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天草 @asr0m☆wJ34wCJ9iTk ★u6JZxFeHLy_651





いちごみるくだって、わたがしだって、あの子だって
全部君のものだよ !








# 前置きみたいにふわふわした物だけじゃないですヨ !
# 感想はサブ記事にくれると有難いです 。
# とってもとっても不定期 。
# 気に入ってくれたら垢の方でも絡んでくれると嬉しかったり 。

1年前 No.0
ページ: 1


 
 

天草 @asr0m☆wJ34wCJ9iTk ★u6JZxFeHLy_651




「一緒にいても楽しくないんだ、ごめん」

君はそう僕に言い捨てて踵を返す。
僕はその後ろ姿をただただ眺め、静かに涙を流すことしか出来なかった。

あれから一体何日たったのだろう。
一日一日が凄く長くて、体はまるで鉛の様に重くて。
ベッドから起き上がり、傍にあるカレンダーを見る。
ああ、今日は君の誕生日だ。
だからと言って僕が祝うって事でもないけど。

「そういえば、あの日にプレゼント渡すつもりだったなあ……」

机に置かれた小さな小包を見て、僕は小さく自分を嘲笑う。
どこにも行き場の無くなった中に入ってるテディベア。
今の僕と同じ状況だね、そう頭の中で思いながらも再びベッドに倒れこむ。
でも、ありがとうも伝えてないしな。
ちょっとくらい、話してやろうか。
久々にスマホを手に取り、君の連絡先をタップする。


「久しぶり、」

1年前 No.1

天草 @asr0m☆wJ34wCJ9iTk ★nHImXsPksa_PPX



「お前、目見えないんだっけ」

僕の病室の何処かでそう呟く。
大体、僕のベッドの近くかな。

「うん、見えないよ」

僕の見ている世界は空虚。
セピア色でも、モノクロでもない。真っ暗な世界。
どうして目が見えないのかなんて詳しくは聞かされない。
僕には真っ暗な世界しか見えないんだ。
きっとこの先だって、ずっとそう。
けれど君はいつだって傍に居てくれるんだ。
ただただ僕の隣にいる。
それはきっと、僕の生きる意味であり此処に居る価値なのだろう。

「これ、やるよ」

そう言われ寝たままの僕の胸元に何かが置かれた。
匂いと音でなんとなく理解出来た。

「なんで花束?」

問いかけた僕の言葉は届いてるはず。
だと言うのに君は何も答えない。

時間だけが流れて“もうそろそろ帰るね”と君は僕にそう言った。
その後小さく何かを呟いた君。
けどそれは聞き取れなかった。
僕の心はもやもやしたまま、君は病室を出ていく。

結局、なにがしたかったのか分からずに帰っていった。

「……花束置いていくなんて、かっこつけてるなあ……」

そう思いながらも貰った花束を置かれたまま僕は目を閉じた。

次の日の朝、僕の母親が病室に訪れた。

「わあ、すっごい綺麗な花束ね」

「何の花なの?」

「えっとね、スターチスとアネモネっていう花よ」

そう言われても花に詳しくない僕にはパッと浮かばない。

「スターチスの花言葉は変わらぬ心、アネモネの赤は君を愛す、アネモネの紫は貴方を信じて待つ……」

「すごい素敵」

そう笑い、言い返すと母親は花瓶にそれを生けた。

思い返すと僕は君と元恋人同士の関係だったんだ。
僕も君も別れても、両思いのままだった。

「 ごめんね、愛してるよ 」

そう小さく呟くと僕の頬に涙が伝った。

1年前 No.2

そう @asr0m☆wJ34wCJ9iTk ★7PBov3XgkU_r7l





「もう死にたいよ、殺してよ」

そう呟くぼくに君は

「なら死ねよ、死にたいんだろ」

と言い捨ててぼくの頬にナイフを宛てがう。
その刃物の冷たさに驚くのはぼくの体温が高いから?
君はふふ、と小さく笑えば宛てがったナイフを横に引く。
あ、出た。
ぬるっとした感触が伝わって
君はそれを恍惚そうに眺めてて

