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恋と地獄の学園生活

 ( 初心者のための小説投稿城 )
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あすわど @ashufia336☆mykg9AZKZ6kq ★sGhw2c90Mc_QrL

http://mb2.jp/_sst/15994.html

↑前回の話の続きを書いていきます

何とか書いていきますので応援よろしくお願いします(^ω^)

尚、登場キャラとかについては追々説明つきのもと、書かせてもらいます

2年前 No.0
メモ2015/05/11 12:49 : あすわど☆mykg9AZKZ6kq @ashufia336★Android-sGhw2c90Mc

登場人物のまとめ

http://sns.mb2.jp/ashufia336/d-10


登場人物のエピソード的な何か

http://sns.mb2.jp/ashufia336/d-11

切替: メイン記事(39) サブ記事 (1) ページ: 1

 
 

あすわど @ashufia336☆mykg9AZKZ6kq ★Android=sGhw2c90Mc

桔梗は金澤を、早百合は姫川を、美知子は神崎を相手にしていた。

「へっ!所詮はこんなもんなんだな!」

金澤は桔梗相手に善戦を繰り広げており、桔梗は防御に徹することしか出来ていなかった。

「少しはやるもんだと思ったけど、こんなもんじゃ相手にならないわね!」

姫川も金澤と同じように早百合を追い込んでいた。

「さあ、本気の力を見せてみろやぁ…!」

神崎の殺気溢れるその言葉を開始の合図と判断した美知子は、神崎に向かって攻撃を開始した。

ーーーーーーだが、

「こんなんじゃ相手にもなりゃしねえ…」

桔梗も早百合も既にボロボロ、美知子に至っては左腕の骨が折れてしまっていた。

「所詮、雨知葉一家なんて、雑魚の集まりだな!!」

神崎がそう叫んで笑った瞬間、3人から異常なまでの殺気が溢れているのを感じた。

「…嘘だろ」 「待ってよ…」

金澤と姫川はあまりにも強すぎる殺気を目の前に立ちすくんでしまった。

「まだやれるのか、とことん潰してやろうじゃねえか!!」

神崎がそう叫び、3人に向かおうとした瞬間、神崎の首に鋭く、重い一撃が走った。

「な…なん……だ……と……」

そのまま神崎は倒れ、それを見た金澤と姫川は神埼を抱え、その場から逃げていった。

「やれやれ……あんまりにもおっせえから来てみれば、こんなことしてたんだな〜」

呆れた声を出すのは長男、竜馬であった。

美知子達は呆然としてしまっていた。はっと我に帰ると、鞄を手に持ち、竜馬の元に向かった。

「……っつう〜。腕の骨やられちゃったかもお〜…」

美知子は普段通りの美知子に戻っていた。帰りに病院により、桔梗、早百合、竜馬に迷惑をかけたことの反省を持して謝罪を何度も繰り返し行った。

2年前 No.1

あすわど @ashufia336☆mykg9AZKZ6kq ★Android=sGhw2c90Mc

次の日、美知子は左腕に包帯を巻いて登校した。

それを見たクラスメートは

「どうしたの!?」とか「また誰かにやられたの!?」等と驚かれたが、美知子は大丈夫、何でもないから!と答えた。

HRが始まり、芝野は意気揚々と挨拶した。

「もうじき文化祭が始まる。君たちは初めてだから少し説明しておこう。」

芝野が言うにはこの学校の文化祭、初日から一般公開を行うと言うものらしい。

1、2年生はゲーム系とかしかやらさせず、3年生は屋台系をするとのことだ。

また、ここで稼いだお金は全部来年度の教育費などにあてるというもの。

要は来客者たちにいっぱい楽しんでいってもらうと同時に、この学校の良いところを見ていってもらうのがこのイベントの概要みたいなものらしい。

今回はそれにあたり、文化祭実行委員会というものを決めなくてはならないということだと芝野は言っている。

「誰かこの実行委員をやってくれないか? 急ぎで申し訳ないが、頼む!」

まわりはざわざわしており、委員会そっちのけで何をするかということしか話をしていなかった

ーーーーが

「先生、私が委員をやらさせていただきますわ。」

そういって立ち上がったのは転校してきた天条院麗奈だった。

「おお!助かる!」

芝野は喜んでいた。

しかし、美知子はとても嫌な予感しか感じなかった。それは海東や蒼菜、健二、竜也も同じであった。

2年前 No.2

あすわど @ashufia336☆mykg9AZKZ6kq ★Android=sGhw2c90Mc

【天条院麗奈】

天条院麗奈の協力により、文化祭実行委員は彼女が引き受けることとなった。

そのための資料を受け取った彼女は席に座り、ペラペラ〜っと資料に目を通していた。

(あの人に任せていいのかなぁ〜…、凄い嫌な予感しかしないんだけど…)

美知子はそう思いながら本を読んでいた。

1週間後、文化祭実行委員からの話があると朝のHRで聞き、今日の5時限目の学活の時間で話をすると芝野から聞いた。

やはり、嫌な予感しか感じなかった。

そして、5時限目。

「じゃあ朝のHRで話した通り、文化祭実行委員の天条院から話がある。良く聞くようにな!」

芝野は後ろに下がり、天条院が前に出てきた。 美知子、蒼菜、健二、竜也、海東は冷や汗を流して唾を飲んだ。

「皆さん、ごきげんよう!文化祭実行委員の天条院麗奈です。今日はこの大切な時間を使わせていただき、皆さんにお伝えしたいことがあります。」

とても丁寧な言葉だ、しかし、美知子たちからしたらかなりの重圧感を感じさせる言葉だ。

「今回の文化祭、私達がやりたいものを決めるということ、また、それにおける責任者を決めて委員会にいかなくてはなりません…なので皆さん、この文化祭でやりたいものを決めて下さいますか?」

要約すると、自分達が文化祭で何を出すのか、またその出し物における責任者を決めなくてはならないということだ。

天条院はあくまでも実行委員という立場上の関係で責任者になれないがため、代わりを指名してほしいとのことである。

「やりたいものって言われても、具体的な例がないとわかんないよー」

1人の女子がそう言うと、他の男子や女子も言い出した。

それに天条院は、

「具体的な例…例えばゲームとかでしょうか。小さなお子様も大人の方も楽しめる、そういうのですわ。」

そう言うと周りは納得したかのように考え始めた。

さらに

「席をたって友達と話し合っても構いませんわよ。私達の出し物は皆さんで決めなくてはいけませんから。」

それに応じたかのように席を立つ生徒が現れ、真剣に話し合い始めた。

美知子、蒼菜、健二、竜也、海東も一塊になった。

「本当にあいつに任せて平気か? なーんか企んでそうだよあいつ。」

竜也は小声で言う。

「それは同意できる。」

健二、海東も頷く。

「でももう遅いよ。あの子に決まった以上、それに従うしかないよ」

美知子はそう言うと蒼菜も頷いた。

不満が募っていくなか、出し物はどうやら的当てに決まったようだ。

「では、私以外の責任者を1人決めてください。」

教室はその一言で静まり返った。 このままでは決まりそうもない。

「なら私が決めても宜しいのかしら?」

全員黙って頷いた。

「そうね……」

天条院は黙々と顔を見ながら誰にするか決めていた。

黙々と……黙々と……

一通り見終わったあと、天条院のくちから

「では、雨知葉さんにお願いしようかしら♪」

と言ったのだった。

2年前 No.3

あすわど @ashufia336☆mykg9AZKZ6kq ★Android=sGhw2c90Mc

え……?え…………?
えええええええええええええええええええ?!

「お願い出来ますか?」

天条院はニコッとしながら美知子に微笑みながら言った。

「ちょ…待てよ!いくらなんでも怪我人に責任者やらせんのかよ!」

健二が天条院に向かって怒号を上げた。

「あら?皆さんは私が決めても良いということ承諾してくれましたわ。何か不都合でもありますか?」

悪びれていない顔で天条院は健二に言い放つ。

「てんめぇ!もうゆるさ」

「良いわ。あたしやってあげる」

健二の怒号を遮るように美知子はそう言った。

「お、おい!良いのかよ?!」

「良いんだよ。この状態じゃ皆の手伝いもろくに出来ないでしょ?見てるだけならあたしでも出来るし、そういうことでしょ?天条院さん」

美知子は天条院を睨むように見る。天条院はニッコリ笑って

「はい、もちろんですわ♪では雨知葉さん、よろしくお願いしますわ♪」

結果的に美知子が責任者を受け持つことになってしまった。嫌な予感は恐らくこういうことだったのかと諦めたのか、5人は深いため息をついた。

「案外早く決まりましたわ。では先生、あとはお任せします。」

そう言うと天条院は席に座る。座ったあとに美知子を見てニッコリと笑っていた。 美知子はゾッと寒気がしたように感じた。

「じゃああとは自習にする。各自きちんとやるように!」

と言い残して芝野は教室から出ていった。

「美知子、本当に良いの?何か利用されてる気がするんだけど……」

蒼菜と夏が心配そうに寄ってきた。てか夏、何でお前も来るんだ。

「ううん、大丈夫。この怪我じゃお手伝い出来ないし、あたしとしては好都合かなって」

美知子はニコッと笑いながら二人にそう言った。

いや本当は嫌なんだけどさ。

「雨知葉さん♪」

天条院がこちらに向かってきた。 ゾッと寒気を感じた。

「放課後、お話あるから待ってて下さるかしら?」

ニコニコしながら美知子に問いかける。
なんて無駄にきれいな笑顔なんだろうと美知子は思いながら

「わかった。待ってるから」

と言った。 天条院はニコニコしながら席に座った。

「てか無駄に笑顔だな、あの女」

健二が呆れた顔をしながら言った。同様に竜也、海東も同じように顔をしているのがわかった。

「放課後、あたしと天条院さんで話し合いするんだけどさ、どうしたら良い? 何かすっごい嫌なんだけど」

「なら俺らは美知子とあいつと話し合い始めたら教室前の廊下で見ててやる。で、危なくなったら助けに入ってやる。それでいいか?」

美知子は嬉しそうな顔で頷いた。

そして放課後、天条院と美知子が二人きりになった。

廊下では健二達4人が待機している。

「雨知葉さん♪」

きたか……美知子は警戒心を抱きながら

「何かな?」と返した。

天条院はニッコリ笑って

「雨知葉さんって、このクラスのムードメーカーだって聞いたけど本当なのかしら♪?」

何をしようとしているのか……
美知子は戸惑いつつも警戒を怠らず

「そうらしいけど、それがどうかしたの?」

と言い返した。

「やっぱり♪私の予想通り♪」

ニコニコしながら美知子との距離を一気に縮めた。

それに驚いた美知子は

「な、何よいきなり?!」

天条院はニッコリ笑って

「雨知葉さん♪ 私、雨知葉さんのことがだあいすきなんです♪」

は……?え……?

大好き……?

「待って天条院さん。それはなに、友達として?」

天条院は困った顔して

「違いますわよ〜……」

あれ?まさか……

「まさかだけど、恋愛対象……?」

美知子は恐る恐る聞く、すると天条院はぱぁーっと笑顔になり

「せいかーーい♪」

と答えた。

2年前 No.4

あすわど @ashufia336☆mykg9AZKZ6kq ★Android=sGhw2c90Mc

「え…ちょっと待って。あたし女だけど。男じゃないんだけど」

美知子はかなり同様していた。まさか天条院が……

「なあに〜♪ 雨 知 葉さん♪」

と天条院は何やら興奮状態に陥ったのか、ジリジリと美知子に詰め寄ってくる。

ヤバい。 この子はもう確実にアウトゾーンに踏み込んでる。てか息荒いなこの子。

「ヤバいヤバい!ちょっと何とかして!気絶でも良いから!」

美知子は小さな声で自身の<裏の姿>に問いかける。

(いや、さすがに私でもこいつは相手にしたくないわ…)

<裏の姿>の美知子ですらかなりドン引きである。

「ちょっと良いから!あの子を気絶させてよ!」

(分かったよ、気絶させりゃあいいんだろ気絶させりゃあ)

「何をボソボソ言ってるの〜♪? 私もい れ て?♪」

早くしてくれ…早く変わって!

