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パラサイト・ワールド2 コード・B:レボリューション

 ( 小説投稿城 )
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MK マッチー @11777 ★i04XIsqV4q_VXf

「…どうしてこうなったのかは、分からない。」

上半身が裸で包帯を巻いた、ボロボロの男が言った。


「気がつけばあっという間に自分の世界は、音を立てて破壊された。」

男は自分の隣りを見た。


「だが全てを失って尚、それでも失いたくないものが出来た。絶望の中に明日を生きる、覚悟を見つけた。」

自分の手元にあるボイスレコーダーに目線を落とす。


「何が起きて森羅万象の理が覆ったのか、それを話す前に3日前の出来事を、話さなければならない。 ………俺は生存者、山田太郎。」

そう名乗った男はヘリの窓の外を見た。赤々とした景色を眺める。
口を開き___この世の絶望を語り出した___



『どうも皆さん、初めましての方もそうじゃない方もクリック陳謝!
察しのいい方はもうお分かりでしょう、そう!続編なんです!
人生初の小説を書くのが楽しくなり続編を作ってしまいました〜。まだまだ粗が目立つかもしれませんが、どうぞご容赦を(笑)
初めての方にストーリーを説明しますと「寄生虫研究の第一人者となった近未来の日本」という設定で、前作の3日後の話になります。
そういうことでグロ系サスペンスな小説になります。苦手な方はお勧めしません。

記事メモにはキャラ紹介と話数を、サブ記事には感想、質問、アドバイスや提案等がありましたら載せますのでよろしくお願いします。
後モンスターやクリーチャー等の分かりづらい描写は絵を載せたいと思っているんですが、そういう機能を使いこなせていない状況です。
何とか頑張ってみますが、文章で分かりづらくならないように勤めていきたいと思います!
では最後にコレを言って終わりましょう。
※この作品はフィクションです。実在の人物、団体、事件などには関係ありません。』

メモ2017/09/16 19:55 : MK マッチー @11777★i04XIsqV4q_VXf

第1話『再びの悪夢』(>>1-8) 第2話『アマゾネスの集団』(>>9-22) 第3話『動物達の革命』(>>23-34)←途中


・登場人物

主人公:山田 太郎(やまだ たろう)

ヒロイン:宮部 雅(みやべ みやび)

準主役:落合 統治(おちあい とうじ)

大佐:三木 秀一(みき しゅういち)

栗山 梢(くりやま こずえ)

ジェシー・ハミルトン・上田(うえだ)

沢村 エリー(さわむら)


・クリーチャー

ノーミン:

 ノミとダニ(顔ダニ)を合成した寄生生物。寄生虫の研究過程により造り出された生物兵器。

 容姿は普通のノミと似ているが、頭と目が肥大化し目は赤く光るようになり、口は蚊の注射器の様な口に。

  前脚はそれぞれ2本となり、人間のように5本の指が出来、後脚は大きく発達し歪曲し、背中は蝉のような甲羅。とても長い尻尾まで生えた、

 人間の握り拳くらいの大きさのある灰色の寄生虫。寄生菌なるもので寄生した対象に細胞レベルで変異を促す。

ヒューミン:

 ノーミンに寄生された人間の成れの果て。

 丸い大きな赤い目に、蚊の口ようなを針を鼻の付け根から生やし、鋭い鉤爪を持つ灰色模様で、ノミの足を持ったこの世のものとは思えない容姿をした、

 人の形をした何か。ピョンピョン飛び跳ね呻きながら人を襲う。

寄生犬/ケルベロス:

 ノーミンに寄生された犬の成れの果て。

 外見は傷だらけの血塗れ、腐敗も著しく骨まで見える部分もある。犬特有の俊敏性や、耐久力は衰えず優れ、普通の人間で武器無しでは歯が立たない。

レイブン:

 ノーミンに寄生された、或は死体を突っついて二次感染したカラスの成れの果て。集団行動を得意とする。

マンティス:

 二次被害によって寄生菌に感染したカマキリの成れの果て。

 2メートルはあろうかという、巨大な昆虫。モスグリーンの体、丸く赤く光る目、鋭く尖った鎌、体はボロボロで体液が垂れ流されている。

 鎌は切れ味鋭く、軍用のトラックをいとも簡単に真っ二つに出来る。

…続きを読む(13行)

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MK マッチー @11777 ★i04XIsqV4q_VXf

序章 __再びのプロローグ__


?:
「…………また失敗か。」

大型モニターを睨み続ける、白衣を着た白髪混じりの男が呟いた。


「何故だ、何故失敗する。何が足りない? 俺に一体何が足りないというんだ!!」

両手の拳で書類が散らばったデスクを、何度も何度もも叩く。
その暴力的な音は室内を反響する。

?:
「マスター、報告します。」

男の背後からモニターが映し出され、落ち着いた女性の声が響き渡る。

「生態系異常を感知しました。」

?:
「……どういうことだ? 分かりやすく言え。」

?:
「草食動物である鹿が、同種である鹿を襲っています。そればかりか肉食動物である、熊をも襲っています。
この現象は森羅万象及び、生態系のデーターから大きく逸脱しています。異常だと認識せざる負えません。」

?:
「確かに異常だ……。 だが何故そんな事が起きている? ……お前の見解を聞かせろ。」

?:
「推測するに可能性としては、寄生虫ノーミンが関わっている、のでは無いかと思われます。」

?:
「……つまり、軍の封じ込め作戦は失敗したと?」

?:
「私の可能性が正しければ、そういう推論が相応しいかと。」


男は手を口に当て、少し何かを考えた後、不気味な笑みを浮かべた。


?:
「いいぞ、これは好機だ。“例のウィルス”を完成出来るかもしれない。お前は命令があるまで待機だ。アイツにもまだ動くなと伝えろ。」

?:
「了解しました。」

そう言ってモニターは消える。一人残された男は、追い風だと独り言を呟き、不気味に笑った。
その笑い声は薄暗い森林にこだました。

___再び悪夢が動き出す___

2ヶ月前 No.1

MK マッチー @11777 ★i04XIsqV4q_VXf

第1話

・群馬県南部の赤城山付近の山脈地帯

兵士:「よし、今日はここまでだ。自分のテントに戻って体を休ませておけ、明日も早いぞ。」

山田:
「………8時起きでしたっけ? 分かりました、お疲れ様です。」


森林を伐採した大きな更地に、無数の迷彩柄のテントが並んでいる。軍用キャンプというやつだろう。
3日前に狩矢崎市が滅びる前、事件発生時に自衛隊主体で救出作戦が行われていた。救出された生存者や、怪我人は一時的にここに集められる。
つまりここらの山岳地帯は、今や軍が主導権を握っている、という事になる。

医療用と書かれたテントから山田太郎が出て来る。
彼は3日前の事件の生存者であり、目撃者でもあった。事件の首謀者だった黒田総一郎と、接触をした人物の一人だ。
だからだろう、一般的な生存者として扱われず、尋問を受けた。それだけではなく、色々な負傷を負いながらの生還。寄生菌に感染の疑いを向けられたのだ。
ワクチンを打っているとはいえ、確固たる安全の為に、様々な検査を夜通しで行われた。今日の検査は終わり、山田は解放された。時間は12時に回ろうとしている。

山田はフラフラになりながらも、眠い目を擦った。大勢の自衛隊員達とすれ違う。その多くは物珍しそうな、目付きで見ている。パンダになった気分だと感じた。
並べられて停まっている、73式大型トラックの横を素通りし、自らのテントに入っていく。
中ではもう一人の生存者である、落合統治が本を読んで待っていた。


落合:
「あ、山田さん終わったんですね? お疲れ様で〜す。」

山田:
「落合さんもお疲れ様です。お互い大変ですね………。」

落合:
「まぁ仕様がないですよね、自衛隊は国を守るのが仕事ですから、危険な芽は早々に詰むが得策。ま、被害者としてはたまったもんじゃないですけど……。」

山田:
「…………。 ……こんな思い、宮部さんもしてるのかな………。」


山田はふと、一緒に生還した宮部雅の事を思い描いていた。


落合:
「彼女はもっとキツいでしょうねぇ。何せ事件を起こした黒田の姪、身内なんですから。 尋問やさらに取り調べとか待ってると思います。」

山田:
「………………。」

落合:
「山田さん、変な事考えてません? 相手は軍ですよ、僕達に出来る事はありません。ただ待ちましょうよ、彼女の無実が証明されるまで。
僕達は彼女が何も悪くないって、知っているのですから。」

