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となりのあかり

 ( 詩集つむぎ城 )
- アクセス(314) - ●メイン記事(72) / サブ記事 (2) - いいね!(4)

山人 @ookumo1310 ★z80q9lxKhR_jwI

日が短くなったねと
どこかしこから挨拶が交わされ
また秋がきた

夏の坩堝は
最後の尾を動かして
少しばかり記憶の隅を刺激する

夜はふたたび長くなるのだからと
濃い広がりが大きくなると
となりのあかりが点きはじめる

2年前 No.0
メモ2015/09/09 07:14 : 山人 @ookumo1310★z80q9lxKhR_jwI

メイン、「明日のあかり」のサブ詩集です。過去作を見直し、「明日のあかり」に載せていなかったものから発掘し載せていきます。

切替: メイン記事(72) サブ記事 (2) ページ: 1 2


 
 
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山人 @ookumo1310 ★z80q9lxKhR_jwI

教壇に誰も居なくなると
黒板はくったりして夏休みが始まる
誰かの机の下で
置き忘れた消しゴムが一つ

夏休みだーっ
カランっと放り投げた氷を
頑丈なグラスがキャッチして
びりびりの炭酸がはじけている
学期の達成感みたいなものを
ごくっと飲み込んで
あ”〜なんて、息を吐く

テレビをつけてみるけれど
しばらく自分の置き場所がわからなくて
どこかへ急ぎたいようで
そわそわする

赤い果実の黒いツブツブ
割れて火がついて広がって
うちわが空飛んで
星をつかまえて
夜空の海だー。

なつやすみ・・・
そっか、宿題もあったんだ

2年前 No.23

山人 @ookumo1310 ★z80q9lxKhR_jwI

こんないい天気の日には
内臓を乾かそう
カビの生えた脳を取り出し
天日干し
アルコール臭い肝もよく洗って
耳の奥のカタツムリも掃除しよう
都合のいいことだけ聞こえるように
血管はプーっと息を通して
悪い脂を通すのだ
骨に巣がいったら
セメントで埋めておけ
鼻もよく洗って
ウマイ話を嗅ぎつけらるように
目は湧き水で洗え
白と黒がはっきりするよう濁らせるなよ

2年前 No.24

山人 @ookumo1310 ★z80q9lxKhR_jwI

見たか!
これが太陽だ
夜の真っ黒い淵から
皆で
力を出し合って
ソーレ、ソーレと
引っ張り上げた太陽じゃぁないか
真っ赤な炎
どくどくと鼓動を立て
真っ赤な血を滾らせている
太陽じゃぁないか

2年前 No.25

山人 @ookumo1310 ★z80q9lxKhR_jwI

外には小さな堀があり、涼風が風鈴を鳴らす
ふわりふわりと命を置き忘れた蛍が夜露を飲む
君の湯上りの匂いがうちわの風に運ばれて
体の芯を仄めかせる
虫が翅を震わす
裾がはらりと落ち
虫の音だけが夜を攪拌する
蚊取り線香の最後の灰が落ちるとき
君が啼く
虫の翅のように君の睫が震えている

2年前 No.26

山人 @ookumo1310 ★z80q9lxKhR_jwI


ちゃぶ台の床に根が張っている
娘の尻の根だ
ぐちゃらぐちゃらときりもなく
何時間も食っている
華奢だがオヤジの肴みたいなのを
だらだらと果てしなく食い続けている

久々に帰って来ると寝る
眠る昼も夜も寝、飯を食っては寝る

ぷかりぷかりと煙のように
言葉を発し
ふわりふわりと歩いている

天変地異が起きて
娘の横をビルが倒れ
足を持ち上げた先から大地がひび割れたとしても
彼女はめんどくさそうに
あーだりぃ・・とか言いながら、
ふわりふわりと歩いていくのだろう

2年前 No.27

山人 @ookumo1310 ★z80q9lxKhR_jwI

アスファルトの熱がまだ暖かい夜、あたりを散歩する。
月は消え、闇が濃く、しかし空には数え切れない星がある。
そっと寝転ぶと犬も近寄り、鼻梁を真っ直ぐに向けて夜を楽しんでいる。
吐息を幾度と繰り返し、私と犬は少しづつ闇に溶けていく。
この夜の、ここ、私と犬だけだ。
仰向けに寝転ぶと背中が温かい。
太陽と地球の関係。
照らした太陽と受けとめた地球。
その熱が闇に奪われようとしていた。
少しづつ少しづつ闇の中に入っていけるようになる。
例えば寝転ぶと夜空は前になる。
そこには壮大なステージがあり、多くの星々が煌いている。
この夥しい光のしずくが私と犬だけの為にあり、瞬きが繰り広げられている。
時折吹く、秋風。
その静寂と、闇と星の奏でが、風に乗って、鮮やかな夜を作り上げている。
闇は無限に広がり、空間がとてつもなく広い。
地球の上に寝そべって、無限の夥しい天体を眺めている。
このときこの瞬間、私のあらゆる全てを許すことが出来たのだった。

