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雪の魔法

 ( SS投稿城 )
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みきなたみ @mikinatami ★VFXuQCO79X_eQU

明日はバレンタイン。翔くんのために、チョコレート作ろう♪あ、私は秋月奏。翔くんっていうのは私が呼んでいるだけで、春咲翔平っていうの。幼馴染で、最近付き合い始めた私の王子様。翔くん、どんなのが喜ぶかなぁ。
そういえば…
 あれは、二週間ほど前の帰り道のこと。
「ねぇ、翔くんに悩みってあるの?」
私は、悩みなんてなさそうな翔くんに聞いてみた。
「うーん、どれかと言えば、バレンタインかな。」
「どうして?翔くんたくさんチョコレートもらえるじゃん。」
翔くんは学校一の王子様。毎年、かなりの量の本命チョコをもらっている。私は、幼馴染として毎年義理チョコをあげていただけだけどね。好きだったけど。
「僕、チョコレート嫌いなんだよね。クッキーとかは好きなんだけど。だから、笑顔ではもらうけど、ほとんど妹にあげているんだ。」
やっぱり翔くんは優しいな。笑顔でもらうんだもん。
「ふーん、意外。スイーツ星から来てそうなのに。王子様ならではの悩みだね。」
ちょっとからかうように言ってみた。
「そうなのかな。でも僕は、今は奏ちゃんだけの王子様だからね。」
「いきなりそんなこと言わないでよね!」
他の人に見られてないかな。頬が熱い。冬なのに。きっと今私の顔は、リンゴより真っ赤に違いない。からかうつもりだったのに、こっちが恥ずかしくなってくる。翔くんは、時々急にこんなことを真顔で言うからあざとい。そんなところも好きなんだけどね。
「バイバイ。」
気づいたら、そこは私の家の前。いつも翔くんは、私を家の前まで送ってくれる。優しすぎる。
「うん、ありがと。また明日ね。バイバイ。」
「また明日ね。」
 そう、翔くんはチョコが嫌い!こうなれば、他の物を作るしかない。翔くんの好きなものは…マカロンだ!作るぞ。そう張り切ったものの、マカロンは難しい。でも、翔くんのためなら。

眠い。眠い。昨日、上手く作れなくて、寝るのが遅くなっちゃった。
「おはよ、奏。今日、いつもより寒くない?」
そう言ってくるのは友崎夏美。私の大親友。ちゃんと付き合ってることを言ってるのは、夏美にだけかな。
「ふわぁ、おはよう。寒いね。」
「でも、今日は寒くていいんじゃない?だって、バレンタインだもん。雪降ってくれたらいいのにね。ホワイトバレンタイン。なんか、幻想的じゃない?」
ホワイトバレンタインもいいかもな。そんな風に思ったのは、今年が初めて。
「うん。でも、最近雪降ってなくない?」
「うん。それはともかく、奏はチョコレート作ってきたの?王子様に。」
「まあね。マカロンだけどさ。翔くん、チョコレート苦手らしいから。」
「もったいない。毎年あんなにもらってるのにね。」
「ほとんど妹にあげてるってさ。夏美は、誰かにあげる予定無いの?」
夏美は、モテる。何回も告られているのを、聞いたことがある。本人は、決して自慢しないけど。夏美は、ボーイッシュな可愛さというか、そんなのがある。
「無いかな。なんか、心に来る人がいないんだよね。あ、奏とかの分の友チョコは作ってきたよ。はい。」
夏美は料理がうまい。というか、器用。ラッピングからして可愛い。
「可愛い。ありがとう。帰ってから食べるね。はい、これ。そんな上手くないけどさ。」
「ありがとう。私も、帰ってから食べよう。」
教室に入ると、翔くんがいない。いつも、私より来るのは早いのに。
「翔くん来ないな。どうしたんだろう。」
「遅刻じゃない?大丈夫だって、来るよ。そろそろ座んなきゃ。ペリー来ちゃった。」
「そうだね。座んなきゃ。」
ペリーっていうのは、担任のあだ名。顔がとにかくペリーに似てるからそう言われてるの。厳しくて有名で、みんな嫌ってる。おばさんだしね。
「出欠とるよ。今日の休みは、春咲くんだけかな。春咲くんは、病院に行くためお休みだそうだ。今日の連絡当番は、田中くんかな。書いてあげてね。」
どうしよう。翔くん、休みだよ。これじゃ、渡せないよ。私は、遠足の日に風邪をひく以上のショックに陥っていた。
「起立、礼。次は移動教室だから遅れないようにね。」
「夏美〜、どうしよう〜。もうダメだよ〜。」
「落ち着いて。病院に行ってるんだから、途中から来るかもよ。」
「そうかなぁ。う〜ん。」
私は泣きそうな声だった。ラインだったら、泣き顔のスタンプを連打している感じだ。私は携帯電話持ってないんだけどね。
「大丈夫だって。ほら、図工行くよ。」
こんな時、私はいつも夏美に頼っちゃう。夏美は笑って返してくれる。だから、安心できるのかな。

