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ほんとの魔導士、

 ( 初心者のための小説投稿城 )
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優結@宿題が終わらない気がしてきた。 @nanamaru ★D79F4W9re2_Od7

※・とりあえず初心者です。続かないかもだし、読みにくい筈。

 ・なんかパクりな気がs……なんてことは言わないでください。

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜


 私は、晴れて学院に入学できた。

 これもあの何とか言うひとのおかげだね。

 とにかく、これから私はほんとの魔導士を目指す。

 私は、村を、世界を救うの。 ねえ、困ってる人が居たら魔法使えるんだから助けようよ。魔導士だけが生き残るなんておかしいもの。



 これから始まる、私の物語。



1年前 No.0
メモ2016/03/29 22:40 : 優結@金欠離脱方法捜索中☆43ke11mKtUk @nanamaru★D79F4W9re2_KjN

@登場人物


ユーリ・エイ [栄 悠李]

 主人公。魔導士になるため、セーラ帝国の首都テイルにある魔導士になるための学校、セーラ学院を目指す。

 元明帝国民で、明帝国の南西部、宝山地方に住む栄民族。その中でも栄家の長女で、ゆくゆくは村をまとめる役割につくかもしれない。

 現在はセーラに侵略され、ホーザ共和国という名ばかりの国になっている。

 栄民族特有の、銀色の短髪に空色の瞳。


ライラ・ホーリィ

 ユーリが魔導士になるきっかけとなった少女。

 セーラ帝国民だが、少数派のホーリィ族。

 ホーリィ族は水魔法を得意とし、もともと魔法が使えるため気味悪がられている。

 セーラ学院で実戦の道具にされている。

 ホーリィ族特有の黒いストレートロングを下の方で二つに結び、輪っかにするというヘアスタイル。黒い瞳。


セーナ・エイシ [栄仕 聖那]

 悠李の幼馴染、親友。

 ちょっと言葉遣いが乱暴。言いたいことはすぐ言っちゃうタイプ。

 栄民族で、代々栄家に仕える栄仕家の長女。


明 青海 [めい せいかい]

 明帝国の第三皇子。水魔法が使える。

 小さいころから側近の龍鳳の前では幼くなるが、一国の皇子として威圧感のある顔をかぶることもある。

 普段は和やかだが、キレたら手が付けられなくなる戦闘狂。キレる内容としては、ちゃんと筋が通ってるからタチが悪い。

 魔法も使うが、剣術も得意。青い髪に深い青色の瞳。

 

 

切替: メイン記事(10) サブ記事 (10) ページ: 1


 
 

優結@宿題が終わらない気がしてきた。 @nanamaru ★D79F4W9re2_Od7

1、


「清らかなる水よ、其れは天の恩恵なり、天より降らし給え」

 少女が呪文を唱えた途端に、乾ききった畑に雨が降り注いだ。

 「これで、大丈夫です」少女の杖を持つ手は震え、相当な体力を消費したということが解ったが、少女は決して笑顔を崩さなかった。

 「やっと食糧が手に入るぞ!」「魔導士様が、私たちを救ってくださった!」村人たちから次々に歓声があがる。


「わぁ……」
 でも、なにより盛り上がっていたのは一人の女の子だった。「私もあんな風に他人を助けられたらいいのに。」
「あなたも魔導士になってみたい?」
 雨を降らせた少女が、女の子のいた隅の方に歩いてきて、微笑んだ。
 長い黒髪を、二つに分けて、下の方で輪っかにしてある。変わった髪型。なにかの民族だろうか。
「私もお姉さんみたいになりたいです! それで、人が困っていたら助けたい。」
 少女は途端にぱあっと笑顔になった。本当に、花が咲いたように。
「そっか! 私の住んでる国は、えっと、セーラ帝国っていうとこなんだけどね、今、とっても魔導士の育成が進んでるの。なんでかわかんないけど、皇帝が指示したみたい。
 首都のテイルには、セーラ学院って言って、魔導士の学校まであるんだよ。あなたも、勉強すればきっと入れる。」
 (セーラ帝国。
 私が今住んでいるのは、セーラ帝国の実質植民地である共和国。本当に貧しい。でも、帝国は魔導士を育ててたんだね。きっと私たちを助ける為だ。)
「お姉さんも、その、学院に入ってるんですか?」
 少女は、少し迷ってから小さな声で言った。
「え、私? 私は、もともと魔法の使える家系なんだ。だから学院で、実戦の先生をしてるの。
 生徒たちと戦うんだよ。みんな強くてびっくりしちゃう。」
 もともと魔法を使える人と、訓練すればできる人がいるのか……。
「魔力が強いと魔法がもともと使える。逆に少なすぎると魔法の威力が小さかったり。一つの魔法で命にかかわったりするの。」
 女の子は、魔法のことを全く知らなかった。でも。
「私、きっと学院にいきます!」
 少女はやっぱり嬉しそうだった。
「是非。これ、あげるね。」
 少女は女の子に小さな箱を差し出した。
「結構使えると思うよ。じゃあ、私は国に帰るね。じゃあ!」
 少女は絨毯に乗って、北へ進んでいく。