2年前 No.28

山人 @ookumo1310 ★z80q9lxKhR_jwI

山で激務し、山道を帰る。
日が赤く熟し、雲に隠れようとするとき、分岐に着いた。
そのまま、取って置きたい真っ赤な太陽を目でさらう。
岳の頂きから、朱色の雲が織り成す景色が疲労を緩める。
闇が染まると、ヘッデンを点ける。
木の葉は擦れる音にじっと目を凝らすとヤマアカガエルが、跳んでいる。
どこからともなく、明かりに蛾が集り、夜が繰り広げられている。
山道の凹凸を外さぬよう、疲労した体の重みを分散させ、石に預ける。
ザリッと、長靴のスパイクの擦れ音が私の鼓動となる。
疲れを時折吐露し、汗を拭えば漆黒の空には星が出ている。
星はいつもそこにある。
いつ、如何なる時も、私は抱かれているのだ。
山道の終点に着くと、大きく息を吸って大きく吐いた。

2年前 No.29

山人 @ookumo1310 ★z80q9lxKhR_jwI

秋は大きな大きな大陸だ
船は光を発し
洋々と秋の乾いた波を泳いでいる

四季の中で
胡坐をかいて
いささか渋くたたずんでいる

噛み砕いている
あれこれのおもいを
空へと投げあげて
雲が実り
蒼い空が熟成しているのだ

光のビーズを振りまき
孤高の横顔を見せつけている
目元のしわもキラキラ
輝いているじゃないか

2年前 No.30

山人 @ookumo1310 ★z80q9lxKhR_jwI


其処、此処の
間で、わたしが、その
てんと、すわって
カチンと固まって
凍るのです。
「かちん!」。
ただ、いま、もの、おもい、に・・・ふけ中。
ぼん、やり、ふわーんと煙が国境を越えます。

あたりは戦争で血が川を流れて、いつ、かと思えば。
子供達が、かたことでぼくに、必死に、なにか、喋っているんです。

通り過ぎていきます、多くの、顔のない人達が。
タソガレテいきます、山々が、瓦礫とともに。
目が点です、転がります点が・・・。

暑いの?冷たいの?
私の手の平で凍りと真っ赤な炭が。
もの、おもい、に耽っていると
そんな感覚も忘れてしまっていました。

2年前 No.31

山人 @ookumo1310 ★z80q9lxKhR_jwI

疲れたときにはカカオリキュール
苦味が細胞壁を破砕し
湿潤してくる
心が無人島になって
ぼうっと滲む一筋の蝋燭に
かんぱい
波を聞きながら
オレンジ色の月を眺め
明日はまた
すっかすっかの骨でいかだを作って
まだ見ぬ、季節へと繰り出そう
カカオリキュールが醒めないうちに

2年前 No.32

山人 @ookumo1310 ★z80q9lxKhR_jwI

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2年前 No.33

山人 @ookumo1310 ★z80q9lxKhR_jwI

脳味噌なんて、たぶんないんだろうと
諦めていた私。
私はミミズ
そういえば、ずっと何かを考えたことなんてないんだから。
土中のどこからかの声に導かれているのは感じるのだけれど
モグラの吸われてじたばた喘いでいる仲間もいたけれど
私がへびにさえなることもないだろうし、
足など持つこともないだろうと考える。
私はこれまでどおりずっとミミズで一生を終え、死んでいく。
悲しい定めかもしれないが、せめて、こうして
土中に包まり、土の摩擦を感じていると、
私のぬめりのある皮膚が喜んでいるのだ

2年前 No.34

山人 @ookumo1310 ★z80q9lxKhR_jwI

秋の日、ふとした、閑とした日常の日曜日
秋の日だった

なぜか、本当に、久々に
正月年賀の写真を撮ろうと
家族で玄関に出た

秋だったから
乾いた風が吹き
全てが乾いていて

君たちは私の心など知るよしもなく
吹かれる秋に身を任せ
でも、どこか私の
寂しげな内面を見ていたんだろうか

風に吹かれて自転車遊びをしている
おでこの広い長女の髪が秋に吹かれて
暖簾が寂しげに揺れていた

2年前 No.35

山人 @ookumo1310 ★z80q9lxKhR_jwI


白く泣く砂の上
両手で砂を掴み
一縷の風に
手の平の底から零れ落ちる砂粒
地の底からの叫び声
海が底から湧きあがる
漆黒の暗闇から重なるような怒涛を
次から次へと湧き出させて
絶望のかたまりのような岩に叩きつける
枯れた火が遠くで燃える
青白く冷えた光を伴って
水は流れる
冷たく透明な水路を持った凍った体内に
かさかさと私のうろこが風に舞い
海岸の発泡スチロールと共に
虚ろな鼓動のない空へと吸い込まれる
いつしか私は波となって私を見つめて
ひらひらの干からびた
骨のように佇んで
じっと白い砂風に吹かれている

