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スターチスのドライフラワー

 ( 短編集投稿城 )
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@akira0908☆G2g5KGLD3yBo ★Tablet=UIgVrM4Ag0


  ――――――スターチスって、知ってるかい?

 そう、花のことだよ。色によって花言葉が変わる。
 紫なら「上品」、「しとやか」。黄色なら「愛の喜び」、「誠実」。そして桃色は、「永久不変」。
 スターチスは本当に綺麗な花なんだ。スターチスの花をドライフラワーにすると、色褪せない美しさから「変わらぬ心」、「途絶えぬ記憶」、「変わらない誓い」という花言葉もある。いやはや、本当に美しい。
 けれど、気付いているかい?
 ドライフラワーになった花でさえも、元はといえばただの花。

 例えばこうして、ドライフラワーとして保存された「永久不変」の桃色のスターチスをぐしゃりと掴んでしまえば、花は散る。
 それはつまり、もはや「永久不変」では無くなるものだ。

 嗚呼、スターチス。

 僕でさえ生きる意味が無いのに、花なんかに意味があってたまるものか。醜き花よ。



【初めましての方は初めまして。ご存知の方はこんにちは。短編集の方にもついに手を出しました。書き捨ての方でも殴り書きしているのでこちら共々良かったらご閲覧くださいませ。】





メモ2017/05/30 14:13 : 聖☆G2g5KGLD3yBo @akira0908★Tablet-UIgVrM4Ag0

序章【スターチスのドライフラワー】>>0


1部《 ×が届ける狂騒曲 》

【雨に香る銀木犀】>>1


【ひまわり娘】>>2


【マスカットキャンディー】>>3


【ラフレシアの謎】>>4


【青薔薇の必然】>>5

ページ: 1

 
 

@akira0908☆G2g5KGLD3yBo ★Tablet=UIgVrM4Ag0

【雨に香る銀木犀】


 「あー、あー、てすてすぅ、至急連絡ですぅ。本日豪雨となっておりますのでお帰りの際は強風と雷にお気をつけくださいませぇ。えぇ、くれぐれも死なないようにぃ」
 やけに間延びした声でいかにもやる気のなさそうな校内に流れる放送は、いつもの如く不謹慎だ。

 ―――10月初旬、まだ夏の暑さがほんのり残ったり、少し寒かったりする微妙な季節。金木犀が散り始め、強い香りを纏わせた金木犀の花は、9月に比べれば弱々しくはなったものの、次は地面に落ちて柑橘の愛想のいい匂いを振りまく。
 オレンジ色、黄色とも言える。小さくてころころしたたくさん咲くあの花は9月になると少しづつ顔を出して木々に並ぶように花をぽつりぽつりと咲かせ始めていずれは密集するように気高く咲く。そして優しく少し甘い癖になるような匂いを振りまき、10月になるとしぶとくも地で匂いを漂わせる。可愛いし匂いは強いがその強い匂いも華やかでいい、大方好きな人も多いんだろう。
 ただ、金木犀はあくまでも、銀木犀の亜種のようなものだということを忘れてはならない。金木犀は確かに美しい。いや、美しいというよりは可愛らしい。少し金木犀のなる木に触れればぽろりと落ちてしまう匂いを漂わせたまま落ちる姿もまた愛くるしい。
 ところがどうだ、この金木犀。甘ったるいとも言える愛想のいい匂いを周りに振りまくに振りまいたかと思えば、雨が降ればさっさと落ちて花を散らして、最後に強烈な芳香を残すこの花。あまりにもの潔さに儚さすらを与える暇もない。
 さて、銀木犀と言えばどうだろうか。銀木犀、例えるなら彼女は金木犀よりも遥かに気高く高潔だ。
 密集して花を咲かせる金木犀とは違い、銀木犀は小枝の先端にぽつぽつと咲く。それこそまさに孤高を選んだかのように白色の小さくも見事と言える花を持たせながら、金木犀よりも数少ない花を咲かせる。金木犀に比べて希少価値が高そうだと思わせぶりなことをしておいて、年に数回気まぐれに咲くマイペースな花。
 可愛らしい姿をしてトゲトゲとした尖ったような先端を持たせる葉を持つ金木犀とは対照的に、気高い姿をして葉っぱのトゲが細かく、全体的に丸みを帯びていて表面もつやつやしている人当たりの優しい花、銀木犀。
 香りだって決定的に違う。大層に振りまく金木犀とは違い、しとやかに、控えめに、近付かなければ感じることの出来ないような甘酸っぱい芳香はなんともいじらしい。それだけじゃない、銀木犀は紅茶としても扱われる。デート前の女性に愛されて飲まれるそうだ。

