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夜明け

 ( SS投稿城 )
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雪桜 冬 @yukiouhuyu ★iPhone=8HG0CTnLRl

夜が深まってきた午前二時。
郊外にある赤い屋根の一戸建てからは今日も男と女の怒声が響く。

酒に酔って暴れる父とそれを見てヒステリックに怒る母。
私は耳障りなその声を遮断しようと布団を頭から被って耳を塞いだ。
父は土木関係の仕事、母は水商売をして家計を支えている。
父はもともと酒に酔うと手が付けられなくなる人で酔って暴れては私や母に暴力を振るってきた。
母は気が弱く、どこかヒステリーなところがある。

・・・三年ほど前だろうか。
父の横暴により溜まりに溜まったストレスが溢れて母は発狂した。
泣き叫びながら怒り、父に向かって灰皿を投げつけた。
それにますます機嫌を悪くした父が母を殴り倒した。
それが始まり。

隣の部屋から騒がしく物が落ちたり、割れたりする音が聞こえる。
早く終わらないかな。うるさいな。

私は、母の事は別に嫌いではない。
むしろ、好きだ。それは母も同じだと思う。母は私がテストで良い点をとったり表彰されたりすると、「良い子ね」と言って優しく頭を撫でてくれる。

あぁ、早く、朝にならないかなぁ。

ギュッと目を瞑って過ごしていると、母の声である一言が聞こえた。

『だから私は子供なんて産みたくなかったのよ!』

・・・え?

『離婚しないでいるのはあいつがいるから。
あいつさえ居なければ私は自由なのに』

やめて。

『あいつを愛した事なんて一度もない!早く消えれば良いのに』

やめて。やめて。

『あんなの、産まなければ良かった!!』

あああああああああ!
あああああああああああああ!!

・・・・・・・・・。

私は部屋の窓を開けた。
夜風が吹いて、少し寒い。
でも、頬や眼はあったかい。
ポロポロと溢れる涙でとてもあったかい。

涙でぼやけた視界に映る夜空はとっても綺麗。まるで、夢の世界みたい。
西の空が少しだけ白んできた。


「朝になったら、お母さん、私の事大好きって言ってくれるかなぁ」

もう直ぐ夜明け。

1年前 No.0
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