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貧乏神

 ( 小説投稿城 )
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敬神者 ★PEA3gmnWSt_5qC

 汚い我が家には貧乏神がいる。なんで私はこんな男と結婚してしまったのだろう。結婚した時は、それなりの風貌にも見えたし、誠実にも見えたし、知的でもあった。しかし、とんだ貧乏神だった。働かないわけではない。しかし、貧乏なのだ。出費が多いのも大きな理由だ。何しろ、本ばかり買う。それも一万円以上する本でも平気で買う。それから酒が好きだ。ただ、酔って暴れるということはない。そして、また、最高にいやなのは、とにかく散らかす。あんまり出世していない。いつも皮肉ばかり言っているので、疎まれているのだ。だから、収入も多くない。
 結局、子どももできなかった。半ば諦めながら、毎日、パートに出ていた。家へ帰るとあふれかえる本と雑誌と新聞と、何やら、いろいろな紙の束だらけだ。それと、ビールや酎ハイの空き缶、ワインの空き瓶だらけだ。うんざりする。最近は、愚痴を言うのもいやになってしまった。
 そんな私にも転機が訪れた。貧乏神が酒好きであるにもかかわらず、私もある酒屋に勤め始めたのだ。ただ、この酒屋が違うのは高い品物が多く、金持ちが常連となっていることだった。店長は様々な酒に非常に詳しいため、常連の完全な信頼を勝ち取っていた。私も店長の薦める本なども読み(こういう時は、貧乏神が好きな本も読むのだ)、いろいろと知識を増やしたため、常連の金持ちに気に入られるようになった。
 そうして、ある金持ちの男と深い仲になるのも時間の問題だった。とうとう、貧乏神と離婚してやった。その時の貧乏神のひょっとこのような変な顔を忘れられない。私は幸せになった。プール付きの家に住み、夏は別荘に行ってしまうため暑さに悩むこともない。冬は南の島へ行ったり、スキーで遊んでいたりしていた。好きなものを食べたり飲んだり、パーティーもしょっちゅうで、不満なことは一つもなかった。テレビをただ見るだけでも、のめり込みそうなくらいの大画面の高精細なテレビを見ることができる。ネットで配信される映画も見放題の毎日だった。
 ところが、私は病気になった。ただ、金があるので、最新鋭のあらゆる治療を受けられた。しかし、治らない。そのうち、今の夫である金持ちの男は浮気を始め、とうとう、また、離婚した。ただ、病院の費用だけは出してくれた。
 しばらくすると、貧乏神がひょっこり見舞いに来た。彼は、たいした役職も与えられていないためか、二日に一度くらい来てくれた。すると、そのうち、どういうわけか、私の病気は治ってしまった。
 私は、また、貧乏神と住んでいる。あいかわらず、家は汚い。しかし、私は、まったく病気もせず、健康に暮らしている。そう言えば、以前、貧乏神と暮らしていた時も、風邪ひとつひかなかったことを思い出した。

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