Google
    
<< TOPページ 掲示板TOP 記事データ お知らせメール ▼レス(710) >>

ヒビコレ

 ( 詩集つむぎ城 )
- アクセス(5915) - ●メイン記事(710) / サブ記事 (51) - いいね!(35)

海檻 ★HrE00qqwXlA

はじめまして、海の檻と書いてみおりと申します。

ここでは思いついたものを形にしていきたいと思っています。

コメント、批評、大歓迎です。
よろしくお願いします。

2007/12/09 22:52 No.0
メモ2017/10/25 19:25 : イロイ☆u//SDV8I1e. @miori★Ow81dTgqSa_2mP

日々是、な詩集へようこそ

こちらではイロイの作品を置いています。


注意点

+不快な表現がありましたら、コメント等でご連絡ください。削除等対処いたします。

+更新速度はめちゃくちゃです。

+誤字脱字は見逃してください。


よろしくお願いします


20171025 33

いいねをありがとうございます。


20171023

5000アクセスありがとうございます。またちょっとずつ精進していきたいと思います。

切替: メイン記事(710) サブ記事 (51) ページ: 1 2 3 4 5 6 7 8


 
 
↑前のページ (660件) | 最新ページ

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★LzuVzNamIv_exV

神秘


幽霊がいて欲しいと願う
本はまどろんでいて
階下の子供たちの
記憶をなぞっている

星座は
オリオン座しかしらないから
少女はずっとリボンを首に結び
また解いていた
新しい言語が世界に満ちている

この静かな約束に寄り添う
ひとときの不自由さは
今もまどろみを呼び続けている
暗闇だとか永遠だとか
追われた年月だとかに
全てを明け渡して
少女は初めて幽霊になることができる


誰もしらない星座をあげる
誰にもみえない星をあげる
新しいものたちが
気配を残しながら記憶になっていく
鮮やかな赤い色
唇に隠されていた秘密を
掠め取った

積み重ねてきたすべてが
今宵は静かに啓いて
あらゆる形を与える
その時まで
世界は色褪せて

--------------------
一時間粘ったけどだめです

3年前 No.661

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★LzuVzNamIv_tDF

気配

注がれた音が
若草を押しのけて
俯いた
裸の馬たちが
秘密を露わにしている

違う道へ
曲がる方法は
紡がれた
轍の向こう
あいさつする
皆々の項

飽和する
口の中
音は静かに待っている
頬が緩む

3年前 No.662

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★LzuVzNamIv_tDF

行進

雪中に
ドアがひとつ
きぃ、と鳴っている

「胸が開いてどうしようも」
右手を
肋骨の奥深くに
隠しながら
赤い果実を
まさぐる

足元には何もなかった
確かに人々は
開いたドア
を開いたはずで
孕んだ
架空の手は
力むために
握った
ノブには鍵穴が無い

溶けるために
結晶は鋭く
跡を残す
「誰もが間違えている」

閉まるのは
耳でなく
目でなく
いつかの指
重ねれば重ねるほど

3年前 No.663

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★Gu4DniVK7P_tDF

祈りの上で踊る


太陽はすでに 現れていると言う
子供たちの噂が ばらまかれて

理想としての炎を ひとみに映す
水没しつづけるもの
牽かれている

噛み砕かれた言語の やさしさが
壊死し損ねる それは 美しい

海の底の太陽
とおくへ、行けなかった羽根たちのしろ、
かれらのようになるには
脱ぎ続けなくては

詩を書くとき 咽る
あなたはそとへ
わたしはうちへと
牽かれ
また 首を傾げ合う

3年前 No.664

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★Gu4DniVK7P_83I

支配の終わりには

冷たくなった手を叩いて眠る
それは終わりだから
言葉に出すまでもなかったけれど
もしかすると勘違いしていたかもしれないから
私は眠る
一度手を叩いて
それが本当に終わりかどうか確かめて

単調な
誰のためでもない
この一行は誰のためでもない
だからここから先は読まなくて結構だ
そもそも詩を読む必要なんてない
彼らは全て、一瞬のために書いているんだから
読む頃の腐臭などお構いなく筆を走らせている
だから一行のために皆勘違いする
でもそれが少し、楽しかったりする

支配の終わりには
寛容が静かに渡されて
一時の毒としてまたは幸せとして
冷たくなった手を叩く

誰かのために終わりたい
この関係を抱き込んで、どこまでも寛容に満ちて
眠りながら醗酵したい
ささやかな欲望は今
誰のためでもない
この瞬間のために終わる
私は幸せ

3年前 No.665

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★Gu4DniVK7P_8F8

6月

退屈になった本を捨てても、少女の泣き声が止まない。
いつもの電車に乗ったつもりだったけれど
これも誰かの認識でしかないのかもしれない
他者と自己を繋ぐ、一本のレール。

スマホの画面が曇っている
濁った液晶の向こう側には、人がいたはずだった
じっとりと汗ばむ手のひらの熱は
果たして誰のものなのだろう

少女たちは笑う、もしくは泣く。
か細い言葉は、理解できないけれど不愉快だ
いつまでも遠ざからない蚊のような声だけが
こことそこの距離を明確にしている。
少女が泣いている。
初めて雨が降り始めたことを知る。

3年前 No.666

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★Gu4DniVK7P_YkB

揺らぐのを待っている


手向けた言葉が解れて、空へと消えていく様を、ずっと見ていた
(渡り鳥と同じで、留まることは死を意味していたから)
すり潰された青色を口へと運ぶ
辛抱強く、用心深く

