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魔界王国物語

 ( 小説投稿城 )
- アクセス(292) - ●メイン記事(33) / サブ記事 (7) - いいね!(4)

ヴラドゥレア @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

【序章】

万物の王であり果てしなき魔王は、
全てを創り、眠りけり

白き龍は『光』を、黒き龍は『影』を司りけり

光の者いる限り、世は影で満たされぬ
影の者いる限り、世は光で満たされぬ

光の者、独り寂しく、自らを恨みけり
影の者、独り苦悩し、自らを恨みけり

両者、冠に魔力を託し、旧き闇に敗れたり

メモ2017/04/06 18:07 : 闇月 @warabimoti★Android-xdCufVxL3h

 ※このお話は、私の妄想が爆発し、呪われた右腕の封印を解いた末路です。ありきたりなダークファンタジーです。

さらに、多くの宗教の伝承が混ざっているうえ、キャラの名前と私のハンドルネームが同じというカオスな事態。


それでも、コメントお願い致します。


【目次】(不定期更新します)


第一部 炎の章 >>1-25


第二部 氷の章 >>26

切替: メイン記事(33) サブ記事 (7) ページ: 1


 
 

ヴラドゥレア @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

【第1章 コレクション】

ーとある森の奥深く、一匹の雌狼がうっとりと自分のコレクション...数々の世界を回り手に入れた戦利品...を眺めていた。いや、狼と云うのは少し違う。
その背中には漆黒の翼が生え、瞳孔は血のように紅い。
さらに、普通の狼では考えられないほどの巨体に、三本の尾を持っていた。...狼に似た悪魔だ。
 つい先程も、ある国を丸々石にしたところだ。
雌狼は呟いた。
「...あいつはこの世界の何処かにいる。あたしにはわかる。待っていなさい。...エルドロイド」

゙旧き闇゙ヴラドゥレアはそう言って、鋭い牙を覗かせた。

3ヶ月前 No.1

ヴラドゥレア @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

【第2章 「その冠を守って」】

 突然やって来た平和の終わりを、人々は理解出来なかった。
かつて、魔界のオランシア王国は平和な国だった。
人々の笑い声、のどかな景色、美しい自然...
そんな、永遠に続くと思われた日々は、突如終わりを告げた。
現れた雌狼によって、王国は石に変わってしまったのだ。
石になる直前、女王は娘である王女ミアラに、王家に伝わる聖なる冠を預けこう言った。
「何があっても、その冠を守るのよ」と。

王女は恐ろしかったが、何とか立ち上がり、国の門を目指した。もう、オランシアにはいられない。早く逃げなければ、自分も石にされる...!

だが、門の前にはあの雌狼がいた。
王女は反射的に、冠を背に回して、雌狼を睨んだ。
ーこの狼は危険だー何かが、王女にそう告げていた。

雌狼はにっこりと笑った。
「お嬢ちゃん、いい子だから、その冠を私に頂戴?
それとも、貴女も石になりたい?...あたしの爪に貫かれたい?」
ヴラドゥレアの爪には毒が塗られていて、例え龍でも即死するほどだ。
だが王女は、雌狼を睨んだまま言った。
「絶対に渡さない!!」
そう言うと王女は雌狼の横をすり抜け、国の外の森へと逃げ込んだ。
女王からもらった冠を頭にのせて。

「...あら、追いかけっこ?楽しそうね」

後ろで、悪魔の聲(こえ)が聞こえた。

3ヶ月前 No.2

ヴラドゥレア @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

【第3章 少女と猫】

 森に入ると、王女は辺りを見回した。国を出たのは始めてだ。どこにいけばいいんだろう?
すると、一人の少女が声をかけてきた。
「こっちよ!」
王女は慌てて後を追い、二人は茂みに逃げ込んだ。
すぐ横の道を、ヴラドゥレアが歩いていく。
「王女ちゃ〜ん?どこにいるの〜?追いかけっこは終わりにしましょう?」
幸い、二人は風上にいたので、狼特有の嗅覚も効きにくい。ヴラドゥレアはしばらく辺りの風を嗅いでいたが、
やがて諦めたのか、姿を消した。

ヴラドゥレアが行ってしまうと、王女は礼を言った。
「どうもありがとう!私はミアラ」
エメラルド色の髪に、青い瞳の少女は答えた。
「私はアルド。あの雌狼の事は知っている?」
王女は首をふった。あんな恐ろしい悪魔は、始めて見た。
「あれは...」
アルドが口を開くと、黒い縞模様のある白猫が、草をかき分けやって来た。
「アルド〜、ヴラドゥレアは行ったよ〜」
猫の少年は王女を見るとホッとしたように笑った。
「よかった...無事だったんだ。僕はダイア。
精霊魔法が使えるんだ。よろしくね!」
「ミアラよ。ありがとう!」
挨拶をすませると、再びアルドが口を開いた。
「...あれは、ヴラドゥレアという名前の悪魔よ。
数々の国や生き物を石にしたり殺したりして、自分のコレクションにしているの。別名゙旧き闇゙」
「旧き闇...」
王女が繰り返す。
魔界の言葉で、『大いなる闇』を意味する言葉だ。
聞けば、アルドとダイアはヴラドゥレアの襲撃直後、
家族に逃がされて生き延びたという。