 さて、どうでもいいと言える木犀話は良いだろう。豪雨にも関わらず窓を開けてみれば、とある匂いに出会える事がある。強い音を立てて打ち付ける雨の匂いと、強い風。
 窓を開けて花をつく匂いは、雨の強い匂いと、微かに香る銀木犀。



( 意味不明かよ )




5ヶ月前 No.1

@akira0908☆G2g5KGLD3yBo ★Tablet=UIgVrM4Ag0

【ひまわり娘】


 ギラギラと輝く灼熱の太陽がコンクリートに照りつけ、100階はあるんじゃないかと思われるほどの大きなビルはゆらゆらと陽炎を纏っている。
 都会の夏は暑い。それはそれは焦げるのでは無いかと暑さで錯覚してしまうほどには暑い。
 毎年の夏休みは俗に言う避暑地へ向かう。避暑地と言っても、確かに涼しいところや何となくそんな気がする程度だったりとまぁ、言わば思い込みのような所でもあるのだが、避暑地へ向かうことには理由がある。

 「あ、今年も来てくれたんだ!」

 そう言って嬉しそうに手をぶんぶんと振り回すように振ってくるのは、ひまわりのブローチが特徴的な大きめの麦わ帽子に、腰の辺りまで伸びたサラサラとした黒髪、夏によく映える白色のワンピースと白色のフラットサンダルを履いた夏にも関わらず日に焼けていない少女の姿だった。
 その姿を瞳に捉え、呆れながらにではあるが満更ではなさそうに少し嬉しそうに頬を緩めながら、今にも駆け寄ってきそうな少女に応えるように手をそっとあげ、大きい荷物を持ちながら少女の方へ向かう。

 少女の名前は夏空向日葵(なつぞらひまり)まさに夏のために生まれてきたかのような少女、向日葵は毎年の来訪者、冬空雪夜(ふゆぞらゆきや)に抱きつかんばかりに駆け寄り、雪夜の数ある大きな荷物の一つを持つ。
 夏のために生まれてきたような少女が向日葵ならば、冬のために生まれてきたような少年は雪夜だ。

 「今年もね、いっぱいお花咲いたんだよ!」
 「ふぅん」
 「あ、興味無さそう!今までは楽しみにしてくれてたのに〜!」

 雪夜の荷物を振り回すんじゃないかと不安になるくらいの元気でそんな事を言う向日葵の姿に、思わず雪夜は少し口元を緩める。大丈夫、楽しみだよ。そんな事を言いながらあまりにもの元気で持ってきたそれなりの重量を持つ荷物を振り回しそうな向日葵の手をそっと掴みながら。
 向日葵は突然のことに恥ずかしそうに顔を赤くして俯くも、嫌そうにする訳でもなく逆に手を掴んできた雪夜の手を握り返す。向日葵の行為に次は伝染病にかかったみたいに雪夜も恥ずかしそうに顔を赤くして少し顔をそらす。
 大人にとっては子供騙しでも。

 「ひまわり!今年もすごいよ!」
 「夏空が育てたんだっけ?」
 「そうだよ」
 「今年はいつにも増して多いなぁ……よく根気強くこんな気の遠くなりそうなことできるなぁ」
 「冬空くんは雰囲気ぶち壊しの天才だね!!」
 「悪かったって。拗ねんなよ」
 「拗ねてない」

 雪夜はくすくすと笑いながらそんな事を言うも、とうの向日葵は不服そうに、それでもどこか楽しそうにぷくーっと頬を膨らませる。しばらくして2人の睨み合いっこが続いたかと思えば、同じタイミングで2人して笑い出す。
 ひまわりが咲き乱れる陽炎の夏。少女はまた一つ、少年との思い出を残す。

 ――――――今年の夏、向日葵のひまわりのように上へ上へと向かおうとする命の灯火が途切れることを、少年、冬空雪夜は知らない。




end…?