「魔導士になろう……」まだ10歳の女の子は、そう誓ったのだった。

1年前 No.1

優結@宿題が終わらない気がしてきた。 @nanamaru ★D79F4W9re2_Od7

2、

「え、ユーリはセーラ学院に行こうとしてるの?」
「う、うん……。」

 ユーリが魔導士になろうと決めてから、早2年。
 まだ、何も行動は起こしてない。一応、魔法についてこの村の中でできる範囲で調べてはいるが、この村はあまりにも魔法への関心が薄かった。勿論、魔導士への感謝の気持ちはあるだろうけれど、所詮他人事なのである。

「そうかぁ。魔法使えたら、セーラ帝国なんかから逃げ出して、明の国民に戻れるのかなぁ」セーナが呟いた。
 ユーリは思わず声を上げた。
「それ言っちゃだめだって、セーナ! ただでさえ明語を勝手に使ってるのに、そんなこと言ってたら殺されちゃうよ!?」
「だって、さぁ?」
 セーナは短い銀髪の先をくるくるといじりながらぶーぶーと不満げな声を漏らした。
「私たちは宝山の誇り高き栄民族だっつーの! なんでホーザ共和国なんていうだっさい国名にされてセーラに支配されてんのよ!!」
 誇り高き民族なら、そんな言葉づかい、改めようね。ユーリは苦笑する。
「で、この銀髪でセーラに行こうもんならすぐ捕まって売られるしー。いいことないじゃん、明の方がいいよぉ!!」セーナは頭を抱えた。
「んー……。まぁ、私はセーラ語がちんぷんかんぷんなのが困るなぁ。」ユーリが眉をひそめる。
「大体、ユーリ・エイとかセーナ・エイシとか信じらんない。栄悠李と栄仕聖那だよ! なんで名前まで変えなくちゃなの!」
 それが、植民地って事じゃないかな。本当に、共和国なんてあったもんじゃないよ。

「でも、私は応援するよ、ユーリ。魔導士になって他人を助けるんでしょ? エイシ家としては、応援するしかないわ。」
 そんなそっけない言い方の中にも、セーナなりのやさしさがあることを、ユーリは誰よりも知っていた。


「そうしたらきっと、宝山を復活させる。」


「おお、さすがエイ家長女。たっのもしい〜。」
 ユーリとセーナは、久しぶりに笑いあった。

 (お姉さんには勉強すれば入れるって言われたけど……お姉さん、私が栄民族ってこと知ってたのかな……。
 あのころはまだ知らなかったけど、セーラに入っただけで栄民族は奴隷になっちゃうのに……。
 どうしよう。入れるのかな、セーラ学院。)

1年前 No.2

削除済み @nanamaru ★D79F4W9re2_t4t

【記事主より削除】 ( 2016/02/23 22:50 )

1年前 No.3

優結@なんでかいちご大福超食べたい @nanamaru ★D79F4W9re2_t4t

3、

「はぁ……。」
 ユーリは溜め息をこぼし、パタンと魔法書を閉じた。
 窓から、北へ飛んでいく小鳥が見える。
「いいなぁ、鳥は自由に空を飛べるし、国境も関係ないし。」
 椅子を引いて、立ち上がった。
(もっともっと勉強しないと、セーラ学院には入れないんだよね。
 ていうか、あれ? 私一応栄家の人間だけど、他国に行って大丈夫なのかな。
 ……これだけ勉強しといてなんか今更だけど。
 でもこれで反対されたら今までの努力が無駄になっちゃうなぁ。でも私、反対されても諦められないよ、多分。)
 セーナは栄仕家にも関わらず、応援してくれたが……。
「お父様に聞かないと……。」


