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喰らう人

 ( 小説投稿城 )
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★tuk3624yQ7_mgE

俺は、動物園が好きだ――――



天月楽左(あまつきらくさ) 16歳

特に言うことはない。そこら辺にいくらでもいそうな平凡な顔立ち(ちょっとはイケメンかな(笑))、特技は何もなく、動物園が好きだってことぐらいかな。
それと、食べれないものが無い。

ネットで調べて出てくるような架空の化け物なんかじゃない。
実在するしほぼ人間だ。違う所を挙げると、
・食べれないものが無い。
・排便排尿は一切しない。
・運動神経が優れている。
・感覚が少しズレている。
ぐらいだろうか。俺と同じような奴と会った事は母親とその友達の2人だけだから必ずとも限らないし、他にもあるかもしれない。

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★tuk3624yQ7_mgE

人より気楽だった。その分退屈な日々でもあって、いろいろなことをしていた。
まだ食べたことのない物を食べたり、自分の運動能力を試したり。それでもやっぱり満足感は得られなかった。
感覚がズレているから、というのも原因の一つ。
ネット、工作、勉強、その他思いつく物を一度は試したが、何が楽しいのか少しも分かりはしない。
運動なら好きだ。ただ、人並み以上の運動能力を持っているので、適度に合わせなければいけない。つまらなすぎる。
求めているスリルのレベルが高いのだ。

8ヶ月前 No.1

★tuk3624yQ7_mgE

誰も知らないはず。なのに、女はこう言ってきたんだ。
「弱者しかいない世界は、退屈でしょう?」


初めは無視をした。けど、女はしつこく俺につきまとって、意味深な発言をする。
「平等に遊べる、同種が欲しいんじゃない?」
こいつは俺の正体に気付いてる。どこでそんな情報を手に入れたのだろう。
目的は?人体実験?
ただの人間に捕まるわけもないので、話だけは聞くことにした。
「あんたら誰?何の用?」
「私は戸張ミカ、よろしく。やっと口を利いてくれたわね」
「・・・で?」
「仲間がいたら、って考えたことない?」
「・・・・・」
「隠さなくても、最初から気付いてるわよ。人じゃないって」
「ほぼ人だけどな。それで何の用だ」
女は可愛く笑った。全く嫌味を感じさせない。
「少しは察しがつくでしょ?」

8ヶ月前 No.2

★tuk3624yQ7_mgE

不信感を抱きつつ、少しだけ期待もしていた。
この女・戸張ミカによって何かが変わるかもしれない。俺にとって、スリルのある世界に。
「知らない人にはついて行かない」とは習ったが、俺は戸張の車に乗った。
仮に何かされても、ただの人間に負けるわけがないからだ。

到着したのは、住宅街にちょこん、と建っている小さな家。
俺は荒地に建っている大きな実験施設、というのを想像していたのだが、住宅街に並ぶ一般の家より小さい家じゃないか。
中に入ってもオシャレで可愛らしい、バタークッキーの香りが漂っている。
まるでおとぎ話に出てくるメルヘンなお菓子の家。
「ここは一体?」
「私の家よ。どう、可愛いでしょ」
確かに、戸張の家らしいな。だが、なぜお前の家に来なくてはいけないのだ?
問う前に答えは察した。
タンスの中に隠し扉。開ければ機械チックな通路が。
木材ばかりの家とは全く違う雰囲気で、いかにも未来的な実験施設だ。
「地下室か」
「ピンポーン」
もう一つの扉に向かって真っ直ぐ歩く。なかなか大きな扉。
指紋、暗証番号で開くのか。戸張はスムーズに暗証番号を打ち込む。
開いた扉からは、地下への階段。
この時点でなんだか、良くない空気がした。ドロリとしたような。

7ヶ月前 No.3

★tuk3624yQ7_mgE

「私はこれでも、立派な研究者でね。そこらの大学生とは比べられちゃ困るよ」
実験すらしているとは思えない、ただ広いだけの空間。なぜか重々しい空気だが。
資料や薬品等が置いてあるステーションから、資料を次々に見せられれば、確かに近未来的な実験ばかりをしている様だ。
「今回行う実験は、ある薬品とあなたの血液を混ぜるだけの簡単な実験。簡単に出来るよう、私が薬品を作ったのよ?しかも一週間で」
自慢話など興味がない。凄腕の研究者なのは確かだが、本当に成功するんだろうか。