落ち着いたら手紙をください
どこかに落ち着くなんて、思ってもいないけど

愛された言葉が丸みを帯びて
すべてを傷つけた
影ですら無い残渣物が、澱のようにこびりつく
諦めて
俯いて
待っている
このおびただしい死骸がいつか本物になるのを


夢を、見ていた
期待はいつまでも残酷で
先へ、先へと続いていく
だから夢を見ていた
この緩やかな旅の中では
なにもかもが理想だったから
きっと永遠に手紙を書くことはないと思う

3年前 No.667

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★FARlX8FISN_hOF

いつかみた

蕾のように隠された白くなめらかな鏡面の向こう側
届くことのできない世界はこちら側とよく似ていた
新しく重なりあった手や胸に
特別を探しているのだけど

身を捩る
青の木が見ている
身を捩って
雨粒を落とす

あの無色透明な拒絶の先に君は眠り続けている
ごく短い記憶の中で
恐ろしいまでに変化のない君の顔
燃えたぎっては
翌朝、素知らぬ風にまた眠る
完璧な世界で君が見続けるものが
あるき、
この世界に雨を降らせる

それは幸せだった
それは優しさだった
あらゆるものたちからそっと離れて
もしくはあらゆるものになって
横たわる
(これがまた、記憶にあるのと寸分違わぬ顔なのだ)

3年前 No.668

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★FARlX8FISN_Y9i



腐敗はいつまでも
夏が終わらない
僕たちは、捨てられない
あの羽根の一枚一枚を
拾って歩く

寂しいんだね
それと気付かずに完成した風景
は寂しい
忍び込ませるだけの影を
おずおずと作り出す


(しにつづける
きょうもあすも
しにつづけている
ときどきいきているゆめをみるけど
いきたことがないので
どういうことだかわからない)


理想としての僕たちが吊るされている
こんなに綺麗な一日なのに
僕たちは馬鹿だからこんな目にあうのだろうか
散らばって拾った羽根が重い
本当は捨てたい、こんなもの


生き続ける、腐敗は優しい、はじき出される、影をなすりつける、ぼくにならない、ぼくにならない、ぼくにならない、ぼくたちに!


山のような
臓腑のような
形のような
無意味のような
遠ざかる万物と
待ち構える日々と


結果がちっともわからない
けど、とりあえず続ける

3年前 No.669

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★FARlX8FISN_Y9i

海の見える場所で


口元にたくさんの蟻が集っていた

開け放たれた窓から、7月の終わりの、湿った風が入ってくる

部屋が、白い
神経質に、波打つ
青を反射して
網膜は、波打つ
静かに、忘却を待つ
白い、手首を
指をぎゅっと、折り曲げて
ぽっかりと開いた、
7月の終わりの、窓から
蟻が集っている光景
光の集合体、黒点、
ぎゅっと絞られて、終わった
明滅の後を追うように
波が白く、部屋を白く

ぽっかりと開いた口元に
たくさんの7月が集っていた
枕元には明滅が
まるで忘却を待つように青く
横たわる
上下を忘れた胸
閉じられた光
の、後を追うように
部屋を出る

3年前 No.670

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★FARlX8FISN_Y9i

静かの夜明け

星からくゆる
創世の薫りが
胸まで届いた

船を待つ間に
藁を編んでは
記憶を手繰る

いつか食んだ
海の砂の味と
藍が空に還り

手を伸ばして
不思議そうに
数えゆく星々

3年前 No.671

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★FARlX8FISN_qn5

見捨てられたものを
ただ折りたたむだけ


モザイク画のように街へと落ちていく
ビールの空き缶、薄暗い照明、話し声、幾許かの真実を孕んで
「物語はなんだと思う?」
タバコを吸いながら、もしくは受話器越しに、
明けない喪の作業を繰り返している
わたしたち

リビングで服を畳む
半袖シャツにはアイロンを押し当てる
リビングには言葉がいっぱい
幼い子のおもちゃに成り下がっている

今も昔も

わたしたちの知らないところで
物語は責め苦を負っている
薄っぺらいリアリティのはなし
祈りと話と言葉と現実を
わたしたちはたたむ
静かに、生まれ得なかった子どもたちに
言葉を与え続けている
それは街のあちこちで囁かれる
小さなはばたきに似て

「何だと思う?」
放たれた瞬間から変容していく
折り目をつけて
このからだに馴染むように
もっと着こなせるように

3年前 No.672

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★FARlX8FISN_Jfl

用意された明かりをすべて否定して
蛍が飛ぶ
星明かりに似て
まるで最初からどこにも無かったように
曖昧な光を投げかけている

幼い少女の手折ったねぎぼうずの中で
呼吸している
夜闇に落ちていく
(どこまでも優しい拒絶すら)

彼女は捕まえたのだった

最初から世界に満ちていたように
夏の夜と光が
その手の中で
繋がろうとしていた

3年前 No.673

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★Android=J8bSrs7fwW

窓辺には 平淡な 既視感が 並んで いた
まるで 売り物みたい に
太陽を 呼び込む
いつもの 卑怯な 童話はなにも
なにも ここには 無いから あっちへ行って

舌の表裏に こびりついて 区切られた
窓の外には 猫が 落ちている
四角く 素早い 陽射しの中
猫が のんびりと 落ちて くる
誰かに 売られた 舌が 強ばったまま
覚えたての 童話を 即席にして 並べた
ポケットには 何も無い
いつものように