2年前 No.36

山人 @ookumo1310 ★z80q9lxKhR_jwI

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2年前 No.37

山人 @ookumo1310 ★z80q9lxKhR_jwI

外は普通の景色があった
普通に美しく
普通にさわやかな景色なのだ
まさにそこは
普通だった

今は普通ではないのだろう
普通がどれだけ美しかったか
普通がどれだけさわやかだったか
さえ、
もう、
忘れてしまったわけじゃない

これからどれだけの
これからどれほどの
苦しみや困惑を抱え込めば
普通になれるのだろうか

かもめが飛ぶように
僕たちも
いっそ鳥だったらと
誰もが思っただろう

剥がれ落ちた希望
夢とか
色んなもの

残った僕たちの形骸
そのなかで
どこかに脈ずくものがあるなんて
とても信じられないけれど
かもめが餌を求め
寒さに震え
ふいに訪れる死をも受け入れて
黙っていき続けている様を見ていると
僕たちはかもめにだってなれるんだし
かもめ以上に生きられるんじゃないかと
思う。

2年前 No.38

山人 @ookumo1310 ★z80q9lxKhR_jwI

遠い時空の街を彷徨った
いくつかの苦味を数え
眠りに就くのが日課だった

小石を空へ放り投げる
その瞬間を僕は、
見ることもなく
石は砂粒となって
記憶の片隅に振りまかれた

海馬の襞からにじみ出る膿が
毒素を放ち
私の筋組織に寄生し苦しめる
私と言う農地で苦しみが培養され
苦を枕に眠れるようになった

*

鬼瓦のような砂利道
振りまかれる岩石
畦を走り回る一輪車
あたり一面の鶏の糞と悪臭

わたしはとても
物心ついたときから子供じゃなかった
童心の表皮が乾き角質化して風が捲ると
ひとつづつみずみずしいこどもが死んでいった
表皮の裏側にわずかな
命の水を吸い上げる導管が施され
私は木となった

ささやかな生活を繰り広げ
楚々とした生を営み
年輪を刻んだ

さまざまな記憶をたくわえて
私はこうして
風に吹かれている

年輪は痛みを伴って
今も疼いている
穿孔された甲虫の唾液が痛みを強くする

胸の奥に打ち込まれた杭が
腹の奥まで沈下し
奈落の焼ける痛みを発生させている
搾り出すように
ぶるっと私は震え
私はやはり

この木であったのだろうと
木に手の平を押し当てる

2年前 No.39

山人 @ookumo1310 ★z80q9lxKhR_jwI


何かを削る音が聞こえている
これは摩擦音で、火花が周りに散っているのが想像できる
稲の収穫も終わり、籾乾燥施設は後始末を始めているのだろうか
誰が削っているのだろう?
初老の男の姿が想像できる

男は創造主であった・・とするならば、まこと、納得がいくのかもしれない
脳が首の中まで充満し、さらにいかった肩にまで脳体が充填されている
意思が高まれば脳が増殖し、男に独り立ちできる台詞を与え、そうして、いま、
初老のその男は、やはり背を丸め、マスクをし、何かを削っているのだ
決して自らの骨や肌身を削るのではなく、
あらゆる無駄なものを削り取って来たのだろう

そして、いつか削ったその先に光る何があるとすれば
男が死んだ先に、ぴかぴか光った墓石が秋の日差しに映えているだけなのだろう

2年前 No.40

山人 @ookumo1310 ★z80q9lxKhR_jwI


割れそうな胸を内を赤銅色の朝に秘めて
ひた走りたい
息がこもるネックウオーマーの中には
狂おしく走り回る小リス
新しい革のかばんのにおい
まっすぐな味わい、走り去る直線
まぶたがバシバシ言う
拳骨を握り締めて
霜柱をわたる

2年前 No.41

山人 @ookumo1310 ★z80q9lxKhR_jwI

空気すらもないようなこの荒野で
俺はギターかき鳴らす
二つ三つのコードを
渾身の握力で押さえ
俺はわけのわからない歌を歌う
どうか月が割れるように
どうか太陽が狂うように照りだすまで
しおれた花にささやくように
俺はひとつ
吐き出す息に水滴を垂らして
わけもわからない、この
カスの様なこの一日に
俺は、ただ
黙って、鉄のギターをひきづり出す
手が血だるまになり
喉が焼け
霜柱が立つころまで
俺は命を歌を歌い続けよう