「やっぱ死ねないよ」

「どして?」

「君の素敵な顔を誰よりも近くで見たいから、」

1年前 No.3

双碑 双 @asr0m☆wJ34wCJ9iTk ★iPhone=b2u1EwJLcZ




20XX年10月9日
はじめてあなたと付き合った。

20XX年11月9日
はじめてあなたと手を繋いだ。

20XX年12月9日
はじめてあなたを抱きしめた。

20XX年1月9日
はじめてあなたにキスをした。

20XX年2月9日
はじめてあなたと繋がった。

20XX年3月9日
はじめてあなたに殺意を抱いた。

20XX年4月9日
はじめてあなたを殺そうと決意した。

20XX年5月9日
はじめてあなたを殺した。

20XX年6月9日
はじめてあなたとの思い出を振り返った。

20XX年7月9日
はじめて殺すんじゃなかったと思った。

20XX年8月9日
はじめてあなたにとても会いたいと思った。

20XX年9月9日
はじめて冷たいあなたに触れた。

20XX年10月9日
はじめて付き合って1年たった。
去年のあなたは、笑っていたあなたはもう私のそばに横たわる死体。
会いたいと嘆いても2度と会えないのがわかった。
どうやったら会えるのか考えた。
私も死ねばいい。
そう思って包丁を手にして、すっかり気持ちの悪い死骸になったあなたと手を繋いで、口付けを交わして包丁で心臓を刺した。
移りゆく四季の中でずっとあなたといられた。どのような場所でもそばにいてくれた。死ぬまで一緒だ、なんて言ってたけど本当だった。ああ、大好きだよ。
こうやって思い出して記憶の中に日記を書き残していて思った。
どんな時、どんな場所でも私だけが好きだった。
あなたから手を繋ごうとした事もキスした事も抱きしめた事も繋がったこともなかった。偽りの愛と今知った。

もう、いいよ。

消えちゃうから

(/何がしたかったんだろう)

1年前 No.4

双碑 双 @asr0m☆wJ34wCJ9iTk ★iPhone=b2u1EwJLcZ




嫉妬して、両手は血塗れ。嘲笑う君。転がった咳止め薬の瓶。ピンクの剃刀。

「私はあなたの役に立った?」

「んー、少しは立てたんじゃない?」

クスクスと嬉しそうに笑いながら私のそばにあるピンク色の剃刀を握って私の腕を切り刻む。

「痛いよ」

「痛くなきゃ、意味が無いでしょ?」

口は笑っていて目は笑ってない。

「それもそうだね」

力無く微笑んでいる私を蔑む。
それはとても醜くて気持ち悪いもの。

あ、目の前、が。
クラクラ、する。

「あーあ、また死んじゃった」

誰もいないはずのこの部屋に誰かの笑い声が木霊する。
そして"まあ、仕方ないか"と呟いた。


きみはわたしだよ。?
わたしはきみだよ。?

君がわたしを狂わせて、私が君を狂わせた。君の身体で私の身体。

ずっと、ついに。


(/死ネタ多すぎ不謹慎自重……二重人格の女の子を書きたかった。)

1年前 No.5

双碑 双 @asr0m☆wJ34wCJ9iTk ★tpOncpVj2T_giO





※ BLにつき観覧注意 ※






「……そこ……だめ…っ」

頬を赤らめて感じながらもそう抜かす兄貴。
勿論説得力は皆無だ。

「兄貴、全く説得力ないから黙って」

片手を動かしつつも相手の口を塞ぐ。
口を離せば小さな吐息が聞こえる。
すっかり俺にハマってる兄貴が、愛おしくて仕方がないんだ。

「ねえ、兄貴…?」

「な、な…んだよっ…!」

涙目でこっちを見ては恥ずかしそうに目を逸らす。
ああ、可愛い。愛おしい。
例え、双子の兄貴だとしても。結ばれる事のない関係だとしても。
俺は兄貴が

「大好きだよ」

そう耳元で囁いた瞬間、相手の身体がビクンと跳ねた。

事後、二段ベッドの上に登る兄貴に

「なあ、俺の事まだ好きになんないの?」

と問いかけた。返事はいつも決まってる。
少し言葉が違えども、趣旨は一緒だ。
数秒の間停止したあと、べっ、と言わんばかりに舌を出し言う。


「だーれがてめえみたいなゲスい弟可愛がってやるかバーカ」


(/ツインズホモは世界を救います、きっと。)