今日一日、授業中も休憩時間も私がボーっとしてたって夏美が言ってた。私は、ずっと翔くんのことを考えていた。

 帰りの会がやってきた。それも、私の知らない間に終わっていた。挨拶が終わった瞬間、私は夏美に抱き着いた。
「夏美〜、翔くん来なかったよ〜。」
私は明日には世界が終わるみたいな悲しみの中にいた。
「じゃあさ、家まで行っちゃえば?」
「え?」
「だから、春咲くんのお家に奏が言ったら?って言ってるの。」
「それは…。」
「渡したいんでしょ、マカロン。」
「うん…。」
「じゃあ、行きな。」
「うん。ありがとう。」
今の私には、さっきまでの迷いはなかった。夏美は、背中を押してくれた。行くしかないんだ。とにかく私は走った。翔くんの家に向かって。
 ピンポン。
「あの、秋月ですが、翔平くんはいらっしゃいますか。」
「奏ちゃん?いいよ〜、入ってね。」
「おじゃまします。」
何回も入ったことがあるお家だけど、今日はいつもより緊張する。
「僕の部屋上がってきてね。」
「おじゃまします。」
翔くんの部屋は、いつもきれい。翔くんは、ベッドの上に座っていた。寝まき姿も可愛い。なんか、変人みたい。しょうがない、好きなんだもん。
「大丈夫?」
「うん、大丈夫。検査だけだったからね。薬の影響で、少し寝てただけだから、今は普通に動けるよ。わざわざありがとう。」
「ううん。今日、雪降ってるね。」
どうしよう。どうでもいいことしか話せない。渡さないといけないのに。
「ほんとだね。ごめんね、今日お母さんいないから。なんか、ココアとか飲む?」
「大丈夫。あのさ、これ、あんまり上手にできなかったけど、良かったら、食べてね。」
ダメだ。渡せたけど、とてもたどたどしくなっちゃった。
「ありがと、奏ちゃん。今日、バレンタインだね。」
「マカロン作ったんだ。」
今の私は、きっと顔から火が出ていたと思う。「美味しい!ありがとう。」
「じゃあね。また明日。お大事にね。」
恥ずかしくて、とにかくここから逃げ出したかった。」
「待って。」
そう聞こえた時には、翔くんの肌は私に触れていた。息が聞こえる。顔は、時々当たりそうに、いや、時々当たっていた。後ろから抱きしめられたと気づくまでに、数秒かかった。
「勝手に行かないでね。」
「うん…。」
どうしても小声になっちゃう。やばい。後ろからだから、顔を見られていないのが救いかな。私は、長い時間、もしかしたら私がそう感じているだけかもしれないけれど、抱きしめられていた。
「今日は、ホワイトバレンタイン。特別な、魔法がかかった一日だと思わない?。」
急に翔くんが何を言い出したんだろうと思って、私が言おうと振り返ったその時、わたしの唇が、翔くんの唇で封じられた。
 ファーストキス。そのキスは、ほのかにマカロンの香りがした。その後、私は熱が出たみたいにボーっとしていた。
「ごめんね、驚いた?今日ぐらいしかないかなって思って。」
私は何も言えずに、ふわふわしていた。
「大丈夫、奏ちゃん。」
「あ、うん。大丈夫。ありがとう。とっても幸せだった。」
「ふふ。」
翔くんがそんな風に笑うから、私も笑えてきちゃった。
その後は、いろんな話をした。翔くんの隣にいるだけで楽しい。ずっとそう思える気がする。
「そろそろ帰らなきゃ。」
「そうだね。送っていくよ。」
「いいよ、大変でしょ。」
「大丈夫。ちょっと待っててね。着替えてくる。」
そう言って翔くんは部屋を出て行った。優しい。でも、迷惑かな。そう思って帰ろうとしたその時、また翔くんの顔が、私の近くにあった。
「勝手に行っちゃダメって言ったよね?」
今度はすぐに離してきた。やっぱりかっこいい。翔くんだから、何でも許せちゃう。
「はい、これ。」
そう言って渡してきたのは少し大きな箱。
「開けていいよ。」
「うん。」
何が入っているのかドキドキしながら、私はその箱を開けた。すると、中には私がほしいと言っていたぬいぐるみと一通の手紙。
「どう?」
照れながら聞いてくる翔くんは、可愛い。
「嬉しい。本当にありがとう。一生大切にする。」
「よかった。あんまりわかんなかったから。手紙は、ここでは読まないでね。恥ずかしすぎるから。」
「うん。」
「じゃあ、そろそろ帰ろうか。」
そう言った翔くんの手には、私の荷物が持たれていた。
 たくさん話して、私のお家の前に着くと、最後に翔くんはこう言った。
「今日は、魔法がかかった特別な一日。だから、今日のことは二人だけの秘密だよ。」
「うん。」
「じゃあね、また明日。」
「バイバイ。」
「バイバイ。」
私が玄関の扉を開け振り返ると、翔くんはまだ手を振ってくれていた。
 自分の部屋に入ると、私は早速、翔くんからもらった手紙を読み始めた。もらったぬいぐるみを膝の上に乗せながら。そこには、たった一言、こう書かれていた。

 ありがとう、大好きだよ。

 翔くんは、あまり言葉で気持ちを伝えることが得意じゃない。そんな翔くんが、大好きだよと言ってくれただけで、嬉しかった。

 私も大好きだよ。

 その言葉を次の日、翔くんのノートにそっと挟んだ。雪のような白さのカードに書い

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