山田:
「………それもそうですね、ただ待ちましょう。」

そう言って自分の寝袋に倒れる。ふと落合が持っている本に目がいった。


「………何で、ダンテの神曲なんて読んでるんです?」

落合:
「あ、これですか? あのおっさん達を馬鹿にしてたんですけど、読んでみると案外面白くて。中二病が滾るのなんの。」

山田:
「へぇ〜そうですかぁ〜……。」

落合:
「ちょっと、僕の話題になったらテンション低くなるの止めてもらえます? ねぇ聞いてる?」

全てがどうでもよくなった。 山田は相槌を打つのを止め、眠気に襲われるまま目を閉じた。
落合がまだ何か文句を言っているようだが、疲労のピークが来た山田には、どうでもよくなっていた。山田はそのまま微睡みの、中へ落ちていった。

2ヶ月前 No.2

MK マッチー @11777 ★i04XIsqV4q_VXf

?:
「…………お………ろ…………ん……。」

暗闇の中から声が聞こえた。


?:
「………おき………や、くん……。」

山田:
「う〜ん、不明………英語………。」

何かを言われている。それは分かったが、理解出来なかった。理解するにはまだ脳が、活動していない。
だが次の叫びで、意味不明な文字の羅列が、言葉となってはっきりと分かった。


?:
「山田君、起きろ!!」

山田:
「ふぇあ! 朝?! 8時?! 寝過ごした?! …………あれ?大佐?てかまだ夜じゃないっすか……。」

跳ね起きたら、迷彩服を着た三木秀一がいた。彼もまた生存者の一人。山田は寝ぼけ眼で、側に置いてる時計を見た。深夜一時を過ぎていた。


三木大佐:
「夜とかそんな事を言っている余裕は無いぞ、見ろ!」

三木がテントの入り口の布を上げた。山田は外の様子を眺めた。
キャンプ場は地獄絵図に変わっている。数張のテントが燃え、自衛隊員達が逃げ惑い、銃声が鳴り響く。その混乱の中、犬らしい動物が数匹。自衛隊員達に噛み付く。
中には錯乱なのか、仲間同士で争い、殺し合っている様子も伺える。


山田:
「な、なな何だよアレ!何ですかアレ!何が起きてるんですか?!」

三木大佐:
「説明は後だ!落合君を起こして、必要な物だけ持って出るぞ!」

山田:
「はいっ!! ……落合さん起きてください、起きて!」

落合:
「むにゃぁ〜ん、………無理だよぉ〜、食べられないよもう〜……。」

山田:
「起きろ!死ぬぞ!!」

落合:
「ひえぇ!死ぬの?食べ過ぎで?! ………あれ?」

山田:
「外が大変です!荷物持って出ましょう!」

そう叫んで山田はOD作業服の上に、ワインレッドのジャケットを羽織り、OD作業服だけの落合とテントを出た。

2ヶ月前 No.3

MK マッチー @11777 ★i04XIsqV4q_VXf

出た直後、何かが焦げた異臭と、血の臭いで鼻孔を刺激し、顔をしかめた。この臭いを知っている。3日前に感じたばかりだと山田がそう考えた。
その時だった。目の前に何かが着地した。


ノーミン:「ギキー!」

人間の握り拳くらいの、大きさのある灰色の寄生虫が威嚇した。かと思ったら即座に、落合が蹴り飛ばした。蹴り飛ばされた寄生虫は、近くの火の中に落ち断末魔を上げた。


落合:
「わー!わー!わー! 反射的に蹴っちゃったけど、今のってアレだよね?!」

山田:
「ノーミン………。」


寄生虫ノーミン。黒田によってノミとダニ(顔ダニ)を合成して、造り出された生物兵器。ノミと似ているが、凶暴性に優れ寄生能力に長けている。
寄生菌なるものを体内に宿し、寄生した対象に細胞レベルで変異を促す。寄生された者は、繁殖を繰り返す為だけの生きる屍と化す。
黒田の研究所内で培養されていたが、外部に漏れ出しそれにより、軍によって封じ込め作戦が決行され、滅びたはずなのだ。


ヒューミン:「ぅ、うう〜………ぁああ〜……。」

落合:
「いや〜!夢だと言ってぇえーー!!」

山田:
「ざ、残酷なようだけど現実!!」

ノーミンによってモンスターにされた人間の成れの果て。灰色模様の肌、丸い大きな赤い目、鋭い爪にノミの足、全てが人外である証だ。
鼻の付け根から生やした、蚊の口ようなを針で人を襲い寄生する。山田達に気付いた、ボロボロの迷彩服を着たヒューミンが、両手を広げて襲って来る。
しかし襲う甲斐も虚しく、三木の銃弾を頭に受け力なく地面に倒れる。


三木大佐:
「2人ともこっちだ!走れ!」

落合:
「はい!よろこんで走り続けます!!」

山田:
「あ、はい! ………?」

死んだヒューミンの首筋に、注射器の様な物を、一瞬だけだが山田は見た気がした。だが生き延びる為に逃げた。落合の後を追い、テントから離れさらに森の奥へ。
武器や装備に乏しくなく、かつ襲われ逃げる事に専念していなければ、山田はその後の出来事を見る事が出来ただろう。
誰かが死んだヒューミンに近づき、首筋に付いていた注射器を、拾い上げる人物を。

2ヶ月前 No.4

MK マッチー @11777 ★i04XIsqV4q_VXf

森の中をひたすら走る。


山田:
「はぁはぁ、大佐! 女性用軍キャンプにいる、宮部さんとは連絡取れたんですか? ここがこうなってるってことは、きっと向こうも………。」

三木大佐:
「無線及び通信機器が破壊されていた! 連絡不能だ。」

落合:
「マジかよ! 一体誰がそんな事を!」

三木大佐:
「分からん。しかし裏にいるのが悪意ある人物、であのは確かだ。我々をモルモットのように、扱っているのだとすれば、到底許し難い行為だ!」

悲鳴が近くで木霊した。山田は辺りを見渡した。一緒に逃げていた兵士達が、次から次へと犬の様な生物に、補食されていく。
抵抗も虚しく、飛びかかられ首に噛み付かれ、そのまま息絶える。


山田:
「寄生犬………。」

寄生犬またの名をケルベロス。誰が呼んだか地獄の門番。ノーミンに寄生され、人を容赦なく襲う。外見は傷だらけの血塗れ、腐敗も著しく骨まで見える部分も。
犬特有の俊敏性や、耐久力は衰えず優れ、並の人間では武器無しでは抵抗出来ない。そんなケルベロスが大佐達の目の前に、威嚇しながら現れた。


ケルベロス:「ガウ!ガルルル!」

唸った後大佐目掛けて飛びかかった。苦もなく大佐は頭を撃ち抜き、地面に倒れたケルベロスを捨て置き、走る事を再開した。


落合:
「………あれ?」

山田:
「どうしました?」

落合:
「いえ、さっきの犬……。ケツの当たりに注射器の様な物が、見えた気がしたんですけど…………。」

山田:
「…………。」

先頭を走り何匹かのケルベロスを、撃ち殺していた大佐が、立ち止まり空を見上げた。上空には軍用ヘリの姿があった。


三木大佐:
「合図を送れ、ヘリに乗るぞ!」

そう言って大佐はヘリに向けて、両手を振る。山田達二人も大佐に習い、必死に手を振った。ヘリが合図に気付いたのか、ライトを照らしホバリング後、下降して来る。
コレで助かった、誰もがそう思った。しかし直後、カラスが大量に集まり、ヘリを覆い尽くした。

レイブン。寄生または寄生された、死体を突っついた事により、二次感染したカラスの成れの果て。
そんなカラス達に視界を遮られ、操縦不能となったヘリは、バランスを崩したまま近くの森林に墜落、爆発炎上した。


落合:
「クソ! あのヘリ、カプコン製ヘリかよ!」

三木大佐:
「……化け物共が火に気を取られている間に、さっさと逃げるぞ!」

叫び、再び走り出した。

2ヶ月前 No.5

MK マッチー @11777 ★i04XIsqV4q_VXf

少し広い所に抜けた。草木が無く手入れが施されているようで、軍用トラックが数台置かれていた。


落合:
「ヒュ〜、まさかM3ハーフトラックを、お目にかかれるとは思わなかったな〜。 それにこれはキャリバー50じゃねぇか!! 本物見れるとか最高!」

山田:
「色んな名称分かるとは、流石銃器マニアですね。と言いたい所ですが、そこまでテンション高いと引きますよ……。」

三木大佐:
「いいからさっさと乗れ、俺が運転する。落ちるなよ!」

二人を荷台部分に乗せ、三木は鍵を見つけエンジンをかける。一気にアクセルを踏み、発進した。
気付けば生き残った兵士達も、他二台の軍用トラックに乗り並走している。隣りを走るトラックの荷台から、兵士が話しかける。


