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ルージュ

 ( SS投稿城 )
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光心 @kousinn ★jrmvKxEjwb_mgE

その手にあるのは甘い甘い恋の証。
不思議なことだが、今日に限りそれはとてもとても大きな意味を持つ。
地球が誕生し、数々の生命が生まれ終わっていったことなど知らぬように女は目の前の男のことだけを見つめる。
彼女の視界には彼しか居ない。
そして、彼以外を居座らせる気もない。

声は拙い。
だが、言葉はするするとその可愛らしい小さな口から溢れだす。
愛が、恋が、思いが、気持ちが、溢れ出す。
彼はそれを受け止める。
顔色を変えることもなく、受け止め続ける。
彼女はそんな彼に満足して持っていた小さな包みを開ける。
中にはハートの形をしたカカオが主成分のお菓子が一つ。
小さなそれは一口サイズ

彼女はそれを壁に体を寄せる彼に見せる。
それを見ても彼の心にさざなみは起こらない。
だが彼女はそれに満足して、自らが生み出した愛の結晶を彼の口内へ口移しで与える。

カカオ独特の香りが合わせた彼女と彼の唇の間から漏れる。
彼女は彼の口の中に愛を放り込み満足。
そして、手に持っていた包丁で彼を一刺し。
既に赤くない部分がない程真っ赤な彼に彼女は囁く。

「嗚呼、私だけのあなた」

目は虚ろ。
息はなし。
顔色は真っ白。
鼓動は既に失ってそれなりの時間が経過。
そんな彼の姿に彼女は喜色で染まった顔を向ける。
彼女にとって彼の命を奪ったことは特別なことだ。
なぜなら、彼女は彼の全てを支配したからだった。

生命は終わる。
それが当たり前の摂理であり、それが全ての生命を分かつ絶対の契約だ。
だから、その契約を成就させる時に最も近しいところに自分がいることは大きな意味を持つ。
彼が最期に触れたのが私の腕だ。
彼が最期に見たのが私の顔だ。
彼が最期に嗅いだのは私の匂いだ。
彼が最期に考えたのは私の事だ。
彼女は気分爽快だった。
彼の全てを支配したからだった。

そうして彼女は彼の血でルージュをひく。
朱色は元々あった彼女のピンク、更に愛の結晶である茶色と歪に混じり合う。
彼女はこうして彼と彼への愛と一つになった。

1年前 No.0
メモ2017/02/14 00:43 : 光心 @kousinn★jrmvKxEjwb_mgE

掌編です。

つーわけで800文字の文字の羅列なわけですが、バレンタインということで!


世の中には何考えているか分からん人がたくさんいるので、皆様お気をつけくださいね。

では!

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