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5分前の世界と彼女

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光心 @kousinn ★jrmvKxEjwb_mgE

*-00

世界5分前仮説という仮説がある。
まあ、長々とした説明をするのは性に合わないので簡単に言ってしまおう。
それは因果律への懐疑だ。
5分前に世界が誕生したと言ったとしても、それを否定することは出来ない。
いやいやいや。
5分前どころか数年前の記憶ありますけど? なに? バカなの?
と考える人もいるかもしれない。
まあ、落ち着いて欲しい。
仮にあなたの頭のなかにそのような内容の記憶があったとしよう。
では、それが誰かから植え付けられたものではない、と言い切れるだろうか?
これを否定することは難しい。
過去に出来事があり、それが現在にまで続いているというのは結果論からの推測でしかない。
自分が存在しているのは親がいるから、という当たり前は、しかしどこまで信じられるのだろうか?

と、まあ世界5分前仮説というのはこんな感じの仮説だ。
だけど、この論に対して多くの人は言うだろう。
そんなの知るか、と。
自分は自分だ、と。
いちいち考えていたら毎朝自分は何者なのかを考えなければならないではないか、と。
それは要するに偽物であろうが本物であろうが関係ないという論に端を発しているように思える。
偽物だろうが関係ない。
むしろ、綺麗な偽物の方を人は求めてしまうのではないだろうか。
それが偽物だと気づかなければ、それは大層綺麗な宝石に見える。
足元に地雷が埋まっていようが、知らなければ怖くない。
人の恐怖は知ってしまうことで初めて発生する。
自分が何者でもないという不安は、それこそ自分が何者でもなくならない限り生まれ得ないものだろう。
だとしたら、悠乃(ゆの)はその不安を感じていたのだろうか?

*-01

「記憶喪失?」

「ああ、らしいぜ」

クラスメイトの成瀬(なるせ)の言葉に僕は目を丸くしたように驚いた。
話題はここ数日休んでいる八意悠乃(やごころ)についてだ。
成瀬はうわさ話好きの軽い男で、八意が突然数日も休んだことに対して彼にとっては最近ホットなうわさなのだろう。
そんな彼の友人である僕はいろんなうわさの聞き手と言える。
誰と誰が付き合っただの、誰がテストでトップだったの、僕には関係のない話題がほとんだ。
だけど、成瀬は話がうまい。
聴かせるのが上手いというのが正しいのか、ついつい聞き入ってしまうのはひとえに彼の実力によるものだろう。
成瀬はさらに言葉を続けた。

「ちょっと前に事故あったじゃん。通学路の公園の近くで」

「ああ、あったな」

「その事故に八意のやつが巻き込まれたらしいんだよ。で、身体に異常はないんだがどうやら記憶をさっぱり失っているらしい」

「……それ本当か? 演技とかじゃなくて?」

「ばっかやろう、演技して何の得があるんだよ。まあ、色々と忘れてはいるが日常生活はおくれるらしい。だから自宅療養中なんだよと」

「へぇ……」

僕はつい八意の机を眺めた。
休み時間ゆえ教室内では生徒たちが自由に歩きまわっているが、その席の主はおらず別の誰かに座られている。
本来の持ち主以外を拒むことが出来ない椅子と机は、しかし教室の中で孤立することもないようだ。

「じゃあ、八意って今会いに行ったら僕のことも忘れてるんだろうなぁ」

「そりゃあそうだろ。っていうか、海知(かいち)は八意と仲良くはねーだろ。小学校が同じ程度の仲だろ?」

「まあね。ホント、お前は色々知ってるな。僕は感心するよ」

「光栄なことだぜ」

嬉しそうに言う成瀬に僕は目を戻した。
八意とは小学校が同じだ。
何度かクラスが一緒になったことがあったのを今でも覚えている。
小学生の時の彼女は気の強く優しい女の子だった。
喧嘩しているところには割って入っていたし、男子に物怖じしないで文句を言う姿は一部では恐れられていたと思う。
でも、本当はとても優しい女の子なのだ。
昔、僕が自転車を壊してしまった時のことだ。
その日僕は海に行こうとしていた。
なんでそんなことを思ったのかは定かではないが、小学生特有の無茶無謀のなせる技だったとだけ言っておこう。
その盛大な旅路はしかし数分で躓くことになる。
自転車が壊れてしまったのだ。
今思えばチェーンが外れていただけで、頑張れば自力で直せたはずだ。
だけど、小学生だった自分ではなんで壊れてしまったのか不明だった。
必死に自転車を直そうと弄るが一向に直る気配はない。
お母さんに怒られるのでは、と考えれからが大変で必死になって直そうとした。
指先は黒く染まり、チェーンの尖った部分で右手の人差指を切ってしまったところで僕の目に涙が浮かんだ。
そんな僕を見て八意は、どうしたの、と声をかけたのだった。
八意に事情を説明すると彼女は、じゃあ自転車屋行こう、と言ってくれた。
そして2人で自転車を引きずりながら自転車屋まで行ったのを覚えている。
その時彼女は僕の前を歩き、妙に頼もしい背中を覚えている。
いくつか会話をしたとは思う。
けど、それも子供の頃の話。
今では霧のようにぼんやりとしたものになってしまっている。
覚えているのは、あの時は海には行けなかったこととあの時声をかけてくれた八意の顔くらいだ。
僕にとっての八意とはそういう人物なのだった。
中学校は別々で、高校は偶然同じだった。
久々に会っても変わらず元気で、陸上部所属なのは彼女らしいと言える。
しかし、彼女は僕のことなど覚えていないようだ。
薄っすらと小学生の時にクラスメイトだった、くらいの記憶なのか高校生になってから話してもそんな程度の印象だったと感じた。

