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みどりのくずかご

 ( 書き捨て!小説 )
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rain_ta ★lsMK8rU4Di_RyT


書いて書いて書いて消して
捨てて捨てて捨てて

捨てて

でも
やっぱりもう一度拾う
全部抱えてまた歩き出す



言葉にして言えたら楽なんだけど
難しくてできないから
態度で示そうと思ったんだ
本当はそっちのほうが難しかったわけだけど





5年前 No.0
メモ2016/12/27 04:45 : てれれーん★iPhone-pM2pmlze9g

気づけばもう五年も経っていてびっくり

長くお世話になりました

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てれ ★iPhone=Bim9Kkrl3w


「いちご?」
「うん。たくさんもらったから、一緒に食べない?」
「………うん」

ーーーーーー

「ちょっと、ちょっとストップ」
食べようと口をぱっかりあけたたけを、いーかわは慌ててとめた。
「あんた、いちご食べたことないの」
「うん。はじめて」
「そう。あのね、緑の部分はへたっていって食べないとこだから。赤いとこだけ食べて」
「わかった」
先にへたの部分だけとって、おそるおそる口に入れる。
ふわっと甘い味がひろがった。
「おいしい」
「うわ、すごい甘い。どこでもらったの」

ーーーーーー

しばらく静かな時間が流れた。
どちらとも話すことなく、もくもくといちごを食べる。
ふいにいーかわが顔を上げた。
「さっき、なんか大部屋で話してたでしょ」
「うん?」
「季節がないとかなんとか」
「ああ、うん。わたしの故郷はずっと、かわいた気候が続いてるんよ。だからかな」
ふぅんといーかわはつぶやいて、少しだまったあと、いちごをひとつ手に取った。
「じゃあ、桜とかしらない?」
「さくら?」
「ピンク色の花が咲く木」
ぽんと音がして、いーかわの手にあったいちごが姿を変えた。
ピンク色の花をつけた木が、いーかわの手のひらにぼうっと浮かんでいる。
「わ、すごい」
「今はまだ咲いてないけど、もうすぐ外の並木道が桜でいっぱいになると思う」
こんなふうに、といっていーかわがばっと手を広げた。
すると、部屋の中にたくさんのピンクの花びらがひらひらと舞いはじめた。
「きれい………!」
ひらひら、ひらひらと桜が舞う。
思わず手に取ったそれは、一瞬きらりと輝いたあととけるようにしてなくなった。

ーーーーーー

「おわり」
いーかわの声とともに、桜の花びらはふっとかき消えた。
たけはほうっと息をついた。
「はじめて見た。桜ってすごくきれいだね」
「ほんものはもっときれいだよ」
あとどれくらいで咲くかなとつぶやいたいーかわに、たけはありがとうと言った。
「えっ、なにが」
「桜、見せてくれて。本当にきれいだった」
「ああ、うん」
でもほんもののほうが、といったいーかわの言葉をさえぎるように口を開く。
「はじめて見た桜が、いーかわの見せてくれた桜でうれしい。ありがとう」
「………」
いーかわはなにも言わなかった。
ただ、小さく小さくうなずいた。

ーーーーーー

9ヶ月前 No.922

てれ ★iPhone=Bim9Kkrl3w


はじめて見た桜が、いーかわの見せてくれた桜でうれしい。
たけの声がぐるぐると頭の中を回って、ひどくつっかえた気分になる。

ーーーーーー

桜を見せたのはただの気まぐれだった。
あまりにも静かな部屋で、会話もなくいちごを食べ続けるのはなんだか気まずく居心地が悪い。

9ヶ月前 No.923

★iPhone=txNyuPyi4D


僕とヤスで村役場の方に行ってみるから、三人は待機してて。
その命令どおり、宿で待機しているのはたけ一人だった。
おーはは鍛錬だとかいって早々に街に繰り出したし、いーかわもふらっと出て行ったきり帰ってこない。
一応止めるには止めたが、おーはには「お前も外でようぜ」と逆に誘われてしまったし、いーかわはうるさそうに顔をしかめただけだった。
まあ、待機要員は一人いたら十分なので、たけもそれ以上強くは引き止めなかった。

8ヶ月前 No.924

★iPhone=SwH5ZHnwN7


たけが本を読んでいた。
小難しそうな本だ。
「純粋理性批判」なんて自分には一生縁のないタイトル。
眼鏡をかけて少し背中を丸めて本を読む姿は、もう飽きるほど見た。
見たはずなのに、どうやってこの背中に声をかけたらいいかは未だにわからない。
買ってきたたい焼きがどんどんさめていく。

8ヶ月前 No.925

★iPhone=0748yimH7O

「いーかわ」
「なに」
「ねむくないから、まだおきてる、から」

ひどく眠たげな顔で、でも一生懸命そう言うたけを、いーかわははいはいといなして布団に押し込んだ。

「やだ…まだ…ねないから…」
「うん」

ゆっくり頭をなでてやると、ぐずぐず言っていたたけはあっという間に眠ってしまった。

7ヶ月前 No.926

★iPhone=LmjfgeGbFj


いーかわは夏が苦手らしい。
昼も夜も続く暑さにまゆをひそめ、机にぐでんとつっぷしていることが多くなった。
冷却の魔法を使わないのかなと思ったが、魔法界には、自然の環境を受け入れてこそ魔法というものが成り立つという格言があり、自然の流れを無視するような魔法をむやみやたらに使うのはあまりよろしくないらしい。
いーかわはそれを律儀に守って、暑さを受け入れているのだ。
しんどいならちょっとくらい魔法を使ってもいいだろうに、いーかわはたまに真面目な一面がある。