1年前 No.6

セイ @asr0m☆wJ34wCJ9iTk ★SXiOwBxxxE_XcE





「赤いの弾ける、ってなんだと思う?」

林檎を一囓りしてこっちを見た。

「アンタが今囓ってるモノじゃないの?」

手に持った林檎を指差して、あなたに答える。
アンタはその林檎を続け様にシャクシャクと囓り続ける。

「自分さ、柘榴だと思ってたんだ」

そう小さく呟いて微笑んだ。

「そう、でも私は他の物を連想したけどね」

囓るのをやめてこっちに目をやり、こう述べるアンタ。

「なに?」

「人間」

私はその単語を口にした。
飛び降りて出てくるのは無論血だ。
人間にはそれが詰まっている。
飛び降りて、コンクリートに打ち付けられて弾けるものは無数の赤。
赤というか、赤黒いのほうが正しいのかもしれない。

私が人間と述べて何秒かのタイムラグがあった。
林檎を最後の一口まで囓って、ヘタをゴミ箱に投げ入れる。

「やっぱりそうだよね」

アンタはくす、っと笑って“ぼくたち、歪んでるね”と小さく呟く。

そんなお互いがお互いに大好きだから。

(/何がしたかった???)

1年前 No.7

双碑 双 @asr0m☆wJ34wCJ9iTk ★iPhone=b2u1EwJLcZ




「みんなーっ!今日もありがとーっ!」

沢山の色の光が左右に揺れる。
言葉を発した瞬間に大きな歓声があがる。

「いつか私もお姉ちゃんみたいなアイドルになれるかな?」

そんな姉の活躍を見て目を輝かせる妹。
テレビに釘付けで母親のご飯が出来たよ、という合図にも気が付かない。

「アイドルになりたいの?」

私はまだ小さな妹に問いかける。

「もちろん!お姉ちゃんみたいなすっごーいアイドルになりたい!」

多分、本気でなるつもりなんだろう。
私の妹2人がアイドルで私だけ一般人だなんて、1番年上の私がカッコつかないなあ。
そんな事を考えて自嘲気味にふふ、と笑う。

「あんたならなれるよ、もしかしたらそれ以上になれるかもね」

そう妹に言ってやると嬉しそうにこっちを向き満面の笑みを見せる。
どうしてもチョロいと感じてしまうのは私だけだろうか。
瞳を輝かせ、口角を上がらせたままこう言った。

「なってみせる!ありがとうお姉ちゃん!大好き!」

にひひ、と笑ってピースをする。

私の妹はスーパーアイドルとアイドル候補。
こんな妹を持って良かった。

(/ああああなんか違う;;)

1年前 No.8

双碑 双 @asr0m☆wJ34wCJ9iTk ★isPiA6vi2s_e8e





同じ学校に好きな人がいる人は、毎日学校に行こうと思えるし、勉強頑張ろうなんて思えて。
たぶんバレンタインデーとかも屋上や体育館裏でドキドキしながら渡したりするのかな。
体育の授業とか、こっそり教室の窓からグラウンドを覗いて好きな人を探してときめいたり。
部活してるとこもちょっとだーけ、見てさらに好きなったり。

他校に好きな人がいる人は切ないなあ。
毎日見れないし、ドキドキなんて出来ないもんね?
けど何よりLINEとかTwitterとかでいっぱい話したりする事とか、すごいどうでもいい内容話したりとか。
暇つぶしの電話とかで、きゅんきゅんとか、ね?