2年前 No.42

山人 @ookumo1310 ★z80q9lxKhR_jwI

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2年前 No.43

山人 @ookumo1310 ★z80q9lxKhR_jwI

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2年前 No.44

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_iye

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1年前 No.45

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_iye

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1年前 No.46

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_iye

私は気弱な動物にさえなれず
眠ることも許されない魚だ
潮の重さに鱗をはがれながら
私は泳ぐ
瞼は閉じられることなく見開き
形はいつも同一の流線形
立ち止まって考えることもなく
私は泳ぐ
海水の中にも比喩はある
でもこの鱗を擦る海水と
時折さす海面のまなざし
口から肛門へと流される思考
私は魚だ
魚以外に生きていられなかっただろう

1年前 No.47

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_Xrr

山人は不思議なひかりを放ち山道を歩いている。
夜の温度が冷え小さな蜘蛛の巣がたくさん小枝につき、ゆらめく朝の光が反射している。
山人の呼吸がはうはうと白くなるとき、虫にかまれた色づいた葉からしずくが落ちる。
若かったときがあった。
山人の記憶は遡る。
記憶の年輪をさかのぼると、そこにはさまざまな朝日や小石やさかながいる。
年輪の縁が黒くなるのは、そこで成長が止まるのだ、また縁から新しい年輪が始まる。
 この間まですぐそこで鳴いていた蝉。
蝉の腹は割かれて鳥の胴体となりありのコロニーに積まれているだろう。
たくさんの卵が食われ、たくさんの成虫が食われ、そして死骸も食われる。
私は少なくとも死骸にはならない。
奈落の手招きに黙って対峙するように、大きな山塊に足を踏み出す。

私のひとつぶひとつぶが少しづつ山道にしみこんで、そうして道は繋がった。
国道は災いにより鎌首を重くススキを侍らせていた。

生きてゆくのは雲のようなもので、水のようなものでもあり、空気のようなものでもある、そう誰かが言ったような気がする。
それらが通り過ぎた後、そこに私が残った。

なすべきことは何なのか、その問いに私は有無を言わず入り込んでゆく。
私が私として死んでゆくために、粛々とその内臓に踏み入るのだ。





ぺそぺそと花が黄銅色となって酸化していくとき
人の光はさえぎられる

呼吸し吐き、血液をめぐらせるとき
人のよろこびが沸き肉がおどる
思いは軽やかにダンスし明るい光がともされる

腐れていく花弁の終末を黙って見入る人もなく
ハエが不意に立ち止まり
腐った臭いを楽しんで再び飛翔する

引力にしなだれるように
土にしみこんだ花弁の腐敗汁
とつとつとしみこんでいくのだろう
奥万のバクテリアが口をあけて待っている
その腐った汁を
十月の空のその向こう
いくつかの花びらが散り
透明な奇跡が生まれる

まぶたが重くなって
壁のしみが黒くなり
灰色の蜘蛛が徘徊し
空は垂れ下がってくる

でも、
虫は空を飛び
鳶は空を切る
重くなった空気が
風切羽によってさっくりと

コンクリート橋の一部がはがれて
むき出しの砂利や砂が放れていく
でもそれは、再び何十年後かの
奇跡
また川へと戻ってゆく

1年前 No.48

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_Xrr

  >>1302
君の温度がまだ残る部屋、その隅に、残された一つの残片。治癒途中のかさぶたの切れ端が、静かに残されている。
物体がおおかた四角なのは、きりりと押し固めることができるようにと、誰かが考えたのか、それとも人の思考が四角く仕切られているのか。その形の中に有無をも言わせぬ、決別がある。部屋には饐えた匂いとかすかな哀愁のある残照が目立った。
 君は、その古い真鍮のドアノブを静かにどちらか一方に回し、息を吐く。そして新たなる息を吸い込みながらそのドアを閉めていく。
 遠望は利く。そこに広がる景色は君が作った世界、そしてそこに何物にも変え難い君の言葉が飛翔していく。滑り止めのある錆びた鉄階段を下る。手すりには錆びの匂いと少しだけ緩和された靴音。
階段から落ちたつと、君は。静かに部屋を一瞥し、舗装されて湯気の立ち上がる濡れたアスファルトを歩き出した。
君が少し生活した部屋、それは私だったのかもしれない。


1年前 No.49

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_Xrr


金木犀が香る午後
陽射しがきらきらと
金色の帯を散らしている
コーヒーにミルクを入れて
スプーンで陶器を擦る音
君の声が
褐色の液体にミルクとともに混ざり合い
くるくるとかき混ざられて
やがて僕の
安堵の中心に下がってゆく
街並みから見える秋の空
遠いけど
染み入るようですごく蒼い