「まあ、誰だって過去はそんなものだろうな」

僕のつぶやきは休み時間終了のチャイムにかき消された。
八意の席に座っていたクラスメイトは慌てて自分の席に戻っていった。

*-02

僕は八意の家の前にいた。
なんでこんなことになったのか。
回想するとこんな感じ。

「誰か八意さんの家にプリントを持って行ってくれませんか?」

「はいはい!」

「じゃあ、成瀬くん。お願いします」

「いや、海知が行きたいって」

「は!? なんで僕が!?」

「いいじゃん。どうせ暇だろ?」

「僕は今日買い物任されてるんだけど……」

「俺だって今日は校長先生の頭がヅラか天然物なのか調べなきゃいけない使命があるんだよ」

「お前のほうが暇そうじゃん!」

「お? 言ったな。よっしゃクラスメイト諸君、多数決しようぜ! 数は正義だ! 分かってんな? 特に海知を除く男子ども!」

「「「おおー!」」」

以上回想終わり。
正義ってやつは有無を言わさぬ力があることをこの歳で学んだ僕はある意味ラッキーかもしれない。
というわけで、八意の家の前である。
郵便ポストに封のしてある茶封筒に入ったプリントを入れれば良さそうなものなのだが、直接親とかに手渡せという司令が渡っているのでそれは出来ない。
そろりそろり、と誰かいるかを探ってみるがいまいち分からない。
八意宅は鉄の門扉で閉まってはいるが、鍵がかかっていないのか誰でも中に入れるようだ。
小さな庭も見え、そこそこ裕福なのだということが伺える。
僕はどうするべきかため息をついてから空を見上げて考える。
空はまだ青く明るいのだが、それも徐々に赤くなっていくのだろう。
買い物の時間も迫っているのだし、僕は覚悟を決めて玄関前まで移動して備え付けのインターホンを押した。
ぴんぴーん、という電子音が家の中に響いているのが僕にも聞こえた。
しかし、中から物音はしない。
留守なのだろうか。
だとしたら、明日の朝とかでいいかな。
そう思って玄関前から退散しようとしたら、後ろで小さく扉が空いた音がした。

「誰、ですか?」

その声は聞き覚えのある声だった。
しかし、その口調は聞き覚えのないもので、僕は振り返るまでに数秒を要した。
振り返るとそこにいたのはパジャマ姿の八意悠乃だった。

*-03

「待っててください」

八意はそう言うと僕を置いてキッチンの方に行ってしまった。
僕は居間に通され、高級感の仄かに漂うソファに座っていた。
そんな僕の手には未だに茶封筒が握られている。
最初は玄関口で渡そうとしたのだ。
しかし、八意はそんな僕を逃しはしなかった。

「私のこと、教えてくれませんか?」

その一言を断るのは難しかった。
記憶喪失の人間はちょっとしたことで記憶を取り戻し始めるらしい。
僕は今の八意に少しでも力になってあげたいと思った。
それは過去からの恩返しで、別に他意はない。
無理だったら無理でさっさと帰るつもりだ。

「はい、どうぞ」

丁寧な物腰でソーサーに乗った紅茶を僕の前に置く八意。
お前そんなキャラじゃないよなぁ、と思いつつお礼を述べた。

「ありがとう。これって……紅茶?」

「そうですよ。アップルティーです。いい匂いですよ?」

「へぇ……」

僕はカップを持ち、湯気に顔を近づける。
確かにリンゴの甘いような酸っぱいような香りが漂ってくる。
僕の家では絶対に出てこない飲み物だ。
うちの主飲料は麦茶か緑茶である。

「ちょっと熱いので気を」

「あっつ!」

舌を少しやけどした。
即座に口元に寄せていたカップを離すと、中身がはねて僕のシャツのへその辺りにシミを作った。
シミは茶色く、広がったかと思うとすぐにそれも終わった。
しかし、白に茶色は目立つな……。
そう思ってどうしようかと考えていると、ぱたぱたとスリッパを履いた足で八意がタオルを持ってきた。
そして、僕の隣に座ったかと思うとタオルをはねた部分に当てた。

