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初 め て 。

 ( 小説投稿城2世(大人風味) )
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蘭。 ★Android=RxN992J6hw




初めて誰かに興味を持った。

初めて誰かに必要とされたいと思った。

初めて誰かに会いたいと思った。



初めて、初めて、初めて、
人を好きになれたんだ。





3年前 No.0
メモ2014/07/05 21:51 : 蘭。★Android-1LPJ2owuQu

◯綾峰 透也 Touya Ayamine

男。21歳。あだ名は綾ちゃん、透也。

光也とは学生時代の友人。

ネガティブ思考で人見知り、少々卑屈。

見た目はちゃらいが、女の子に対して

奥手で極度の恥ずかしがり屋なため

人生で一度も彼女が出来たことがない。

◯榊田 光也 Kouya Sakakida

男。21歳。あだ名はさかっきー、光也。

透也とは学生時代の友人。

可愛い見た目とは裏腹に俺様で自信家。

外交的でポジティブであり、透也と真逆。

恋愛経験豊富だが、現在は彼女が居ない。

◯牧瀬 葉月 Haduki Makise

女。21歳。あだ名は牧瀬ちゃん、はづ。

透也の一目惚れの相手。

モテるが鈍感で消極的。

性格や行動に矛盾と謎が多い。


◯高野 真由 Mayu Takano

女。23歳。あだ名はたかちゃん。

見た目は地味だが、明るく温和で

礼儀が正しく、真面目で頑張り屋。


◯専務

男。32歳。既婚者。野々村とは親戚。

人をからかうのが好き(特に若者)

…続きを読む(13行)

切替: メイン記事(14) サブ記事 (1) ページ: 1


 
 

蘭。 ★Android=RxN992J6hw




ここは小さな工場。

俺は学生時代の友人である、
光也とこの会社で働くことになった。



「じゃあ二人とも明日から頼むよぉ
可愛くて若い女の子も来るからさぁ」


そう言うのは上司の南さんである。



「来るわけねーじゃん...」


1週間の研修で疲れ果てた光也が隣でぼそっと呟いた。



俺は苦笑いしながら光也を連れて事務所から出た。



「やる気ねーわぁ」


「まあまあ」


「普通に考えて可愛くて若い女の子が
こんな汚い仕事やらねーよ、ばばあ確定だろ」


「まあまあ...南さんだって必死に
俺らのモチベーション上げようとしてんだろ」


「あー明日からめんどくせー」



うだうだ言う光也を無理やりバイクに乗せ、
一時間かけて俺たちは家に帰った。




3年前 No.1

蘭。 ★Android=RxN992J6hw




翌日、朝8時。会社到着。


「おはようございまーす」


挨拶をし、事務所に入った俺たちは目を丸くする。



「あ、おはようございます!
今日からよろしくお願いします!」


頭を深々と下げてそう挨拶するのは
眼鏡をかけた地味そうな女の子。



「こちらこそよろしくお願いしますー」



彼女の名は高野さん、通称たかちゃん。
歳は俺たちの2つ上で23歳らしい。

俺たちと同じく今日からの勤務だ。
といっても忙しくなる今日から
10日間という短期で入ったらしい。



5分ほどたかちゃんと談笑して
俺と光也は煙草を吸いに外へ出た。




「若い女の子、いたじゃん」


「居たけど地雷...」


失礼極まりないことを言いかけた(手遅れ)
光也の頭をすかさず叩く。



「いってー。まぁ期待してなくてよかったわ」


「こんな会社で出会いなんて求めるもんじゃねーよ」



二人でそう笑いながら煙草を1本吸って
事務所へ戻った。




3年前 No.2

蘭。 ★Android=RxN992J6hw




事務所へ戻ると専務が居た。


「お、二人ともおっはー」


「おはようございまーす」



いつの間にか研修時に見たことない人が
ぞろぞろ事務所に集まっていた。

この人たちもたかちゃんと同じように
短期で入った人たちだろうか。



「そろそろ朝礼始まるよー
ひとりまだ来てないけどねー」


専務はペンをくるくる回しながら呑気そうに言う。



ひとりまだ来てない...?
まだ増えるのか。




コンコンッ

事務所のドアを叩く音がした。


「お、来た来た」



専務がこっちを見て一瞬ニヤっとして
事務所のドアを開けた。



「すみません遅れました!!
初日から申し訳ありません!」


紛れもなく聞こえた透き通った可愛い声。

いいよいいよーと言う専務で遮られ、
その姿は見えないが俺と光也は目を見合わせた。



3年前 No.3

蘭。 ★Android=RxN992J6hw



「今から朝礼するから靴脱いで中入ってー」


「はい!失礼します!」



遮っていた専務が中に入ってきて
やっと見えたその姿。



さらさらとした長く黒い髪に

ぱっちりとした大きな瞳。

その姿に余りにも不釣り合いなぶかぶかの作業着。






鼓動がどんどん速くなる。




か、かわいい...



