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何も始まらないおばあさんと桃とあの夏の日

 ( SS投稿城 )
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ゴン @gorurugonn ★ANOBAXQECN_P5K

 昔々あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。
 ある時おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。
 おばあさんが川で洗濯をしていると、川の向こう側から大きな桃が、どんぶらこどんぶらこと流れてきます。

「あれまあ、大きな桃だこと」

 おばあさんは、そう呟いてただそれを見つめていました。
 やがて桃は見えなくなっていきます。

 桃を見送ったおばあさんは、一度腰を上げて、残っている着物を見て、一つ息をついてから、また布を掴んで川の水にさらし、じゃぶじゃぶと踏みしめて洗います。
 桃は、ただそれを見つめていました。
 弾けるような、暑い日の昼下がり。

「……大きな桃だこと」

 流れ去った桃の、子どものほほのように赤く染まったその色を思い出し、おばあさんは季節がすっかりと夏になっていることを知り、つぅっと額を流れ落ちる汗を、腰に掛けた冷たい水で硬く絞った手拭いで拭います。
 流れれば、二度とはやってこない、夏。
 もしかしたら、物語が生まれたかもしれない、あの夏の日。
 遠くのお寺で、正午を告げる鐘の音が静かな山間を響いていきました。

(完)

ページ: 1


 
 

激流朱雀 @suzaku1☆92ueQETlAOJB ★Android=5v8au1fe9c

なんてこった、名作がなにも始まらなくなってしまった。
物語改竄取締役警察に取り締まられたちゃうタイプの作品だ!

その発想は無かったです、面白かったです!

2ヶ月前 No.1

ゴン @gorurugonn ★ANOBAXQECN_jmr

激流朱雀様

今にして思えばこの川、深いのネタを何故使わなかったのかと悔やまれるばかりです。
われはじをみせつ。

2ヶ月前 No.2

栞子 @margaret ★Android=fqLDc5x8kL

あ〜あ、終わっちゃった(笑)その発想はありませんでした。この小説好きです!

1ヶ月前 No.3

ゴン @gorurugonn ★ANOBAXQECN_zRM

栞子様

実際のところ、日本人で川に桃が流れているのを見かけたら思わず拾おうとしてしまう人は、案外統計取って見たら多いんじゃないかなって思います。これってトリビアのタネになりませんかね(←古い)。
そんなこんなでお返事が遅くなって申し訳ありません。いつの間にか四日も経ってるとか、秋になってから時間の加速が著しいゴンです。
何もしない間に九月が終わっちゃったよ!
とりあえず今はブドウの収穫を乗り切ることだけを考えながら日々を過ごしています。
とにかくお楽しみいただけたら幸いです。ありがとうございました。

1ヶ月前 No.4
ページ: 1

 
 
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