2年前 No.674

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★FARlX8FISN_D1z

堆積


底にいつも埋もれてしまう

静かにたぎるのを待っている

呼吸には
遠い祖先が宿っていると
教科書は教えてくれただろうか
くしゃくしゃになった地図を丁寧に戻して
お尻のポケットに入れなおす

昨日、この街は左右反転したけれど、誰も気づかない
明日はきっと輪切りにされるだろう
小さくなってファイルに綴じ込んで
名前をつけて保存、それが今日

雨の気配がする

水があっただろうか
白亜紀の水と今の水の底に
埋もれているものは同じだろうか

街は、#b1b1b1で
(どちらかと言えば白に近いけれど、白というには、黒い)
昨日突然現れた
合間、合間の記憶は沈殿する、沈黙する

瞼の裏で
湧き上がる、たぎる
そしてそれは
信じるには美しすぎる、熱
(この街の下でぐらぐらと)
(灰色を嘲笑うような予感がしている)

2年前 No.675

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★FARlX8FISN_EqG


言葉と言葉のすれすれを飛んで行くカラス達は夕焼け雲の向こう側で霧散する
後出しみたいな今日の結果を紙飛行機の形に折りたたんだ
エゴイスティックにならなければいけないよ、と新しい宗教がまるで子守唄のように

知らない音楽を奏でて地下鉄は滑りこむ
連鎖的に痙攣する、サラリーマンのスマートフォン、最新型
目を瞑る人々はまぶたの裏に小さな家を持っていて、そこに帰り続けていると言う
(噂話もアテにならない)

新しい記号は音もなく羽化して、襟首に潜り込んでいく
規則性のない形容詞の中では間違いも起こりようがない
それでもかつて思い描いていた場所は刻々と薄れ、カラスになりたい人々が列を成す

高高度から落ちてくる光は体を透過して、素知らぬ顔で街に染みこんだ
どこにもいないという神話を大事に抱えて彷徨う
なにもかも許されています、と新しいニュースがまるで羽音のように

2年前 No.676

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★FARlX8FISN_s8G

梳る
わたしたちのしあわせであるように
知っている、
この身体はわたしのものではない

ほとんどすべての女性が
覚えている
身を整える
顔を手を足を
手入れする
本能的に気づいているから
自らの造形について
ぶつぶつ文句を言いつつ
今日も鏡に向かう

ほんとうのしあわせは
顔や手や足に
宿り
ほんのりと色づく
他の誰にも見えない
おそらく自分自身にも

梳る
この身体がなんなのか
わたしは知らない
ただ果てしなく
いとおしい

2年前 No.677

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★FARlX8FISN_ysJ


そこから木が伸びていずれ心臓を貫いてくれると
そう信じた

お前の目はがらくただ
お前の目も、そうそこのお前
見てる、それなのに読めない、読む気もない、でも高性能
その高性能な目に、神はゴミみたいにくだらない脳を与え給うた
だから吐く
溢れでた夜を受け止めきれずに
目が吐く、お前の哀しい優秀さ


人間は裏返らない
だのにお前はつるりと裏返って、願った
お前自身にもわからないほど巧妙に、願った
がらくただらけだ
俺の目もお前の目も
言葉に包んで捨ててこよう
そこから木が伸びていずれ心臓を貫いてくれる
それだけが願い

2年前 No.678

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★FARlX8FISN_ysJ

鳥かごの中で太陽が揺られていた

閉じてしまうの、閉じてしまう
屈強なおとこのひとがでてきて、両腕をつかむ
世界中の明かりという灯りが
いつの間にかLEDにすり替わっている
沈黙を守る海は溢れ出して、くるぶしを洗っている
(その先には、おそらく、わたしの白昼夢しかなくて、
ひどく頭痛がするけれど、安心して欲しい、
もうあの明るさはどこにもないから、
母がロウソクを吹き消した瞬間から、体内は閉じて、
激しい痛みも、まるで嘘のように閉じた、
ねぇここで寝るなら、ちゃんと丸まらないとだめ、
そうしないと死体になれない、って海が言うの、
吐き出しても、明るい廊下が続いているだけ、
そう、この世界は廊下だ、どこにも繋がらない、)
窮屈な微睡みの中でまぶたは更に小さく切り取る
脳内の光景も、思い出も、みんな小さくなる
閉じていく

ひとつの明かるさが裁かれていた
そんなものはどうだっていいから眠りたい

2年前 No.679

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★FARlX8FISN_K58

とぶ

ともすれば嘘っぽくなる季節に、かつて見ていた海鳥の生態。飛翔することなく傾いだ首を、曇天に尋ねる。「あなた」手紙を落としました。冥い海の底はいっそ乾いていて、眠らずに私達を見張っている。どこかでは語る口も海を濯ぐ、海を濯ぎ海へ帰す、子どもたちの内側はいつも炙られていたから、現実は都合が良い。シャツの一番上のボタンがなくなっている。掻き合せる。
首に何かが巻き付いていないのは不幸だとしか言いようが無い。標本の棚からこぼれ落ちた本物の蝶たちはおそらく何にも跳ね返らない。それはひとつの集約で、暴露だったから、最後から数えたほうが幸せだったのかもね。ぽた、ぽた、と続く道はやがて曲りくねり、飢えへ向かって前進する。あらゆる気だるさに潜む。なぜ「あなた」とべないのだろう。
生きている。隙間から。失われている。拡散している。誰のためでもなく。失われるために。みつけられないために。「あなた」重力を知らないひとつのお話のために。いくつもの諦めのように伸びきった海が、瞬きする、このあわいに抱かれる直前、振り向いた気がした。

一通の手紙が風に舞い上がる。

2年前 No.680

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★FARlX8FISN_9NC

rest


時報を過ぎたら、もうそこからずっと起きていない?

