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落第天使と漆黒の栄光

 ( 小説投稿城 )
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Rine @rine611 ★Android=OnhoMpdypt

加速した残酷な現実は…どんな風に僕を壊してくんだろう
失いたくないと思える愛-ぬくもり-に気付いた時、誰よりも強くなりたかった
真っ赤に染まりきった世界に誓おう
せめて生きて、守るべき者に愛を届ける為に────

────
DEAD SET/angela
蒼穹のファフナー RIGHT OF LEFT イメージソングより一部抜粋、一部改変
────

メモ2018/08/13 00:24 : Rine @rine611★Android-OnhoMpdypt

────登場人物

────魔界────

☆シャイターン・L・ラジアータ

魔界を統べる王でありラジアータ家当主。ラジアータ家長男。第一子。

頭脳、運動共に優れている優秀な暁闇術師。

かつての天魔界大戦争で両親を失って以来、天界の王を酷く嫌っている。

天界に攻撃を仕掛け、両親の無念を晴らそうとするも返り討ちに遭い魔力を失ってしまい、王位を退くことになる。

────

☆ルナシア・L・ラジアータ

ラジアータ家長女。第二子。

運動神経は普通だが頭脳においては兄を凌ぐ。暁闇術師。

両親を失ったことで兄とともに天界に戦争を仕掛ける。兄が王位を退いてからは代わりに王位に就く。

天界から堕落させられたアゼル(真名ラファエル)を預かることになる。

その後、天界との冷戦状態を解決する。

────

☆エアロ・L・ラジアータ

ラジアータ家次女。第三子。暁闇術師

────

☆アトラス・L・ラジアータ

ラジアータ家次男。第四子。暁闇術師

────

☆パンドラ・L・ラジアータ

ラジアータ家三男。第五子。暁闇術師だが年齢が低いためまだまだ見習い

────

☆アゼル・プルフラス

堕天使。元は天界の四大天使とも言われたラファエル・リヒトクロイツという名だったが天界の王に堕とされた。

魔界を彷徨っていたところをマルコシアスとルナシアに助けられる。

シャイターン達と手を組み、天界に復讐を仕掛ける。カイザーハイリッヒを亡ぼしたあと、ミカエラによってラファエルに戻る。

────

☆マルコシアス・ブラスト

…続きを読む(68行)

関連リンク: キミを忘れない 
ページ: 1

 
 

Rine @rine611 ★Android=OnhoMpdypt

第一次天魔界大戦争────多くの命が喪われたその戦争────
彼等もまた、戦争で喪われた。

「おにーちゃん……ぱぱとままは……?」
「いいから走れ、アトラス」
「でも……ぱぱとままが……」
「アトラス。父様と母様が走って逃げなさいと言った、だから…」
「でも」「アトラス!」
「う…………わぁぁぁぁぁあああああん!!!!」
「嗚呼、もうっ!」
「兄様、叫んでいても仕方ありません。早く!」
「そうだな、せめて俺らだけでも……」

────

「フハハハハハハハ!魔界の王!貴様の力はその程度か!ネズミの餌にもならぬわ!」
「ぐ……」

魔界では、天界の暴君自ら力を暴発させていた。
女王はとうに亡くなり、魔族兵士も魔族騎士も滅ぼされ、魔界の王……シャイターンの父だけになっていた。
カイザーハイリッヒの力は魔界の王の数千倍で、ありったけの魔力を込め最大火力で放たれた魔力弾は指一本で跳ね除けられた。
そしてそれは戻ってきて、王はもろに自分が放った魔力弾を食らってしまった。

「う……シャイターン……ルナシア……」
「どうした!命乞いか!躱さぬと死ぬぞ!」
「エアロ……アトラス……パンドラ……済まなかった……」
「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

叫び声とともに、神々しく光り輝く矢が放たれる。
その矢は王の心臓を貫き、血と魔力が流れ出た。

────

父の魔力が体内に流れ宿る。
それをシャイターン、アトラスは感じた。

「うああああああああ!!!!」
「おにーちゃん……」「兄ぃ……」「兄様……」
「なんで……なんで俺らがこんな目に遭わなきゃいけないんだ!」
「ぱぱ……しんだの……?」
「……今、魔力が入ってきた。ルナとエアロが母様の魔力を感じたのと同じだ。戻ろう。僕の背中に乗るんだ」
「うん」