目に見えて食事の量も減った。
普段ならご飯は2回おかわりするいーかわが、半分ちょっとしか食べずに箸を置く。
おかずも、さっぱりしたサラダをちょっとつまむだけだ。

6ヶ月前 No.927

★jPlEXksHxL_nHx


口から大量の血を吐き出したギルコは、苦しそうに身をよじったあと、血走った目で高橋をにらんだ。

「貴様、どうして…」
「地獄への道連れだよ」

答えた高橋の胸からは、じわじわと血がにじみ出していた。

――――――

「川原…あいつ、簡単にだまされて…ほんと馬鹿だなあ…」
「馬鹿はお前だ、何早まってんだ」

高橋は気の抜けたように笑った。
その目から少しずつ光が失われていく。
傷の具合を確かめていたシュッツがゆるく首を振った。
佐竹は黙ってシュッツを下がらせたあと、高橋のそばにしゃがみこんだ。

「川原のこと、一度は裏切ったくせになぜ助けたんだ」
「おれにもわからない…なんであいつなんか、かばったんだろうね…」
「あいつ、たぶん気づいてないぞ」

お前が川原を助けたこと。
高橋は一瞬、いつものあの人を小馬鹿にしたような笑みを浮かべた。

「あいつが、ばかでたすかったよ」

5ヶ月前 No.928

てれてれ @kisokyoku ★iPhone=ml4Dlbs5Y5


たけは誰よりもたくさん本を読んでいて誰よりもたくさん勉強しているのに、誰よりも世界のことを知らなかった。
そんなたけが海を見たいといったから、いーかわは黙ってじゅうたんを取り出した。
もうすぐ日が暮れるか暮れないかというときだった。
「でかけるの」と聞いてきたたけに、いいから乗ってとだけ言って、それからは黙って海を目指した。

5ヶ月前 No.929

てれてれ @kisokyoku ★iPhone=ml4Dlbs5Y5


せめてもの応急処置にと、上着を脱いで、血が溢れ出している腹のあたりに押しつける。
高橋はひゅうひゅうとのどを鳴らして息をつきながらも、いつもの小馬鹿にしたような笑みを浮かべていた。

「川原……あいつ、簡単にだまされて……ほんとばかだなあ……」
「馬鹿はお前だ、何早まってんだ」

誰も高橋が

「川原のこと、一度は裏切ったくせになぜ助けたんだ」
「……なんでだろうねおれにもわからない」
「あいつ、たぶん気づいてないぞ」

お前が川原を助けたこと。
高橋は一瞬、ふっと目もとをゆるめた。

「あいつが、ばかでたすかったよ」

4ヶ月前 No.930

てれてれ @kisokyoku ★iPhone=ml4Dlbs5Y5


結果的にいうと一番の馬鹿は自分自身だった。
川原をかばって身を投げ出したのも馬鹿げた行為だったが、そこで死んでしまっていればまだよかったのに、なぜかのうのうと生き延びてしまった。
薄暗い地下病棟の一室の、すすけたコンクリートの天井をぼんやり見つめる。

意識が回復したとき、部屋には佐竹がいた。
呆然と見上げるとやつは本当に哀れだという目をして「生還おめでとう」といった。
そこで間違えて生き返ってしまったことを知った。

医者いわく、左腕と両足がだいぶやられていて、全快しても満足に動かせないだろうということだった。
本当に馬鹿だとしかいえない。

4ヶ月前 No.931

てれてれ @kisokyoku ★iPhone=ml4Dlbs5Y5


「お前、河野と会うときはいつも寝たふりしてるのか」
サトは少しだけ目を細めた。
「来るたびに寝てるって、ちょっと残念がってた」
「残念ね……」
口の端をゆがめてそう言ったきり黙りこんでしまったので、さっさと本題に入ることにする。
「筑紫会は内部分裂が起きて事実上消滅した。若いやつらは新筑紫会として旗を掲げ、旧筑紫会にはギルコの古くからのなじみや付き人やらが残ったらしい」
「ふうん。後継者でもめたのか」
「ああ。ギルコが特別目をかけてた若い男がいたんだが、そいつを次のトップにしようとする若いやつらと、現 >>2 をトップにしようとする年寄り連中で意見が割れたらしい」
「結局からすの杜のやつらは関係なかったのか」
「まだ調べてる最中だが、今のところなんにも出てきてないな」
「そうか」

4ヶ月前 No.932

てれてれ @kisokyoku ★iPhone=ml4Dlbs5Y5


「どんな顔して会えばいいか分からない」
思わずサトのほうを振り返った。
うつむいているせいで、その顔はよく見えない。
「話すことなんて何もないし。ぶっちゃけ来られても困る」
「いや、話すことはいろいろあるだろ」
「いまさら何を話すっていうの」