顔がどんどん熱くなっていくのがわかった。




「おい、おい。透也。」


光也の声で我に還る。


「あ、おう。え?なに?」


「お前、分かりやすすぎ。惚れた?」


黙りこくる俺に光也はゲラゲラ笑い、

ぼそっと「まぁ、ありゃ可愛いわ」と呟いた。




3年前 No.4

蘭。 ★Android=1LPJ2owuQu



専務の微妙に長い朝礼も終わり、仕事が始まった。

仕事内容は様々だが、まあ男は大半力仕事を任される。

女性陣は簡単に言えば内職のような軽作業だ。

作業自体、個人作業なので仕事中あまり話す機会もない。



...あの子は...どんな子なんだろう。



さっき見かけた姿を思い出すと、動悸が止まらなかった。

吸い込まれそうなほど真っ直ぐで大きな瞳に
鼻筋がスッと通った高い鼻、小さくて柔らかそうな唇。



「あんな綺麗な人、居るんだなあ...」



「へーえ、それってー、牧瀬ちゃんことー?」



「!? 専務!野々村さん!」


思わず漏れた独り言に返ってきた声。

振り返れば専務、と社員の野々村さん。



「うんうん、いい反応」


専務と野々村さんは俺の顔を見て、ニマニマしている。



「なんなんですか、もう...」


極度の恥ずかしがりでからかわれることが
物凄く苦手な俺は、顔を伏せてため息をつく。



「まーまー、綾ちゃん」


野々村さんが元気出せと言わんばかりに
肩をぽんぽんと叩く。



「ねえ、綾ちゃん」


ごほんっと大袈裟に咳をし、突然専務は真剣な表情をして言った。



「牧瀬ちゃんのこと、教えてあげるよ」



3年前 No.5

蘭。 ★Android=1LPJ2owuQu



ごくり、と俺が唾を飲むと
専務は真面目な顔を緩め、へらっと笑った。


「あの女の子はね、牧瀬 葉月ちゃん。
確かお前ら二人と同い年だよ」


お前ら二人、というのは恐らく
俺と光也のことを指しているのだろう。


「南さんの知り合いでね、忙しいから
急遽来てもらうことになったんだ。
たかちゃんと一緒で十日間だけだけどね」


たったの十日間...か...



「そう、十日間しかないんだよ。時間はね」


...見透かされている。

俺は恥ずかしさでまた顔を伏せる。



「ま、俺が知ってる牧瀬ちゃん情報はこれぐらい。
教えてあげるよ、なんて偉そうに言ったけど
俺も昨日面接で初めて会ったんだよねー」


頭をポリポリと掻いて、専務は苦笑いした。



3年前 No.6

蘭。 ★Android=1LPJ2owuQu


「しょうがない、俺が一肌脱いでやるかぁ」


んーっ、と伸びをしながら野々村さんが言った。



「おっ、龍ちゃんかーっこいい!で?何すんの?」


パチパチとわざとらしく拍手をしながら
専務は野々村さんを顔を見る。



「牧ちゃん家が遠いから車で送ってこうと思ってね。
今日遅刻しかけて駅からタクシーで来たらしいし」


そう、会社までは駅から徒歩三十分はかかる。

牧瀬さんは電車で一時間かけて駅まで来て
その後、自転車で会社まで来る予定だったらしい。

だがその自転車が朝盗まれていて
遅刻しかけたのだとか。




「で、送り狼でもすんの?」


専務はケラケラと笑いながら
冗談だって、と言うと



「情報を集めるいい機会だねぇ。
明日の報告が楽しみだ。」


な?綾ちゃん。と俺の頭をわしゃわしゃと撫でた。



「べっ...別に俺は...!」


こっぱずかしさで口ごもる俺に野々村さんは
はぁ、と溜め息をつく。



「ったく、そんなだからなぁ!そんななりして彼女できねーの!
女に困ったことなさそうな面しといて...この見かけ倒しが!」


何故か突然、物凄い勢いで罵られた。

唖然としていると



「ちょっと龍ちゃん。それ、軽く僻み入ってるよね」



専務はクックッと笑いを堪えながら
まぁ、任せとけって。と俺に言うと
野々村さんと事務所へ戻っていった。



3年前 No.7

蘭。 ★Android=1LPJ2owuQu




初日は違う面で無事とは言えないが
何とか終わり、光也と帰っている。


話題は...まぁ当然牧瀬さんの話だ。


俺をからかうのが大好きなこいつが
突っ込んでこないはずがない。

俺のことをよーく理解してる分、
専務や野々村さんより厄介だ。




「で、どこが好きなの?」


夕日が眩しくて顔がよく見えないが
間違いなく光也は今ニヤニヤしているだろう。



「...わからん、今日知り合ったばっかだし
ろくに会話もしてないし」



ただ、綺麗だと思った。

今まで出会ってきた中で、誰よりも。

顔が整っているからとかそうじゃなくて
彼女が、彼女の周りがキラキラしていた。



「はぁ?顔じゃねーの?一目惚れだろ?」


わからんってなんだよ...とぶちぶち言いながら
光也は突然、真剣な声で言った。



「...まぁ、まだ知り合ったばっかだからーなんて
もたもたしてたら、またあのときみたいになんぞ」



...あぁ。

分かってるよ...