「ちょ!?」

「少し待っててください……はい、大丈夫ですよ」

こんな至近距離で女の子に接近したことのない僕としては全然だいじょばいわけで……。
黒くてセミロングな髪からは甘い匂いがする。
その匂いが鼻腔をくすぐって、僕はどうしていいか分からずに固まってしまう。

「あ、あとは、じ、自分でやるから!」

「そうですか? わかりました」

なんとかひねり出した僕の言葉に八意は素直に従う。
すぐに先程まで座っていたとこに座り直す八意を見て僕はほっとした。
あのままだったら僕は石像と化していたのではないだろうか。

「そういえば、名前聞いてませんでしたね? クラスメイトの……田中太郎さん?」

「そんなやつは僕のクラスにはいないな。僕は壱谷海知(いちや)だ」

「壱谷さんですね。分かりました」

八意は嬉しそうな声で言った。
僕はそんな八意の声を初めて聞いた。
いつも元気さが勝る彼女の声がこうも純粋に嬉しさで満ちているのに少し驚いた。
記憶喪失というわりにはそんなに深刻なものではないだろうか。

「壱谷さん。それで今日はどのようなご用事で?」

「あ、ああ。これを渡してくれって言われたんだ。あと、僕と君はクラスメイトなんだから敬語とかいいんだよ?」

「そうですね……って、あっ」

「まあ、無理に直さなくていいけど。じゃ、これ」

僕は茶封筒の口のない方を上にして、八意の方に滑らせるようにして机に置いた。
八意はそれを両手で受け取って、横においた。

「ありがとうございます。それで、あの……」

「八意のことだっけ? 僕、そんなに君と仲良くなかったから話せること少ないけどいい?」

「はいっ!」

花が咲いたような彼女の笑顔はとても美しかった。
いつものような破顔した顔とは違いその笑顔は気品があった。
まるで別人のような笑顔だったが、しかし彼女は彼女なのだ。
そう思いながら僕はたどたどしいながら八意のエピソードを話し始めた。

*-04

「で、その時に成瀬がすっ転んで……」

「ふふふ。それでそれで?」

「うん。その後に八意さんがテキパキと指示出してね。成瀬の方がテンパってたよ」

「その成瀬さんという方はおっちょこちょいなのですね」

「いや、まあ、そんな感じ」

「他には他には?」

熱心な聞き手がいると語り手が拙くてもなんとか話というのは成立するらしい。
それが八意に話をした僕が感じたことだった。
彼女は自身のこともだが、クラスメイトのことも聞いてきた。
成瀬と近しい位置にいる僕としてはあいつのバカ話に事欠かず、話が途切れることはなかった。
ごーんごーん。
古時計がそんな音を立てたところで僕は我に返った。
そういえば、買い物を頼まれていたのだった……。
時刻を確認するとすでに午後5時。
八意邸に1時間以上いたことになる。

「ごめん! 今日買い物頼まれてて」

「え? あ、はい……」

先程までの嬉しそうな声はどこ吹く風か、一転して悲しげな声をあげる八意。
なんだか記憶喪失になってから感情表現が豊かになったと思わなくもない。

「あ、あの……」

「ん?」

「明日も、話を聞かせていただけないでしょうか?」

「う、うん。いいけど……そういやお母さんとお父さんは?」

父親と母親の前で話をする程の胆力は僕にはない。
出来れば今日のようにいない時を狙いたいところだ。

「父と母は6時までは帰って来ません。お仕事が大変なようで……」

今までは八意も部活動やら何やらでその時間まで学校にいただろう。
だとすれば、そんなに不思議なことはないように感じる。
むしろ、娘に合わせて帰る時間をしっかりと決めているのだとすれば良い親なのではないだろうか。

「分かった。じゃ、また明日」

「はい! あ、玄関までお送りしますね」

そう言うと八意は嬉しそうに立ち上がる。
スリッパをぱたぱたといわせながら扉を開けてくれる八意は、今までの八意からは考えられない感じだ。
元々の彼女は、自分で出来ることは自分でやれ、とでも言うような人だった。
こんな風に見え見えの優しさを見せる人ではなかった。
そんな違和感を感じながら僕は部屋を出て、玄関で靴を履いてから八意に手を振って外に出た。
外に出ると空はすでに赤色から群青に染まりつつあり、足早に僕は八意邸を後にした。
ポケットから買い物用のメモを取り出して確認すると、両手で持っても辛くなりそうな程の内容が書かれていた。
それを見て僕はついため息をついてしまった。
夕方から夜にかけての風は少し冷たく、追い立てるような感じがした。

*-05

「ただいま〜」

「おそーい! 母さん、兄ちゃんやっと帰ってきたよー」

僕の声に反応したのは妹の真汐(ましお)だった。
いつものそんな声に僕はてきとーな返しをして、キッチンにビニール袋を運んだ。
袋2つ、やっと手放した手はところどころ赤くなっていた。

「おかえり、海知」

「ただいま。っつーか母さん量が多すぎるよ」

「あんた男の子なのに何言ってんの?」

弱音ですけど何か?
とか思ったけど、何も言わずに僕は自室に戻っていった。
この母親には父親も頭が上がらないのに納得である。
つーか、その反論許さぬ一言やめてくれ。
男だからと言って弁慶のように矢を全身に受けて死ぬような覚悟はないのだ。