 ユーリの父は宝山の長……今は共和国の一応の代表者である。ユーリは生まれた時からほとんど会ってない。
いつも部屋に籠って本を読んでいる、厳しそうな人だ。
「セーラ学院? 魔法の勉強をしたい?」
 ユーリの父は眉をひそめた。
「その、魔法は、お前の役にたつか?」
 ユーリは、いいえと首を振る。「多分、直接自分の役にたつことはないかと。他人を助けることならできる筈ですが。」
「お前は、栄家の跡取りなんだ。それを忘れるな。ユーナはまだ五歳だぞ?」
「ユーナはお父様に似て賢いから、大丈夫です。それに、いくら五歳でも栄家の血が流れた長男なんですから、きっと大丈夫。」
 ユーリはこういう物言いは嫌いだった。血筋で決めつけるような、そんな言い方は。
 自分自身も、やれ栄家の長女だと期待されては、諦められてきたから。
 ユーリはしっかりと父の目を見て話す。
「栄仕家はどう言っている? 私が承諾しても、長年栄家に仕える栄仕が反対したら……」
「はい。栄仕 聖那に承諾を頂いております。あとはお父様のご判断だけなのです」
 ユーリの父は、うーんと唸った。
「私もセーラに侵攻された故に学費等は出せないかも知れない。いいのか?」
 ユーリは、頷いた。今までで一番力を込めて。
「セーラ学院は、勿論セーラにあるのだろう? その銀髪で、生きて帰ってこられるか?」
 うっと言葉に詰まる。
「……生きて帰ってきます。私は、この宝山の民すべてを救える力をもって帰ってきます」
 父はじっとユーリの瞳を見つめた。栄民族の中でも一番栄の血が濃い栄家。その大黒柱の瞳は、透き通るように青かった。
「……許可する。」
 ユーリは何度か瞬きをした。
 本当に? 夢ではないのか?
「準備が整ったら、言え。ここから国境くらいまでなら、送ってやれる」
 ユーリはあふれそうになる涙をこらえ、「ありがとうございます」と頭を下げた。

1年前 No.4

優結@なんでかいちご大福超食べたい @nanamaru ★D79F4W9re2_t4t

4、

 それからは早かった。
 準備が整うと、ユーリの父は直ぐに馬車を用意したのである。
 もう行くのかと驚くセーナを説得すると、直ぐに出発だった。

 今ユーリは、既にホーザとセーラの国境に居た。
「ありがとうございました。私は必ず、戻ってきますので」
「……お前が民を救える力を持って帰ってくるのを、待っている」

 父は、なんの名残惜しさも示さず、さっさと帰ってしまった。

 しかしユーリは、去っていく馬車に向かってずっと頭を下げていた。


「あんた、馬車に乗るんじゃないのかい?テイル行きの馬車は、もうすぐ出ちまうよ」
 しかめっ面をした年配の女性が、ユーリに声をかける。
 今のユーリは頭巾をかぶっており、絶対に銀髪が見えないようにしてある。見えようものなら、すぐに捕らえられるだろうからだ。
 だから、このようにセーラ国民とも普通に話せる、筈だった。
「あ、はい。そうですね、すぐ乗りま、」
 ここでユーリは言葉を切った。女性が、あからさまに驚いた顔をしたからだ。
「あ、あの……?」
「あんた、ホーザの栄民族だろ? セーラ語が訛ってる。それになんだい、その目。そんな青い目、この辺では栄以外ないよ。
 ミーティアもいるけど、ミーティアはそんなに訛ってない。ミーティアは、正式なセーラ国民なんだから。外人は、帰んな。元明国民乗せるような余裕はうちにはないんだ」
(ッ……! 酷ッ!)
「乗せてください! 私はユーリ・エイです、でも、いいでしょう?
 ちゃんと乗れるだけのお金は持ってるんです。なんで乗せてくれないんですか?」
 ユーリは思わず大声を張り上げた。周りにざわざわと人が集まってくる。
「こいつはエイだ! なのに馬車に乗ろうとしてる! おかしいだろ、こいつを誰かどけてくれ!」
 女性が叫んだ。

 ……おかしいのは、そっちじゃないの……?

