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残影

 ( 小説投稿城 )
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@micomoco ★iPhone=dVzoXc2Dih

たとえば、魔王に支配されていた世界を救った勇者様は、いつまでその名声を轟かせることができるだろうか。

たとえば、事件が解決した舞台の彼らは、探偵のいなくなったその後すべてを忘れて幸せに暮らすことができるのだろうか。

たとえば、戦時中大活躍をした傭兵は、平和になり必要とされなくなった世界でも、逞しく生き抜くことができるだろうか。



これは、
全てが終わってしまった後の、
どう足掻いたって救われない、
誰かから許されることもない、
自己満足と自己陶酔に満ちた、
僕と彼女、別々の物語。

メモ2018/03/20 15:59 : 環 @micomoco★iPhone-dVzoXc2Dih

最近買った革靴が微妙に合ってないめぐるです。案の定靴擦れに苦しんでおります。つらたんたん。

初めましての方は初めまして。お久しぶりの方は久しぶりです。

春休み中には終わらせるつもりですが(絶対無理なことが最近わかった←)ダラダラ更新するかもしれないorz 気まぐれとかもあるので気長に待っててください。

あと一応年齢制限はつけましたがそんなに読んでてきつい表現は...そんなにない...と思われます汗 あったらごめんね(土下座)

最後に、コメ&いいねは貰えると作者がもれなく盆踊りを披露します。つまりめちゃくちゃ喜びます。

拙いなりに頑張るのでよろしくお願いします。

P.S.いいね×2ありがとう!!

切替: メイン記事(6) サブ記事 (16) ページ: 1

 
 

@micomoco ★iPhone=dVzoXc2Dih



電車でひと駅先にあるその図書館は、自転車で行くには少し遠かったが、その労力を代償としても得られるものが大きかった。
理由の一つとして、僕の部屋が勉学に励む環境ではないことが挙げられる。一年前に引っ越してきた隣人は、聞いたことのない洋楽を大音量にかけて行うヨガが休日の日課らしく、その部屋が(不幸なことに)丁度僕の部屋に面していた。そのため自分の部屋にいると朝から3時間、知らない国の知らない誰かが叫ぶように歌うその声の被害を蒙る羽目になっていた。耳栓など色々試したものの結局僕が移動する方が早いことに気づき、場所を転々と変えて流れ着いた先がこの図書館だった。
二つ目。早く来ると席を選ぶ権利が生まれ、窓の少ない自習のスペースで唯一日が当たる端っこの席を取ることができるから。元々閑静な図書館ではあるが特にこの席は人の話す声があまり聞こえず、直接送風が当たることもなく、僕にとってはいちばん集中しやすい環境だった。
そして、三つ目。
僕は、二つ隣の彼女を見た。
白いイヤホンをつけた彼女は僕の視線に気づくこともなくノートに何かを書き込んでいた。芯が残り僅かなのかたまにカツカツとシャーペンを鳴らす音が静かに響く。
数週間前に突如現れた彼女は、容貌が整っているのはあるが、それ以上に目を引くものがあった。
たとえば、ストレートの長い黒髪を一つに束ねた髪型。たとえば、筆箱やカバンに見られる色のセンス。たとえば、病的に白い肌と細い手足。
もしかしたら杞憂なのかもしれない。話し方や表情などはそうじゃない可能性の方が高いし、第一確率的にセンスや髪型が似た人がいたっておかしくない話ではあった。表情や話し方でまた違った印象を受けるのかもしれない。けれど。
それでも、強烈な違和感があった。



彼女は、僕の知ってるあの人によく似ていた。
不自然なほどに。

6ヶ月前 No.1

@micomoco ★iPhone=dVzoXc2Dih

偽善と善の違いは何処から始まるのか。
上辺の優しさと本当の優しさは、本質的には違えど一見すると何も変わらないようにも見えてしまう。そこに「感謝されたい」「人の役に立ちたい」という己のエゴがあったとしても誰が気づくだろうか。
建前と本音というものは常に存在するものであり、人類皆が公言している理想論を心の底から信じているとは限らないものであるけれど。
ボランティア活動などでは「自己承認欲求を満たしたいだけ」「感謝されたいだけ」という批判が見られるが、その欲求の何処に悪があるのだろう。
感謝されることで承認欲求を満たしてるからって、その人の善行自体は否定されるものではないだろうに。
善人を演じる偽善者は、どう足掻いたって善人にはなれないのだろうか。