「あ、兄ちゃん、私のプリン買ってきてくれたよね?」

僕が自室に入ろうとすると反対側の部屋の扉が開いて真汐が顔を出してきた。
眼鏡を掛けた優等生風の妹は実際優等生だ。
中学からして僕と違って私立だし、しかも特待生というとんでも妹である。
そんな真汐はだけど家ではてきとーである。
まず、僕を召使いのように扱うことから分かるだろう。

「プリン? は? 知らないよ」

「え? ちょっと何言ってんの? ほら、ライン送ったじゃん」

「は?」

買い物に必死になりすぎてそんなの見てなかった。
ポケットから取り出したスマートフォンは緑色の光が点滅しており、メッセージ受信を僕に主張してくる。
スマートフォンを起動させると、確かに真汐からプリンの要求が来ていた。

「ま、しょうがないよな?」

「しょうがなくないよ? まあ、兄ちゃんの頭は仕方がない出来なのは知ってるけど」

「……お前、もうちょっと兄貴に優しく出来ない?」

「兄貴は死んだ、もういない」

「いるから! ここにいるから! 僕、お前のお兄ちゃん!」

「プリン買うことすら出来ないのにお兄ちゃん面しないでよね! 本物のお兄ちゃんだったら今すぐプリン買ってきてくれるよ! 宇宙人と入れ替わってるんじゃないの?」

カプグラ症候群か、こいつ。
ほっとけばいいのだが、食卓で母さんに何を言うかわからん。
ここは口止め料込みで買いに行くか……。

「分かった分かった。買ってくるから」

「さすがお兄ちゃん。頼りになるー。困ったときはお兄ちゃんだよねー。真汐、お兄ちゃんいて良かったなぁ」

ぬけぬけと言いやがるこいつ。
僕は鞄を部屋においてから財布片手に家を出た。
母さんに先程の会話は聞こえているだろうから、僕は何も言わずに家を出た。
匂いから察するに今日のご飯はカレーライスだろう、と僕は思った。

*-06

コンビニに着くと、そこには成瀬がいた。
成瀬は漫画雑誌を立ち読みしており、店内に入った僕に気づくと声をかけてきた。

「お、海知じゃん。どした? 妹にプリン買ってくるようにラインでメッセージあったのにそれを気付かずに買い物を終えて、家に帰ってから妹にそれを指摘され、口止め料込みでプリン買いに来たみたいな顔してるぞ?」

「こいつのほうがよっぽど宇宙人じみてるわ……そーだよ、そんな感じだよ」

「ほう、じゃあ、俺が真汐ちゃんが好きなプリンを教えてしんぜよう」

こういう時、こいつは本当に役に立つ。
友達の妹について詳しい友人も友人だが……。
雑誌を元の位置に戻して、さっと胸元から取り出したスマートフォンで何やら操作をする成瀬。
数秒後、成瀬は言った。

「期間限定のプリンがあるな。どうやらそれが今1番のお気に入りらしい」

「お前マジでどうやって情報収集してるの?」

「それは企業ひつみだぜ!」

ひつみってなんだひつみって。
毎回わざと言ってるけど、なんだろう流行らせたいのかな?
まあ、いいや、さっさとプリン買って帰ろう。

「そういや、八意どうだったよ?」

プリンなどのあるコーナーに向かう僕の後ろを付いてきながら成瀬は言った。
そういや、こいつのせいで僕は八意のところに行くことになったんだっけ。

「記憶喪失ってのはホントっぽかったよ。まず口調が違ったし」

「ほう……どんな感じだ?」

「丁寧語使ってた。『いいですか?』とか、記憶喪失前の八意だったら同級生には使わないだろ?」

「確かに。でも、海知がそういう距離感のやつなだけの可能性もあるぞ?」

「それはそれで傷つくが……お前の話とかしても八意は初めて知ったみたいなリアクションしてたな。素人の僕からじゃそれが演技かどうかは分からないけど」

「なるほどな。ま、たぶんうわさ通りなんだろうな」

「? どうして?」

「あの八意がわざとそんなことするとは思えない。しかも海知に話を聞くっていうのが決定的だな」

僕の扱いどうなってるんだろうか。
まあ、なんにせよこいつが信じたならいいか。
プリンの棚を物色する僕を横から眺める成瀬はさらに疑問を投げかけてきた。

「で、他に何の話したんだ? あと、そのシミ何?」

目ざとい野郎だ。
僕はなるべく平静な声で答えた。

「あとは八意自体の話だな。このシミは醤油を落としてな」

「ふーん。てっきり俺は八意に何かごちそうになったのだと思ったぜ」

お前、FBIとか向いてるよ。
推薦制だったら第一に指定してやる。
そんな思いを隠しながら僕は目当てのプリンを見つけた。
値段を確認すると、他のプリンの1.5倍くらいの値段がつけられている。

