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ある夢想家の叫び

 ( SS投稿城 )
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ゴン @gorurugonn ★DjNTU7Srs9_mwG


 夢には二種類ある。
 一つは本人が強く望んで、心の底から湧き上がる衝動のままに見る夢。
 もう一つは本人に対した願望がないのに、無責任なおだて文句に踊らされて、いつの間にか見させられている夢だ。
 見させられている夢からは、早々に覚めなければならない。
 何よりも有害なのはおだてて夢を見せてくる連中というのは、往々にして心にもないことを褒め言葉として口にすることに、何の悪気も持っていないことである。

 否、むしろ人を積極的に褒めることはいいことだとさえ思っている。
 例えそれが偽りだったとしても、他者を承認し、賞賛することはそれだけで意味があるのだと。

「そんな簡単に賞が取れるわけねーじゃん、ばっかじゃねーの」

 ほら、舌先を出してきたぞ。
 こいつは二月程前に君が作った短歌を才能あるかもね、なんて言っていたんだぜ。
 それで君がおだてられて公募に出品して、結局箸にも棒にも引っかからなかったその結果を報告すればこの言いようだ。

 わかるか。

 こう言う奴が見せてくる幻影から、君は目を覚まさなくちゃいけないんだ。
 簡単に褒められて、自分には才能があるんだ、特別なんだ、なんて思い上がってはいけないんだ。
 それにいいように踊らされて、うっかり道を踏み外したところで、そう言う奴はざまあみろと言ってくる。
 君自身に言わなくても、どこかしらでそう思っている。
 君がそんな夢を描いてしまったのが、間違いなく彼らの巧言令色のためだったとしても、それを盲目的に信じ、勝手に夢を見た愚か者が悪いのだと彼らは言う。

 その通りだ。

 君の中に何を犠牲にしたとしても、たとえそれをなすために一生を棒に振ることになるとか、失敗すれば後世に冷笑を浴びることになるとしても、なお叶えたいと思わずにいられないような、そんな狂気じみた渇望によるものでないならば。

 夢なんて追い求めちゃいけない。目を覚まして、現実を見て、地に足のつく生き方をするべきだ。

 夢は誰にでも見られるショーケースに入れられた、値札の付けられていない高額商品だ。
 見る権利は万人に与えられてはいても、手に入れるための条件は途方もないものだ。
 それを知らない、まだ知らない君に、安易に夢が手に入るようなことを言ってくるやつを。

 例えば親とか、先生とか。
 信じちゃいけない。離れるべきだ。
 何もしなくても君を守ってくれるゆりかごから出て、寒い風に凍えながら、腹を空かせて、眠らずに歩くべきだ。

 その道から逃れる方法はいくらでもある。
 仕事を見つけて食べ物を買って、暖かい家を得る方法はいくらでもある。
 でも、その凍えて、飢えて、安息のない道の先にある場所に行きたいのなら。
 与えられるものを拒んで、自分の力で手に入れた安息の先にあってもなお、凍てついた道の先にある場所が恋しいのなら。

 それが君の夢だ。
 決断をしなくちゃならない。
 夢を諦めるか。夢のために現実を諦めるか。
 幸せな夢と、辛い現実。
 一歩足りないだけで幸いが辛いになってしまうんだ。
 幸せに至るまでに無限に辛い一歩を踏み続けるか。
 それとも最初から、幸せを目指さないで、目の前にあるものだけをこなしていくか。

 夢が叶うなんて嘘だ。才能があるなんて信じちゃいけない。
 褒め言葉の先に夢なんてない。
 自分がほかの人より夢を叶えるに有利な条件にあるなんて、思い上がってはいけない。
 夢への道はいつだって凍りついて、暗く、孤独なものだ。
 夢への莫大な、途方もない距離に比べたら、個々人の才能の有無なんて大した意味を持たない。
 そんなものをよりどころにして、夢への道が端から出来上がっているなんて勘違いをしてはダメだ。

 君よ、夢を見させられるな。
 褒められるために夢を追うな。

 馬鹿にされるような夢を追え。
 どれだけ冷たい言葉を浴びせかけられても、冷めない情熱を持って、夢の道を焦がして行け。

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