「よし…とっとと気絶させてやるか…」

小声でそう呟き、天条院の首に鋭く重い一撃を浴びせた。

が……

「なにするのー、その程度じゃ私は倒れませんわ♪」

…………なんだこいつ、すっげえタフなんだけど。

「私の愛を受け取ってくださーーい♪」

と天条院は飛び付き、美知子は押し倒された。

マズイ……この状況はすっげえマズイ。

「さあ、私と雨知葉さんの愛を確かめあいましょう……♪」

ーーーーこのままではマズイ。

美知子は天条院の首を掴み、一気に後ろへ突き飛ばした。

その時、天条院は机に頭をぶつけてそのままぐったり倒れた。

「気絶…したかな…?」

ツンツンとつついてみるが天条院は反応しない。どうやら机にぶつかった衝撃で気絶したようだ。

「危なかったああああああ〜…」

美知子は深い息をついて座り込んだ。

「美知子! 大丈夫か?!」

教室の扉を開けながら海東は叫びながら入ってきた。どうやら別の先生に捕まってしまい、途中からいなかったらしい。

「まあ、何とかね…」

ふと目をやると天条院が気絶してるのを見た。よほどヤバい状況だったのを悟らせるように…

その後美知子たちは天条院を保健室まで運び、そそくさと学校を後にした。

ーーーーーーパチッ

天条院は体を起こし、自分が何をしていたのかを思い出していた。

(あの時雨知葉さんと私の愛を確かめ合うために横になったまでは覚えている…でもそのあとは……?)

何も思い出せず、結局天条院は諦めてとぼとぼと家に帰っていった。

次の日。

美知子が教室に入るとそこに天条院はいた。 また嫌な予感がしてきた…

(この状況は流石にマズイだろ、一旦この場から離れた方が良さそうだな)

<裏の姿>の美知子にそそのかされ、美知子は教室から出ようとした。

「待って下さるかしら?」

ヤバい……

「雨知葉さん、昨日私、何で気絶していたのかしら?」

あ……てか何で知ってるんだろう……

「い、いやーさすがにあたしも覚えてないわあー。あはははは〜」

苦し紛れの言い訳だ

(バカが……苦し紛れの言い訳で通じるかっつーの……)

<裏の姿>の美知子は呆れた声でため息をついた。
いやわかってるよ、逃げられないよこれ、うん

「そう…でも私は諦めませんわ!」

あ、うん…てか諦めないんだ……

その後は何もせず、穏やかに過ごせたのでまあ良かったと思う……うん。

ーーーというのもつかの間、ついに来週から文化祭に向けての準備が始まろうとしていた。

2年前 No.5

削除済み @ashufia336 ★Android=sGhw2c90Mc

【記事主より削除】 ( 2015/05/06 23:05 )

2年前 No.6

あすわど @ashufia336☆mykg9AZKZ6kq ★Android=sGhw2c90Mc

>>6 の投稿にミスがあり、削除しました。 >>8 は訂正バージョンです。


申し訳ありません。

2年前 No.7

あすわど @ashufia336☆mykg9AZKZ6kq ★Android=sGhw2c90Mc

【始まる文化祭】

ついにこの時がきてしまった……。願わくは何も起きずに通りすぎてほしくてしょうがない。

美知子は平常心を保つのに精一杯であった。 天条院とのあの出来事があって以来、美知子は精神的に追いやられていた。というか出来ることならもう帰りたいくらいであった。

着々と進んでいく文化祭準備。周りの生徒たちは意気揚々と準備に取り掛かっていた。

美知子はその中に混じってあれやこれやの指示を出す役目をしていた。 左腕を怪我しているため、手伝うことが出来ないのが非常に悔やまれるも彼らはそんなことは気にするな!と美知子を気遣ってくれていた。

「じゃあこの装飾は教室の廊下側に飾って!ああ、こっちの装飾は黒板のところに!この装飾はーーー」

絶対的ムードメーカーである美知子の指示はクラス全員の心を突き動かす、それを天条院は知ってて責任者にさせたのだろうか……健二達はそう思った方が良いのか困惑していた。

「おお、すっげえなあ。 もうここまで出来たのか!」

教室に芝野が入ってきた。 あまりの早さに芝野も驚いていた。

「さすが雨知葉さんだよ!指示もうまいし、飾りつけの位置まで正確に覚えてるんだもん!」

「ほんとほんと!雨知葉さんって、こう見るとすっごく格好いいなあ〜…」

女子生徒は尊敬の眼差しで美知子を見ていた。

そういう目で見られるのは悪い気はしないな…というかこう、清々しいって言うか…
何とも言えない気分だ。

そんなことを考えながら美知子はあれやこれや指示を出し続けていた。

「そろそろ休憩しましょう♪」

天条院はクラス全員の分の飲み物を持ってきてくれた。

天条院はお疲れ様と声を掛けながら1人1人に飲み物を渡し歩いていた。

天条院は美知子のこういう才能を見出だしたがための指名だったのかもしれない……健二達はそう思った。

そして文化祭前日。

全員床に座り、美知子の指示を待っていた。

「じゃあこれから最後の段取りを行います。 まず景品!これがないことにはこのゲームは成り立ちません。前の日に景品になりそうなものを持ってくるように頼んだけど、持ってきてくれた?」

全員は景品を美知子に見せる。

「景品はオッケーね、景品はこの箱の中に入れてね!それじゃあ最終準備を気合いれて頑張りましょう!!」

美知子がそう叫ぶと同時に全員立ち上がり、最終準備の段取りを始めた。

(さすがですわ雨知葉さん……私では出来ないのをここまでにするなんて……)

天条院は美知子に勝ち目がないことを悟った。

「雨知葉さーん!これはどうしたらいいー?!」

美知子はそれを一瞥し、

「これはあそこに置いてもらえれば良いよ!」

ここまで完璧に指示が出せる人物を天条院は始めてみた。

天条院は美知子が責任者をやってくれて良かったと思った。

いよいよ最終準備も大詰めを迎えた。

細かい作業は手先が器用な生徒、飾りつけは背が高い生徒、そして机などの移動及び運び出しは残りの生徒という形で着々と進めていった。

何も問題も起きずに通りすぎてしまえば後が楽だな……そう思っていた

ーーーーーその矢先だ。

「おい!そこ違うだろ!」「ああ!?うっせーぞこらぁ!」

教室からそのような声が聞こえた。

美知子は健二と竜也を連れて急いで戻ると、男子生徒二人が喧嘩をしていた。

「なにやってんの?!喧嘩はやめなさいよ!」

美知子は二人の男子生徒のなかに割って入る。

「一体何がどうしたの?」

美知子は少し怒った顔をして二人に問いかける。

「こいつが装飾をつける位置間違ったから注意してやったのに逆ギレしやがったんだよ!」

「君、それは本当なの?」

「ちげえだろ!これはこの位置であってんだよ!」

「はあ!?てめえふざけんじゃねえぞ!」

「なんだてめえやんのかよ?!」

ますますヒートアップした二人は胸ぐらを掴んだ。

「やめなさいって言ってるでしょ!!」

美知子が二人の間に入ろうとしたその時、男子生徒は美知子を押し返し美知子はそのまま後ろに倒れてしまった。

「いった…!」

美知子は倒れたと同時に左腕をぶつけてしまった。

「てめええ!容赦しねえぞ!」

「上等だゴラァ!」

それを気に止めず二人は殴りかかろうとした……が健二と竜也が二人を引き離した。

「喧嘩してる余裕があるならまずは準備を進めたらどうなんだ!」

「その前に美知子に謝れ。怪我人を突き飛ばしてまで喧嘩するバカはいねえぞ」

二人の威圧感に二人の生徒は拳を下ろし、美知子に謝罪した。

「まったく…次から気を付けなさいよ?」

美知子は優しく、静かに二人に言った。

「分からないとこがあったら聞く!それくらい常識でしょ?」

美知子はお説教モードに入った。

やれやれ、といった感じで健二と竜也は自分の持ち場に戻っていった。説教は30分以上もかかっていた。

そして17時を回り、遂に文化祭準備が終わった。

「みんな本当にお疲れ様!明日からもっと忙しくなると思うけど、気合い入れて頑張っていこうね!」

美知子がそう言うとクラス全員はそれに応えるかのように「オーーっ!!」と大きな声で叫んだ。

「では、明日に備えて今日は下校!みんな気をつけて帰ってね!」

言い終わると同時に全員荷物をまとめて下校していった。

ーーーーーーーー明日から遂に文化祭が始まる。緊張と不安が胸一杯に募っていくなか、美知子は成し遂げなければいけないこの役目を精一杯頑張っていこうと意気込んだのだったーーーーーーーー

2年前 No.8

あすわど @ashufia336☆mykg9AZKZ6kq ★Android=sGhw2c90Mc

文化祭当日。

「…よし!今日から一生懸命頑張ろう!」

美知子はいつも以上に気合いを入れて登校していた。

校舎に入り、上履きに履き替え、階段を登っていく。

気合い十分、やる気に満ちた顔をして1年生の教室がある階に着いた。

美知子は教室に向かう……教室の前辺りから声が聞こえた。

ーーーなんだよこれ?! …嘘、ありえない……

自分の教室が何だか騒がしい。 ……まさかとは思いがたいが、美知子は教室に入った。

するとそこには、美知子や男子生徒が一生懸命付けた装飾の一部が切り刻まれており、しかも半分はいかないものの外されているものもあった。

それを目の当たりにした美知子は激しい怒りを抱いた。

(ここで怒り狂ったってどうしようもないな…まずはこれをどうにかしないと)

怒りに満ちていようと、冷静な判断を探す美知子。

(現在時刻、7時28分……一般公開予定時刻、9時丁度……文化祭開会式の放送予定時刻、8時45分……よし、何とか間に合いそうね!)

美知子は静かに深呼吸をして、

「みんな聞いて!」

と全員の注目を集めた。

「朝から来てこれを見た瞬間、みんなは多分激しい怒りを感じたと思う。でも怒ってばかりじゃ何も始まらないでしょ?今からみんなで修復作業を始めたいと思うけど、これに反対の人は?」

美知子は全員の目を見る。 誰1人として反対の意思を持ってないことがわかった美知子はクスッと笑い、

「それじゃあ、修復作業開始!!」

と声を張り上げた。それと同時に生徒全員は破損部分の修復作業を始めた。

あとから教室に入ってくる生徒も最初は驚いていたが、美知子から事情を聞くと修復作業をやり始めた。

しばらくして天条院が入ってきた。それと同時に美知子が天条院を捕まえる。

「え?え?ちょっと何するのですか?!」

天条院は驚きのあまり美知子の目を見る。 そこには得体の知れない恐怖と絶望を見せつけるような、そんな目をしていた。天条院は恐怖のあまり、目を逸らす。

「いい?天条院さん。これは貴女にしか出来ないことなの。協力して?」

美知子は天条院の耳元で呟く。 天条院はコクコクと頷いた。

「今からこのイタズラをした犯人を見付けてきて欲しいの。見つけたらこの教室に連れてきて欲しいの。お願いできる?」

「わ…わかりましたわ…。すぐ探してきます…」

天条院はそそくさと教室を後にした。 美知子は修復作業をしている生徒たちの方に目をやる。

(この調子なら8時30分頃には終わりそうね…)

あとは装飾を滅茶苦茶にした人物を天条院が連れてくれば問題ない。 美知子はそう考えた。

8時30分、美知子の思い通りに修復作業は完了した。

装飾も元通りになり、生徒たちは何とか間に合ったと安堵の息をつく。だが、これだけで済ませられない。美知子やクラス全員は怒りを露にし始めた。

2年前 No.9

あすわど @ashufia336☆mykg9AZKZ6kq ★Android=sGhw2c90Mc

天条院はひたすら犯人を探していた。 もし見つけてこなければ自分が酷い目に遭う…そう思ったからだ。

だがそれらしい人物が見つからず、時間は8時30分を回っていた。

ーーーどうしよう、教室に戻るのがすごく怖い…

見つけてこなければやられてしまう、そんな感情が天条院の心を覆い尽くした。

教室の前にたつ天条院。 怖い、やられそう。そう思いながらも教室の扉を開けた。


天条院が見たその光景は最初に入った光景とは違い、周囲には生徒の姿をした悪魔がいた。

天条院が入ってきたと同時にその悪魔たちは天条院を見る。

その玉座に君臨している美知子が天条院を一瞥するなり、立ち上がって天条院の元へ歩み寄った。

「貴女1人だけってことは、見つからなかった…ということかしら?天条院さん?」

鋭い眼光が天条院の瞳に深く突き刺さる。 もうだめなのかもしれないと悟った天条院は

「ご、ごめんなさい…、校舎中を探し回りましたが、見付かりませんでした…」

と震えながら言った。

すると美知子の右手が上がった。 やられる…そう感じた天条院は目を瞑った。

だが、美知子は天条院の頭を優しくポンポンっと叩いた。

天条院は思わず目を開き顔を上げる

そこにはすごく優しい顔をした美知子がいた。

「見つからなかったのは残念だけど、まずは文化祭の方が一番大事だからね。それに修復作業は終わったし、天条院さんも疲れたでしょ? 少しだけしかないけど、それまでゆっくり休んでて?」

美知子のその優しい言葉を聞いた天条院は力が抜けていくようにゆっくり床に座り込んだ。

「犯人探しは文化祭が終わってからでもできる。今は目先のことだけに集中しよう!」

美知子は声を張り上げ、みんなに伝えた。

周りはおーっ!!と大きな声で返事をした。

美知子も腰を下ろし、放送を聞く準備に入った。

まもなくしてアナウンスが入り、

「ええーではこれより、文化祭開会式を始めます。」

と放送が入った。

美知子含む全ての生徒は真剣な表情に変わった。

いよいよ、1学年最初の文化祭が幕を開けようとしていた…!

