Google
    
<< TOPページ 掲示板TOP 記事データ お知らせメール ▼レス(2) >>

硝子細工の国

 ( 小説投稿城 )
- アクセス(268) - ●メイン記事(2) / サブ記事 - いいね!(2)

眠明 ★YC47GtMymZ_keJ

「何て狭いんだろうね。何て脆いんだろう。取り繕ってさ、間に合わせでさ。本当のものなんて何も無いんじゃない。『あの場所』には。」


鼻の奥が沁みるのを堪えながらだったから、最後の所に力が入って、吐き捨てるみたいになってしまった。
もっと、ドライな感じで言ってみたかったのに。それに、話も纏まってなくって、何が言いたいか分かんなくって、カッコ悪い。

そんな私の心なんてお見通しみたいに、『隣』がふふっと笑う。そして囁くように、



「硝子細工みたいだよね。『あの場所』って」



――あーあ。これだ。こういう風に、私も言いたかったの。凛と澄んだ、だけどどこか冷めた調子。それに、言葉選びだって短いのに説得力があって、カッコいい。
『隣』は、いつだって私の出来ない事をさらっとやってしまうのね。


「少しの衝撃で入った、ほんの小さなヒビが、すぐに広がってクシャクシャに割れちゃう。『あの場所』ってそういう、硝子細工みたいな危ういとこ」


私は、嬉しくなって、まくし立てる。


「それ、それすごくいい! 『隣』、私ね、『あの場所』って呼び方、何だか遠回しで嫌味臭くて、嫌な響きで、内心好きじゃなかったの。呼ぶたびに後ろめたかったの。その代りに、『あの場所』のこと、これからこう呼ぶことにする。『硝子細工の国』って。」


『隣』は、またふふっと笑う。鼻で笑ってるのに、バカにしてるようには聞こえない、不思議な笑い方で。


「硝子細工の、―― 『国』、か。そうだね、ぴったりね。『あの場所』って、明らかに現実世界と境界があって――、こちらのルールなんて通用しないみたいだもの。ほんと小さな、国みたい。よね」



私は『隣』に自分の言い回しが認められたことが嬉しくて、にやにやしてしまうのだった。



______________________________________________

初めまして。少しずつ小説じみたものを書いて行こうと思います。
思春期のややこしかった感じを思い出しながら書いてみます。学校嫌いでした。

メモ2019/06/09 01:10 : 眠明★YC47GtMymZ_keJ

菅春中学校 (すがはるちゅうがっこう)


1-B 

藤川芳 (ふじかわ かおる)


樋口暁音 (ひぐち あかね)

早田真世 (はやた まよ)

熊瀬柚子 (くませ ゆず)


高宮ののか (たかみや ―)

ページ: 1


 
 

眠明 ★YC47GtMymZ_keJ

(1)

例えば、小里さんはいつだって独りぼっち。授業で組を作るとき、絶対に先生が「小里さんを入れてあげて」って言って回る。
小里さんは、済まなさそうでも泣くでも笑うでもなく、先生の後ろで軽く目を伏せている。

そういうとき真世は「良いよ。一緒にやろー」って明るく言う。
柚子はその隣で、私たちに「良いの?」って風に目配せする。
暁音は、あからさまに「やだね」って顔をして私を横目で見る。

でも私は「良いよ」って言う。
小里さんと話したことも無いし、どうやって接したらいいか全然分かんない。けど、「小里さん、おいでー」って言って、ニコッてして、左隣の席に手招きするの。すると、小里さんは、俯き加減で、早足で、その席にやってくる。


私は上手くやってる。上手くやれてる方だと思う。


藤川芳。かおるって読むけど、振り仮名を振っていないとたいてい読まれない。今まで一発で読んでくれたのは、国語の茅ヶ崎先生と、小学校のとき、読書感想文の賞状の名前を読み上げてくれた校長先生くらい。


菅春中学校には、安西小学校からの同級生が少ないから、最初はすごく緊張した。
いちばんの仲良しだった友達も校区が分かれてしまって、入学前に不安で泣いてしまったこともある。

そんな中、同じ安西から入学した、早田真世と樋口暁音と同じクラスになった。
同じ小学校ってだけで、これまであまり親しくした事はなかった二人だったけれど、お互い不安な思いは一緒だったみたいで、気づけば三人で寄り集まってた。

そこに、真世がバレー部に入部したことで知り合った熊瀬柚子とも、真世伝いに自然と話すようになって、四人になって、今に至る。柚子は、安西小出身以外で初めて知り合った友達になった。


明るくてムードメーカーの真世。細かいことに気の回る柚子。おしゃれが好きで、自分に正直な暁音。
私はというと、――トクヒツすべきことは、無し。そう、無個性なのが個性、ってやつ。って言っておく。

真世と柚子は、同じ部活仲間ってことで仲が良い。私とも仲が良いけど、何となく、四人の中でも、二人はニコイチって感じがする。
暁音は、私に寄り添ってくることが多い。派手めな暁音が、地味な私なんかと一緒にいたがるの何でかなあって思ってたけど、一緒に過ごしてきて、やがて分かってきた。

暁音は、派手っぽくは見えるけど、クラスの一番派手なグループの高宮さん達とは、お互い馬が合わないようなのだ。

決定的な出来事が前に起きたんだけど、また、おいおい話そうと思う。その出来事以来、暁音は、高宮さんたちにあまり近づこうとしない。
カノジョたちの方は、近くを暁音が通りかかったりすると、何も話しかけてはこない代わりに、嫌な感じの目線で暁音を一瞥する。

そして、高宮さんたちは、バスケ部。女バス部と女バレ部とは仲が良くて、真世や柚は、高宮さんグループに呼ばれて遊んだりすることもあるみたい。
二人は派手なグループの中でも、自然に振る舞っている。

そんなとき私はというと、一歩引いたところで、真世と柚子と高宮さんたちを遠巻きに見ながら、居心地悪そうに寄り添ってくる暁音の相手をする。
暁音のことは嫌いじゃない。暁音はズバズバモノを言うから、敬遠されたりするけど、話してみると意外とナイーブな部分もある普通の女の子だ。


だけど、だけどもし高宮さんたちと遊ぶなら、どんなことをして遊ぶんだろうなって、やっぱり気になったりもするのだ。

3ヶ月前 No.1

眠明 ★YC47GtMymZ_keJ

この投稿はフィルタされています。表示するにはアカウントにログインして下さい。

3ヶ月前 No.2
ページ: 1

 
 
<< TOPページ 掲示板TOP 記事データ お知らせメール ▲ページ上 >>
★必ず ローカルルールメビウスリングのルール をご覧ください。
 ▼スタンプ▲スタンプ
※スタンプはいちどに 3個 まで使えます  ×閉じる
注…感想・コメントはこの記事ではなく、サブ記事に書き込んでください。(小説カテゴリでは必須です)