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魂(こころ)の真価

 ( 初心者のための小説投稿城 )
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スーパーゴジット @spirits7 ★iPad=Rrdr7MIuvw

遠い記憶……………


目の前に広がるのは血に塗れ倒れている死骸



そして己の拳は真っ赤に染まっていた



立っているのは自分ともう1人…


「契約を………結びなさい」


契約の口づけを__________




注意
・更新頻度遅いのとバラバラです。
・初心者なので文才はありません
・構成等の文句は受けません
・それでも良い方はどうぞ。

1年前 No.0
メモ2017/03/15 00:05 : スーパーゴジット @spirits7★iPad-Rrdr7MIuvw

登場人物

1話~ 曽谷竣 下級 1年生。素手もしくは剣で戦う。過去の経歴は良く分かっていない。聖杯の力を手に入れ相当なパワーアップを遂げた。

1話~ ルシファー 天使族 本名ルシエル。トップクラスの戦闘能力を持っているが、今は自堕落な性格。竣の事を気に入っている。

2話~ 星崎涼子 中級 1年生。魔法を用いて戦う、竣とは仲良し。昔に母を亡くしている。

2話~ 鴨居京太 上級 1年生。死亡。別名神威。3種の攻撃方法を持つ完璧人間。本来は魔術使い。

2話~ 橘美沙 上級 2年生。生徒会副会長で、明るく声が大きい魔術師。

3話~ 朝倉唯湖 ?? 3年生。生徒会会長、校内の人気は圧倒的だが、近寄り難いオーラがある。竣の事を気に入っている。

4話~ アラミス 死亡。不思議な力を持った翠眼の女性。落ち着いた雰囲気。

4話~ ダルタニアン 気弱で臆病な性格な少女。

5話~ アヴァロン 聖杯の持ち主。昔龍に飲み込まれ長い間龍の中で過ごしてきた。

6話~ ラファエル 契約。心優しい天使、内気な性格のせいで虐められている。竣と契約し身も心も成長した。

6話~ ガブリエル 元気っ子天使。人間の竣に興味がある。

6話~ ミカエル スタイルの良い綺麗な天使。しかし竣を手に入れようとしたりと、少し強情な部分もある。

7話~ リーダー天使 ラファエルに対して日頃の鬱憤を晴らしている。力はそれほど強くない。

7話~ リュエル ラファエルαとなり現界した。生前は孤独だったがかなりの強さだった。

7話~ ミラエル 天使界のトップ、力は相当なものである。

7話~ カリエル ミラエル、ルノエルとは仲良し。「罪」を使える。

7話~ ルノエル 上の2人とは仲良し。

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スーパーゴジット @spirits7 ★iPad=Rrdr7MIuvw

会長の過去II

気付いた時には目の前に立っていた男子は、
肩を押さえうずくまっていた。

ふと手を見ると、自分の手にはハサミが握られていた。
床にも手にも血がベッタリと付いていた。

クラスにいた子達は、
パニックで逃げ出すもの、驚いて腰を抜かしてしまうもの。
その場で泣き出してしまうもの。様々だった。

そんな様子を見てポツリと幼き朝倉は呟く。


「…………ふざけるなよ……貴様ら……」






「という訳なのよ、だからその時に第二人格ができてしまったの…全く女を弄んだ最低な奴よ!会長はそんな奴のせいで1年も辛い日々を送ってきたって言うのに!」

と、橘は自分の事のように怒っている。

「じゃあ、朝倉先輩の第二人格が出るきっかけって何なんでしょうか?」

「多分、かなり大きな感情の起伏よ」

「そうですか…!だから!」

「そう、今会長はルシファーとの差だったり竣を助けられなかったイラつきで感情が不安定になっていたのよ」

朝倉は、普段こそ冷静でいられる分。
自分が冷静でなくなった時、平常時まで戻す術に対しては他人より劣っている。

そう説明した橘は、心配そうに朝倉を見ていた。


「なぁに?八つ当たりかしら?」

朝倉の言うことに冷静に対処するルシファー。

「そうかもな……なら、八つ当たり。させてもらう……よっ!」

朝倉は不意にかかと蹴りをルシファーに向けて仕掛ける
咄嗟に仕掛けられ流石のルシファーも少しばかり反応が遅れる。

ルシファーはこの時油断していた。
ただ普段の朝倉から想定する、八つ当たりが飛んできただけなのだと。
しかしその八つ当たりは想像以上のものであった。

「っ!」

かかと蹴りは想像以上に重い攻撃だった。
衝撃を受け止めきれる事が出来ず、3歩ほど後ずさりする。

「まだだ」

朝倉が次の攻撃を仕掛けようとした時。
龍の口から何かが飛び出すのが見えた。

朝倉もそれに気付いたようで、攻撃をやめ出てきたものを見て目を丸くしていた。

「し、竣……」

9ヶ月前 No.37

スーパーゴジット @spirits7 ★iPad=Rrdr7MIuvw

会長の過去III

橘と星崎も竣に近づこうとした、
するとその時、竣を吐き出した龍がだんだんと白くなっていき、
やがてそのまま消えて行ってしまった。


竣の脳内にはアヴァロンの声が響く。

「龍は聖杯を受け渡す役目を終えて地に還っただけ、貴方が聖杯から離れた時再び復活するわ。それと今はもう私の本体はボロボロよ、だから一時的に貴方の精神に私の精神を介入させてもらうわ。問題はないわ、貴方と私は相性が良いみたいだから」

「分かった…じゃあ本体は……星崎!」


竣に名前を呼ばれた星崎
急いで竣の元へ駆けつける

「い、生きてたの!?」

「ああ、あとで説明する。今はこの子を預かっていてくれ」

「え?あ、うん!」

言われた通り、渡された細い体の少女を抱えて、
橘の元へと戻る。
既に2人にはダルタニアンと少女、2人を守る役目が課されていた。


次に竣はルシファーと朝倉の方を向き
そちらの方へ歩いて行った

「竣、生きていたのね」

ルシファーはとても嬉しそうな顔をしていた。

「うん、心配かけて悪かった」

竣もいつもより素直に、ルシファーに接していた。
やはり、2人の間には何か不思議なもので結ばれていた。


そして、竣が朝倉にも話しかけようとした時。
アヴァロンから再び声が聞こえる。

「彼女は今、普通の精神状態じゃないわ。詳しい事は分からないけれど、貴方が聖杯の力を試す良い機会」

「機会?戦えっていうのか?」

「そうでもしないと、今の彼女は止まらないと思うわ。力でぶつかってみて」

「分かった……」


しかし信じきれるわけもなく、
いつもの様に朝倉に近寄り声をかける。
普段通り朝倉は竣を見ていた。

「先輩、心配かけさs……っ!!」

しかし普段の先輩からは思いもしない様な速さでパンチが飛んできた
聖杯の力を使う暇もなく、まともに受け後ろにある木に背中を強打した。

「ぐっ…いてて……」

しかし思った以上に怪我は軽い

「これも聖杯の力よ」

そうアヴァロンが静かに言う。


ルシファーや橘達は、
竣が誰と話しているのか分からないので、
とても怪訝な顔をしていた。
しかし今それを説明している暇は無かった。
朝倉はそのまま詰め寄ってきて、竣を見下ろす。


「せ、先輩……?」

するとルシファーが竣に対して

「今の彼女に語りかけても無駄よ、完全に頭にきているわ」

「なっ……」

一体何があったというのか、
それを聞こうとしたが冷たく睨みつける朝倉の視線に、
その言葉が口から出てくる事は無かった。

「ね、言ったでしょ。今彼女に想いを伝えるなら力でぶつかるしかないわ」

アヴァロンもそう言ってきている。
迷った末、止むを得ず聖杯の力を出してみることにした。



「先輩……勝負です…!」


戦ってきて一度も勝った事はない。
いつも強さで言えば雲の上であった。
しかし自分の中にある聖杯の力、それがどこまでその差を縮めてくれるのか少し楽しみでもあった。

9ヶ月前 No.38

スーパーゴジット @spirits7 ★iPad=Rrdr7MIuvw

会長の過去IV

「行きますよ!」

そう言うと竣は、
右手を天に翳しこう告げる

「行くぞ、アヴァロン」

それを聞いたルシファーが少し驚いた顔をして、

「貴方は…アヴァロンの力を得たのかしら?」

と尋ねてきた。
その言葉にコクリとだけうなづいた竣。

すると、
竣の周りを赤いオーラが包み始める。

「はぁっ!」

朝倉に対して正面から向かっていった
朝倉ももちろんその攻撃を受け流そうとしたのだが、
竣の攻撃は前方からでなく背後からの強烈な蹴りであった。

防御する事もままならず、
まともに受けた朝倉は先程竣が飛ばされた木へと激突していた。

「くっ……あり得ない…貴様何を…」

口から零れる血を拭きながら
立ち上がった朝倉が竣を睨みつけつつ問いかける。
しかし竣はそれには応えない、
さらに攻撃をたたみかけた。

ふらっと立ち上がった朝倉に、
高速で足払い。態勢を崩した朝倉の鳩尾に強烈なひざ蹴りを食らわせる

「げほっげほっ!……」

腹を抑えなかなか起き上がる事の出来ない朝倉。
既に第二人格は鳴りを潜め、
少しずついつもの性格へと戻ってきていた。
だが、竣はそれを気にする事なく攻撃を続ける。

四つん這いになり腹を抑えている朝倉の足を持ち、
上空へと放り投げる。
そして一層赤いオーラが増したかと思うと、
突風とともに放り投げた朝倉より上空へ。
そのまま両手を組み体をめいいっぱい反らす。

そして、放り投げられた朝倉が竣の元へと来た瞬間。
組んだ両手を振り下ろす。
ガッという鈍い音とともに、朝倉は地面へ叩きつけられた。


その様子を見ていた橘が止めに入った。

「もうやめなさい!!会長はもう平気なの!!」

両手を広げ地面に叩きつけられた朝倉を庇う姿勢をとる。

地上に降り立った竣
制止している橘前に立ち、拳を構える。

「た、戦うつもりなの…?」

流石の橘も少し不安の色が出てきていた。
このまま殴られれば1発で気を失う可能性もあるからだ。

竣はゆっくりと拳を後ろへ持って行き力を貯める。

「…………………」

殴られる、そう覚悟した橘だったが殴られる前にルシファーが竣に言う

「私と、戦いなさぁい」

9ヶ月前 No.39

スーパーゴジット @spirits7 ★iPad=Rrdr7MIuvw

消化不良I

今のルシファーはこう思っていた。
人間の中ではかなりの実力を持つ朝倉をたった数発で沈める力を持った竣なら、
久し振りに面白い戦いが出来るのではないかと。

ルシファーは、
神威との一戦で普段のぐうたらとした雰囲気より、
以前まとっていた戦いを好み力を求める雰囲気になっていた。


竣はその言葉を聞くと、
ルシファーに目線を移す
そして一瞬で目の前に移動すると右腕から強烈なパンチを繰り出す

「………………」

それを避けずに左頬で受けるルシファー
しかしビクともしていなかった。

「っ…………!」

驚いた竣。
すぐさま気を取り直し膝蹴りを鳩尾に食らわす。

「なかなか骨のある攻撃ね」

しかしその攻撃さえも涼しい顔で受け止めていた。

そしてルシファーは更に言った。

「今の貴方は消化不良なのよ、せっかく強い力を手に入れたのに試す相手があぁも弱かったら、つまらないでしょ?」

「なっ!」

それを聞いた橘がルシファーを睨みつけるが
それを受け流すか如く無視をした。


未だに起き上がる気配のない朝倉。
意識こそあるものの体が言う事を聞いてくれないのだ。
そんな朝倉を心配そうに橘が見守っていた。


そしてルシファーは言葉を続ける。

「だからこの私と戦うのが一番なのよ、まぁ勝たせる気はないけど」

と、勝ち誇ったように笑ったルシファー。
すると竣からにじみ出る赤いオーラが少しずつ質を増していく

「あら、綺麗な色になってきたじゃない」

少しずつ、
普通の赤色から澄んだ赤色へと変わっていくのであった。
それはもちろん、力もその分上昇している事になる。



「……………………」

そしてその様子を2人を守りつつ、
心配そうに遠くから見ていた星崎。
彼女の心の気がかりは1つ、また暴走をしてしまうのではないかという事だった。

9ヶ月前 No.40

スーパーゴジット @spirits7 ★iPad=Rrdr7MIuvw

消化不良II

「はぁぁっ!」

息を整え、再び攻撃に転じる竣
正面から行くと見せかけて、背後から攻撃を仕掛ける。

「甘いわ」

しかし背後から振るった拳は、
軽々とルシファーが差し出した手のひらに収まる。
そしてそのまま投げられ、頭から地面に落ちる

「ぐぅっ…」

痛みを感じる暇はない、
倒れこんだ姿勢から一気に体制を立て直し、
足払いを仕掛ける。

「つまらないわね」

しかしその足払い、
ルシファーがわざと出した左足によって受け止められる。
ルシファーの方にも少し衝撃が行ったが、
全く問題なし。代わりに受け止められた竣にはかなりの衝撃が足を襲った。

「少し本気を出させてもらうわ」

そう言うと、
まだ痺れて動けていない竣の右足を踏みつける。

「っ!!」

強烈な痛みに襲われ、必死にルシファーの足を動かそうとするがビクともしない。

「ぐぅ…うぐ……離せっ…!」

メキメキという音がしてきている、
そろそろ折れてしまうのではないか。その時だった

「ルシファーさん!もう止めて!」

遠くから見守っていた星崎が、
ダルタニアンとアヴァロンを抱えてやって来ていた。

「な、何してるの!離れなさい!!」

橘が星崎に向かって警告する。

「嫌です!これ以上曽谷君が傷つくのを見たくありません!!」

そう言って、橘の元へダルタニアンとアヴァロンを預けると、
ルシファーの目の前にいき、対峙する。

「邪魔しないでくれるかしらぁ?」

そう言うと更に力を強める。

「ぐあぁぁぁっ!!」

もう抵抗する力もなく、ただ痛みにもがいているだけであった。

「やめて!!」

我慢出来なくなった星崎。
非力なのは分かっているが今は何かしたかった。
魔法を発動しようとルシファーに向かって手を翳した。

その時ルシファーは心の中で、
これは利用出来る。そう思った。
何に利用するのかと言うと、更に彼の力を引き出すためのきっかけとして。
ただやり方は相手を気にしない本気の攻撃であったが。

「魔法を喰らいなさい!」

そう言って魔法を発動した星崎。
しかし発動したのが後か、
ルシファーの右足からの回し蹴りが星崎の体を捉える。

そのまま星崎は、
真横に生えていた木を何本も薙ぎ倒し、
かなり遠くの方まで飛ばされてしまった。

「……………そ……た…に…………く…ん………」

そして何本も先の木の根元で、
倒れこむ星崎。
意識が遠のく寸前まで、星崎は竣の事を気にしていた。

「………………っ……」

そしてそのまま目を閉じてしまった。


その様子を見ていた竣。

大きく目を見開き、
今起こった状況を理解する。
そしてそのままルシファーを睨みつけ

「お前……今何をした………」

ルシファーは竣の足を踏みつけたまま、
見下ろして話す。

「何って、邪魔だから消えてもらっただけよ」

そう言うと、ニヤリと人を嘲笑うような笑みを浮かべる。
ルシファーはこれで竣が怒り、さらなる力を出してくれると踏んでいた。
そしてその通り、竣から徐々に赤いオーラがまた滲み出てきていた。

9ヶ月前 No.41

スーパーゴジット @spirits7 ★iPad=Rrdr7MIuvw

消化不良III

竣は、
怒りとともに体の中に冷たい力が流れて来るのを感じた。
それと同時に脳裏にある事が思い浮かぶ。
そう、龍から吐き出される前に聞いた、
力をためておくには長すぎた_______と。