「成瀬」

「やだよ。俺も金すくねーんだぜ」

「……明日また八意の家に行くんだが」

「OK、半分出してやろう。聞いといて欲しいことは後でラインで送る」

「……あ、いや。やっぱいいや。悪いな」

僕はそう言ってプリンを持ってレジに向かった。
なんでか成瀬の力を借りるのは嫌だった。
いや、本当に嫌だったのは……。
そう考えたところでプリンの値段を読み取ったレジスターが金額を表示させていた。
240円也。
振り返ると成瀬がまだ居た。
僕は財布の中から最後のお札である野口を店員に渡した。
明日八意に何か買いに行こうと考えていたが真剣に悩む必要が出てきてしまった。
プリンはすでにビニール袋に包まれていた。

3年前 No.0
ページ: 1


 
 

光心 @kousinn ★jrmvKxEjwb_mgE

*-07

翌日、僕は再び八意の家にいた。
今日の八意はパジャマではなく普通の服を着ていた。
それは以前の八意が着ていたものなのだろう。
初めて見るので、そうであるとは言い切れないが。

「壱谷さん、お願いします」

「うん。じゃあ、今日はどうしようか……聞きたい話とかある?」

時刻を確認すれば昨日と同じくらい。
親が帰ってくるのが6時で、それよりも前には帰りたいから1時間30分くらいはある。
だからこそ彼女が聞きたい話を話すだけの余裕はあるのだ。

「えっと……じゃあ、壱谷さんと私の話ってありますか?」

「僕と八意さんの? どうして?」

「壱谷さんが私の家に来たのは何か理由があるんじゃないんですか? こういうのって学級委員長が来たりするものだと漫画で読みました。壱谷さんは学級委員長に見えないですし……あ、失礼しました!」

「いや、いいよ。実際僕は学級委員長じゃないしね。まあ、とある奴に押し付けられたんだけど……じゃあ、僕と八意の話をしようか」

「……はいっ!」

というわけで、僕は八意と僕のエピソードについて話し始めた。
とは言っても、僕と八意はそんなに接点があるわけではない。
席は隣になったこともないし、部活動は違うし。
なので、僕が話せることは限りなく少なかった。
何度か話した内容を話したりする程度で、すぐに底がついてしまった。

「えっと……」

言葉を選ぶようにする僕は、そこで思いついた。
小学生の時の八意とのエピソードを話せばいいのだ。
そう思うと、言葉がすぐに浮かんできた。
僕は振り返るように小学生の時の僕と八意のエピソードを話し始めた。

「……ってわけ。あの時は世話になったよ」

「そう、なんですか……」

僕の話を聴き終えて八意は嬉しそうな、なんだか悲しそうな声をして言った。
そのアンビバレントな感情の声に僕は訝しんだのだが、追求することは出来なかった。

「……それで、他にありますか?」

「いや、僕と八意の話はそんなところだね。あとは成瀬とかが出てきて、あいつがバカやった話だから」

「それでもいいのでお願いします」

「いいの?」

「はい」

「なら話すけど……」

僕はまた成瀬のバカ話を話し始めた。
八意は笑って聞いてくれる。
だけど、それはなんだか必死な感じだった。
何かを求めるようなその感じがしたが、その内容が僕には分からなかった。
話し続けていると、結局5時30分ほどになった。
僕は八意邸をお暇した。
家を出る時、八意は僕に言った。

「また、明日もお願いします」

返事はしなかった。
すでにそれは決まっていたからだった。

*-08

そんな感じで八意と話をする日が数日続いた。
今日は休日だった。
土曜日である。
僕は前日も八意に、明日も来て欲しい、と言われた。
その時は了承の返事をしたが、しかし家に帰って思い出せば今日は休日である。
休日に女子の家に行くのはどうだろうか。
しかも、同級生で記憶喪失。
記憶喪失回復のため、という大義名分はあるにはあるが、しかし八意の両親にそれが通じるかどうかは怪しい。
僕は悩んでいた。
布団から出て朝ごはんを食べ終えたあたりで成瀬からラインが来ていた。
遊びの誘いだ。
しかし、僕は八意との約束もある。
そこで僕は八意にラインを飛ばそうと考えた。
だが電話番号はおろか、彼女のIDすら知らない。
これではどうしようもない。
そう思ったところで、僕はふと思い出した。
小学生の時の連絡網が記載されたプリントがあったはずだ。
僕は自室で色々とひっくり返したりして、なんとかそのプリントを見つけた。
そこには八意の家の番号があり、僕はすぐに電話をかけた。
程なくして、電話はつながった。