 ユーリの呟きは、誰にも届かなかった。

「おばさん、こいつをどければいいんだな?」
 男がユーリに近づいてくる。
 あっという間に、ユーリは蹴り飛ばされた。
「……ッ!」
 先には、岩がある。もうダメだろう。
 約束した、のに。生きて帰ってくるって。民を救えるだけの力を持って。なに、これ。なんにもできてないじゃん。


 岩にぶつかった!
 と思ったのに、何故か痛くない。むしろ、誰かに抱えられているような……

「大丈夫ですか?」

1年前 No.5

優結@足しばらくは使い物にならないデス @nanamaru ★D79F4W9re2_t4t

5、

「う……? うわああぁぁあ゛あ゛!?」
「えっと……ちょっと待ってください僕そんな驚くような顔してますか」

 ユーリを抱えていたのは、肩につくくらいの長さの青い髪を後ろで一つにまとめた背の高い男の人。
 変わった髪の色、ユーリは思う。人のことは言えないけど……。

「だってえぇと……急に人が現れたらびっくり……するので……」
「いやでもあの驚き方は尋常じゃなかったです……落ち込みますよ僕」
 男の人は冗談っぽく言って笑うと、女性に向き直った。
「これ、差別ですよね」
 男の人の透き通った真っ青な瞳が、女性をじっと見る。なにもかも見透かされそうな色だ。女性は強張った頬をぴくぴくと震わせながら「ち、違うよ……」と言い張った。
「言い訳ですか? 僕、全部見てますから。
 元明国民の栄族がこんな扱いをされているなんて……。もうすぐ戦争かもしれませんね」
 男の人はにこりと怖い顔で笑った。「まぁこの件は国に持ち帰っておきます」
 ……青い瞳。さっき女性の言った、ミーティア族だろうか。けれどこの男の人の言い分は、明国民側のように思う。ミーティア族はセーラ国民だと言っていたけれど。

 そう言ったとき、彼が乗っていたであろう馬車から明の官服を着た従者が三人、こちらにやってきた。その中の一人が、低く小声で言う。絶大な聴力を有する栄のユーリには聞こえていたが。
「皇子、そろそろ行きますよ。これ以上セーラに宣戦布告するような真似をされたら……。
 あなた絶対魔法使いますよね、あのままほっといたら。」
 ……魔法? この人は、魔導士なのだろうか。それに、皇子って……。
「解ってます解ってます。まずは交渉ですよね。もう、解ってますよ……」
 さっきまで殺気を放っていた男の人は急に幼くなり、ぶーぶー言いながら従者に連れていかれた。
 しかし、振り返ってユーリに声をかける。
「そうだ、あなた。これからテイルに行くんですよね。こんなのじゃこれからも大変でしょう? よければ一緒に、どうですか?」
「え……?」
 ユーリはあまりの出来事に首を傾げることしかできない。
「すみません、ちょっと展開が急で……」
「だから、僕らと一緒にテイルまで行きませんか、ってこと。いいでしょ、龍鳳?」
 龍鳳、と呼ばれた一番男の人と年が近そうな従者が首を傾げる。「まぁ、皇子が言うのならいいですけど……」
「い、いいんですか!?」
「いいって言ったじゃないですか。僕ら明の者なんで、安心してください」
 やっぱり、ミーティア族ではないらしい。
「お、お願いします!」
 ユーリは深く頭を下げたのだった。

