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面のないさいころ、

 ( 短編集投稿城 )
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ししくれ @kmnkha ★5ZJqsyRP6V_CBa

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(   不出来な僕を愛してくれてありがとう。さようならって言えなくてごめんね。   )





   ◇ししくれの脳内詰め込み。
   ◇ふわっとゆるっとした物がきっと多め。
   ◇いいねやサブ記事へコメント下さると喜びます。
   ◇同性愛ばちこい。





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1年前 No.0
ページ: 1


 
 

ししくれ @kmnkha ★5ZJqsyRP6V_CBa

 十月三十一日はハロウィンだと知ったその年、化物が来るのをわくわくしながら待った。

「お化けは?」

昼になっても中々現れないので、母にそう聞いた。母はそこら中にいる白くて可愛らしいわたがしみたいな絵をを指差して「あれよ」と言った。不服だった。納得できない様子のタツオを見て、母親は「お化けってのは恐いのよ? たっくんを連れ去ってしまうのよ?」と言った。子供が化物のことを格好いいヒーローと勘違いしていると思ったのだ。然し違った。タツオが想像していたのはもっと醜く、強く、恐ろしい奴だった。それこそ自分を連れ去ってしまうような、そんな恐ろしいやつだった。

「連れ去ってくれたら良いのに」

 両親が嫌いなわけでも、何か嫌なことがあったわけでもなかったが、恐ろしいものに連れ去られたい、全てを破壊し尽くして欲しいと強く思っていた。母は子供の戯言だと言って相手にしなかった。

「それなら、ゆうくんやれなちゃんを殺してくれたら良いのにな」

 すると母親は小学校で何かあったのかと尋ねてきた。不安そうな顔だった。なんでそんな顔をするんだろうと思った。小学校で何かあったわけではなかった。至って普通。平凡で幸せだった。それが無性につまらなかった。

「別にゆうくんやれなちゃんじゃなくて、パパやママでも良いよ」

 そう言った時、母親の顔から血の気が引いた。わなわなと唇をふるわせ、何か言おうとしたようだが言葉にならず、母親は思いっきり頬を叩いた。幼いタツオの肌はまだ白くて柔らかく、その後が赤く残った。しばらくして母親は平静を取り戻すと「人の命は大切なのよ」と言った。「叩いてごめんね」とも言った。人の命が大切な事くらい知っている上でそう思ったんだ、という言葉は飲み込んだ。母の顔が真っ青だったからだ。今迄そんな顔見たことがなかった。言ってはならないことを言ってしまったのだと悟った。自分は変わった人間として生まれてしまったんだ。誰のせいでもない。生まれもったものなのだ。幼いながらにタツオはそう感じた。しかしそれでも破壊を渇望する心が留まることはなかった。



   ▽


 ハロウィンが終わって、タツオは化物がいないと知った。誰も何もを壊してくれないのだと知った。それなら自分で壊すしかない。タツオは父と母を殺すことにした。タツオは両親を殺すために、まず、ガムテープを探した。父の大工用具の中から簡単に見つかった。包丁をとろうとおもったが、バレるかもしれないと思いやめた。代わりにナイフをとった。二つを自分の部屋に隠した。
 その日父親は泥酔して帰ってきた。水を飲みながらソファで寝た。気持ち良さそうだった。寝言で何かを呟いていた。母親はタツオと二人で寝ていた。タツオは母親が眠る迄、横で眠ったふりをした。母が眠ったのを確認してから、隠していたガムテープを母の口に貼った。次に、ナイフを取り出し母の足を刺した。足を刺せば動けなくなる。そうしたら逃げられないだろうと考えた。身体は撓り、タツオに尽くした。初めて身体と心が一つになった気がした。自分の身体はこのためにあるのだとさえ思った。ナイフは面白いほど簡単に母の足へ入っていった。続けざまに母の足を刺した。何度も何度も刺した。母が小さな呻き声を上げて、目を覚ましたので、タツオは驚いた。逃げることや叫ばれる、そういうことは考えていたが、所詮子供。起きるという考えはどうしてか微塵も頭の中になかったのだ。その時、腕を刺していないことに気づきゾッとした。テープが接がされればその声で父親が起きてしまうかもしれない、と。しかし母は暗闇に目も慣れておらず、自分が子供に刺されていることなど分からなかった。そこでまず子供の安否を確認しようとして、隣に子供が居ないことに気付くとパニックに陥り、テープをはがすでもなく、塞がれた口で喚き始めた。タツオはその危機的状況に高揚した。驚きと同時にゾクゾクとした快感が身を包んだ。

「ママ……、ママ」

 母親の横へ行くと、タツオは震えるような声で言った。母はタツオの存在に気付き、抱きしめようとする。その瞬間にナイフをつき刺した。ありったけの力で刺した。ナイフは運良く心臓に当たり、母は死んだ。あっけないなとタツオは思った。いつのまにか高揚感は消えていた。
 まさか妻が子供の手によって殺されてるなんて考えもしない父は大きな鼾をかいて寝ていた。タツオは電気をつけた。父は明かりがついてもよっぽどのことがない限り起きないことを知っていたのだ。タツオは台所から包丁を取り出した。ナイフなんかより、ずっと強そうだったからだ。母親と同じところを刺した方が良いと考え、胸部に包丁を振り翳した。今回は心臓に当たらなかったようで、父は苦しそうに目を覚ましたが、子供が自分を殺そうとしているという状況に、痛みと衝撃と恐怖で父親はぴくりとも動けなかった。タツオはそこへ躊躇なく包丁を刺した。何度も何度も刺した。胸を狙えばいつか死ぬだろうと思った。案の定、父は死んだ。
 涙をこぼしながらタツオは笑っていた。両親が蘇らないことが悲しく、しかし同時に両親が壊れたことが嬉しかった。高揚感とも違う、不思議な感覚だった。それが何とも言えず心地よかった。

1年前 No.1
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