「………………ふふ」

不敵な笑みで起き上がる竣。
もちろん、星崎を攻撃したルシファーへの怒りはある。
だが、その尋常では無い程の怒りという負の想いが聖杯の力を狂わせる。


アヴァロンは前に言った。
邪に染まったものも居ると。
邪に染まれば聖杯の力を制御出来なくなり消滅してしまう、とも。


「あら、何がおかしいのかしら?」

その様子が気になり、
ルシファーは竣に対して問いかける。

「ふ………ふはははは」

すると竣は少し笑った後、
ルシファーを見据えてこう言った。


「素晴らしい。この力があれば、お前など5分もあれば倒せる」


竣の心は憎悪によって、邪に染まっていた。
力を求めた哀れな邪に。
しかし、邪になっても尚、聖杯の力を制御出来ているのは何故か。
それは簡単なこと、彼の精神の半分はアヴァロンなのだから。
彼女が彼から出る負の想いを制御し、何とか持ちこたえている。

そんな事とはつゆ知らず、竣は力を持ってしてルシファーをねじ伏せようと考えていた。


「ふっ!」


澄んだ赤いオーラをまとった竣が、
ルシファーに向かって右ストレート。

もちろん、ルシファーはそれを受け止めるが、
ルシファーの左手は一瞬にして痺れ、感覚がマヒしていた。

「!!」

流石のことに驚きを隠せないルシファー。
竣はニヤリと笑い、そのまま右足でヒザ蹴りを食らわす。

これが、初めてルシファーにダメージが入った瞬間だった。
少し苦悶の表情を浮かべたルシファーだったが、
すぐ様攻撃に転じる。

そのまま足を踏ん張り、
思いっきり頭突きを食らわす

「っ……中々荒々しい戦い方だな」

「でも、そのお陰であなたに少し隙ができたわ」

一瞬で間合いを詰め、鳩尾にパンチ。
怯んだところで小さめのレーザーを放つ

すると、竣が一言。


「待ってたよ……それを」

9ヶ月前 No.42

スーパーゴジット @spirits7 ★iPad=Rrdr7MIuvw

消化不良IV

「それで良い……」

レーザーを避けることはしなかった、
ギリギリまで引きつけて、レーザーの出力。威力。色。様子。
それを観察したのだ。

「何がしたいのかしら?」

「まぁ見てろよ………はっ!」

竣が右手の人差し指を前に突き出すと、
そこから赤い光線が放たれる。
まさに、ルシファーの出した光線と同じ種類である。

「へぇ……凄いじゃない」

感嘆の声を漏らすルシファー。
自分の元へ来た光線を手で弾き飛ばす

「でも、威力は相当に低いわ」

そう言って距離を縮めてくる

「近距離が好きだな」

構えを取ろうとした竣たったが、
ついに力のバランスが崩れ始める。
負のオーラに飲み込まれないよう、アヴァロンが調整をしていたのだがそれももう限界。
どんどん制御が効かなくなって行く。

「くっ………」

「隙あり、ね」

そこにルシファーが回し蹴りを繰り出してきた、
体に言うことが効かず、防御が出来ない竣はそれを喰らってしまう。

反撃だ_________

竣の脳内でその声が聞こえた。
その直後、竣はオーラを爆発させる。

「はあぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」

あまりにも強い衝撃に、
ルシファーも数歩後退り。
朝倉やアヴァロンの本体、ダルタニアンを守っていた橘も必死に守っていたが、
衝撃波によって吹き飛ばされる。

辺り一帯が赤く染まる。

「…………………」

ルシファーは、そんな最中竣の眼を見た。
力は制御出来ず、
半ば暴走状態に入っていても尚。
変わることのない真っ直ぐな眼を。


オーラを爆発させた竣は、
そのまま気絶し、地面に倒れこんだ。

8ヶ月前 No.43

スーパーゴジット @spirits7 ★iPad=Rrdr7MIuvw

第6話 天使界I

全てが終わった。
神威の暴走、聖杯の奪い合い。激動の数日間。
カレンダーは5月を指していた。
ダルタニアンは一時的に、朝倉の家で保護している。
崩壊した学園の復旧。
負傷した生徒はいるものの死者は出なかった。

竣は自宅で休養を取っている、
学園を復旧する為に朝倉や橘、星崎らは学園に赴いている。
そして、竣の家にはもう1人。
いや、2人。

「ちょっと飛んでくるわぁ…」

そう言いながら、窓を開けて飛び立ったルシファー。

「今の内に掃除しなきゃな」

そう言って立ち上がる竣。
まだ体の節々が痛い。
筋肉痛、関節痛、沢山の戦いの末貰った名誉の傷。

そんな竣を宥めるように口を開く

「あまり動かない方が良いと言っていた」

アヴァロンだ。
彼女はあの戦いの後、本体の体力を回復させ自分の意識を本体へと移したのだ。
まだ彼女も満足に動けないが、話せる位なら容易いことだ。

「一応な…リハビリも兼ねてだよ」

よいしょっと立ち上がった竣は、
2階へと上がっていきある部屋へ入った。

そう、ここは元々来客用の部屋だったのだが、
今ではルシファーの寝床として完全に私有化されている。

普段なら許すはずもないが、
今回の戦いのMVPはルシファーだ。
ルシファーが居なければ、竣は愚かあの場にいた全員死んでいただろう。
だから借りを返す。そういう意味で、部屋を貸しているのだ。

「あんまり埃はないな………ん?」

ふと、机の脇に手帳らしきものが置いてあるのを見つける。
手にとって中を開けてみると、
なにやら人間の文字ではない文字が書かれていた。

不思議に思い、
なんとなしにその文字を指でなぞってみた。

「?…………えっ!?」

すると、その文字が光を放ち始める。

呆気に取られてみていると、
窓を叩く音が聞こえた。

慌てて窓を見てみるとルシファーが開けろとジェスチャーしている、
急いで開けると、詰め寄ってきた。

「まさか、これに触ってないわよね?」

「………………さ、触っちゃった…」

するとルシファーはギロリと睨んで、

「仕方ないわ……行くしかないわね」

行く?______どこに?

その疑問をぶつける暇もなく、
ルシファーはなにやらメモを書くと、竣の腕を掴んだ。
そして目の前の何もない壁に向かって______

「ぶつかる!!」


アヴァロンが異変を感じ、竣の部屋に来た時にはもう遅し。
机の上に、しばらく竣を借りるというメモ書きだけが残されていた。

「皆んな…怒るよきっと…」

多少の憐れみを竣に向けつつ。
再び部屋を出た。



「…………………あれ?」

壁にぶつかると思い目を瞑った。
しかしぶつかる感触は無かった。

そして目を恐る恐る開いてみる。

すると、そこには_______

「な、なにここ!?」

ふと見ると、ルシファーはスタスタと歩き始めていた。
歩いていたルシファーは振り返ることなく、

「天使界よ、天界とも呼ばれているけど」

「へっ!?」

天使界____?

天使の世界_____?

じゃあ目の前にある大きな建物は___?

「ここは本堂。天使たちが沢山いるわ、竣はそこで待っているのよ」

「う。うん…」

と言っても、全く事態が掴めない。
本堂と呼ばれた、この大きな建物に入る気にもなれない…

すると、どこからか歌声が聞こえてきた______

8ヶ月前 No.44

スーパーゴジット @spirits7 ★iPad=Rrdr7MIuvw

天使界II

その歌声に惹かれ、
本堂に沿ってどんどん奥の方へ進んでいく、
すると光が当たらず少し暗い場所へ出た。

ここは、本堂とは違って少し建物が小さい。
簡単に言えば別館みたいなものだ。

そしてその美しい歌声の主はすぐに分かった。


彼女は少し苔生えた石段の上。
少し踊り場になって居る場所に立っていた。
目の前にある小さな石の柵に右手を軽く置き、祈るように両目を瞑り
なんと言っているかは分からないが、歌を歌っていた。

竣は無意識に近づいていた。

ガサッ____

石段へ近づいたところで、
枯れ葉を踏んでしまい音が出てしまった。

そしてその子はビックリして、
音のなった方を見る。

「あ…………」

何か言おうとしたが、
何を言えばいいのか分からなかった。

すると女の子の方が口を開いて。

「き、聞いていたんですか…?」

柔らかい口調だったが、緊張と警戒心が含まれていた。

「え、えっと!俺は怪しいものじゃなくて!それから……あのー…!」

竣はまず怪しいものじゃない事を伝える、
しかし次に言うことが無くなってしまったので、
慌てて歌の感想を言ってみた。

「い、今の歌凄い綺麗だったよ!」

「っ!……そ、そうですか?あ、ありがとうございます…」

少し照れ臭そうにお礼を言う彼女。

「でも………悲しそうだった…歌も…君も…」

しかし竣は感想にそう付け加えると、
彼女は目を見開いて驚いた。
まるで、どうして分かったのか。
こう思っているのだろう。

「でも………貴方には関係ないです………」

悲しく笑うと彼女は目を伏せて、
スタスタと石段を降り、この場から去ろうとした。

竣はその腕を掴む。

「っ!」

「………もっと聞きたい……」

「えっ?」

「君の歌…今度は、楽しい歌も…嬉しい歌も…幸せな歌も!」

「…!!………」

暫く彼女は何か考えるように黙っていたが、
やっと重い口を開く

「………あ、貴方は…変な人です…初対面の私になんか…気を使って…」

そう言うと彼女はクスクスと笑い始めた。

竣は至って真面目であった。
ただ純粋に彼女の歌声が聴きたくて、
彼女の楽しそうにした表情で歌って欲しくて。

そして彼女は改めて、竣の手を取った。

「私は…ラファエル…天使です」

そう言って柔らかい笑顔で自己紹介。
慌てて竣も自己紹介をする。

「お、俺は竣、人間です!」

するとまた彼女は驚く、

「に、人間?どうしてここに?」

本来ここは天使の場所なのだ、
人間等、違う種族が来訪するなんてとても珍しい事なのだろう。

竣がその理由を説明しようとした時、
向こうの方でルシファーが名前を呼んでいるのが聞こえた。

「説明は後でするよ、今は付いて来て!」

そう言って、ラファエルの手を握ってルシファーの元へと駆け出した。

後ろでラファエルがあっ…と言ったのは知る由もない。

8ヶ月前 No.45

スーパーゴジット @spirits7 ★iPad=Rrdr7MIuvw

天使界III

ラファエルと共にルシファーの元へ行く
するとルシファーを見たラファエルが駆け寄って

「ルシファーさん、お久し振りですね」

と、にこやかな笑顔を見せた
ルシファーも少し表情を綻ばせる

「そうね、最後に出会ったのは…1年以上前だものね」

「い、1年以上前?」

竣は、それほど長くこの世界に来ていなかったのかと、
ビックリしていた。

「ふん、理由はいつか話すわ。今は付いて来て、貴方を紹介しないとね」

「紹介?誰に?」

「それはもちろん、天使たちによ」



ルシファーが扉を開ける、
するとそこはとても長い机が置いてあった、
そしてそこに沢山の天使達が座っていた。
皆んなそれぞれ興味津々であったり、警戒心であったり。様々な表情で竣を見ている。

「こ、こんなに居るの?」

前の歩くルシファーに小声で話しかける

「ええ、ざっと150人位かしら。もちろん、今いない天使も居るわ」

そしてルシファーはみんなの視線を集めつつ、
少し高くなった段に登る。

そして少し挨拶をした後、
竣の名前を呼び、何か一言言うように言った。
竣は、段に登ると少し緊張気味で、

「は、初めまして…人間界から来ました、竣と言います。よろしくお願いします」

と、ペコリとお辞儀する

「この世界は面白い事とか、まだ何も知りません。だから、これからそれを少しずつ知って行こうかなと思ってます」

ずっとこの世界にいる訳ではないが、
きっと数日間は解放されない気がしたので、そういう事にした。

挨拶が終わると、ホールに響く大きな拍手の音。
そして今度は、煌びやかな装飾をつけた天使が段に登り

「では。彼と一緒にご飯を食べたい人!」

はっ?と思うのも束の間。
竣に興味があった天使全員が手を挙げた。

「え?もしかして、ご飯食べるの?」

横にいるルシファーに話しかける。

「ええ、そうよ。貴方もお腹空いてきたでしょう?」

「ま、まぁ…空いてるけど」

そう話している間に、
竣の座る場所が決まったらしい、
示された場所に行く。


端っこに座る事になったのだが、
竣の横に居たのは、いかにも元気たっぷりと言った天使だった。

「よろしくね!」

そう言うと彼女は白い手袋を付けた手を差し出す

「う、うん…!」

少し戸惑いながらも、握手に応じた。

そして少し早い晩飯の時間が始まった…

8ヶ月前 No.46

スーパーゴジット @spirits7 ★iPad=Rrdr7MIuvw

天使界IV

目の前にある料理はどれも美味しそうで、
人間界では見たこともないような料理もあった。

「どれ食べたいの?」

横に居た元気っ子天使が聞いてきた。

「んー…一番美味しいものをお願い」

どれが美味しいのか、どれがどんな味なのか分からないものが多かったので、
取り敢えず彼女のオススメに頼る事にした。
すると彼女は、1つの料理をお皿によそうと

「はい、どうぞ!」

竣の前に皿を置いた。
何やらお肉を焼いたステーキらしい、
とても美味しい匂いがしている。
そして一口食べてみる。

「ん……お、美味しい!」

人間界で言えば、高級なステーキなのではないか?
と疑ってもおかしくないレベルで、とても絶品美味だった。
すると、その様子を見ていた彼女はケラケラと笑いつつ、

「そんな、美味しいそうに食べる人久し振りに見たよ!」

「これ、こんなに美味しいのに?」

「だって、皆んな普段から食べてるから慣れちゃって」

こんな料理を毎日……
天使界羨ましい!そう思った瞬間であった。


そして美味しいご飯の時間も終わり______

お風呂の時間となった。
しかし、竣は男。
女性ばかりの天使界では、非常に対応に困るのであった。
なので、特別に貸切の時間を設けてもらった。

竣は服を脱ぎ、タオルを持って風呂に入る

「ひ、広い!」

普段は何十人も風呂に一緒に入ることがあるのだ、
かなりの広さを誇っていた。

体や髪、顔を洗い終わり。

石で囲まれた、とても広い風呂に入ろうとした。


すると、近くまで湯気で見えていなかったのだが、
どうやら何か黒い影を見つける。

お湯の中に入り、その影の方へ近づいてみる。
するとその影が姿を現した。

「…!!あ……あの…!」

振り返った影は、人だった。
体を長いタオルで隠しているものの、
浮き出た体のラインは非常に綺麗で、美しかった。

「ふふ、ごめんね。貸切の時間、忘れてたの」

そう言って、その人は竣にニコリと笑いかけた後、
お湯から上がりスタスタと歩いて、脱衣所に繋がるドアを開けて中に入っていった。

パタン____

「はぁぁ………」

扉が閉まる音とともに張り詰めた緊張が解けるのを感じた。
それにしても、恥ずかしすぎて顔すら見れなかった。
そんな竣の頭に残っているのは、美しい体のラインだけであった。

8ヶ月前 No.47

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8ヶ月前 No.48

スーパーゴジット @spirits7 ★iPad=Rrdr7MIuvw

誘惑II

「んーもう少し待ってて」

そう言うとミカエルは少し真剣な表情になる

「わ、分かったよ…」

顔が近いのが恥ずかしいのだが、
何やら大事な話をしそうだったので、
我慢することにする。

「この天使界、昔は沢山来客があったの。それこそ1日に100人来ていた時期もあったらしい、でも……少しずつ人が減ってきて…今では1年で10人来るか来ないかって程になってしまったの」

「どうして?」

「来客が減った原因は分からないわ…でも、確実に言えることは男性の客が最も多く減った、そしてその理由も分かる」

「理由はなんだったの?」

「理由は……」

少しの間を置いた後、ミカエルは話を続けた。

「天使はね、生きている間に必ず一度は契約をしないといけないの。契約は人間で言えば結婚と似たもので、契約をする事によって力を解放しより強くなる。もちろん、契約をしなくても良いけれど、契約をしない天使はどんどん弱体化して行って、最終的には死ぬわ。寿命よりかなり短くしてね」

竣は真剣にその話に聞き入っていた。

「契約は1度したものを無くすことは基本的に出来ない、要は離婚というものが出来ないの。そして1人の人が何人もの天使と契約することは可能、でもそれはとても力の強い人じゃないと不可能。今まで見た中だと、4人が限界だったわ」

「見てきたって言うけど、ミカエルは誰かと契約したの?」

竣がそう聞き返すと、
少し表情を曇らせつつ、ミカエルはそれに答えた。

「したよ、何度も…」

「な、何度も!?でも、契約って1回だけなんじゃ…?」

「例外があってね、簡単に言うと契約相手の死。これだけは契約が無効になるの」

「じゃあ、ミカエルの契約相手は皆んな?」

「うん、死んじゃった…私が力を取りすぎたの」

「力を?」

「ええ、私はその相手と力を共有して強さを発揮できるタイプ、だから一時的に相手の力を貰ったのだけど…貰いすぎたみたいで、相手の体が壊れてしまったの………それ以来、そんな事が他の天使でも何度かあった後から、男性はここを訪れなくなった……」

そこでミカエルは話を区切る。

「そんな事が……」

天使界のイメージとは掛け離れていた事実に、
暫く唖然としていた竣。
そしてそれに追い打ちをかけるようにミカエルが言う。

「だから……今はチャンスなの」

そう言うと、ススッと胸の辺りから竣の顔の前まで這い上がるミカエル。

「み、ミカエル…?」



「私と…………契約して」

8ヶ月前 No.49

スーパーゴジット @spirits7 ★iPad=Rrdr7MIuvw

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8ヶ月前 No.50

スーパーゴジット @spirits7 ★iPad=Rrdr7MIuvw

誘惑IV

キスされてない_______?