3月、叔母が死んだ。
5月、従兄弟が海に行った。
僕には手紙が届いた。
胸に線がひかれたまま、
その
長い長い夏の列に並んで
サンヨウチュウはいつ孵るのだろうと
ぼんやり考えていた。

少しだけ湿った手を繋いで
僕たちは黙っていた。
掌の中には
何か重大な秘密が隠されていて
僕たちは、それを落とさないように
沈黙を守り通していた。

ねぇ見て、コンクリートに花が咲いてる。

6月、窓がけたたましく鳴って、
誰かと誰かが小声で話した後
そっとベッドに潜り込んできた。
(結露する音と匂い)
ラジオのスイッチをひねると、
今でもあの時の秘密が漏れ聞こえそうで、
僕は目を瞑り続けている。
(雨)

友人たちは因数の染みになって
僕の部屋のドアの前に立ち尽くしているけれど、
僕はあいにくサンヨウチュウを温めているので
何も応えることができない。

あなたって、本当に不器用ね!

9月、辿っていた線が途切れて、林の中に落ち込んでいた。
雨の後の庭に、
たくさんの花びらが満ちている。
僕は生まれる前から植わっていたと言う
木にもたれかかりながら
今日と明日の境目にしるしをつけた。

10月、叔母とパンを焼く。


あら、何を見つけたの?私にも見せて。

2年前 No.681

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★pzh2tlogA7_Moy

暇してるあなたを股から覗いていたの

あたし、コップのフチ子さん。

「雨だれがつるりとさせますように」

だってここからはいつも空回り

あなたがちっとも信じていないから

ビルの屋上に腰掛けて

夜のとばりを呼んでみせる

あたし、酸素のフチ子さん。

凸凹にたわんだ魚眼の街は

いい感じにサンプリングされてるわ

あなたが忘れたこと全部

ここから観察できるの、冗談みたいに

だけどあなたがそれに気づくのは

映画のスクリーンの中でだけ

あたし、秘密のフチ子さん。

「今日はカレーにしようかなぁ」の

「今日は」と「かなぁ」の間に

あたしがいるって、気づいてほしいわ

あたし、カレーのフチ子さん。

ごはんの淵に腰掛けて

あなたのことを覗いているの

1年前 No.682

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★8OyirBFd6k_l0n

ghost


まるで手応えのない皮を剥く
すれ違う人びとから金貨をスリ取る
その生暖かさ、息の白さ、不確かさ、
一本、二本と線が沈んでいく
不意に、双子の弟がいたことを思い出す
彼とは一度、死んだことがある
その時はしっかりと手を組み合っていたのに
組み合うことが死ぬことだと知っていたのに


プリズムは光を屈折させる
可視の向こう側があると教えてくれる
見出された
きっと見出された
そして僕たちは全てを見る


音もなく燃えている人々の
真っ黒に開いた口が盛んに語りかける
ほの暗い夜の端々では
時折そういうことが起こる


必要になれば、萌えるように、
朝もまた、来るのだろう
冷たく強張った指は、不確かな形を求めて渡る
いつしか震えは重なり合い、電流のような悲しみを交換しながら
ひとつになれる場所を探してさまよう

