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理科室の二人

 ( 短編集投稿城 )
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★tuk3624yQ7_mgE

とても寂しかった。
誰にも使われず、気味悪がられ、埃を被っていたその時、

「あれ、こんな所に置いてある」

彼女は僕に気付き、綺麗に掃除してくれた。
丁寧に、丁寧に、隅々まで。
「これでよし、古い型だけど、とても立派な『人体模型』ね」

アリガトウ

「え?」
理科室を出ようとした彼女は、教室を振り返り、一瞬こちらを見た。
「またね」
微笑みを向けて、鍵を閉めて行った。

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★tuk3624yQ7_mgE

林 姫子 (16)  ここに転校してきて二ヶ月。

「ひめこぉ、いい加減吐けよぉ・・・こっちだって期限があるんだからよぉ」

牧田 蕾。クラスの中心人物。
有名人が出入りする大きな会社の社長の一人娘で、明後日、蕾が任されたという企画があるらしい。
その企画に、私の知り合いを出演させたいから、紹介してほしいと言うのだ。
けど、彼には、ある『事情』があって、とても紹介できなかった。
「はぁ、もういいよ、行こ。リナ、マイ」
紹介することを断った日から蕾達は私を悪者扱いして、しつこく付き纏ってきた。
きっと、企画が終わってからも、これは続くだろう。
今の状況だと企画は盛り上がらずに失敗する可能性がある。その恨みを含め、卒業まで。
「大丈夫、私が悪いんだから、私が怒らせちゃったんだから・・・」
よろよろと立ち上がり、手や腕にできた傷に触れた。
こんな傷、今の私には何の意味もない。

〜理科室〜

「遅れちゃってごめん、ハルくん」
「姫子…またやられたのか?ひどい傷じゃないか」
傷だらけの手を優しく握ってくれる、綺麗な指。
いつまでも続かない二人の時間。人が死ぬのと同じように、私たちもいつかは、壊されてしまう。

8ヶ月前 No.1

★tuk3624yQ7_mgE

ハルに初めて出会ったのは、入学してすぐの頃だった。
理科が大好きな私は先生に許可をもらって、理科室の見学をしていた。
準備室の奥、隅の所に、埃を被った一体の人体模型が置いてあった。
何となく可哀想に見えて、こっそり掃除をした。
帰ろうとした時、「ありがとう」と聞こえた。その時はまだ空耳だと思っていた。
次に理科室へ来ると、一人の青年がいた。
「こんにちは」
青年は暗い顔で振り向き、顔をじっと見つめると、優しい笑顔で挨拶を返した。
「こんにちは」
なんて整った人だろう。
理科室の物をいじりながら、話しかける。
「私、一年の林姫子。あなたは?」
「…ハル」

2ヶ月前 No.2
ページ: 1

 
 
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