5ヶ月前 No.2

@akira0908☆G2g5KGLD3yBo ★Tablet=UIgVrM4Ag0

【マスカットキャンディー】


 ―――緑で丸くてころころしてて、噛んでしまえばガリガリと音を立てて、舐めているとそのうち消えてなくなってしまうものなぁんだ。

 今日の天気は飴らしい。飴の日は口を開けて上を向いてはいけないよって、小さい頃からパパに言われてた。でも私は飴が好きだから、何回か口を開けて歩いていたんだけど、目にあたる事はあっても、なかなか飴が口の中に入ってくれることは無かった。入ったとしても、ほとんど小粒のもので、すぐに喉を通って胃に収められてしまう。
 この前学校帰りの小学生の男の子はすっごく大きな飴を食べてたけど、あれは羨ましかったなぁ。
 飴は好き。キャンディーとも言う。飴は可愛い。色とりどりで、形や大きさもものによって全然違う。棒付きキャンディーも好きだけど、やっぱり可愛い包装紙に包まれた、特に緑色、マスカットのキャンディーが好き。口の中でころころ動かすと、少しだけ早く溶ける。パパはいつもキャンディーはゆっくり舐めるんだよって言ってたけど、私はキャンディーが大好きだから早く舐めるなんて勿体ないって思った。だからパパのいいつけを破ってたまに噛んだりもした。そのせいで歯が折れかけたけど、乳歯だったのは幸いだった。

 答えはマスカットキャンディー。可愛くてころころしてるの。マスカットキャンディーは懐かしい味。ママのおめめと同じ味がするの。だから私はマスカットキャンディーが好き。



( 意味不明シリーズ2 )




5ヶ月前 No.3

@akira0908☆G2g5KGLD3yBo ★Tablet=UIgVrM4Ag0

【ラフレシアの謎】

 ぞわぞわする。


 ラフレシアの事だ。ラフレシア、赤くて白色のぽつぽつがついてて馬鹿みたいにでかくて匂いも強烈。集合体恐怖症の人なんかが見たら嘔吐か卒倒は抗えないだろう。無論、あの花はもしかしたら集合体恐怖症でなくともぞわぞわする代物だ。
 だけど俺は、あの花が好きだ。

 集合体の塊みたいな花で見ててぞわぞわするのは勿論、それでも俺はそのぞわぞわする塊が好きだし、馬鹿みたいなでかさはなんとなく心惹かれるものもある。匂い……は流石にきついが、それもあの花の強烈的な個性だ。なんとも言えない気持ちの悪さがまた良い。
 極めつけは花言葉だ。あんな気持ちの悪い見た目をしているラフレシアだが、あいつ「夢現」なんて大層な花言葉を持っているものだ。いやはや、あんなゴミみたいな花の癖して随分とかっこいい花言葉を持っている。そのちぐはぐさが俺は好きだ。

 「嗚呼、醜き花よ。お前はなぜそんなに気高い」
 「おやめになりなさい。醜き人よ」



( 途中で飽きた )

