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山の神

 ( SS投稿城 )
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すめん @levinas ★gVURwKBNCQ_GKj

 今から百年ほど前、北海道の山奥で、佐吉は狩りをしていた。佐吉は貧しくて、一人息子を養うのに精いっぱいだった。この日も佐吉は、息子を養うため、必死になって獲物を探していた。
 佐吉は鹿の跡を追っている途中で、常ならぬ痕跡を見つけ、思わず立ち止まってしまった。それは一メートルばかりある巨大な跡で、まるで下駄で力強く踏ん張ったかのような跡であった。しかし下駄にしては、跡が大きすぎる。さらによく見てみると、その跡は点々と山の奥に続いていた。
「これはいったいなんだろう」
 佐吉は狩りを始めてもう二十年経つが、これまでにこのような跡を見たことは一度もない。佐吉は恐ろしくなって、引き返そうかと思ったが、それだと収穫がなかったことになるし、なにより、この足跡の正体が気になって仕方なかった。
「これはもしかしたら、山の神かもしれない。だとすれば、ご利益に与れるかもしれない」
 そう思って佐吉は、さっそく、点々と続く足跡を追うことにした。
 その足跡は、相変わらず、強く踏ん張ったかのように、力強く地面にめり込み、延々と続いていた。佐吉はその道程の長さに、だんだんと疲れてきた。
 もう少し歩いたら、休憩しよう。そう思った矢先、足跡がぷっつりと途絶えてしまった。周りに何かがいる気配はどこにもない。足跡の正体もどこにも見当たらない。
「これはいったいどういうことか」
 佐吉は困り果ててしまい、その場にしゃがみ込んだ。するといきなり頭上でものすごい大きな音が響いた。それはまるでほら貝を吹いているかのようだった。びっくりした佐吉はひっくり返ってしまった。そうして天を見上げると、一陣の風が勢いよく舞い上がり、木々をこれでもかというほど激しく揺らしていった。
「これは山の神なんかじゃない。天狗の仕業じゃ」
 恐ろしくなった佐吉は、何度も転びながら立ち上がり、慌てて引き返した。
 以来、この山には天狗が出るとして、誰も近寄らなくなってしまった。あの足跡の本当の正体はいったい何だったのか。いまだにそれははっきりとしない。

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激流朱雀 @suzaku1☆92ueQETlAOJB ★nbkWjzid98_o1k

面白かったです! えっえっ真の正体が気になるのですが、それはご想像にってやつですか!んん、いけず!ですね!

3ヶ月前 No.1
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