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ルのつくマチルダ先輩

 ( SS投稿城 )
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金河南 @kinkanan☆.SsexIS0/ro ★e290A54w3J_0GX

こうして彼女のナンプレだけが進んでいく気球内。

僕は時折ガスの残量を確認し、
炎の量を調節し、
下に降りるための広い平地を探している、
のに、
事態は進展せずナンプレしか進んでいない。

彼女の名前はマチルダ先輩。本当の名前は言わせてもらえない。
先輩はセーラー服を着ている。けれど本当は大……、これ以上は言えない。


「マチルダ先輩、見てください鉄塔ですよ! 東京タワーみたいな赤と白の鉄塔が見えます」
「ふうん……」

「先輩、見てくださいってば」
「私いま、忙しいの」

「ナンプレは気球降りてからでもできますから、見てください!」

マチルダ先輩は仕方なさそうに立ちあがった。
少しカゴの中がぐらついて、先輩のスカートから白い太ももがチラリズム。
僕は耳が赤くなるのを感じながら、鉄塔を指さした。

「先輩、進行方向ですよ。このままだとぶつかっちゃいます」
「で?」

「で?? ……で、ってだから、このままだと鉄塔にぶつかって、気球が落ちて、僕たち、死んじゃうかも知れないんですよ!?」
「ふうん……」


マチルダ先輩はつまらなそうに座ってナンプレ本のページをめくりはじめた。
☆3の問題は、先輩には簡単すぎたらしい。
☆5の中でも難しそうなのを吟味している。

気球は、山風のせいで速めに動いている。
ガスの量は、高度をあげて回避するにはちょっと少ない。
山に不時着して遭難するしかー…。


「先輩!!」


「……もう、仕方ないわねぇ」

マチルダ先輩は、パンッとナンプレ本を閉じ、上目づかいもそこそこに、直球で僕を見た。


「なんか言って。ルのつくもの」
「ル……ルンルン?」

「名詞!」
「ルビーの指輪」

マチルダ先輩の指に、ルビーの指輪が出現した。

さすがマチルダ先輩。ルのつくものしかダメだけど。


「あのねぇ……、もっと実用的なル、ないの? 私、他人に言われないと出せないんだから、考えて」
「ル、ル、瑠璃色のー…」

「名詞で!」
「ルッコラ!!」


 マチルダ先輩は両手のルッコラを僕に投げつけた。

「痛いッ!」


「まったく役立たずだわ! 何でもいいから役立つものを言いなさいよ、実用的なもの!!」
「ル・プリエールロケット弾!!!」


こうして、
マチルダ先輩が出したロケット弾のおかげで
鉄塔どころか山を越え、
遭難もせずに無事浜辺に不時着することができた。

「……散々なバルーンデートだったわね。次はもうちょっとマシなルで誘って頂戴」


歩き始めた彼女の背中から、非常にご機嫌な鼻歌がきこえてきた。
次は危険がないように、ルームランナーデートに誘うつもりだ。

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