兵士:「よう兄ちゃん達!危機一髪だったな!」

山田:
「お互い様でしょう!」

落合:
「こんな夜中から訓練って、軍隊って本当にハードワークですな!」

兵士:「ハッハッハ、違ぇねぇ! 流石の俺も今日は参るぜ!」

兵士2:「いつもこんな感じじゃなくて、もう少し優しい訓練だけどな!」

山田:
「重火器を使う事が、優しいとは思えませんけどね!」

兵士:「言うねぇ〜! あんた確か狩矢崎の生き残りだよな? いい根性してるぜ! 気に入ったぞ、名前は?」

山田:
「山田太郎!」

兵士2:「古すぎて面白い名前だな。」

山田:
「名前通り、面白すぎる人生送ってますよ!」

兵士:「俺は相沢だ!愛って漢字は入ってねぇが、愛する家族がいるぜ!これからよろしくな!」

荷台に載っている者同志だからか、話が会い意気投合する。相沢と名乗った兵士は親指を突き立てた。その直後相沢と一緒に乗った兵士の首が落ちた。


落合:
「ぎゃぁあーー!!何これ?どう事だ?!」

山田:
「イタッ!!」

腕に傷みが走り抑えた。見ると横文字に、腕が少し切れていた。何があったのか理解出来ない顔で、山田は落合を見た。


落合:
「え?何で?!何で切れてんの? かまいたちの仕業?」

山田:
「そんな馬鹿な事……………。」

言い終わる前に隣りから、大きな音が聞こえた。隣りを並走していた軍用トラックの、後輪が二つともパンク。そればかりか荷台部分が、真っ二つになり、
制御不能になった軍用トラックは、運転手諸共大クラッシュし、爆発炎上する。
あっけにとられた山田達をよそに、自分達が乗っている運転席の上に何かが着地する。振り向くとそれは2メートルはあろうかという、巨大なカマキリがいた。
モスグリーンの体、赤く光る丸い目、鋭く尖った死神の鎌、ボロボロの体から垂れ流される体液、巨大な昆虫だ。


山田&落合:
「「なんじゃこいつはぁぁあーーー!!」」

マンティス:「キシェェエエーー!」

2ヶ月前 No.6

MK マッチー @11777 ★i04XIsqV4q_VXf

瞬時に落合が、キャリバー50の引き金を引き、マンティスに向け連射した。体中を蜂の巣にされ、体液を撒き散らす。
これは生き残るのは簡単だと思われた。しかしカマキリの巨大な鎌で、キャリバー50をいとも簡単に、真っ二つにした。


山田:
「ぎゃああ!! マシンガンが真っ二つになった!黒田を思い出したよ、コイツ絶対黒田の生まれ変わりだーー!!」

落合:
「トラウマなのは分かりますけど、次ぎどうするか考えてくれません? 武器無いんですよ、次に真っ二つになるの僕達なんですよ!!」

マンティスが再び、巨大鎌を振り上げた。山田達に振り下ろそうとした瞬間、右目が潰れた。
隣りを並走しているトラック、つまり相沢達が乗っていた、トラックの運転手が撃ったのだ。


運転手:「この化け物め!くたばれ!」

銃弾の的になるマンティス。標的を変え運転手に狙いを定めたマンティスは、素早い動きで運転席へ突っ込んだ。
見る見るうちにズタボロになる運転席を、山田達は只呆然と見ているしか無かった。
運転する者が息絶えたのか、トラックはフラフラと蛇行運転をした後、木に突っ込んで爆発した。
爆発に巻き込まれたマンティスは、上半身が吹っ飛び草木に落ちる。

少し痙攣したが、すぐに動く事を止め、マンティスは死骸となった。
その死骸に誰かが近づき、残った頭の部分に注射器を刺した。


?:
「必要なのは血のみ………。」

そう言って注射器に、マンティスの血が満たされていく。

2ヶ月前 No.7

MK マッチー @11777 ★i04XIsqV4q_VXf

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2ヶ月前 No.8

MK マッチー @11777 ★i04XIsqV4q_VXf

第2話


山田は微睡みの中にいた。混濁した意識の中、額に触れられている感覚があった。
しかし不思議と不快感は無く、むしろ懐かしさを覚える。子供の頃熱を出し母親に、看病をしてもらったときの記憶。それに似ている。


山田:
「………母さん……。」

?:
「……ここにいるよ。」

山田:
「…………俺、怖い夢……見たんだ……。」

?:
「そうなんだ、どんな夢?」

山田:
「……寄生虫が、母さんを奪って……俺を襲う夢。………怖かった。」

?:
「怖かったね、でも安心して。全部悪い夢だよ。」

山田:
「……母さん。……………違う。………母さんはもう………!!」

山田は違和感に気付き、飛び跳ねて起きた。額に雑巾が置いてあったのか、ズレ落ちたが気にしなかった。目の前には迷彩服を着た、見知らぬ女性がいる。


女性:
「あ、起きました? すいません、ちょっとした悪ノリでした。気分を害したのであれば、謝罪します。」

ベコリと頭を下げる女性。いたずらっ子な笑みを浮かべて入るが、悪い人ではないようだと山田は思った。


山田:
「いえ、大丈夫です。 ……それより怪我を治してくださり、ありがとうございます。」

マンティスによって切られた腕は、包帯が巻かれていた。


女性:
「いや〜びっくりしましたよ〜。ドーンって凄い音がしたので、崖崩れが起きたと思いましたもん。
まさか人が乗ってる、トラックが落ちて来る何て思わないじゃないですか。良く死にませんでしたね?」

山田:
「運が強いみたいです。悪運ですけど………。」

女性:
「たとえ悪運でも、私も運が欲しいです。……特に男運がなくて。」

女性は両手の人差し指を合わせて、ばつの悪そうな顔をする。


山田:
「……それで、あなたは?」

女性は:
「あ、申し遅れました。私、中央即応連隊の第2中隊に所属しております、衛生兵の栗山 梢(くりやま こずえ)と申します!」

そう名乗った女性は、肩までの長さのあるウェーブのかかった栗色の髪をなびかせ、訓練されたように行儀の良い敬礼をする。

1ヶ月前 No.9

MK マッチー @11777 ★i04XIsqV4q_VXf

山田:
「それで栗山さん、コレは何ですか?」

栗山:
「手錠です。」

山田:
「見れば分かります。聞きたいのはどうして、俺は手錠で繋がってるんですか? 夜這いですか?」

山田は手錠で掛けられた両手を、これでもかと栗山に見せつける。


栗山:
「私の名誉の為にお答えします。そんな趣味はありません、上司の命令です。」

山田:
「夜這いが趣味の上司?」

栗山:
「夜這いから離れてください。見知らぬ男性を野放しにするのは、些か危険であるとの判断です。」

山田:
「危険、ですか………。察するにここは女性用軍キャンプですね? じゃあ納得の処置ですけど、一応自己紹介をします。
名前は山田太郎。好きな食べ物はレモンパイ。趣味はゲーセンでシューティングゲームをする事。好きな音楽は失恋ソング。嫌いな事は自由を奪われる事。
これで見ず知らずじゃないので、手錠を外してもらえますか?」

栗山:
「無理です。」

山田:
「でしょうね。」

深々とため息をついて、肩を落としわざとらしく落胆してみせる。目線を手錠に落とした。しかしふと自分に対する視線を感じた。
猫を彷彿とさせる二重の大きな瞳が、山田を凝視していた。顔に何か付いてるのかと思い「何ですか?」と聞く。


栗山:
「あなたが山田さんなんですね、宮部さんからお噂はかねがね。」

山田:
「宮部さんはここにいるんですよね?! 無事ですか?怪我は無いですか?」

食い入るように身を乗り出した山田の迫力に、栗山は思わずのけぞってしまう。


栗山:
「ええ、無事ですよ。」

山田:
「はぁ〜、よかったぁ。ものすごく心配した……。」

栗山:
「羨ましいご関係ですね。」

山田:
「?」

今の発言に対して疑問が浮かんだので、どういうことか聞こうと口を開いた。喋りかけたその直後、外から怒鳴り声が聞こえて来る。この怒鳴り声には聞き覚えがある。
立ち上がるのを栗山に手伝ってもらい、隣りで寝ている落合を置いて医療用テントから出た。