他校に好きな人が居ても意外といいかなあ、なんて。

そんな訳で私は今日も他校のあなたに会いたい、なんていう想いを馳せながら憂鬱な学校に行くそうです。

( / 好きな人が他校っていいですよね!勝手に思ってます)

1年前 No.9

双碑 双 @asr0m☆wJ34wCJ9iTk ★isPiA6vi2s_e8e




「ねえ、ここは?」

目が覚めた。けど私はまだどうやら、夢の続きを見ている様だ。
水晶の様に透き通った床、アメジストの様な石が細々と散りばめられた遠くにある壁。
横になっていたベッドには、金に塗られたフチで上の方にルビーの様な物が埋め込められている。
ここはどこだ、私は何故ここにいるんだ、なんて記憶喪失のお決まり文句の言葉が頭の中でぐるぐると駆け巡る。考えてるうちにむしゃくしゃして仕舞って、夢の続きじゃないのかなと思って頬を自分で引っぱたく。痛いから、どうやら夢では無いらしい。
でもこんな綺麗な世界が私の生きる地球という場所には無いだろう。
私の知っている地球は、ドス黒くて、悲愴、憎悪、嫉妬が溢れてる地球だ。この世界に綺麗なものなんて、何もない。もしもあったとしても人の創り出した物だ。
ああ、もうあんな世界のことは忘れて今は綺麗なこの世界に見蕩れていよう。
そう思い立って少し歩き回ってみる。

「はわわ……」

私らしくない気持ち悪い言葉が出てしまうほどに美しいこの世界。壁の方まで少し距離がある。100mほどはあるだろうか、という感じだ。上を見上げれば氷をそのままシャンデリアにした様な物が垂れ下がっている。
こんなにも広い空間だというのに此処にいるのは私だけ。そして、中心にベッドが置いてある。
そしてちょっと壁の方まで歩いて見れば大きな扉がそびえ立っている。
実際には見たことがないけど、まるで、舞踏会の開かれるお城の門がそのまま立っているみたいだ。まわりには薄い紫の輝く石。その壁に、そっと手を触れると何処からか声がした。

「ああ、やっと気づいてくれた!」

その声は小さな女の子の声に聞こえた。何処からか喋っているのか分からない私はあたりを見回した。そうしてる間に彼女はこう言った。

「んー、どこを探しても私の姿はないよ?だって私はあなたの心の中にいるから」

そう聞き、胸に手を当てて小さな彼女に問いかける。

「ねえ、ここは何処?この世界は、貴女が作り出したの?」

その言葉を聞いた彼女は嬉しそうに“ふふっ♪聞きたい?”と言う。きっとすごく楽しそうな笑顔で言ってるんだろうな、と感じた。

「ここはね、あなたが創り出した世界なんだよ。あなたが望んだ世界なんだよ。あなたを否定するものも縛るものも何もない。ベタだけど、心のオアシスって感じのもの。だからあなたが帰りたくなったらいつでも帰っていいし、来たくなったらいつでも来ていいんだよ。拒むものなんて、居ないから。」

そうつらつらと述べられてもなんの事かよく分からなかった。とりあえずここは私の望んでいる世界で私の世界。誰にも入れない、私だけの心のオアシスって事で合ってるのかな。

「そうだよ、さっすがだね!」

心を読まれたのか、元気に答えられた。
腕にした時計をふと見ると時計が止まっている。私は目を見開き時計の針を調節しようとする。

「この世界に、時間なんてものはないよ?」

「ねえ、でもそろそろ帰らなきゃ」

この世界にいるのは楽だろう、けどずっとここに居たらきっと私から私の大事な何かが無くなっちゃうんじゃないかと思って不安になってそう口に出した。
まもなく返ってくる答えは少しムスッとした口調だ。

「えーもう行っちゃうの?まあ、いいや……また遊びに来てね!」

彼女はそう言い私の体から抜けていく。魂、でもないのだろう。
じゃあ何なんだろう、妖精かな等と自分の中で問い掛ける。
あそこは心のオアシスで、きっと彼女も私だけしか居ないんだろう。
また近いうちに癒されに行きたいなという思いをベッドの上で考えた。

( / 実際にこんな空間あったらなあ、無駄に長いのは仕様です!時間あったらこういうのもっと書きたい。 )

1年前 No.10

双碑 双 @asr0m☆wJ34wCJ9iTk ★fDIaU3LXZ8_e8e




▼ さあ、追い込め追い詰め!

