系なのである。
 現在、八雲の席は窓側、後ろから二番目という、最高の位置である。加えて四月の初旬というあたたかい季節。眠くなるのも至極当然であった。


ん〜〜練習。いちほ!

2年前 No.149

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY

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2年前 No.150

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY

 きっかけなんて、そんなものだった。

「あのぅ……、鑑定をして頂きたいのですが」
 きっかけは、祖父の遺品である一冊の本だった。その本は、ずっと昔、祖父の祖父――つまり俺のひいひいお祖父さん――から譲り受けたものなのだと、祖父は生前嬉しそうに話していた。祖父は本が好きで、自分だけの大きな書棚をひとつ持っていた。俺が読書好きなのは、此処に原因の一端があることに間違いはない。膨大な書物の中、祖父は特にその本を気に入っていた。そして、祖父は俺が幼い時から、事あるごとにその本を見せてくれていたのだ。しかし、当時の俺、そして現在の俺も、書かれている文字を解読することは叶わないのだが、印刷されていた絵だけは理解することができた。その本に描かれていた絵は、とにかく不思議だった。想像もできないような動植物、意味があるのかさえ不明な記号の羅列、地球のものとは思えない世界地図。他にも、そこらへんに売っている図鑑なんかではお目にかかることが出来ないような絵ばかりだった。幼少期の俺は、とにかくそれらに心を躍らせていたのだ。しかし、先日その祖父が息を引き取った。遺書には家族に宛てての文章、財産の分与、葬儀について、そして、大事にしていた膨大な数の蔵書は、すべて俺に譲るという趣旨のものが書かれていた。そうして、ずっと昔から心惹かれていたあの本は、祖父の死と共に、俺の腕の中に納まったのだ。

 そうして、冷たい一週間が過ぎた頃。俺の部屋の机のうえに置かれたままになったあの本は、祖父の葬儀の日から一度も開かれないままで其処にあった。そっと手で触れる。滑らかな革張りの立派な表紙には、金色の文字でこの本のタイトルが書かれている。なぞってみるが、当然意味は理解出来ない。そっと表紙を捲る。柔らかい羊皮紙が、手に吸い付くようだった。ぺらぺらと適当にページを捲り、見慣れた絵の数々を眺めているうちに、俺はあることに気が付いた。ページが一つ、足りないのだ。この本はあまりページ数の多い本ではなかった。今まで数えたことはないので正確にはわからないが、せいぜい百ページ程だろう。一見すると、よくできたスケジュール帳なのだ。それに加え、この本は幼いころから何度も何度も読んできた本。抜けているページがあることには、すぐに気が付くことができた。母や父が勝手に抜いたとも考えにくいし、俺自身も祖父の葬儀の日から本に触れさえしていなかった。初めは、ただ単に俺の気のせいだろう、と結論付けていた。だが、次の日も、また次の日も、日に日にページが消えてゆくのだ。もうすでに気のせいでは済まない。ある晩、俺は夜の間本を見張ることにした。本をじっくりと眺めてから、そっと机の上に置いた。柔らかく沈むベッドに座り、壁にもたれる。仕事帰りに図書館から借りてきた文庫数冊を共に、俺はサイドテーブルのランプだけを頼りにして、一晩本を見張った。当然、部屋に両親がこっそり入ってくるわけでも、誰かが――見知らぬ誰かが、俺の預かり知らぬところで勝手に自室へ侵入している、という仮説はあまり考えたくはなかったのだが――こっそり部屋へ入ってくるというわけでもなかった。曇り硝子の端に、じんわりと黄色が滲み出した頃、俺はようやく文庫本の頁を閉じた。机の上に置かれたままの、本。一晩、僕の目の前で誰にも触れられることなく其処にあった。浅い呼吸に気付かぬまま、俺はその本の表紙に手をかけた。ゆっくりと頁を捲る。ひゅう、と喉が鳴った。確実に、また頁が減っている。俺は、本当に、文字通り、背筋がぞっと凍った。
 大好きだった祖父の、大好きだった本。それなのに、僕はこの本を何処か遠くにやってしまいたくて堪らなかった。あんなに目を輝かせて読んでいたのに、手放したくてたまらなかった。自分でも理解しがたいその感情が、僕の恐怖に一層拍車をかけたのだ。