心の中でだけ光也に返事をし、
思い出される記憶をかき消すように
俺は話題を変えた。




3年前 No.8

蘭。 ★Android=d4Szo2QwDP




「「うぇーい!かんぱーい!おつかれー!!」」


光也と別れた後、俺は地元の友人たちと呑みに来た。

全員幼稚園からの付き合い...まぁ、所謂幼馴染みだ。

俺は何度もこいつらに救われている。

こっぱずかしいが、これが多分親友というものなんだろう。



「そういや、透也。今日初出勤じゃなかったっけ?どうだった?」

仕事の話の流れで、何気なく俺に話題が振られた。


「あー...すげえ可愛い子居た」

ぽろっと言ってしまったその一言に全員が身を乗りだし、まじで!?と声を揃えた。



「よっしゃあ!いつでも相談乗るぞ!」

「どんな子!?誰に似てんの!?」

「付き合ってさっさと俺らに紹介しろ!」

「透也にもやっと春が...」

「連絡先聞いたか?」

「透也頑張れよー!」




各自好きなことを言いながら、
透也の前祝いだ!とイッキが始まった。

おいおい、今日知り合ったばっかだぞ...と
思いながらも俺は幸せな気持ちで酒を呑んでいた。



3年前 No.9

蘭。 ★Android=d4Szo2QwDP



翌日ーー

会社に着き、光也と一服していると
少し遠くに野々村さんの姿が見えた。


そうだ、昨日牧瀬さんの情報集めるって...

どんなことを聞いたんだろう

好きな男のタイプとかか?

というか、一人で勝手に舞い上がってたけど
普通に考えれば彼氏居るよな

もし居なかったとしても俺なんて...



「おい、そろそろ戻るぞ」

光也に声をかけられ、マイナスな思考もストップした。

あぁ、と返事をし、時計を確認すると
勤務開始まで後5分だった。


「うお、なかなかやべえ」

「お前、ボーッとしすぎな」

光也の言葉に苦笑しながら
急いで事務所に戻り、仕事に取り掛かった。



3年前 No.10

蘭。 ★Android=d4Szo2QwDP




「あーやみーねくんっ」


出荷予定の荷物を車に積んでいると
野々村さんがニヤニヤ顔でやって来た。

遂に来たか...

恐らく俺の顔は野々村さんとは
逆に強ばっていただろう。



「どんなことが聞きたい?」

緩んだままの顔で俺に聞いてくる。

くそ、言わせて楽しむ気だな...


「野々村さんが聞いたことを教えてくれればいいですよ」

何とかポーカーフェイスを取り繕い、俺は淡々と答えた。


ちぇっ、つまんねーの...と口を尖らせながら
野々村さんは話始めた。



3年前 No.11

蘭。 ★Android=d4Szo2QwDP




住んでるのは隣県で田舎。

趣味はゲーム、麻雀でパチスロや
競馬などギャンブルもやる。

大食いで煙草が何よりも好き。
酒も好きだが弱くてよく記憶をなくす。



「野々村さんちょっと待ってください...」

俺は思わず、野々村さんを止めた。



「なんだよ」

これからなのに、と野々村さんはまた口を尖らせる。



「なんか俺が思ってた牧瀬さんのイメージと全く違うんですけど...」


だって...これじゃあ、まるで...



「おっさんみたいだよね」

野々村さんはずっと耐えていたのか、
ゲラゲラと笑った。


「あの見た目からは想像できないですね...」


俺が苦笑気味にそう言うと、
なに、幻滅した?と真面目な顔の野々村さん。



幻滅?いやむしろ...


「もっと好きになりました」


俺がハッキリそう言うと、
野々村さんは笑って俺の頭を撫でた。




3年前 No.12

蘭。 ★Android=d4Szo2QwDP




ふぅ、と息をついて野々村さんは
また牧瀬さんのことを話し始めた。



幼馴染みが男の子ばかりだったためか、
小さい頃から性格が男っぽかったこと

そのため女の子の中に入っても浮いてしまい、
全く友達が出来ず、未だに女の子が苦手なこと

長い付き合いで信用していた彼氏に
″やっぱり俺は女の子らしい子がいい″と振られたこと

それがトラウマでもう何年も彼氏が居ないこと



「だから好きなタイプは ″自分の中身を心から受け入れてくれる人″ だって」


そう話してくれた野々村さんは、どこか悲しそうだった。



3年前 No.13

蘭。 ★Android=d4Szo2QwDP




なんとなく、言葉が出てこなかった。


その元カレは恐らく、当時の彼女にとって
支えのようなものだったのだろう。

なのに長い付き合いでそんな彼女の気持ちも知らず、一番最低な言葉で彼女を傷付けた。それが俺には許せなかった。


行き場のない怒りに震えていると
野々村さんは察したのか、まぁまぁ、と俺を宥めた。




「あ、そうそう。こっちばっか聞くのも悪いから
お前のことも教えといたよ」


「え!?」


しれっと言う野々村さんに、俺は驚いて怒りは一瞬でどこかに飛んでいった。




3年前 No.14
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