2年前 No.10

あすわど @ashufia336☆mykg9AZKZ6kq ★Android=sGhw2c90Mc

【開幕と開獄】

文化祭開会式の放送が始まって5分が経った。そろそろ放送終了する頃だ。

「では開会式を終わります。全校生徒は開幕の準備をしてください」

そう言った後で放送は終了した。

「みんなー、ちゅうもーーく!」

美知子は真ん中に立ち、クラス全員の目線を自分に向けた。

「これから最終確認行うからよく聞くこと!」

美知子はブレザーのポケットから紙を取りだし、読み上げ始めた。

「1、1人につき最低でも2時間は動いてもらいます! 尚、2時間動いた人はあたしの方から声をかけるからそれまで勝手に休憩を取らないこと!」

「2、緊急を要する場合は必ずあたしか夏原さんのどちらかに連絡を入れること! 自分勝手に対処しないでね?」

「3、自分に割り当てられた係を確実に遂行すること!」

「以上です!」

クラス全員は黙って聞いていた。これから始まる文化祭初日はどのような形で混雑するのか、誰も知らない。

しかし、これを乗りきれなければ次はない。誰もがその使命感と緊張感を抱いていた。

「開幕まであと5分! 全員所定の位置に着いて!」

その掛け声と共に全員はそれぞれ所定の位置に移動を開始した。

美知子は後ろに用意してあった椅子に腰を掛け、時計を眺める。

(あと3分…みんな緊張してきてるな……。あたしも凄い緊張してきた…)

美知子は深く息を吸い、大きく息を吐く。これを三回行った。

(少し落ち着いたな、さて…あと2分!)

クラス全体の空気が緊張しているのを感じた。 もうじき一般公開が始まろうとしている。

「あと1分!」

美知子は大きな声でクラス全員に伝えた。

冷や汗をかく生徒、唾を飲む生徒、緊張で拳に力が入っている生徒……

「30秒!」

全体の空気が一気に変わった。 やる以上、精一杯頑張ってやろうじゃないか!雨知葉やみんなが何のために頑張ってきたのか!
全員の眼差しが力強くなっていく。

「カウントダウン! 10!」

全員身構え始めた。

……9……8……7……6……5……4……。

さあ始まるぞ、文化祭が。

「3!」

みんな一致団結して今まで頑張ってきた成果を!

「2!」

来客者や先生たちに……!

「1!」

たっぷり見せてやろう!!

ーーー時計の針が9時丁度を指した

「開 幕!!」

美知子の元気溢れる声を合図に一斉にスタートした!

ーーーーーー遂に活気溢れる文化祭が幕を開けたのだった!ーーーーー

2年前 No.11

あすわど @ashufia336☆mykg9AZKZ6kq ★Android=sGhw2c90Mc

午前9時ーーーー文化祭、開幕

美知子たち1年3組は的当てという屋台でも見かけるミニゲームみたいな感じのを出す。

景品は当てたポイントに応じて変わるというものである。

「最初はそんなに来ないと思うわよ、さすがに」

夏原は美知子にそう言うと

「何のために宣伝係がいるのかなあ?」

とニヤニヤしながら夏原に言う。

「宣伝係! あたしたちのクラスにお客さんを呼び込むため、全校舎を歩いて宣伝してきて!」

すると健二と竜也が立ち上がり

「オッケー、行ってくるぜ!」

と言い残し、教室から出ていった。

夏原はこんなんでうまくいくのかと思っていた。

「さあて、もうじき来るかな〜」

と美知子が口にした瞬間に最初のお客が入ってきた。

最初の客は…………桔梗と早百合だった。

「面白そうだから来てみたぜ」「やらせてやらせてー」

と、二人は楽しそうな笑顔で受け付け担当に言う。

(あらかじめ二人に頼んでおいて正解だったな、あとは健二と竜也が頑張ってきてくれればいいけど…)

と美知子は心の中で呟いた。


ーーーーその頃、健二と竜也は

「1年3組的当てやってまーす!」 「ポイントに応じて貰える景品が豪華になってくよーー!」

等とあちこちをまわっていた。

「やれやれ、なかなか集まらないな〜」

「初日なんてそういうもんじゃねえか?」

健二と竜也は二人で話し合っていると

ーーー健二兄ちゃんと竜也兄ちゃん!!

誰かが自分の名前を呼んだことに気づいたので振り向くとそこには美知子の妹、理奈がいた。隣には胡桃美もいた。

「おねーちゃんはどこにいるのーー?」

理奈は目をキラキラさせながら健二に問いかける。

「左腕を骨折してるから無理してないか心配で見に来たのですが…今は教室でしょうか?」

胡桃美は竜也に問いかける。

まあ美知子に会いたいだけなのだろうと解釈した二人は

「4階の1年3組の教室にいるから行ってごらん?」

とニカッと笑って教えてあげた。

理奈はぴゅーっと先に行ってしまった。胡桃美は二人に頭を下げて理奈の後を追っていった。

「美知子も大変だよな〜、妹たちが甘えん坊で」

「同感だ」

二人はヘラヘラしながら再び宣伝しながら校舎内を歩き始めた。

2年前 No.12

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ーーーー教室

「おねーーちゃーーん!」

理奈は勢いよく美知子に飛び付いた。 美知子は理奈を右手でうまくキャッチし、

「飛び付くのはダメだって何度言ったらわかるのかなあ?」

と言いながら理奈の頭をわしゃわしゃしていた。

「大丈夫ですか…? とても不安で…」

胡桃美は美知子の近くに寄って心配そうな顔をしながら寄り添う。

「大丈夫だって! 心配要らないよ!」

と笑顔を見せる。 胡桃美はホッとしたような顔をしていた。

「……そういえば、氷雨は?来るって聞いてたけど」

美知子のがそう言った瞬間、二人の顔が真っ青になった。

(そういえば…氷雨、どこにいったのか探していたとこでした…)

(やっば…目的完全に忘れちゃってた…)

胡桃美と理奈の顔を見ていた美知子は氷雨が迷子になったと判断した。

「探しにいくよ」

美知子は立ち上がり夏原に事情を説明したあと、胡桃美と理奈を連れて教室を出ていった。

周りは既に活気付いており、ざわざわしている状態であった。

「これじゃあ探しようがないなあ〜」

美知子はどうやって探し出すか考えていた。

氷雨は雨知葉家の末っ子であり、美知子と6歳も離れている。 放浪癖があり、目を離すと勝手にどこかへ行ってしまう。美知子はその事が心配で二人に氷雨を頼んだが、どうやら盲点をつかれてしまったようだ。

「仕方ない、嫌だけど人を増やそう」

そう言うと美知子は携帯を取りだし、桔梗と早百合に氷雨が迷子になったと伝える。

それを聞いた二人は全校舎を探し回ってみようと提案、雨知葉姉妹による末っ子探しが始まった。

ーーーー氷雨はどこに行ってしまったのだろう、怖くて泣いてないだろうか?美知子はとても心配で心配で仕方なかった。

2年前 No.13

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ーーーーその頃、氷雨は……

「ねえねえ、一人できたの〜?」「いまいくつ〜?」「お母さんとかは?」

3年5組の教室で氷雨は女子生徒たちに色々と質問攻めをくらっていた。

「……。」

氷雨は馴れない環境の為か、質問に答える気はなかった。

(早くお姉ちゃんたちと合流しないと…)

氷雨はこの状況をどうやって打開するか考え込んでいた。

「お人形みたいでかわいい〜!」と一人の女子生徒は氷雨に抱きつく。

氷雨は嫌な顔をして女子生徒を引きはなそうとしていた。

「これはなんの騒ぎかしら?」

奥から女子生徒が出てきた。 彼女の名は早瀬千冬。このクラスの学級委員で、同時に出し物責任者でもある。

「みてみてー!この子! お人形さんみたいで超かわいいんだよ!」

と氷雨を指差す。

早瀬はそれを見るとはっと思い出したかのように

「その子、雨知葉さんの妹さんじゃ…」

と言った。

氷雨は早瀬を見るなり、「お姉ちゃんに会いたい」と言った。

「分かったわ。じゃあ一緒にお姉ちゃんを探しましょ」

と返した。

氷雨は早瀬の元まで駆け寄り、早瀬は氷雨を連れて一緒に教室から出ていった。

教室から連れていかないで!等と声が聞こえたが、振り向きもせずそのまま歩いていった。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「氷雨ーー!どこにいるのーー? 氷雨ーー!」

美知子はあちこちを探し歩いていた。このまま見つからなければ……

どんどん不安と恐怖が強くなっていき、目には涙が溢れてきた。

「氷雨ーー!」

涙声になろうとも美知子はあちこちを探し続けた。

だが、歩いても歩いてもそれらしき影が見つからなかった。

美知子は途方にくれて顔をおとし、泣きそうになっていた。

すると

ーーーーーー…ちゃん!

え…?今誰かの声が聞こえたような…?

ーーーーー…え…ちゃん!

「氷雨!?」

美知子は顔を上げて辺りを見回す。 そこに手を降っている小さな女の子が見えた。

「お姉ちゃん!」

それは紛れもなく、氷雨だった。

「氷雨!!」

美知子は走り、氷雨をぎゅっと抱き締めた。

「お姉ちゃん…苦しいよ〜…」

氷雨は美知子を引きはなそうとしていたが、美知子に会えたのか、氷雨は泣きそうな顔をしてぎゅっと抱きついた。

「良かったね!お姉ちゃんが見つかって!」

早瀬は氷雨の耳元でそう言ったあと、立ち去ろうとした。

「待ってください!」と美知子は早瀬を引き留めた。

「あの、ありがとうございました!」

美知子は深々と頭を下げる。それを見た氷雨も頭を下げる。

「どういたしまして」と言い残し、早瀬はその場から立ち去っていった。

2年前 No.14

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美知子は桔梗と早百合に氷雨が見つかったと連絡を入れたあと、自分の教室に戻っていった。

理奈や胡桃美もホッとしたような顔をして氷雨の頭をわしゃわしゃした。

「じゃあ行こっか!」

理奈が氷雨の手を引こうとしたが、氷雨は美知子の後ろに隠れてぎゅっとスカートを握った。

「氷雨〜、これ以上お姉ちゃんに迷惑かけたらダメでしょ?ほらおいで」

理奈は優しく氷雨を連れていこうとするが氷雨は「や!」と言って美知子から離れない。

「氷雨!いい加減にしなさい!姉さんだって忙しいんだから!」

胡桃美は氷雨に怒号をあげる。それでも美知子から離れようとしない。

「氷雨!」

胡桃美が無理に手を引こうとした。 だが美知子はその手を握り、

「あたしと一緒にいたいだけなんだからこのままで良いよ」

と胡桃美に言った。

「ですが姉さん!」

「良いから良いから!二人で楽しんでおいで?氷雨はあたしが見ててあげるから、ね?」

胡桃美は何も言い返さず、理奈と一緒に教室から出ていった。

「さて、いい?ここから出ちゃダメだからね?出たらお仕置きするから!」

と美知子は氷雨に言う。 氷雨はコクりと頷いた。

美知子は自分の椅子に座り、膝の上に氷雨を座らせた。

「雨知葉さん、その子が迷子になったっていう末っ子さん?」

夏原が興味津々に近寄ってきた。

「そうだよー、かわいいでしょ〜?」

美知子はニコニコしながら夏原に言った。

「何か親子みたいだよ、雨知葉さん」

と夏原に言われた。 いつもだが普通に親子に見られる。 姉妹とわかる人物はそうそういないだろうなと美知子は思った。

ーーーーー昼頃

ぎゅるるるる……

誰かの腹の音がなった。見渡す限り、生徒ではないようだがもしやと思い、氷雨の髪の上に顔を軽く置くと

ぎゅるるるる……

とまたなった。 氷雨の腹の音であった。

「お腹すいたの?」

美知子は氷雨に聞くとコクりと頷いた。

(どうしようか……弁当食べさせても良いんだけど、あたしもお腹すいてきたしな〜…)

ウ〜ン、と美知子は頭を悩ませる。

そこに、胡桃美と理奈が戻ってきた。

「おねーーちゃーーん!焼きそばとたこ焼き買ってきたけど食べるーー?」

理奈は袋をぶら下げながら美知子の元に歩いていく。

「あたしは弁当あるから、氷雨に食べさせて?お腹すいたんだって」

理奈は氷雨に焼きそばとたこ焼きの入った袋を渡し、

「じゃあいくねー」

と言ったあとでまた教室から出ていった。

氷雨は無言でパクパク食べていた。


ーーーーーーこの時、美知子は不穏な空気を感じ取った。この場でいったい何が起きるのか、美知子は氷雨の頭を撫でながら険しい表情に変わっていったーーーーーー

2年前 No.15

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氷雨は美知子の膝の上で何やらもじもじし始めた。

両手で下半身を押さえ付けているのも分かった。

「トイレ行きたいの?」

美知子はそう聞くと氷雨はコクりと頷いた。

(まああたしも行きたかったし、丁度良いか)

美知子は氷雨を連れてトイレへ向かった。

美知子は用を済ませ、氷雨を待っていた。

すると突然、携帯が鳴り響いた。 相手は夏原からだ。

「もしもし、どうし」

「お願い!すぐ戻ってきて!」

美知子はいきなりのことで固まってしまった。 だが、すぐに聞き返す。

「何かあったの?!」

「そうなのよ!だから電話してるんじゃない!」

夏原はかなり焦っている。 携帯の向こう側から何やら騒がしい。

「わかった。すぐいく」

そう言って美知子は電話を切った。 氷雨もタイミング良く用を済ませたので、氷雨を抱えて大急ぎで教室に戻っていった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「おらぁ!!」

「そいやああああ!!」


二人の男組が教室内で暴れだした。

「お客さん!落ち着いてください!」

生徒たちが押さえに入るが、体格のせいか、難なく振り払ってしまう。

(どうしよう、雨知葉さん、早く戻ってきて……!)