シャイターンはアトラス、パンドラを。ルナシアはエアロをおぶって猛然と走る。
魔力があるせいか、それは逃げる時よりも数倍速かった。
逃げた時の半分の時間で両親と別れたところに着く。
そこには……無惨な世界が広がっていた。
たくさんの魔族兵士、魔族騎士。その中に、寄り添う形で、胸に光の矢を突き刺された王と女王が息絶えていた。

「…………そんな…父様……母様……」
「ぱぱあああああ!!!!ままあああああ!!!!」
「なんで……なんで!」

こどもたちが、次々に声を上げて泣く。
命潰えたその耳に届くことは無かった。
天界の暴君はとうにいなかった。

6ヶ月前 No.1

Rine @rine611 ★Android=OnhoMpdypt

────数百年後。
あの大戦争を知っている者は今や王家ラジアータのみとなってしまった。
せいぜい、学園の授業で触れるくらいだ。
ラジアータ家の末子、パンドラも当時は幼く、戦争の有様を覚えているわけがなく、彼が通う王立フルカス学園の歴史の授業で教わったくらいだ。
しかし、姉や兄たちは断固として語りたがらない。王家の古き紙の情報媒体を探ってもわからなかった。

あの忌々しい日から一度たりとも、天界の暴君は来なかった。謝罪にも再度戦争をふっかけにも来なかった。シャイターンは、あの日の……父と母の無念を晴らすために密かに戦争の準備を始めていた。
元々、天界の王の暴君さに関しては魔界にまで噂が流れていた。その暴君さをどうにかする意味もあった。

そしてシャイターンは、ラジアータ家の第一子として王座に就き、ラジアータ家当主としての仕事も熟していた。父が王だった時代の戒律を見直し、王家所有の土地を半分手放し、魔族軍も一から造り直しと数十年は忙しい生活だった。ろくに眠ることもなく、魔界の東西南北あちこちを奔走していたがそれでも倒れずにいられたのは、実妹にして第二子、長女のルナシアが生活面と精神面を支えていたからである。
兄シャイターンより優秀な頭脳と、幼い頃から磨かれている家事の腕は母亡き今、ラジアータ家さらには魔界の住人の中で右に出る者はいない。兄の苦手な食材を跳ねつつ、栄養を摂れる食事を常に提供し、思考が行き詰まった時には代わりに意見を出す。それを繰り返していった結果、魔界は先代が統治していた頃よりはるかに善くなっていた。


そんなある日、空から一柱の光が差し込んだ────


「にーちゃん!ねーちゃん!」
「なんだよ」「どうしたの?」

中庭にて剣術鍛錬に勤しむ次男アトラスと長女ルナシア。
万が一魔力切れを起こしても闘えるよう剣術と体術は身につけておけ、シャイターンの命令である。
そんな二人に向かってバタバタと騒がしく駆け寄ってくる末子パンドラ。そんな彼に、ルナシアとアトラスが返答する。

「入口に街の刀剣屋のおっちゃん来てんだけど、近衛兵達に止められてんの。結構焦ってるみたいなんだ、どうにかして謁見室通せないかな」
「用件は聞いてきた?」
「……天使背負ってた」

パンドラの返答に二人はおかしな声を上げた。

「「はあ!!!!?????」」

────

所変わってラジアータ領本館、謁見室。
広い室内には、デスク、チェアとベッドがある。そのベッドには“天使”が寝ており、デスクでは刀剣店店長とルナシアが向かい合って座っていた。

「つまり、マルコさんが店先へ掃除をしに出たところ、あの天使が倒れていたと」
「ああ、そうだ。声をかけても反応がなくてよ、俺や街の奴らだけで判断するのは良くねえ。そう話し合ってシャイターン様にお力を借りようと来たわけだ」
「それで近衛兵に止められていたのですね」
「おうよ、まぁそのなんだ、近衛兵さん達が悪いわけじゃねえ。責めねえでやってくれ」

刀剣店店長は、その名をマルコシアスといった。
元魔族軍で上位の戦士だったが、あの大戦争で深手を負った。両親が贔屓にしていた武具店であった。
それ故に、シャイターンやルナシアが幼い頃からの顔見知りでもあった。

「ところで、シャイターン様は?」
「兄様はトープ地方へ行きました。戻りは不明です……」
「そうか…ルナシア様に決定権はねえの?」
「一応兄様が留守の間は私が代理ですが…果たしていいものやら…」
「シャイターン様の事だ、面倒を見るなら好きにしなって言うと思うがねえ」
「……分かりました。あの天使は私が預かりましょう。兄様はどうにか説得しておきます」
「おう、よろしく頼むぜ。あとご両親はどこだい?」
「ああ、こちらです。パンドラ、ありがとう。アトラスはそこの天使を私の部屋に連れて行って」