1ヶ月前 No.10

MK マッチー @11777 ★i04XIsqV4q_VXf

三木大佐:
「だから何度も言っているだろ! 階級は大佐だ、上官の命令が聞けないのか?さっさと手錠を外せ!」

案の定怒号の主は三木大佐だった。彼もまた山田達と同じように両手を手錠で塞がれていた。大佐は自分より少し背の低い女性に怒鳴り散らしている。


女性:
「ですから何度も言うように、それは出来ないと言っているじゃないですか。」

三木大佐:
「ええい!あんたじゃ話にならん、あんたの上司を呼べ!」

女性:
「上司は今席を外しており、この場は私が一任されています。」

山田:
「大佐と渡り合っているあの人は?」

栗山:
「ジェシー・ハミルトン・上田(うえだ)。第1中隊の隊長です。」

山田:
「階級がどうこうって言ってましたけど?」

栗山:
「ジェシーさんは伍長です。これで察して頂けるかと。」

察するより何よりも山田は絶句した。階級社会である軍隊からすれば異常と認識せざる得ない。
大佐からすれば遥かに下であろう者に歯向かわれるのは我慢ならないのであろう。


三木大佐:
「上官の命令を無視しただけでなく、挙げ句の果てに拘束するとは! この後どうなるか分かって………。」

ジェシー伍長:
「関係ありません。」

三木大佐:
「何っ……!!」

腰にまで伸びた青みがかった黒髪を揺らしながら、ジェシーと呼ばれる女性は大佐に近づき、下から睨(ね)め上げる。


ジェシー伍長:
「ここにはここのルールがあります。階級も立場も関係ありません。郷に入っては郷に従えという言葉はご存知ですよね?
ここにいる間は否が応でも、私達女性の指示に従ってもらいます。拒否権はありません、いいですね?」

三木大佐:
「女が好きに言わせておけば………ッ!!」

山田:
「大佐!そこまでにしてください。……周りを見て。」

二人の間に割って入って怒(いか)っている大佐を無理矢理なだめ、小声で話しかける。
辺りを見渡すといつのまにやら大勢の、女性兵士が周りに集まり中には武器を持つ人もいる。


「状況的に俺達が不利です。それに助けてもらった恩もありますので、これ以上騒ぐのは得策じゃありません。」

三木大佐:
「………………テントに戻る。」

不本意だという顔をしながら大佐はそのまま踵を返し、医療用テントへと入っていく。それを見送った山田はため息をつく。

1ヶ月前 No.11

MK マッチー @11777 ★i04XIsqV4q_VXf

山田は何気なしに振り返る。そこには顔があった。驚き後ずさる。
キツ目なつり目、涼やかな鼻筋、柔らかそうなピンク色の唇、ハーフ特有の色気を持った、女の顔が目の前にあった。


ジェシー伍長:
「それで?あなたは?」

彼女が山田を見上げ訊ねると、美女を間近にしたからなのか、彼は心臓をバクつかせながら答えた。


山田:
「…ぁ〜、ぇぇ〜と………。山田、太郎です……。」

ジェシー伍長:
「……そう、あなたが……。」

?:
「太郎さん!」

誰かが山田の名を呼び、話を遮るようにして野次馬の中から近寄って来た。その女性はポニーテールにした金髪の髪を揺らし、彼に抱きついた。
少しフラついたが、倒れずにその女性を手錠のまま受け止める。


山田:
「雅さん!無事だったんですね、よかった。」

宮部:
「太郎さんも、元気そうでよかった。……会いたかったです。」

潤んだ瞳で見つめて来る宮部に微笑む山田。彼は彼女の両肩に手を置いて向き直る。

1ヶ月前 No.12

MK マッチー @11777 ★i04XIsqV4q_VXf

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1ヶ月前 No.13

MK マッチー @11777 ★i04XIsqV4q_VXf

宮部:
「ついでに紹介しますね。ジェシーさん、一緒に逃げて来た落合さんです。」

落合:
「だからついでって……。ん?ジェシー?」

宮部:
「落合さんこちら、ジェシー上田。伍長さんですけど、とってもいい人ですよ。」

山田:
「どんな紹介の仕方?」

落合:
「どうもお嬢さん、初めまして。落合統治と申します。あなたの落合です。」

顔をキリッと変え、ズイッと伍長に迫る。


ジェシー伍長:
「え?ヤマタノオロチ?」

落合:
「蛇じゃないです、あなたの落合です。何か困った事があれば何なりと、この僕にお申し付けください。きっと力になれます。」

宮部:
「どうしたんですか落合さん、頭でも打ったんですか?」

落合:
「ハッハッハ、宮部さんは面白い事を言いますね。男として女性を守るのは当然じゃないですか。」

宮部:
「気持ち悪いです。」

落合:
「たとえ気持ち悪くてもいい、必要がない強く凛々しい女兵士だとしても、僕はあなたを守る為の力になりたい。」

ジェシー伍長:
「こ、こんな事言われたの、初めて………。」

片膝立ちをし、伍長の片手をそっと握り、落合は上目遣いで甘い事を言う。


宮部:
「ジェ、ジェシーさん?しっかりしてください。その人ただ色ボケてるだけですからね?」

栗山:
「ちょっと離れてください!」

栗山は強引に伍長から落合を離し、宮部は熱で浮かれている、伍長の顔の前で手を振る。
ため息をついている落合に山田が近寄って、小声で話す。


山田:
「ああいう女性がお好みで?」

落合:
「ジャスト・マイ・タイプ!」

何故英語で言ったのか?と脳内で疑問符を付けながらも、山田は冷めた表情で落合を見返す。

1ヶ月前 No.14

MK マッチー @11777 ★i04XIsqV4q_VXf

その直後山田の視線は、落合の頭頂部に移った。
落合の頭の上にはレイブンが停まっていた。


山田:
「お、落合さん……。あ、頭……。」

落合:
「え?頭? カラスがいるね……。…………ぎゃああーー!!カラスーーー!!」

叫んで尻餅をついた。その拍子にレイブンは飛び去る。
悲鳴を聞きつけ何事かと寄って来た伍長達は、山田の説明を聞き腰を抜かしている、落合を飽きれた顔で見た。

宮部:
「カラス一匹にその体たらくなのに、女性を守るのが男の勤めってどの口が言うんですか?」

落合:
「それは言ってませんけど……。」

宮部:
「似た様な物でしょう、男性の口から出る言葉は、大体そんな感じなんですから。」

栗山:
「そうですよ。それにジェシーさんは、もっと場数を踏んだマッチョな人がいいんですから。ね?ジェシーさん。」

ジェシー伍長:
「えっと……。その……。」

山田:
「あの〜、皆さん。」

宮部:
「太郎さんはちょっと黙っててください。同じ男性として擁護したい気持ちは分かりますが……。」

山田:
「そうじゃなくて!空!」

山田は空を指差した。上空には無数のレイブンが、奇声を上げながら旋回していた。
あまりの圧倒的な数に、一瞬場が凍り付く。

1ヶ月前 No.15

MK マッチー @11777 ★i04XIsqV4q_VXf

ジェシー伍長:
「……スカイライン防衛体勢!火炎放射器準備!迎撃守備に着いて!」

鶴の一声で場の雰囲気が一変し、女性兵士達を始め忙しなく散らばっていく。
レイブンが一斉に下りて来て、現場は戦場と化した。

落合:
「ぎゃああーーー!!こっちこないでぇええーー!動きづらいのにーー!」

数十匹のレイブンに追いかけられる落合。手錠をカチャカチャと鳴らし、無様に逃げ回る。
その直後後ろから熱さを感じ振り返った。火炎放射器を持った女性兵士が、落合を追いかけたレイブン達を焼き殺していく。


ジェシー伍長:
「8時の方向!マシンガン放射!」

マシンガンを持った数人の女性兵が迫ってくるレイブンの群れに、容赦なく雨霰の弾丸をぶち込む。

栗山:
「手榴弾部隊、準備出来ました!」

ジェシー伍長:
「2時の方向に投下!」

数十個の手榴弾が近く大木に投げられ、大爆発を起こしレイブンを巻き込みながら倒木する。
火炎放射器で焼かれ、マシンガンで木っ端微塵になり、手榴弾で迎撃されていくレイブン達。
的確な指示により被害者は無く、敵が一掃されこの場の平安が戻った。


「……それで?ヤマタノオロチさん、誰が誰をどう風に守るんでしたっけ?」

頭を庇い地面に伏していた山田と落合に近づき、女性兵士達が取り囲む。
したり顔で落合達を見下ろすジェシー達を、冷や汗をかき無言の引きつった顔で、見つめ返すしか二人は出来なかった。

