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陽炎の向こう側

 ( 小説投稿城 )
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チェザ @moonlight1 ★iPhone=J2qh4esVgi

初めまして、初投稿です。
完結させることを目標にまったりゆるゆる書いていこうと思っています






あんな奇妙な夏はそうそうあるものでは無いだろう。
生い茂る緑…セミの大合唱…その向こうに儚く揺れる陽炎…

ーこれは私が15歳の時に起きたとても不思議な夏の物語

メモ2017/08/15 10:22 : チェザ @moonlight1★iPhone-DsJhJDke8p

☆登場人物☆

朝比奈リン

この物語の主人公であり語り手。

15歳の夏、両親を亡くし祖父の家に引き取られた。

口数が少なく人付き合いがあまり得意では無い。

趣味は歌うこと。何かあったときは誰もいない場所で好きな歌を歌っている。


祖父


少女


渡辺のおばちゃん


☆あらすじ☆

火事で両親を亡くし、会ったこともない祖父の家に引き取られた孤独な少女、朝比奈リン。リンの冷たく固まった心を溶かしたのは、ある少女との出会いと村の人の心だった。けれどその少女には秘密があって…

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チェザ @moonlight1 ★iPhone=J2qh4esVgi

あの日の私はとても酷い顔をしていたんだろう。
周りにいる人皆が私から顔を背けるか同情の視線を送ってきた。
そんな顔になるのも無理は無い、むしろ自分の両親の葬式でニコニコ笑顔になれる人など居ないに等しいだろう。
兄弟も友達と呼べる人もおらず私には親が全てだった。
親戚も会ったことすらない祖父が1人いるだけ。
これから何を頼りに生きていけばいいのか…そんな不安だけが私の心を占めていた。

3ヶ月前 No.1

チェザ @moonlight1 ★iPhone=J2qh4esVgi

両親が亡くなったのは本当に突然で唐突だった。
二人は父が経営する飲食店で共に働いていた。
私のお気に入りはナポリタンで、何かあるたびにお店で食べさせてもらっていた。
鉄板に乗った薄焼き卵の上でほわほわと湯気をたてていたナポリタン…今思い出すだけでお腹がなってしまいそうになる


あの日、私の所属する吹奏楽部が県内のコンクールで金賞を取り、そのお祝いであのナポリタンを食べさせてもらう約束をしていた。
空が茜色に染まる頃、私は悠々と電車に乗り父と母の仕事場へと向かった。
駅から出た時やけに騒がしいと思った。
消防車のサイレンが鳴りこの辺りの住人であろう人々が赤々と燃える建物を指差していた。

「…なんで」
そんな言葉しか出てこなかった。
燃えていたのは父と母の店だった。

その日の火事で私の両親は呆気なく逝ってしまった。

3ヶ月前 No.2

チェザ @moonlight1 ★iPhone=J2qh4esVgi

それから色々あって、私は唯一の親戚の父方の祖父に引き取られることとなった。
前述したように、私は写真を見たことがあるだけで祖父に実際にあったことがない。
両親の葬式と法事には、畑を放って行けないと来なかった。
父は生前家を継がなかったことに怒り、会おうとしても会ってくれないと嘆いていた。
私は小さな荷物とと大きな不安を背負って、祖父のいる中部の田舎へ旅立った。

祖父の住む村は人口500人にも満たないような本当に小さな村だった。
田畑と森が村の殆どを占めており建物も住居とスーパーと役場、生徒が10人ほどの分校があるくらいで、アスファルトの道路もコンクリートの建物に囲まれて育った私には想像出来なかった風景が延々と続いていた

3ヶ月前 No.3

チェザ @moonlight1 ★iPhone=DsJhJDke8p

1日5本程度しか走っていないバスになんとか乗り込み、私は祖父の家の前に立っていた
「大きな家…」
田舎の家と言うと、木造の古くさい小さな家を想像していたのに、祖父の家は木造ではあったけれど私の想像を遥かに超えて大きく、そしてとても綺麗な家だった

3ヶ月前 No.4

チェザ @moonlight1 ★iPhone=DsJhJDke8p

インターホンが何処にあるか探してみたけれど、どこにも無く私は困ってしまった。
どうやって家主を呼べば良いんだろう…
「朝比奈さんなら出掛けてるよ」
「えっ」
後ろから急に声を掛けられたものだから、驚いてしまった。
振り返ると優しそうな顔をした50代くらいの女性がたっていた。
「それにしても、あんた見ない顔だねぇ。他所から来たのかい?」
「はっ、はい。今日から祖父…朝比奈さんの家にお世話になることになっていて…」
「あぁ〜、あんたがあのリンちゃんなんだね。話は聞いてるよ、大変だったねぇ。
朝比奈さん…あんたのおじいさんは今、畑に行っててね、もうちっとで帰って来ると思うよ。」
「そう…ですか…」
今日この時間に来ると言ってあったのに、家を留守にするなんて…父のことが嫌いだったみたいに私のことも嫌いなのかな。
「ねえねえ、リンちゃん。こんな暑い中、外で待ってるのも辛いでしょう?
私の家に来ない?私の家ね、あんたのおじいさんの家の隣なのよ。
今ならスイカも冷えてるわよ。」
「えっ、でも…」
「あっ、そうだ。自己紹介まだだったわね。
私は渡辺 サチよ。おばちゃんでも、おねえさんでも好きなように呼んでね。
ここで立ち話もなんだしこの続きは私の家に行ってからにしましょ。
ここから10分くらいだからすぐよ。
さあ、出発!」
「えぇ!ちょ、ちょっと待っ…」
「大丈夫よ、私怪しい人じゃないから」

こうして私は渡辺サチさんの家で祖父の帰りを待つことになった

3ヶ月前 No.5

チェザ @moonlight1 ★iPhone=zK9DxTzZy5

「はあ、はあ…」
急な山道をもうかれこれ20分は歩いていた
お隣さんなんて嘘だ…だって隣なのにこんなに歩くなんて…
「もうちょっとだから頑張って!ほらほら、あんたまだまだ若いんだから!」
渡辺さんが少し上から呼びかけてくる
どうしてあんなに早く歩けるのかしら
「すみません、先に行っててください…はあ、はあ…」
「確かにここからだったら1人でも来られると思うけど、ここら辺イノシシとかクマが出るのよねえ…ホントに大丈夫?」
「イノシシ!?」
なんてところに来てしまったんだ…
頭の中でもの○け姫に出てきたイノシシのイメージがぐるぐる回る
お父さん、お母さん私を助けて…!!
「あはは、驚きすぎだよ〜、そんな滅多に出てくるもんでもないし、ほらもう家が見えてきたよ」
渡辺さんの言う通り樹々の奥から少しずつ古い木造の家が見えてきた

渡辺さんの家は私が想像していた"田舎の家"そのままだった
ただひとつ違うところは、家の横に川が流れており、大きな水車がゆっくりぐるぐると回っていたのだ

「さあ、上がって上がって
あ、帽子と荷物はそこにおいてね
それじゃあ麦茶とスイカ用意してくるからちょっとそこで待ってて」
「あ、ありがとうございます」
土間で靴を脱いで上がり、日焼けした畳の上に座るとひんやりとしてなんとも心地よかった
部屋の中はちょっぴり線香の匂いがしていてなんだか懐かしい気持ちになった

3ヶ月前 No.6
ページ: 1

 
 
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