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骸骨を抱いて眠れ

 ( 初心者のための小説投稿城 )
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@akira0908 ★Tablet=UIgVrM4Ag0


 「……Fact is stranger than fiction.」

 現実は小説より奇なりとはよく言ったものだ。そんな事をいえるのはよっぽどとんでも体験をしたような人間が言えるのだから。
 少女漫画みたいにイケメンだか美少女が学校に転校してくることもないし、仲の良い可愛い幼なじみが居ることも殆ど無い。というかそもそも幼なじみすら滅多にいない。先生と生徒の仲が良くなることも基本的に無い。だからと言って何か特別な能力が使える訳でもないし、お涙頂戴の胸熱ドキドキバトル小説も始まらない。幽霊と恋をするだとかそんなふざけた話も無いし、朝起きたら知らない人になってただとか、記憶喪失になるだとかそんな事も殆ど無い。変なウイルスが蔓延してそれを阻止するために命を賭して戦うなんてことも有り得ないし、万年百点の天才主人公も存在しない。特別な家の生まれの子なんてほとんど見たことが無いし、見たことがあるにしてもせいぜいすげぇ金持ちくらいだ。
 前だけを見て生きていけるような強さも人間には持ち合わせていない。誰かが殺された後に逆上して殺したソイツを殺しに行こうなんてことも思わない。
 世間体を気にして、普通の人であるために生きていくのが人間だということ。人と違うものを嫌い、自分は普通であろうとする。だから好きでもないテレビを見たりもするし本当に好きなものを嫌いだと言ってみたりもする。
 ああ、いや。前言撤回。
 一つだけ小説よりも奇な事があるのを思い出した。

 ────十五の夏、俺は友達を殺した。


【初めましての方は初めまして。聖と申します。ぶっちゃけノープランで書き始めました。拙い文章になるかとは思われますがどうぞお付き合いくださいませ。】

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@akira0908 ★Tablet=UIgVrM4Ag0

1話『友達ってなんだろう』

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 十五歳と言えば何を思い浮かべるだろうか。卒業?入学?もしかしたら人生初の受験の人もいるかもしれない。新しい出会いに、別れ。思うことは人それぞれということは、言わずともわかることであろう。

 例えば、仮にとある1人の高校一年生の男子生徒が居たとしよう。そして彼の名を、『浅茅生天利(あさじうあまり)』としよう。ちなみに、彼の名前は面白いことに小倉百人一首の中に似たようなものがある。「浅茅生の小野の篠原しのぶれどあまりてなどかひとのこひしき」まあ意味こそは恋を謳ったものではあるが、彼は高校一年の夏休みにとんでもないことをしでかす。
 それこそまさに、「殺してしまうほどある人を溢れるほど恋しく思う」ほどに。

 逆に、とある1人の別の高校一年生の男子生徒が居たとしよう。そして彼の名を仮に、『夕凪弧嗄(ゆうなぎこがれ)』としよう。そしてこちらもまた面白いことに、彼の名前にも小倉百人一首の中に似たようなものがある。「来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに焼くやもしほの身もこがれつつ」意味はこれは言わずともわかるだろう。しかし彼は、この唄のように生きた結果、15で命を落とすという虚しい結末を迎えるのだ。
 例えば、「殺されることをわかった上でとある人を信じて待ち続けていた」純粋で、単純な男の話だ。