4ヶ月前 No.933

てれてれ @kisokyoku ★iPhone=ml4Dlbs5Y5

「話すことなんて何もないし。来られても困る」
「いや、話すことはいろいろあるだろ」

河野は知らない。
サトが数年ほど姿をくらませていた理由も、今こうやって入院している理由も。

「お前もたいがいだけど、あいつもだいぶポンコツだから、言ってやらないと何にも分からないと思うぜ」
「それでいいよ。分からないままでいいから、頼むからもう関わらないでほしいね」

最初に関わってきたのはサトからじゃなかったか。
そう言おうとしたが、サトは本当に疲れたというように目を閉じたので、だまった。

「……また何か話が進んだら来る。お前もおとなしくしとけよ」

4ヶ月前 No.934

てれてれ @kisokyoku ★iPhone=ml4Dlbs5Y5


寝たふりをしていたのは、結局、河野をひきとめたかったにすぎない。
認めたくないし、口が裂けてもいうつもりはないけれど、そう、河野のそばにいたかった。
でももう終わりにしないといけない。

「具合はどう」
「まあまあ」
「そっか。……よかった。いつ来ても寝てるから、もしかしたらもう目覚めないのかと思った」
「お前のタイミングが悪いんだよ」



もう終わりにしないと、と思った。
河野をここから解放してやらないといけない。

3ヶ月前 No.935

てれてれ @kisokyoku ★iPhone=ml4Dlbs5Y5


「おれ、組織抜けようとおもう」
「……は?」
急にぎゅっと心臓をつかまれたような感じがした。
息がうまくできない。
「なんていった」
「組織を抜けようとおもってる。まだ、いつかとかははっきり決めてないけど」

ーーーーーー

3ヶ月前 No.936

てれれーん ★iPhone=pM2pmlze9g


組織を抜けること、それはすなわち裏切りを意味する。
そんなつもりはなくても、いったん関わってしまったならもう逃れられないのがこの世界のルールだ。
「死にたいのか。そんなこと、冗談でも口にすんじゃねえ」
「冗談なんかじゃない」
本気で、抜けようと思ってる。
河野の目は真剣だった。
「お前、自分が何言ってるのか、分かってるのか」
「わかってる」
「わかってない」
「わかってるよ」
「わかってないッ!」

3ヶ月前 No.937

てれれーん ★iPhone=pM2pmlze9g


大声を出した反動で、腹の傷に嫌な痛みが走った。
思わずうめき声がもれそうになったが、ぐっとこらえ、河野をにらみつける。
「わかってない、お前は何も分かってないよ」
「サト……」
「お前、忘れたのか。ユラ、ハジ、夏、市川。組織を抜けようとしたやつはみんな死んだ。うまく抜けたらしいラズミールだって、表の世界になじめずまたこっちに戻ってきて、殺された」

2ヶ月前 No.938

てれれーん ★iPhone=pM2pmlze9g


「サトは、なんでおれを止めるんだ」
「……なんでだろうな……わからないよ……」
分からない、何も分からないのは河野じゃなくて自分だった。
ただ、この腹の傷が治らない理由とおんなじであることだけは確かだった。

ーーーーーー

「昔みたいに、二人で暮らそう」
「は……」
「田舎の、まわり一面田んぼと畑しかないところに住んでさ、自給自足の生活」
懐かしいだろうといわれ、もう何も言えなくなってしまった。
「おれたちのことをだれも知らない土地へ行って暮らすんだ。それなら大丈夫だろ」

2ヶ月前 No.939

てれれーん ★iPhone=pM2pmlze9g


「おれ、ここを出るよ」
「……」
佐竹は二、三回、ゆっくりとまばたきをした。
それから心底疲れたというような大きなため息をついた。
「……なんとなく、そういうんじゃないかと思ってた」
「おれは、まさかそんなことになるなんて考えてもなかったよ」
サトはまだ包帯が巻かれたままの手をひらひらと振った。
月のない夜だった。
半分だけ開いている窓から、ひんやりとした空気が流れ込んでくる。




「本当は黙って出て行くつもりだったけど、お前にはちゃんと言っておけってうるさかったから」

2ヶ月前 No.940

てれれーん ★iPhone=pM2pmlze9g


「上は、ミスをした上使い物にならなくなった仲間にそう優しくはない。ギルコを殺し、筑紫会を崩壊させたという功績がお前を生かしているが、正直なところ、必要のない騒ぎを起こした責任を取れとうるさい連中もいる。この先のことははっきりとは言えんが、今までみたいに自由な生活はできないだろう」
サトは少しだけ笑って、包帯の巻かれた腕をそっとなでた。
「動けない諜報員なんかいても無駄だからなあ。万一のときの身代わり用かなんかで、ここで飼い殺されるっていうなら、まだマシな方か」
サトの言ったことはだいたい合っている。
だからこそ佐竹は黙っていた。