異変を感じ、
目を開けてみる。
すると目の前にミカエルは居なかった、
ミカエルは部屋の壁に吹き飛ばされていた。

「…??」

全く状況が掴めずにいると、
ドアの方から聞き覚えのある声が聞こえた。

「何をするつもりかしら?この男に」

「る、ルシファー?」

いつの間にか金縛りも解けていたので、
ベッドから起き上がり、ルシファーの方を見る。

「竣、後で話があるわ」

ギロッとルシファーに睨まれ、
コクリとうなづくだけの竣。

すると、壁からミカエルが出て来て、

「何をするって…契約よ。ね?」

さっきの必死さとは一変。
とても軽い感じで聞いてきた。

「契約………そう…それは残念ね」

「残念?」

ルシファーの言っている意味が分からず、
ミカエルは聞き返した。

「ええ、残念。さっさと服を着て出て行ってくれるかしら?」

「な、何が残念なのよ?それに、ルシファー。貴女は私に命令出来る立場?」

「………………」

「それもそうよね、貴女は堕天使だものね?」

ニヤニヤとルシファーを見る
ルシファーはミカエルを睨みつけつつ

「出て行けと言ったのが、聞こえないのかしら?」

竣はその時、
もし次にミカエルが口答えをしたら容赦なく殺す。
そんな殺気を感じ取った。

「み、ミカエル。今は出て行ってくれないかな?また後で、話は聞くからさ」

竣がそう言うとミカエルは途端にニコニコして、

「貴方がそう言うなら出て行くよ、またね!」

そう言ってミカエルは出て行った。


「………ふぅ…取り敢えず、竣。正座」

「え?」

「正座よ、正座しなさい」

蛇に睨まれた蛙とはこの事だ、
有無を言わせず、正座させられてしまった。

「まっ、ミカエルの誘惑を我慢したのは評価するわ」

「あ、ありがとう?」

「それより、ミカエルから色々ここの事聞いたみたいね。もう隠すのもやめて貴方に話すわ」

「何を?」

「私が何故、堕天使になったか。それについてよ」

そしてルシファーもベッドの脇に腰掛け、
静かに話し始める。

「私は昔、大聖天使のSランクだったわ。そして、この天使界のリーダーでもあった」

「そ、そうなんだ…!凄い…」

「私の他に大聖天使は3人、その内の1人は私とほぼ僅差の実力を持っていたわ。しかし彼女はリーダーにはなれなかった。彼女は第2リーダーとして、普段は私とは違う部屋で書類などに目を通していた」

「ルシファーは何を?」

「私はノンビリしていたわ、音楽を奏でたりしてね。そしてある時、そんな彼女から1人のメイドが寄越せられた、彼女曰くとても良く働くメイドだから、是非そこで勤めさせて欲しいと。もちろん、私は了承した。実際、そのメイドはよく働いて食事、掃除、洗濯、他にも何でもこなしたし出来も素晴らしかった。私はそんなメイドを信用しきっていたわ、そんな時に事件は起こった」

「事件?」

「私はそのメイドがリーダーになれなかった彼女から送られたもの。という事を忘れていた。彼女は1位になれない悔しさ、2位なのに雑務をする辛さに、きっと私に対して相当恨んでいたと思うわ。そして彼女はそのメイドにある事を仕込んでいた。それは、毎日極微量の毒薬を私の食事に混ぜる事」

「毒薬を!?で、でも…ルシファー生きてるじゃん!」

「毒薬と言っても死ぬわけじゃなくて、天使に必要な魔力が弱くなるような薬よ。そしてその薬入りの食事を食べ続けて3年。ある日の夜、彼女は私の寝床を襲った。もちろん、私は彼女とは僅差の差でも勝てると思っていたし、特段力を落としたわけでも無いと思っていた。しかしその毒のせいで、本来の半分程度しか力を出せなかった…そして私は彼女に負けた。当時は毒を盛られていたことに気付けなかった鈍感な自分が悔しかったわ」

「そ、それで?それで、どうなったの?」

「リーダーが2番目に負けた、もちろん歳をとったり怪我を負ってリーダー交代はごく普通だった、でも表向きでは万全の状態で負けた。しかしボロ負け。全くの異例だった、そして新リーダーの彼女は言った、私を天使界から追放すると……………そして私は追放された、色んな場所を転々としたわ、でもどこに行っても面白くなかった。つまらなく写ってしまった。そして、ある時訪れた地球で、貴方と会ったのよ。あの時は追放された2年になるかしらね」

「でも、追放されたのに、どうして天使界に入れるの?」

聞きづらかったが、
今聞いておかないともう聞けないような気がして、
思い切って聞いてみた。

「それは、彼女のズルが発覚したからよ」



8ヶ月前 No.51

スーパーゴジット @spirits7 ★iPad=Rrdr7MIuvw

誘惑V

「どうやって、分かったの?」

案外スラっとルシファーが答えてくれたので、
遠慮なく次の質問をする。

「簡単な事よ、そのメイドが私が追放されて1年経ちそうな時に、当時2番目のリーダーだった人に打ち明けたのよ。3年間、毎日極々微量の毒を盛ってました。それで彼女は弱体化してリーダーに負けたのだと。そしてその事実はすぐに天使界を駆け巡った、元々私が負けた事に違和感を感じていた天使たちはすぐにその事を信じ、リーダーを責め立てた。そして、責めていくとどんどん彼女が昔していたズルや、書類の不備とか、様々な汚点が見つかった。そして更に半年、遂に彼女はリーダーの座を降ろされた。そして彼女は追放ではなく死罪。こうして私の追放という事も無効となり、ここに出入り出来るようになったのよ」

「それが半年前って事は……ミカエルはそのリーダーが死んだから空いた大聖天使枠を埋めるために?」

「そういう事ね、そしてそのミカエルもずる賢く力を付けてきたわ。ああやって色仕掛けで男を誘惑し、無理矢理に契約。力を吸い取って自分のものにして、相手が死んだら他の相手とまた契約。そういう奴よ」

多少の嫌悪感が混じった声で言うルシファー
しかし竣は少し違和感を感じていた。


確かに、色仕掛けで男を誘惑したのは事実だろう。
でも、あんなに必死で契約をしようとするだろうか_____

力なら今までに吸い取ってきた人ので十分なはずだ。
他の天使は1人の人と契約するだけで良いらしいのだから。

ミカエルの契約相手が相次いで死んだのには、力を吸い取られ過ぎた__
というより、彼女の力に対応できる人が居なかったんじゃないか?
そう思った。

しかしそれを今のルシファーに意見するわけもなく、
心の内に閉まっておく事にした。


そして話が終わると、
ルシファーはスッと立ち上がって

「話は以上よ。もう朝ね、今から早朝組のところに行くわ」

「え?」

気がつくと少し部屋が明るくなっている気がした。
ふと時計を見ると午前4時半

「い、いや…早くない?」

中々動かない竣を見たルシファー、
グイッと服を掴むとそのまま引きずっていく

「いてっ…ケツ痛い!」

「なら立って歩きなさい」

渋々立ち上がって歩き出す竣。
一体何時から話していたのか、
そう考えながらルシファーの後をついて行った。

7ヶ月前 No.52

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早朝組I

ルシファーに付いていくと、
階段を登り、ベランダのような少し開けた場所に出た。
するととこには、10人程度の天使が集まっていて、それぞれ何かを話し合っているようだった。

「……ん?ルシファーさん!」

その中の1人がこちらに気付き声を掛ける。

「朝からご苦労様」

ルシファーは労いの言葉で返した。

「なぁルシファー、みんな何やってるの?」

竣はこんな朝早くに集まっているのが気になった。
ルシファーはこちらには背を向けたまま説明した。

「早朝組よ、この天使達が暮らす建物も、完璧ってわけじゃないわ。どこかに欠陥が出るかもしれない、敵によって何か罠が仕掛けられるかもしれない。それを事前に発見して、被害を防ぐ。その為に作られた当番制の見回りグループよ」

竣はへぇ〜っと感嘆の声をあげつつ、
その面々を見回す、すると知った顔がチラホラいて。

「あれ、君って確か…昨日ご飯よそってくれた?」

「うん!そうだよ!」

「そうだよね!あ、君の名前、なんて言うの?」

まだ名前を聞いていなかったことに気づいた。

「私はガブリエル!君は…竣でしょ?」

ガブリエルは昨日の自己紹介を覚えていてくれたらしい
そうそう、と竣は返事をする。
すると横からさらに声がかかる。

「へぇ…君が人間の…」

声のした方を振り向くと、
早朝組の中でもリーダーっぽい天使がこちらを見ていた。

「あなたが、早朝組のリーダーなんですか?」

「良く分かったわね、そうよ」

そして皆んなの方を向くと、真剣な面持ちになって話を始めた。
ルシファーも一緒になって、その事について話し合っていた。

「続きだけど、先程の破損箇所は治してもらうように言うわ……それと………」

真面目な話だったので、
竣は輪の中から一歩外に出て、早朝組がどんなものなのか見学することにした。

すると自分と同じように一歩外に出ている天使を見つける。
竣はその天使の方に寄って行って。

「ラファエル…?」

名前を呼ばれた天使はビクッとして俯いていた顔を上げる
しかし竣の顔を見た途端、フワッとした笑みを浮かべて

「竣さん、おはようございます」

「うん、おはよう」

竣は更に気になっていることを聞く

「どうして、皆んなの方に行かないの?」

「え、それは……」

「?」

なんでだろう、
そう考えていた時。

輪の中心から、少し怒ったような声が聞こえた。

7ヶ月前 No.53

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早朝組II

リーダー格の天使が、
ラファエルに向かって怒っていた。

「あなた、どうしてそんな所にいるの?」

「ご、ごめんなさい…」

竣の横で表情を曇らすラファエル。
一瞬にして事情を把握した、そして彼女を庇うためにリーダー天使に言い返す。

「違うんだ、今のは俺が…」

「人間は黙っていて?今はこの子と話をしているの」

竣の言い分に聞く耳も持たず、
一方的にラファエルを責め立てる。

周囲にいた天使も、少し同情の目を向けていた。
きっとこの人は、リーダーだから下に威張っている典型的なタイプなのだろう。
そしてその対象はラファエル。

ラファエルは彼女からだけじゃない、他の天使からも同じ扱いを受けている。
彼女が内気で自分の意見を表に出せないのを利用している。
竣はそう感じた。そして少しずつ怒りがふつふつと沸いてきた。


「良いかしら?私は今、大切な話をしていたのよ?それを聞かないってどういうことかしら?」

「っ……ご、ごめんなさい!」

「謝って済むの?貴女、いつも何もしないし………本当は敵のスパイだったりして?」

「それは言い過ぎよ」

ルシファーが手で制しつつ止めに入る。
リーダー天使はチラッとルシファーを見るが、構わず続けた。

「ルシファー…貴女に権限はないの。今は指導の時間よ、口を挟まないでくれるかしら」

少しムッとしたが、ルシファーはそれ以上何も言わず一歩下がった。



鼓動が早くなる______

目の前で威張り、1人のか弱き天使を虐める天使が憎くなる______

それを守らない他の天使共も______



「…………どうして………誰も彼女を守らないんだ………」


そんな竣の呟きは、
近くにいたガブリエルにしか聞こえていなかった。

「竣……?」

7ヶ月前 No.54

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早朝組III

まだリーダー天使のお説教は終わらない。
ラファエルも謝る気力もなく、ただ俯いているだけになった。
そんな彼女を見て、リーダー天使はイライラが爆発したようだ。

「くっ……貴女は………一々私の事を………イラつかせるわね!!」

ラファエルの胸ぐらを掴むと、
柱に叩きつける。

「痛いっ…」


ラファエルの悲痛な声が聞こえた_______

我慢の限界だ、ここが天使界だろうが関係ない。

助けたい人が居るのなら______


「やめろ」


気付いた時には、リーダー天使をラファエルから引き剥がしていた。


「邪魔よ!」

しかしリーダー天使も反発する。
竣を振りほどくと、よろよろとしているラファエルに向かって拳を振りかざした。


ガシッ…!


しかしその拳は届かない。
リーダー天使とラファエルの間には竣が拳を受け止めていた。

「竣……やめなさい」

ルシファーが止めに入る。
しかし竣はルシファーをキッと睨みつける。

「悪いな…今はルシファーの言う事も聞かないよ。俺は、ラファエルを守る」

「し、竣さん…っ!」

そして竣は掴んでいた拳を握り締める。

「くっ……なんて力……離せっ…!」


その様子を息を呑んで見ていたガブリエルは、
竣の潜在能力に気付いた。

「す、凄い…力…」

周りにいた天使も次第に竣の潜在能力に驚いている。


「離すものか…」

さらに力を込める。

「ぐぅ……はぁっ!!」

リーダー天使は羽を大きく広げ、突風を巻き起こす。
その場の空気が乱れ、物が飛び散らかる。
竣は後ろにいたラファエルの手を握る。

「君は、俺が守る」

握った手は優しく。
反対に彼女を守る手は強く強く握り締めた。

7ヶ月前 No.55

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早朝組IV

「離せ!!人間如きが!!」

完全に怒りモードになったリーダー天使。
強烈な蹴りを竣の体に叩き込む。

避けようと思えば避けれた、
しかし竣は敢えてそれを受け、握り締めていた拳を離した。
ラファエルを握る手は離さずに。

そして竣は後ろ向いてラファエルに言う。

「……少し待っててね」

「竣さん……私の為なんかに………こんなっ…」

彼女から涙がこぼれる。
それほどに嬉しかった、こんなに自分のことを想ってくれる人がいて。
だから今はその人に身を委ねてみようと思った。

「……ふふっ、今回だけは……竣さんの好きになさって下さい……待っていますから…」

ニコッと笑いかける。
竣もニッと笑い返すと、リーダー天使の方に向き直る。


「覚えていろよ………ラファエル!!」

「覚えるのはお前だ。痛みを、覚えろ」

リーダー天使が声のした方を振り向くと、
既に拳は自分の顔面に。

避ける事も出来ず、その強烈な勢いとともに地面へ激突する。



「ル、ルシファーさん!彼を止めてくださいっ!」

1人の天使がルシファーにお願いした。
しかしルシファーは竣の方を向きながら言う。

「無理ね、あんな目をした彼を止められないわ。それに……彼の力を侮ると死ぬ…」

「えっ…?」

「彼、どんどん力を増すタイプよ。よく見ておくことね」


その話を聞いていたガブリエルも竣の様子を観察する。
すると少しずつではあるが、赤いオーラが出てくるのを感じ取る。

「あ、あれって…!?」

ルシファーが答えた。

「ええ、彼は……聖杯の力を手に入れてるわ」

7ヶ月前 No.56

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早朝組V

聖杯の力を解放した彼は強かった。

「行くぞ……はあっ!」

構えたかと思うと、
ヨロヨロと起き上がったリーダー天使に向かって超スピードで突っ込む

「っ!?」

そしてそのまま強烈な肘打ちを喉に叩き込む
リーダー天使は勢いよく吹き飛ばされ地面を削っていく

「くっ…げほっぇほっ…!」

息が出来なくなるほど喉の衝撃が強かった。
立ち上がりつつ咳をする、
しかしその時間でまたしても竣の攻撃が彼女に炸裂した。
足払いからの鳩尾に膝蹴り。
リーダー天使は鳩尾を押さえ、何度もえづきながら後ろへ退がる。