▼ あなたの心臓狙い撃ち!

▼ 背番号5番、私、振りかぶってあなたにナイフを投げました!

▼ どんどん汚いあなたに変わってる!

▼ 嘘つき鬼さんは消えちゃえ!



×××.



▼ CHASE !

▼ Snipe !

▼ Throw !

▼ Phase !

▼ Disappear !

1年前 No.11

双碑 双 @asr0m☆wJ34wCJ9iTk ★4hJK9CMUr1_e8e




拝啓、水槽より譚詩曲を。

x

だってさ、ほら、言ってみないと解んないよ?
案外答えはシンプルかもね!

x

俯いてちゃあ、見えるかもしれない物も見えないよ
さあ、前を向いてたくさん笑って。

1年前 No.12

壮河 ☆wJ34wCJ9iTk ★1Tgmkn479S_lQ2





「 落ち着く 」なんて言って抱き締めあった貴方の温もりも
気持ちを伝えた時に「 ごめんね 」って申し訳なさそうに言った貴方の横顔も
自分の事思い出して「 俺も辛くなってきた 」そう言って悲しそうに微笑みかけてきた貴方の儚さも
泣いてる時に手を握ってくれた貴方の優しさも
高架下で「 電車うるさいなあ 」って笑いあった貴方の楽しそうな横顔も
「 仕方ねえな 」そう呟いて撫でてくれた貴方の手の大きさも

全部、私しか知らなくていいんだよ。

(/生々しいとか言っちゃやーよ。)

1年前 No.13

壮河 @asr0m☆wJ34wCJ9iTk ★dr5YmTFDUu_Quh




 「 なあなあこの後JKみたくクレープ食べに行かね!? 」

 「 きっつ…… 」

 「 ナンパする? 」

 「 いや俺らイケメンじゃねーし無理っしょ、強いて言うなら衣月くらいじゃね 」

 「 じゃあ、沖波衣月、17歳、ナンパにトライしまーっす!」

 「 いややめとけって……衣月黙ってればイケメンだけど中身は下ネタマンじゃん!」

 「 なんだって!? 」

いつもの様な巫山戯た会話が飛び交う。
そこで一人ずっとスマホを気にしてる僕の兄。
僕はそれを見ているのに兄貴は全然気づかない。寧ろ、ニヤけているというか嬉しそうというか。
悟られないよう伸びた前髪の隙間から見える兄貴を睨んで舌打ちをする。

 「 もちろん千紘と千悠も行くよな? 」

 「 へ!?あ、俺パス… 」

 「 ノリ悪いなー…千悠は?」

 「 …行く 」

 「 千悠は来んのに千紘は来ねえのかよ!彼女でもできたの? 」

彼女、という単語を聞いてその言葉にピクリと小さく反応した。

 「 え…あ、はっ!?そんな訳ない、ないよ! 」

手をブンブン振って否定する。ああ、これは確実に彼女が出来たんだなあと察した。その瞬間、僕の中に何かが芽生えた。
僕以外の皆は兄貴を茶化す様に挑発する。その場で笑ってる人は4人、顔を真っ赤にしてる人は1人、笑顔が消えている人が1人。

 「 まあ、なんか頑張れよ! 」

楽しそうに笑いながらそう言ってクレープ屋に向かう。
あんなに照れてる兄貴を初めて見たし、嬉しそうな兄貴の顔も久し振りに見た。
僕の前で何故か見せない顔を他の奴に見せている。
部屋も一緒だし、寝る時も二段ベッドを使って寝ている。登校だってほぼ一緒にしている。ご飯も一緒。部活も一緒。なのにあんなに嬉しそうな顔を見たことがない。
なんで、なんで?と自分の中で自分に繰り返し問いかける。

 「 …千悠大丈夫? 」

考え事をしていた僕に珍しく水都が神妙な顔つきで声をかけてきた。
僕は平然を装って“大丈夫だよ”、と答える。全然大丈夫じゃない。
そう考えてる内にクレープ屋に着いた。クレープなんかより兄貴のことが気になってしょうがない。
しかしそれを悟られては困るので、適当に目に入ったものを注文した。
そして外に出て手に持っているクレープを見てみると、バナナが入っていた。
小さく顔を歪めてからボリューミーなバナナチョコカスタードを頬張る眞咲に手渡した。