1年前 No.6

優結@ガチ系の金欠族 @nanamaru☆43ke11mKtUk ★D79F4W9re2_KjN

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1年前 No.7

優結@金欠離脱方法捜索中 @nanamaru☆43ke11mKtUk ★D79F4W9re2_KjN

7、

「僕は、」
 ふいにユーリの横に跪いていた青海が話し始める。ユーリは青海を見上げた。
「第3皇子だって言いましたよね。」
「……? はい」
 何を言われているのか、よくわからなかった。
 大きな大きな明帝国の第3皇子。ユーリにはどれだけ願っても会うことすら普通は叶わない身分。
「第3皇子って、本国じゃただの飾りなんですよ」
「え……?」
 ユーリは、思わず目を見開いた。
 龍鳳が、ぶすっとした顔をしている。きっと、本当のことなのだ。自分の主に誇りを持っているから、許せないんだろう。ただの血縁や生まれた順番で、才能に関係なく全てが決まってしまうことが。
「第1皇子の、明 銀闇。そして第2皇子で、僕の実兄の明 紅炎。次の皇帝は、2人が死なない限り僕に回ってくることはないんです。
 権力争いからも外されているんですよ、僕は。まあ、別に皇帝になりたいわけじゃありませんが……――――ただ。」
 青海は眉を顰めた。ユーリも、慣れない皇族の話だが、理解できるところはできるようにと懸命に耳を傾ける。
「たかが次皇帝の座の話で、内乱が起こるなんてあり得ない。それくらいなら、いっそ共和制にした方がずっといいんですよ」
「え……?明って今、内乱起ころうとしてるんですか?」
 ユーリの想像する明は、決して異民族を差別しない国。優しい国だ。
 一応侵略侵略侵略、で領土を広げる帝国ではあるが、植民地は元の生活を尊重してくれたし、20歳以上の男子が兵に駆り出されるところ以外は全く元の生活と変わらなかった。
 だからユーリ達は、セーラに不満を抱いていたのである。
「起ころうとしてますよ。前皇帝の父上が死んで、一気に太子とかの身分も変わりましたから。僕も第2皇子だったし……。完全に次の皇帝は紅兄様で決まりだったんです。
 けど、今の皇帝は父上の従弟。銀闇の父親です。だから、第1皇子は銀闇になりましたし。年もひと月しか違わない2人なので、争いになるのは当たり前といえば当たり前です。
 第4皇子だけは現皇帝の実子ではありますが低年齢故身分は変わりませんでしたけど。」
 ……皇族は、いろいろと難しいのだろう。身分争いは気にしたこともなく、全て弟に譲ってきたユーリにはよくわからなかった。
「けど、内乱って……? その、銀闇さん派と紅炎さん派で分かれて、ってこと……ですか?」
「簡単に言えば、そうですね」
 父親同士が従兄弟だと、青海は言った。つまり、銀闇と第4皇子、紅炎と青海は再従兄弟なのだ。
 遠いとはいえ、血がつながったもの同士。辛くはないのだろうか……?
 そんなユーリの心を読んだかのように、今まで黙っていた龍鳳が口を開いた。
「銀闇様には、カリスマ性がある。多分宮中の半分以上が銀闇様を皇帝に、と望んでおられるでしょう。
 対する紅炎様は、どこか幼いところがある。兵の数では圧倒的に不利でしょうね。
 再従兄弟を殺すのです。どちらかが殺さなければ、内乱は終わらないから。辛くない訳がないでしょうが――――銀闇様は冷徹な方です。そんなことはなんとも思わない。
 そして、そういう大事なものを捨てられる人ではないと、皇帝にはなれない」
「……」
「まあ、僕は翠光ちゃんや妹達ととゆっくりしてますよ〜」
 沈黙を破り、青海が言った。
「権力争いを見るのはつまらないです。翠光と剣術を磨く方がずっと楽しい」
「えっと、翠光さん、とは?」
「僕の弟ですよ。いや、銀闇の弟ですか。第4皇子です。あなたと同じくらいの年の……」

11ヶ月前 No.8

優結 @nanamaru☆43ke11mKtUk ★tnZeeYntJM_w96

8、

「第4皇子」。
 今の話からするに、それは明家の末っ子ということで間違いないだろう。
 だとすると、目の前に座る、明の第3皇子である彼は、
権力争いから外された末っ子や妹達と日常を過ごしているということになる。
 彼は争いごとは嫌いだと言ったが、今明家の中心になっているであろう銀闇という男と、
自分の実兄である紅炎の争いから、彼は余りにも離れたところに座っているようだ。
 いくらなんでも──ユーリは思う。

 確かに自分は青海と同じように争いごとが苦手な面があった。
 血筋での決めつけ、遠くても血がつながったもの同士の殺し合い。
 何の意味があるのだろう、幼いころからそう思ってきた。
 もっともそれは昔話、おとぎ話のように聞いていた話だ。
 明の権力争いは今初めて知ったし、栄民族にはそういうものがない。確か、ユーリの曾祖母の時代にそんなことがあったように聞かされたはいたが。