1年前 No.683

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★6EfqBRxYST_hgs

燃え 躄る 手に納戸

まえまえからふりむいてはいけません

白く 燻る めくらめ

わたしのあたりにこすりつけられたあとあと
わたしのなかにうまれるはずだったかずかず

滲む生は死は置かれ
側から流れ続ける
側から意味を失い
側から入れ替わる
のをそっと抱いて、
遠くへ来た気がする

炭化したひとの
固く握られた拳の中から
(乾いたはずでは なかったのか)
いっぽんの 硝子の百合をみつける

静か 白む 最早月

あとにはこまりはてたわたしがさんざん


1年前 No.684

イロイ☆u//SDV8I1e. ★1ZYQMxO1eU_L7w

砂をかけて確かめる
あいのかたち

だってね、目に見えないもの
だから砂をかける

かろうじて見えてくる

これってたぶん、結婚指輪を嵌めるのより重要だよ

あいのかたち
ぐずぐずに崩れた豆腐みたいな日もある
魚のように流線ばかりの日もある
たくさんの形を経由して
辿り着く、ひとつのかたち

でも次の日には変わっている

だからね、寂れたお土産屋さんでは
いつまでも星の砂を売ってる

ちっちゃい瓶に入ってる
白っぽくてプラスチックのなりそこないみたいな

あいにかけたら形が見える

まぁ、ただそれだけなんだけど

1年前 No.685

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★Android=8QRQB9CM8K

おりていく
おりていく

花が散ってしまうころ

空の清さを知ってから
おりていく

途中、たくさんの
枝分かれした花や、葉たちと
挨拶を交わしながら

懐に、温かいものを抱えて

おりていく

やがて大きな幹へ辿り着き
暗いくらい地にもぐる

目を閉じて
古代の水音に耳をすませながら
空の色を思い出す

1年前 No.686

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★8AmYg2ljHq_Nv9

春と蜘蛛


太陽が 重たげに登るころ
一匹の蜘蛛
針のような足をもって
地を縫い
春を縫い

落ち葉も 若葉も
いっしょくたに吹かれている
風の午後

影は
蜘蛛の下で
縫われ
地に張り付く
ひそやかな作業が
続けられる

陽も空も
山も村も
すれちがうことなく
なにひとつ
残すことなく

蜘蛛は地に縫いつける

つっつり
つっつり
つっつりと

1年前 No.687

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★8AmYg2ljHq_aD0

棚田

こちらに背を向けて佇む、一人
農作業をする人の
美しさ

杉の木がせまる夕暮れ
刈り取られた稲を見ている
燃え上がるように
孤独で

私達の生は不自由だ
いくら木を切り倒しても
草木や肉を食べねばならず
いくら川をせき止めても
水を飲むより他は無い

木を切り倒した地を踏んで
海を渡って行かねばならない
決してその向こう側を知らない
恐ろしさ

その人は
しっかりと立っていた
黒く燃える杉と杉の間の
狭く入り組んだ棚田
息苦しいまでの土地を
ただじっと見ていた

人影に向かって
ぐねぐねと曲がりくねったあぜ道が続いている
夕暮れに浮かび上がる
まるでへその緒のように

1年前 No.688

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★QTJq0FPUkv_v2j

霧と山


この世から振り払われたような霧が
山道を覆っている

谷間はひとときのまどろみを許す

(なぜ)

読み終えた本が濡れていく
開いていたはずの1ページから
穴が空くほど見つめた表紙から
締め出された私が
歩き始める

(なぜ)

美しいもの
恋や愛の積み重なった街がよく見える
ここで
呆然と来た道を眺めている

(なぜ)

6月が
肩に落ちてくる


霧が道を開く
重なり合った木々の向こうの黒には
何かがあった気がするが
そもそも私が山に入ったのは
これが最初だった

1年前 No.689

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★QTJq0FPUkv_v2j



先祖が納骨されている
寺は
押し殺したように色濃い

屋根の向こう側で
遠雷が鳴っている
ずっとずっと遠いところで
何か言っている

どれもこれも
同じように見える夏が
やけに湿った音を立てている
ビールと花
それに線香を供えれば
どちらが納骨されているのやら

遠雷の問う
肉の有る無しが可笑しい

身を屈めて
降り出した雨の駐車場を横切る
私の顔

1年前 No.690

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★Ow81dTgqSa_qEA

やまびこ

声が反響する
山間の向こう側に叫ぶ
と、叫び返す私がいる
私の声の振動が山にぶつかり帰ってきている
私の声が私に聞こえる
空気中の不確かなものを
ひきずりひきずり
私に帰ってくる
私の脳に
不確かなノイズを入れて
これは私だっただろうと
あやふやな判断を下す
それで、面白いね、と笑うのだが
そうやって笑い合う誰かは
一体いつの反響物なのか
私が叫び返す
私も叫び返す
あーあー、
あーあーあー、
獣じみたそれを
やまびこが聞いて、怖がっている

11ヶ月前 No.691

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★Ow81dTgqSa_2mP

ものもの


取り零したものが
降ってくるのを待っている
こんなに悲しい夜は
ラジオやガタつく食器棚が私を責める
蛙の置物やチューペットが私を責める
切り損なった爪や発音できないため息
シーツや鋏
セイコーの電波時計が私を責めない
見ている
雨のように降りながら横目で
私の何かを掠め取っていく
ものもの
ひとところに落ちていく悲しみを
私に投げ与え
幸いと呼ぶまで責めない
ひとつひとつがいやに軽い
軽いが故に浮くこともできず
ものもの
沈殿していく
この1LDKの部屋に
心臓がいくつあるのか
ごめんなさい、見ている、
触れても零れていく
だけど穴のように
ラジオやガタつく食器棚や蛙の置物やチューペットや切り損なった爪や発音できないため息やシーツや鋏やセイコーの電波時計
から
降るのは
都合の良い
太陽

------------------
大掃除の詩です

11ヶ月前 No.692

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★Android=8QRQB9CM8K


誰だい
山と空をあんなに
ぐしゃぐしゃに切り分けたのは

誰だい
あーあ おかげで山は真っ黒
空は青っぽい灰色だ
夕日が終われば
じぐざくの跡ばかり

山は山で
空は空だ
それは普通だ
普通、普通、
ふつうにフツー

つうふ、うふつ
ッフウ、フウツ
ふつーつーふ
て、じぐざくと
吠えている、あーあ
山は山で
空は空
なんだけど
たまにね、
山と
空が
入れ替わってて
誰も気づかない

それが、まぁ、普通だよ

10ヶ月前 No.693

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★Ow81dTgqSa_2mP

白鳩

一羽の鳩が死んでいた
軒下の小さなくぼみで
突然変異の、真っ白な鳩だった

灰色の鳩たちは
決して餌場に白鳩を入れなかった
集団でつつき、追い回し、寄せ付けず
そうしてやせ衰えた白鳩を
ついに仲間のくちばしが貫き、息絶えたのだった

白鳩は目を閉じていた
生まれ持った魂を抱えたまま
仲間によって奪われたものは何も無く
彼には死のみが、純然と与えられた

思えば失うものはひとつもない
全ては与えられ、得られるもの
白鳩の胸に滲む赤い血も
仲間達から与えられた初めての色なのだ

白鳩は死んでいた
死を抱えて、あらゆるものを抱いて
そうして軒下には
静けさが満ち満ちていた

10ヶ月前 No.694

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★Ow81dTgqSa_2mP

雨を待つ


雨が降りはじめそうでしたので、洗濯物を取り込んだ後は、もう勝手口の階段に腰掛けて雨が降ってくるのを待つしか、することがありませんでした。
雨は降りました。極小さな滴りが、そこにあるのかないのか考える間もなく、と、と勝手口のコンクリートに落ちてやがて色を失くしていくのを、ぼんやりと眺めていました。
雨と言うには小さなものでしたので、別に洗濯物をとりこまなくても良かったのですが、天気予報を覚えていなかったので、本降りになったら困るからと取り込んでしまいました。