 「 ごめん、僕ちょっと今お腹いっぱいだしあげるよ 」

 「 うおおお!マジかマジか!千悠大好き愛してる! 」

眞咲は顔を明るくして僕に抱きついてくる。すごく見られてるから至極やめてほしい。
その後、ゲームセンターに行ったり、楽器店に行ったり。まあ男子高校生らしいと言えばらしいんだろう、と言えるような感じだ。
スマホに表示された時計に目をやれば、もう9時になろうかという時間だった。

 「 じゃあまた明日! 」

 「 うん、ばいばい 」

 「 じゃーな! 」

因みに同じような外見をしている凜と僕は家の方向が同じ。
眞咲と水都、衣月は逆の方向だ。まあもう1人いるんだけど、そいつはたぶん今日も女遊び。
街灯に照らされる道端にはゴミが捨ててあったり、蛾が飛んでいたりする。

 「 しかし千紘くんに彼女ねえ…、第一あの子男子と話すだけでテンパってるのに女子と話せるかなって思うんだけど 」

 「 …凜は彼女いないの? 」

 「 いるよー、あ、これ内緒ね 」

 「 ほぼ同じ容姿なのになんでだろうなあ… 」

凜にでさえも彼女がいて、兄貴にも彼女がいて。彼女がいないのは僕だけなんじゃないかと心配になってくる。

 「 まあ千悠もいつか出来るよ 」

 「 だといいね 」

この言葉を交わした後には凜の家の前に着くまで何も喋らなかった。

 「 じゃあね、千悠 」

 「 ばいばい 」

さあ、兄貴をどう追求しようか。
そんな事を考えながら家へと歩く。

1年前 No.14

壮河 @asr0m☆wJ34wCJ9iTk ★HU3xWwN4qr_Quh




 「 ただいま 」

家の鍵を開ける。父母は仕事、兄貴はデート。僕一人だった。
鍵をリビングにあるテーブルに置いてから冷蔵庫を開く。この季節には相応しい空気に触れられながら、昨日買っておいたサイダーを取る。あと序でに2つ並んでいるシュークリームを両方とも取った。
ぱたん、と閉めてから2階にある自室に向かう。部屋のドアを開けると今日の朝、兄貴が食べていったパンの食いかけが机においてあったのでそれも食べといてやった。そして荷物を自分の机周りに置く。
二段ベッドの下に飛び込み小さなテーブルを近くに持ってくる。
ペットボトルのキャップを開けるとプシュッという爽快な音が聞こえた。
喉を鳴らして飲みながら、シュークリームを頬張る。うん、カスタードは美味い。
食べ終えてからスマホを弄っていると母から“今日遅くなるから千紘とご飯食べに行ったりしてね”というメールが届いていた。そんな気分じゃないんだけどなあ、なんて思いながらも“わかった”と返信する。

 「 兄貴はなんで彼女なんか作るのかなあ、馬鹿じゃないの? 」

声を出しても自室に響くだけで何も変わらない。その時ふと兄貴の嬉しそうな顔を思いだした。
兄貴に触る女、兄貴に抱きつく女、兄貴とキスする女。想像すればするほどに殺意がこみ上げてくる。
なんで、僕は女に生まれてこなかったんだろうかな。弟じゃなくて、妹だったらもっと大切にされてたかな。考えている間に僕は声を押し殺して泣いていた。

 「 あ゛……ふっ…… 」

折角昨日洗濯した枕カバーはびしゃびしゃになって、着たままの制服もびしゃびしゃになっていく。
兄貴に見られたらどうしよう、なんて考えながらも泣き続けていた。
スマホについている時計を見れば、もう10時30分を過ぎている。なんでこんなに遅いんだろう。
相手の家に泊まるのだろうか。その途端猛烈に吐き気がこみ上げてきて自室からちょっといったとこにある2階のトイレに駆け込む。