「思い知ったか?痛みを。」

竣は攻撃を止めそう問いかける。

「…げほっ……ぅ……ぃ…………うるさい……」

「ん?」

「うるさい…うるさいうるさい!!!」

力の差を認めたくないのか、彼女は聞く耳を持たない。
そして翼を大きく広げる。

「人間………殺してやる!!」

彼女も力をめいいっぱい入れてきた。



「ル、ルシファーさん…」

再び話しかけようとした天使をガブリエルが止める。


ルシファーは黙って戦況を見ていた。

確かに、あのリーダー天使はフルパワーになれば中々の強さ。
しかし、彼の聖杯の力はどんどん上がっている、
きっと彼女の力が追いつけなくなる次元までに。


「…………………」

そしてラファエルもまた黙って戦いの行方を見ていた。

彼女の心に差し込んだ一閃の光。
それが竣。
今の彼女には、竣しか映っていない。



「殺す……殺す!!」

そう言いつつ大空へ飛び上がる、
そして空中で力をどんどん貯めていく。

「もうどうなっても良い!!貴様さえ死ねば良い!!」

そう言って、
彼女は両手を腹の前に。
するとそこに高圧のエネルギーが凝縮されていく。

「天使界へのダメージを考えないのか」

「そんなのどうでも良い!!!死ねえぇぇぇ!!!」

両手で生み出したエネルギーを振りかぶると、
思いっきり下にいる竣に向かって投げつける。

「聖杯……もっともっと強く……」

エネルギーが竣の元へ行く数秒前。
彼の発したその言葉が、この勝負を終わらせる事となる。

7ヶ月前 No.57

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早朝組VI

降りかかったエネルギー弾は、
竣に触れた途端に爆発した。

辺りには爆発の突風が吹き荒れる。


「うわぁっ!」
「きゃっ!」

近くにあった柱や柵にしがみつく天使達。

「強いわぁ…本当にね…」

そう感嘆するルシファーを除いて。


爆風も落ち着き、
竣の近くに渦巻く煙もそろそろ晴れてきた。

「ふふふ……あははは!!!」

上空ではリーダー天使が勝利を確信して高笑いしている。


そんな天使にルシファーが一言。

「バカね…あの天使」


しかしそんな事は聞こえず、
勝利の余韻に浸っているリーダー天使。

その後ろに、竣が居るとも知らずに。


「あーあ!馬鹿な人間だったわ!!」

そう言って地上に降りようとした天使に、
背後から声がかかる。

「それは、俺の事か?」


「!!」

目を見開き、あり得ないと言った表情でゆっくりと振り向くリーダー天使。

「う………う、嘘……」

振り向いた時、既に竣の拳は振りかぶられていた。

「ラファエルに……謝れえぇぇっ!!」

そのまま強烈過ぎる右からのフック。
顔面にもろに食らったリーダー天使は、
その衝撃で一瞬にして地面に叩きつけられた。


煙が巻き上がる。
一向に起き上がる様子はない。

その様子を見て、ルシファーは竣の元に飛ぶ。

「そこまでよ」

そうルシファーが竣を宥めた。


最後に彼が彼女を殴った時。
瞬間的なエネルギーは未知数、
即ちその場に居た全員を越えていたという。
もちろん、最強と謳われたルシファーでさえ驚かざるを得ないまでに。

これが竣がアヴァロンの助けなしで聖杯を使った初めての戦いとなった。

7ヶ月前 No.58

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第7話 夜襲I

その夜。

ある場所で会議が行われていた。
題材は、竣の排除について。

「とにかく……あいつを排除したの!!」

そう詰め寄るのは竣に歯が立たなかったリーダー天使
そして詰め寄られているのは…

「追いだせないの?貴女の力で!ミカエル!!」

ミカエルだ。
この2人の他にも、10人程度格の高い天使が集まっている。

「無理無理、いくら大聖天使の私でも訪問者を追い出す権限はないよ」

「あ、あれが訪問者とでも!?」

いくら言い聞かせても引き下がらないリーダー天使。
彼女のランクは聖天使Aランク、本来なら引き下がるべきである。

「はぁ……貴女も強情ね、わかったよ」

呆れたようにため息をつくと席に立ちドアの方へ歩いて行く。

「な、何をしてくれるの!」

「…………力を封じ込めれば満足?それならやるけど」

そう振り返りつつ聞くと、リーダー天使はとても満足そうな顔をして。

「それで構わない!早くやってくれるかしら!!」

「分かったよ」

そう言うと、静かに話を聞いていた他の天使たちの方を向き

「彼の能力の封印と、天使に危害を与えた罰を与えることに賛成の人」

すると、満場一致で賛成の意見となった。
ミカエルは全員を見渡した後、口角を上げ言いはなつ

「これで決定よ、彼は必ず私のものにする……ふふふふ……」

一方でリーダー天使も狂ったような笑みを浮かべ

「あ……ははは…あはははは!!!これで……仕返しができる……ふふ……ついてくる人!?」

すると、その内の3人が手を挙げた。
格式で言えば同じ聖天使のSランク達だ。

「早速行くわよ!ふふふふ…あはははははは!!!」



その頃、部屋を出たミカエルはある部屋に入る。

「ん……なんの御用ですか、ミカエル」

目をつむり椅子に腰掛けていた天使が立ち上がってミカエルを一瞥する。

「この前天使界に来た、竣君のね。力を封印して欲しいの」

「…………目的は?」

「そんなの決まってるでしょ?彼を私のものにするの、最高の契約相手よ…ふふふ」

「………………」

しかし返事を渋っているのか、中々返答してこない。
するとミカエルはその天使に近づいて行く。

「貴女も追放されたい?」

「……………分かりました、離れていて下さい。危ないですから」

「ふふふふ、最初からそう言えば良いのに」

脅しが効いたのか、その天使は素直に承諾する。
この天使、魔術を操るタイプでミカエルはこの天使に竣の力を魔術で封印してもらおうと考えている。

「……………………!」

何か呪文のようものを呟いたかと思うと、
彼女の周りが紫色に染まっていく。
そしてそれは手先に集中し、やがて弾け飛ぶ。
部屋中が紫色一色で幻想的であった。

「終わりました……これで彼の力は封印されましたよ」

「ふふふ、ご苦労様っ」

そう言うと機嫌良さそうに部屋を出て行った。

7ヶ月前 No.59

スーパーゴジット @spirits7 ★iPad=Rrdr7MIuvw

夜襲II

リーダー天使は、竣の部屋の前に来ていた。

「既に力はないはず……たっぷり痛めつけてあげる…!」

他の3人の天使に目配せをすると、
ドアを突き破り中へと侵入した。



「…………!?」

変な音で目が覚めた竣。

直後に腹に思い衝撃が走る。

「ぐふっ!…げほっげほっ!」

何者かが自分の上に乗っている、それを認識するだけの余裕しか無かった。

「………ふふふふ、じっくり……いたぶってあげるわ」

その声に聞き覚えがあった。
ついこの間聞いたような……

「お前は!今朝の…!!」

竣も相手の正体に気付いたようだ。

「それと、もう1つ気付かない?」

「何?……………!」

そう力が殆ど入らないのだ。
のし掛かっているだけのリーダー天使を退かす力も無かった。

「ど、どうなってる…」

「教えてあげるわ!あなたはね……今はゴミ屑同然なの!!愉快でしょう?殆どの力を封印させてもらったわ、これで今朝のようには行かない!」

狂った笑みを浮かべて顔を近づけ挑発するリーダー天使。
それに何もすることが出来ない竣。

「まずは……」

そう言うと拳を振り上げる

「くっ………!」

防御しようにも手に力が入らない、
そしてこの拳が顔面に当たる

「がぁっ!!」

あまりにも重い一撃に意識が飛びそうになる。

「あら、意識飛ばさせなんてしないからね?苦しむ顔が見たいのだから!!」

再び殴る、竣は何回やっても防御すら出来ずまともに喰らう。
口は切れて血が滲む、鼻血も出てきているが拳は振り下ろされる。


時計の針は丁度、長針と短針が重なり合う時。


「…………まだまだこれからよ?」

彼女の拳は血で赤く染まっている、
他の3人の天使の服にも血が多少付いている。

そしてその4人に囲まれた真ん中で蹲っている竣。
意識は朦朧として、聖杯の力も出せず苦しんでいた。
助けも来ない、一体いつまで続くのかと。


これが彼女達の復讐だった。

7ヶ月前 No.60

スーパーゴジット @spirits7 ★iPad=Rrdr7MIuvw

夜襲III

「……………………」

気がつくと部屋の真ん中で丸まって寝ていたようだ。

起き上がろうとすると、全身に激痛が走る。
骨は折られていないようだが、打撲箇所が多いらしい。

「くっ……………」

時計を見ると朝の4時を指していた。
4時間近く'復讐'されていたのだろうか。
昨日の記憶があんまりない。

痛む身体を起こして、部屋を出る。

「…………………」

すると向こうから、天使がやってくるのが見えた。
その天使は竣に気付くとこちらに駆け寄ってきた。

「竣君!おはよう」

「ああ、ミカエル……おはよう」

口を開くと血の味がした。
歯が折れてないか、それも心配であった。

「んー?元気ないなぁ、どうかしたの?」

心配そうにミカエルは顔を覗き込む
竣は少し明るい声で

「はは、まだ眠いからかも…顔を洗ってくるよ」

そう言って立ち去ろうとするが、ミカエルに腕を掴まれた。

「…………嘘でしょ?」

「…………………」

「何があったの?私に教えてくれない?」



まぁ___全部知ってるんだけどね_______

私の狙いは貴方を手に入れる事______

彼女達が貴方を虐め____疲れた貴方を私が癒す___

彼女達は鬱憤が晴らせて__私は貴方を手に入れれる__最高の計画____



「……………実は……」

竣はよっぽど精神的に来ていたのか、
彼女に昨日合った事すべてを話してしまった。



「そんな事が…………分かった、私が何とかするよ、竣君を守るからね!」

そう言って手を握ってくるミカエル、
今の竣には本当の天使のように見えていた。

竣も手を握り返す。

「ありがとう……ミカエル…!」

「ううん、気にしないで。私は竣君を助けたいだけ!」


うまく引っかかった_____

所詮人間__こんな軽い餌にも引っかかってくる_____

絶対この契機は逃さない_____

彼は_____私のもの_______


「それじゃあ、朝食持ってくるね?」

「良いの?」

「もちろん!だって大変でしょ?その状態で食堂まで行くの」

「うん…結構辛い…」

情けないなと自嘲して笑う。
しかしミカエルは首を横に振り。

「そうやって私に素直に言ってくれるの嬉しいよ!」

その笑顔が眩しかった。
傷付いた心に少しばかりの癒しが舞い込んだ。


この後、毎日夜になっては'復讐'
朝になっては'救済'
正反対の日々を送っていた。

6ヶ月前 No.61

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融合I

相変わらず、
あんまり良い待遇をされていないラファエル。
その元にも竣が元気が無く、
何かがあった。という知らせだけは届いた。

気になってリーダー天使に聞いてみる事にしたラファエル。

竣君のためなら…苦手なリーダー天使にも聞いてみようと思ったのだ。

「あ、あの…」

「何?」

この所、リーダー天使の機嫌が少し良いのも気掛かりであった。
なんせ、こないだの2人の戦いを見ていたから。

「竣君に…何があったか…知りませんか?」

「…………………」

すると、一瞬曇った表情を見せたが、
すぐ様いつもの顔に戻って

「いや、知らないわ」

「………そ、そうですか…」

その場は引き下がったが、
絶対に何か隠している。そう確信した。
そして少ない人脈を伝って情報収集を始めるのであった。



その夜。

竣の元にリーダー天使は来なかった。
久し振りに安眠出来る日々、しかし連日の恐怖は睡眠を悉く妨げた。
そしてその苛立ちや恐怖は、封印されていた竣の聖杯へと注がれていく。


リーダー天使は、裏でコソコソ嗅ぎ回っているラファエルの存在に勘付いていた。
核心に触れる前に、何とかして口封じをしようと考えていたのだが、
ラファエルの事だ、単純な脅しでは応じてはくれない。

「一体どうしたら……」

すると竣への復讐に参加した1人の天使がある事を言う。

「物理的がダメなら、精神的に追い詰めては?」

「精神的に?」

「はい、例えば………霊体室とか」

「…………………あそこ…ね…」




そして翌日。

ラファエルはリーダー天使に呼ばれた。

「な、なんでしょう…?」

「ちょっと連れて行きたい所があるわ」

そう言って先に歩いて行く。
慌ててラファエルも後ろから付いて行く。

すると、歩きながらリーダー天使はラファエルに話しかける。

「貴方、私があの人間に何かしたんじゃないかって、嗅ぎ回っているでしょ?」

「えっ!………そ、それは…」

「バレバレだから。それでね、まぁ貴方の言う通り隠している事はあるわ」

「やっぱり…!それは何ですか!」

「……………良いわ、教えてあげる」

そして全ての事を話した、復讐。をしている事も。
ミカエルがそれを利用して、救済。をして竣を我が虜にしようとしている事も。
2人はWinWinの関係なのだと。

「そ、そんな事……許されません!」

ラファエルが全てを聞き終わった後リーダー天使に怒鳴ったが、
全く聞く耳を持たずにある部屋の前で止まる。

「こ、ここって……」

「ええ、霊体室よ」

「どうしてここに…?」

「だって……秘密を知られちゃ、口封じしなきゃいけないしねぇ?貴方、精神的に脅さないと言うこと聞かなそうだし」

そう言って、ラファエルの腕を凄い力で掴む

「い、痛いっ…!」

「ほら、ここで頭でも冷やしなさい………ふふふふふ」

そしてグイッと引っ張り自分の前に引きずり出すと、
そのまま背中を蹴り飛ばす。
ラファエルはいきなりの事で前のめりに倒れる。

「ばいばーい」

ラファエルはそのまま霊体室の中に入ってしまい、
それを見たリーダー天使が扉を閉めてしまった。

「や、やめて!!出して!!!」

ラファエルの悲痛な叫びも虚しく、
もうそこには誰もいなかった。

本来、人が寄り付かない場所。
中でラファエルは必死に助けを求めるが扉が開く事は無かった。

6ヶ月前 No.62

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霊融合II

夕方。

「そろそろ出してあげようかしら」

リーダー天使が扉の前に立つ。
そしてゆっくりとその扉を開ける、
中から冷ややかな空気が染み出していた。

「ラファエル、どこにいるのかしら?」

入り口の近くには居なかったので、
どこかに隠れているのかと思い部屋の中を歩き回る
しかし、どこを探してもラファエルの姿は無かった。

「お、おかしいわね…ラファエル!どこにいるの!」

声を上げるがただ自分の声が反響しただけ。

少しずつ顔が青ざめていくのを感じる、
ここは霊体及び霊魂が納められている部屋。
居なくなった理由は分からないが、きっと嫌な予感しかしない…

部屋を出るとすぐにミカエルの部屋に駆け込む

「ミカエル!大変よ!」

ソファーに寝っ転がって眠たそうに欠伸をかいていたミカエル
のっそりと起き上がると

「何?ラファエルはどうしたの?」

「そ、それが…!」

霊体室に居なかった事を告げると、
ミカエルも少し焦りの表情を見せていた。

「………嫌な予感がするよ…」


すると突然ドアが開く。

「何が嫌な予感なのかしら?」

入ってきたのはルシファーだった。


「ど、どうしてここに!」

リーダー天使が驚きの表情でルシファーを見る。
それをルシファーは一瞥して。

「たまたまよ、ミカエルに聞きたいことがあってね」

「聞きたいことってなに?」

「ええそれはね。ラファエルはどこにいるのかしら?」

丁度事の核心をついてきた。
反応に困っていると、ルシファーが続けて言う。

「それと、どうして霊体室を開けたのかしら?」

「っ!!……そ、それは…」

ルシファーの目が妖しく光る。

「ラファエルと霊体室、何か関係があるのよねぇ?」

するとミカエルが口を開く

「うん、あるよ…彼女がラファエルを霊体室に入れた、そしたら居なくなってたんだってさ」

まるで他人事のようにルシファーに訴える
それはリーダー天使への裏切りでもあった。

「ミ、ミカエル!どういう事!?貴女もそれには賛成してっ…!」

「私、そんな事言ったっけ?」

嘲笑うかのような笑みを浮かべる
リーダー天使が更に言い返そうとした時、
ルシファーがそれを制した。

「今は誰が入れたかなんてどうでも良いわ、とにかく2人は付いてきて」

そう言って霊体室へと向かったのであった。

6ヶ月前 No.63

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霊融合III

ルシファーは霊体室の扉を開け中に入る、
そして一番奥の壁の前で立ち止まる。

「な、何があるの?」

後ろからミカエルが声をかける。
それには答えず足元に置いてある箱を退かす、
するとそこに小さな扉が現れた。

「えっ?こ、こんな扉…!」

2人は知らないといった表情で顔を見合わせる
ルシファーはその扉を開け、這いつくばるように中へと入って行く。


中は更に冷んやりとしていた。
冷気とも言えるべき空気であった。
そこに居るだけで気分が重くなり、憂鬱な気分になるような重い空気でもあった。

「ここには、昔。我々天使達が束になっても勝てる事が出来なかった者共を封印している」

突如ルシファーが喋りだす。2人は黙ってその話を聞いていた。

「霊体室に収められているのは弱い力の霊達。ここに居るのは、絶対に封印が解けてはならない強い霊達。全部で7人居る、そして……」

ある1つのカプセルの前で立ち止まるルシファー。
埃が被り文字は薄れ読み取る事が出来ない、しかしその中が空っぽだと言うことは分かった。

「此処にいたのは、はるか昔の天使リュエル。彼女は、元々今のラファエルの様な待遇を受けていた、そして彼女は深く憎しみを抱いていた。その憎しみは彼女に少しずつ力を与えていった。そしてある時……」