時々、嫌になります。
財布の中に入れたレシートはすぐに捨ててしまうのですが、その日はなぜだか大事にしまいこんでしまっていて、それに気づいたのは数日後でした。
レシートはくしゃくしゃになっていませんでした。入っていたお札よりもずっと綺麗でした。
一冊の本を買った時のレシートでしたが、さてどんな本を買ったのか全然覚えておりませんで、何故か『ツガミ』という店員の、印字された名字だけが妙に記憶に残っていました。
気になって、雨を待つ間に本を開いてみました。老詩人の詩集でした。数ページ捲って、開いたままコンクリートに置きました。

『ツガミ』という店員は、レシートを手渡す時にちゃんと「ありがとうございました」と言ってくれたのを突然思い出しました。
男性だったか、女性だったかすら判然としませんが、確かに「ありがとうございました」と釣り銭を渡しながら言ったのです。
「ありがとうございました」の「ございました」が急に小さな声になって、「ありがとう」としか聞こえませんでした。
柔らかく、耳に良く残る声だったのですが、どんな人だったのかまったく覚えておりません。ただその「ありがとう」という声だけが、数日経った今も、耳に残り続けているのです。

雨を待ちます。低く垂れ込めた曇天から雨の匂いを嗅ぎ取りながら、もう一度老詩人の詩集をぱらぱらと捲ります。
分厚い詩集で、この手の本によくあるような改行も少なく、まるで小説のようだと考えながら再び勝手口のコンクリートに置きました。
思うに、彼の半生が綴られている詩集なのでしょう。幾頁にも渡って書かれている、読まれない文字の列を想いながら、本格的に降りはじめた雨の音を聞きました。
そしてその雨の中に、「ありがとう」という声も混じっていたように感じます。誰の声でも無く、記憶と雨の匂いから立ち上ってきたような声なのです。

そうして、開いたままの詩集に、と、と雨が一滴、落ちました。

10ヶ月前 No.695

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★Ow81dTgqSa_KGe

剣山は聴いている
花の最期、水がとくとくと途絶え
枯れる気配を
押し黙ったまま聴いている
剣山は花を挿す為に生まれた
剣山はそれ以上花にできることがない

尖った針の向こうで
美しい瞬間が
美しく推移していく
花器に落ちる花弁の一瞬を
どうして突き刺すことができるのか

花は解き放たれる
美しさを持つが故に
花器や水、剣山からも離れていく
やがて新聞紙にくるまれて
燃えるゴミに出されるまで
剣山は聴いている
最期の優しい悲鳴のような
花の気配を

10ヶ月前 No.696

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★Android=8QRQB9CM8K

屈葬

この、くらやみの
浅い場所に
膝を抱いている
円い ふちは白く
するどく
うちうちへと迫ってくる
その鮮やかさ
やみの中でちぢこまる
からだが
こわばって
それから温かな
水が湧きだしてくる
ざむざむと
音をたてて
流れてゆくみずは
円いやみに溜まり
からだに沿っておちる
入れ換わるように
骨がきしむ

おもえば
からだなど無かった
じだいの
きおくが
あたたかく
浸されているこのくらやみ
ひとつの影
にむかって走るしか
方法をしらない
それが生だというのならば
回転の始まる前の
しずけさに
よこたわる
今は
耳をすませて

水が流れ出でる
原初はちかく
さまよう記憶が果てた
この小さな
せかいを満たす
ひたひた、ざむざむと
旅人をなぐさめる
膝を折る
いのる
ようにして
その音をきけ

うちへ
うちへ、
消えるほど中へ
入って

9ヶ月前 No.697

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★Ow81dTgqSa_KGe

ささやき

子どもたちが囁いている言葉、あれは鳥の言語だから、熱病のタリスマン、胸の胸、踊り足りないバレエダンサーのように、楽しく死んでいくしかないのさ

言語は優しいが故に脆い、蝸牛の閃き、チルチルチル、君の悲しみもわかるよ、もうすぐ皮を剥ぐから、無為を憂う

動かないよ、死んだよ、死んでないよ、でも動かないよ、動かないのは正常だよ、正常じゃないよ異常だよ、異常なのは正常だよ、せいじょうだよ、

放射の真髄、「受け入れて」って耳元で囁きながら、すっげぇ寒い、水槽の底の熱帯魚、頑強な透明と透明の間に、綺麗でゴミみたいな言語を投げ入れてる


人間が風に吹かれている/
あ、いるね、と確認しあってから昇るふゆ/

---------

苦肉の策でボツ持ってきました。しくしく。

9ヶ月前 No.698

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★Ow81dTgqSa_KGe



惑う、執拗に置かれる、イマージュの断片、乾いた銃口、深い深い穴、追い疲れた我々と我々のけだものたち、震え、くだらないものの積み重ね、我々が生と呼ぶもの、尊く思う哀れな連続、身体、奇妙に折れ曲がった骨と肉、関節の音、女。

色の信号に書き換えられる、変容に富む、呼吸の必然性、螺旋状に置かれた命令、良質な沈黙の上に降り続ける、穴、死者とそうでないものとに分ける言語、時に傷、傷に見出された意味から、かろうじて生活する、断裂する、そして身体だけが残る、唇、隷属するもの。