『もしもし?』

『はい、八意ですが』

声の感じからいって、八意のお母さんのようだ。
八意が出てくれれば話が早かったのだが、仕方ない。

『壱谷ですが……あの、八意悠乃さんに変わっていただけませんか?』

『悠乃は今療養中なので、電話はちょっと……』

なるほど確かに八意のお母さんの言い分も分かる。
しかし、僕は八意と何度も話をしている。
問題ないのは知っている。

『ちょっとでいいんです。お願いします』

『……それでは、私から伝えますので、要件をお話しください』

『分かりました。悠乃さんに、今日明日は約束を守れなさそう、だと伝えてください。お願いします』

『……分かりました』

そう言うと八意のお母さんは電話を切った。
なんだか歯切れの悪い感じだったが、まあ、大丈夫だろう。
僕はそう結論づけて成瀬たちと遊びに行く支度をした。

*-09

二日後。
平日の今日、僕は八意の家に向かった。
休日に行けなかった分、今日は色々と話をしよう。
そう思って僕はインターホンを鳴らした。
ぴんぽーん。
聞き慣れた音が八意の家に響いた。
少しして白いワンピースを着た八意が出てきた。

「……久しぶりです」

「? うん、久しぶり」

「……どうぞ」

なんだかいつもと雰囲気の違う八意に案内されるように僕は家に入った。
それまでと同じようにソファに座った僕の隣になぜか八意が座った。

「? どうしたの?」

「いえ、なんとなくです。話を聞かせてください」

時折こちらに届いてくる香りに気を取られないように僕は話した。
今日は、この前成瀬が教えてくれた校長先生ズラ疑惑とその真相についてだ。

「っていうわけで、校長先生はズラじゃなくて、教頭がズラだったんだ」

「ふふ、そうだったんですね」

笑顔を向けながら僕に言う八意はだけど、声はいつものように笑っていなかった。
何か、大事な何かを見落としているような感覚。
だけど、僕にその感覚が示唆していることが分からない。
なので僕は違和感の正体を知るべくそれを言葉にした。

「八意さん、今日どうし」

僕は最後まで言葉を言い切ることが出来なかった。
なぜなら、八意が僕を押し倒したからだった。
突然のことで僕は理解出来なかった。
ソファに重なるようにして横になる僕。
その僕にマウントポジションを取るようにしている八意。
意味が分からなかった。

「壱谷さん」

「な、何かな?」

見上げる八意の顔は逆光でよく見えない。
だけど、その声色は何かを決心したかのような感じだ。

「壱谷さんって彼女いますか?」

「い、いないけど、それがどうしたの?」

「私と付き合いませんか?」

「え?」

「そうすれば、壱谷さんは私と一緒に居てくれますか?」

それは異様とも言える状況だった。
男を押し倒して告白する女。
しかも、その女の子は記憶喪失。
加えて……。

「なんで、泣いてるの?」

涙をぽろぽろと落としながら言う八意はなんだか痛々しかった。
傷つき、摩耗し、損傷し、減耗したかのような印象を僕に与える八意は僕に問う。

「壱谷さん、どうして一昨日は私との約束を破ったんですか?」

「い、いや、用事があって……」

「用事があったら約束を破ってもいいんですか?」

「お母さんに伝言を頼んだんだけど……」

「…………っ!」

そこで何かに気づいたのか八意は僕の上からどいた。
そして、再びソファにかける八意。
僕はおずおずと先程までのようにソファに座る。
隣では未だに泣き続けている八意。
どうしていいのか分からなかった。
こういう時、成瀬だったらいい言葉でも思いつくのだろう。
あいつは他人が求めることをよく知っている。
けど、僕は僕だ。
しょせん僕なのだ。

「壱谷さん……」

「……何?」

「……私……私って、八意悠乃なんでしょうか?」

それはなんて答えるべきか悩む質問ではあった。
確かにこの子の体は八意悠乃だ。
だけど、その言葉を発した彼女は、八意悠乃ではない。

「怖いんです……私って誰なんでしょう? 壱谷さんのお話を聞いていても、私と八意悠乃は全然違う……必死に類似点を探しましたが、全くありません……私は誰なんでしょう?」

それに対して、僕は答えようとした。
答えようとして、だけど出来ない。
僕の中に彼女に答えられる言葉はない。
だから、僕は彼女の状況をなるべく正確に想像してみることにした。
ある日目を覚ますと自分の周りに知らない人がいる。
その人は自分の家族だという。
しかし、自分の中には彼らと過ごした記憶はない。
そして自分もまた誰かだったのだという。
だが、当然記憶はない。
どれだけ思い出そうとしても記憶はなく、話を聞くと今の自分とは全く異なる人物像ばかりが出てくる。
では、今ここにいる自分は?
この世界に異質であり異物であるようにしか感じない自分は?
そう考えると、八意がどれだけ不安な状況なのか理解できた。
何一つ信じられる軸のない存在。
そして、唯一の繋がりである僕が無断でその繋がりを打ち切ったと思い込んでしまえば……。