2ヶ月前 No.941

てれれーん ★iPhone=pM2pmlze9g

「……上は、ミスをした上使い物にならなくなった仲間にそう優しくはない。ギルコを殺し、筑紫会を崩壊させたという功績がお前を生かしているが、正直なところ、余計な騒ぎを起こした責任を取れとうるさい連中もいる。……この先のことははっきりとは言えんが、今までみたいに自由な生活はできないと思う」

サトは少しだけ笑って、包帯の巻かれた腕をそっとなでた。

「動けない諜報なんかいても無駄だからなあ。ここで飼い殺されるっていうなら、まだマシな方か」
「鉄砲玉という道もあるぜ」
「それこそ連中のいう余計な火種になるよ」

ーーーーーー

たぶん、この憎たらしい顔を見るのも今日が最後だ。

「じゃあな。河野によろしく」
「うん。いろいろありがとう」

サトから礼を言われたのなんてはじめてで、思わず顔が引きつった。
サトは少しだけ笑って、手を振った。

「本心だよ」
「……やめろ。寿命が縮むぞ」
「ちがいない。じゃあね」

今度こそ佐竹は部屋を後にした。
なんとなく、サトと河野はうまく逃げ延びて、どこか遠くだれも知らないところで生きていくんだろうなという気がした。

2ヶ月前 No.942

てれれーん ★iPhone=pM2pmlze9g


かすかな電子音に、目が覚めた。
目覚まし時計が6時を指している。
アラームを切って、隣の布団で眠っているかたまりを揺さぶった。

「サト、サト」

かたまりはぴくりとも動かない。
二人暮らしをするようになって、この男は朝に非常に弱いということを知った。
子どものころはそうでもなかったのに。

「サト」
「……なに」

強めに名を呼ぶと、ようやく布団がもそもそ動いて、非常に不機嫌な顔があらわれた。

「6時」
「……あと5分」
「」

2ヶ月前 No.943

てれれーん ★iPhone=pM2pmlze9g

隣にある布団のかたまりを揺さぶった。

「トモ、トモ」

かたまりはぴくりとも動かない。
二人暮らしをするようになって、朋生が朝に非常に弱いということを知った。
無理に起こしたくないが、起こさずにいても不機嫌になるところも。

「トモ」
「……なに」

もう一度揺さぶると、ようやく布団がもそもそ動いて、非常に不機嫌な顔があらわれた。

「ご飯できたぞ」
「……」

2ヶ月前 No.944

てれれーん ★iPhone=pM2pmlze9g

もう一度揺さぶると、ようやく布団がもそもそ動いて、しかめっつらがあらわれた。

「ご飯できたぞ」
「……」

トモはぎゅっと目をつぶった後、しぶしぶ身体を起こした。

ーーーーーー

「リベルタンゴ(仮)」
・「お掃除ラプソディー」の派生
・日の当たらないところで生きていた二人が、日の当たるところへ出て行く話

◯トモ
・組織くろとかげの一員
・長年あずまやに所属していると思われていたが実は二重スパイだった
・どちらかというとおしゃべりで、おべっかや冗談をよく言うが、カズキに対しては口数が減る
・朝に弱い

◯カズキ
・組織くろとかげの一員
・自他ともに認めるポンコツ
・ミスをするたびに佐竹にフォローされているので、佐竹には頭が上がらない
・物静かなほう
・夜に弱い

◯佐竹
・組織くろとかげの一員
・冷静沈着
・トモ、カズキとは腐れ縁

◎トモとカズキ
・幼少期路地裏に捨てられ、そこで一緒に暮らしてきた
・ある程度大きくなったとき組織くろとかげの当時の幹部スラスキーに拾われる
・あずまやにカズキが撃たれかけたとき咄嗟にトモがかばって被弾する
・カズキはトモがかばったことを一切知らない

2ヶ月前 No.945

てれれーん ★iPhone=pM2pmlze9g

がちゃりとドアが開く音に驚いて振り向くと、ぎょっとした顔の三崎が立っていた。
手には近所のスーパー名が入った袋をさげている。

「……おかえり。早いな」
「どうも。そっちこそ」

三崎はすぐにいつものしらっとした顔にもどったが、一瞬、なんでおまえがいるんだと言いたそうな顔つきをした。
たぶん、自分もおんなじような顔をしているんだろう。
思わずつきそうになったため息を飲み込んで、かわりの言葉をさがす。

「あ〜…、買い物してきたんだ」
「うん」

三崎はがしゃがしゃとスーパー袋をゆらしながら西荻の横を通り過ぎ、買ってきたものを冷蔵庫につめこみ始めた。

1ヶ月前 No.946

てれれーん ★iPhone=pM2pmlze9g

「今日ご飯何にするの」

台所をちらっとみたけど、まだなにも用意していないみたいだった。
案の定西荻はまだ決まってないと言った。

「何か食べたいものある?」
「刺身。さっき買ってきたんだ」

スーパー袋から、値引きシールがでかでかと貼られた刺身のパックを取り出す。
これで酒でも飲もうぜと続けようとしたが、西荻の頬がひきつったのを見て口をつぐんだ。
どうしたのかとうながすと、逡巡したのち、おれ生魚食えないと小声で言った。
恐ろしいくらい冷たい空気が流れた。