1年前 No.50

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_KxC

鉄のような寒さに身を震わせ、俺は犬と散歩する。俺は一本の尺杖となり闇に身をすり合わせる。骨がかすかにふるえ、幾分せつない温度を吐く。
空には未だ億万の星が瞬き、狂ったような輝きを見せ付けている。
星は瞬いた、と、星は潰えた、するりと断片からもげ放物線を描き、ぷすりと闇に死んでいった、流れ星だった。
描画された一面の漆黒の星空から零れ落ちた、流星、確かに星は動き、流れた。
星が流れたあと、そのあとにはちかちかとより星星はひかり、空は流れ星のことなど知る由もなかった。

6ヶ月前 No.51

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_KxC

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_iye
厨房の調理台に肘をのせ、目をとじる朝
ひさしぶりの雨の匂いがどこからか入り込んでいる
蒸す室内に換気扇と冷蔵庫が唸り、執拗な音をひびかせていた

室内に施されたステンレスの内壁に蛍光灯の光が白く反射する
それぞれの調理器具は沈黙を保っている
脳裏の時間をさかのぼれば、まだ幼い子らが居て
調理場を走り回り、私の声と妻の声が交錯し
その喧騒がすべてを混錬し、私たちはそこに生きていた

私は包丁入れから牛刀をとりだす
漂泊の匂いのついたまな板に冷水をかける
まな板の上には野菜がのせられている
磨かれた包丁は無造作に菜の繊維を断ち切り息をする
煮る、炒める、味をつける、盛る、出す
合間に使用したボウルを洗い、拭き、格納する
延々と作業は終わることなどなかった

作業の一つとして調理をする、雑用をする
そのことに没頭することが仕事である
作業は増殖する
魔の谷のように抉られ埋没し、炎のように膨れ上がる
そして私は鬼となる
作業の中で膨れ上がり、赤く染まり、肉をそそらせ
やがて、晩夏のように薄暗く暮れてゆく
1年前 >>0

3ヶ月前 No.52

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_KxC

男と山道を下る  ( プロ詩投稿城 ) - アクセス(149) - -
山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_iye
鈍重と言えばいいのだろうか
家屋の中にいると夏の初めの暑さが特に堪える
まして、切れなくなった包丁で食材を刻む顔がゆがんでいるのがわかる
 男からの連絡が、なかなか無い
その苛立ちがあった
なんとはなしに腕時計を見れば、すでに午後六時に近い
携帯が鳴る
飲料水を切らし、熱中症なのか足が攣って動けないとの電話
ザックに飲料水を1リットルほど入れ、出発
ヘッデンを額に巻き、登山口から登る
すぐに息は切れ、汗がだらだらと埃立つ登山道に落下している
夕刻の登山道はヨタカが少し鳴く程度で、あまり音が無い
樹林帯の中、聞こえてくるのは、自身の荒い息と長靴のスパイクの摩擦音
自堕落な日中を過ごした体が震え、動力に火が点きはじめている
なんどか汗をぬぐい、大きくため息をするとやがて峰に着く
いつも見てきた景色だ
山はそこにあった
 岩肌にオブジェのように凭れかかった男がいる
ひとつふたつ、あたり触らぬ言葉を投げ掛け、男に茶飲料を渡す
生気が失われ、むさぼるように飲むわけではないが、静かに動こうとしていた
男の軽いザックを持ち、先に歩ませる
チリンチリン・・・
昼の夜の間の空間がそこにあり、男のザックの鈴がその間をとかしてゆくように鳴る
転んではいけない、転ばせてはいけない
会話に夢中にならず、触らず
うすい表皮を撫でるように男に言葉を投げ掛ける
少し足元が暗くなると、男の背後からヘッデンを足元に照らす
小邪魔くさい石ころや木片を藪に捨てると、男は決まって反応する
やがて急な山道は平易になり、ひらけたワラビ畑に出る
平易な日常を年の数だけ経てきたのだろうか
男は私と同じ58だと言った

3ヶ月前 No.53

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_KxC

私は気弱な動物にさえなれず
眠ることも許されない魚だ
潮の重さに鱗をはがれながら
私は泳ぐ
瞼は閉じられることなく見開き
形はいつも同一の流線形
立ち止まって考えることもなく
私は泳ぐ
海水の中にも比喩はある
でもこの鱗を擦る海水と
時折さす海面のまなざし
口から肛門へと流される思考
私は魚だ
魚以外に生きていられなかっただろう

3ヶ月前 No.54

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_KxC

苦いコーヒーをすすりこむ、まだ夜明け前のひと時
大切であり、もっとも真摯になれる
ヒーターのよどみのないファンのまわる音
そして柔らかく冷蔵庫のうなり音が聞こえている
古びた家屋の中で私は自我が目覚めるのを待つ