1ヶ月前 No.16

MK マッチー @11777 ★i04XIsqV4q_VXf

山田:
「ぶ、武器を持ってるにしても皆さん、お強いんですね……。」

体勢を整えた二人は、女性兵士達に囲まれながら伍長に向き直る。山田はうわずった声でそう言うが、落合は無言のままだ。


ジェシー伍長:
「部隊所属の女性はもとより、狩矢崎市の事件当日に救助された、女性達も武装をしています。」

山田:
「それって一般人って事ですよね?何故武器なんて……。」

宮部:
「それは………。」

駆け寄って来た宮部が説明をしようとした。しかし訳ありなのか言葉を濁して、顔を伏せた。
伍長が宮部の肩に手を置いて気遣い、言葉を継いで続けた。


ジェシー伍長:
「……救助後女性達は男性達に、不当な扱いを受けました。それを不服とした私の上司が、上層部の命令を無視し軍キャンプを、男女別にしました。
救助された女性達の中には、男性に対するトラウマを抱えた人もいるので、その考慮もあると言っていました。
ですので以前から男性に不信感と、不満を持っていた人達が多く成り立っているので、自然とこのようになりました。」

山田:
「………宮部さんも言われの無い扱いを?」

宮部は地面に顔を伏したまま頷く。その姿に力強さは無い。


ジェシー伍長:
「行動を共にしたあなた方ならご存知のように、彼女は事件の首謀者の親戚です。罪は無くても対応はそれなりに良くはありません。
ですが彼女への対応はあまりにも酷かった、まるで彼女自身が主犯かの様な扱いで………。」

宮部:
「………見るに見かねたジェシーさんの上司さんが、助けてくださったんです。あのままいけばきっと、私の心は壊れていたと思います……。」

山田と落合は複雑そうな表情で、視線を交わし合う。落合の言っていた事が、ほぼ確実に当たっていた。


山田:
「……その上司に会ってみたいです、そして感謝したい。俺の変わりに宮部さんを守ってくれた事、救ってくれた事に……。」

ジェシー伍長:
「………やはりお聞きした通り、あなたは素晴らしい人です。」

三木大佐:
「ああ、俺も是非とも会ってみたいものだ。その肝の座ったたくましい上司にな。」

声のした方を振り返る。医療テントとから大佐が、けげんそうな顔で出て来た。話をさらにややこしくしそうな奴が来た。そいう顔で山田は頭を抑えた。

1ヶ月前 No.17

MK マッチー @11777 ★i04XIsqV4q_VXf

大佐は目の前にいる女性達を物ともせず、掻き分けて中心に入って来る。


「性別に対する色眼鏡で、公私混同する上司とは。一体どんな人物かお目にかかりたい。」

ジェシー伍長:
「女性を人として扱わない、人としても見えていない目が節穴な方々と違って、とても素晴らしい人ですよ。」

二人の間で目に見えない張りつめた空気が流れる。宮部と山田達が慌ててなだめようとしたその時。怒鳴り声が聞こえた。


?:
「もう〜、うっさいわね〜! 今何時だと思ってんの?夜更かしは美容の敵だって言ってんでしょ!!」

近くのテントから女性が憤慨しながら出て来た。どうやら眠りを妨げられた事に対して怒っているようだ。今までの騒動は聞いていなかったのだろか。


落合:
「う、嘘だろ……。あ、あの人って………。」

栗山:
「ええ、沢村 エリー(さわむら)。狩矢崎市出身のモデルで、女優としても売れ始めた人です。」

落合:
「めちゃくちゃ知ってるーーー!! 化粧品のCMでめっちゃ見るーー!」

宮部:
「やっぱりそうですよね、あの化粧品私も使ってるんですよ。」

沢村:
「あら、冴えない顔でも使ってる物は使ってるのね。褒めて上げても良いわよ。」

落合:
「あの高飛車な感じ、CMでも全然変わらないな〜。エリー様〜。」

栗山:
「男性ってああいうのが好きなのが多いですよね。ちょっとよく分かりません。」

自分がデレデレしているのを、伍長がジト〜ッとした目で睨んでいるのを気付いた落合は、慌てて顔を隠すが時既に遅い。


沢村:
「肌が荒れるから喧嘩は、明日の朝にしてくれない? 私は美容の為に寝たいの。聞いてんのそこのおっさん!」

三木大佐:
「おっさんだと?俺は三十代後半……。」

沢村:
「女の美しさを分からない奴は、皆時代遅れのおっさんよ。」

落合:
「出た〜!エリー様の決め台詞〜!キタコレ〜!」

栗山:
「……おっさん達の風評被害なのでは?」

沢村:
「それからそこの上司代理!声がきゃんきゃん五月蝿いのよ!まるで動物園の猿よ!」

大佐に指指しで歯向かったかと思えば、方向転換をして次の標的に伍長に狙いを定めた。

1ヶ月前 No.18

MK マッチー @11777 ★i04XIsqV4q_VXf

ジェシー伍長:
「こ、声は変えられないので仕方ないのでは………。」

沢村:
「ボイストレーニングしなさいよ!それでも女なの? 美意識の無い女が増えて嫌になるわ。
あなたもそこに含まれているのよ冴えないちゃん。」

ジェシー&宮部:
「「ちょっと簀巻きに……。」」

栗山:
「二人とも落ち着いてください、何事も穏便に……。」

沢村:
「そこの中間管理職も、可愛くないなりにメイクしなさいよ。」

栗山:
「ちょっと銃弾一発……。」

ジェシー伍長:
「殺人は止めて、ちょっと穏便に……。」

中を取り出そうとした栗山を、なだめられていた伍長と宮部で逆に栗山をなだめる。


沢村:
「……あら?冴えない顔の男がいると思ったら、誰かと思えばたー君じゃない。久しぶり〜。」

沢村が懐かしげに山田に話しかける。全員が山田に視線を注ぐ。当の本人は引きつった笑顔で手を振る。


山田:
「………ひ、久しぶり……。 あ、相変わらず……げ、元気そうだ……な?」

落合:
「え?え?山田さん知り合いなんですか?」

山田:
「……え〜あ〜……そうといえばそう……。 違うと言えば、違うとも言えない………。」

落合:
「どういうことだってばよ?」

宮部:
「……お、お二人はどういうご関係ですか?」

何とも煮え切らない山田の姿を見て、不安そうに訪ねた宮部。
沢村は山田の元に歩み寄り、腕に手を回して一言。


沢村:
「元カレなの。」

宮部&落合:
「「……………。……ぇぇえええーーーー!!!!」」

絶句した後驚きの声を上げた。その声は清閑な森林でこだました。

1ヶ月前 No.19

MK マッチー @11777 ★i04XIsqV4q_VXf

山田:
「……そんなに驚きますか。」

落合:
「だってだって、クソ鈍感で恋愛したことなさそうだし、何よりイケメンとは程遠い冴えない顔の男だから、てっきり付き合った事無いのかと思って……。」

山田:
「失礼だなオイ。」

沢村:
「確かに冴えない顔だし、私を満足してくれる男じゃなかったわね。」

山田:
「どんだけ冴えない言うんだよ、そろそろ泣くよ?」

沢村:
「まぁでも面白いっていうのは確かね、それなりに有意義な時間だったわ。」

宮部:
「それについては同感です。太郎さんの面白さでどれだけ救われたか。」

宮部も山田に歩み寄り腕に手を回す。


沢村:
「あらそうなの?冴えない顔同士通じ合う物があるのかしら? どっちにしろあなたより私の方が、面白さを知ってるんだけどね。」

宮部が山田の腕に手を回したのが気に入らなかったのか、沢村はさらに山田に体を密着させる。
沢村と宮部との山田の取り合いに鳴ろうとした瞬間、大佐が口を挟んだ。


三木大佐:
「そんなくだらんことはどうでもいい! そんなことより伍長、あんたの上官は何処だ?」

沢村:
「くだらなくないし、どうでもよくないわよ!」

三木大佐:
「黙れ!!」

歯向かって来た沢村を一言で一喝。叱られた沢村は肩をすぼめて収縮する。
叱られた事が無いのか彼女は、軽くカールの掛かった茶色い髪先をいじり、小さい声でブツブツ言い出す。
見るに見かねた山田が沢村の方に手を置いて慰めたが、それを見た宮部が不快そうな顔で山田を睨む。