1ヶ月前 No.947

てれれーん ★iPhone=pM2pmlze9g


突然やってきて、日出を奪いとるといきまいている男をぼんやりみつめる。
いや、突然というのはちがうかもしれない。
日ごろなんとなく、西条が永坂を特別な目で見ているという雰囲気は感じていたし、自分にはやたらあたりがきつかった。


こんなにも堂々と略奪を宣言するやつがいるだろうか。
そもそもいう相手を間違えているのではないか。
奪い取るといってもそれは永坂の気持ちの問題だから、こっちに宣言されたところでどうしようもない。
ぼやぼや考えていると、西条がけげんな顔をした。

「何黙ってんだよ。なんか言うことないの?」
「ああ…」

1ヶ月前 No.948

てれれーん ★iPhone=pM2pmlze9g


ユキは基本、マルのすることに何も言わない。
肯定しているわけでもなく、かといって否定するわけでもなく、ただマルがしたいようにさせてくれる。
でも、その優しさにかまけていつまでも頼りっきりじゃだめだと思って、マルは、とりあえずアパートを出ることにした。
実家から飛び出してきたあの夜のように、それはもう突然だった。

マルの人生はいつも行き当たりばったりだ。
計画をたてるとか、用意をするとか、そういうことは一切ない。
考えるよりも先に体が動く。

帰ってきて、マルがいないことに気づいて、とりあえずポケットからたばこを取りだした。
あと二本でなくなる。

1ヶ月前 No.949

てれれーん ★iPhone=pM2pmlze9g


いーかわに助けてもらうのはこれで二度目だ。一度目はまだ仲間になる前、彩の湖の前で暮らしていたとき。
炎上する塔から落ちるところを、今のように助けてもらったのだ。
あのころの自分は青かった。
いーかわの言うことなすことすべてがなんだか気に入らなくて、否定して、いーかわも同じくらいこちらをけなしてきて……。
あのとき失ったすべての書物の代わりに、すばらしい仲間を手に入れた。
学んだことを誰かのためにいかしたいと思えるようになったのは、この仲間たちがいたからなのだ。

1ヶ月前 No.950

てれれーん ★iPhone=pM2pmlze9g


あいかわらず汚い部屋だ。
床にちらばっている雑誌やら脱ぎ捨てられたままの服やらを、ざっざっと蹴散らして、できたスペースに腰をおろす。

「適当に買ってきたけど。なにがいい?」
「霜降り肉」
「もう一回聞くよ。なにがいい?」

ちょっとどすをきかせていうと、川上は首をすくめて「プリン」と言った。
冗談が言えるくらいならもう元気なんじゃないだろうか。

「プリン?そこは普通ゼリーだろ」
「おれ、プリン派なんだよ」
「しらねえ。ゼリーしかないから」
「じゃなんで聞いたんだよ……」

1ヶ月前 No.951

てれれーん ★iPhone=pM2pmlze9g


「あと買ってきたもん、冷蔵庫に入れとくよ」
「うん」

買ってきたものといっても、ゼリーがいくつかとりんご、レトルトのおかゆくらいしかない。
さっさと入れおえて部屋に戻ると、川上はうとうととねむっていた。
よくみると、いつもは血色の悪い目もとも、熱のせいかすこし赤くなっていて、ああこいつ本当に具合悪いんだと急に実感した。
実感したところで、べつになにをするわけでもない。


からっぽになったゼリーの容器を見つめる。
おれ、お前がゼリーよりプリンが好きだってしらなかったよ。

1ヶ月前 No.952

てれれーん ★iPhone=pM2pmlze9g

そっと布団からでる。
出ていく前と、特になんにもかわったところはないようだ。
部屋をぐるりと見回して、机の上の走り書きに気がついた。

大学です。冷蔵庫好きにしていいよ

大学です、のあとに、何度も消しゴムで消して書いたようなあとがあった。
そっと指でなぞると、筆圧にそって紙がでこぼこしている。
きっともっと言いたいこともあっただろうけど、まとまりきらず、かといってあしらうこともできないと悩んだ結果、冷蔵庫のことを書いたんだろう。

1ヶ月前 No.953

てれれーん ★iPhone=pM2pmlze9g


ふいにカズキの眉間にしわがよった。
どうしたのかと問う前に手を指して、

「それ、どうしたんだ」

と聞かれて、怪我をしていたことを今になって思い出し、慌てて隠した。
うかつだった。
あんたが笑顔で手なんか降ってくるから、思わず馬鹿みたいにちょっとだけ降り返してしまった。
隠したことによって、カズキの目はますます疑うようなものになり、ほら、と少しだけ怖い声を出した。

「見せるんだ」
「なんでもないから」
「いいから」

そっと腕をとられて、一瞬抵抗しかけたがすぐに諦めた。
どうせばれる。

1ヶ月前 No.954

てれれーん ★iPhone=pM2pmlze9g


ぐらりと傾いだたけの向こうから爆笑するスズがあらわれた。

「ダマされた??」

血濡れた大剣を目にしたとき、ぶちん、と自分の中の何かが壊れる音がした。
首にかけたロザリオに手をやる。
ヤス!と誰かが叫ぶ声がしたが、もうためらいはなかった。


ーーーーーー


ひゅうっと落ちていく。
どんどんみんなが小さくなっていって、このままじゃぶつかるなと目をつぶった瞬間、誰かに体をさらわれた。
やわらかな衝撃。
ゆっくり目を開けると、赤い髪を逆立てた、うつくしい仲間がいた。