4ヶ月前 No.4

@akira0908☆G2g5KGLD3yBo ★Tablet=UIgVrM4Ag0

【青薔薇の必然】

 とある富豪の家の庭先に一輪の薔薇が咲いた。富豪の夫人は、大層花を愛しているという。花を愛している故に、富豪の家の庭は一種の楽園のような色鮮やかな様々な花を芽吹かせている。赤や黄色はもちろん、ピンクやクリーム色、薄い水色や青、なんでも咲いていると言っても過言ではなかった。
 しかし、大層花を愛していた夫人でも一つだけ嫌いな花があった。薔薇だ。薔薇が嫌いだった。トゲが嫌いだとか、トゲが痛いだとか、そういう訳では無いらしい。ただただ、夫人は薔薇を見ると目を赤く充血させ、恐怖に震えるように肩を抱えるようにしきりに触る。花が好きな夫人は、薔薇が嫌いだった。可憐で、鮮やかで、儚い。どこか妖艶さを含む薔薇の花を見ると、切り捨てるほどに夫人は薔薇が嫌いだった。薔薇の蕾でも夫人は嫌った。薔薇の茎でさえも夫人は薔薇を切った。手折るのではない、切るのだ。荒々しく引き抜くこともない、ただ切るだけ。いっそ荒々しく引き抜いてしまえばいいものを、手折ってしまえばいいものを。わざわざ嫌いな薔薇に触れることさえ夫人は嫌がるというのだろうか。
 しかしどうだ、薔薇嫌いの夫人の居る富豪の庭に一輪の薔薇が咲いているではないか。それこそ、神の祝福の如く、奇跡のような、真っ青ななんとなく耀かしい黄金をまとっているような錯覚を見せる薔薇の花が。空からの太陽の恩恵を受けようと上を向き、今か今かと雨が降ることを願うかのように伸びた青の薔薇の花。
 夫人の薔薇嫌いを知る他人は言う。

 「夫人に見つからずよく育ってきたものね」
 「ええ、さすが『奇跡』だわ」

 夫人の薔薇嫌いは街で有名だった。富豪の夫人と言うだけで夫人の名は轟いていたにも関わらず、それに加えて花好きの薔薇嫌いだ。そりゃ名前も広まる。普段温厚で優しい夫人も、薔薇だけはどうしても嫌いだった。噂によると。噂によると、だが。夫人のお付きの占い師が夫人に言ったのだそうだ。
 『貴方の前世は薔薇の茨に絞め殺されています』
 と。そんな御伽噺もいい所、信じなければいいのにも関わらず、人が良いのか素直なのかそれとも……阿呆なのか、夫人はその言葉をまんまと信じて薔薇を嫌いになってしまった、と、そういった噂が流れている。夫人の死の原因は、前世からの因縁だという。
 薔薇の茨に殺されるなんてどんな生活してたんだ、そんな噂も一時期たったが、やはり人の噂も75日と言うべきか、二月立つか立たないか程でその噂も終わった。どちらかと言えば、その時期に有名だったのは夫人を見た占い師の前世占いとやらがそりゃもうよく当たるらしい。夫人が薔薇で前世絞め殺されている、という噂云々よりも、我よ我よと占い師に占いを乞うような人間が増えてはあの占い師はすごい、という噂が立つようになったのだ。
 夫人を知る他人は思い出したかのようにまた口を開く。

 「そういえば、最近夫人を見ませんね」
 「そうね、ああでも、最近夫人ではなく夫人の娘さんが庭の手入れをしているのを見かけましたわ」
 「もしかしたら、何か病を患ってしまったのかもしれませんね。いやはや、あの庭に薔薇が咲くようになるのでしょうか。楽しみですね」
 「ええ、楽しみだわ」

 庭先に咲いた一輪の青薔薇は、そんな話を知ってか知らずか、1枚の花弁を落とした。落とされた花弁は、土に落ちる。その様子を見ていた夫人の娘は青薔薇に近付き、青薔薇の手入れをする。
 「ううん、やっぱり、土の成分って大きいのかしら。折角青薔薇が咲いたのに、もう1枚落ちてしまったわ。それとも、お母様の死体が良くないのかしら?」
 「娘さん」
 「あら。占い師さん。……いえ、お兄様。ご苦労様。お母様の前世は、本当に茨で絞め殺されていたの?素敵な死に方ね、羨ましいわ」
 「もちろん。私は嘘はつかないよ。まあでも、絞め殺したのは前世“も”君だけどね、我が妹」
 「あらまぁ。前世はお兄様は居なかったのね」
 「それは秘密だよ」
 娘が青薔薇に水をやると、青薔薇はまた青々と明るさを取り戻す。青薔薇は、不敵に笑む占い師と、その妹の姿をただただ見ていた。土の中に眠る、茨に巻き付かれた夫人と共に。



( 久々に更新の巻 )