1ヶ月前 No.20

MK マッチー @11777 ★i04XIsqV4q_VXf

「撃退したものの敵が襲って来たんだ、こんな騒ぎになっても上官らしき人が見当たらない。一体何処にいるんだ?」

ジェシー伍長:
「ですから今は席を外していると……。」

三木大佐:
「それは聞いた! 何処で何をしているのかと聞いているんだ! 説明を乞おうか。」

ジェシー伍長:
「………あなた方が何故傷を負いながらここに来たのか、原因と理由を調べる為に部下を数人引き連れ、男性用軍キャンプの方へ向かいました。」

山田:
「駄目だ!!」

山田は叫んで、切羽詰まった表情で伍長に詰寄る。詰寄られた伍長は引きつった顔で後ずさる。


「今すぐに上司を呼び戻してください! あそこへ行っちゃ駄目だ!!」

宮部:
「た、太郎さん?ど、どうしたんですか?」

青ざめた顔で叫ぶ山田を見て、宮部はただオロオロしながら聞く。
落合が同じく青ざめた表情で山田の変わりに答える。


落合:
「ぼ、僕達あそこで襲われたんですよ。三日前街を襲った化け物に。ここも同じ様な状況だと思って、襲われながら来たんですよ。」

栗山:
「どうしてもっと早く言ってくれないんですか?! そんな切迫した状況なら、無駄話なんてしませんよ!」

沢村:
「む、無駄話………。」

栗山:
「ジェシーさん!早く連絡を……。」

その時だったどこからか無線の応答を願う声が聞こえた。慌てて伍長がウェストポーチから無線を取り出す。


ジェシー伍長:
「もしもし姉子(あねこ)さん!? 無事ですか?大丈夫ですか?」

無線(姉子):
『……ああジェシーかい? 無事を聞いてくるって事は、………そっちも何かあったのか?』

話声に混ざって時折雑音が入る。


ジェシー伍長:
「いいえ、何とか納めました。怪我人もいません。」

無線(姉子):
『そうかい、優秀だ。………ゴホッゴホ、あんたに任せた甲斐があるよ………。』

ジェシー伍長:
「それでそっちは大丈夫なんですよね?」

無線(姉子):
『……いいや全滅だよ。軍キャンプは壊滅だ。生存者は……ゲホゲホ、一人もいない。』

「まじかよ」と落合が呟いた。その言葉に誰も反応する事は無く、全員無線に集中していた。一言言った落合も気にする事も無く集中している。


ジェシー伍長:
「そうですか、残念です。……姉子さん達は無事ですか?」

無線(姉子):
『………ザザザ全滅と言えば………こっち……とっさにザザザ………。』

雑音がさらに大きく酷くなる。声がかき消される程の。


ジェシー伍長:
「え?何ですか?雑音で良く聞こえません、姉子さんもしもし!!」

無線(姉子):
『……すまない、守りきれなかった………。私だけになってしまった……。力不足……ぅぅあゴホッゴホ!!』

雑音が邪魔をしているが彼女の声がはっきりと聞こえ、意識もちゃんとしているようにも聞こえる。
しかし息も絶え絶えで、何者かから逃げ延び、ようやく連絡して来ている印象だ。
そして時折咳き込む音は普通じゃない。嘔吐の様な感じ、吐血なのだろうか?

1ヶ月前 No.21

MK マッチー @11777 ★i04XIsqV4q_VXf

ジェシー伍長:
「……あ、姉子さん怪我してるんですか?! 向かいにいきます!今どの辺りに……。 」

無線(姉子):
『来るな!! 来ちゃ駄目だ……。 その場はあんたに任せたんだよ? ……代理の代理何て立てるわけにはいかない。……それに私はもう、手遅れだ……。』

栗山:
「そんな……。そんな事言わないでくださいよ! あなたなら乗り切れる筈です!」

無線(姉子):
『……買いかぶり過ぎだよジェシー、………私にも限界って奴が、……来たんだよ………。』

伍長と栗山の声を判別していない程、重傷だという状態が分かった。山田達その場にいる全員が、最悪な結果を想像している。


ジェシー伍長:
「………姉子さん、私これからどうしたら……。」

無線(姉子):
『……私が戻らない覚悟を決めろ。私のいない………部隊を、あんたが………指揮するんだ。………大丈夫、あんたならできる………。』

ジェシー伍長:
「姉子さん……。」

無線(姉子):
『………無線のバッテリー、切れる……。……会話、ここまでだ。ザザザザ……最後に…………鹿に気をつけろ……。』

ジェシー伍長:
「姉子さん!姉子さん!!……いやぁ……。」

縋り付くように無線を握り締める。通信を負えた無線からは何も反応はしない。
地面に尻餅をついて座っている伍長に、栗山が両肩を抱く。それを見下ろしていた大佐が口を開く。


三木大佐:
「……鹿って言ったのか? どういう意味だ?暗号か何かか?」

栗山:
「いえ、我々にそのような暗号はありません。どういう意味かまったく……。」

沢村:
「カタツムリの唾で美容が出来るように、鹿の唾とかで美しくなれるんじゃ無いかしら?」

山田:
「ちょっと黙ろうか。」

山田のビシッと言い放った一言に沢村は、頬を膨らせ睨みつける。しかし彼は気にせず考えを巡らせる。


落合:
「……あの、鹿ってもしかしてあの鹿の事なんじゃ………?」

そう言って落合は指を指した。全員が落合が指を指す方向を振り向いた。
数メートル先のそびえ立つ小高い崖の上に、こちらを見下ろす一匹の鹿が佇んでいた。  ___2完___

1ヶ月前 No.22

MK マッチー @11777 ★i04XIsqV4q_VXf

___誰かの詩__


Who killed Cock Robin?
I, said the Sparrow,
with my bow and arrow,
I killed Cock Robin.


誰が殺した 駒鳥の雄を
それは私よ スズメがそう言った
私の弓で 私の矢羽で
私が殺した 駒鳥の雄を      ___「駒鳥のお葬式」クックロビン___

30日前 No.23

MK マッチー @11777 ★i04XIsqV4q_VXf

第3話

崖の上で佇み山田達を見下ろす鹿の目は完全に冷めていてた。まるで人間達を見下すかのように。


鹿?:「ヴォー、ヴォー、ヴォー!」


そうかと思えば鹿は空を仰ぎ見、月に向かって鳴き声を発し森林中にこだました。


落合:
「……何だあの鹿。」

宮部:
「一体、何をしてるんでしょう?」

沢村:
「発情期なんじゃない? 近くにメスがいるとか。」

山田:
「いやそれはないな、鹿の発情期は7月から11月頃までの秋だ。今は春、ありえない。」

沢村:
「あんたのそういう知識をひけらかす所、面倒くさくて嫌いだったわ。」

宮部:
「博識でカッコいいじゃないですか。」

ジェシー伍長:
「……発情期じゃないとしたら、一体………。」

宮部と沢村が面と向かってケンカしようとした瞬間、伍長が疑問を口にして割って入る。
二人はケンカの興が削がれ睨み合うだけに留まる。


三木大佐:
「……まさか、仲間を呼んでいる?」

30日前 No.24

MK マッチー @11777 ★i04XIsqV4q_VXf

その言葉を口にした大佐に全員の視線が向けられる。一瞬の沈黙後誰かがその重い沈黙を、やぶろうと口を開きかけたその時。
周囲の草木から物音がして振り返る。そこには数匹のケルベロスが、唸りを発しながら森林から現れた。
それだけでなく四方八方からマンティス、マーシャール・ベアー、ライオンくらいの大きさで太い尻尾のある獣、一つの体に二つの頭が生えたオオカミ等の
怪物達が群れを為して山田達を取り囲んだ。囲まれた軍キャンプの人達は一カ所に集まり全員で背中合わせになり、武器を持ち怪物達に狙いを定める。


落合:
「ちょっと大佐! あんたが縁起でもないことを言うからこうなったじゃないですか!? 」

三木大佐:
「俺の所為じゃないだろ。」

宮部:
「で、でもこれってまずいんじゃないんですか? も、森中の動物達が集まってませんか?」

栗山:
「まるで私達を敵と見なして今にも襲いかかりそうな雰囲気です……。」

ジェシー伍長:
「今まで私達人間が動物達に対して行った事による報い、なんでしょうか………?」

三木大佐:
「……それじゃあ何か? これは人間達への動物の下克上だとでも?」

落合:
「それなんて革命?」

沢村:
「ねぇたー君!何とかしてよ、私動物が嫌いなの知ってるでしょ。」

山田:
「武器の無い俺に言われても、ただの無茶ぶりだよ。」

沢村に縋るように体を揺さぶられる山田はうんざりした顔で表情が曇る。一瞬崖の上にいる鹿と目が合った気がして鹿の方に顔を向ける。

30日前 No.25

MK マッチー @11777 ★i04XIsqV4q_VXf

この鹿がこの怒り狂う唸りを上げる獣達を、呼び寄せたのは間違いない。この森のボスに値しているのかもしれない、警戒を解けてはならない。。
しかし何故か獣達は立ち止まったままで動く気配がない。それを不思議に思った山田が口を開く。