「いーかわ……」
「黙ってて」

いーかわが何かをつぶやくと、ぺたぺたと薄いまくが集まってきて、二人を完全に囲い込んだ。
何度かみたことがある、隠れ身と治癒が合体した術法。
いーかわは、おなかのあたりに目を向けて、少しだけ唇を噛んだあと、てきぱきとさらに何かの術をかけはじめた。

「……かわ、ありが……」
「うるさい。傷がひらくからしゃべらないで」
「ごめ…ん…」
「しゃべんないでって言ってるでしょ!」

ぼろぼろと熱い水滴が落ちてきた。
ゆっくりと手を伸ばしてぬぐってやる。

1ヶ月前 No.955

てれれーん ★iPhone=pM2pmlze9g


ようやくコンビニが見えてきた。
ここから佐々木の住むアパートまでは三十秒もない。

「もうすぐ着くぞ」

声をかけて軽く揺すると、うんだかおんだか分からないうめき声が返ってきた。
もう少しだと力をいれなおしながら、上西は心の中でため息をついた。
本当のところをいうと、できればもうここから一人で歩いて帰ってほしかった。
佐々木の家まで行って、そのあと、いったいどういう感じになるのかが予想できない。

1ヶ月前 No.956

てれれーん ★iPhone=pM2pmlze9g


友永に、佐々木が荒れている理由を聞かれたとき、とっさに分からないと答えたが、本当はなんとなく自分のせいじゃないかと思っていた。
心あたりという心あたりは見つからない。
ただ、一瞬だけあった佐々木の瞳が、上西を貫いたような気がした。

1ヶ月前 No.957

てれれーん ★iPhone=pM2pmlze9g


お互いのことに興味がなさそうーー19歳女


午後8時のスーパーは庶民の味方だ。
値引きシールが貼られ、安くなったお刺身のパックをカゴに放りこむ。
あとからあげと、いかリング、ちょっと考えてからポテトサラダ。
枝豆はたぶんあるだろうから買わない。
最後に、コーラとビールを数本ずつ入れて、レジへ向かう。

精算後、店を出て、歩きながら電話をかける。
きっちり3コール、ずいぶん眠そうな声でやつはでた。
「もしもし、上西です」
「うん……どうしたん」
「今から家行ってもいい」
「ええ……今から……?」
「うん」
「うーん……いいけど」
あんまりよさそうな声じゃなかったけど、気にしない。
「あと五分で着くし」
「わかった……」

1ヶ月前 No.958

てれれーん ★iPhone=pM2pmlze9g


設定だけ

「金魚すくい(仮)」
・バンドマン
・ロック
・平熱が低そうなベースとドラムの話

◯上西(26)
・ギター
・お酒弱い
◯川上(25)
・ベース
・お酒飲めない
◯友永(23)
・ボーカル
・お酒強い
◯不和(21)
・ドラム
・ザル

・世間からはお互いに興味がなさそうって言われているのを雑誌でしって、へえって思う
・確かに興味はないかも
・でもお互いがお互いじゃないとだめだとは思う

1ヶ月前 No.959

てれれーん ★iPhone=pM2pmlze9g

精算後、店を出て、歩きながら電話をかける。
3コール、4コール…、10コール目まで数えたところで、ずいぶん眠そうな声がした。
「はい……川上です……」
「上西ですけど。ごめん、寝てた?」
「うん……どうしたん」
「今から家行ってもいい?」
「んん……今から……」
「うん」
「うーん……いいけど」
あんまりよさそうな声じゃなかったけど、気にしないことにする。
「あと五分くらいで着くわ」
「わかった……」

ーーーーーー

飲む?と目線で問いかけると、珍しく「おれにもちょっとちょうだい」と言った。
内心おどろきながら、グラスを二つ用意する。
アルコール類はてんでだめな自分たちに、一人一缶はしんどいから、はんぶんこで十分。
(はじめから、アルコールを買ったのにはかっこつけと口実が混ざっている。)