怯え、限りない零、諦観の足跡、侵食を繰り返す凡庸、それに従順な旅人達、子供達、飲み込まれ、暴き、新しい顔の家で、移ろい、くちびるへ運ぶ、門の中へ、いつまでも終わらないイマージュの中へ、穴へ、英雄を生む。

穿たれる、けだものの王、螺旋の王、無力と虚無の王、征服されつくす、柔らかな理解と、不定形な言語とを、飲み込み結ぶ生活、そこへ落ちる蛆、穿たれる、打ち抜かれる、果てしなく暗い業、我々に手渡される、多くの事象の上の、漫然と広がる日常。

女、青白く照らされる肉、呼吸する、滑り落ちていくはずの時間、必要なはずの光景、満ち足りた何もかもは、並べられ、打ち抜かれた穴を、虚無と名づける、哲学に頭を垂れる、形のない牢獄で、生々しく貫かれる、何度も。

名のつくすべてのものを従えて、言語を一たび砕き、連綿と続く日々の元に、還す、いずれ物語りに成り果てる、銃口を覗くように、死と、それに続くイマージュ、何度も、門を押し開ける英雄の、優しく脆い慟哭へ、注がれる。

予言された、王を殺し、予言された、暗い底からやってくる、鉛の音、日々の段、ひとつ、ひとつ、またひとつと、執拗に置かれる、意味を丁寧に撫で、女、もしくは虚無、淡々と置かれる家へ、還る、この営み。

0、完全な0、どこにもない0、明るく乾いた0、王の為の0、祈りの為の0、青白く燃え続けるけだもの、との完全なる婚姻、0、それは理解、0、それは感受、0、それは意図、あらゆるものに織り込まれ、そして解かれる。

重ねても、噛み砕く。0と成る。

------------------
懐かしいですね!たぶん8年位前に書いたんじゃないかな…えらい中二やぁ…(※今でも

9ヶ月前 No.699

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★Ow81dTgqSa_KGe

それがまた燃えていると


それがまた燃えていると
通報が入ったのが午前4時過ぎで
誰もが本当のことだと信じなかった
夢の世界では子どもたちが学んでいる
大きな魚を飲み込み、吐き出す夢

それがまた燃えていると
いち早く気づいた詩人はもういない
かの人の言葉は学べなかった
全ての女に紐付けされた人型が
楽しげに揺れているだけだから

それがまた燃えていると
それがまた流れていくよ
もしもし、だったら、
指にもまだ使いみちがあるかも、

それがまた燃えていると
通報するんだ、泥の中で
結んでしまう手前で
掴まえるんだ、虚像は名前をつける
そしたらね
きっと始まらないね

それがまた燃えていると
比喩の槍を持った人々が現れて
ここには人間がいないと言って
獣の顔つきで、あまりにも簡単に
祈るものだから、静かに!
学んでいる人がいるの

それがまた燃えていると
新しい(って何?)
街が(どこからどこまで?)
出来ました(いつのこと?)
それはどうでもいいから撫でて、
撫でて欲しいだけなの、全部

それがまた燃えていると
判断されうるぎりぎりのところで
ぱっと身を翻し、溶けた
続きを読んでほしかったら
瞼の裏側に「」って書いて

それがまた燃えていると
子どもたちは語りながら沈む
あぶくの中にはまた子どもたちがいて
銀色に燃えているが
大きな魚には泣いているようにしか見えない

それがまた燃えていると
立つ、足は亡くなってしまったのです、と
敬礼して見事に飛び込んだ
新しい輪を選んで獣たちが笑い始めている
それがまた流れていくよ

それがまた燃えていると
信じないでおこうね、私達だけでも
声の向こう側から誰かがやってきて
そっと唇に指を置く
手のひらに熱を滑り込ませる

--------------------
というわけで、『ヒビコレ』10周年でした!
拙作を読んでくれた全ての人に感謝します。これからもよろしくね!

9ヶ月前 No.700

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★Wnza3eFyPK_JEY

くかたちて うつつにくだる たくせんは かみならむことも かみといふなり

探湯て 現に下る 託宣は 神(上)ならむことも 神(上)と言ふなり

8ヶ月前 No.701

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★Wnza3eFyPK_kuu

朝市に行って
淀んだ魚の目と対面する
淀んだ海の静けさがある
淀んだ太陽が白々と明け
青く、水っぽい息を吐き出しながら
それらを選別する

何かが綺麗になるのは幻想だ
全て混じり合い
最後の抵抗のように
目の前へ現れる
糸に引かれていく

淀む
あらゆるものと一緒になって
ぬらぬらと沈みたい
(欲求は常に叶えられる)
淀んだ魚の目がある
決してどこにも切り離せない
戻ってくる

朝市が終わった
発泡スチロールが洗われている
泡立った水が海へと流れ
それぞれの秘密の中へ
今ひととき 還る

8ヶ月前 No.702

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★Wnza3eFyPK_kuu

花が咲くのは恐ろしい
手を引かれて続いた道の
脇に止められていた重機
産卵しそこねて飛ぶ蜻蛉
眠る度に
私から零れ落ちていく影

人々の中には海がある
8月に波へと飛び込み

そして永遠に自分と海とを行き来している
(私は幼い頃、それを幸せと名付けた)
(そして幸せを飽くこと無く眺め続けた…)