遠くに、海がある
切り取られた日々は、流氷のように流れていき
またこうして私は新しい陸へと足を踏み出した
頭上をかすめてゆく海鳥
一声鳴いたかと思うと、また海風を利用して海の上空へと舞い上がる
はるか離島を顧みれば
切り裂かれた建造物と迫り出した突起物がひしめき合い廃墟となっている
あれが私の過去だとすれば、なんとむごたらしい様ではないか

少し熱いほどの手のひらを開いて、目を瞬かせ、顔面を揉みしだく
海鳥の放物線が廃墟の離島を目掛けまた一声鳴いた



風のない朝である
私は再び苦いだけのコーヒーを口に含み、その温度を確かめる
黒褐色の沈殿物が粘質となったその溶液
マグカップの底にわずかに残ったそれを喉に流し込む
夢の尾を仕舞い込む朝がある
苦みを胃腑に落とし込み、細かい畳の目を見る
怠惰な株を引き抜き
四時を過ぎたころ私は厨房へと足を向ける
1年前 >>0

3ヶ月前 No.55

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_KxC

割れそうな胸の内を
赤銅色の朝に秘めて
ひた走りたい
息がこもるネックウオーマーの中には
狂おしく走り回る小リス
新しい革のかばんのにおい
まっすぐな味わい
走り去る直線
まぶたがバシバシ言う
拳骨を握り締めて
霜柱をわたる

3ヶ月前 No.56

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_KxC

風のためいき  ( プロ詩投稿城 ) - アクセス(207) - -
山人 ★vOTyGR1vFx_7Rf

初冬の初雪の舞う中
風が木立ちの間を勢いよくすり抜ける
山の頂きから頂きに掛けて 送電線の唸る音が聞こえる
人造湖は波打っている
一瞬ふわっとしたかと思うと
空は洗われ 雑木林は明るく広がる
すでに枯れた黒花エンジュから
スズメが生まれるように飛び立つ
突然 風はふっとためいきを漏らす
雪はまだ降っては いる
けれど 風のためいきとともにあたりは静止し
一枚の暖かく 白と黒の明るい絵となる
ふんわりとしたやさしい空間が生まれる
まだ間に合うかもしれない
いやきっと間に合う
だって風がやみ 風の吐息が感じられたから
するとまた パラパラと霙交じりの雪が
普通の呼吸に戻った風に押されて吹き付けた

とてつもない遠い山から山へと
木々の間を縦横無尽に吹き付ける風
じっと風を見回している私がいる
木の葉のように流されたりはしない
風はまたため息を吐いて
落ち着くはずだ 私は思った

3ヶ月前 No.57

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_KxC

ときどきの瞬間に存在する音、
ストーブの、
正確にはファンヒーターが、
火を燃やす
石油、
若しくは灯油といえばやわらかく聞こえ、
その液体が気体として何らかの外力を受けて、
その飛沫の微細な粒に火種が着火
ほど良く有毒な物質を排除するためにファンは回る
その、理路整然とした順路は痛々しい
音については自発性が無い、
音が孤立し、
さらに自立することは無い
あきらかな因により発生する
さらに言うと、
何かが何かに触れる、
つまり摩擦のような事柄
それにより音成る現象は成立を見る
火を保つためにファンは回り、
そして音を発する
執拗な音、
今日の音は
特に執拗である。

3ヶ月前 No.58

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_KxC


あご髭の白い老人は言った

その汁だ
その汁がうまいんだ

薪ストーブが煌々と燃えている
その上に遥かな時を巡った鋳物の鍋
穀物と野の草と獣の骨肉を煮込んだもの
それが飴色に溶け込んで
ぷすりとぷすりと
ヤジのような泡を吹かせている
端の欠けた椀を掲げ
木杓子でよそう
穀物が汁と共に椀の中でばらけ
汁で膨満している

その汁を飲め

老人は言った
見たこともない逸品を欲しがる生き物のように
私は唇を椀に押入れ汁を迎えた
体中の髄に収まる密着とはこのことなのか
うまい汁である
悪癖をこそげ落とすように食道を落下していった汁
私の根元からこみ上げる息吹がある
吐き出した息を再び飲み込み
唇を柔らかく横に伸ばし
まっすぐ前を向き

うまい汁ですね
命の味がします

私は老人に言った
私は唇を椀に押入れ汁を迎えた→私は唇を椀にあてがい、汁を迎えた

3ヶ月前 No.59

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_KxC

薄くひらかれた口許から 吐息を漏らしながら声帯を震わす
まだ 生まれたての皮膚についたりんぷんを振りまくように
僕の唇はかすかに動き なめらかに笑った

足裏をなぞる砂粒と土の湿度が おどけた動きをリズミカルに舞い上がらせ
僕はその 遊びの中で
くるくる回りながら気持ちを高揚させていた

土埃の粒子が何かにエネルギーに吸着され 一度残酷に静止した
世界はやはり 僕の回りで凍り始める
--あなたから発せられたひとつの言葉--
静かに細胞は壁を破砕し 平らに横たわっている
ジャングルジムの鉄の曲線に 僕の眼球は一瞬凍りつき
やがて ぐらりとそのまま土の上に落下した
僕の中の仔虫たちは惨殺された