「………いつでも襲える状況なのに、どうして来ないんでしょう?」

三木大佐:
「……何かを待っている?」

落合:
「だから!不吉なことを言わないでって……。」

その時だった、地面が揺れた。
そんな気がしたと思った次の瞬間、背中合わせをしている群衆のど真ん中から、地鳴り起こしながら地面の中から巨大な大蛇が現れる。
傍にいた人達は次々となし崩しに倒れていき、その場の体勢が崩れた。
地面から生えた大蛇は胴体から頭に掛けて、5メートルもあろうかという巨大さだった。まだ残りの埋まっている体を合わせるとどれぐらいになるのか?
その大蛇は混乱する人間達を見下ろし、大きく口を開け牙を晒した。


イーヴィルワーム:「シャシャーーー!!」

30日前 No.26

MK マッチー @11777 ★i04XIsqV4q_VXf

鹿?:「ヴォーーー!!」

大蛇の出現が合図かのように崖の上にいる鹿が吼えた。それは出撃開始を告げる古代のラッパのよう。
その場から一歩も動かなかった怪物達が一斉に動き出し、四方八方から人間達を襲い始める。


女性兵士:「いやーいやー!」

女性兵士2:「嫌だー!まだ死にたくな……。」

女性兵士3:「助け、誰か……。」

ライオンくらいの大きさで太い尻尾のある獣、オルトロスが次々と近くにいた標的に狙いを定め、頭を噛み砕いていく。
一つの体に二つの頭が生えたオオカミ、フェンリルは巨大な四肢の鉤爪で、女性兵達を引き裂いていく。
イーヴィルワームは近くにいた女性達を次々と丸ごと飲み込み、マンティスは素早い動きであっという間に10人の首を落とした。


ジェシー伍長:
「た、体勢を整えて!反撃を、開始……初めて!」

次々と死んで逝く仲間達を見て悲しみを押し殺した様な声で、目に涙を溜め若干パニックを抑えながら、兵士としての命令を発する。
宮部も悲痛な声を上げながら冷たくなった手から、ショットガンを取り上げ、向かって来るフェンリルとオルトロス達を撃ち殺していく。
銃声や爆発音が聞こえ始めたが、それよりも女性達の悲鳴や断末魔の方が遥かに多かった。


沢村:
「たーくん!こっちに来たーー!!」

山田:
「……すいません、借ります!」

血塗れで瀕死の女性に近づき握っていたライフルを取り上げ、女性達を潰しながら自分達に向かって来たマーシャール・ベアーに銃口を向け、引き金を絞り続けた。
体中に穴が空いたマーシャール・ベアーは体を痙攣させ地面に倒れた。血反吐を吐いた後息絶える。


沢村:
「たーくんすごい!あんたなら出来るって信じてたわ!」

腰が抜け女の子座りをしていた沢村が、山田の腰にしがみ付いて喜びの歓喜を上げる。

24日前 No.27

MK マッチー @11777 ★i04XIsqV4q_VXf

直後背後から物音がして山田が振り向いた。フェンリルが瀕死だった女性を貪り食っていた。もう一体の頭と目が合う。


山田:
「よせ!やめろーー!!」

フェンリル:「きゃうん!」

ライフルの弾丸を何発もフェンリルに撃ち込む。子犬の様な泣き声を発したかと思えばフェンリルは、前脚を空に上げた情けない格好で果てる。
山田は無惨な遺体となった女性に視線を戻した。息絶えた女性を数秒沈痛な面持ちで見た後、女性達を襲っている怪物達に向け連射する。
連射出来る様な武器ではないため、一発一発必死に引き金に指を掛け続ける。


山田:
「うわぁあああーーー!!!」

次々と怪物達を殺し、ありったけの銃弾を撃った結果ライフルの弾が無くなり、ライフルが空になる。
地面に倒れても尚生きている瀕死のオルトロスを、空になったライフルの銃床で頭を潰す。何度も腕を振りオルトロスの頭を潰し続ける。

24日前 No.28

MK マッチー @11777 ★i04XIsqV4q_VXf

その行為を栗山は悲しそうな表情で山田を見つめた。そのよそ見をした一瞬の隙を付き栗山にケルベロスが伸し掛った。
ケルベロスは栗山に唸り声を聞かせた後、口を大きく開け顔面を噛み砕こうとした。だが伍長にそれを阻まれた。
サブマシンガンによって蜂の巣にされたケルベロスの亡骸を、押しのけながら栗山がやっとの想いで立ち上がり伍長に感謝を伝える。そんな伍長に大佐が近づく。


三木大佐:
「伍長!俺の手錠を外せ。」

ジェシー伍長:
「何をこんな時に!」

三木大佐:
「こんな時だからだ! このままじゃ皆殺しだぞ!? 俺も戦力になれる、何もせずに大佐になった訳じゃない!」

悩んでいる暇はないとさらに付け足し伍長を煽った。少し戸惑った伍長だがポケットから手錠の鍵を取り出し、大佐の手錠を外していく。
それを見た落合が二人に近づく。


落合:
「僕も!僕も僕も!手錠を外して……。ぎゃああ!!」

落合の目の前にマンティスが威嚇しながら降り立った。大きく鎌を上げ振り下ろした。運良く手錠の繋がれている部分を切った。
両手が自由になった事を喜んだが、マンティスから連撃を受ける。


ジェシー伍長:
「ヤマタノオロチさん、今助け……うっ!」

目の前にオルトロスが立ち塞がった。だが大佐は伍長のサブマシンガを奪い取り、躊躇無くオルトロスに弾丸をぶち込んだ。


落合:
「いーやーだー!こっち来ないでぇええーーー!!」

マンティス:「キシェエエーー!」

両手の鎌を交互左右に振り回しながら逃げる落合の後を追いかける。
足をもたつかせながら落合は泣きそうな顔で近くのテントに、スライディングしながら入っていった。
マンティスもテントに入っていき、瞬時にそのテントはボロボロになっていく。その直後マンティスが弧を描きながら吹っ飛んで来た。
ボロボロのテントからショットガンを持った落合が出て来る。


落合:
「よっしゃオラー!!落合様の完全復活だ!昆虫如きが調子乗んなよ!!」

落合に再び襲いかかろうと体勢を整えようとしたマンティスに、落合はショットガンの弾をありったけ撃ち込んだ。

24日前 No.29

MK マッチー @11777 ★i04XIsqV4q_VXf

大佐は次々と怪物達を撃ち殺していく。
迫って来る獣だけでなく、女性兵達を貪り食っている最中の獣達も標的から外れなかった。
怪物達を処理している片手間で、瀕死の女性兵達を撃ち殺す。その目には戸惑いなど微塵もない。
すると大佐はふと立ち止まり自らが射殺した遺体に、コルトパイソンが握られているのに気付き、遺体の手からそれを抜き取った。


三木大佐:
「……ふむ、やはり俺のか。武器は手になじんだ物の方が良い……。」

自分の銃を見つめるそんな大佐に、伍長が鬼の様な形相で詰寄り、大佐の胸ぐらを掴み睨め上げる。


ジェシー伍長:
「……あなたは何を……っ! 一体何をしているんですかッ!! まだ生きている人達を殺す何て! よくもそんな残酷な事をッ!!」

三木大佐:
「残酷?何を言っている? 見ただろう彼女達の状態を、話すのがやっと息を吸うのも苦しむ。そんな状態で生き長らえたとして何になる?」

ジェシー伍長:
「それでも生きてるんです! 助かる命を、助けられる命を奪う権利何て誰にも無いんですよ!!」

三木大佐:
「それは貴様のエゴだ伍長。苦しみ悶える様が生きていると言えるのか? 更なる苦痛を与え続けて生かす事こそが、残酷だと思うがね。」

ジェシー伍長:
「……そ、それは………。」

胸ぐらを掴んでいた手を離し後ずさる伍長に、大佐は冷めた目で見下ろし詰寄る。


三木大佐:
「伍長、今の貴様に必要なのは覚悟だ。上司に言われた筈だ、戻らない覚悟を決めろと。なら、部下を失う覚悟も決めろ。」

ジェシー伍長:
「そ、んなの………。」

三木大佐:
「我々は兵士だ。兵士は所詮消耗品に過ぎない。失う命にいちいち振り返っていたら、隣りの命まで失う。振り返っても失ったものは取り戻せない。
ないものはないんだ。振り返っている間にさらに多くのものを失うぞ。振り返らない覚悟を持て、覚悟無き者に部隊を指揮出ると思うな。」