テキパキと指示を出すルナシア。
アトラスは渋々といった顔で天使を浮遊させた。

「ベッドに寝かせるんでいいの?」
「うん、いくら天使といえど床で寝かせるわけにもいかないから」

ルナシアとマルコシアスが消え、謁見室にはアトラスとパンドラ、天使だけが残った。

「別にさ、ベッドなんだから此処でも良いじゃんね」
「僕も思ったよ……にーちゃん……」

6ヶ月前 No.2

Rine @rine611 ★Android=OnhoMpdypt

「こんなんでいいのかなあ」

謎の天使を浮遊させながらアトラスは、デスク、クローゼット、シングルソファ、ベッド、スタンドライトにラグという簡素なインテリアの部屋に居た。
ルナシアの部屋だ。青を基調としたシンプル志向の部屋だ。
瑠璃色の掛け布団が敷かれたベッドに寝かせつつ、ふとデスクにある写真に目を向ける。ルナシアと思しき女の子が母の足元で女神のような笑顔を浮かべている。ルナ姉はこの頃から既に綺麗だ。父様の隣にいるのはシャイ兄。たぶんアカデミーの初等部卒業間近あたり。母様に抱っこされているのも女の子だ。この子はエアロ姉。では父様に抱かれている男の子は────

「父様に抱っこされているのはあんたよ、アトラス」
「俺?」

アトラスの心を読んだかのようにルナシアの声が響く。
扉の壁に寄りかかって、姉が気だるそうに声をかけた。

「エアロがまだ幼い時。私はもうアカデミー初等部に入っていたけどね。兄様はもう卒業間近でエアロとあんたが産まれてまもない頃。パンドラはまだ母様のお腹の中」
「へえ、ルナ姉はこの頃から綺麗だったんだね」
「褒めても何も出やしないわよ」
「社交辞令ってやつだよ」
「脳髄引きずり出すわよ」
「ルナ姉は怒ると怖いなあ……あれ、じゃあこれ撮ったの誰?」
「マルコさん」
「剣とかを届けに来てくれたついでみたいな?」
「そ。父様がタイム…なんだっけ…タイマーか。それやろうとしてた所に来てくれたのよ。おう、なんだ写真か?俺が撮るからほらシャイターン様もルナシア様もそこ並びな!って感じ」
「マルコさんらしいなあ笑」

思い出話に浸る。
今は亡き両親と繋がっていられるような気持ちになれるので、ずっと飾ってある。
守るべき者に愛を届けるためにって何かで聞いたことがあった。父様と母様の戦旗は私たち遺されたラジアータにしか継げない────

「俺、部屋戻るな」
「うん、あ」「何……あっ、鍛錬?」
「ん、そうだけどもう今日はこうなってしまった以上できないから寝てれば?」
「そうすっかな。んじゃなんか力仕事できたら呼びに来てよ」
「よろしく」

言い残すとアトラスは自室へと消えていった。
そしてルナシアは、ベッドサイドにあるソファに腰掛けると読みかけだった本を開き読み始めた。
“夢の痕”という本だった。ルナシアは両親を失ってから父の書斎にあったその本をやたらと読んでいた。既に10回は超えていた。飽きずに読み続けていた。

「────」

意識の外から声が聞こえた。
しかし天使は眠り続けたままだ。目覚める気配はない。
それを確認してから部屋の外に出る。弟や妹達の声が聞こえる。先程の声は弟妹かと思いつつ、階下に降りる。
玄関には、一家の主であり王が居た。

「ねーちゃん!」「ルナ姉様!」
「あら、兄様おかえりなさい」
「おおルナ、留守中ありがとうな」
「いいえ、それで兄様にお話したいことが……」
「うん?マルコシアスが来たのは街に帰着報告した時に本人から聞いたぞ」
「その時に聞いてないの?」
「……はて……………あ!天使の話!」

元々そういう勘は冴えていたので、街に寄った時点でいつもより耀く見え、察した。またあのクソ愚王やらかしたのかと。
案の定、天界から追放されたであろう天使が店の前で倒れており云々ということを聞いていたのだ。