 俺は、この本を本格的に手放す計画を立てることにした。古本屋に売るという手段もあったが、このような本を再び世間へ野放しにしても良いのだろうか、と考え直し、俺はとある友人の元へと足を向けた。その友人の名前は、東堂環。高校時代、二年、三年と同じクラスだった奴で、地元の寺の息子だった。寺の息子だからといって、彼にこの件を頼む訳ではない。高校時代から、『身の周りで変なことが起きたら、速めに相談しろ。あっ、変なことって言っても、不審者とかストーカーとか、対人間絡みはヤメテくれよ? おれは他人にボウリョクなんて揮えないタチなんで』と言っていたからだ。東堂は現在、実家を継ぐために日々修行に明け暮れている。それについては高校時代から聞いていたし、同窓会でも酒気を帯びた友人に囲まれ、にやついた笑みを浮かべつつ、そう話していた。その後も頻繁にではなかったにしろ、俺たちは一ヶ月に一度は顔を合わせていた。俺も就職は地元だったので、狭い地域の中顔を合わせないでいるという方が不自然であった。そうして、東堂の実家である寺の門を叩いたのだ。

2年前 No.151

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY

「おう、藤宮! 久しぶり」
「……つい一週間ほど前に会ったばかりじゃないのか?」
「いやいや、友人の心遣いに気付けって! だぁからお前は高校ン時からモテねえんだよ」
「そんな事はどうでもいい。興味もないし」
「うーわっ! 相変わらずムカツク! ……あーっと、ま、中入れよ」
坊主とは思えぬ相変わらずの軽さに安堵しつつ、適当にあしらう。通されたのは、寺の奥にある応接室のようなフローリングのこぢんまりとした部屋だった。大人二、三人が掛けられそうなソファがふたつ、脚の短いテーブルを挟んで並んでいる。二人、向かい合って腰を下ろした。
「で? 例の本ってのは?」
「此れだ」
鞄からそっと本を取り出し、白いテーブルクロスの上に置く。
「へぇえ、キレイな本じゃん。これがどんどん減ってくワケね」
「そうなんだ」
東堂には、『祖父の遺品である本の頁が、日に日に減っていくのだ』という趣旨の電話を昨日してあった。そして、東堂が本に触れようとした瞬間。バチッ!と音がして、彼の指が弾かれた。
「うわっ!?」
「おいっ! 大丈夫か!?」
とにかく、吃驚した。静電気かとも思ったのだが、この本は金属ではない。俺が本に触った時も、ましてや両親が触った時ですら、なにも起こったりはしなかったのだ。それなのに、東堂が本に触れた途端、あんな風に指を弾くなんて。只、驚き、東堂を心配することしか出来ないでいた。一方の東堂は、赤くなった右手の指を抑え、じっと本を見つめる。
「……なあ、藤宮」
「……? なんだ」
「お前、あれだ。こりゃ、おれの手には負えん。スマン!」
「本気で言っているのか」
「本気も本気、マジもんだぜ」
「…………どうすればいい。行き詰ってお前の所に来たのに」
「違う。”おれ”の手には負えないんだ」
「……どういう意味だ」
「いいか、頼もしいひとを紹介してやる」
東堂は、ちょっとここで待ってろ、と言い置くと、何処かに行ってしまった。待っている間、出された緑茶とお茶添えに舌鼓を打つ。数分すると、板張りの廊下をドスドスと騒がしく歩く音が響いてきた。相変わらず、とても騒がしい男だ。バン!と扉を開けた東堂の手には、白い封筒が握られていた。