「君は……」

僕は言葉を紡ごうとした。
この矮小な僕の頭で思いつく言葉を。
バラバラに散らばった思考の全てを、言葉にする為に。

「君は、君だ。八意悠乃だ」

「でも、私はっ!」

「うん。君に記憶はない。突然こんな世界に放り込まれたようなものだ。だけど、君は八意悠乃だ。少なくとも、僕にはそう見える」

「……つまり、容姿が八意悠乃だから、私は八意悠乃ということですか?」

「いや、違うよ。君も八意悠乃の1つなんだ。僕だって彼女の全部は知らない。普段何を着ているのか、何を食べているのか、好きな俳優も、曲も、小説も、食べ物も、知らない。だから、君は僕にとっては八意悠乃なんだ」

その言葉に八意は体を震わせて、そして僕の胸で泣いた。
嗚咽の混じったその泣き声は叫びだった。
僕はじっとそれを聞いていた。
彼女をゆるく抱きしめるようにして、聞いた。

3年前 No.1

光心 @kousinn ★jrmvKxEjwb_mgE

*-10

海だった。
目の前に広がる青一面は、海だった。
僕は自転車のスタンドを立てて、同乗者を降ろした。
彼女は白いワンピースに麦わら帽という夏を先取りしたかのようなファッションだ。
スマートフォンで時刻を確認すると、火曜日の午前11時という表示が出ている。

「着きましたね」

「そうだね」

彼女はサンダルをぺたぺたいわせながら海へ続く階段を降りていった。
僕も慌てて彼女を追いかける。
階段の下の方は砂に侵食されており、途中から砂浜と化している。
転びそうになった体を慌てて戻すと、視線の先に笑顔の八意がいた。
僕はみっともない姿を隠すように、手を出した。
彼女は僕の手をとって、2人で海と砂浜の境目まで歩いた。
陽光がさんさんと差しており、僕らの背後に影を作る。

「冷たっ!」

海水が八意の足に当たったのか、八意は驚いた声をあげた。
それを見て僕は笑った。
つられて八意も笑った。

「海がこんなに冷たいとは知りませんでした」

「だろうね」

「それよりも……良かったんですか、学校?」

「うん。君といっし」

「悠乃、です」

「……悠乃と一緒にいられる時間はもう少ないだろうから」

「どうしてです?」

「茶封筒」

「?」

「中身見ちゃったんだ」

「え?」

「バレないかなーって……で、中身を見たら転校とかそんな感じの内容でさ。八意のお母さんが僕からの伝言を伝えなかったのって、繋がりを諦めさせるためだったんだと思う。悔いが残らないようにって……」

僕の言葉に悠乃の手は微かに震えた。
それを僕は感じて、彼女の手を少し強く握った。

「僕は君を、悠乃といるから。記憶を取り戻しても、いるから」

「記憶が戻ったら、今の私はいなくなってしまうかもしれませんよ?」

「それでも、だよ」

僕の言葉に悠乃は、それじゃあ意味ないですよ、と照れたように言った。
そうして、僕と悠乃は浜辺で遊んだ。
砂で城を作ったり、水をかけたり。
気づけば、空は赤くなっていた。

「……帰ろうか」

「壱谷さん……このまま逃げましょう? どこか遠くへ。全部忘れて」

「…………うん、とは言えないよ。それじゃあ意味ないよ」

「意味なんかもうどうでもいいじゃないですか。本物とか偽物とか、どうでも」

「ダメだよ。僕は悠乃のことまで偽物にしたくない。君はここにいるんだ。それは嘘じゃない」

そう、嘘じゃないんだ。
偽物じゃない。
逃げ出したいと僕も思う。
けど、それじゃあ、全部が泡沫になってしまう。
そんなのは僕は嫌だ。

「悠乃、僕は君のことは忘れない。君が忘れないように、僕も忘れない。それじゃあダメかな?」

少し迷った後、悠乃は言った。

「……ずるいです」

そんな彼女の表情は初めて見るもので、僕はちょっと嬉しかった。

*-11

自転車に乗って僕らは悠乃の家を目指していた。
道のりとしては、あと数分で悠乃の家というところだ。
すでに周囲は程よい暗さになりつつあり、夜の訪れは明確化し始めている。

「悠乃、今日どうだった?」

「楽しかったですよ、とっても」

「どんな風に?」

「そうですね……初めて壱谷さんの話を聞いた時みたいに、です」

「だとしたら、もっともっと楽しめることが沢山あると思うよ」

「いえ、今日以上のことはもうありません。断言できます」

「いいの? 断言しちゃって」

「いいんです、断言しちゃって」

「……そう」

「そうなんです」

抱きつくようにして言う悠乃に僕はとても満足感を得ていた。
それが油断だったのだろう。
赤信号だと気づかずに渡ってしまった。
疲れが足にもきていたせいで、足を使っての急ブレーキも間に合わない。
そして、僕と悠乃は横から来る光に飛ばされた。







*-??