その結末を言おうとした時天使界全体が大きく揺れる。

「な、何が起こったの!?」

「…………手遅れだったようね…」

「どういう事?」

「説明してる暇はないわ、今すぐ竣に力を戻しなさい」

「えっ!?ど、どうしてそこまで…!」

「お見通しよ、早く心を返してあげる事ね。こっちも手遅れになるわよ」

ミカエルはルシファーが何故全てを知っているのか、納得が行かなかった。
しかし今は天使界に何かが起ころうとしているのは分かった。
リュエルの霊が居ない事、ラファエルが居ない事。
2つが指す答え。

「早くしなさい、リュエルとラファエルは霊融合をしたわ…きっとね」

「霊融合ってなによ?!」

今度はリーダー天使がルシファーに問い詰める。
ルシファーは語気を強めて言う

「早く竣の心を返しなさいと言っているの、聞こえないのかしら?」

そう言ってミカエルを睨みつける

「わ、分かったよ……戻せば良いんでしょ、戻せば!」

そう言って、魔術使いの天使がいる部屋へと向かった。

そしてルシファーは残ったリーダー天使に向き直る。

「霊融合、それは言葉で言うなら簡単。霊と人間が融合した、ただそれだけ」

「そ、それだけって…」

「でも取り憑いた訳ではないわ、霊の意思と人間の意志が合致した時お互いの意識を共有し1つにする。それが霊融合。きっと彼女達の心にあるもの、それは………不遇に対する憎しみ、己の非力に対する憤り、そして孤独に対する哀しみ。」

「ち、ちょっと待ちなさい!ラファエルとそのリュエルってのが、霊融合するとどうなるのよ!」

「…………天使界が滅びる。ただそれだけよ」

そう言うとルシファーも部屋を出て行ってしまった。
その場に立ち尽くすリーダー天使、
一体どれほどの事が起きているのか、全く飲み込めていなかった。






「…………竣さん………どこにいるの……?」

天使の館を遠くから見ている天使がボソリと呟いた。

6ヶ月前 No.64

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天使界の危機I

ゾロゾロと天使の館から天使たちが飛び出してくる。
外には既に100人程度の天使たちが、
状況を把握しようと扮装していた。

ルシファーも館から外に出る。
するとその後ろから、ミカエルが追いかけてきた。

「力を戻したのかしら?」

「戻したよ!ただ…」

ミカエルの表情が曇る
理由をルシファーが問いただす

「ただ……彼の心には負荷がかかり過ぎてるって言ってた」

「負荷ねぇ………どこぞのバカな天使さん達が無力の彼を痛めつけたからじゃない?」

皮肉を込めて言い返すと、
ミカエルは言い返す言葉もなく黙り込んでしまった。


すると、天使達の中でランクの高い天使達が固まっているのを見つける。
2人もそこに歩いて行く。

「どうなっているのかしら?」

「わ、分からない……ただ、外部の何者かの攻撃としか…」

既にそこでは話し合いが行われていた。
どうやら、ここが天使達の本部のようだ。

「外部の攻撃なんかじゃないわ」

天使達が一斉に振り返る。
ルシファーはその輪の中へと入っていき、話を続ける。

「そこにいるミカエル達が何をしたか、それを話さないといけないわね」

時間がない中、大事な事だけを掻い摘んで説明する。
天使達が大体理解した上で、先ほどの話に戻した。

「だからこの攻撃は、霊融合したラファエルとリュエルのものよ」

すると黙って話を聞いていた天使の1人が、
輪の外で遠慮がちに話を聞いているミカエルに向かって言う。

「貴女の処分はこの事態が収束したら速やかに行います、それまで貴女はこの事態に対して最大限の協力を。」

彼女は大聖天使のSランク、即ちこの天使界のトップ。
彼女が言う事は絶対的な力を持っていた。

「わ、分かりました…」

「それじゃあ、何といったかしら……竣?とかいう人間を呼んできなさい」

すると横にいた天使が館の入り口を指差して

「彼ならあそこにいます!」

「そう、ならこちらに呼んで頂戴」

そしてその輪の中に竣も加わる。

「………………………」

「貴方が人間の竣ね、貴方は強い力を持っている、そしてラファエルとも親しい。心を戻したばかりで疲れてるでしょうけれど、協力してもらうわ」

多少冷たく命令するように言う、
しかし竣はチラッと一瞥しただけで、うんともすんとも言わなかった。

「……………嫌なのかしら?」

多少語気を強める、
すると竣が重い口を開く。

「…………ああ、嫌だ。悪いけど俺は一切協力するつもりないから」

一瞬、周囲の空気が凍りついた_______


無力の竣が受けた数日間の暴力、ラファエルが受けた精神的苦痛、
その憎しみや哀しみなどの負の感情は、そう簡単に埋まるものでも無く。
2つは呼応しあい、引き寄せ合う。
天使界は最悪の局面を迎えようとしている。

6ヶ月前 No.65

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天使界の危機II

「ふふふ……竣さんみぃーーっけ…」

銀色の羽を広げ空高く飛び上がった
彼女こそ、ラファエルとリュエルの霊融合した姿。
ラファエルの体にリュエルの意思が混ざっているので、
ラファエルαと言ったところだ。


「あ、あそこに天使が!」

天使の1人がラファエルαに気付いて指を指す。
周囲の天使達はラファエルαの方を見る。

「あれは……ラファエル…?」

「で、でも羽が銀色だし…様子が変だよ」

様々な声が上がる
ラファエルαはゆっくりとこちらに近づいてくる。

そしてゆっくりと手を翳し、
天使の館に向かって強烈なエネルギーを放った。

「まずい!防御を!!」

誰かがそう叫んだときには遅かった。
凄まじい光と爆風によって視覚聴覚は一時的に失われる。
ルシファーや大聖天使達でも数秒間身動きが取れなかった。


「くっ……どうなったの…」

本部の1人が薄っすらと目を開け状況を確認する。

そこには真っさらな地面に少しの瓦礫が残っているだけであった。

「う、嘘………」

「あ、あいつ…一瞬で館を消滅したのか…」

本部の天使達も騒然とする。
圧倒的な力過ぎるのだ。
そんな中トップは落ち着いていた。

「館はまた建てれば良い。今はここにいる全員で彼女を倒すのよ。殺す許可も出す、好きにして」


天使達もその言葉を聞いて多少落ち着いたようだった。

「殺しても良いなら…」

「本気でやって良いんだもんね!」

そうして、多くの天使達がやる気を出した。
そして未だ空中からこちらを見下ろしているラファエルαに向かっていこうとした。


「流石にこの人数なら、彼女1人では相手出来ないわ」

トップは冷静に分析をしていた。
相手は1人、圧倒的な力があっても数で押せば勝てると。

しかし、そんな彼女にも誤算があった。


ラファエルαの前に立ちふさがる人影。

「1人なら処理は難しいかもな…じゃあ2人ならどうだ?」

その人影から赤きオーラが立ち込める。


「くっ…!竣…!」

ルシファーが睨みつけるように人影を見上げる。


「俺は………ラファエルの味方だ……ラファエルをこれ以上傷付けるなら……お前ら全員………ぶっ倒す!!」


6ヶ月前 No.66

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天使界の危機III

「竣……どうしてなのかしら?」

ルシファーが立ちはだかる竣に向かって問いかける。

「この天使界をこの有様にしたのは彼女よ?」


すると竣はフッと息を吐きつつルシファーを見据える。

「じゃあ…そのラファエルをこんなにしたのは誰だ?もちろん、ラファエルを虐めていた奴だけじゃない…それを見ず知らずのフリをした………くぅっ…!………お前ら全員だろぅがあぁぁ!!!」

歯を食いしばり拳を血が出るほどきつく握る。
そして震え上がるほどの怒りによって更に聖杯の力を高める竣。
辺り一帯が赤色に染まってゆく。


「…………それもそうねぇ……もう、言葉ではどうにもならないわ」

そう言うとルシファーはより一層竣の瞳を見つめる。

「ひとつ聞かせてくれるかしら……それは本心なの?」

また竣もルシファーの瞳を見て答える。

「………今回は俺の意思だよ…前見たく暴走なんてしていない、俺の心からの想い……!」


暫く見つめあう2人
するとルシファーがフッと笑うと、
後ろを振り返り他の天使達に告げる。

「私が彼と戦うわ、貴女たちは全員でラファエルを倒しなさい」

「む、無茶ですよ!幾ら…ルシファーさんでもっ」

天使の1人が止めに入る、
しかしその制止を聞くこともなく、竣と同じ目線へと飛び立つ。

「私をなめないで欲しいわぁ……私も昔は……大聖天使…天使界のトップよ…!!」

すると黒紫の羽を大きく広げる

「本気を……見せてあげる……!」

すると、今度は空気が揺れるような感覚がした。
そして辺りは紫に染まっていく。

ルシファーの周りには神聖な天使の気が纏っている。

「私こそが…堕天使…ルシファー!」


その様子を見ていた竣は自然と笑みが溢れていた。
ルシファーを見ると、ルシファーもまた笑みを浮かべていた。

「行くよ……ルシファー」

「ええ、来なさい竣………貴方が強くなれば…私ももっと強くなれるわ…!」


6ヶ月前 No.67

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天使界の危機IV

「はあぁぁぁっっ!!」

聖杯の力を高めてルシファーに向かっていく
右拳を後ろに構えて力を貯め、
ルシファーに近づいたところでそれを突き出す。

「っ!」

ルシファーはそれを左手で受け止める。
そして左手を軸に竣を回転させ、地面へと吹き飛ばす。

「はっ!」

手を付きうまく受け身を取り着地する。
そしてすぐさま上空へと飛び立つ

「まだまだ!」

先ほどよりも早い一撃。

「くっ!?」

強烈な流し蹴りを食らったルシファー
少し後ろへと下がる

「俺の怒りは………こんなものじゃ無い………怒りを力に…哀しみを力に……う……ああぁぁぁぁぁっっ!!!」

拳を握り聖杯の力を更に高めていく
竣からは大きな赤いオーラが吹き出し、大地はその力に呼応するように震え始めた。



「竣さん……私も……うふふ」

ラファエルαも戦闘態勢へと入る。
目の前には100人以上の天使、それをこれから自分が殺せるかと思うとウズウズしていた。

「ますは……そこの天使さぁん…」

1人の天使に目をつける。

「わ、私…!き、きなさい!」

怯えつつもラファエルαを見返す、しかしそこにラファエルαはいない。

「もう来てるよ?」

のんびりとした声が背後から聞こえる、
振り返ろうとした時には目の前はエネルギーで包まれていた。

「ひぃっ!?」

それが最後の声となる。
強大なエネルギーが彼女も包み込む。

「それじゃあ………これあげるね」

ラファエルαはそのエネルギー玉を更に側に固まっていた天使たちに投げつける。

「う、嘘!」

「こんなのっ…!」

「いやああぁぁぁぁぁっ!」

誰もそれを止める術なく。
たった一撃で10人以上の天使が倒された。

「さぁ、お次は誰かしら?」

「私が戦う…」

「貴女は……大聖天使さん……殺してあげる……」

ラファエルαの前に立ちはだかるのは、
天使界のトップとその参謀2人であった。

6ヶ月前 No.68

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天使界の危機V

「行くぞ、カリエル!ルノエル!」

トップ天使は横に並んだ天使たちに言う。

「はい!天使長……いえ、ミラエル!」

カリエル、ルノエルはトップ天使もといミラエルに応じる。

「私たちが負ければ……この天使界が負けたと言っても良いわ」

「全力で……戦います!!」

「最初っからフルパワーを出すのは久しぶりかも!」

3人はそれぞれ翼を広げ力を解放する。

「わぁ、皆さん凄い力……だからこそ…潰し甲斐がありますね…!」

ラファエルαはまずカリエルに攻撃を仕掛ける
瞬時に目の前に移動し膝蹴り、カリエルが怯んだところでカリエルの体をルノエルに投げつける。

「ぐぅっ!」

そしてその隙にミラエルに集中攻撃。
パンチ、蹴り、エネルギー玉。様々な攻撃を組み合わせてミラエルを混乱させていく。

「貴女は……素晴らしい才能よ…でも負けない…負けられない!!」

「その目………私の才能を認めず、異端児として冷ややかな目で見た彼奴らと同じ……腹立たしいです……凄くね!!」

今のラファエルαはリュエルが精神を支配しているようであった。
彼女の口から語られるのは昔の事、ラファエルとは無関係なのだ。

「貴女が昔に何があったか……それは今は関係ない……!!」

「そう………じゃあ私の怒りは?憎しみは?哀しみは??………1人で抱え込めと言うの?この子のように……ふふふふふ………そんなの御免だわ…だから発散するの……こうやってねぇっ!!」