「これだ!」
「……何だ、それは」
「いいか、藤宮。これは、『桜』って骨董店の紹介状だ」
「…………骨董? 何故其処に骨董店が出てくるんだ」
「まあ、聞け。『桜』って店は、青桐っつーとこにある」
「青桐っていうと、隣町の青桐高校の方か? 意外と近いんだな」
「そうそう。でな、その町に、おれらみたいなのと同じコミュニティーに属してる一族がある」
「コミュニティーっていうのは何なんだ」
「ンン、まあ、世間一般は平凡に生きてりゃ、関わることのない世界だ。幽霊とか、妖怪とか。そーいうのが視えたり感じたりってな。所謂、霊感。わかるか? そんな奴らばっかのコミュニティー。で、その一族ってのがここら一帯の総元締みたいな役割をやってんだ。理由は、そいつらの能力が個々でメチャクチャに強いからと、そいつらのご先祖様の関係でな。……昔からの決まり事だ。で、うちみたいのがいっぱいいて、お前が今回持ってきたヤツと似たようなのを、向こう側に逝かせてやる手伝いをしてる。でも、その一族はこーいうことすべてを引き受けてくれるワケじゃねえぞ。おれんちみたいな下っ端稼業ン所に来たけど、対処できないようなモンを、そいつらが片づける。今回、お前が持ってきたこの本は、そんなにヤバイものじゃねえ。この寺の門を潜れたからな。もっとヤバイのは、門すら潜れねえ仕組みになってんだ。だが、今回のはちと相手が悪い……、なんてったって、触れもしねえ。手も足も出ねーよ。で、だ。”こーいう”おれらの手には負えないような厄介ごとは、そいつらが引き受けてくれることになっってるって、さっき言ったよな。その『桜』の店主が、その一族のひとりなわけ。藤宮が今回持ち込んだ、骨董とか古いモンの類は大体その人がやってくれる。鑑定士の資格も持ってるから、この件が終わったら持ち込みもOKしてくれるぞ、きっと。スゴクいいひとだしな! でな、藤宮。いいか? この紹介状を持って、『東堂の紹介で来ました。鑑定をして頂きたいものがあるんです』って言うんだ。絶対に、この紹介状は忘れるなよ。ま、持っていきさえすれば、そのひとが絶対になんとかしてくれるから」
冗談だろう、と言おうとして、その言葉を飲み込んだ。東堂の目が、とにかく真剣だったからだ。俺は、ゆっくり頷く。俺は知っている。この親友は、嘘をつかない。
「……わかった」
「頭の固い藤宮がすんなりと納得しやがったぜ」
そう茶化しながら、東堂は和尚らしくない、例のにやついた笑みを浮かべている。そうして、無くすなよ、と言って、俺の手に白い封筒を握らせた。

2年前 No.152

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY

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2年前 No.153

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY

■五十嵐 伊吹(いがらし いぶき)
県立白芽高等学校二年五組六番所属。十七歳。帰宅部。ブラウンのショートストレート。束っぽい。本当は染めてるけど、カルキのせいで茶色くなったと嘘をついている。趣味は少年マンガを読むこと。月曜日の朝、コンビニエンスストアで立ち読みをしている姿をよく目撃される。とある事情から『B・B』の協力者となる。学ランに水色のハイカット、青のリュックが基本。