2ヶ月前 No.5

@akira0908☆G2g5KGLD3yBo ★Tablet=UIgVrM4Ag0

【踊る紫陽花の子守唄(壱)】

 紫陽花が咲いた。6月上旬のことだ。まだその日は梅雨入りしていなかったように思う。記憶が正しければ、梅雨入りしたのはその1週間後程だった。例年より遅いと天気予報士がテレビて言っていた……ような、気がする。もしかしたら例年より早かったかもしれない。ちゃんとしていない記憶に少しの不安を抱きつつもそんなことを思いつつも紫陽花が咲いた梅雨の始まりと紫陽花の枯れた梅雨の終盤の話をさせてもらおうと思う。まず、前書きとして分かってもらいたいのは、僕は紫陽花の花が嫌いだということだ。理由は語る中でそのうち分かってくれるだろうから、取り敢えず今は黙っておこう。そして僕は、春が嫌いだ。それをまず、前書きとして頭に入れてほしい。まあ、先にネタバレしておくと、これは何かの物語のように何かの伏線になったりフラグになったりすることはない。前書きとして、なんてカッコつけて言っているが、僕のただの自己紹介だ。この事は忘れてくれて構わない。というか忘れてくれ。それじゃあ、下らない前書き、なんてかっこつけた嘘っぱちを飛ばして、僕の紫陽花の話をしよう。例年よりも少しだけ早く咲いた赤色の紫陽花の話だ。


 ―――6月1日。
 この日、僕の住むマンションの近くの大きな家の庭に紫陽花らしき花が多分蕾を付けていた。まだまだ肌寒い日も多く、陽が照れば嫌〜に熱く少しだけ湿気をまとう、そんな嫌な日だった。毎年マンションの近くの大きな家ではたくさんの紫陽花がこの時期には蕾を付けているのだが、今年の紫陽花は昨年と比べて決定的に違うものがあった。そう、色だ。毎年紫っぽい殆ど青の紫陽花の蕾ばかりだったのだが、今年は赤っぽい蕾を何個か見つけた。と言っても、本当に一部分程度で、グラデーションのように青から紫を経てピンクっぽく、そこから赤くなっていく紫陽花の姿は、いくら紫陽花嫌いの僕でもなかなか綺麗なもんなんだなぁ、と思った記憶がある。グラデーションがどうとか、細かい色彩がどうとか、そういったこ難しい芸術的な話は僕には到底理解出来なかったが、紫陽花嫌いの僕が好きだと言えるほどには本当に美しいものだったことを覚えている。無論、この時の僕は阿呆だったので紫陽花の色違いの答えに気が付いていなかったわけなのだが。とはいえ、あそこで気付けるような人の方が少ないだろう。いてもせいぜいとんでもない天才か、もしくはとんでもない読書家か妄想癖かといった所か。ちなみに、僕はどれにも当てはまらない。成績はどちらかと言うと悪いほうだし、本を読むよりもぼーっとしてたり寝たり食ったりするほうが好きだ。妄想……は、しなくはないが、割と自負できるレベルのリアリストな僕はロマンチシズムなことはあまり考えないのだ。というか、考えても直感的にすぐに現実に引き戻される。
 6月1日は晴れだった。本当に綺麗な晴れだった。空が嫌に晴れやかで、きらきらしてて、雲が少なくて青空が見えていた。雨なんか降る様子も無かったし、その日は雨も降らなかった。雨になるどころか曇りになる事さえもなかった。僕は晴れが好きだが、雨も嫌いじゃない。低気圧で頭が痛くなるタイプだが、それさえ無ければどちらかと言うと僕は雨の方が好きかもしれない。とはいえ、夏の雨に関してはムシムシするしジメジメするしなんだか気分まで陰鬱としたものになってしまうような気がして、夏の雨ばかりはどうしても歓迎できないが。冬は雪よりも雨の方が良い。雪なんて冷たいだけだし、都会に降る雪なんてものはゴワゴワして固くて痛い。しかも冷たいし最悪だ。ただでさえ雪質が悪いってのに、わざわざアホみたいな雪を降らせてくるなんてことは勘弁して欲しい。僕は雨の方が好きなんだ。冬の雨は確かに寒いが、雪に比べるとマシだ。まあ、一番の素直な理由を言ってしまうと雪が降ると歩くのが心底面倒くさくて学校に行く気が削がれてしまう。
 この日、学校ではとりわけ特別なことは無かった。いつも通りのつっまらないくっだらない授業を受けていた。授業を受けていたとはいえど、あれはもはや授業を受けていたうちに入らないし、なんならあれはぼーっとしていただけで聴いているふりをしてるに過ぎないのだ。だから成績が悪いというのも分かっている。分かっているし相応に理解しているのだが、やはり耳が痛くなるというか頭が痛くなるというか猛烈に眠くなるというか。欠点だらけの授業を何故まともに頭を働かせて聞かないといけないんだ、と思うと、どうしても学校の授業だけはきちんと頭を働かせて聞く気にはなれなかった。学校の授業を聞いている時に大体僕が考えていることといえば、お腹がすいただとか、眠いだとか、話長いなだとか、この先生嫌いだなだとか、その辺の普通の人と大して変わらない。というか授業中に真面目に先生の話を聞いてるやつの方が少ないんじゃないかと僕は思う。個人的な意見ではあるし、そこはどうなのかは僕は分からない。
 6月1日。これが僕の6月1日の話だ。いつも通りだ。ただ、蕾が出始めたという決定的で大きな進歩が紫陽花にあるという報告は欠かせないだろう。ああ、そうそう。ちなみに、紫陽花の花が開き始めるのは6月3日なので、そこまで時間を進めたいと思う。……ああ、なんだか眠くなってきてしまった。1度ここで語るのをやめらせてもらおうと思う。眠い。ただただひたすらに。
 こんな日は雨の音でも聞いて寝るとしよう。それではそれでは、6月1日の話はここまで。