 天利と弧嗄は高校に入ってからの友人、ではなく。受験の合否発表の際に天利のその時の友人は弧嗄の名を見て、そして弧嗄のその時の友人は天利を見て言った訳だ。
 「お前と似た変な名前の奴居るぜ」
 変な名前とは酷い言われようとも思ったが、実際にお互い初めて顔を合わせた時には変な名前だと失礼ながらも、人に言えない立場だとわかっていつつも思っていた。なんなら、互いにあっちの方が名前変だなとホッとしているくらいだ。
 お互いの印象はお互いに変な奴との事だったが、互いの友人を通じてそのうち天利と弧嗄も意気投合して仲良くなる。仲良くなるのに数日もかからなかった。半日もあればその日には一緒に帰るくらいには仲良くなっていた。
 最初は普通の自己紹介。何が好きだとか、どこの中学に行っただとか、この学校の志望理由だとか、部活は何に入りたいだとか、そんな他愛の無い話だ。そして天利と弧嗄は、見事にそれが殆ど重なったというわけだ。
 天利は落語が好きだ。ジジくさい趣味ではあるが、ちゃんと話を聞いてみると案外面白いとも思う。好きになるきっかけは落語の定番とも言える寿限無ではあるが、適当な言葉を並べただけのような名前が本当は幸せいっぱいの名前だなんて面白おかしい。天利は落語のそんなところが好きだった。意味の無い話のオチが面白かった。
 弧嗄は狂言が好きだ。ジジくさい以前にそもそもとしてそれこそまさに変な趣味だが、落語も好きだということもあり天利とは話がよくあったものだった。そのうち天利もあっさりと狂言に引き込まれてしまったくらいだったし、二人の感性は恐らく近いものだったのだろう。
 そして二人の通う学校『県立梵(そよぎ)高等学校』には一風変わった部活がある。そして2人はその部活目的で梵高校に進学しているのだ。無論、これで2人は更にあっさりと仲良くなった。二人の入りたい部活というのが「歩行部」もはや何をする部活かと聞きたくなるものだが、夏休みや冬休みなどに長い休みの時に旅行に行ってお寺や神社を巡ったりしてたくさんの道を歩く家族旅行のようなものをする部活だ。
 古き良きものが好きな2人には魅力的だと惹かれるものもあっただろう。

 「弧嗄は、歩行部に入ったらどこ行きたいんだ?」
 「四国かな。八十八巡礼したいんだ。八十八全部巡礼すると呪われるだとか死ぬだとかいう噂もあるんだけれど、巡礼できるならそれはそれで良いかもしれないね。……逆に天利はどこに行きたいんだ?八十八巡礼くらいしか楽しそうな有名なところはないと思うんだけれど……」
 「お前って結構失礼だよなぁ。まあでも確かに八十八巡礼はしてみたい気持ちもあるけど……うーん、あ!詳しい場所は知らないけど鎌倉とか奈良とか京都とか行きたいな。あの辺は有名だろ。清水の舞台から飛び降りてみたい!」
 「また大雑把な……。まあでも、有名な地名のところは是非とも足を運びたいとのだね。天利の場合は清水の舞台から飛び降りたりなんかしたら地面に巨大な穴が開きそうだけれどね。ま、大きな爪痕を残せるのだからそれはそれで良いのかな?」

 楽観的で大雑把で、あまり深くのことは考えない天利とは対照的に、冷静で慎重で論理的な弧嗄はある意味では良い組み合わせだった。天利からすればたまに弧嗄がなにを言っているのか分からない時もあったし、弧嗄すればある意味天利が何を言っているのか全く理解できない時もよくあったが、それでもなんとなくなってしまうのがこの2人だ。
 本当に、2人は特別だった。それこそ友達以上と言える関係で、俗に言う親友とも言える存在だった。全く波長が合わないようで、意外な所で波長があったりして。周りからもどうしてあのふたりが仲良くしているのか、という疑問は絶えなかったみたいだが、そして更に言うなら二人の共通点は変な名前同士ということと古臭いものが好き、そして歩行部というたったの三つだ。
 と言っても、変な名前の中でも特にずば抜けていた天利と弧嗄は周りからは「ストレンジネーム」などと頭の悪いそのままのあだ名をもらった。

 「天利。君はストレンジネーム第一号みたいだよ。はは、やっぱり君の方が変な名前だとは思われているみたいだね。……ま、君の場合は名前というよりは苗字の方が奇妙かな」
 「え?ストレンジネーム第一号って弧嗄じゃないの?ていうか弧嗄は確かに探せばいるかもしれないけど、漢字が流石に無理あるでしょ!夕凪はまだしもさ、弓に瓜と口に夏でしょ?まーだ俺の方がマシだね!」
 「天に利があるってのもなかなかだけどね」

 冷静に、そして少しからかうように天利の事をいじり倒そうとする弧嗄に、それに対して馬鹿みたいに素直に受け答えしては反論しようとする子供のような天利。
 友達というよりは、兄弟。天利からすれば兄ができたような気分だったし、弧嗄からすれば弟ができたような気分だった。友達ではないけれど、そんなのを超えた家族という関係が少しだけ、特別だったのが2人は嬉しかった。


5ヶ月前 No.1
ページ: 1

 
 
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