目を覚ますとベッドで横になっていた。
何故か足が吊るされ、まるで事故にあった後みたいだ。

「みたいじゃなくて、事故ったんだな、これ……」

僕は宙に浮いた右足を見ながらそう言った。
左腕にもギブスがつけられ、動きづらくてしようがない。
周囲を見渡すと、他にもベッドがあり、どうやら個室ではないことが分かった。
うちの経済力じゃ無理だろうなぁ、という至極まっとうな解答が即座に頭に浮かんだ。
少しすると、お見舞いに来たのか真汐が病室に入ってきた。

「あ、お兄ちゃん! 目、覚してる!?」

「そりゃあ、そうだよ。僕だってまだ生きてるんだから」

「お、お母さんに連絡を! もしもし、お母さん!? お兄ちゃん蘇ったよ!」

人を死者にしないでくれ、妹よ。
だけど、こうも喜んでくれる妹がいるのは幸いだと言える。

「お兄ちゃん、覚えてる?」

「ああ、覚えてる。事故ったんだな、僕」

「うん」

「……ゆ……八意は?」

「八意さんは……」

ごくり、と僕はつばを飲んだ。
まるで死刑執行を待つ囚人のようだ。
妹は重々しい口調から一転、あっさり言った。

「傷一つないよ」

「……良かった」

本当に良かった。
そのまま死んでいたなんてことになったら僕は僕を許せなかっただろう。
ていうか、不注意すぎるよ、僕。
疲れてたからって、帰宅部だからって、あれはダメだろう。
母さんごめん、僕は男だけど弱い部類らしい。

「しかも!」

「……しかも?」

「八意さん、記憶喪失も治ったんだって。むしろ、事故って治った、みたいな?」

「……なんじゃそりゃ」

ということは、あの悠乃はもういないのか。
なんだかいっぺんに色々ありすぎて困る。
真汐には八意との関係をやたらに訊かれた。
ぬらりくらりと話を逸らしていると、母さんが病室に現れ、なんか色々と説教された。

1ヶ月してから退院した。
入院中は成瀬が遊びに来たり、勉強したりで退屈しなかったが、これから退屈しない日々がまた始まる。
久々に教室に入ると、八意の席はまだ残っていた。
そして、そこに座っている人も。

「おはよう」

僕は八意に声をかけた。
そうすると、彼女はいつもの調子で答えた。

「おはよ、壱谷。なんか色々私の為にやってくれたみたいで……ありがとね」

「うん……これが八意だよなぁ」

「何感心してんの? そんなんじゃお前も頭の中身が心配だよ?」

「いいのいいの。これで全部丸く収まったってことで」

あれはちょっとした夢と同じなのだ。
それこそ5分より前の世界の話だ。
僕は1カ月ぶりに見る自分の席に戻っていった。
そんな僕の背に

「ふふ、それは良かったです」

という声が聞こえた気がするが、きっと気のせいなのだろう。
成瀬がいつものように僕に色々なうわさ話をしてくる。
それは入院中も聞いたのだが、なんだか妙に懐かしく感じた。
夏の匂いが教室の窓から入ってきた。


完。

3年前 No.2

光心 @kousinn ★jrmvKxEjwb_mgE

〜あとがき〜

14327文字らしいです、はい。
光心です。
お読みいただきありがとーございました!

1万文字を超えるのはSSではないのではないかと思ったりしてます。
つーか、長いよ、俺w どんだけ書いたの!?
どんだけって、14327文字ですけど? スペース無視だと14289文字ですけど? 937行で、400字詰め原稿用紙36枚分ですけど、何か?
という風に見てみると、以外と書いたように思えなくもないです。
でも、この腰の痛さは間違いなくその分書いたのを俺に訴えてきます。
年末も年末、年も暮れるというのに何してるんだろうね、俺。

以前、別のSSでのことですが、リアルが忙しいという話をしました。
まだ忙しいです。
けど、こんなに書けるなら忙しくないんじゃね? と思ったりもします。
人間考え方次第でいくらでも状況を捉えることが可能だと思います。
記憶があろーがなかろーが、結局は主観しだい。
最近、この「主観しだい」という言葉が便利だなぁ、と考えていますが、ここでも使っちゃいます。
あの子とのすれ違いも、親との衝突も、人生の不運を嘆くのも、しょせんは主観の問題でしかないのかもしれません。

今作の主人公の壱谷海知はその主観という点で見れば別にアクの強いキャラではありません。
しかし、ヒロインであるところの八意悠乃はその主観という点においては特異と言えるでしょう。
なぜなら記憶がないのですから。
そんな彼女は、彼女以外の彼女の主観を聞きます。この辺記憶喪失ネタあるあるの“自己”って何ぞ? というごく当たり前のテーマで今回書きました。
自己を決めるのは自己でしかなく、自己に見えないものでもそれは自己なんだよなぁ、と考えていただければ幸いです。

今作の反省点は、やはり海知くんですかね。
最近気づいたのですが、主人公は変態の方がいいみたいです。
なんていうか、主人公が変態だと物語から読者を引き剥がせるようなきがするので。
というわけで、今度は変態主人公を書きたいです。


さて、こんなところで今回終わります。
もー、長かった。
夜が朝になってるじゃねぇか、どういうことだ!?

ではでは、皆様よいお年を。

3年前 No.3
ページ: 1

 
 
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