夏原はただ、ひたすら願うことしか出来なかった。

「この店気に食わねえなあ! 無愛想だしよ!」

「まったくだぜぇ!少しは礼儀ってのを教えてやろうじゃねえか!」

もう手がつけられない…その時、氷雨を抱えて美知子は戻ってきた。

「雨知葉さん!」

夏原は感激もあまり、声をあげる。

「お客様、ここは闘技場でもリングの中でもありません。人暴れしたいのでしたら外でやっていただけますか?」

美知子は相手を睨みながら言った。

「ほぉぉう、俺様たちに楯突こうってかこの娘?」

一人の男がボキボキっと骨を鳴らす。それに続いてもう一人も骨を鳴らす。

「覚悟しやがれやゴルァァァ!!」

二つの拳が美知子に目掛けて飛んでくる。

しかし、

「あまっちょろいな、この拳。これが本気のつもりか?」

美知子は二つの拳を右手の人差し指と中指だけで受け止めていた。

「な、なんだこいつぁ!?」

一人の男はたじろく。その瞬間にもう一人の男のみぞに強烈なストレートが入った。

「…………ぁぁ!?」

異常な激痛が走り、声をあげることすら出来なかった。

「出ていけ、今出ていけばこれで見逃してやるよ」

美知子のその目はまるで邪眼を連想させるかのような目をしていた。

「す、すいやせんでした…」

そう言って男はもう一人を抱えて慌てて逃げていった。

「ふぅ〜…」

美知子は普段通りの表情に戻った。

周りから物凄い歓声の声が上がった。

「雨知葉さん、ありがとう…!あなたがいなかったらダメだったわ!」

夏原は涙目になって言ってきた。

「まあ、みんな怪我してなさそうで良かったよ〜」

と美知子はニコッと笑った。


(お姉ちゃん…カッコいい…)

氷雨は心の中でそう呟いた。

いつしか自分も美知子のように強く頼れる存在になろうと決意したのだった。

2年前 No.16

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その後は忙しくなったり暇になったりしたが、無事に初日の文化祭は終わった。

「みんな、お疲れ様! どう?くったくた?」

美知子はニコッとしながらみんなに言う。

「そりゃあもうくたくただよー。でも、雨知葉さんの笑顔を見たら吹き飛んじゃったぜ!」

1人の男子が答えるとそれに同意するかのように全員はウンウンと頷いた。

「ありがと!じゃあ明日も元気に頑張ろうね!今日は解散!」

美知子は荷物をまとめ、ひとりでぱっと帰っていった。

ーーーーー翌日

美知子は普段通りに教室に入った。 またしても昨日と同じ状況になっていた。

「なんなんだよ、もう…」

美知子は呆れていたが、心の中では激しい怒気が渦巻いていた。

だが今回は何かが違う…そう、ハサミが置いてあったのだ。

見た限りではこのハサミは美知子の教室にはないものであった。ではなぜここに?

美知子は携帯を取りだし、齋藤に電話を掛ける。

「もしもーし、美知子〜?どしたー?」

「ちょっと教室に来てくれる?」

そう言ってすぐ電話を切った。まもなくして齋藤が入ってきた。

「うわ……これ、酷いじゃない…」

齋藤もかなりビックリしていた。美知子はハサミを手に取り、齋藤に見せる。

「あら、このハサミは私のクラスのやつね?変だな〜…なんでここに?」

齋藤は美知子の顔を見る。 顔では分からないが、とても怒ってるのがわかった。

「もし犯人見つけたらここに連れてきてくれる?そろそろ限界なんだよね、あたし」

美知子の右腕が震えている。齋藤はそれを見たあと、ニコッと笑い、

「分かったわ。犯人見つけたらここに連れてくるから!」

と言って教室から出ていった。

しかし、その後は齋藤は結局教室に来なくなり、犯人も誰なのか分からなかった。

ーーーーー文化祭最終日

美知子は不安ながらも教室に入った。 やはり昨日と同じ状況になっていた。

ーーーぷつんっーーー

美知子の【何か】が切れた音がした。

2年前 No.17

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ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

齋藤はいち早く登校した。 美知子のクラスの装飾を滅茶苦茶にした犯人を見つけるために…

「…?あれは…」

齋藤が目にした人物は同じクラスの女子生徒だった。良く見ると手にハサミを持っていた。いったい何をしようとしているのか、齋藤は隠れて様子を伺う。

女子生徒は教室に入った。 齋藤はそれを見逃さず、教室の前まで来た。

女子生徒は装飾を見ていた。 齋藤は唾を飲んで見ていた。

…?明らかに様子が変だ。 ただ漠然と見ているだけ? じゃあそのハサミは何なのか?

(あの子、誰かに命令されてる?)

齋藤は不審に思っていた。 ハサミは持っているがどうしても手があがらない。

「やっぱ無理…、みんなで頑張ってつけてたの知ってて切るなんて、私には出来ない…!」

女子生徒は教室から出た。だが、目の前に齋藤がいたため、逃げるようなことが出来なかった。

「どういうこと?」

齋藤に問い詰められて彼女は口を開いた。

「赤羽さんが…やったんだよ…」

赤羽が?なぜ、なんのために?

「私は…嫌だったんだよ…。でも、注意したら…お前の秘密を全部ばらすぞって…脅されて…」

動揺しているのか、ところどころ区切って喋っていた。

「で、なんであなたがここにいるのかな?」

齋藤は容赦なく問い詰める。

「ばらされなくなかったらお前も滅茶苦茶にしてこいって…言われて…」

でも出来ずにいた。よほど心苦しかったのだろう。

「ごめんなさい…私…トイレへ行ってきます…」

軽く頭を下げ、彼女は去っていった。

齋藤は教室に戻り、窓際へ座りうたた寝を始めていた。

ーーーーガサッ チョキン…チョキン… ベリリリリ…

装飾を滅茶苦茶に切って剥がし、ついでに落書きをしていた。

「これでオッケーかな、ったく…あいつに任せるだけ無駄だったなあ〜…」

一人の女子生徒は教室から出ていき、自分の教室に入った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「もう我慢の限界だ」

美知子の眼差しが鋭くなっていく。

「もう文化祭を優先しようとか言ってる余裕もなくなった」

破壊的な衝動が美知子の全身を駆け巡る。

「今すぐ犯人を見つけ出して虫の息になるまで…」

そして、その衝動は歪で禍々しいオーラとなり、

「ぶっ潰してくれるわ!!」

その一言で全身に禍々しいオーラを纏った。

ーーーーーー破壊的な衝動に身を任せ怒れる鬼神を止められる人物はいるのだろうかーーーーーー

2年前 No.18

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午前7時28分、ついに激昂した美知子は歪で禍々しいオーラを纏って4階の1年生の教室のある廊下を歩いていた。

「雨知葉さん!おっはよ…」

そう言いかけたのは夏原だ。凄まじいほどの怒気を感じた夏原は身の危険を察した。

「おはよう。今忙しいから話なら後にしろ」

美知子はそう伝え、また歩き出した。

(このままだと誰かが殺される……!)

夏原は鞄を教室においてすぐに美知子の元へ向かった。

だが美知子の姿はどこにもなかった。

(まさか、もう見つけ出してボコボコに…)

夏原は急いで裏庭に向かった。 予想通り、美知子はそこにいた。

「あたしは、げほっ やってないって ごほっ 言ってるでしょ!」

既に数回殴られていたようだ。

「もう一度言う。正直に答えろ」

美知子は拳を握り、殴る準備をしていた。

「しつこいわよ! やってないったらやってない!」

女子生徒は大声を上げて美知子に訴える。だがまもなくして女子生徒の腹に拳がめり込んだ。

「んぐ……! げほっげほっ!」

「これが最後だ。正直に答えろ。さもなくば次は鼻の骨が折れるぞ」

美知子は拳を握った。

「正直に答えれば、後々楽になると思うけどな。さあ答えろ。貴様がやったのだろう?」

美知子は彼女を睨み付ける。 彼女の思い口が開き、

「ごめんなさい……私がやりました……」

と言った。

美知子は不適に笑う。

「最初から認めれば良かったものを今さら何ほざいてやがる。許すと思うか?あ?」

「あの……どうかお許しを……」

彼女は涙目になっていた。

だが美知子は許さない。

「3日連続でこういうことされたら私も許す気はないな。その分の償いをしてもらおうか」

美知子は彼女を立たせて自分の教室へ連れていった。修復は既に完了していた。

「先公には許可を得ている。今日一日私のクラスの手伝いをしてもらおう。いいな?」

彼女はコクりと頷いた。

(やられるよりはまだましね……なんで私だって分かったのかが不思議なくらいよ……)

こうして美知子は犯人を見つけ出すことに成功した。

2年前 No.19

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彼女はもうくたくたになっていた。 あれから一度も休憩を与えてもらってないからだ。

(少しは休ませてよ…かなり辛いんだから…)

そう思いながら美知子の方へ目を向ける。 だが、美知子は彼女を見据えたままで何も言おうとしない。

じれったくまった彼女は美知子の方へ歩く。

「少しは休ませて、体が限界なのよ…」

美知子はふーんっと言うだけで相手にしなかった。

ーー午後1時過ぎーー

(ああ…お腹すいたな〜…ご飯食べたいな〜…)

彼女はまた美知子の方へ目を向ける。 だがやっぱり相手にしてくれない。

周りは美知子の指示で休息をしているものもいればご飯を食べてるものもいた。

その光景をみている彼女は美知子の方へ歩き、

「せめてご飯は食べさせてよ!もうほんっとに限界なのよ!」

と強気に出た。

(ご飯を食べること前提なら逃げることも出来るし、問題ないわ…!)

彼女は美知子の顔を睨み付ける。

「じゃあ食べてくれば? 見張りもつけるから」

美知子はあっさりと言った。

(見張りなんて…まあどうせ女子でしょうね。男子は無理だと思うし)

そう思っていたが

「健二〜竜也〜、こいつの見張りよろしく〜」

と二人の男子が見張りについた。

(すっごい最悪……)

もはや彼女に逃げ道などなかった。

ーー午後4時ーー

文化祭最終日も無事に終わり、片付けを始めた。

彼女もようやく解放され、安堵の息をついた。

(終わったら速攻帰らなくちゃ!)

捕まってたまるか!そう思った彼女はHRが終わると同時に下駄箱まで駆けていった。

(やった!このまま帰れる!)