項垂れて
花の前を通る時
私は一人の裏切り者になる
幸せに回帰しない重さ
優しい現象から目を逸して
私はまた
海へ往こう

7ヶ月前 No.703

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★Wnza3eFyPK_kuu

かんのち


缶にも地平があるらしい
生きはぐれたもののかたちが
群れになって 落ちる

かみさまの居場所はいつも
てのひらだったから
砂を掴んでは 流した
とおい場所を数える
指はいくつあっても困らない

地平は鋭く
新しい世界を斬りわける
その淵に座って
だれにもわからないように
そ、と両足をとじた





7ヶ月前 No.704

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★Wnza3eFyPK_p1O

いつの間にか、音が満ちていた。

音が満ちていた
白い犬と踊るように
そしてシロが死んでしまった後の
音楽がかけっぱなしのダンスホール
そのものの記憶がホワイトアウトして
まだ眠り足りないと言うように
言葉が
言葉が降り積もって
しろ、
柔らかい死体からうごめきだす
記憶がいつまでも
硬直した拳を開かないから
まだ踊り足りないと言うように
吐き気を通り過ぎて
暴露された様々の上に注ぐ
信仰
優しさに居場所など無い
誰かの為の音楽など無い

くらやみの中に
音が満ちていた
化合がはじまる
永遠に目覚める
化石と鉱石
シロ、
そこにいたの、

手が、花弁のように咲く

6ヶ月前 No.705

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★Wnza3eFyPK_sgs

頒かたれているものすべて川岸へ流れ着く
頒かたれたいるものすべて川岸になる
港からつうつうと入り込む、海は
流し去った魂を灯りと共に呼び込む
皆乖離する
(くちうつす、きおくは、くちうつす)
ひたひたと波が浮かせ撓む、また流れ
そうして頒かたれた水がひとところに戻る
魂はそういう夢を見る
貴方がまた船を押し出す

6ヶ月前 No.706

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★Wnza3eFyPK_A7b

6月の詩

色んなことを知ったから
そこからこぼれ落ちたものを知らなかった
大人になるって意味があると思ってた
だって皆大真面目に語っていたから

色んなことを知ったけど
6月のひとつひとつに
名前をつけることさえできない
例えば霧が草木の色を変えてしまうとか

どこにもいないこと
曖昧な言葉の底を彷徨う
繋がりを失う
そこで初めて
自分が踊れることを知る

わたしの中に眠る美しさに
胸を張る

4ヶ月前 No.707

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★Wnza3eFyPK_A7b

みつあみ


ずいぶん長くなった 髪を すくい上げ 胸の下で 編む
髪はすでに 半分 結終わっており
あとは さんばらと解けた 形を 三つに分けて
互い違いに 編んでいく

おへそに髪があたると くすぐったい
一色ではない 髪は ところどころ 白かったり 茶色かったり
不可思議な方向に 歪んでいるものを ぐいとまとめて

どこまでも どこまでも 編んでいく
その中に 太陽を隠す 時間を隠す 身体も
一緒に 結い上げる
透き通った 皮の そこ ここで 花が開く
物語を聞いて はじめて 自分を知るように
そして その物語が しずかに 自分を責めるように

入れ替わる また 入れ替わる
そうして 髪は 編まれていく
長く 長く 記憶を掬い
ただあの 得体のしれない悲しさから 逃げるために

3ヶ月前 No.708

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★Wnza3eFyPK_GOx

真砂


ペットボトルが
まるで海の一部のような顔をして
浮いている

ゆっくり、ゆっくりと、言葉の途中を区切って、恐らくその途中、区切った途中には、ゆっくり、ゆっくりと、息を吐いて、それを誰かが名付ける。こきゅう。そんな顔をしている。

緩やかに歪んだ地平線の上に置くものを準備しろ

美しい、美しい、美しい顔を晒して、
言葉の途中になって、
透明のまま、光を虹に変える、ふてくされて、

地平線なんて真っ直ぐであればいいと思ってた

泣いて、泣いて、何度も洗われた部分が真水になればいい、とも


似ても似つかぬ顔で、ペットボトルが砂浜を離れる
どこか、手を伸ばした
ゆっくり、ゆっくりと、輪郭を確かめる、途中、すべて途中なのだ、なみだは何度も、なみだで、砂に染みては乾く、どこかで息を吐いては、重なる、

また捨てられた顔の
ほのあたたかさよ

2ヶ月前 No.709

イロイ @miori☆u//SDV8I1e. ★Wnza3eFyPK_GKj

夜明けを待っている

橙が街を広げていく
階段はやがて消えるだろう
口笛が聞こえる

呼ぶための呪いによく似ている
風のように
夜明けを待っている
子らの足を探す
だいだいの繋がりに燃え上がる
街は太陽そのものになりつつある

夜明けを待っている
日々の摩耗から
眠たげな瞳を守るために
もしくは
孤独を救うために
全ての子供達は夜明けを待つ
風はあらゆる木に吹く

せり上がる胸に合わせて
神話を撫でる
もうここには無い
泥の秘密を廻す
口笛が呼んでいる

1ヶ月前 No.710
切替: メイン記事(710) サブ記事 (51) ページ: 1 2 3 4 5 6 7 8

 
 
<< TOPページ 掲示板TOP 記事データ お知らせメール ▲ページ上 >>
★必ず ローカルルールメビウスリングのルール をご覧ください。
 ▼スタンプ▲スタンプ
※スタンプはいちどに 3個 まで使えます  ×閉じる
注…感想・コメントはこの記事ではなく、サブ記事に書き込んでください。