昔の話をしよう。
かつて僕には幼馴染というものがいた。

6ヶ月前 No.2

@micomoco ★iPhone=dVzoXc2Dih

彼女は自分の名前を嫌っていて、その名を呼ぶ度に大袈裟に顔を顰めては睨んでいたものだった。だから、ここでも敢えて彼女の名前を出さずにKと呼ぶことにする。

放任主義の両親の元で生まれたがために、平日は仕事で家に居らず、休日も家では誰も構ってくれない毎日が続いていた。一人っ子で孤独を嫌っていた僕はいつも外に話し相手を求めていた。同じく家に居ることに嫌気がさして外を遊び歩くKも一人だった。家も近く、ひとりぼっち同士だった僕らは必然的によく遊ぶ仲になっていた。
或いは、Kは1人になりたかったのかもしれない。Kは何よりも和を嫌っていた。

「そういうのを偽善って言うんだよ」
「ぎぜん?」
「ニセモノの優しさってゆう意味」
歳が一つしか違わない筈のKは何故かその年齢にそぐわない豊富な知識量を持っていた。幼いながらそのことを肌で感じていた当時の僕はKに敬意を表していた。
「何でニセモノなの?」
ニセモノ呼ばわりされたことに少し腹立たしさを感じていた僕は自然と口調も尖っていた。
その日僕は友達との帰り道で誰かの財布を拾ってそのまま交番に届けたことをKに話していた。おそらく褒めてほしかったのだろう、それ故に僕はKの思わぬ冷淡さに困惑を隠せていなかった。
「だってさー、友達と一緒じゃなかったら、1人だったら絶対交番まで行かなかったでしょ?」
「……うん」
僕は素直に頷いた。図星だった。
1人だったら、僕は知らないふりをしたのだろう。面倒だから。煩わしいから。厄介ごとに関わりたくないから。
当時の僕にとって優しさとは身を削ることだった。自分を犠牲にして人に尽くす。優しいことを美徳だと声高に讃える先生には疑問を感じていた。
見つけたとき交番に届けることを提案したのは僕だった。見栄っ張りだったのかもしれない。優しい奴だと思われたかったのかもしれない。とにかく僕は目先の利益よりも今後の自分の評価を選んだのだった。
「人によって左右される優しさは優しさとは言わないんだよ」
ふわぁと欠伸をしてKはそろそろ帰るねと告げた。数分前に帰りの鐘が鳴った気がする。たしかに日も落ち暗くなってきていた。
帰り際にKはぼそっと呟いた。
「いつか優しい人になりたいな」
僕は、何も言えなかった。

おそらく彼女も、人の感謝の言葉のため世間体のために善行を繰り返す「偽善者」だったのだろう。その行い自体に罪も悪意もないというのに。
人よりものを知っていたKはその分人より何かに苛んでいた。本当の優しさに拘り、自分の本音に耳を塞いでは苦しんでいた。僕はそのことに気付きながら何もしなかった。
Kは自分の思い通りの「優しい人」にはなれたのだろうか。
今となってはもう何もわからない。

6ヶ月前 No.3

@micomoco ★iPhone=dVzoXc2Dih

翌週の日曜日。
僕がいつも座ってる席にほかの人が座っていた。暫し唖然。
よく見るとそれは例の彼女のようで、ひょっとすると彼女も陽のよく当たるこの席を狙っていたのかもしれなかった。人の座る席は自由だしそこは僕の指定席というわけではないから仕方ない、と早々に結論づけて他の席を探すことにしたが、
「あの、」
背後から細い声が聞こえてきて僕は振り向いた。
音もなく立ち上がった彼女は、改めて見てもよく似ていた。顔つきが、というわけではない。ただ、どことなく雰囲気が近い気がする。
もっとも、これは全て僕の主観であって、根拠があるわけではないのだけれど。
「ここ座りますか?」
一瞬、言葉の意味を測りかねたが、どうやら彼女が席を譲ってくれるらしいということに気づく。
「あ、どーも.....」
若干の気恥ずかしさを感じつつ僕はその申し出を有難く受け取ることにした。ジンクス、というわけではないけど好きな席に座ると気分が良くなる気がする。
よく見ると彼女の定位置である二つ隣のその席には見慣れぬ学生が座っていて、そういえば定期考査が近いのか、とふと思い出した。