そう思った矢先、誰かに腕を捕まれた。

振り向くとそこには美知子がいた。 その後ろには健二、竜也、海東、蒼菜、齋藤がいた。

彼女は諦めたかのようにため息をついた。

「なんであんなことをしたの?」

齋藤は彼女に問う。

「えと、木枯君と一緒にいるのが気に食わなくて……それでつい……」

彼女は俯いたまま答える。

「ただの嫉妬から?」

さらに問い詰める。 彼女はコクりと頷いた。

そこへ進がきた。 状況を察したのか、進も話に加わってきた。

「ごめんなさい……」

彼女は涙を流していた。 長い沈黙が走った。

2年前 No.20

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しばらくして、

「俺が好きなのか、赤羽」

と進が直球に聞いた。 周りは赤羽含め、驚いた顔をしていた。

「い……いきなり何言うの?!」

蒼菜は驚きのあまり進に言った。

「そうよ……あなたが好きなの」

赤羽は答えた。 進は優しく微笑みながら

「悪いな、俺は好きな人がいる。お付き合いは無理だ」

キッパリ言った。 赤羽は項垂れた。

(こいつも相変わらずだな。一途すぎる)

健二はそう思った。竜也も同じようなことを思っていた。

ーー文化祭が終わり、しばらくして期末テストが行われた。

結果的には30点以下は一人もおらず、全員補習なしで冬休みを迎えられる。


再びいつものメンバーで集まり、出掛ける場所を決め始めた。

「今度こそ俺らだけで楽しむぞ」

竜也は自信たっぷりに言う。 前回は(なぜか知らないが)芝野が同行したので楽しむ時間が少なかったからだ。

「さあて、どこにいくか決めようぜ!」

竜也はいつになく張り切っていた。

「初詣は外せないよね〜」

「確かに〜」

「クリスマスパーティしたい!」

どこかにいくよりはこっちの方が良いみたいに女子たちは勝手にワイワイしていた。

「冬ったって…どっかいく場所あんのかよ?」

海東は竜也に聞いてみる。

「……思い付かないわ」

「おいこらそれはないだろ」

ワイワイ話し合っているところに遅れて齋藤がやって来た。

「ごめんごめん!遅くなっちゃった!」

齋藤は息を切らしていた。

「じゃあさー、クリスマスパーティと日の出見に行くのと初詣でどう?」

どうやら勝手に決まっていたようだ。

もうそれでいいか、と苦笑いしながら竜也たちは言った。

「おお?またお前たちでどっかに行こうとしてるな?」

芝野がやって来た。

「げっ」

全員同じことを口にした。

「げってなんだよげって…。まあいい。28と29は暇だろ?俺の実家に遊びに来いよ!旨いもん食わせてやる」

芝野はいつになく都合を考えない…。誰もが思っていた。

「なあに、そんな顔をすることはない。温泉だってあるんだ」

それを聞いた全員は顔をあげる。温泉だって…!最高じゃねえか!

「どうする?行きたいか?」

芝野はニコニコしながら問いかける。全員の答えはもう決まっていた。

「行かせていただきます!」

冬休みの予定は決まり、全員ウキウキした気持ちで2学期の残りの学校生活を楽しんだ。

ーー数日後、終業式が終わり、ついに冬休みを迎えた。

彼らたちの楽しい冬休みが始まった。

2年前 No.21

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【迎えた冬休み】

終業式も終わり、無事に冬休みを迎えた。

最初はクリスマスパーティをすることになっているので、みんなは忙しく動いていた。

12月25日、クリスマスの日。

齊藤の家でクリスマスパーティを行うことになっていた。

美知子たちは駅前で待ち合わせをしていた。

「おっそーーい!男どもは何をしてるんだか…」

健二たちがなかなか来ないので蒼菜は足をパタパタしながら待っていた。

集まってもいないうちに齊藤がきた。

「おまたせ!…ってあれ?蒼菜と美知子だけ?」

齋藤は不思議そうな顔をしていた。 時間は既に17時を回っていた。

「わりぃ!遅れた!」

健二と海東は走りながら言う。 何をしていたのか、服装はビシッと決まってすらいなかった。

「ねえ、竜也は?」

蒼菜は聞く。

「なんかあいつ、すっげえの持ってくるから先行ってパーティやってろってさ。進も巻き添えだよ」

海東はそう答えた。 すごいもの…そう聞くだけで蒼菜のテンションは上がっていた。

「事情はわかった、それじゃあ行こっか!」

齊藤の後ろを歩き出す四人。 道中、みんなでワイワイ話して楽しんでいた。

しばらくして、

「到着!ここが私の家です!」

と齋藤はニコニコ笑いながら言った。

「わあ!理絵ちゃんの家、おっきいいーー!!」

蒼菜はまるで小さい子供のような台詞を言い出した。

「外は冷えるからもう入ってようよ!ささ、上がって上がって!」

齋藤に連れられて四人は家へ上がる。

「お邪魔しまーす」

四人は声を揃えて挨拶をした。

「ごめんね、今両親出掛けてるから私1人だけなんだよね」

笑いながら齋藤は言った。 意外だ…齋藤は一人っ子だたのか。

「準備はお母さんがやってくれたの! いっぱい楽しもうよ!」

齋藤は普段よりもテンションが高かった。それは蒼菜も同じであった。

5人はテーブルに向かい合って座り、早速パーティを始めた。

「それでこないだなんかさー…」

「ええ!?うそ、ほんとにー?」

「あっはははは!ほんと面白ーい!」

女子だけやたらテンション高い。健二と海東はそのテンションについていけなかった。

しばらくして、ピンポーンっとインターホンが鳴った。

齋藤はすぐ玄関に向かい、ドアを開ける。

「なんか大きい荷物があるんだけどこれは…?」

齋藤は不思議そうに近寄るとひょこっと竜也が飛び出した。

「メリークリスマス!サンタクロース竜也がプレゼント持ってきたぜ!」

こいつもこいつでテンション高い。

「何いってやがる。俺も手伝ってやったんだから普通は2人だと言うべきだろ」

進も後ろから出てくる。 いつになく冷静であった。

「…まあ、お疲れ様! ささ、上がって上がって!」

齋藤は二人を家へ上げる。二人はお邪魔しますと言って上がった。

既にパーティは始まっていた。

「ところであの大きい荷物は何なの?」

齋藤は竜也に聞く。

「いい質問だ、聞いて驚け…あの中身はな〜…」

竜也は間をおいて、

「開けてからのお楽しみってことで!」

と綺麗に流した。 齋藤はけちーっと言いながら再び席に座る。

「そろそろ始めようよ!」

蒼菜は待ちくたびれたのか、美知子と齋藤を連れて奥の部屋へ移動した。

「何をする気だ、あの三人…」

健二は不思議そうに呟く。まもなくして3人は戻ってきた。

3人はサンタクロースのコスチュームを来ていた。 赤い帽子に赤い服に少し短めの赤いスカート…

想像を遥かに超えるコスチュームを目の当たりにした進を除く3人は驚いていた。

「まじかよ、すっげえかわいいのきたんだけど」

「どうする?2ショットお願いしちゃう?」

「いやここは男1人女3人…」

なにやらボソボソと話し合っているところに進が

「なあ、俺と一緒に写真撮ってくれよ。記念にしたい」

と言った。

はっと振り向くと進がサンタコスの女子3人に囲まれて平然と写真を撮っていた。

その後は健二、竜也、海東の順で一緒に写真を撮った。

「じゃあプレゼント交換しよう!」

蒼菜のテンションにのせられてプレゼント交換を開始した。

「♪〜♪♪♪〜♪♪〜…」

蒼菜は鼻歌を歌いながらプレゼントを次へ次へと回していく。

「はいストーーーップ!」

蒼菜の掛け声と共にプレゼント回しが止まる。

「一斉にせーので開けよう!」

1つ深呼吸して

「…せーの!」

でみんなで一斉に開けた。

美知子はペンダント、蒼菜は縫いぐるみ、齋藤は腕時計、健二はピアス(二個入り)、竜也はプラモデル、海東はヘアピン(これも二個入り)、進がペンダント(美知子と同じ)だった。

それぞれ自分の荷物の中へしまい、ケーキを食べ始めた。

「そろそろ教えてよ、竜也」

齋藤は早く知りたいのか、竜也に聞く。

「ああ、あれはクリスマスツリーとそれに使えるイルミネーション道具が入ってるんだ。もうそろそろ家はいらないからあげようと思ってな!」

竜也はニコニコ笑いながら言った。

「ありがとう、竜也!」

齋藤はにっこり笑って言った。

午後21時、彼らはパーティを終えて解散した。

次は芝野の実家の温泉宿へ向かう。早く行きたい気持ちが雪のように積もっていった。


2年前 No.22

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クリスマスパーティを終え、課題も終わらせて待ちに待った温泉宿への一泊二日の旅行の日。

美知子は朝の6時に家から出てウキウキ気分で待ち合わせ場所へ向かう。

待ち合わせ場所は海鴎中学校正門の入り口付近、そこには既に進が来ていた。

「進!おはよ!」

「おう、おはよ」

挨拶はそれだけで終わった。

あとから健二たちも来て全員集まった。

「芝野おっせえなあ〜…、なにしてんだよ〜…」

竜也は頭をボリボリ掻きながらあくびをしていた。

そこへ1台のワゴン車が美知子たちの前に止まった。

「よう!待たせたな!ほれ、早く乗りな!」

助手席側の窓を開けて大きい声で乗るように促した。

「あ、そうそう。男子の中から一人助手席に乗れ。退屈させないからな!」

芝野はニッと笑いながら男子組に言う。

「じゃんけんで決めよう」

健二は安直な案をだし、それを実行した。

結果的に言い出しっぺである健二が助手席に乗ることになった。

「全員乗ったな?じゃあ出発しよう!」

ーーーーーーこうして彼らは芝野の実家である温泉宿へ向かうのであった。ーーーーーー


海鴎中学校正門入り口で待ち合わせをしていた彼らは芝野のワゴン車に乗り、目的地である温泉宿へと向かっていた。

「この前なんか天条院にバカですねって言われちゃってよ〜…生徒にバカにされるとは夢にも思ってなくてさ!」

助手席に座っている健二はかなり迷惑そうな顔をしながら適当に返事をしていた。

その後ろでは健二以外のメンバーがワイワイしていた。

(羨ましすぎるぞまったく…。俺もうしろにいきてーーーー)

健二は心の中で叫んだ。

しばらく走らせ、

「少しばかり休憩にしよう、トイレは済ませておけ。この先コンビニなんかないからな!」

芝野は車を止めて全員に呼び掛ける。

女子3人は真っ先にトイレへダッシュした。

男子組は歩きながら買い物+トイレを済ませる。

5分後、再び車に乗り込み、コンビニを後にした。

また、知らないうちに後ろの女子3人と男子2人は寝ていた。

健二も寝たかったが、芝野から放たれるマシンガントークの前で寝付くことが出来なかった。

出発地から約2時間が経過した。

「まだつかねえのー?」

健二は不満を口に漏らす。

「何いってんだ、あと3時間くらいはかかるかもしれないぞ」

芝野は運転に集中しながら言った。

相変わらず後ろに座っている5人はぐっすり寝ていた。

ーーーーーーそう、この先の行く道にある【何か】を知らずにーーーーーー

2年前 No.23

あすわど @ashufia336☆mykg9AZKZ6kq ★Android=sGhw2c90Mc

【迫り来る悪夢】

美知子たちを乗せた芝野一行は途中の大通りで渋滞にはまっていた。

芝野はタバコを吸いながらハンドルを指でトントンしながらソワソワしていた。

「ったく、こんなに混むなんて何があったんだ…早く出てきた意味がねえじゃねえかよ!」

芝野はイライラしながら不満を漏らす。

この大通りはかなり渋滞に巻き込まれやすいことで有名で、1度渋滞にはまってしまえば30分…いや1時間以上は足止めをされてしまうほどでもある。

芝野はそれを熟知しているので普段よりも早めに出ていたのだ。

そこでふわ〜ぁっとあくびをしながら蒼菜が起きた。

「あれ…まだ着いてなかった…」

目を擦りながら小さい声で言ったあと再び眠りについた。

ーーそこから約40分くらい経ったところで何とか渋滞を抜け出すことができた。

(予定よりも時間ロスしちまったなあ〜、まあいい。この子達の安全が第一だ、安全運転でいこう)

芝野は美知子たちの寝顔を見ながら思っていた。

さらに30分後……

やっとコンビニを見つけたので芝野はそこに車を止めた。

「ん〜…」

美知子が起きた。 回りの様子を見ている。

「コンビニか…ちょうどいいや、トイレいこーっと…」

美知子は眠い目を擦りながらコンビニへ歩いていった。

芝野は長い運転だったので仮眠をとっていた。

トイレを済ませた美知子はふと思った。

(長い運転で疲れてるだろうし、何か買っていってあげよう。先生も寝てたし、よっぽど疲れてるんだなあ…)

美知子は栄養ドリンクを2本買っていって車に戻り、運転席のナビのところに栄養ドリンクを置いてゆっくりしていた。

そこで齋藤も起きて回りの様子を確認し、美知子にトイレへいくと伝えてコンビニへ向かった。

美知子はイヤホンをして音楽を聞いていた。

ーーだが美知子は不振に思い始めた。

いくらなんでも戻ってくるの遅くないか?何かあったのか?