2年前 No.154

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY

◇春宵
 仄かな甘さの茶菓子に舌鼓を打っていると、廊下の奥から足音が聞こえてきた。店主の方だろうか、と思い椅子から立ち上がる。が、予想に反して紺色の暖簾をくぐってきたのは、先程の女性だった。俺はびっくりして固まってしまったが、彼女は「座っていて下さって良かったんですよ」と笑った。カウンターにいた時とは違い、艶やかな黒髪を後ろでひとつにくくっている。そして、小脇にはなにやら救急セットのような木箱を抱えていた。彼女は俺が座っていたソファの向かい側に腰かける。どうぞ、と言われてから俺も慌てて腰を据える。
「自己紹介が遅れてしまってすみません。わたし、『桜』の店主の安倍と言います」
「あ、いいえ、そんな。初めまして、藤宮縁です。こちらこそ、今回はよろしくお願いします」
「はい、一生懸命やらせて頂きます。…………あの、驚かれましたか?」
えっ、と思わず声が漏れる。彼女は、先程俺が固まってしまったことを言っているのだ。
「……すみません。無神経でした」
「あっ、いいえ! 責めているわけじゃないんです。大体皆さんそういった反応をしますよ」
「……あの、確かに驚きました。すみません。でも、あなたの腕を信用して此処まできました。改めて、よろしくお願いします」
座ったまま、ぺこっと頭を下げた。視界に自分の足元だけが映る。沈黙が俺の肩に降り積もった。……なんだか急に恥ずかしくなってきた。自分でも耳が紅いのがわかる。安倍さんもこんな風に言われたら、どういうふうに反応したらいいかわからないだろう。…嗚呼、失敗した。ぐるぐると頭の中でそんなことを考えていたら、くすくすと小さな笑い声が聞こえた。ぱっと顔を上げると、安倍さんが肩をわずかに震わせながら笑っていた。
「あ、あの……?」
「す、すみませっ…、そんなに、直球に言われたのっ、はじめてだったから……!」
顔を赤くしながら笑う彼女を見て、自分が言ったことがもっと恥ずかしくなったが、落ち込んでいるわけではないことに何故かほっとした。そうしたら、なんだか俺も可笑しくなってきてしまって、二人で静かに笑い合った。ようやく落ち着いた頃、やっと本題に入る流れになった。



<春宵: >>151-153
・藤宮 縁/ふじみや えにし/男
 二十五歳。地元である白芽の市立図書館で司書を務める。クールで冷静沈着。趣味は本を読むこと。純文学が好き。敬語というわけではないが、丁寧な言葉遣いをする。眼鏡。左目の下にほくろがふたつあるのがチャームポイント。
・安倍 八重/あべ やえ/女
 青桐にて骨董店『桜』を経営する。大学三年生。おっとりとした性格で、いつもにこにこ微笑んでいる。ある意味マイペース。怒ることはほとんどない。背中の真ん中程まで黒髪をのばしている。垂れ目。
・東堂環/とうどうたまき/男
 縁の親友。白芽にある実家で、住職をやっている。縁に八重の店を紹介した。


みじかい。

2年前 No.155

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY

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2年前 No.156

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY

ぽろりっ。
溶けるように涙がこぼれおちた。みどりいろの瞳はからっぽだったが、とうめいな水だけはこぼれつづけた。

1年前 No.157

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY

▲memo
・斜め向かいのブルーピアス。
・ヘリオトロープに蝶結び。
・エメラルドの星が割れる。
・ヴァニラ、反転の宇宙。
・嘘だけを残し、彼は宇宙に死す。


さいきん投稿してないのにアクセスがメッチャ伸びててびっくりですほんとうにありがとうございます(;O;)!!!

1年前 No.158

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY


あのブロンドから香る甘い石鹸のにおいを飲み込んでから、なんかもぉ訳わかんなくなった。透けそうな白い肌とか、細い手首とか、金糸のかかるうなじとか、アイツをつくってるそういったものしか考えられなくなった。頭ン中アイツが占めて、もうただそれだけ。全部、中暴いてやりたくなって、オレのものにしたくなって。押し倒したら、真っ赤な目ェ丸くして、それからまたいつもみたいにころころ笑うから、うれしくてキスした。心臓のある場所だけが、はっきりとわかる。

1年前 No.159

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY

◆名前メモ。
雪梅(シュエメイ)/春燕(チェンイェン)/美雨(メイユイ)/雪藍(シュエラン)
宝良(たから)/壱(いち)/千隼(ちはや)

1年前 No.160

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY




ワァルド・オブ・スピリッツにて語る!




