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100色の風

 ( 小説投稿城 )
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カストル @zodiacone ★iPad=mNlzXRPcFA

静まり返った部屋の中には、張り詰めた空気が漂っていた。
誰もが目の前を見つめながら、じっと待っている。
「めぐりあひてーー…」
最初の字が読まれた途端、すでにその決着はついた。
どちらかがゆっくりと札を取り、すぐに残りを見つめる。
「思ひわびーー…」
「風をいたみーー…」
いくつもの句が、最初の節で取られていく。そんな中、
「朝ぼらけーー…」
今度は、まだ誰も札を取ろうとしない。「朝ぼらけ」は、同じ始まりが二つずつあるからだ。
全員が次の言葉を待っていた時、
ダンッ!
ただ一人、札を取った人間がいた。
嘘だろ?自殺行為だ。誰もがそう思った。
しかし、当の本人である吉野明里は堂々としていた。どう見てもミスではなく、意図的に取ったものだった。
明里の前の札はそれ一枚、相手の札も一枚だった。相手が勝利を確信した瞬間、
「有明の月とーー…」
明里は、勝った。

関連リンク: 雑談部屋5号室 
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カストル @zodiacone ★iPad=nXvDz3joWQ

「では、第六回○○東海地区かるた大会、勝者を発表します!第3位、佐々木緋夏さん!」
一斉に拍手が起こる。
「第2位、倉田葵さん!」
パチパチパチ…さっきよりも少し大きな拍手が起きて、悔しげな表情の葵が壇上に上がる。
「そして第1位、吉野明里さん!」
盛大な拍手を送られたというのに、明里は全く笑顔を見せない。
「すごいね明里、東海地区一位じゃん!ってか、なんでそんなに無表情なの?もっと喜びなよ!」
「いや、そりゃ嬉しいけどさ…」
こんなとこで満足してられねーんだよ。
「けど…?」
「実香、人にはいろんな事情があんの」
「へーっ?明里に?」
「そうだよ」
「マジ?意外だわー」
「だから何だってんだよ?」
「明里なんかさー、いかにも頭の中お花畑な感じすんじゃん?」
「そんなん言われたの初めてなんだけど?君の方がちょっとズレてるんじゃない?」
「ひどーっ!私は至ってまじめでぇーっすぅ!」
実香はその奇妙な言い方と一緒に「敬礼」のようなジェスチャーをした。
「どこがだよ!そんなあのYouTuberみたいな言い方して、どこか真面目なんだよ!」
「へ?全部だよ」
「ダメだ。君には話が通じない」

9日前 No.1

カストル @zodiacone ★iPad=AZKxAiVOhg

家に帰ってからも、家族に口々にお祝いを言われた。
「良かったね明里!お母さんまで嬉しいわ!」
「明里は家の誇りだなぁ!」
「姉ちゃんすげー!」
「ありがとう…」
そういいながら、私はある人物を思い出していた。
「何があっても、絶対に自分が一番だと思うな。上には上がいるということを忘れるな。」

6日前 No.2

カストル @zodiacone ★iPad=f0BsSCkmrz

それからというもの、明里は以前にも増してかるたに熱中し始めた。そして、いつしか全国大会の常連になり、とうとうクイーンのタイトルを勝ち取るまでになった。
表彰される時、明里は思った。
「少しは上に来れたかな…」
その時、明里は表彰台の上で初めて微笑んだ。

今回は割と短編でした。100色の風 完

3日前 No.3
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