6ヶ月前 No.4

★tuk3624yQ7_mgE

戸張は、シャーレ(ペトリ皿)に半透明の液体を少量入れて持ってきた。
それを床に置くと、先ほど俺から採った血液をスポイトで一滴だけ、落とした。
「いい?よぉく見ておきなさいよ。これからあなたのクローン第一号が誕生するんだから」
言ってる間にも、シャーレの中の液体は混ざり合い、赤黒くウネウネと動いている。
量は次第に増え、シャーレを破壊した。あっという間に人のサイズに膨れ上がり、人の形となる。
「う、わ…なんだこれ…」
「はあぁっ、すごいわ!あなたとソックリ…!」
あの少量の液体と血が混ざっただけ。ただそれだけ。なのに、こんな生物が生まれるというのか?
本物の人間にしか見えない。しかも俺と瓜二つ。
「まま、とりあえずお洋服を…」
かなり興奮している様子の戸張は、奴の後ろからそっと白衣を着せようとした。その時、俯いてピクリともしなかった奴が、顔を上げ目を開いた。
白衣を叩き捨て、俺に一歩、また一歩と近づく。
・・・全裸で。
俺に危害を加えようとでもしているのか。
身構えていたが、2、3歩前で止まり、ニヒルな笑みを浮かべた。
「一号、ちょっと良いかしら。別の部屋に来て頂戴。彼との挨拶はまた今度ね」
真面目な顔になった戸張は奴に手枷をつけ、別の部屋に連れて行った。
抵抗する様子はない。
何だか不気味な奴だ。あの笑みに少しばかりか恐怖を覚えたものの、なんだかこれからが楽しみだ。

5ヶ月前 No.5

★tuk3624yQ7_mgE

奴は初めてのクローンなので、まだ調べることがあるらしく、数日地下室で過ごさせるらしい。
「分かってると思うけど、一号が生まれからには今まで通りの生活は出来ないと思いなさい。二号や三号が現れるのもそう遠くない」
「楽しみだな」
「それは良かったわね。ところで、一号の名前はどうする?」
戸張はご満悦の猫のように微笑んだ。
「名前?」
「もちろん。あの子だって生き物なのよ。一号じゃ可哀想でしょ」
「……分からん」
名前なんて付けたことないし、ネーミングセンスが…
「ん〜、あなたが楽左だから…右…楽右…右楽…右楽なんてどう?」
「はい出た。兄弟とかの名前を似させる奴。本当に何なの?」
「じゃああなたが決めなさいよ」
「…右楽でいいよ」


一号:右楽(うらく)

4ヶ月前 No.6

★tuk3624yQ7_mgE

何も無いまま一週間が経とうとしている。
本当にこの退屈な世界から抜け出せるのだろうか。
あの女の実力は分かったが、何だか信用出来なくなってきた。
興味のない雑誌を眺めながらベッドの上で爪を噛む。
と、インターホンが鳴った。
届け物だろうか、全く警戒せずにドアを開ける。
瞬間、俺はベッド脇に蹴り飛ばされた。
最初は何が起こったのか分からなかった。
全身の強打による鈍い痛み。その数秒後、焼けるような痛みと、チリジリと一部だけに走る痛みが腹部を襲い、口から赤色の液体が飛び出る。
一体何事だ。
「あれれ?おかしいなー」
男の声が聞こえる。ゆっくりと近づいてくる足音も。
「こんなに弱いだなんて、聞いてないんだけど」
俺のそばにしゃがんだ男は、男は……        俺だった。

3ヶ月前 No.7

★tuk3624yQ7_mgE

俺と同じ顔した男は、俺の携帯電話を使い救急車を呼んだ。
苦しみつつも驚きを隠せない俺の顔を覗きこみ、余裕のある微笑を浮かべた。
「何か聞かれてもさ、「覚えてない」で済ませといてね。色々面倒だろうから。今度来たときは、ちゃんと身構えといて。またね」
一号。一号だ。余裕があって、ニヒルな笑みを浮かべる、俺と瓜二つの超人。
まさか、突然家にやって来るなんて、油断…して…


………俺は病院のベッドで目を覚ました。

3ヶ月前 No.8
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