「今は私の部屋で寝かせてるけど」
「……あいつ?」

シャイターンが玄関の奥を見る。ルナやエアロ、そこに居る全員が振り返る。
階段の手摺りに捕まりながら、茶髪の天使が黒く染まりつつある羽根を引きずって降りてきた。

「あの────」

6ヶ月前 No.3

Rine @rine611 ★Android=OnhoMpdypt

「起きたのね」

ルナシアが声をかける。弟妹達は素早くシャイターンの後ろに隠れる。
いつ暴れられても対処出来るようにシャイターンとルナシアは魔力を精製していた。

「正直な所、数日は寝ているかと思ったけれど……意外と目覚めは早かったようだわ…」
「俺は何もしません。だからその今すぐ放てる分の魔力を散在させてください。てか戦えないし」
「どういう事だ?」

シャイターンが問いかける。

「堕とされる時に反撃できないように神力を全て奪われたんです。だから魔力転換も出来ないし今は人間がコスプレしてるみたいな感じです」

天使が一生懸命に説明する。
さすがは愚王だ。予め困らないように手を打ってあるのか……シャイターンは呆れた。

「とりあえずまあ立ち話もだるいから応接間行くか。チビ共は自分で歩け。天使、お前はどうだ?歩けるか?」
「恐らく……あっ」

手摺りから手を離した瞬間に膝から崩れ落ちかける。
バランスを崩した身体は倒れ────

「あぶな……!」

────なかった。いち早く反応したルナシアが支えた。

「まだ歩くには時間がかかりそうね、さぁ手を取って」
「あ………ありがとうございます……」
「さすが愚王だな。自分さえ良ければ他の奴らはどうなろうと知ったこっちゃねえってか……クソっ、忌々しい」

────

「俺は魔界の王でありこの家の主、シャイターン・リコリス・ラジアータ。ラジアータ家の長男だ。立場上、家を空けることが多いがよろしく頼むぞ」
「私はルナシア・リコリス・ラジアータ。シャイターンの妹で、彼が家に居ない時は私が代理で雑務とかの仕事をしているわ。よろしくね」

応接間では、自己紹介をしている。
追放された以上、天界に戻ることは現状不可能。ならば堕天使として魔界に棲むしかないと話し合って決めた事だった。

「私はエアロ・リコリス・ラジアータ。シャイターン兄様とルナシア姉様の妹です。現在は王立フルカス学園高等部2年生として生活を営んでおりますの。よろしくお願い致しますわ!」
「んで俺がアトラス。姓は同じだし端折るぜ。ラジアータ家次男でエアロ姉と同じくフルカス学園に通ってんだ。ちなみに俺は中等部3年。よろしく」
「僕はパンドラ。ラジアータ家の三男そして末子だよ!僕もフルカス学園に通ってるんだけど、僕は中等部1年なんだ。これからよろしくね!」

一通り自己紹介が終わる。天使は口を開いて言った。

「多いな!!!!」

そりゃ5人も居るのだから多い。ましてやこの天使は兄弟姉妹は居ないのでなおさらだった。

「んで、お前の名はなんだ?」

シャイターンが問いかける。天使は訥々と自分の身を語り出した。

「俺の名前はラファエル・リヒトクロイツ。元々は治癒の天使だったんですが、いつ頃からか治癒能力が衰退していって…それがあのクソリッヒが仕掛けていたことだと知ったのは堕ちる数日前の事だったんだけれど……」

────先代の王が病気で亡くなり、その息子が王位を継いだ。しかし、まだ幼かった故か、側近の四大天使が政治系を行っていた。さらに母親のラミエルという天使がやたらと甘やかしたせいで暴君になった。
そして数十年後。
ラミエルが事故で亡くなり、一人遺されたカイザーハイリッヒは、ワガママを受け入れてくれる存在がなくなり、とても荒れた。四大天使は甘やかすことをしなかった。
それが原因で今の性格になった。
幾度となく自分の邪魔になる存在全てを排除してきたせいで、天界の住人達は完全に信用などしていなかった。
だから今回も、自分よりモテるからという理由でラファエルを堕としたのである。もちろん、何ヶ月も前から準備を進めて────

「────とまあそんなわけで……」
「魔界に来たのね」
「素晴らしいほど愚かだな」

ラファエルの羽根は完全に闇に溶かしたような漆黒になっていた。そして蒼かった瞳は紅く変化していた。

「シャイターン、どうしますか?」
「どうするも何も、俺はいつでも良い。あとはラファエルの意思だな」

ルナシアとシャイターンが何かを話す。そんな二人に向かって、ラファエルが口を開いた。

「シャイターン、ルナシア。俺は、カイザーハイリッヒを滅ぼしたいと思っています。多少の私情だってあるけど……それ以上にあいつのあの暴君さを放っておくわけにはいかない。力を貸してください」