美知子はすぐに車を降りてコンビニへ向かおうとしたそのときだった。

微弱ながら殺意を感じて美知子は後ろへ後退し、すぐに構えをとる。

「ほお、ずいぶんと察しがいいこと」

そこには5人の男がいた。 齋藤はそのすぐ後ろの縁石の上で倒れていた。

(理絵ちゃん…!)

美知子はこの男がやったのだとすぐに確信した。

「何が目的なの?」

美知子は睨み付けながら言う。

「ああん?俺らの夜の遊び相手をしてもらいたくてなあ〜…」

男はニヤニヤ笑って答える。

(真ん中の男から何やら他とは違う殺気を感じる…恐らくやつは『能力者』だ)

<裏の姿>の美知子がそう囁く。

(今すぐ私と入れ替われ。でないと理絵も危ないが、事情すら知らずに寝てる蒼菜も危ない)

いったいどうしたというのか…だが二人が危険であるのに越したことはない、美知子は決心し、入れ替わる。

「さあて、しばらくなりを潜めていたから久々に暴れてやろう」

裏の姿へシフトした美知子は骨を鳴らし、戦闘態勢を取る。

「けっ、ただ人格が変わったくらいで強気になられちゃあ困るなあ〜…。てめえら、やれ」

真ん中の男は背後にいる4人に促し、4人は美知子に襲い掛かる…!

だがーーー

襲い掛かった4人はあっという間に地に伏せ、ピクリとも動かなくなっていた。

「…こいつ、人間じゃねえ…!」

1人だけ残ったその男はナイフを取りだし、齋藤の首にナイフを当てる。

「そこから動くんじゃねえ!一歩でも動いたらこの女の命はねえぞ!!」

男は脅迫じみた行為に出る。

「わかった。『一歩も』動かなければ良いんだろ?簡単なことじゃねえか」

裏の姿の美知子は不適に笑う。 そして10秒も経たない内にボソッと何かを呟いた。

「わかればいいん……ぐぁっ…!」

男はナイフを落とし、地面に突っ伏した。

「てんめえ…!何しやがった…!」

男は気力だけ持ちこたえていた。

「なんだ、同じ『能力者』なのに何されたのかも分からないのか…まあいいさ。お前はしばらくそこで仲間と一緒に仲良く寝てな」

そう言ったあと再びボソッと何かを呟いた。 男はそのまま倒れてもう起きることはなかった。

「掃討完了。そろそろ入れ替われ」

美知子は裏の姿から本来の姿へ戻り、齋藤を車に乗せて美知子は再び眠りについた。

しばらくして芝野は目を覚まし、栄養ドリンクがあるのに気がつく。

(恐らくこういう気遣いをするのは雨知葉だろうな。後でお礼を言っておかないとないとな)

芝野はそう思いながら栄養ドリンクを飲み干す。そしてコンビニを後にした。

ーーーーーーその後は何も起きず順調に進んでいった。目的地の旅館までもう少しとなったーーーーーー

2年前 No.24

あすわど @ashufia336☆mykg9AZKZ6kq ★Android=sGhw2c90Mc

コンビニを出てから1時間が経った。

後ろの五人は大きな欠伸をしながら目を覚まし、辺りの様子を見回す。

「あとどれくらいで旅館つくのー?」

蒼菜は目をきらきらさせながら問いかける。

「このまま順調にいけばあと40分前後だな。まあ場合による」

芝野はまっすぐ前を見ながら運転していた。助手席に座っている健二はいびきをかいて寝ていた。

ーー後ろから凄いスピードで車が走ってくるのを芝野は気付いた。

「おいおい、法定速度くらい守って運転しろよな〜…」

芝野はやれやれといった感じで呟く。

美知子はその車を見た。 そこにはさきほどコンビニで倒したはずの男5人が猛スピードで迫ってくるのだ。

「先生!思いっきり飛ばして!」

美知子がそう叫ぶと同時に芝野は思いっきりアクセルを踏んだ。

猛スピードで走る2台の車。どちらも譲らない。

「もっとだして!玉突き事故になっちゃう!」

美知子は芝野に大声で指示する。

「無理言うなよ!これ以上は出せないぞ!」

芝野は大声で返す。

そして目の前にカーブが出てくる。

芝野は思いっきりハンドルを切る。 後ろの車もついてくる。

もうダメだろう、逃げ切れないと思った美知子は

「ブレーキ踏んで」

と芝野にお願いした。

「ばか!今の状況で踏んだら急停止になるんだぞ!」

「分かってる。でもいいからブレーキかけて」

美知子は表情を変えず、芝野に言う。

芝野は美知子の顔を見て信用したのか、ブレーキをかけた。

すると後ろの車は急ブレーキをかけて右側へ避け、ガードレールにぶつかる寸前で停止した。

芝野はそれを見てそのまま走っていった。

「危なかった…」

美知子はほっと胸を撫で下ろす。

周りは不思議そうな顔をしていたが、気にしないことにしたようだ。

ーーーーーーもうじき彼らの目的地である温泉宿に到着する。期待を胸一杯にしている彼らは、はやる気持ちを抑えきれずにいたーーーーーー

2年前 No.25

あすわど @ashufia336☆mykg9AZKZ6kq ★Android=sGhw2c90Mc

【悪夢の予感】

芝野一行はようやく目的地である旅館に到着した。

長い間の運転であった芝野は大きく背伸びをして首を回す。

「さあて、思いっきり楽しんでいこうな!」

芝野は元気な声で美知子たちに言う。その言葉を聞いた彼女たちは満面の笑みを浮かべて頷いた。

「じゃあ、入るぞ」

芝野が旅館の扉を開ける。

「ようこそ、いらっしゃい…って大介かい?!」

旅館のカウンター席に座っていた女将さんがびっくりした。

「よう!おふくろ、元気しとったか?」

芝野はニカッと笑いながら言う。

「ったくあんたってやつは…来るなら来るって電話いれときんしゃい!たまげたわ!」

女将さんは芝野に説教するかのように小言を言い続けた。

「あ、おふくろ。うちの学校の生徒たちだ。
ほれ、挨拶しろ」

芝野に促されて美知子たちは挨拶をする。

「私は芝野玉枝と申します。大介がいつもお世話になってます」

と深々と頭を下げる。

「おいおい、世話してるのは俺の方だ。なんか違うだろ」

芝野は困り顔で女将さんに問いかける。

「だまらっしゃい!あんたはともかく、こんなかわいい生徒たちに怪我でもさせてたらどうするつもりじゃったんか!」

芝野に怒りをぶつける母親。芝野はそれを宥めるかのように反論ばかりしていた。

「ともかく、さあさ上がってくださいな♪今日はすっごいご馳走を用意してあげますからね〜」

女将さんは美知子たちを見てにっこり微笑みながら言った。

「今日1日ご厄介になります!」

見てたちは深々と頭を下げた。

「あらま、なんて礼儀の正しい生徒たちかしら!」

女将さんは嬉しそうな顔をしていた。

「大介、あんたまさか宿泊料とかとるきじゃないだろうね?」

女将さんは芝野を睨み付ける。

「これも社会勉強のためだから良いだろうそれくらい!」

芝野は大声をあげる。すると女将さんは

「あんた!」

と物凄い形相で芝野をにらみつけた。

「ここまで礼儀の正しい生徒たちは久しぶりに見たわ。大介、あんたからは取るけどこの子たちはすべて無料にする!文句あんの?ないの?」

物凄い形相で睨み付けられている芝野は顔を引きつかせながらこくりと頷いた。

「え…良いんですか?!」

美知子は大声を出してしまう。他の子達もビックリしていた。

「ええのよ、今日は特別大サービス!」

女将さんは嬉しそうな顔をしながら美知子に返した。

美知子たちはますますテンションが上がっていった。

ーーなんで俺だけなんだ…

芝野は部屋に入るも気分はすっかりブルーになっていた。

「まあいいじゃん、あんたのおかげで俺らも楽しい思いで作りが捗るからな」

健二はニタニタしながら慰めていた(?)

午後18時過ぎ、女将さんから夕食の支度ができたので宴会場に来てくれとの電話が入った。

美知子たちは楽しく話をしながらその場所へ向かった。

「わあああ!ひろおおおおおおい!!」

蒼菜が大きな声をあげて言った。 確かにとても広い。

「さあさ、みなさんお座りくださいまし。もう少しで運んでこられますからね〜」

女将さんはおしぼりを丁寧に渡し歩きしながら美知子たちに促す。

促された通りに彼女たちは好きな場所へ座り込む。

まもなくして、夕食が運ばれてきた。

とても香ばしい香りが美知子たちの食欲を誘う。

「では皆様、ぞんぶんにお召し上がりくださいまし」

女将さんに促されるように美知子たちは夕食を食べ始めた。

海鮮類、山菜類などとても豊富な夕食を美知子たちはゆっくり味わっていた。

19時頃、夕食も食べ終わり、続いては温泉に入ることにした。

美知子たちは更衣室で服を脱ぎ、銭湯へ入る。


ーーーーーーだが彼女たちは何も気付いていなかった。これから起こりうる最悪(?)の事態をーーーーーー

2年前 No.26

あすわど @ashufia336☆mykg9AZKZ6kq ★Android=sGhw2c90Mc

銭湯へ入った彼女たちは早速湯船に浸かる。

「…はぁぁぁ〜〜、いい湯加減…♪」

美知子は気持ち良さそうにしていた。

ーーー男子組は…

「おれいっちばーーん!」

と竜也がダッシュで湯船にダイブする。

見た目とは裏腹に、相当なまでの幼稚さが伺えた。

「いやああ!いい湯だぜ!」

竜也はかなり満足気であった。

するとまもなくして、隣から声が聞こえる。

「あ、理絵ちゃん胸おっきいい!」

「ちょ、そんなことないよお!」

「うおっ!でけええ!」

女子三人の声が聞こえた。 蒼菜だけ何か男っぽい台詞だと感じる男組。

「やっぱりさ…」

竜也が小さな声で囁く。

「温泉の付き物は…女湯の覗きじゃねーかと思う」

(どういう理由なのか)竜也は真剣な顔をして言った。

「お前、殺されるぞ」

海東と進に言われるも、竜也は聞く耳を持たなかった。

「湯気で良く見えねえ…」

竜也はがっかりしていた。…が、唐突に思い付いたのか、桶を土台代わりにして上から見ようとしていた。

「俺たち知らねえからな」

健二も呆れていた。

まもなくして、

「やっぱ良く見えなかった…」

竜也はやっぱりがっかりしていた。 どれだけ見たいのだろうか。

「じゃあ竜也、目を瞑ってろ。良いもの見せてやる」

健二と海東と進にそう言われて、竜也は目を瞑った。

目を瞑った竜也を3人で抱え、

「せーの!」

と同時に女湯の方へ投げた。

ーーーざっばあああぁん!!