2ヶ月前 No.6

@akira0908☆G2g5KGLD3yBo ★Tablet=UIgVrM4Ag0

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1ヶ月前 No.7

@akira0908☆G2g5KGLD3yBo ★Tablet=UIgVrM4Ag0

【花は誰かの死体に咲く】

 花は誰かの死体に咲くというが、それは本当に死体の上から花が咲くのか、それとも何かの比喩表現なのかと考える人は居るのだろうか。
 いや、こんなのすぐに分かるだろう。花は誰かの死体に咲く?そりゃそうだ。墓に行けば花は添えられる。骨の上に花が置かれている時点で花は誰かの死体に咲いていると言えるだろう。死体の上から土が被せられて、そこに年月がたって花の種子が飛んできて死体の眠る土の上で根を張って花を咲かせ。それだって誰かの死体に咲いていると言えるだろう。
 つまりの所、この言葉に決まった定義はないと思う。考え方なんて自由ではあるが、この言葉は単なる事実を表しているだけであって、綺麗な何かを伝えたいわけでも命の尊さを伝えたいわけでも都市伝説でもなんでもない。ただただ、事実を伝えているだけのつまらない与太話の一つであるということに気がつける人間がこの世に何人いるだろうか。
 それはきっとオレだけなんじゃないかと思う。どいつもこいつも何でもかんでもロマンチックだの運命的だの臭くて痛くて聞いてるだけでうんざりするような言葉を吐いてくる。それを毎日のように嫌でも耳にする方の気持ちを考えて発言してほしい。オレのように、とまでは言わないが、オレのようなそんな与太話の一つであることに気がついている人間に対しての配慮が欲しいと思う。
 配慮。そう、それだ。それがこの世界の馬鹿共には足りない。オレだって確かに足りないと言われればそうかもしれないが、それは馬鹿共に対しての配慮をしてないだけであって、オレと似たような奴らにはちゃんと配慮している。配慮のできないやつに配慮をしたところで何も得はしないが、配慮のできるヤツに配慮をすれば相手はもっとオレを配慮してくれる。それ以上のことは無い。
 つまり、この世界は何もかも事実しか語っていない。正義や悪と言ったものは少ししかない。いや、もはやここまで来てしまえばないと言ってもいいだろう。人にはそれぞれの考え方があるというが、そのそれぞれの考え方を一つづつ見たところで分かることは誰もが行う全てを心のどこかでは正義だと信じているという事だ。