「カリエル!ルノエル!防御態勢よ!後ろにいる天使たちを守って!!」

「はい!!」

「シールド展開!!」

2人の天使は手を繋ぎ同士に力を放出。
すると天使たちを守るベールが出現した。

「そんな弱っちい盾で何が守れるのかしら?」

「……さっさとしたら…どうっ?…はっ!」

ミラエルもラファエルαに両足で蹴りを食らわせ、少し離れた位置へ距離をとる。
しかし何故かバリアの中へは入らないようだ。

「ミラエル!バリアに入って!」

「いいえ、入らないわ……私が彼女の攻撃を……怒りやその全てを受け止める!!」

ラファエルαは既にエネルギーを貯め始めている。

「そんなっ……ダメです!ミラエルさんが居なくなったら……」

「大丈夫、私は天使長よ?そう簡単に死なないわ」

「お話は済んだかしら?」

ラファエルαはエネルギーを貯め終わったようだ。
右手には悍ましい黒に近いエネルギーが纏っている。

「ええ………さぁ!来なさい!!受け止めてあげるわ!」

「受け止める…………くっ………ふざけないで……何を今更ぁっっ!!」

憎しみの表情で黒きエネルギーをミラエルに向かって放つ。

「貴女の闇は……私が払う…光の精霊よ。私に力を!」

ミラエルの右手が光る。
そして光の粒子が集まって行き、ミラエルの手を覆う。
そしてそれを黒きエネルギーにぶつける。


光と闇のエネルギーは激しくぶつかり合い
そのまま大爆発を起こした。

6ヶ月前 No.69

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微かな変化l

ミラエルやカリエル、ルノエルとラファエルαの戦いの最中、
ルシファーと竣の戦いも続いていた。

「ふっ…!!はぁっ!」

背中に移動してかかと蹴りを繰り出す竣、
出した瞬間にルシファーは消え、攻撃は空振りする。

「どこだ………」

神経を集中させて場所を探る。
目で追っても見つからないものもある。
肝心なのは気だ。人が出すオーラだ。それが大気を震わせる。

「上だ!」

上を向いた瞬間、目前にはルシファーの顔があった。

「遅いわね、竣」

そして黒紫の羽で思いっきり体を吹き飛ばされる。

「ぐっ!」

防御をし、地面を削りつつなんとか踏みとどまる。
明らかに力の差が出始めていた。

「どうしたのかしら?貴方の怒りはこんなもの?」

ルシファーもそれに気付いていた、
攻撃の手を止め質問をしてくる。

「違う……俺は……」

「気付いたんじゃなくて?ラファエルαがやった事は、幾ら何でもやり過ぎだって」

竣はその言葉に首を横に振る。

「違う…何故かは知らないけど、ただこれ以上の力を出したくないだけだ……でも…ルシファー。君は強い…だから……今度は、俺の意志で本気を出す!!」

すると竣は立ち上がり、
オーラを高めていく。
そして一刹那。そのオーラが爆発的な力を生み出した。

「……………くぅっ…!はぁっ!」

少し苦しそうな表情を浮かべつつ、
攻撃を始める。手から衝撃波を生み出す。

ルシファーはすぐさまそれを感じ取り上空へと避ける。
しかしそこには、既に竣が拳を構えていた。

「だあぁぁっ!」

そのパンチはルシファーにクリーンヒットする。
そのままルシファーは地に落とされる。

しかしこの変化は危険な変化であった。
彼自身は気付いていないが、今まで本気を出さなかった訳。
それは彼の体や精神だけが気付いていた事、
この状態を長く続ければ、いずれか彼の力に精神が追いつかなくなり壊れてしまう事に_____________



「………………」

地面に伏せる天使が1人。
その横には2人の天使が必死に声をかけている。

「ミラエル…ミラエル!!」

「起きて下さい!ミラエルさん!」

しかしミラエルはビクともしない。
天使の輪も消え、少しずつ体も消えかかっていた。

「死なないで………」

カリエルがミラエルの頬に手を伸ばす。

しかし頬に触れる直前、
ミラエルの体は消え去ってしまった。

「くっ……うぅぅ……」

涙を流すカリエル。
その横で立ち上がる音が聞こえた。

「ぅぅ……ルノエル…?何をするの…?」

「………倒す…あいつを…倒す!!ああぁぁぁぁっ!!」

完全に怒りと悲しみで我を忘れていた。
捨て身の勢いでパワーを解放する。

「待って!ルノエル!」

カリエルの制止も聞かず、一直線にラファエルαの元へと向かう

「ふふ……次は貴女を殺しちゃいますね」

ニコニコ笑いながらエネルギー玉を放った。

「こんなものおぉぉぉっ!」

ルノエルはそれを全て弾き飛ばす。
そのままラファエルαの体に突っ込んだ。

5ヶ月前 No.70

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微かな変化II

中々起き上がらないルシファーに痺れを切らせ、
上空から地上に降りると、ルシファーの元へ行く

「終わりだ、ルシファー」

再び手から衝撃波を放とうとする

「……………」

その時微かにルシファーの手が動いた。

「っ!」

危ないと思い飛び退こうとしたが、時既に遅し。
ルシファーの右手が竣の足を掴む、そしてそのまま地面に叩きつけられた。

「くっ……やはり…あの程度じゃやられないか…」

渾身の一撃だった事を告げる竣。
すると形勢逆転したルシファーは竣にまたがる。

「貴方は甘いわぁ…」

両手を掴み抵抗出来ないようにする。
そして顔を近づけ話を続ける。

「良いかしら?貴方、このまま力を上げ続ければ勝てるとでも思ってる?」

竣はオーラを高めて逃げ出そうとするが、
完全にルシファーの元から逃れられなくなっていた。

「…………」

「勝てないわ、それにいつか貴方は壊れる。力が精神を超えてしまうのよ」

ルシファーは竣の異変に気付いた様であった。

「それでも…………」

抵抗を止め、竣は口を開く。

「俺は………ラファエルの為なら……命を捨てる…」

「!」

流石にルシファーも驚いている。
ここまでラファエルに対する想いが強いのかと。

「だから………」

「ぐぅっ!」

手の拘束を解き、密着していたルシファーの懐に衝撃波を撃ち込んだ。

一瞬の間があって、ルシファーは口から血を流しつつ後方へと吹き飛ばされた。


「ああぁぁぁぁっ!!」

ルノエルはラファエルαに突っ込んだ。
しかしラファエルαはそれを見事に受け流し、後ろに回ってヘッドロックの状態へと持ち込んだ。

「このまま首。締めちゃいますね」

柔らかく言っているが、顔は本気の顔であった。
ニコニコしているが、目には確実に怒りの憎しみの色が映っていた。


「貴女達はここにいて!」

カリエルは守りきった天使達にそう告げると、
涙を拭い自分も戦いへ参戦していった。

「ルノエル!今助けるわ!」

「友情って素敵ですね……私も友達…欲しかったなぁ……」

ギリギリと首を締めるラファエルα。

「やめなさい!ラファエル!!」

「うふふ…私はラファエルじゃないわ、リュエルよ?」

「くっ…貴女はラファエルの体を乗っ取ってるじゃないの!」

「確かにそうとも言えるかも?……でも、私と彼女の意志が一致したからこうなったの。しかも誰かしら?彼女をあんな冷たい部屋に置き去りにするなんて…可哀想じゃない」

「そ、それに関しては…私達が悪かったわ…」

「ふふ、今更?………もう許しませんよ、絶対に。私は…竣さんだけ居れば良いのです…」

そう言ってさらに力を入れる、
ルノエルはもがいているがもう限界の様だ。

「………やめろぉぉぉぉぉっ!!」

カリエルはラファエルαに羽で攻撃を仕掛ける。
しかしその攻撃をわざと受けるラファエルα。
ダメージを負うが、首を締める力は緩めなかった。

「っ!離して!!」

「……………はい、どうぞ」

するとルノエルをカリエルに投げ渡す、
それを受け取ったカリエル。
しかしもう、ルノエルは息をしていない事が分かった。
そして再びミラエルの様に、少しずつ消えかけていく………

5ヶ月前 No.71

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微かな変化III

「くっ………今のは効いたわ……」

フラフラと立ち上がるルシファー。
もう説得も聞かない事を悟り、実力で倒すしかないと覚悟する。

視線を前に移すと、
黙ってこちらを見ている竣の姿があった。

「やるしかないのね…」

フワリと浮かび上がると、
いきなり超スピードになり竣の元へと向かっていった。



カリエルは独りになった。
もちろん、まだ生きている天使はいる。
しかし、ミラエル、ルノエル、カリエル。この3人は昔からの友達であり親友であった。
3人ともいつも競い合い、今の座についていた。
これからもずっと、この3人で天使界を率いていく。その事にどれだけの喜びを感じたか。
3人だったからこそ、辛い仕事も頑張れた。

しかしもう、2人は居ない。
守ってきた天使の館も消え去った。
誰の所為?………そう、私の所為。

「私の所為………これは罪……」

「どうしたのかしら?次は貴女を倒す番です」

「好きにすれば良い………私も好きにさせてもらう………もう守る者も……競い合う人も…何もない!!!!」

カリエルは手を自分の胸に翳す。
すると手の内から赤い血が流れて行く。

「私の………いえ……3人の力……三位一体の力…!」

「何か面白そうですね…ふふ、楽しみ」


その様子を見ていたガブリエル。
昔、館に置いてあった本で読んだ気がする。
手を胸に翳し血が出る。これを使用する奥義を。

「でもあれって……使っちゃいけない…」

その通り、
天使達は強くなくてはならない。
その過程で生まれるのは必ずしも成功例だけじゃない、
己の身を削る技や、契約者をも巻き込む技。
簡単に言えば禁断の技が幾つも生まれた。

その中の1つ、
「罪」であった。

昔、カリエル達の様に仲の良かった2人の天使がいた。
ある時、戦いの最中で片方の天使がもう片方の天使を庇い死んでしまう。
傷を負った天使は、死ぬ間際に己の心臓に手を翳し溢れる血から、
エネルギーを生み出し。それを片方の天使に授けた。
その血はとてつもない力を発揮したと言うが、その天使も自分が殺したと言う罪を感じ、
自分の命を少しずつ削って行き、
その戦いが終わった時には2人とも死んでしまったと言う。
超短期型の大技であった。

「はあぁぁぁっっ!!」

ラファエルαも流石にエネルギーの大きさを感じたのか、
牽制としてエネルギー玉を幾つか放った。

それをひらりとかわすカリエル。
しかし避けたエネルギー玉は後ろに散らばっていた、
天使達めがけて飛んで行く。

当然、天使達ではラファエルαのエネルギーを受け止めれるわけもない。
比較的前の方にいた天使達は受け止めきれず倒されていく。

そしてエネルギー玉の1つがガブリエルの元にも、

「くぅっ……」

無理だと悟りつつ、打ち返そうとするガブリエル。
しかしそのエネルギー玉は急に軌道を変え、ガブリエルの横を通り過ぎ地面に当たり爆発した。

「……え?」

何故?と理由を探るガブリエル。
すると視界の端に、赤いオーラが映った。

その方向を見ると、
竣が確実にガブリエルの方を見ていた。

「………!!まさか…私を守ってくれた…の?」

再び竣の方を見たが、
もうそこに竣の姿は無かった。

「………竣君…どうして…」

5ヶ月前 No.72

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微かな変化IV

「余所見は禁物よ…!」

ルシファーはなにやらラファエルαの戦いを見ていた竣に
超スピードの膝蹴りを喰らわす

防御することもなく飛ばされる竣。
少し飛ばされたあたりで態勢を整えた。

「休んでる暇は無いわ」

ルシファーはたちまち攻撃態勢に入ると、
態勢を立て直した竣の背後へ回り羽で打とうとする。

「………はっ!」

竣は羽が自分にぶつかる寸前、
一歩後ろに退く。
そして退いた所に来た羽を両腕でガッシリと掴む。

「っ!中々考えたわね……これをどうするつもり?」

「天使の羽って……取れるのか?」

0距離で両手から羽に向かって衝撃波を放つ

「ぐっ……」

かなりのダメージが入ったらしい、
しかしルシファーも反撃してくる。

羽にエネルギーを貯めて、
そこから無数の小さな羽を放射させた。

「ぐあぁっ!」

羽が腕に刺さる、
痛みに耐えかね羽を離してしまう。
その隙にルシファーはクルッと1回転の軌道を描きつつ、
竣の脳天にかかと落としを喰らわせた。

凄まじいスピードで地面にぶつかる竣。
それと同時に砂煙が上がる。

「………ふぅ…」

披露した表情のルシファー
しかし油断は隙を産んでしまった。

「なぁ、後ろガラ空きだぞ」

「っ!?」

なんと、かかと落としを喰らわせた竣が、
僅か1秒ほどで自分の背後に回り込んでいた。

急いで距離を取ろうとするが、
既に両方の羽を掴まれていた。
しかも、なにやら竣から感じるエネルギーが以前と変わっていた。

「また……力を上げたのね…」

「ルシファー、君は言った。俺が強くなれば自分も強くなれると…その言葉の真意は分からない、だが。今の俺は、そんな競い合える存在を越えた。確実に。」

「…………ええ、その通りよ……」

「もう終わりにしよう……全力で戦えて楽しかった……でも…俺は………俺の怒りは消えない……」

「………そう……でも抵抗はさせてもらうわ」

そして両者一呼吸置く______
一時の間があった、2人以外なにも聞こえない様な研ぎ澄まされた集中力_____



「「はあぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」」


同時にオーラを爆発させる、
赤色のオーラと紫色のオーラが激しく重なり合い爆風を産む。

その爆風の中で、竣とルシファーは攻防を繰り広げた。
一方がパンチを仕掛けてきたら受け流し反撃、それをまた避けて反撃。

爆風が収まると同時に、2人はオーラを放ちながら距離をとる。
そして真正面から一直線でぶつかり合う。
ぶつかる度に大気は震え、ドオォォォンと低い地鳴りの様な音を響かせていた。
そんな2人も少しずつ傷が増えていく。
スピードにキレが落ちてくる。

2人は悟る。次で最後の一撃になると。




ラファエルαの目の前には、
既に数えられるほどの天使しか居なかった。

みんなボロボロで、飛んでいるのがやっとという状態。
しかし、1人だけボロボロではない天使がいる。
カリエルだ。「罪」を使ってから、ラファエルαとほぼ互角に渡り合っている。
そこに他の天使たちの援護も加わり、少しずつラファエルαが押されかけてきていた。

「はぁっ………中々……やりますね……」

「まだまだこれからよ……絶対に許さないから!!」

そしてカリエルは再びラファエルαとの戦闘を始める。





5ヶ月前 No.73

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終幕の契約I

「行くよ…ルシファァァァァ!!」

「ええ……こっちもよ…竣!!」

真正面から最後の力を貯める、
そして真っ直ぐにぶつかり合う。

「「はあぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」」

2つのオーラは混ざり合い白き光となって爆発を巻き起こす



「…竣さん………」

目を離した隙にカリエルの姿が消えていた。

「余所見……するなぁぁぁぁっ!」

真横から強烈なローキック、
回転しながら地面へと落ちるラファエルα
何とか体制を整える。

「くっ……竣さんは……もう…怒っていない……」

ラファエルαは突然頭を押さえてうずくまる。

「…………………」

カリエルはその様子を黙って見ている。

「……………私も……もう……良い……」

その言葉はラファエルの意識の中へと落ちていく……


もう良い?________

良くないわ___まだ____まだやるの______

貴女の気持ちは分からない_____

もう私は良いの______もう____

何故_____何故だ!____怒りは憎しみは無いのか!?____

ある____でも___もう殺したく無い_____

きっと_貴女と私の憎しみは______

言うな_____それ以上言うな_____

憎しみは__________


「言うなアァァァァァァッ!!」

うずくまっていたラファエルαは頭を押さえながら起き上がり、
突然虚空へと咆哮した。

「……………………もう時間切れ…」

カリエルは咆哮したラファエルαに攻撃を叩き込む。

「ぐふっ!…」

防御もままならず吹き飛ばされ地面を削り仰向けになる。

「言うな……………」



憎しみは____違っていた_____

質も_____量も______対象も________

全て違っていた_______



「ぁ………ぁぁ…………っ…っっ!!」


ヨロヨロ起き上がる。
すると一瞬オーラのようなものが見えたが、
次の瞬間にはそれはラファエルの体から抜け、天へと昇華していった。
そう、リュエルがラファエルの体から精神から抜けたのだ…



「………何が起こったの…?」

一瞬事態を気にするカリエルだったが、
すぐ様自分のすべき事を思い直す。

「いいえ…関係無い。今はチャンス…叩き込む!」

放心状態のラファエルに向かって攻撃を仕掛けようとしていた。

5ヶ月前 No.74

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終幕の契約II

白き爆発は収まり、
やがてあたりを覆っていた白煙も消えゆく頃。

その白煙の中に2つの影があった。

やがて、1つの影はゆっくりと地面へと降り始める。
降りるといえども、自力では無い。もう飛ぶ力が無いのだ。

ドサッ_______

そして、地面に横たわる。
黒紫の羽を閉じ、眠るように意識を失った。


そしてもう1つの影は自力で地上へと降り立つ。

もうオーラは出せなかった。
力も殆ど入らない、立っているのがやっとである。

そんな彼の目に映ったのは、一方的に攻撃を受けるラファエルの姿だった。



「っ…………ぐっ……がっ……」

突き飛ばされるラファエル。
リュエルの精神が霊体が抜けた事で、
力も失われ放心状態のままであった。

そしてそんな事も構わず、
カリエルは確実に重く怒り込めた攻撃を加えていく。



「……ラ……ラファエル………」

1歩、また1歩。
ゆっくりではあるが、ラファエルの元へと歩みを進める。
自分は言った。
ラファエルを守ってみせると。
自分が生きている限り、守ってみせる…それが覚悟だ。