 しかし、ユーリもまた栄家の長女であり、先ほどまでは跡継ぎだったのだ。
 やはりそういうところに感じる責任感というものは他人の比ではない。
「それは無責任すぎるんじゃないんですか」、そう言いたいのをぐっと堪えて呑み込み、代わりにこんな話題で声帯を震わせる。

「私と同い年、ですか……。」
 とは言っても、ユーリは理解して居た。多分自分は実年齢より高く見られていることだろう、と。
 狩猟民族である栄族は狩猟に適した身体に進化を遂げ、そしてその結果身体の発達が早くなり、
別の民族からは実年齢より5歳ほど年長に見られてしまう。
 大人になれば5歳くらいの差はなんてことはないだろうが、ユーリにしてみればまだ12歳なのに
大抵のことはもう自分で出来る17歳くらいに見られることとなり、それは大変な迷惑なのだった。
 無論、身体は他の民族の17歳と同等であり、17歳に出来る労働は出来る。
ただ、内面はまだまだ12歳であり、頭を使った労働は出来ない。
これが栄族が奴隷として駆り出される原因の1つではあるだろう。
なにせ、子供でも十分な労働はできるし、大人に至ってはセーラ人の比ではないくらい力が出せるのだから。

「ええ。あなた、12歳くらいでしょう?」
「えっ」
生まれて初めてだ。
違う民族に年齢を当てられたのは……。
「そんなに驚かないで下さい、僕だって一応明の皇子ですよ?
 勿論、宝山地方に行ったことだって何度もあります、そこで出会った子達から推測するに、です。
 合ってたでしょう?」
 自慢げに、子供のように。無邪気に笑う彼は確かに皇子だった。

2ヶ月前 No.9

優結 @nanamaru☆43ke11mKtUk ★yavDqd8Qb0_w96

9、

「僕は意味のない争い事は嫌いです」
 明帝国の第3皇子はそうユーリに念を押すように伝える。
「けれど、皇子の義務を放棄するとは言ってないし、
 争い事に明や世界を良くするという意味があるのならば全力で後を押す。」
 全てを見透かすような、深く深く碧い瞳。その双眸にじっと見据えられ、思わず動きを止めてしまう。――そんな目だった。
「……そう、ですね」
 無責任なんじゃない、この人は。
 ただただ、世界を良くしたいと動いているだけなのだ。
 そのためには、意味のない争いはいらない。
 けれど権力的に止めることも出来ずにこうして、いつか闘えるように剣術の稽古を弟としている。
 事実かどうかは定かではないが、ユーリはそう解釈することにした。
 事実じゃなくても構わない。それに、青海の言動を目の当たりにしたユーリにはそうとしかとれなかった。まだ出会ってから数時間しか経っていないというのに。

「ああ、それで、翠光の話ですよね?」
 声のトーンがもとに戻り、強い目の光はそのままに目つきは緩やかになる。
「あっ、そうです、話がそれましたね……。そうです、私と同い年位の、その……翠光様という方の話です」
 あははっ、青海が声を上げて笑う。くすくす、ふふっ。女の子の様に上品な笑い方に、思わず尊敬の念を抱く。自分もこんな風に笑えるか分からない。
「翠光様……翠光様、ねぇ……。じゃあ、貴方は僕のことを“青海様”と呼ぶんですか?」
 頬を緩めたまま、彼は聞く。きりっとした目尻が下がり、大分幼い印象になった。
「……え、だって、明の皇子様ですよ、様は付けるでしょう?」
 心底不思議だという様子でユーリは逆に質問した。
 この人が皇子ではなかったとしても、私よりは年上に見える。少なくとも“さん”は付けるだろう。
 そんな私の心を読んだかのように、やはり彼は碧い瞳を煌めかせながら「青海さんで良いんですよ、悠李」と言いながら、くふっ、と特徴的な笑い方をする。
 そしてまた、その発音で呼ばれる明語の自分の名前に懐かしさを憶え、気づけば反射的に「はい」と応えていた。

「ああそう、翠光の話ですよ」
 話が逸れますねぇ、彼は困ったような調子で、それでも全く困ってい無さそうな、寧ろ無駄と言ってもいい栄民族とのお喋りを楽しんでいるようでもあった。
 そして、その自慢の弟、「翠光」について、表情を今まで以上に豊かにしながら語りだす。

2ヶ月前 No.10
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