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手探りで生きてく。

 ( 短編集投稿城 )
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@nekozuki13 ★P5OM3y56Vz_YGE

低浮上なので、あんまり更新できないです。

週一くらいで更新できたらなって思います。

思いついた短編書いていきます。

暖かい目でみてください。

ページ: 1


 
 

@nekozuki13 ★P5OM3y56Vz_YGE

「ぶっふぁ!ごめん!」
3行目を読んだあたりでついに彼女が吹き出した。
若干涙目になっている。
「……別にいいけど」
「ごめんね、悪気はないんだ」
おそらく言葉通り悪気も悪意もないんだろうけど、
まだ肩が震えてるのがどうにも解せない。
「そんなに面白いか?」
「いや、その、」
口元をごにょごにょと誤魔化しながら
彼女が目をそらして遠くを見る。
つられて遠くを見る。
そこには小さくなった街と青い空が展開されていて。
「あーあ」
さっきの表情から一転して、心底つまらなそうに彼女が呟く。
「なんでこうなったんだろ」
それはこっちのセリフだ。
再び視線を戻して、彼女に渡された封筒を開ける。
彼女の、遺書を。

それは、奇妙な偶然だった。
屋上が空いてるうちの学校は昼休みなどは
弁当を食べる生徒が数人居たりするけど、
授業中に風が強い屋上にくる物好きな人は
少なかった。
その人がいないであろう時間帯に飛び降りようと
屋上のドアを開けたら、彼女が靴を揃えたところだった。
同じ日に、同じ時間帯に、
同じ場所で、同じことを考えて、
僕は彼女と出会ったのだった。


「でさー、なーんでしのう
なんて思ったわけですか?」
茶化しながら、しかし有無を言わさない気迫で
彼女は僕に尋ねる。
「……いろいろ」
「これに書いてることだけじゃなんのことか
ぜーんっぜんわかんないんだけど」
僕の言うことをかんっぺきに無視して
彼女は僕の書いた遺書を手でヒラヒラと仰ぐ。
風に飛ばされそうだ。
「君に関係ないよ」
冷たく言い放つとまあねと彼女は案外あっさりと引き下がった。


「なんで!?」
彼女は最初そればかり繰り返して
僕をたじたじにさせた。
不平不満を爆発させたのか、
軽く10分は怒られた気がする。
無論僕も同じ心境だったし
むしろ僕もなんでここに彼女がいるのか
疑問しかなかったけど、
「空が綺麗だったから、」
ふと漏らした呟きを聞き逃さなかった
彼女は、ふっと優しい目つきになって

「わたしも、青い空を最後に見たかったの」

そういって柔らかく微笑んだ。


3ヶ月前 No.1

@nekozuki13 ★P5OM3y56Vz_YGE

「今日はもう死ねないかな」
少し残念そうに彼女は呟く。
ちなみに彼女は一つ上の先輩らしい。
タメ口でいいよと許可されたけれど。
「同じ日に死んだら心中に見えちゃいそうだし」
それはたしかに嫌だ。
心の中で同感の意を示しながら、
もう一度彼女の遺書を読む。
薄桃色の封筒に入ってた
手紙にはか細い字で短く、

ごめんなさい

と書かれただけだった。

「あのさあのさ、」
彼女が思いついたように僕に話しかける。

「遺書交換しない?」
「え?」

「それでさ、また死にたくなったら
取りに行くの。返してくださいって」
とりあえず私は今日は死なないから。
君も今日は死なないで。
そういって彼女は微笑む。

「いいですよ」

なんでそのときうなずいたのかはわからない。
僕が抱え込んでる問題は深刻で、
彼女にも僕にも誰にも解決できないことだったけれども。
とりあえず死ぬときは彼女に会いに行こう。
なんとなくそう思った。

授業のさぼりは先生に怒られて。
そのときから数ヶ月経った。
彼女はまだ遺書を取りに来ないし、
彼女が取りにこないということは彼女は
がんばって生きてるんだってそう思って
僕も彼女に会いにはいかなかった。
それからいろいろあった。
辛いことも苦しいことも悲しいことも、
勿論死にたくなることもあったけど、
僕は生きている、みたいだ。
薄桃色の封筒はあの日からずっと肌身離さず
持っている。それはきっと彼女もそうだろう。
そして僕はその封筒を見るたびに思い出すのだ。
死にたくなるくらいに綺麗だった青空と、
死なないでと笑った彼女のことを。

3ヶ月前 No.2

@nekozuki13 ★P5OM3y56Vz_YGE

*新しい話*

「またかよ…」
傷だらけになって帰ってきたあたしを見て
彼は諦めたように毒を吐いた。
しかたないよ、と小さく笑ってみせる。
「だって、ほんとだったら、
あたし死んでたんだよ」
「__のおかげであたしは生きてる」
「生きてるだけで、あたしは幸せだから」
言葉をつらつら重ねながら、
あたしはふと昔に思いを馳せる。
まだ「まとも」だった二人の頃を。



遠い昔。遠い記憶。
「…これあげるっ」
「いいの?ありがと!」
その日、小さくて綺麗な花がほしいと
なんとなくで口にしたあたしのために、
わざわざ遠いところまで花を摘みに行った彼。
あたしは無邪気に笑って見せた。
汗と泥だらけで、かすり傷も少なくなかった彼は
それでも笑い返してくれる。
「好きだよ!」
そういうと彼は驚いて目を伏せる。
「ぼくも」
短く言ってそっぽを向く遠い昔の彼。
心なしか少し頬が赤くて。
その言葉が嬉しくてはしゃいだあたしは、
「ずっと一緒だよ!」
そんな約束までしてみたり。
遠い記憶の遠い君。
あの頃の思い出は、ずっと綺麗だ。



3ヶ月前 No.3
ページ: 1

 
 
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