 「 う゛ぁ… 」

嗚咽を漏らしていると下からただいま、という兄貴の声が聞こえた。すこし嬉しそうな声色だった。
ああ、泣いていたのがバレてしまう。吐いてしまったのがバレてしまう。

 「 あれ?千悠? 」

兄貴の声が僕の名前を呼んでいた。答えることも出来ず黙ってそこに座ったままでいる。

 「 ち、ひろ 」

僕は“兄貴”と呼ばずに“千紘”と呼んだ。

 「 なんだ二階にいんのかよ 」

何も知らない千紘は階段をトントンとあがってくる。
いやだ、来るなという気持ちと気付いてという気持ちが織り交ざって再び嘔吐する。

 「 千悠!?大丈夫か!? 」

あ、バレた。
千紘は慌てて僕を撫でる。

 「 さわんな 」

千紘の手をぱしっと叩いて払い除けた。自分でも驚く程低い声が出た。
それでも心配そうに僕を見つめる千紘。いやだ、そんな目で見ないで。

 「 どうしたんだよ……お前部活帰りの時からちょっと可笑しかったぞ? 」

さすが、見抜いていたんだな。もうどうにでもなればいいや、と投げやりになった。

 「 千紘、彼女出来たの? 」

 「 黙っててごめん、実は4ヶ月くらい前から居るんだよ 」

そう淡々と述べる相手に腹が立った。叩いた。いや、正確には殴った。

 「 なんで、なんで報告してくれなかったんだよ。 」

 「 俺に全然関心持たないじゃん。お前が。 」

 「 そんなことないよ、なんでそうやって僕のこと決め付けるの 」

僕は思ったことをつらつら並べていく。

 「 ちょっと待て、なんでお前そんなに女々しいの? 」

笑いながらそう言う千紘。

 「 千紘が大切だから 」

涙を流しながら絞るように言った言葉。

 「 弟なんだから黙って兄貴の事応援しとけよ 」

さっきより楽しそうに言う千紘。
気付くと僕は千紘に掴みかかって握り拳を相手の片方の頬にぶつける。

 「 なんで、なんで彼女なんか作るんだよ。バカ、千紘のバカ。 」

何度も、何度も何度も何度も殴った。気が済むまで殴った。
気が済んで、千紘から離れると千紘は小さく呟いた。

 「 ごめん、今日は帰ってこないからさ 」

そう呟いて何枚かの服をバッグに詰め込んで家を出ていった。
僕は止めることもできずにただそれを呆然と眺めていた。
パタン、と玄関の扉が閉まれば僕はまた一人ぼっち。

「 どうして 」

小さく呟いたその言葉は虚しく響いて消えた。

( / オチがない… )

1年前 No.15

壮河 @asr0m☆wJ34wCJ9iTk ★HU3xWwN4qr_Quh



部屋に置かれたドラムスティック。楽譜。学校のプリント。
机の上にある写真立て。飲みかけのペットボトル。
吊り下げられた電球に、掛け時計。

「 ああ、もう 」

それらを全部ぶち落とした。
ガシャン、とガラスが割れる音がした。

「 いらない、全部いらない 」

机の中に仕舞っていたカッターを出して、右腕を切る。
切ったところから血が流れる。
その手でスマホを取り出して電話をかけた。

「 もしもし、凜だけど。今から来て。 」

切り揃えられたマッシュは汗でぐちゃぐちゃ。
部屋も、右腕もぐちゃぐちゃ。

さあ、あなたはこんな俺を見てどう思うのかな。

1年前 No.16

壮河 @asr0m☆wJ34wCJ9iTk ★wnDMUIg4BR_Quh

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1年前 No.17

壮河 @asr0m☆wJ34wCJ9iTk ★MJvO9FjSk8_Quh

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1年前 No.18

壮河 @asr0m☆wJ34wCJ9iTk ★EOGU0aNAPl_Quh

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1年前 No.19

壮河 @asr0m☆wJ34wCJ9iTk ★vn3LjUNOsB_Quh




 「 はさみさん、はさみさん、私の無くした大切な人はどこにありますか? 」

耳の真横にはさみを持ってきて、私はそう問いかける。
その声は部屋の中に反響して私以外の耳には届かなかった。

 「 この辺かな? 」

あちこちを漁ってみても貴方は出てこない。

 “ ある訳ねえだろバカ野郎 ”