シャイターンは、その悲痛な声を然と聞き届けた────

「エアロ、アトラス、パンドラ。部屋の端に下がりなさい。あなた達はこの圧に耐えきれない」

ルナシアが弟妹達を下がらせる。そして王家上位にしか伝わらない特殊な魔力壁を貼る。
それを確認すると、シャイターンは天魔転換術式を編み始めた。

「我が名はシャイターン・リコリス・ラジアータ。凡ての闇の王にして魔を統べるもの也。白き神々しき光よ…黒き深淵の奈落へと堕ち逝けよ……凡ては我が路を標さんが為に────灰の鍵よ、闇に呑まれし旋律よ……死の詩に惑いし白馬の嘶き────汝が聴くは、詩か慟哭か」

詠唱が終わる。
ラファエルを黒いオーラと膨大な闇と魔力が飲み込んだ。

5ヶ月前 No.4

Rine @rine611 ★Android=OnhoMpdypt

「ああああああああぁぁぁ!!」

ラファエルが吼える。
エアロ達は姉が張った壁で守られていても、長男の膨大な魔力をひしひしと感じていた。

「姉様、兄様は一体この天使様を何にするおつもりなのですか?」
「堕天使ね、堕ちた天使────理不尽な、意思で、堕ちた天使」

やがて闇の煙が落ち着いたラファエルの紅く変色した瞳から光が消える。
憎悪に満ちたその瞳でまっすぐシャイターンを見る。

「神の癒しを司る天界の四大天使ラファエル・リヒトクロイツ。貴様は本日より魔界の住人────闘争、戦争、不和、欺瞞を齎す力の堕天使アゼル・プルフラスだ……」
「────御意」

シャイターンは小さな瓶を手にする。
アゼルの頭の上で軽く振ると、光る何かが吸い込まれた。「ラファエル・リヒトクロイツ」としての記憶である。

「兄様、それ、どうするの?」
「俺の部屋にでも置いておく。いつか……いや来るかどうかは分からんけどいつか此奴がラファエルに戻った時のためにな」

意味ありげな笑顔を浮かべる長兄に、弟妹は呆れ顔だった。また変なこと思いついたな、と。

────

一方、所変わって王家がある首都スレートの小さな街スプルースでは、マルコシアス含む5人ほどの男が密会をしていた。いや、単に駄弁っているだけなのだが。

「いや、それにしてもあの天使はびっくりしたなあ!」
「全くだ。俺らだけで判断してたら今頃どこに飛ばされてるやら」
「さすがマルコシアスだな、賢明な判断だったよ」
「まぁあのシャイターン様だ。面倒見るなら見るでいいが怪しくなったら即呼べだの分からないことあったらいつでも聞けだの細かいんだよな」
「面倒見がいいってんだろ」

街の酒場で、マルコシアスと友人達が盛り上がっている。マルコシアス以外の魔族はこの魔界がかつて危機に陥ったことなど知る由もない。
何しろ彼らは、戦争後に魂を受け継いだ者達だからだ。

スプルースは魔界で最も規模が大きい街だ。そして王家があるので首都になっている。
魔界は3つの地方にわけられる。
まず首都スプルースがあるスレート地方。次に自給自足に向いた見渡す限り畑のトープ地方。最後に工場が立ち並ぶエカルラート。
スレートは観光地化されているため、基本的に畑や工場などはない。そのため、トープからは食料を、エカルラートからは生活に必要なものを頂いている。その代わりにシャイターンが自ら出向き、住みやすい街へと変えているのだ。
しかしそんなスレート────いや、スプルースの中にある小さな下町、マルコシアスが経営する刀剣店があるマイゼという街は、首都の中であるにも関わらず意外と治安が悪い。女子供が1人で裏道を歩こうものなら即誘拐されてしまうようなところだった。
そんなところを魔界では物珍しい天使が歩いていれば当然声をかけられるに決まっている。
追い剥ぎに遭い、羽を毟られ、服を破かれそうになったところを命からがら逃げ出した。数日彷徨い歩き、力尽きたところがマルコシアスの店の前だったという訳だ。

「しっかし、あの天使を襲うたァすげえ度胸だな」
「よくまァ返り討ちに遭わなかったな」

相変わらず野郎共が駄弁っている。そこへ────

「よォおっちゃんら!楽しそうじゃねーか」

マルコシアス達に、薄汚れた風貌の見知らぬ男数人が話しかけてきた────

5ヶ月前 No.5
ページ: 1

 
 
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