「……すっごーい! あの金髪の子、ツェツィーリア・ゴールド・シャッツちゃんだよ! わたし、初めてこんなに近くで見ちゃった!きれーい……。ねっ、フィフィちゃん!」
「……ゴールド・シャッツだと?」
「そう! ディレットで1、2を争う美人さんでね、すごーく有名な子なの。クラスでも男の子たちが噂してるよ。フィフィちゃん知らないの?」
「……ふん。そのような低俗な話、妾の耳に入れる価値もないわっ」
「そっかぁ」
 乱された服と髪を整えるアルフォンスの後ろで、ソフィアとフィーネは小声で囁きあっていた。"ツェリ"は未だに震える黒髪の少年の傍らで、不機嫌そうなヴァイツェンをなだめすかしている。エアスト――ディレットでは成績順に『エアスト』、『ツヴァイト』、『ドリット』というクラス構造になっている――に所属しているにも関わらず、何故かドリットの情報にも精通しているソフィアが、興奮した様子でフィーネの耳元に口を寄せた。
「それでねっ、ツェツィーリアちゃんとイヴァン君、付き合ってるんだって!」
「…………くだらぬ」
 ばっさりと切り捨てられたソフィアは、落胆の色を見せながら苦笑いを浮かべた。しかし、その顔はぱっ、と笑顔に切り替わり、アルフォンスの方へと向けられる。
「そういえば、アルフォンス君てば、イヴァンくんと仲良しさんだったんだね! あんまり接点なさそうなのに」
「好きで知り合った訳でもありませんし、"仲良しさん"になった覚えもありません」
 さらり、と涼やかな黒髪を揺らし、アルフォンスが優雅な仕草で振り返った。
「彼とは、呪文学の授業で同じクラスに配属されているんです」
 前述した通り、ディレットでは学年ごと3つのクラスに分けられている。通常の授業はクラスごとに行われるが、実技である呪文学のみ、学年全体の成績によって振り分けられるのだ。
「へぇ! ……あれっ、でもアルフォンス君、『ゾンネ』でしょう?」
「そうですよ」
「……じゃあ、イヴァン君も?」

 ソフィアの声はささやき声と同等だった。
>>133,138,161





受験つかれた

1年前 No.161

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_8yY

雛菊のキスを蹴り飛ばした。薬指に咆哮だけが木霊する。金曜日の双子。毒蛇は土星にねむる。冷たいベガだけが微笑み、心臓は輝いた。9月の燃える海。暁の溜息はすべてだ。獣の復讐。ささやきに向かって走れ。走れ。走れ。

1年前 No.162

びすこ @choco0112 ★BSlcN0j8xD_BqV

▼memo
ヒ素/ネバーランド/人魚/ウインク/初恋/箱庭/ドーナツ・ホール/宇宙に死す/ベロニカ/染色体/明日を飼いならす/ラブソング/夜明け色/ヘリオトロープ/エメラルド星/ヒール/エンド・リピート/ダイヤル/さびしんぼ/ふたりぼっち/からっぽ/飛べ!

▽(いつか)使いたい台詞
「あなたって、どうあがいても世界に優しくないのね」/「狼は絶滅したのだよ」/「僕ね、いま、君が不幸で、最高にしあわせ」/「ふーん、鬼の名前を持っているのかい?」/「あッ……、あの子、ちょぉ、おいしそ……ぉ」/銀髪の間から覗くピアスは金色だった。キラキラしてて、妙に泣きたくなった。/周りにどう思われたっていい。あいつにだけ、あいつにだけおもわれてるだけで、いいんだ。/そう、綺麗な顔をして言うものだから。/「さようなら、ガール」/つめたい唇。蜜の味。けれど幻想。すべて幻想。/

1年前 No.163

びすこ @choco0112 ★WICbYOSnfV_8yY

▼メモ。
「水の影、薔薇の枝。大蛇(オロチ)の首を落とせ。」
「獅子の牙、柳の背骨。白く輝き、赤く散れ。」
7th heaven/Apple ofeye./Care killed the cat./Here's looking at you,kid./cloud9/I've got acruch on you.