一方的な攻撃を加えているカリエルにも時間が迫っていた。
彼女は「罪」を使っている。
もう命の灯火も消えかかっている時間だった。
その事をカリエルも把握している。

カリエルはラファエルの胸倉を掴むと、
そのまま地面へと押し倒す。

「次で最後よ………」

そんなカリエルの左胸からは血が滴り落ちている。
カリエルはラファエルから少し距離を取り、
自分の体に残っている力を手に集める。
特大のエネルギー玉を作るつもりだ。


「…………く……ぅ……」

言葉も出ないラファエル、
ふと視界の端っこに動く人影を見つける。

やがて、その正体が分かった。

「…っ!………竣……さん……」

無意識のうちに視界が揺らいだ。
そして頬に熱い液体が流れ落ちる。

ラファエルは涙を流していた______


「はぁっ……はぁっ……間に合え……!」

ラファエルまであと10歩。
しかしそれが果てしなく遠い道のりに見えた。


ふと、周囲が光る。
カリエルがエネルギーを貯め終わったのだ。
彼女の手の平には収まらない、手の10倍はあるかと言うほどの大きさのエネルギー玉があった。


「くそっ……歩け……歩け………歩け……」

後少し____

しかしその時を待つ事なく、
無常の声は響いた。


「ラファエル………そして人間……!裁きを受けなさい!!」

カリエルがエネルギー玉を放った。
一直線にラファエルの元へと向かっていく。


「ラファエル…!」

エネルギー玉が放たれたのとほぼ同時にラファエルの元へたどり着く。

竣は最後までラファエルを守ろうと、
ラファエルを抱き締め自分が最後の盾に成ろうとした。

その時初めて、ラファエルが泣いている事に気付く。

「…………ごめん…!」

エネルギー玉が迫っているのが分かった。
背中に強烈なエネルギーを感じた。

竣は目をつむり抱きしめる力を強める。


「竣さん……」

ラファエルが手を頬に添えた。

「ふふ……貴方なら………私の全てを…捧げれます……」

そしてそのまま竣の唇へと自分の唇を重ねた。
少し血の味がした。
そしてエネルギー玉は2人を飲み込みその場で爆発した。



5ヶ月前 No.75

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終幕の契約III

「終わった………わね……」

カリエルは膝をつく、
もう戦う力は残っていなかった。

続々と周りに居た天使たちが寄ってくる。

「か、カリエルさん!大丈夫ですか…?」

「……大丈夫……じゃないわ……でももう良いの…」

「そんな……ダメです!カリエルさん!」

天使の腕の中に身を預ける。
少しずつ息が浅くなっていく。
鼓動が遅くなっていく。

この短い間、ルノエル、ミラエルの為に戦えて幸せだった。
その幸せを噛み締めて。

最後にうっすらと目を開ける。

「…………………ぁ……は…はは……嘘………」

視界に映るのはどこをどう見ても立ち上がっているラファエルであった。
そしてその横には意識は朦朧としながらも、しっかりとラファエルの肩を支えている人間。

カリエルの胸に再び怒りの炎が湧き上がる。
しかし力は残っていない。

彼女は最期、自分の力で___禁断技なんかに頼らないで。

再びエネルギー玉を作り出す。

「ダメです!力を使わないでカリエルさん!」

必死に制止しようとしてくれる天使たち。
それがとても心地よかった。
自分は慕われている、信頼されている。そう思えたから。

だからこそ、戦わなきゃいけなかった。

「喰らえ……これ…が……私の……力…!!」

渾身のエネルギー玉は先ほどと同じく一直線にラファエルと竣に向かっていく。



「竣さん……大丈夫ですか?」

心配そうに顔を覗き込むラファエル。
そんなラファエルにニッと笑いかける竣。

「大丈夫……俺たちの…契約した力……見せてあげよう…!」

「はいっ…もちろんです!」

ラファエルも手にエネルギーを貯める。
先ほどまでの放心状態などではない、しっかりとした眼差しで。

「行きます…!はぁっ!」

エネルギー玉ではない、レーザーを向かってくるエネルギー玉に当てる。

少しの間それはぶつかり合ったが、
レーザーが次第にエネルギー玉にのめり込み、
そして貫通した。



「逃げなさい………」

トンッと天使を押すカリエル。
自分以外を巻き込む事なく、彼女だけが真っ直ぐにそのレーザーを受けた。

レーザーは彼女も貫き、
遥か彼方へと飛んで行った。

そしてカリエルも光となって、天へ消えていった………

4ヶ月前 No.76

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第8話 1日限りの休日I

「終わりましたね…竣さん…」

複雑な表情で竣を見るラファエル

「ああ…仕方ないよ…俺たちだって、あの天使だって自分の義理を責任を…使命を通しただけなんだから…」

そう言って座り込む竣
ラファエルもその横に腰を下ろす

「竣さん…ありがとうございます、最期…契約してくれて」

「こっちこそ、ありがとうな。ラファエルが契約してくれてなかったら、確実に死んでた」

2人は自然と手を重ねあっていた。
そこに2人の天使が寄ってきた。

「……ルシファー…」

「ガブリエルさん…」

ルシファーは竣の目の前に、ガブリエルはラファエルの目の前に立つ。

「………竣、今回の事もう何も言わないわ。その代わり、落ち着いたらまたご飯を作りなさい、史上最高に美味しいご飯をね」

「ラファエル…貴女は悪くない、でも……分からない…一体何が正しいのか……でも、それでもね!私は…ラファエルが生きてて良かった!」

そう言って2人は微笑む。
そして竣とラファエルに手を差し伸べる。

竣とラファエルは差し出された手をしっかりと握り立ち上がる。

「竣、取り敢えず帰りなさい。今貴方がここに居てもする事はないわ、もちろんラファエルも一緒にね。貴女も今はここに居るべきじゃないし、一旦気持ちを整理させなさい。それとガブリエルも」

「ガブリエルも?」

「ええ、この場は私が仕切るわ。貴方達2人はもうボロボロ、心配だからガブリエルを付けるのよ」

「任せて下さい!」


そしてルシファーを天使界に残し、
竣、ラファエル、ガブリエルは一足先に人間界へと帰った。



人間界の時刻にして午後6時

「こ、ここが人間界なのですか…!」

ラファエルが物珍しそうに竣の部屋を物色する。

「はは……久し振りに帰ってきた気分だよ……」

ベットの上ドサッと乗っかる、するとベットが妙に膨らんでいるのに気づく。

「ん?」

布団をめくってみると、そこにはスヤスヤ寝ているアヴァロンの姿が。
物音に気付いたのかゆっくりと目を覚ます。

「………んぅ…?あ……ぅ……あぅ」

竣の脳内には声がしっかりと聞こえてきた。

(あれ?竣…帰ってきたの?)

「あ、ああ…ただいま。それと、1人で暮らしたのか…?」

一番気になっている事だった。
しかし下から物音がする事に気付く。

(いいえ、星崎さんや朝倉さん達が日替わりで来てくれて…というか泊まってくれてるの)

「そ、そうだったのか…そいつは申し訳ない事をしてるな……」

すると、ガブリエルが不思議そうに聞いてくる

「竣君?何の話してるの?」

「ん?ああ、取り敢えず下に行ってから教えるよ」

そして、竣は寝起きのアヴァロンを抱きかかえ、
一階のリビングへと降りていった。

ガチャ

ドアを開けると、
キッチンに立っている朝倉の姿があった。

朝倉はドアが開いた事に気づいてこちらを見る。

「せ、先輩…」

朝倉は一瞬驚いた表情をしたが、
すぐ真面目な顔になりこちらへ歩み寄ってきて。

「…………」

いきなりデコピンをしてきた。

「いてっ!」

「ふん、一体何日開けたと思ってるんだ?アヴァロンを放置して…一体何を考えている」

「そ、その……」

「だが…無事でよかった」

そう言うとフッと微笑む
後ろからかっこいい人だなぁって声が聞こえた。

「ん?後ろにいるのは?」

「あ、紹介します。こっちの天使がガブリエル、こっちがラファエルです」

「よろしくね!」

「よろしくお願いします」

2人ともペコリとお辞儀をする。
しかし朝倉は天使が来た事に驚いていた。

しばらく無言の時間があった後、
咳払いを1つして、朝倉が話し始める。

「と、とりあえず……ご飯作らなきゃな、少し座ってろ」

そう言って再びキッチンへと戻っていった。

竣達はソファーに座って、のんびりし始めた。

4ヶ月前 No.77

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1日限りの休日II

その後、朝倉は橘と星崎も呼び出して8人で夕飯を食べることにした。

竣はその時、天使界で起こったこと全てを話した。

皆んなそれぞれ驚きであったり、時には怒りを示す時もあった。

「でも、竣が無事で良かったわ!」

橘は安心した様に、ニッと笑いかける

「心配かけてすみません…」

申し訳なさそうに竣は謝り返す。

「良いのよ別に!」


天使達はアヴァロンとダルタニアンと話をしている。
ラファエルのふんわりとした雰囲気のおかげで、2人ともリラックスできている様であった。



「それでだ。竣、お前は明日1日休め。明後日からは学校の修復作業とかを手伝ってもらう」

「わ、分かりました。じゃあ明日はゆっくり休みます」


久しぶりの現代。
1日ゆっくりできるのは嬉しかった。
まだ癒えていない傷もある、それも少しは癒えるだろうか。


そして、ご飯を食べ橘たちは帰宅した。
朝倉も家に帰し、アヴァロンと天使達、竣の4人だけが残った。

「はぁー…明日1日休みだ」

大きく伸びをして欠伸をする。

「明日は何するの?」

膝の上にアヴァロンを乗っけているガブリエルが聞いてきた。

「んー…休む!これしかない」

「えー!休むの?遊ぼうよ」

「ガブリエルは子供か、俺は疲れたんだー」

ソファに横たわる
すると、ソファの横にラファエルがやって来て
スッと竣の首を持ち上げ、自分が座りそのまま膝の上に頭を置いた。

「ラ、ラファエル?」

「膝枕です、寝てしまっても大丈夫ですよ」

ニコニコと笑いかけてくる、
契約するとこんな感じなのか。と夫婦みたいだなぁと軽く口に出す。
すると、ラファエルの顔が赤くなって。

「ふ、ふ、夫婦……け、契約と!婚約は!違います!」

「あ、ラファエル照れてるー!」

ケラケラとガブリエルは笑う
その様子を少し微笑みつつ見上げているアヴァロン。

「じゃあ、天使って結婚するのか?」

わたわたしているラファエルに問いかける。
するとラファエルは落ち着いたのか真面目な口調になって返す。

「うーん…もちろん、形式的なものは出来ますけれど…」

「やっぱり、契約=婚約なんじゃないかな?だって、基本1人としかできないでしょ?」

ガブリエルがこれまた何気なく言った言葉。
竣はまたデジャビュを見ることになった。

「そうかも……?………あっ!?」

内心納得していたラファエル、
納得するということは、契約した竣とは婚約者とも取れるわけで。

「わ、わ、私!先お風呂入りますから!!」

そう言って、ぴゅーっとリビングから姿を消してしまった。

「あははっ、からかいすぎたかな?」

「はは、まぁ…たまには良いんじゃない?俺も面白かったし」

久しぶりに自然に笑ったなと思えるほど、
ごく自然に笑みがこぼれていた。

すると、アヴァロンがスタスタと歩いてきて、
今度は竣の膝の上に乗っかった。

竣はアヴァロンの頭を撫でつつ、
ガブリエルともう少し他愛のない話を続けるのであった。

4ヶ月前 No.78

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3ヶ月前 No.79

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1日限りの休日IV

「あーー…綺麗な青空だ」

竣が居るのは屋根の上、
時間にして10時過ぎである。

「そうですね、とっても綺麗です」

横にはラファエル。
ガブリエルはアヴァロンと部屋で遊んでいる。

「ラファエルもこうやってさ、ぐだーっとしようよ」

屋根に寝転んでいる竣、
ラファエルは正座をして座っている。

「汚れてしまいますよ?」

「え?あ!服が汚れた……ふあぁぁ……」

フッと起き上がって大きく伸びをして欠伸をする。
その様子を見てクスクス笑うラファエル、
平和な時間が流れていた。


12時になろうとしていた頃。
家のチャイムが鳴った。

「はーい」

ガチャッとドアを開けると、
ダルタニアンが1人で立っていた。

「ダルタニアン、1人で来たのか?」

「は、はい……だ、ダメでしたか…?」

「い、いや。ダメじゃないけど………あ、そっか今家に誰もいないんだ!」

そう言うと竣は家の中にダルタニアンを招き入れた。


「ラファエルー」

キッチンで料理をしているラファエルの元に行き、
ダルタニアンが来たことを伝える。

「じゃあ、1人分増やして作りますね」

「うん、ありがとう。頼む」

そしてダルタニアンと共に、
リビングで遊んでいるガブリエル達の元へ。


「あ!ダルタニアンだ!」

ガブリエルがふわっと近寄ってそのまま抱き着く

「ガ、ガブリエルさんっ……」

恥ずかしそうに引き剥がそうとする

「ガブリエル……どんどん子供になって行ってる気がする…」

「む……聞き捨てならないよ!私は子供じゃないもん」

ダルタニアンから離れて、竣の前に座る。
ホッとするダルタニアン。

「第一、よくそんなに遊んでて飽きないな」

「飽きないよ?ね!アヴァロン!」

コクコクとうなづくアヴァロン。

「アヴァロンは子供だからな、ガブリエルは別だろ?」

ガブリエルがまた言い返そうとした、
しかしその前にアヴァロンが竣の膝の上に来て。

「……………あぅ…あぅぅ…!」

私見た目は子供だけど__精神年齢はとっても大人___

「あ、そうか……あーもう!なんでも良い!」

「いぇーい!勝った!」

嬉しそうにハイタッチするガブリエルとアヴァロン。

「あのなぁ、俺は勝負なんてした覚えないぞ」

「あ、こういうのなんて言うんだっけなー」

「なんて言う?」

「……あぅ……う…?」

言い訳____?