緑の林縁はオブラートに包まれ 目はしなだれた
複眼に覆われた ぼんやりとした視界があった
土を丸く盛り 仔虫をひとつづつ埋葬し目を綴じた



あの日 僕の中の少年は
--あなたから発せられたひとつの言葉--
によって撃墜された

たおやかに流れる豊年の祝詞の声
村々にたなびく 刈り取りの籾の焼けるにおい
はるか昔の 少年は
薄く染められた秋の気配に
どこかの葉先の水滴に 映し出されている
僕の中の少年はまだ死んでいるけれど
少しづつ僕は
ながい呪縛から抜け出そうとしている

3ヶ月前 No.60

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_KxC

古い病院のエレベーターに乗り3階で降りる
詰所の横が部屋だと聞いて名前があった
母は妹に背中をさすられていた

窓の外には干し物場のような屋上があって
そこに腐った雪が残っている
雪の残像は闇を彷徨う

一面の白
それは浮き立つようなものではなく、たとえば絶望にも似た、感情さえ失われた白魔
すでに捨て去られた表情は無碍に渇き、新しい寒風を受け入れるように固くがさついていた
雪が織りなす、風が織りなす、その造形は悲しいくらい美しく、その陰影によって作り出された凹凸をシュカブラと呼んだ
つぶらな建物が黒くうっすらと点在する、真冬のホワイトアウト
ぼんやりと見える灯りにふらふらと
狐火に誘われて母は彷徨っていた
狼狽する背中で私は何やらつぶやいていた
母の鼓動は早くなり、やがて静かに落ち着くと
私はその安堵で眠っていた

長い冬だった
あの日私と母は
あてのない吹雪の中どうして帰ってこれたのだろう


電子音のする機械が
リズムを刻んでいるのを時折眺め
雪景色を眺めている
ベッドには丸い背中をさすられている
母がいる
心電図は
ぼんやりとした灯りを燈していた

3ヶ月前 No.61

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_KxC


かつて、むごたらしい苛立ちを
鋭く刃物を突き立て抉っていた
だが今は違う
頬紅をさすように
時さえ愚弄し
キレはじめた男との会話を楽しむように
こうして私は中性的な人となり
突拍子もない独り言を放つ
洗剤に身を浴びる食器をながめ
それを手でこすり
祈るようにまばたきを繰り返し
作業という名の儀式をとりおこなっている
とつとつと流れる時間を食べ
おもむろに動き
踊るように働く
一日の終末を静かに瞼はとらえて
疲労という充足を
あらためて知り
眠りの入り口を
くぐろうとしている

3ヶ月前 No.62

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_KxC

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3ヶ月前 No.63

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_KxC

詩人の見たものが街にころがり 風化しようとしている
命の吹きだまりの中で 一日を食い
風とともに この世と同化する
頭部から散った風媒花のようで
蜻蛉のように日没のコンクリートに溶けてゆく

詩人がつくる宇宙
風の生まれたてを静かに引き寄せて
あらゆるものに種をこすりつけて
ひとつずつ花を咲かせる
花の匂いは夜に漂い
人知れず瞼の裏側に染みついていく

遠い過去の夜まつりに
詩人は怪しい店を出す
狡猾な色合いの奇妙な人形のおもちゃや
攻め達磨のような重戦車
そこで詩人は何も発せずにこにこ笑っている

苦しみの中に詩人は居た
いうまでもなく--
と言うと 静かに語りはじめるのが彼だった
美しくその苦しみを抱擁して
眼前に広がる静かな視界のなかで
 彼は私であった。

3ヶ月前 No.64

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_KxC

地球が終わりの日
外ではモンシロチョウが飛んでいた
私の中ではすべてが終わり
平穏な終焉が訪れようとしていたのだ
 私の心の中にもいつもひらひらと
モンシロチョウは飛んでいた
何時如何なる場面でも脆く落下しそうな形態で
モンシロチョウは飛んでいた
 地球が終わりだというのに、
なんとも呑気に飛んでいる
夜には鈴虫が鳴き、
まだ星々はピカピカと光り続けているというのに、
地球は終わるのだという
きっとモンシロチョウは、全てが消え、
空間だけになったとしても、
何もないゼロの世界で
ひらひらと時空の断片で舞い続けていくのだと思う
3年前 >>0

