Google
    
<< TOPページ 掲示板TOP 記事データ お知らせメール ▼レス(1) >>

千年京異聞録

 ( 小説投稿城 )
- アクセス(107) - ●メイン記事(1) / サブ記事 (1) - いいね!(6)

夕邑三日月 @mistydark☆NIljAHmRyhk ★R3lMq2ye0U_qxX

 アヤカシ――それは、人とは異なる理に生きるモノ。それは、気紛れに人の生活を脅かすモノ。それは、滅されなければならないモノ……そして、今を共に生きるもの。

 陰陽師――それは、人とは異なる理に生きるモノ。それは、意図的にアヤカシの存在を脅かすモノ。それは、屠らなければならないモノ……そして、何時の間にか隣に在ったもの。

 京都という古の都で、人ならざるモノと人に非ざるヒトの運命は、幾度となく交じり合った。互いに闘い、奪い、傷つき、守り。互いを癒し、憎み、愛し。
 世界を巻き込んだ戦乱もあった。たったふたりにだけ通じる誓いがあった。主従の絆と、仲間との夢と、忘れられない願いがあった。地獄の業火に焼かれる夜と、木漏れ日の穏やかな昼下がりがあった。

 これはそんな幾億の物語から零れ落ちた、ほんの小さな欠片たち。

【当スレッドはオリジナルなりきり「千年京とヘマトフィリア〜名無しのアヤカシ〜」(URL→  http://mb2.jp/_nro/13445.html  )の本編中で描き切れなかった物語を補完するための外伝集です。従って基本的な世界観や用語は上述のスレッドに準じます。また、基本的にはスレ主の叶こと夕邑三日月が自己満足の為に書き上げた作品を放り投げておく場となりますが、参加者様からの依頼があれば当スレッドを解放する、代理投稿を行うこともあるかもしれません。その時はよろしくお願い致します。最後になりますが、クリック・タップ有難うございました、拙い文章ではありますがどうぞゆっくり楽しんでいってください。】


メモ2017/01/04 01:36 : 夕邑三日月☆NIljAHmRyhk @mistydark★R3lMq2ye0U_qxX

 ひぃ、本編始まる前からいいねが……有難うございます!


【目次】

1雪影遺文(セツエイイブン) 暗雨編>>1 初雪編>>2 残雪編 翠影編 

切替: メイン記事(1) サブ記事 (1) ページ: 1


 
 

夕邑三日月 @mistydark☆NIljAHmRyhk ★R3lMq2ye0U_qxX

【雪影遺文】

―暗雨編―

 1853年、夏、京都。
 とうの昔に夜の帳が下りた街を、闇よりも濃い影が駆ける、翔ける。
 追われているのは、一人の男。辻斬りの被害にでも遭ったかのように、右の二の腕からは血を流しながら、必死の形相で人気のない路地を逃げていた。死に物狂いの男とは対照的に、追い掛ける影は呼吸一つ乱さず、ただ冷静に冷酷に塵芥でも見るような瞳で男を見詰めながら、足を前に進めていた。
 男は通りを走り続け、一条戻橋の辺りで力尽き、頽れる――否、遂に黒い影は彼を捕え、背後から迷うことなく、心の臓に脇差を突き立てた。その剣を引き抜き男から離れるまでの動作を一瞬でやってのけたがために、彼は勝手に倒れ込んだように見えたが……影の一丈ほど先で、男は事切れていた。
「……アヤカシなんぞに媚び諂うから、こんな目に遭うんだよ莫迦が」
 今度はゆっくりとした足取りで男に近づき、足蹴にして転がしながら顔を確認した影――黒い装束に仮面で顔を隠した青年は、既に唯の屍と化した相手に吐き捨てた。そうしてそのまま、橋の上から堀川に向かって死体を蹴り落とす。
 暗い水面に全てが飲み込まれる音は、闇の中に掻き消されていく。

 この世界には、アヤカシが居る。気紛れに人を襲い、人間を弄ぶ異形が居る。
 男は、数百年の時を越えて京の町を、ひいては日本をアヤカシから守護する陰陽師の一人だった。尤も、自分の命が惜しいが為に、以前の戦闘で敗北したアヤカシに仲間の情報を売っていたらしいのだが。
 男が内通していることを知った陰陽師の統括組織・陰陽寮の上層部は、青年に彼の処分を命じた。そうしてその仕事を、青年は完璧にこなして見せた。
 仕事を終え、仮面外して一息ついた青年――暗殺や密偵など、陰陽師でありながら対人間の仕事をこなす暗部の人間の頬を、小さな雫が濡らす。彼が空を見上げた瞬間、大きさも勢いも先程とは比べ物にならない水滴が、青年の顔に、体に、全身に向かって落ちてきた。
「……雨、か」
 丁度良い、と青年は口角を上げる。
 今夜の痕跡は、この雨が全て流してくれるだろう。橋の上の血痕を消す手間が省けた。
 そう結論を下した青年は、くるりと踵を返す。

 浦賀沖に現れたペリーが自国にもたらした混乱などどこ吹く風、ただただ国内の……自らの任務にのみ没頭する一人の男が、其処には居る。
 彼の名前は芦屋道影。陰陽師の御三家の一つ、芦屋家の頭首の息子の一人でありながら、頭首争いとは最も遠い所に居る存在だった。

14日前 No.1
切替: メイン記事(1) サブ記事 (1) ページ: 1

 
 
<< TOPページ 掲示板TOP 記事データ お知らせメール ▲ページ上 >>
★必ず ローカルルールメビウスリングのルール をご覧ください。
 ▼スタンプ▲スタンプ
※スタンプはいちどに 3個 まで使えます  ×閉じる
注…感想・コメントはこの記事ではなく、サブ記事に書き込んでください。(小説カテゴリでは必須です)