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よろず屋JD

 ( 小説投稿城 )
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ヘモグロビン @scarletsky ★Android=rJZdcj4oHB



『人は一人では生きていけない。誰かの支えと温もりがなければ、直ちに身を滅ぼすだろう』

 これはとある有名な研究者の名言である。




 人は一人では生きていけない。

 人は誰かの干渉を受けてようやく生きることを見出だす。



 それは果たしてそうなのだろうか。



 ならばなぜ人は人を騙し裏切り、そしてその手にかけるのだろうか。




「そんなの欲や本能に忠実な動物と何ら変わらないからだよ」



 嗚呼、そうだ。



 人は本当に醜い生き物だ。なまじ知力があるがゆえに理性でそれを御するが、それがなければ野性動物や魔獣となんら大差などありはしない。




 人が偉いなどと、それは人が勝手に決めつけたものではないか。



 人なんて自然の前では弱者なのだから。




「ねぇ、そろそろ学者みたいな真似するの止めたら?」
「なんだよ、これから面白くなるんだから邪魔すんなよディー」
「じゃあ、この依頼報酬は僕だけが貰う」
「あ、こら! それは俺に来た依頼だろ!」



 お堅いことに思考を巡らせたところで、結局生きるためにやることは限られるのだ。




 よろず屋JD。始まります。

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ヘモグロビン @scarletsky ★Android=rJZdcj4oHB

【序章 いくつもの名を持つ者】



 鼻を擽(くすぐ)る香ばしい香りと何かが焼ける生活音に男は沈んでいた意識をゆっくりと覚醒させる。開いたエメラルドの瞳に映ったのは、霞んだ窓の外だった。気だるげに上半身を起こすと、数秒ほどぼぅっとしてから、ベッドサイドにあるナイトテーブルの上に置かれた新聞に手を伸ばす。

「あら、ジョン。起きたのね」

 ダイニングキッチンから姿を見せたのはネグリジェを身に纏(まと)う赤銅色の髪をした女。朝食の用意をしてくれた彼女は、まだベッドから降りずに新聞に目をやる男の元へと近づいた。

「何か面白い記事あった?」

 女は横から新聞を覗いて問いかける。そんな彼女の視界に飛び込んだのは、痛ましい事件の記事。

「ストライナ地区で三件目の猟奇殺人……。やだわ、すぐ近くじゃない」

 あからさまに嫌そうな顔をして新聞から視線を逸らす。

「遺体の損傷が激しく、まるで魔獣に喰われたかのような状態であり、被害者は三十代の男性ということしか分かないため、警視庁は引き続き被害者の身元を探る方針を決めた、か」

 読むのを止めた女に聞かせるかのように男は記事の続きを音読した。そして新聞を再びナイトテーブルに置くと背中を向けている女を抱き締めて言った。

「そんなに心配なら俺がマリーを殺人鬼から守ってやるよ」
「誰が信じられますか、今の貴方の言葉を」

 パシンと女は自分の胸へと向かう男の手を力一杯叩くと、ベッドから離れた。

「ほら、朝食できたんだから食べてよね」
「へいへい」

 女ーーマリーに急かされて、男はシャツに腕を通すと、先にダイニングに向かった彼女の後を追うように寝室から出るのだった。

9ヶ月前 No.1

ヘモグロビン @scarletsky ★Android=rJZdcj4oHB



 空が茜色から宵闇へと変わる時刻、街はガス灯の明かりに照らされていた。男の住むこの七番街(セブンスストリート)は、今朝の新聞の一面を飾っていた猟奇殺人のあったストライナ地区と隣に位置する。蒸気機関とガス灯の普及により、街は年中スモッグに覆われており、昼間でも最悪ランプを手に歩かなくては危ないほどである。そんな欠点を利用した殺人事件はここ数年増加の一途を辿っていた。

 男が今朝、マリーに言ったこともあながち嘘ではない。言葉と行動が伴っていなかっただけであり、男がマリーを心配する気持ちに偽りはなかった。

「思っていたよりも遅くなったな」

 男はガス灯に照らされている道を自宅に向かって足早に歩く。夜間に出歩く行為は女子供だけでなく、男でも
危険と隣り合わせだ。何かしらの事件に巻き込まれても文句を言えないのが現状である。

 久々に会った友人との食事についつい時間を忘れて話し込んでしまったのが悪かった。外に出ている者など余程の変人か犯罪者、無一文の浮浪者ぐらいだろう。早々に帰宅しなければ、新聞の一面を飾っていた殺人鬼に遭遇しかねない。そのため心なしか歩みが、駆け足になってしまうのは仕方がない。

「ん?」

 少し先を歩いた筋を左に曲がれば自宅に辿り着くあたりで、男の鼻に独特な臭いが過(よぎ)る。嗅ぎ慣れた臭いといえば間違いではないが、しかし場所的にその臭いがするのはいささか違和感がある。昼間だったなら気にせずに素通りもするが、いかんせん今は治安が頗(すこぶ)る悪くなる時間帯。何が起きていても不自然はない。逃げたくなるような気持ちよりも、好奇心、興味、疑問のほうが男の感情を刺激した。溢れ出す唾液を飲み込み、恐る恐る臭いを辿りながら男は臭いの元凶の元へと足を向けた。

9ヶ月前 No.2
ページ: 1

 
 
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