5ヶ月前 No.4

@micomoco ★iPhone=dVzoXc2Dih

「 【類稀なる才能とか、魅力的な容貌とか、その人唯一のものがない限り、その人の代わりはいくらでもいる】っていう発想は絶望だろうか」
中学生になっても僕らは変わらず近所の公園で他愛ない話をしたり、小学生の頃のように遊具で無邪気にはしゃいだりして遊んでは日没までの時間を潰していた。
家に帰りたくないのは、理由は違えど僕もKも同じだった。
「人によるんじゃないかな」
Kによる唐突な問いかけはいつものことだった。遊び疲れた後はブランコで揺られながら他愛ない話で暇つぶしするのが僕らの日常でもあった。
同年代の人と比べると考えや知識が大人びていたKは、同時に少し浮いていた。
「自分の代わりがいるのは、特別じゃないってことは、気楽だけど少し悲しいかもしれない」
きっと、僕にとっての日常というものは、僕以外の誰かでもこなせるものなのだろう。
「ふうん」
Kはしばらく思案顔のまま俯いていたけど、やがて顔を上げた。
「私を構成する何か、が代替可能なことがわかったとき、自分の存在意義がなくなっていくような、そんな気がする」
優しい人ならいくらでもいる。人当たりの良い人も、感情豊かな人も、自分以外にいる。
上位互換は常に回っている。
その事実は、確かに絶望なのかもしれない。
「君にとって、私は唯一無二だろうか?」
ふと思いついたようにKが尋ねた。
「……わからない」
数秒考えて、僕は正直に答えた。
代替が可能なのは、そのときにならないとわからないものだった。
その答えを聞いたとき、Kはどんな顔をしただろうか。記憶の中の彼女の表情はいつも曖昧で朧げにしか思い出せない。
「いつかわかったら、教えてね」

Kの家に出入りしていた何人目ともわからない男。一瞬だけ見えたKの腕に刻まれた無数の傷跡。死にたいというKの独り言。
全部、見て見ぬ振りをした。

5ヶ月前 No.5

@micomoco ★iPhone=dVzoXc2Dih

「また会いましたね」
微分積分と闘うべく一年ほど前の記憶を辿っていたところ、頭上から聞き覚えのある声が降ってきた。顔を上げると、そこには例の彼女が立っていた。座ったまま軽く会釈を返す。
席を譲ってもらったあの日から、気づけば僕らは声をかけ合う仲になっていた。といっても話題などほとんどなく、挨拶や天気の善し悪しなどにとどまってはいたけれど。
Kとはどんな風に話していただろうか。
「.....」
考えれば考えるほどそのときの記憶が薄れていく気がして、僕は意識を目の前の数学へ切り替えた。


数日前、彼女と五分くらい話をした。その日の課題が丁度終わったところだったので、僕は気まぐれに彼女との歓談に付き合うことにした。
「響きだけだと女の子の名前みたいですね」
自己紹介したときの彼女の反応である。あまり褒められた気がしない。
彼女の名前を聞くと、
「知らない人に名前を教えちゃいけないって言うのが子供の頃からの教えなんです」
笑顔でバッサリ断られた。
初めて声を掛けられたときの気弱そうな印象からは程遠く彼女は随分と話すようだ。
「でも、私も男っぽい名前ってよく言われます」
聞けば、彼女も僕と同い年らしかったが、なぜか彼女だけ敬語のままだった。
話をしたものの、なぜKと似ているのか結局わからなかった。
君は知り合いによく似ている、というと複雑そうな顔をされた。誰かに似ている、というのは経験したことがないものの気分がいいものではないのかもしれない。表情だけでは彼女が何を思ったのかはわからない。
「どんな人なんですか?」
僕は声を平坦にして返した。
「幼馴染。今はもう会えないけど」

5ヶ月前 No.6
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