1年前 No.164

びすこ @choco0112 ★WICbYOSnfV_8yY



手折ったハシバミを結ぶ。





 安倍八重は、ひとりで店を切り盛りしていた。店を始めたのは大学を一年休学した頃。復学してからの経営は父の背中を眺めていたから、勝手はわかっていたし、商品を見る目にも自信がある。古美術を主に取り扱っているが、陶器や掛け軸など幅広い分野にも手を出しているから、多いわけではないが幸いにも客足が途絶えることはなかった。帳簿をつけるのも、父とは違って別段苦には感じていなかったし、商品の陳列を考えたりするのも好きだ。苦には感じていない。ただ、忙しい。ひとりでやっているのだから当たり前なのだが、忙しい。帳簿をつけたら、向こうの棚の商品を並べ、こちらの掛け軸を仕舞いなおす。普段、兄弟や友人からおっとり、だとかマイペースと称される八重だが、この時ばかりは忙しなく動きまわる。八重が動くたびに黒髪が優雅に揺れた。そんな八重に後ろについて回るのは、藍色の青年だった。彼女が小さな店内をあっちへ行ったりこっちへ行ったりするのにつれて、青年もその忙しない背中についてくるのだ。はたから見ると、小ガモが親ガモのうしろについていく行動に酷似していた。八重はたまに少し困ったような顔をして青年を振り返るのだが、当の本人は対照的に無表情気味の顔の中に、八重に振り返られた喜びを浮かべる――といっても、真一文字にきゅっと結ばれた口元と切れ長の目元が僅かにゆるむだけなのだが――のである。
 あまり表情を変えない彼、史郎のことを、八重は邪険に扱えなかった。
 史郎は付喪神である。二週間程前に店に来た日本刀に史郎が憑いているのに、八重が気が付いたのだ。そこから紆余曲折があり、史郎は八重の営む『桜』に居候することになったのである。八重は自分でもおっとりとしている、という自覚はあるものの、根は姉気質でだった。下に二人いる弟の世話を焼くのは好きだったし、懐いてくる弟たちはかわいくてたまらなかった。だから、捨てられた子犬のような目をした史郎を店に置くことを是としたし、どこにでもついてきたがる彼に何も言わなかった。
 しかし、史郎を店に置いて約一週間。おっとりした八重も、そろそろこの状況をどうにかせねば、と史郎と正面から向き合った。史郎はというと、自分よりもずっと下にある八重の顔を、例の子犬のような目で見つめている。
「ねえ、シロちゃん」
「なに? 八重」
 八重はひどく悲しそうな顔をして、ついに言った。
「…………シロちゃんがわたしの後ろについてくるの、……すこし、邪魔なの……」
「……っっ! ……っ!!!!」
 史郎は悲しんだ。己の身の丈を、今日この時ほど呪ったことはない。はくはくと金魚のように口を動かすが、言葉だけが出てこない。八重の『邪魔なの』という台詞が、史郎の頭の中をぐるぐると反響しながら駆け巡る。邪魔なの。邪魔なの。邪魔なの。史郎はふらり、と覚束ない足取りで店のカウンターの後ろに備え付けられた暖簾の奥へと消えていった。
 店の奥には店頭には置けない大きな品などを仕舞うスペースがある。それらはいくつかの物置になっており、史郎はその内のひとつを与えられていた。元々は他と同じような物置部屋と化していたのだが、史郎が『桜』に居候すると決まったときに、八重が置かれていた一切を他の部屋へと移したのだ。史郎の部屋を含め、物置、と呼ばれている部屋は本来小さな和室だったので、居心地は悪くなかった。今、史郎の部屋には、史郎の本体である刀が桐の箱に納められ、畳の上に置かれているのみである。
 史郎は、曇り硝子の向こう側の夕日を見つめながら、日に焼けた畳の上に横になっていた。緋色の太陽が、やけに目に染みた。ぎゅ、と自分の膝をかかえこむ。その時、背にしていた襖越しから少しくぐもった八重の声が聞こえた。
「シロちゃん。わたし、きょうはもう帰るね。……バイバイ」
 返事はしなかった。店の正面の引き戸がガラガラと音を立てるのを聞いて、もう一度膝をかかえなおした。