 さて、話を戻そう。なんだったか、花は誰かの死体に咲く、だったか。
 なんでいきなりこんなオレの言うところの与太話の一つを持ち出したか分かるか?簡単な事さ。人が死んだ。しかも厄介な事にオレの知ってる人間だった。そしてもっと厄介な事に配慮のできる賢しいヤツだった。オレ程で無いにしても、オレと近しい考え方を持った少ない理解者だ。
 と言っても、オレはそいつの事をそれ以上に思っていないし、同じ考え方を持っている、以上のことは何も知らない。そしてそれはあいつも同じだろうし、あいつは配慮はあるがプライドの高い面倒な人間でもあった。詰まるところ、オレと同じ考え方を持っている、なんてことはあいつのプライドを逆撫ですることであって、もしもあいつが生きていたらオレの言葉を聞いて酷く憤慨しただろう。数少ない理解者を自ら突き放すような阿呆な事はしない。
 短絡的に言うなら、配慮のできるプライドの高いオレと同じ思考回路の男が死んだ。人の死を間近で見るというのは初めてのことだったが、それに対して特に恐怖は抱かなかった。だからといって高揚感も抱かなかった。お、死んだ。本当に死んだ。その程度だ。それ以上に思うこともない。元々、プライドの高い男とオレのような自虐心の塊のような男は気が合わない。そんなことは誰が見てもわかるだろう。それにプライドの高い男はオレと違って人との交流、コミュニケーションを取るのがうまいやつだった。オレは別にコミュニケーション障害とやらを患っている訳では無いが、人と話すという無駄な労力を使いたくなかったし、それと同じように時間を掛けたくなかった。
 聞いて驚け、プライドの高い男が死んだことはまだオレ以外知らない。何せ今しがた目の前で死んだばかりだから。オレ以外知るわけがない。まあ、広まるのは大方明日か明後日、早くても今日の晩だろう。オレはこの事件のほとぼりが冷めるまで色々問いただされることがあるだろうが、オレにとって何も問題は無い。全てを口に出してしまえばそれで終わるのだ。嘘を吐かなければ終わるのだ。何も隠すことはない。
 さて、警察を呼ぼう。むしろここで警察を呼ばないと余計な疑いがかけられてしまう。この死体から本当に花が咲くところを見てみたかったものだが、そんなことをしてしまってはオレは余計な罪を被る事になってしまう。死体遺棄になってしまうのだろうか?そこの所は分からないが。
 一瞬死体を持ち帰ってこの男に花が咲くのを待ってみようかとも思ったが、死体をだき抱えるなんて勘弁だ。腐臭もするし、最悪なことにオレには神経質な姉貴がいる。そいつにバレたらオレは余計な罪をまた被る事になる。それに、死体に咲く花というのは色々形はあるのだし。水葬だったらどうなるのかと気になることはあるが、ずっと深くに堕ちて海の花とやらが咲くんじゃなかろうか。
 オレにはよく分からんが、それもそれで良いだろう。鳥葬にしたって、鳥の腹の中に詰められた後に鳥が死んだ時にその上にまた花が咲く。そんなもんだろう、この世界は。
 ポケットの中に入ったスマートフォンで警察を呼ぶ。場所はどこかの倉庫みたいだった。GPS機能とやらを使ってくれと頼む。近くに電柱は無いかと聞かれたが、この使われなくなった倉庫にそんなものは存在しない。死因は分かるか、誰かに刺されたような跡がある。他に誰かいるか、黒い服を着たいかにも犯罪者みたいな男がいる。それだけ。

 「さて、どうするか」

 オレは頭をかいた後に横たわるプライドの高い男と、その少し先に居る横たわるナイフを持った黒い服を着た犯罪者みたいな男を見た。横たわった犯罪者みたいな男も死んだ。そしてオレはそれを見てあ、死んだ。としか思わなかったが、犯罪者みたいなこんな男の死体にも何れ花は咲くのだろう。
 それを思うと少し皮肉な気持ちにもなったが、オレは2人に手を合わせて警察が来るのを待った。
 そうそう、言い忘れてたが犯罪者みたいな男が持ったナイフには血痕がついてる。プライドの高い男と、犯罪者みたいな男の二人分の血痕だ。見たオレは知っている。この2人に花が咲くのをオレは待ってみよう。先に咲くのはどっちだろうか。
 犯罪者みたいな男に刺されたプライドの高い男だろうか。オレが刺した犯罪者みたいな男だろうか。甚だ分からん。

3日前 No.8
ページ: 1

 
 
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