1ヶ月前 No.960

てれれーん ★iPhone=pM2pmlze9g


「金魚すくい(仮)」
・バンドマン
・ロック
・平熱が低そうなギターとベースの話
・ギターとベースは幼なじみ

◯上西(26)
・ギター
・お酒弱い
・まじめにふまじめ
・ちょっと短気

◯川上(25)
・ベース
・お酒飲めない
・少食
・流されやすくときに頑固
・おとなしい

◯友永(23)
・ボーカル
・お酒強い

◯不和(21)
・ドラム
・ザル

ーーーーーー

「川上さん、一生のお願いがあるんですけど」
「えっ、なに」

川上の目がちょっとまるくなった。

「二、三日泊まらせてください」

お願いと手を合わせる。
川上は一瞬ぽかんとして、それからふきだした。

「びっくりしたあ、なに言われるんかと思った」
「いや、ほんと、心からのお願いです」
「ええよべつに。好きにしたら」

小さく笑い続ける川上を見て、ほっと胸をなでおろす。

1ヶ月前 No.961

てれれーん ★iPhone=pM2pmlze9g



じゃあ若者たちのそーいうことはどういう感じなのか。
おじさん二人がのろのろと後かたづけをしているころ、遠く離れた地にいる二人の若者は、ようやく何かを始めようとして始められずにいた。
「お前さ」
上西のどこか硬い声に、川上はつぶっていた目を開けた。
「なに」
「嫌なら嫌でそう言ってくれよ」
そしたらやめるから。
上西の表情は、逆光でよくわからない。
ただ、たぶん自分のせいで何か思い悩んでいるのだということはわかった。
それが川上には一生かかっても理解できない内容であろうことも。
好きという気持ちはかわらないはずなのに、相手のことがわからなくなってしまったのはなんでなんだろう。
触れ合えば触れ合うほど、近づけば近づくほど上西のことが分からなくなった。
ただ二人でいるだけでよかったのに。
上西はだまってじっとこちらを見つめている。
「……お前がなに考えとるか、正直よくわからん。でも、おれはお前のことが好きや。それはわかる」
何か言わなくては、と、頭に浮かんだことをそのまま言うと、上西は深くため息をついた。
そのまま川上の上にどすんと倒れこんでくる。
「お前ってほんまずるいな」
諦めのようにつぶやいて、それからはもう何も言わなかった。

1ヶ月前 No.962

てれれーん ★iPhone=pM2pmlze9g

ふと身体に目を落とすと、うっすらと赤くなっているところがいくつもあった。
最中痛みを感じる瞬間が何度かあったが、どうやらこれのせいらしい。
川上がぼんやりとこちらを見ていたので、変色した腕を近づけてやると、目を細めた。

「赤い」
「おまえが噛んだんや」
「おれ、おなかすいてないけど」

川上は意味のわからないことをつぶやいて、ふわあっと大きなあくびをもらした。
眠くてしかたないのだろう。
もう一度くらいあってもよかったのだが、川上は淡白なたちであり、一度で満足してしまうことの方が多い。

1ヶ月前 No.963

てれれーん ★iPhone=pM2pmlze9g


川上が今にも寝そうな目をしながら、なぜかしきりにこちらを見つめてくる。
同じように見つめ返すと、くすぐったそうに笑った。
「なんやねん」
「んん、変な顔やなって」
「うっさい」
だいぶ失礼なことを考えていたらしい。
くすくす笑い続ける川上のほっぺたをかるくつまんでやったあと、そっとなでた。
「ほら、もう眠いんやろ。寝よ」
「ん。……ありがとう」
おやすみ、といって、川上はほどなく寝息を立て始めた。

1ヶ月前 No.964

てれれーん ★iPhone=pM2pmlze9g


行為のときは何をいっても嘘くさくなる気がして、あまり口をきかないようにしてしまう。
川上もそれほど口数の多い男じゃないから、終わったあとはおたがい無口で、熱のひいた、宇宙のすみっこのような静けさがおとずれる。






普段あまり眠ろうとしない川上の唯一の積極的な睡眠がこれというのもどうかとは思うが、そのあたりは深く考えないようにして枕もとの照明をそっと灯す。

1ヶ月前 No.965

てれれーん ★iPhone=pM2pmlze9g


「おまえはわかってないよ」

ぽつっとおとされた声は、あきらめや絶望や皮肉や、いろんなうすくらい感情がまじっていた。

「どうせ、おれのことなんかわからないんだ」
「うん。でも、ちょっとブラックなおまえがでてきちゃったんだよな」

わかってるぜ、だいじょうぶという気持ちをこめてそ手をにぎると、かずきはびっくりしたように目を開いて、それからいやがるようにしてふり払われた。
少しだけ沈黙が落ちる。
やがて、吐息にまじって消えてしまいそうなくらいの声で、かずきはつぶやいた。

「……おまえは思わないかもしれないけど」
「うん」
「つきあうってことは、いつか終わりがくるかもしれないってことなんだよ」

つきあってなかったらそのまましらないでいられる終わりも、つきあうことで、唐突にそれは大きな可能性として二人の前によこたわる。
いつか別れることになるんだろうとか、いつかおまえはおれのこと好きじゃなくなるんだろうとか。

「そんなのおれいやだよ」

ーーーーーー

「いつかくる終わりのことは信じるのに、おれのことは信じてくれないのか」
「信じるっていうか……」

24日前 No.966

てれれーん ★iPhone=pM2pmlze9g


川上が今にも寝そうな目をしながら、なぜかしきりにこちらを見つめてくる。
同じように見つめ返すと、くすぐったそうに笑った。

「なん」
「ん、変な顔やなって」
「は?」

くすくす笑い続ける川上は子どものようにむじゃきで、あーあ、なんだろうなあ、腹の底がむずかゆくなる。
なんだろこいつ、ほんと。

「もう眠いんやろ。寝よ」

手探りで、枕もとの照明をそっと灯す。
真っ暗じゃないと眠れない川上と、煌々とあかりが灯っていないと眠れない自分。
ふたりで眠るにあたって妥協点をさがした結果、この小さなねこの形をした照明を灯すことで落ちついた。
もう何年も前の話だ。