いきなりの大きい音に美知子たちは音のした方向に向かう。

「ぶはぁっ!たく、なんなんだよ!」

竜也を咳をしながら目を開ける。

そこには美知子たちの無防備な姿が映し出されていた。

長い沈黙に入り、状況を察した美知子は桶を手に取り

「なにしてんのよ!!この変態竜也!!!」

と叫びながら桶をぶん投げた。

「ちょっちょ、落ち着け!これには深いわけが…」

と立ち上がり、宥めようとしたが、竜也の腰に巻いていたタオルが落ちてこちらも無防備状態になった。

それをみた彼女たちは顔を真っ赤にして変態!!ど阿呆!!出ていけ!!などと言いながら桶を投げまくっていた。

竜也は慌ててタオルを手に取り、急いで女湯から出ていった。

「…とんだ目に遇ったぜ…」

竜也は息を切らしながら男湯の方へ戻る。

そこにはニヤニヤしながら健二と海東と進が待っていた。

「女湯の感想はどうだった?」

健二がニヤニヤしながら聞く。

「どうもこうもねえよ…どうすんだよこのさき…」

竜也の顔は青ざめていた。

「だからやめとけって言ったのに〜」

健二は笑いをこらえながら言った。

ーーーーーーもうどうしようもなくなった竜也に救済の手は差しのべられるのだろうかーーーーーー

2年前 No.27

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その後、温泉からあがり、彼女たちに謝罪をしようとするが、彼女たちは睨んだままその場をそそくさと行ってしまった。

「あーあ、相当怒ってんなあれは」

海東は笑いを堪えながら言う。健二たちもぷぷっと笑っている。

夜9時が過ぎた頃、竜也はもう一度謝りに行こうと彼女たちの部屋に向かう。

ちょうどそこで美知子とばったり会った。

美知子は凄い目付きで睨み付けていた。

「あの、その、すんません…」

竜也は深々と頭を下げる。

「……」

美知子は黙っていた。

「美知子〜、何してるの〜?」

そこへ齊藤が来た。

「竜也くん…」

齊藤は竜也を見るなり、少し顔を赤らめる。

「じゃあ、何でわざわざ女湯に飛び込んできたか説明しなさいよ」

美知子は怒った口調で竜也に問う。

「それは、ちょっとした気の弾みで…」

健二たちがやったなんて口が裂けても言えない。

「へえ〜…、そうなんだー」

美知子から感じる物凄い棒読み感に竜也は気付いた。凄く怒ってるのが分かる。

「その、本当にすんません…」

再び頭を下げる。

「まあ今回は許してあげる。次は無いからね」

美知子はツンっとした態度で部屋に入っていった。それに続くように齊藤も部屋に入っていった。

(良かったのか?私は別に何とも思ってないから分からんけど)

裏の美知子が語りかける。

「良いのよ、初犯だし。次は無いって言ってあるから」

聞こえないように小さな声で返す。

こうして長いようで短い1日が終わった。

2年前 No.28

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次の日の朝、彼女たちは旅館の入り口に集まる。

早くでないと帰りが遅くなってしまうからだ。

「先生おっそい!!」

蒼菜は腕を組んで足をパタパタしながら待っていた。

「いやー悪い悪い。寝坊しちまったよ」

芝野は歩きながらのんきに歩いてきた。

「もう!30分も遅刻ー!」

蒼菜はぷんすかしていた。

「1日だけで本当によかったんかえ?もう一泊していっても宜しゅうございますが?」

女将さんが首を傾げて聞いてきた。

「はい、大丈夫です!お世話になりました!」

全員で深々と頭を下げる。女将さんはとても気分が良さそうな感じの顔をしていた。

こうして一同は旅館を出て車に乗った。

「大介!きいつけておくりんしゃいよ!」

女将さんが大きな声で芝野に言う。芝野は軽く手をあげて旅館をあとにした。

行きと同様、後ろの全員はぐっすり眠っていた。

健二もいつの間にか眠りについていた。

芝野は運転しながら、やさしく微笑んだ。我が子の寝顔を見ている気持ちになっていた。

そして何事もなく、16時過ぎに海鴎中学校の前についた。

全員はその場で解散し、自宅へ帰っていく。

彼らはその夜、旅行の土産話を親や兄弟などに楽しく話していた。

【這い寄る悪夢】

1月1日、何事もなく新年を迎えた彼ら。今日はみんなで初詣へ行く約束をしていたのだ。

「あっけおめーー!ことよろーー!」

蒼菜の元気な新年の挨拶は何だか落ち着く。いつも通りのその活発さに美知子はふっと鼻で笑った。

蒼菜と一緒に初詣しにいく神社へ向かう。

「美知子!蒼菜!」

声のする方を見ると振袖をきた齊藤が手を降っていた。

「明けましておめでとう!今年もよろしくね!」

齊藤は無邪気な笑顔をしながら二人に言う。

そして3人で神社に向かうと、男子組が既に着いていた。

「珍しく女子3人が遅刻してきたな!」

健二がにやにやしながら言ってくる。

「あーら、そんな口きく?服装も髪型もぐちゃぐちゃなのにー?」

美知子は健二に言い返した。 確かに健二はあたかも寝坊しました感を漂わせる雰囲気を醸し出していた。

「う、うるせー!」

図星を突かれた健二は必死に何かを言い返そうとしていた。彼女らはそれをみてかわいいー等と言っておちょくっていた。

その後、彼らは神社を回って御神籤を引いて結果発表したり賽銭箱に向かい、お祈りを捧げたり、いろいろやっていた。

そのあとは解散して家でゆっくりしていた。

もうじき3学期が始まろうとしていたーーーー

2年前 No.29

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〜5章〜【最後の締めは】

朝6時…、部屋中にアラームが鳴り響く。

それを布団の中からアラームの場所を探り、アラームを止め、10秒後くらいに起き上がる。

「あーあ、もう入学式か〜… むにゃ…」

怠そうに大きなあくびをする美知子。まだ冬休み感覚に浸っている彼女はあと2時間くらい寝ていたい気持ちでいた。

ゆっくりとパジャマを脱ぎ、制服に着替え始める。

「んー…少しだけ太ったかな〜…」

自分のお腹をつまんだりペチペチ叩いたりしていた。

所謂、正月太りというやつに朝から悩まされる美知子であった。

「美知子〜?起きたの〜?」

一階の方から母の声がする。美知子は起きたよーっと返事をして学校に向かう準備をして下へ降りていった。

「まったく、まだわけえんだからパッと起きてサッと飯食って余裕を持って出れるようにせんといかんぞ!」

父は美知子にきつくあたる。美知子ははいはい、と言うだけで聞く耳を持たなかった。

午前7時15分、美知子は家を出て学校へ向かう。

空は太陽が出ているが、季節は冬。 まだまだ肌寒い気候であった。

いつもの商店街を抜けて路地に出ると、見慣れない生徒らしい女子がいた。

「あ、すいませーん。聞きたいことがあるのですがー」

その女子は美知子を見るなりすぐ駆け寄ってきた。

「この学校に行きたいのですけど、行き方が分からなくて…」

そういう彼女はメモ用紙みたいな紙を美知子に見せる。

そこには海鴎中学校という文字がある。

まさか転校生?美知子は彼女に一緒にいこうと提案し、彼女を連れて学校へ向かう。

腰まである長い黒髪、澄んだ瞳、スタイル抜群、綺麗な顔立ち、美知子より大きいであろう胸…

美知子は何故かは知らないが少しイライラしはじめていた。

「あ、自己紹介遅れましたね。私は黒川凛です。京都から転校してきました!」

「え?京都から?なんでまた東京に?」

「実はお父さんの仕事の都合で上京することになったのです〜、私は嫌だったのですけど…お父さんが無理矢理…」

「はあ…そうだったんだ…、いろいろ大変だったね…」

二人でぎこちない会話をしていると坊主頭の男子が此方に駆け寄ってきた。

「ねえ!ここら辺詳しい?海鴎中学校にいきてえんだけどさ」

美知子はまた余計なのが増えた…と心のなかで呟いた。

結局3人で登校することになった。

「あ、俺の名前は藤井亮太!部活は野球部!よろしく!」

「私は雨知葉美知子、よろしくねー」

美知子はもう面倒くさくなり、色々と省いた。

「はーい、着いたよー。ここが海鴎中学校でーす」

誰が見ても分かるレベルの棒読み。美知子はもう早く楽になりたくて仕方なかった。

「ありがとう!職員室に行けば良いんだよね?」

「そーだよー」

「ありがとう!じゃ、ここで!」

二人は校舎に入っていった。美知子はやっと楽になれたと思い、一気に力を抜いた。

そのまま4階の自分の教室へ入る。

「あ!雨知葉さんあけおめ!」

生徒たちは無邪気な笑顔で美知子を迎え入れる!美知子はクスッと笑い、あけおめっと返した。

その後、長い始業式も終えていざ帰ろうと思った瞬間、

「今日からこの教室に仲間が増えるぞー」

と芝野が言い出したのだ。

美知子は何やら嫌な予感を感じた。

「んじゃ、おーいはいってこーい」

芝野が声をかけたと同時に教室の戸が開いた…!

2年前 No.30

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戸が開いて入ってきたのは…腰まである長い髪、綺麗な顔立ち、少し大きめの胸…間違いない、黒川凛だ。美知子は咄嗟に気付いた。

3人を除く男子はかなり興奮してるらしく、騒がしい。

「んじゃ、自己紹介よろしくー」

芝野に促されて彼女は

「初めまして、黒川凛です。京都から此方に引っ越してきました!色々と分からないとこですので何方か教えてくださると嬉しいです♪」

言い終わると同時にウインクをする黒川凛。男子はもう彼女に釘付けだった。

「はい、じゃあ今日からこの教室のメンバーだ。優しくしてやれよ!」

そう言われて男子は元気な声で返事をした。女子は軽蔑してる感じの視線を男子に向けていた。

「ねえねえ、黒川さんって和服とか着るの?」

「どういう感じに遊びにいくのが好き?」

男子は早速と言わんばかりに黒川凛に質問攻めをする。

すると黒川凛から助けてとい訴えてるような視線を美知子は感じ取った。

はあ、と溜め息をつきながら彼女のもとへ向かう。

「あんたたち、いくらなんでもやりすぎじゃないの?黒川さん困ってるじゃない。それに、もう下校時間だから帰りなさい!」

美知子は男子を叱る。すると男子はすくっと立ち上がり、鞄を持ってそそくさと帰っていった。

「ありがとう、助かったよ〜」

黒川凛は嬉しそうな顔をしていた。

……

何やら別の視線を感じる。美知子は振り向くとそこに天条院がいた。

「あーら、貴女ったら随分と雨知葉さんに馴れ馴れしいですわね?」

うわ…何か変なことに巻き込まれそう…

「あら?そういう貴女も雨知葉さんに馴れ馴れしいんじゃない?」

わああああああ!やめてくれ!美知子は心のなかで祈るばかりだった。

「そんなことないですわ。私は雨知葉さんととーーっても仲良しなのですよ?」

と美知子をちらっと一瞥する。美知子はゾクッとした。

「それがどうしたっていうの?私だってこれから友達、それから親友までいきたいと思ってるのよ?」

黒川も美知子を一瞥する。美知子はゾクゾクっとする。

「ふん、貴女には無理な話ですわ。雨知葉さんは私のものですもの」

なんという地雷発言…!美知子はビックリした。

「あーら、雨知葉さんは私のものよ!」

お前もか!

「雨知葉さんはどっちをとるの!?」

2人は美知子に聞く。いきなりすぎて答えに迷う。

「答えがないってことはおあいこね」

「そのようですわ」

(よくわからないけど)話は無事に済んだようだった。

美知子はそそくさと逃げるように帰っていった。

「とんだ目にあったわ…」

美知子はふうっと息を吐いてゆっくり自宅へ帰っていった。

ーーーだがこのときの美知子は気付いていなかった。この先起こりうる惨事に巻き込まれるということをーーー

2年前 No.31

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次の日の朝、美知子は下駄箱に何やら手紙が2通入っているのに気づいた。

表紙を見るとどうやら天条院と黒川が置いていったもののようだ。

まず天条院の手紙を見てみると…

「ごきげんよう、雨知葉さん。私と雨知葉さんの仲はお互いの体と体を密接しあった関係でもありますから雨知葉さんは私の事が好きなのですよね?ご返事は私、天条院まで直接ご報告あると嬉しいですわ! 天条院」

いつ体を密接しあった関係になったのだ!と美知子は突っ込みをいれたかった。

黒川の方を見てみると…

「このような手紙を書き、下駄箱に入れておくことをお詫び申し上げます。私、黒川凛は貴方との交友を広げていきたいと心から願っており、また、遊びに行くときなど是非ともお誘いをしてくださることも願っております。つきましては、私、黒川凛まで直接ご報告の一報をよろしくお願いします。 平成19xx年1月9日 黒川凛」

なんか知らんが堅いな… 美知子はそう思った。

そのまま教室に向かい、戸を開けるとそこには手紙の主が二人で待っていた。

「雨知葉さん!」

二人は声を揃えて言った。

「お、おはよう…」

美知子はひきつったような笑いをしながら挨拶をする。

恐らく、手紙を読んだことに気付いているのであろう、二人はそわそわしていた。

「あ、えーと…ね…」

美知子は何て切り出そうか迷っていた。どのみちこの二人を傷付けると後々面倒なことになりそうなのだと思っていたからだ。

二人は目を輝かせて美知子を見ている。まるで餌付けをしてもらっている鳥の雛のような目であった。

美知子は二人に返す言葉を探していた。

なるべく傷付けないような優しい言葉を…傷付けても何とかフォロー出来る言葉を…

美知子は考えていた。 頭の中がぐちゃぐちゃになるくらい考えていた。

だが、やはり二人を傷付けてしまうことに変わりはないだろうと確信した美知子は

「えー、こほん」

と軽い咳払いをした。

そして、二人の顔を見て美知子は言うべき事を伝えることにした…

2年前 No.32

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「じゃあ…まず天条院さんから」

美知子は天条院の顔を見る。 痛いくらい目が煌めいていた。

「えーっと…いつ体を密接しあったのかが聞きたいくらい謎。私は取り合えず友達という観点では天条院さんのことは好きだけど…性的な意味じゃ…ちょっと性別的に無理、うん。」