リハビリ。ギャグだなっておもって読んでください。

1年前 No.165

びすこ @choco0112 ★WICbYOSnfV_8yY

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1年前 No.166

びすこ @choco0112 ★WICbYOSnfV_8yY

[--] 座談会を始める前に、まず今日の出席者を確認します。ひとりずつ自己紹介をどうぞ。
祈「椋木祈といいます!」
真広「日向野真広デース。よろしく。」
ヴァル「ヴァイツェン・ウルフ・イヴァン! ヴァルでいーぜ。」
縁「藤宮縁です。よろしくお願いします。」

[01] 今日のテーマは「アイツについて」ですが、どなたについて話し合いますか?
祈「祈はおとぎくんについてです!」
真広「んー、ことりについてかな。」
ヴァル「もっちろんツェリ一択!」
縁「今日は、八重さんについてお話ししたいと思います。」

[02] その方と出会ったのはいつですか?また、自分とはどんな関係ですか?
祈「出会ったのは施設……孤児院です。ええと……、祈とおとぎくんの関係性、ですか? 具体的な名前は、おもいつかないです。強いていうのであれば、同居人でしょうか?」
真広「出会ったのは、今通ってる学園。ことりとはただのトモダチ。ことりもそう思ってるからネ。」
ヴァル「初めてツェリを見たのは……たぶん、学園。んーで、オレのカノジョ! も〜、カワイイ! 最強にカワイイ!」
縁「俺が八重さんのお店を訊ねたのがきっかけです。それから……八重さんは、俺の、こ、恋人です……。」

[03] その方に初めて会った時の印象を教えてください。
祈「おとぎ話と同じ名前の男の子だなあ、って、おもいました!」
真広「チビでドピンク。」
ヴァル「ツェリは、きらきらで、きれいだったぜ。」
縁「髪が黒くって……、笑顔が素敵だと思いましたね。」

[04] 実際、その方はどんな方ですか?その方の役割やポジションはありますか?
祈「とっても優しくて、頭もよくって、すごくすごーく素敵なひとですよ。」
真広「意外と料理とかうまいよ、あいつ。頭わるそうだから、みんな知らないだろうケド。」
ヴァル「バカみたいにいいやつ。オレにはもったいねーくらいにかわいい。」
縁「八重さんは、とても自立されていますね。すごいことだと思います。」

[05] その方の趣味や特技、好きな食べ物などはご存知ですか?
祈「おとぎくんは読書がすきですよ。あと、お料理もとっても上手です! おとぎくんの好きな食べ物は、お魚です。」
真広「買い物。メッチャ付き合わされてるしネ。さっきも言ったけど、意外と手先器用だよ。好きな食べ物は、たぶん、見た目がかわいいお菓子とかじゃない?」
ヴァル「他人の髪いじってるかな、よく。アレ、鬼の双子とか、ツヴァイトのボケ魔女とかの。好きな食いモン〜? ンなのオレに決まってんだろ!」
縁「八重さんは薙刀がお得意です。高校時代、部活動でやっていたそうです。好きな食べ物は、和菓子が好きだと言っていたと思います。」