「…って、おい!勘違いするな!ガブリエル!」

わーっ!と言ってキッチンの方へ逃げていくガブリエル。
皆んなそれぞれ、長閑な休みを過ごしていた。

3ヶ月前 No.80

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生き残りI

「よし、行くか」

玄関で靴を履き制服のネクタイをチェックする。

「いってらっしゃい、竣さん」

「いってらっしゃーい!」

ラファエルとガブリエルがお迎えをしてくれている。
アヴァロンはまだ寝ているようだ。

「いってきまーす」

眠たい目を擦りながら、かなり久しぶりの学校へと歩んでいく。


学校はもうほとんど修復が完了していた。
しかしまだ少し崩壊している部分もあり、
プレハブで作られた臨時校舎で授業を受けている生徒もいるようだ。

竣が校門をくぐると、
前から数人のグループがやって来た。
雰囲気からして3年生らしい。

「おーい、お前!お前だろ?随分休んでよーうちの生徒会長さん困らせてるのはよー」

「そうです……迷惑をかけてすみません」

ぺこりと頭をさげる。
その反応が面白くなかったのか、まだ絡み続けてくる。

「おいおい、謝るだけで俺らの苦労とか?プレハブで授業受けてた気持ちが晴れるわけねーだろ?男ならよぉ、勝負して決めようぜ。なぁ?」

すると横にいた女子がその男をなだめる。

「ねぇねぇ、流石に3年と1年じゃ難しいんじゃなーい?」

「なぁに、手加減はしてやるさぁ」

するとその騒ぎを聞きつけた生徒たちが野次馬となり輪を作る。

「………良いですよ、戦いましょう」

それを聞いた3年生は大きく拍手をする。

「いやー素晴らしい!この3年上級クラスの俺様との勝負を受けるなんてよぉ」

すると校門の方から誰かが近づいてきた。
人混みがそこだけスッと割れ、誰が来たのか一瞬で分かった。

「ふん、会長さんのお出ましだぜ」

すると朝倉は竣に近寄る。

「竣、やめておけ。実力差がありすぎるぞ」

「まぁまぁー良いじゃないですか会長さん。こいつも俺との勝負したいようですし?」

すると朝倉ははぁっと息を吐き、呆れたように話す。

「まぁ良い、好きにやってくれ。くれぐれも校舎は壊すなよ」

そう言うと校舎の方へ入っていく。

「よーし、それじゃあ始めようかぁ」

「はい」

竣も戦う構えを取る。

「そうだ、1つ言っておきますよ。先程朝倉先輩が実力差がありすぎる、と言いましたけど。貴方の思っているのとは真逆の事だと思います」

「何?おまえよ、あんまなめんじゃめぇ!!」

右手から剣のようなものを作り出し、
こちらに投げつけてくる。

「はあぁぁぁぁぁ………!」

飛んできた剣をオーラで粉砕する。

「だあぁぁぁぁぁぁっっ!!」

貯めたオーラを爆発させる、あたりが一瞬真っ赤に染まる。

「ひっ……な、なんだよおまえ……」

「実力差。見せてあげますよ、先輩。」

「ま、ま………」

制止の声が届くよりもはるかに早く、
竣の拳は深く鳩尾にめり込んでいた。

「ぐ……が……」

その拳を高く突き上げる。

「がぁっ!!」

その衝撃で空中に吹き飛ばされる、
竣はそれよりも高く飛び上がり上から叩きつける動作を取る。
そしてそのまま地面に叩きつける、ボッコリと大きな穴があいてしまった。

「あちゃーやり過ぎたかな……」

オーラを解き、地面に埋まってしまった先輩を助けようとする。
しかし背後から嫌なオーラを感じる。

「おい、竣。ちょっとこっちに来い」

この声は朝倉先輩だ。
まずい!と思った時には既に手遅れ。
首根っこを掴まれそのまま生徒会室へ連行された。

生徒会室で言われたことはただ1つ。
修復作業を今日中に終わらせろという命令だった。

「無理だ……」

3ヶ月前 No.81

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生き残りII

時刻は午前10時。
爽やかな風が吹く中、
竣は1人残った崩壊部分の修復作業をしていた。
思っていたほど修復作業は多くなく、
頑張れば確かに1日で終わりそうであった。
しかしまだ筋肉痛や関節痛が続く竣に取っては、
かなりの重荷である。
しかしこれも修行の1つ、そう思い頑張っていた。
監督役として橘が見張っている。


「ほら!頑張りなさい!!」

エールをしてくれるのは嬉しいが、
手伝って欲しいなぁと思う竣なのであった。

まだ季節的には暑くはないが、
重いものを何度も運んだり、いろいろ集中した作業をしていると汗も出てくる。
既に制服のブレザーを脱ぎネクタイも緩めている。

そして脱いだブレザーは、橘が二つ折りにして持っている。
こういう所は几帳面なのだ。

「ふぅ…まだまだかぁ、頑張るぞ」

と、竣が自分に喝を入れると。

「おー!!」

と、後ろから呑気な橘の声が響いた。


時間は夕方に差し掛かった頃。
やっと修復作業が終わった。

「お疲れ様!よく頑張ったわね!」

橘が駆け寄ってくる。

竣は座り込み仰向けになる、
はぁはぁと疲れた息をしている。

「今日中に終わって良かったじゃない!」

そう言ってタオルを差し出してくれる橘。
その心遣いに感謝しつつ汗まみれの顔を拭く。

「それじゃあ、朝倉先輩に伝えに行かないと……」

ふらふらっと立ち上がる。
慌てて橘が支えに入ろうとするが、
竣は大丈夫と言って、今度はしっかりと立ち上がった。

時刻は5時もう暗くなってきていた。
2人は生徒会室へ向けて歩いて行き、生徒会室で待っている朝倉に報告する。

「そう、良くやったじゃないか。夜までかかると思ったんだけどな」

「先輩……今日は帰って良いですか…?疲れました……」

階段を上るのも辛いほど足が疲れていた。
腕ももう椅子1つ持てやしない。

「ああ、今日は帰って良いぞ、お疲れ様」

先輩の労いの言葉が嬉しいが、
今は一刻も早く帰りたかった。
2人はまだ仕事があるらしいので1人で帰途につこうとした。
しかし、まだトイレに行っていないことに気づいた。
気づいてしまうと行きたくなってしまうもの、学校のトイレで用を足すことにした。

用を足し、洗面所で手を洗っている時。
ふと、前の鏡を見る。

すると自分の後ろに不敵な笑みを浮かべた女が立っていた。

「………………………」

竣は驚きはしたが、
それはいた事に驚いたというより、存在していることに驚いた。

「なんでお前が……」

「ふふ、だって私死んでないし?」

そいつは羽が生えている。

「だとしても……なぜこっちの世界にいる……!」

「ゲートを開いてそこに入ったら、貴方のいる世界に来れたんだもん」

そいつは前に夜這いをしてきた。


「……………ミカエル…」

「ふふっ、覚えててくれたんだね」

3ヶ月前 No.82

スーパーゴジット @spirits7 ★iPad=Rrdr7MIuvw

生き残りIII

「何をしに来た……」

警戒の色を強める。
いつでも戦えるように準備もする。

「そんなに警戒しないでよ、別に攻撃しないよ?」

「…………………」

「お願いがあるの」

怪訝な表情の竣。
とにかく話せと先を促す。

「私と契約して……お願い」

「またその話か…前にも言ったけどお断りだよ」

「………まっ、そう言うよね。じゃあさ、契約しなくて良いよ」

あっさりと引き下がるミカエル。
それが逆に不信感を募らせる。

その代わりにさ________


ガラッ

「トイレトイレ〜っと」

見知らぬ男子生徒が入ってきた、格好からして部活の途中であろう。
竣はその横を通り過ぎトイレから出た。

内心落ち着いていない。

「まさか、ミカエルがなぁ……」

廊下を歩いていると後ろから駆けてくる音が聞こえた。

「ん?」

後ろを振り返ると橘が走ってきていた。
後ろには朝倉の姿もある。

「まだ帰ってなかったの!?」

「え、ええ…まぁ。ちょっとトイレに」

「トイレって……あれから20分は経ってるわよ?」

「いや、お腹が痛くて…」

「そう?もう平気なの?」

「はい、もう大丈夫です」

「そ!なら良かったわ!それじゃ、帰りましょ!」

橘と並んで歩く、
一瞬ではあるが後ろにいた朝倉が怪訝な顔をしたのは誰も知らない。

分かれ道へ差し掛かったところで、
朝倉が口を開いた。

「竣、そろそろ七夕祭がある。また手伝ってもらうからな」

7月7日に何かお祭りらしきものがあるらしい。
もう竣も生徒会の一員と言っても良いほどである、
断る理由もないので頷いて了承する。

「それじゃあな」

「また明日!」

橘とも別れ、帰途に着く。

「そう言えば、今日はルシファーが一度戻ってくるって言ってたな。何か買って帰ろうかな」

少し寄り道をして家に帰る。
未だ心の中はざわついていた。

2ヶ月前 No.83

スーパーゴジット @spirits7 ★iPad=Rrdr7MIuvw

第9話 秘密I

今日から7月、今日は3日の月曜日。
それと同時に七夕祭へ向けて本格的な準備が始まった。

しかし、ここで意見が真っ二つに割れてしまう。

ある女子生徒がメイド喫茶をやりたいと言い出したのだ。

どの学校にも、クラスのカーストは存在する。
竣は様々な戦いで不在だったので、どこに属するかは不明だが
他のクラスメイトはもう立派なカーストによって動いていた。
この学校は能力が強い人が頂点だ。

そしてこのクラスで竣を除き、一番強い能力を持つもの。
それは、高坂綾音。
一年生にして上級クラスの魔術を操る。
彼女の家は名の知れた事業者で、その娘らしい。
彼女が賛成派の筆頭である。

一方で反対派にも強い能力を持つものはいる。
高坂に次いで能力の強い、西蓮小毬。
彼女は茶道や花道の道で有名な家である。

今も教室で2つの勢力が睨み合いをしている。
生徒会長の指名で、実行委員は選ばれる。
朝倉はもちろん竣を指名した。
しかしこれもまた、クラスで波紋を呼んでいた。

「そろそろ諦めてくださる?西蓮さん」

「それは無理です、どうしてあの様な端ない格好をしなくてはいけないのですか?」

「あら?そうは言っても、ただ恥ずかしいだけではなくて?」

「ふふ、そんな事ありませんわ」

「あ、あの……2人とも落ち着いて…」

竣が間に入る。
すると今度は竣に火花が飛び移る。

「第一、どうして貴方が実行委員なのですか?」

「御尤もですわ。出席率の異常に低いこんな生徒をどうして朝倉会長は選んだのかしらね」

すると見ていた男子たちもチャチャを入れ始める。

「裏で会長と繋がってるんじゃないのかー?」

「会長って裏で色々やってそうだよなー」

「確かに!枕営業とかしてお金稼いでいたりして!」

ゲラゲラ笑っている女子生徒の前に向かう竣
その姿を視界に捉えると嘲笑うかのように付け加える。

「あれ?図星?あ!貴方がお金払ってるのね?あはははは!!」

「何円払ってんだ?」

「あー面白いわ!この噂広めようかしらぁ?」

彼、彼女らはカーストで言えば真ん中。
噂を流したり噂の的になったり、普通の学生のレベルだ。

「ふふふふ」

すると、ゲラゲラ笑っている彼女らに釣られたのか竣も突然笑い出す。

「あはは……って、何笑ってんのよ。気に入らないわね」

「もう噂流そうぜー会長もなーんか気にいらねーし」

「あはははははは」

まだ笑っている。
その様子を見ていた高坂と西蓮は取り巻きたちと共に部屋の隅に移動する。
何かを察知したようだ。

「うるせぇ!良い加減黙れ!」

1人がイラついたように竣に言う。

「あーあ、面白いね。こんな事が楽しいのか、笑わせてくれる」

「あ?」

「この学校は、能力が全てなんだろう?なら噂なんて関係ないさ」

「はっはっは!馬鹿かお前?能力って……お前にはそれがねーだろ!」

「…………言ってくれるね。挑戦状と受け取った、良いよ。俺の能力見せてあげる」





教室が見える位置の木に腰掛けている天使が1人。
ミカエルは竣の事が気になって今朝からずーーーっと観察していた。

「それにしても、ほんっと自分勝手な人たちばっかだなぁ…竣君大丈夫かな…?」

その不安は的中した。

1ヶ月前 No.84

スーパーゴジット @spirits7 ★iPad=Rrdr7MIuvw

秘密II

時刻は午後5時。少しずつ夕方の雰囲気が出てきた。

「悪いけど、手加減出来ないから」

そう言うと、竣はノーモーションで男子生徒の背後に回り込む

「!?い、いつの間にっ!くそっ!」

男子生徒もくるっと後ろを向き、攻撃を出す。
彼もまた魔術を使うようであった。

「き、効いてねぇのか!?」

「効いてるよ、ほんのちょびっとね」

男子生徒が目を見開く
気づいた時には自分の真横から回し蹴りが飛んでくるのが見えた。
そして一瞬。目の前は真っ暗になった。


それを見ていた高坂は何かを考え込んでいた。
対照的に西蓮はうっすらと笑みを浮かべていた。


クラスが静まり返る。
多くの生徒が竣の実力に気づいたようだ。
もう文句を言うものも、からかう者も居ない。

「今日の所はお開きにしよう。お疲れ様」

竣は最後にそう言うと、スタスタと教室を出て行った。



学校から出て暫く歩いていると木々に囲まれた公園が目に入った。

「少し休もうかな」

そう言って公園の中に入って行く。
そしてどんどん奥へ進み、少し階段を登りちょっとした広場に。
子供達が帰り支度をしている所だった。

子供達が帰ると竣は1人ベンチに腰かける。
周りには誰1人としていない。

「出てこいよ」

虚空に向かって話しかける。
すると後ろに生えていた木がガサガサと揺れ、
上から何者かが降りてきた。

「修行つけてくれるの?」

「ああ、約束したからな。ミカエルと」

それはあのトイレで再会を果たしたとき。

ミカエルは竣に修行してほしいと頼んだのだ。

理由は簡単

強くなりたい_____

いつの日かまた脅威になるかも知れないミカエルを修行している。
そんな事をラファエルやルシファーたちが聞いたら、
絶対に許してはくれない。下手をすればミカエルが殺されてしまう。

なぜ竣がこの提案を受けたかと言うと、
まずは自分にも修行する相手が欲しかった事。
そして、ミカエルが放っておけなかった事。

トイレで頼んできた時のミカエルの瞳が蘇る。
真剣な眼差し、迷いはなかった。それを竣は信じた。
ルシファー達が居る前では姿は現さない、それが条件。

「じゃあ、始めるよ」

「うん、ありがとう…竣君」

にこりと柔らかい笑みを浮かべる。
裏表のない屈託のない笑顔だった。

2人は完全に日が暮れるまで、修行に明け暮れた。

11日前 No.85

スーパーゴジット @spirits7 ★iPad=Rrdr7MIuvw

秘密III

7月4日 放課後

竣は悩んでいた。
どうやったら、高坂と西蓮の啀み合いを止める事ができるかと。

まずはコミュニケーションが必要だとガブリエルに言われた。
そして同じ趣味があれば話が出来るとラファエルから聞いた。

まだ準備はほとんど始まっていない。
メイド喫茶はともかく、喫茶系の店をやる前提で、店の外装などを作っている状態だ。

竣は部屋の片隅で準備しているクラスメイトを見つめている西蓮の元へ行く。

「何かようかしら?」

こないだの戦いを見てからか、
西蓮も竣の実力をある程度は認めたようで、
反抗する口ぶりはしなくなっていた。

「西蓮の家って、茶道とかで有名なんでしょ?」

「ええ」

「もし良かったら、俺にも茶道。教えてくれないかな?」

そう言うと、疑いの目を向けてきた。
当然である、いきなり茶道を教えて欲しいと言ってきたのだから。

「本当の目的はなんです?」

核心をついてきた。

「いや、茶道に興味があったのももちろんなんだけど、今お前と高坂が喧嘩してて、これじゃあクラスがまとまらない。でも何故そこまで意地張り合うのかが分からないんだ、だから少しでもお前の気持ちが立場が分かったらなって」

正直に話したせいなのか、
少し考えた後ふっと西蓮は笑い。

「貴方も苦労人ですわね」

いや、お前達のせいだよと思ったが言わないでおく。

「良いですよ、では今日教えて差し上げましょう」

「良かった、ありがとうな」

「ふふ、それではこの準備が終わったら正面玄関で待っていて。迎えの車が来るはずですわ」

「ああ!」

何とか約束を取り付けられてホッと胸をなで下ろす。
どうにも西蓮と話す時は緊張してしまう。


西蓮の方を見るとこちらを見てにこりと笑う。
いつ見ても上品な笑い方だ。

「高坂さんよりも、私を選んだのは嬉しいですわ……ふふ」


そして準備が終わり、
言われた通り正面玄関で待っていると目の前に黒い車が止まった。

すると前のドアから黒い服を着た人が降りてきて、
後ろのドアを開けてくれた。

「あ、ありがとうございます」

礼を言って車に乗り込む。
すると横には西蓮が座っていた。

「では、車を出して頂戴」


車の中では会話は無かった。
竣は妙に緊張していたのもあるが、
西蓮がずーっとこちらを見ていたから、恥ずかしくて話しかけられなかったのである。

そうしている間に、
豪邸のような家の前に着く。
ドアが開けられ、降り立ってみるとそこは旅館のような作りの大きな家であった。

縦に長いのではなく、横に長いのだ。
庭も広く、木々も剪定されていて綺麗だ。

石の上を歩いて家の戸の前へ進む、
すると西蓮が竣に待つようにと言った。

「少し待っていて下さいね」

すると戸を開け、
家の中へと姿を消した。

3日前 No.86
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