天条院はしゅんっとした顔になっていたが、美知子は気に止めないことにした。本当のことだから。

「黒川さんは、まあ…何て言うか…、まだ会ってそんな日が経ってないから友達として仲良くしていこうとは思ってるよ。だから特に心配することないよ?」

黒川はパーっと明るい表情に変わっていた。(天条院に勝ったことが)よほど嬉しかったのだろう

「報告は以上」

美知子はキリ良く終わらせた。

そのあとは黒川が目をキラキラさせながら美知子に話しかけてきたりなんだかんだで忙しい日になった。

そこから3日後…

美知子はいつも通りに登校しようと玄関から出て石階段を下り、商店街を歩いていると天条院がそこにいた。

「お待ちしておりましたわ!」

天条院は高らかな声で言う。

「えーっと、なんでここに?」

美知子は不安を感じながらも疑問を問いかける。

「決まってますでしょう?一緒に学校に行くのですわ!」

「え…っと…え?」

もう美知子の頭の中は混乱していた。ただえさえ朝に弱く回転の遅いこの朝っぱらから不意に起きた事態に巻き込まれたのだから。

「早くいきましょう!遅れてしまいますわ!」

天条院は先頭をきって登校する。美知子は疑問に思いながらも渋々登校することにした。

しばらく歩いていると遠くに黒川がいるのに気付いた…が、坊主頭の男子生徒に絡まれていた。

天条院は呑気に鼻歌を歌っていた。美知子は遠くの二人を見てふと何か思い出した。

「あれって藤井くん…?」

美知子の声を聞いた天条院ははっと振り向く。

「知り合いですの?」

「知り合いって言うか…んまあそんな感じ。同じ転校生だよ」

「ふ〜ん…。でも何か気になりますわね〜…」

天条院は眉をしかめて二人を見る。 美知子も二人の様子を見ていた。

「だからしつこいのよ!私はあんたみたいな奴が大嫌いなの!」

「そこをなんとか!ね?お願いだ!」

藤井は黒川に何かお願いをしているように見える。二人はそう思った。

「ほんっとしつこいわね! 私もういくから!」

「あ!待ってくれよー!」

黒川の後を追うように藤井も去っていった。

天条院と美知子は顔を見合わせて首をかしげた。

(何があったのでしょう…。気になりますわ…)

(なーんか嫌な予感がしてきた…。あんたもそう思うでしょ?)

(まあな…絶対に今回も巻き込まれると思う…)

天条院と美知子、そして裏の姿の美知子は不安な顔をして学校へ向かっていった。

2年前 No.33

あすわど @ashufia336☆mykg9AZKZ6kq ★Android=sGhw2c90Mc

教室の中に入るとふだんと全く変わらない賑やかさであった。

二人はほっと一息ついて席に座る。

そこからなにも起こらず平穏な1日を送った。

だが放課後…思いもよらぬ出来事が起こった。

「黒川!俺は、あと、えと」

案の定、藤井は黒川に対して執拗にアプローチをかける。

「ほんっとしつこい、あんたさ、他人の迷惑考えたことあるの?」

黒川は非常に迷惑そうな顔を藤井に向ける。

「何度も言うけど、あたしはあんたのこと大っ嫌いなの。もう付きまとわないで」

黒川はその場を立ち去ろうとしたその瞬間、藤井は黒川の腕を掴んだ。

「何よ!離しなさいよ!」

黒川は怒りを露にした。だが藤井は

「なんで俺のこの愛情がわかんねえんだよ!こんなに好きなのに、なんでだよ!」

藤井も怒りを露にする。

「それはあんたがしつこいからに決まってるでしょ!嫌なもんは嫌なの!」

黒川は更に反発する。

「それは俺がそれだけ黒川のことが好きだってことなんだよ!」

藤井も声をあらげる。

「雨知葉さん…どういたしましょう…」

陰で美知子と天条院は不安そうに見ていた。

「助けるか…?いや、まだ良いかな…」

美知子は頭を抱えていた。

何も起こらずに帰れると思っていたので正直ガッカリしていた。

「黒川!俺は、黒川が大好きだ!」

「ふざけないで!あんたのことなんか死んでも好きにはならないわ!」

藤井と黒川は尚も言い争っていた。

「雨知葉さん、そろそろ止めた方がよろしいのでは…」

天条院は怯えているような声を出して言った。

美知子ははぁ…とため息をついて立ち上がる。

「人格変化(フェイスチェンジ)」

美知子は目を閉じながら呟く。

「さて、どうやって止めようかな〜…」

美知子は品定めをするかのように二人を見ていた。

「決めた。よーし…いっちょやったるか」

美知子は腕を回しながら二人のもとへ歩いていった……

2年前 No.34

あすわど @ashufia336☆mykg9AZKZ6kq ★Android=sGhw2c90Mc

「おいそこのお二人さん」

美知子はニコニコ笑いながら歩く。

「雨知葉さーん!良いところに!」

黒川は小さい子供のように美知子に抱きつく。

「おい!話は終わってないぞ黒川!」

「うっさい!あんたはしつこすぎんのよ!」

まだ良い争いを続行しようとする二人を美知子は深呼吸して

「てめえらいい加減にしろや!」

と怒号を放った。

突然のことに二人は驚いた表情で固まってしまう。

「凛、お前はもう少しはっきり断れ。じゃねえとしつこく付きまとわれる」

「それから藤井、てめえはしつこすぎる。好きなのは分かったがあんましつけえとさっきみたいに嫌われるぞ。その辺気を付けろや」

美知子は二人に説教を始めた。 その様子を見ていた天条院は

「流石ですわ、争いを止めてしまうなんて…。ああ、素敵すぎますわ…」

と声を漏らした。

30分に渡る説教を終えた美知子は鞄を持って帰ろうとする。

「待って!」

と黒川は美知子を呼び止める。

「さっきはありがとう、お陰で助かったよ〜」

と感謝をする。

「いいんだよ〜、あいつもあいつでしつこかったから我慢できなくなっちゃっただけ〜」

美知子は笑いながら黒川に言う。

その後は談笑しながら二人で歩いていた。

「あ、今度さ、雨知葉さんの家に遊びにいっても良い?」

黒川は顔を覗かせるようにして美知子を見る。

「あー…たぶん大丈夫だとは思うかな」

美知子は眉を潜めて応える。

「やったああ!じゃあ遊べるとき教えて!」

黒川は無邪気な子供のように笑っていた。

「じゃ、まったねー!」

黒川はハイテンションで走り去っていく。

美知子は安堵の息を着いて家へと歩き始めた。


ーーーその後は何も起こらず、3学期が終わりに近づいた。

「はぁ〜あ〜、もうすぐ2年生になっちゃうのか〜」

蒼菜は頬杖をついてつまらなそうに言う。

「何だかんだで早いよね〜」

美知子も外を見ながら言う。

美知子からしたらこれだけ平穏な毎日を過ごせることに少し幸せに感じていた。何かと問題だったり何だったりの日々が多かったため、平穏すぎてもつまらないなとも思っていた。

「やっほー」

とそこに齊藤が入ってきた。

「理絵ちゃーん!どしたのー?」

蒼菜は齊藤の顔を見てパアーっと明るい顔をした。

「ううん、退屈だからさ〜」

齊藤のクラスも平穏な毎日を送っているようだ。

穏やかで退屈な日々をこれからもずっと送っていきたいと心から美知子は願っていた。

ーーー3学期も終わり、退屈な春休みを満喫した彼女たちは新学期が始まるのを待っていたーーー

1年前 No.35

あすわど @ashufia336☆mykg9AZKZ6kq ★Android=sGhw2c90Mc

【新たなる学校生活と恋心】

美知子たちは無事に2年生へと進級した。

「わあー!理絵ちゃんと同じクラスだ!」

蒼菜はとても嬉しそうな声で言う。

「お、進も一緒じゃねーか」

竜也もニヤニヤしながら言う。

「けどさ、なーんかおかしいと思わない?」

美知子は腕を組みながら言う。

「なんで私らいつものメンバーがこうも全員同じクラスになってるのよ。絶対裏があるに決まってるでしょ」

確かに考えてみればそうかもしれない。

美知子、蒼菜、理絵、健二、竜也、進、凛…普通に考えてみればこの7人が同じクラスになるのは極めて低確率なはず。

「で、担任はもしかしたらアイツかもよ」

美知子は顔をしかめながら言う。

ガラッと戸が開く。

「おいーっす、全員いるな?」

そこにきたのは紛れもなく芝野であった。

「だろうな〜…、俺らを取りたがるのってアイツしかいねえよなあ〜…」

竜也はやれやれといった感じであった。

(芝野先生、いつ見てもカッコいい…なんだかドキドキしてきちゃう…)

凛は胸の高鳴りを抑えきれない、バクバクと心臓が脈打っていた。

その後長い入学式が終わり、クラスに戻って席につく。

「まあ1年間宜しくな、一部7人は除いて」

最後の方だけボソッと何か口にする芝野。美知子はこれで全て察した。

放課後、7人は集まって話を始める。

「アイツ、最後の方なんか言ってたよな?聞き取れなかったけど」

竜也は顔をしかめながら言う。

「それについてなんだけど」

美知子は手を小さくあげて続ける。

「私の推測だと、来年…つまり私ら7人は3年生になっても同じクラスになると思う。アイツは意外と手回し早いからそうなるに決まってる」

「は?そんじゃあクラス替えの楽しみはないってわけか?」

「そういうこと。私ら7人以外の生徒が変わるかもって具合ね。何にせよ私ら7人は来年も一緒になるんだから」

7人はどうしてこうなったのか、少し考える。

「もしかしてさ、あたしら何か問題でも起こした?」

凛は困り顔をしながら言う。

「んーまあ…大半の原因は私。暴走しまくってるからさ」

美知子は顔をしかめながら言う。

「もう1つあげるとすれば…」

と言いかけたところにヤツが来た。

「ようそこのイツメン7人組!なーにコソコソしてやがる」

満面の笑みを浮かべながら芝野は言う。

「やましいことか?あん?それとも性教育だなんだか?」

どう見ても違うだろ変態教師。と凛を除くメンバーはそう思った。

「まあいいけどもう帰ったらどうだ?俺が怒られる」

芝野は困り果てた顔をする。

「いいじゃない別に〜。好きで集まってるのに」

蒼菜はむすーっと膨れっ面をする。

「ま、今日は帰った帰った。話なら携帯でも出来るだろう」

芝野は話を聞かずに言う。

「へいへい、んじゃ行こうぜ」

健二が立ち上がると他の6人も立ち上がり、教室をあとにする。

(やっぱりこいつらは俺が面倒見ねえと危なっかしいからな〜…無理いって良かったぜ…)

芝野は心からそう思った。

1年前 No.36

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1年前 No.37

あすわど @ashufia336☆mykg9AZKZ6kq ★Android=3gSRKlbOZ8

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10ヶ月前 No.38

あすわど @ashufia336☆mykg9AZKZ6kq ★Android=3gSRKlbOZ8

結局、最後の最後まで夏は美知子に付きっきりであった。

(凄い疲れる〜…)

美知子はそう思いながらも夏の言うことにうんうんと相づちをうっていた。

帰りまで着いてこようとしたので用事があると嘘をついて美知子はそそくさとその場を後にした。

「待て」

美知子が振り向くと後ろに諒がいた。見たらすぐ分かるほど不機嫌な顔をしていた。

「何よ、私急いでるんだけど」

美知子はむすっとした表情で答える。

「お前、夏に何するつもりだ」

諒は睨みながら聞く。

「何って何よ。そんなの私が聞きたいくらいだわ」

美知子も苛立ちが隠せない。

「俺の質問に答えろよ」

諒も苛立ちが隠せない。

「知らないわよ」

美知子は更にイライラしてきて表情が変わる。

「知らないってなんだよ、おい。ぶっとばすぞてめえ」

諒はいつになくイライラしていた。

「ふーん、やれるもんならやってみなさいよスカポンタン」

美知子はべーと舌を出して挑発する。

「てめえ!」

諒は美知子の胸ぐらを掴む。

「何よその手」

美知子は諒を睨む。

「次ふざけたこと言ってみろ。てめえの顔面ぶん殴ってやる」

諒の目は血走っていた。

だが美知子はそれを知った上で

「知らないもんは知らないわよ。私だって迷惑してるんだから」

と不機嫌そうな声で言う。

「っち」

諒は美知子の胸ぐらを掴んでいたが、突き飛ばすかのように離した。

「次はこの程度じゃ済まさねえからな」

諒はそう言って何処かへ歩いていった。

「何よあいつ。ムカつくわ〜…」

美知子は不機嫌な顔で下駄箱を開けて校舎を後にした。

7ヶ月前 No.39
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