[06] その方について、何かエピソードがあればどうぞ。
祈「おとぎくんはよく祈に数学を教えてくれます! おとぎくんは数学がとっても得意なんですよ。」
真広「ことりが俺とおそろいのモノばっかり買ってくるっていう話はどお? ハァ……、俺の持ち物、どんどんファンシーになってく。」
ヴァル「BBに行ってたときに、あいす? ってゆーヤツ、ツェリと一緒に食ったぜ。」
縁「以前、八重さんと史郎くんと一緒に桜を見に行きましたよ。その時の桜は、今まででいちばんきれいでしたね。」

[07] その方に似合う物(食べ物や服装)を、ちょっと想像して言ってみてください。
祈「おとぎくんに似合うものは、やっぱり本でしょうか? 読書が好きですし、おとぎ話も本ですし!」
真広「あー……、ふつうにピンクしか思い浮かばないや。俺、けっこう、ことりに毒されてるかも……。」
ヴァル「ツェリに似合うのは、オレ! クソガラスでも泣き虫吸血鬼でもなく、オレ!!」
縁「八重さんは桜が似合う方だと思います。春のような、優し気な雰囲気を纏ったひとですから。」

[08] その方に対する、純粋な自分の気持ちをひとりずつどうぞ。
祈「祈は、おとぎくんがとってもとっても好きです。だいすきです。おとぎくんがいなくては、祈は生きてゆけません。」
真広「ことりってすごい馬鹿だけど、最近はからかうのが、しぬほど楽しいんだよネ。」
ヴァル「オレの心臓は、ツェリで動いてる。あの日から……初めて会ったあの時から、オレの心臓は、オマエのモンだよ。」
縁「俺は、八重さんの笑顔に毎日心を揺さぶられて、毎日、恋をしているのです。」

[09] 自分たちにとって、その方はどのような存在ですか?
祈「祈にとっておとぎくんは、空気のようなものです。なくては、死んでしまうものです。」
真広「からかうと、超たのしい子。」
ヴァル「オレの心臓。」
縁「八重さんは花のような存在です。うつくしく、心を癒してくれる。」

[10] では、今日のテーマ「アイツついて」のまとめをお願いします。
祈「おとぎくん、だいすきです。祈の気持ちが少しでも伝わったら、とてもうれしいです!」
真広「まとめ? んー、ピンクでドチビだけど、まあ、かわいいやつだよ。」
ヴァル「ンなこと言ったって、まとめられるわっけねェだろっ!」
縁「今回俺の話を聞いてくださった方に、八重さんの魅力を知っていただけたら本望です。」

[--] お疲れ様でした。
祈「はい! おつかれさまでした!」
真広「ドーモ、おつかれサマ。」
ヴァル「ウィーッス、はやく帰ってツェリんとこ行きてぇ。」
縁「お疲れ様でした。今日は、どうもありがとうございました。」

10ヶ月前 No.167

びすこ @choco0112 ★iPhone=6HRwuQI14N

▼memo。
愛吾/頭領の屋敷を扇端とし、扇状に広がっており、五つの区域に分けられている。
@高千穂(たかちほ)
A朝倉(あさくら)
B五条(ごじょう)
C若狭(わかさ)
D最上(もがみ)

3ヶ月前 No.168

びすこ @choco0112 ★WICbYOSnfV_8yY

「お、オレのことっ……う゛ぅっ…………。すきって、すきってゆったじゃねぇかよぉ……。」
「あれはもう、過去の恋なんだよ。」
彼女は子供に言い聞かせるような口ぶりで、そう言った。オレの髪を梳く手も、オレの耳に降り積もる声も、彼女のすべてはやさしかった。





「昨日の恋なんて、過去の恋なんだよ。……知ってた?」
吐息のような声で、彼女はそう呟いた。その手は、オレの髪を梳きつづけけたままだった。

18日前 No.169
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