どこからかそんな声が聞こえた。

1年前 No.20

壮河 @asr0m☆wJ34wCJ9iTk ★LZZ0oO2BYt_Quh

「 _今日は流星群が見られるかもしれません! 」

何処かのテレビのニュースキャスターが声を高くして告げる。
部屋には篭りっきりで、今外がどのようになっているのかでさえも掴めていない。
もしかしたら朝で、元気に学校へと向かう児童がいるかも知れない。
真昼であるならば、おばさんの井戸端会議が開かれているかも知れない。
深夜であるならば、道路に人が刺されて横たわっているかも知れない。
まあ、基本朝でも昼でも夜でも何も変わらないだろう、私に害がなければいいや。

「 _今日の流星群はほんとにすごいらしいですよ!あ、そろそろ!そろそろですって! 」

女性アナウンサーのキンキンした声が耳に響いて、痛い。
仕方ないな、見てやろうという気分でカーテンをざっと勢いよく開けたが私の見ている空は真っ暗だった。
というか曇ってて、何も見えなかった。
くそやろうが、と思いながらベッドの脇に置いてあったスマホに手をかけてメッセージを打ち込む。

『 ねえ、そっち流星群見れる? 』

『 うん、すっごくはっきり見えるよ 』

『 そっかあ 』

なんで、私の隣にいた貴方は見えていて私は見えないのかな。
そうか、そうだったね。
貴方はもう流星群の一つだったね。

( お題 : センチメンタル / センチメンタル #とは )

1年前 No.21

壮河 @asr0m☆wJ34wCJ9iTk ★LZZ0oO2BYt_Quh




「 ねえねえ、凜くん 」

目の前にいる愛おしい相手に話しかけて、後ろからぎゅっと、強く抱きしめる。

「 なに、急にどうしたの? 」

「 私も、凜くんと同じ夕焼けが見てみたい。私の世界はいっつも、いっつもなんか違うの。 凜くんと一緒のものが見れなくて悲しいよ。 」

凜くんは覚えたての言葉の意味を再度噛み締めるかの様にゆっくりゆっくり、言葉を紡ぐ。

「 一緒の景色見たい……というよりか、此処で一緒にいた証を作るほうが……お前には向いてるんじゃないか? 」

「 わあ、かっこいいこと言うね。凜くんらしくないや。 」

わたしがおどけて、へへっと笑って見せれば凜くんは私の頭を撫でてくれた。

( お題 : 夕焼け / うちの子だいすき…幸せになって欲しい )

1年前 No.22

壮河 @asr0m☆wJ34wCJ9iTk ★LZZ0oO2BYt_Quh


「 なんで君はそんな所に立っているの? 」

僕は癒されようと思って屋上に来たというのに、目の前を見れば伸びた影。
そこには、昔好きだった人の面影があった。
僕は“前髪がぱっつん”で“おかっぱ”の“女の子”がタイプだったから、その子は綺麗に切り揃えられた前髪も、後ろ髪、サイドの長さもちゃんと同じで、尚且つ髪質が柔らかくて何時もシャンプーの匂いを僕の元に振りまいていた。それに、惚れて見蕩れて。告白して、振られて。

その影は手で狐を作りながら僕にゆっくり語りかけた。

「 止めたいなら、こっちにおいでよ 」

狐の影絵はコンコン、と言わんばかりに僕をおびき寄せる。

「 僕のものになってくれるの? 」

ゆっくり歩みを進める僕に、相変わらず狐は居る。
そして、歩み寄った瞬間ぐい、っと腕を引っ張られて僕はふわりと何故か落ちてゆく感覚を感じた。

「 わたしも、わたしも好きだった 」

落ちてゆく感覚の中で、やっぱり彼女の前髪の短さも、おかっぱも誰よりも似合っていることを確信した。
そしてあの日と変わらないシャンプーの匂いも。

( ※ メリバ万歳。 )

1年前 No.23
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