3ヶ月前 No.65

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_KxC

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3ヶ月前 No.66

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_KxC

開拓村には鶏のおびただしい糞があった。すべての日々が敗戦の跡のように、打ちひしがれていた。父はただただ力を鼓舞し、母は鬱積の言葉を濾過するでもなく呪文のようにいたるところにぶちまけ、そこから芽吹いたアレチノギクは重々しく繁殖した。
学校帰りの薄暗くなった杉林の鬱蒼と茂る首吊りの木、きちがい鳥が夜をけたたましく泣き飛ぶ。

オイルの臭いから生まれたリョウは月の光に青白く頬をそめ薄ら笑いをしている、白く浮く肌、実母の肢体を蔑むでもなく冷たく笑う。
リョウは婆サァん方へ行った・・・、いつもリョウは忽然と消え、ふいに冷淡な含み笑いをして現れる、頑なだったリョウ、そしてリョウは死んだ。
夢と希望の排泄物がいたるところに散乱し、その鬱積を埋めるように男たちはただ刻印するしかなかった。
そう、私たちは枯れた夢の子供。

一夜の雨が多くの雪量を減らし、ムクドリが穏やかな春を舞う。
空間はそこに普通にあり、新しい季節が来るのだと微動する。
普通であること、それは日常の波がひとつひとつ静かにうねること。
そのうねりに乗ってほしいと願う。
血は切られなければならない、私達の滅びが、新しい血の道へ向けてのおくりものとなる。

3ヶ月前 No.67

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_KxC

路地裏には犬がよせ集められ
眼前には滴る血肉のために犬は吠える
月は街を照らすが
ふだんと変わらぬひかりである
人の腸(ワタ)から発せられる生きたにおい
ビル風に揺られて漂いはじめる頃
金属の錆は冬をうたう
揚げ物と、洋酒のにおいが混ざり合い
人の声を月が食べる
漆黒の闇の真上で見ているのは
私たちが暮らすジオラマ。

3ヶ月前 No.68

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_KxC

山間の、とある峠の一角に巨大な岩が奉られている
近くに湧き水が流れ、森の陰影のくぼみにそっと佇んでいる
神が宿るといわれてきた、大岩
峠道を歴史の人々が歩き、腰を下ろした
見つめた大岩に合掌し、旅の無事を祈ったのだろうか
まわりには数百年のブナが生え、岩を囲むようにしんとしている

多くの神が死に、その骸が粉になって
あらゆる物質に寄生することを
人は神が宿ると揶揄した
それは人間が作り出した偶像ではなく
神の粒子が内包されている

神の膨大な死が
巨大な無機物の中に入り込み
そこに確かなエネルギーを内蔵している

日々を刻々と咀嚼し
行いの上を歩くとき
ふと、神は微笑むのだろうか

3ヶ月前 No.69

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_KxC


ゆらゆらと浮かんでは漂う
名もない海面の水打ち際で
取り残されている

次第に水分を吸い
やがて海底に沈んでいくのだろうか
誰も知らない青い水底に
目を剥きながら
静かに

誰にも掬い取られることもなく
しかしながら
それも命
運命などと安っぽい言葉が
ぺんぺん草のように蔓延る中で
真実は無残にもざっくりと切りつけられて
海底に沈む

できるものなら
暗黒の底に棲む
チョウチンアンコウたちが
そっと灯火を照らし
一瞬でもその言葉たちを
浮遊させてくれることを
儚く望むものである。
6年前 >>0


3ヶ月前 No.70

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_KxC


胃の奥に重い金属がある、そんな朝だった。
ページを捲り夜が明け、現実というページが晒されている。
緩やかに時間は過ぎてゆく、爛れて晒された現実はまだ、置き場所もなくそこらへんにふわふわと漂っていた。
「大容量、8kg」と書かれた、この間、新調した洗濯機。このまま、この洗濯機は私たちの汚れ物を洗い続けるのだろうか。そのことを洗濯機は知らないし、私にも解らない。
 家事をする私。
臆面も見せず、作業する、どこに何があるか、ここを開けばこういうものが入っていて・・・針で刺されながらも、私は作業を進めている。
地球が逆さになっても、私はたぶんこうして作業をしているのかもしれない。
 本当に面倒くさい、脳があるなんて。脳味噌が何かできるって言うんだろうか、出来る筈もなくただ何かも思うだけの塊だ。だったら黙って反応するんじゃない。

洗濯物を干すと、名前の思い出せない植物が花もつけずに立ち上がっていた。花は花をつけるから価値がある。花はでも、本来そういうものではない、新たなる命を作り出す器官なのだ。命を作り出すための花をつける、そのために自らがもっとタフに成長しないといけない。そのために花は、花をつけず葉をつける。
 ある姿。それは不完全さを呈す。それはしかし、新たなる創造を行うためのプロセス。
捲られたページの上を洗濯物が滑空する、花のない、花のあるはずの花がにょきにょきと空へと向かって伸びている。

3ヶ月前 No.71

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_KxC

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3ヶ月前 No.72
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