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きっと、それは。

 ( SS投稿城 )
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ぺけ @xxx00xx ★iPhone=0ZLqnGKBVj

「 死にたい 」

その一言は口癖のようなものだった。

「 また、そんな事言ってダメじゃない。私は君と生きたい 」

ヨルは僕の大親友だ。
辛い時、悲しい時、楽しい時。いつでも僕の話を聞いてくれる。僕の大切な友達。

「 ねぇ、僕はなんでここにいるんだろう。ここにいるのに誰にも見つけてもらえない。透明人間なんだ。」

僕はひとりぼっちだった。学校に行っても誰にも相手にしてもらえない。そう、透明人間。

「 大丈夫よ。私はあなたのそばにいるから 」

やっぱり僕の心の拠り所はヨル。君のそばだけだよ。

「 でも、もう。終わりにしないと。」


ーーーーーー


「 あいつまた、1人で喋ってるよ。」

結衣(ゆい)が祐樹(ゆうき)を指差し言った。
祐樹は私の幼馴染だった。昔から少し、ズレているところがあったが高校生になったらそれが周囲に受け入れられず今は1人でいる。
私はそんな祐樹に何もできず、遠くから見ている事しか出来なかった。

「 気持ち悪いよね。美空(みそら)は?どう思う?」

結衣の言葉が冷たく刺さる。私は祐樹をそんな風に思ったことは一度もなかった。私は何も答えられずに俯いてしまう。
そこに丁度よく、チャイムの音が響く。授業の始まりの合図だ。

「 やべっ 」

結衣は慌てて自分の席に戻っていた。私も後を追うように自分の席に戻る。

もう、祐樹とはどれくらい話をしていないのだろうか。昔は日が暮れるまでずっと一緒にいて、将来は…なんて子供なりに真剣に考えていたのに。今ではとても遠くて、同じ教室にいても、まるで違う空間にいるみたいに感じる。


ーーーーーー


「 風が気持ちいいね、ヨル。」

校舎の屋上。夕焼けに照らされ、心地よい風が吹いている。これがきっと僕が最後に見る美しい風景。僕は今日ここから飛び立とうと思う。僕が持ってる勇気を振り絞りここから。

「 ねぇ、ヨル。僕がいなくなったらこの世界はどうなるのかな 」

きっと…いや、何も変わらない。世界はいつも通り廻っていくのだろう。僕がいなくてもきっと、世界も君も…。


ーーーーーー


「 祐樹…?誰と喋ってるの? 」

結衣と帰ろうかなんて校門を出てふと校舎に目をやると屋上に祐樹の姿が見えたので、結衣には適当に言い訳をし、屋上に行って見ると祐樹は1人で誰かと喋っていて思わず声をかけてしまった。

「 美空?久しぶり、透明人間の僕に気がついてくれたんだね 」

小さい頃と何も変わらない笑顔を向けられた。私は祐樹の笑顔が好きだった。

「 祐樹…まさかだけどさ飛び降りたりなんてしないよね? 」

屋上の端っこに立つ祐樹に近づきなら問いかける。祐樹は笑顔を崩さない。

「 ねぇ、何か答えて 」

私は祐樹に手を伸ばそうとした…その時。


祐樹は飛び立ったのだ。



ーーーーーー



「 祐樹… 」

祐樹は屋上から飛び降りた。幸いにも木がクッションになったらしく未遂に終わったが1週間ほど眠りについたままだ。祐樹のお母さんから聞いた話では命に別状はないらしく私はほっとした。

「 祐樹、目が覚めたら読んでね。」

私は祐樹の枕元の隣にある机の上にそっと手紙を置いた。



ーーーーーー


重い、重い瞼をやっとの思いで開けるとドラマや映画でよく見る光景がひろがっていた。僕はベットの上で名前は知らないけれど見たことある機械が僕に繋がっている。失敗したのかと悟った。

「 祐樹…?祐樹!!!先生呼んでくるわね!! 」

お母さんの声を久しぶりに聞いた気がした。辺りを見回すと机の上に手紙が置いてあった。

「 ヨル…。これは誰からの手紙だろう 」

薄ピンクの封筒、差出人の名前は封筒には書かれていなかった。

「 あれ?ヨル…? 」

ヨルの声が聞こえなくなってしまった。いつもそばにいるはずなのに。


ーーーーーー


祐樹のお母さんから祐樹の目が覚めたという連絡をもらった。

「 祐樹…よかった。 」

私は祐樹に伝えようと決心し病院に向かった。
祐樹の目が覚めてから3日が立っていた。手紙は読んでくれたのだろうか。私は今更、祐樹にこんな事伝えていいのか、なんて思い始めるとネガティヴな思考ばかりが増えていきなりがなくなってしまう。
そんな事を考えていたらもう病院に着いてしまった。

ガラッと扉を開けると祐樹がいた。ベットの上に座っていて窓の外を眺めていた。こちらに気づいたようで振り向きにこりと笑った祐樹を見て私も笑顔を向ける。

「 僕はこの世界に残っちゃったけどヨルが居なくなっちゃったんだ。 」

祐樹は寂しそうに呟いた。


ーーーーーー


ヨルの、声が聞こえなくなって3日がたった。青く透き通る空を見ているといきなり扉が開いた。扉の先には美空の姿があった。

「 僕はこの世界に残っちゃったけどヨルが居なくなっちゃったんだ。 」

なんて、美空に言ったって理解されないだろうに。美空は黙ったままベットの近くにある椅子に座った。

「 美空、手紙ありがとう。でもごめんね。怖くて読んで居ないんだ。 」

手紙は読んでいないけれどきっと僕に手紙をくれるのは美空ぐらいしかいない。
美空は「いいよ、気にしないで」なんて苦笑いだった。

「 ねぇ、祐樹。私祐樹に伝えたい事があってきたの。」

美空はまっすぐ僕の目を見る。僕はそんな美空が好きだった。まっすぐで、とても綺麗だ。

「 その前に僕の話を聞いて。 」

僕は美空の話が怖くて、話をそらした。

「 僕には大親友のヨルが居たんだ。ずっと僕のそばにいてくれたのに、いなくなっちゃったんだ。僕はヨルが居ないとひとりぼっちなのに… 」

ポロリと頬を冷たいものが走り抜けた。涙が溢れてきてしまったのだ。美空はこんな僕を見て笑うのだろうかと思うと怖くて美空の事を見ることが出来なかったがそっと暖かい温もりに包まれた。そう、美空に抱きしめられたのだ。

「 祐樹、よく聞いて。私はあなたと生きたい。あなたが良ければ… 」

僕は美空の口を塞いだ。

「 その先は僕に言わせて。美空、僕と一緒に生きてください 」

美空は僕から離れにこりと笑顔を向けた。美空も泣いて居たらしく少し不細工な笑顔だった。



最初から僕は透明人間ではなかったようだ。そしてヨル。君が居ないこともずっとわかっていた。現実が怖くて逃げていたのだ。

僕はこれから美空と生きていく。きっとまた辛く、逃げ出したいこともあるだろうけど乗り越えていける気がするんだ。


ありがとう、ヨル…。




ーーー


END

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激流朱雀 @suzaku1☆92ueQETlAOJB ★Android=xnVVtZ8eyh

面白かったです、切ないくなるお話ですね。
透明感のある文体とっても好きです。
素敵なお話ありがとうございました。

1ヶ月前 No.1
ページ: 1

 
 
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