「ん。……ありがとう」
おやすみ、といって、川上はほどなく寝息を立て始めた。

19日前 No.967

てってれー ★iPhone=6st6IRv4oe


上西と喧嘩した。
ひさびさに大きいやつ。
「お前のツラなんかもう見たくもない」「じゃあ出て行けや」「ああ出て行ったるわ」という、売りことばに買いことばで、上西は憤然と出て行った。

喧嘩の原因はわかっている。
おれだ。
あまりにも飯を食わない、かわりに栄養ドリンクやゼリーばっかり食べていることに、上西が怒った。
ここまでならよくあることで、だいたいおれが生返事を繰り返すうちに上西があきらめて終わっていた。
それが今日は、おれが言い返したことで、お互いなんだか止まらなくなってしまった。

一人になって、急に部屋が広く、静かに感じられる。
ほうと大きなため息がでた。
なんだかどっと疲れを感じて、ソファにごろんとねっころがる。
目をつぶるとまぶたの裏に上西があらわれた。
「なんで分からへんねん」
「何回言うたと思ってんねや」
「お前のそういうとこ、ほんまムカつくねん」
ムカつくっていうなら、おれやって、お前にムカつくところいっぱいあるぞ。
なんだか変な対抗心が生まれてしまって、100個くらいあるやつのムカつくところのうち、8個ほどを言ったところで、上西が完全にブチ切れて出て行ってしまったのである。

6日前 No.968

てってれー ★iPhone=6st6IRv4oe

川上と喧嘩した。
きっかけはいつもの飯の話だったのに、なぜか今日はそれが発展して大げんかになってしまった。

ーーーーーー

突然の訪問だったが、友永は気前よく部屋にあげてくれた。

「すんません、汚くて」
「いや、急に来てごめん」
「いいですけど。川上さんと喧嘩したんですか」

思わずかたまった。
友永をみると、あたっちゃったと得意げに笑っている。

「なんでわかったん?」
「勘ですよ」
「うそ」
「いやほんとに。何か飲みます?」

ーーーーーー

「ちょっと言いすぎたとは思ってる」
「じゃ、謝りましょう。メールかなんかしたら」
「携帯置いてきてん」
「あらら」

あーあと罪悪感に苛まれていると、友永がくすくす笑った。
なんて失礼なやつだ。思い切り睨みつける。

「お前な、人が真剣に落ち込んでんねんぞ」
「すんません。いや、ちがくて。そーいえば前もこんなことあったなあって思ってたんですよ。そんときも、上西さんがうちんち来たんですよね」
「……そーやったっけ」
「はい。あの部屋って上西さんちやのに、なんで家主が追い出されてるんやろって思いましたもん」
「……」

なんやかんや、川上さんのこと大切にしてんですね。
しみじみ言われて、なんだか顔のあたりがあつくなるのを感じた。

「べつに、家に閉じ込めとこうとまではしてへんよ」
「誰もそんなこと言ってませんよ」

6日前 No.969

てってれー ★iPhone=6st6IRv4oe


「三回目やん。さすがに今回はおれも言い過ぎたなって思ったし、お前、マジで怒ってたから、ほんまに愛想つかされたんかなって思ってん」

ぎゅ、と思わず抱きしめる腕に力が入ってしまった。
いたい、と小さくつぶやいた川上をもっともっと締め上げてやりたい気持ちになる。
マジで怒ってた理由くらいわかれよ。
お前のことやからほんきで怒ってんねん。
なんでそんなすぐあきらめられんねん。
もしこれでほんまに出ていかれてたときのおれの気持ち、想像してみろや。

言いたいことは山ほどあった。
でも、そのすべてを飲み込んで、かわりに謝った。

「ごめん」
「ん?」
「ムカつくとか言って、出て行ったこと」
「うん。いや、おれもごめん。結構ひどいこと言ったし」

6日前 No.970

てってれー ★iPhone=6st6IRv4oe


「でもほんまに思ってんねやろ」
「うん」
「……」
「ごめんって」

川上はへへと気の抜けたような笑いをもらした。
それから「あのさ」と言って、身体を離される。

「あの、ほんと、おれも悪かったっていうか、いつも心配かけてごめんって思ってる」
「うん」
「それでな、えっと」

川上は、目線を斜め下に向けたまま、手をぎゅっとにぎって、口を少し開けたり閉じたりを繰り返した。
何かを言おうか言うまいか迷っているときの、川上のくせ。
上西は、辛抱強く待った。

「……いや、やっぱなんでもないわ」
「いやいや、なんかあるやろ!」
「なんもない、なんもないでーす。この話終わりね」
「はあ?」

なんだか非常に気になる。
せめてやつの顔くらいきちんと見たい、そう思って川上の腕をつかもうとしたら、逆にぎゅっと引っ張られて抱きつかれて、思わず固まった。
なに、なんや?
混乱する上西に、川上はそっと口を耳もとに寄せて言った。

「帰ってきてくれてありがとう。好き」

5日前 No.971
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