伍長はこれ以上言葉が出なかった。至極真っ当な正論で返す言葉が見当たらないと、いう表現が正しいか。
苦虫を噛み潰した様な悲痛な表情で、伍長は只々押し黙るしかなかった。怪物達を迎撃する大佐を睨み、両手を強く握り締めながら。

14日前 No.30

MK マッチー @11777 ★i04XIsqV4q_VXf

沢村:
「たーくん、もう手遅れだって。探さなくていいって!」

山田:
「いいから!出血してる部分を強く抑えてろ!」

マンティスによって肩から胸にかけて掻っ切られ、息も絶え絶えの血塗れの女性兵。
そんな女性に近くに落ちていた布を傷口に当て、「血で汚れたくないんだけど……」とブツブツ言う沢村を残して、山田は救護用具を探しに医療用テントへ走る。
医療用テントに到着しようとした瞬間、血で足を取られ滑って前のめりに倒れた。顔を上げた山田の目の前に何かが落ちているのに気がつき、それを拾う。


《誰かの手記:
1ページ目
あの方からの話によれば、黒田総一郎は見限られたようだ。
必要なのは彼の力つまり寄生虫であって彼自身ではないということだ。
例の計画に彼は不要、寄生虫だけ奪取せよとのお達しが来た。新たな任務を遂行するとしよう。

2ページ目
KS社に潜り込ませた同志から連絡が入りノーミン奪取に成功したとの事。
こちらもグズグズはしてられない。この街の状況は芳しくなく事態は一刻を争う。
早く例の細胞の奪取をせねば・・・

3ページ目
全てのミッションをこなしてそこで初めて任務遂行と言える。
だからこんな所で足止めを食っている時間はないのだ。
早くあの方にコレを届けねばならないというのに・・・》

医療用テントの傍に落ちていた手記を呼んでいると、背中に衝撃が走った。慌てて振り返った山田の目に映ったのは、顔を青白くさせた沢村だった。


山田:
「……何で来た、抑えておけって言った筈だ。」

沢村:
「死んだの!そんなことより来た、来た!!」

沢村は慌てて後ろを指差した。沢村の頭越しに山田は顔を出した。見えた光景は二匹のフェンリルと一匹のマーシャール・ベアーが吼えながら迫って来る光景だった。

14日前 No.31

MK マッチー @11777 ★i04XIsqV4q_VXf

山田:
「クソッ……!」

迫り来る脅威を目にした山田は落ちているショットガンを拾い、沢村の手を掴み強引に、医療用テントの中へ引っ張りながら入っていった。
山田達を追いかけるようにマーシャール・ベアーが入って来た。入って来た瞬間山田は支柱を撃ち、テントを崩壊させる。
崩壊寸前に山田達は脱出したが、マーシャール・ベアーはテント布が絡み身動きが取れない。
その間に走ろうとした二人に、テントを飛び越えたフェンリルが目の前に着地した。


フェンリル:「ガァアア!!」

吼えたフェンリルの一体の頭にショットガンを食らわせる。体が仰け反り倒れた、かと思うとおもむろに再び立ち上がった。
無傷だったもう一体の頭が山田を睨み、大きく口を開けて襲いかかる。
山田は沢村の肩を押し、自分の身も翻した。すんでの所で教われずに済む。地面に倒れながら山田は着地したフェンリルに数発撃った。
蜂の巣になり痙攣し死亡したフェンリルを見て、山田ホッと胸を撫で下ろす。束の間もう一匹のフェンリルが口を開け山田に襲いかかる。


山田:
「うぉおおわああーー!」

沢村:
「た、たーくん!」

必死で両足を開きフェンリルの口の間に入れ、かまれないように必死に抗う。股の間にショットガンを伸ばし、フェンリルの口にありったけの銃弾を食らわせる。
前脚を上にして地面に倒れたフェンリルに、そのままショットガンを連射する。フェンリルはそのまま動かなくなった。

7日前 No.32

MK マッチー @11777 ★i04XIsqV4q_VXf

山田:
「ど、どうだ! 男は狼ってことだ、まいったか!」

肩で息をしながらやっとの思いで立ち上がる。


沢村:
「使い方おかしくない?」

山田:
「いいんだよ、乱暴になるのには変わらないんだから。」

沢村:
「私の前では一度も狼になった事無いくせに。」

山田:
「俺は理性的だからねしようがないね。……ん?」

話ている最中に気がついた。フェンリルの体に血を満たした注射器が刺さっている事に。山田は近づきそれを掴もうと手を伸ばした。
しかし目を疑う光景が展開された。注射器がひとりでに宙を舞ったかと思えば、空中を旋回し薄暗い森の中へと消えた。まるで見えない糸に引っ張られるかのように。
山田と沢村は唖然とした表情で視線を交わし合った。今目の前で一体何が起こったのか理解が追い付かない。
しかし後ろから聞こえて来た咆哮で、二人は現実に引き戻される。絡まったテントを引き千切りながら、マーシャール・ベアーが二人に向かって来る。
即座に山田は引き金を引いたが、銃口からは何も出ず引き金の音が虚しく響いた。ショットガンの弾が尽きたのだ。


マーシャール・ベアー:「グォオオーー!」

山田&沢村:
「「あああああーーーー!!」」

迫ってくるマーシャール・ベアーに対して、対抗する手段が無くなった二人は、恐怖と絶望の顔で抱き合い叫んだ。
マーシャール・ベアーが二人を引き裂こうと腕を上げたその瞬間、銃声が数発轟いた。数秒の沈黙の後、口から大量に吐血し倒れたマーシャール・ベアーは事切れる。
二人は顔を上げ視線を戻すと、そこにいたのはマグナムを両手に持った宮部だった。


宮部:
「デートのお邪魔をしましたか?」

7日前 No.33

MK マッチー @11777 ★i04XIsqV4q_VXf


サブマシンガンで躊躇無く怪物達を撃ち殺していく大佐をよそに、伍長は悲痛な表情で怪物達をサブマシンガンで殺していく。
怪物達を殺しても殺された仲間達は戻ってくる訳は無く、救われる訳でもない。この行為は弔い合戦にしかなら無い事を心のどこかで分かっていた。
それでも伍長は胸が締め付けられる思いを抱きながらも、銃を握り撃ち続けた。
そんな彼女の後ろからケルベロスが三体近寄る。それに気がついた伍長が振り返りながら乱射した。


ジェシー伍長:
「近づかないで!」

しかしケルベロスに銃弾が当たる事は無く、うまく避けられ銃弾を地面に数個の穴を穿つ。避けたケルベロスに再び銃口を向け引き金を引いた。
しかし銃口から銃弾が発射される事は無くサブマシンガンが空になる。成す術の無くなった伍長は引きつった顔で後ずさる。
一匹のケルベロスがジャンプし、彼女に襲いかかった。
身を恐ばらせ目を閉める。だが数秒待っても襲われる事は無く、目を瞑った彼女が目を開けると、テントポールでケルベロスを串刺しにした落合の姿があった。


落合:
「この人に手を出すな。」


そう言って落合はてきぱきとした動作で、次々とケルベロスを撃ち殺していく。

「ジェシーさん、大丈夫ですか? どこか怪我は?」

ジェシー伍長:
「ど、どうして……。」

身を挺してまで助けたのか、その疑問を口にする前に顔に出た。理解出来ないという表情をした伍長を、落合は微笑んで口を開いた。


落合:
「言ったじゃないですか、僕はあなたを守る為の力になりたいって。」

ジェシー伍長:
「落合、さん………。」

これ以上言葉を発する事は無く二人は見つめ合う。


栗山:
「二人だけの世界に浸ってるとこ悪いんですけど、こっちも手伝ってもらえます?!」

怪物達を撃ちながら肩越しで叫ぶ。


落合:
「どうやら周りはまだ僕達を、ほうっておいてはくれないようですね。」

ジェシー伍長:
「……そのようですね、まずは終わらせましょう。男性に守られてばかりでは何なので、後ろをお願いします。死なないでくださいね?」

落合:
「もちろんですよ、生き抜きましょう。」


背中合わせになり、伍長はライフルを掴み、怪物達に銃口を向ける。

7日前 No.34
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