王女が冠の事を話すと、二人は驚いた。
「それ、凄い冠なんだね!」
「ヴラドゥレアもそれを狙ってるんでしょ?
絶対に守らなきゃ!」

「私とダイアも、一緒にいっていい?」
アルドが言うと王女は笑った。
一人では心細かったのだ。
「うん!!こちらこそよろしくね!」
魔界の運命は、三人の子供達に託された。

その様子を、一羽の魔鳥が見つめていたが、やがて飛び立ち、主のもとへ戻っていった。




3ヶ月前 No.3

ヴラドゥレア @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

【第4章 不死鳥の炎が踊る村】

 魔鳥は主のもとへ着くと、翼を畳んだ。
「三人の子供はいた。けれど、あの子達とは限らない」
主は閉じていた瞳を開けた。
「...いや、その者達だ...私には解る」

「...解るのだ」
そう繰り返すと、主は再び目を閉じた。
悪魔の印...蒼い血が流れ続けていた。

           †
 王女達は、一つの村に泊まる事にした。
その村は時折、空に真紅の炎が現れ、まるで生き物のように空を駆け巡る。
その炎が美しいと、魔界でも有名だ。
ダイアは、「それは炎の精霊か、魔物の仕業だと思うよ」と、言い炎の唄を歌っている。


凍える吹雪が吹いたとしても
炎は決して消えはしない
小さな火でも炎に成れる
熱の力を解き放て



3ヶ月前 No.4

ヴラドゥレア @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

【第5章 不老不死の呪い】

 「でも、あの子たちだっていう証拠もないし...」
魔鳥がいうと、主は紅い目を開けて、魔鳥を見た。
「ジェニパー、知っているだろう。私は、知りたくなくても知ってしまう。見たくなくても見えてしまう。
故に私は、自分の手で掴むことも、自分の目で見ることも出来ない。だからこうして生き永らえてしまった」

魔鳥...ジェニパーは俯いた。
不老不死の呪いを受けた主は、永劫に孤独の世界に閉じ込められている。
旧き闇に受けた不死の呪いは、簡単に解けるものではなかった。
「...だが、宝玉が全て集まれば...私と光の龍は...」
彼は呟き、部下に聞いた。
「デスストーム、その子らは今何処に?」
「炎が踊る村です」
デスストームという悪魔が答える。
「炎の宝玉を探すかもしれません」
「...確かに。だが炎の宝玉は炎の王が持ってこその宝。貴奴がそう簡単に渡すとは思えん」

「...フェニックスはどうするかな」

3ヶ月前 No.5

ヴラドゥレア @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

【第6章 気まぐれな魔王】

 王女達は、村人の話を聞いていた。
「あの炎は、この近くに君臨する炎の魔王.フェニックスの仕業さ」
「「「フェニックス?」」」
「ああ、フェニックスは気まぐれで、たまにああやって炎を操り、人々に見せているんだ」

「魔王っぽくないね」
ダイアが呟く。
「フェニックスは炎の宮殿に棲み、炎の宝玉を護っているんだ」
「...炎の宝玉?」
アルドが尋ねる。
ダイアが答えた。
「炎の精霊の力が宿った玉だよ。『失われし十の宝玉が揃いし刻、旧き闇の野望は打ち砕かれ、二柱の龍は解放される』という伝説がある」
すると、王女が声をあげた。
「じゃあ、国も元に戻るの!?」
「きっと戻るよ!」
「...ねえ、おじさん。炎の魔王は強い?」
アルドが尋ねた。
「そりゃ魔王だからな。かなりの力の持ち主だろう。
絶対に行くんじゃ...」
だが3人は走り出していた。
「...やれやれ」

3ヶ月前 No.6

ヴラドゥレア @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

【第7章 炎の魔王フェニックス】

 「大丈夫、炎の魔物はあまり攻撃的じゃないから。サラマンダーとかね」
「よ〜し、宝玉を集めて、ヴラドゥレアを倒そう!」
「ダイアもミアラも元気ね...」
宮殿に近づくにつれ、辺りの気温は上がっていた。
 ようやく宮殿に入ると、暑さはますますヒートアップした。
「「「暑すぎ...」」」
「そう?すっごくいいけどなぁ」
三人は驚いて振り返った。
そこには四メートルはあろう炎で出来た体を持つ、大きな鳥がいた。
ー炎の魔王フェニックスだ。
フェニックスは首を傾げ、子供達の方を見ている。
その首には、紅い宝玉が輝いていた。
「...あれが炎の宝玉だ」
ダイアが囁いた。
「宝玉が欲しいの?でもこれはあげれないなぁ...」
「お願い!魔界を救いたいの!」
王女は必死に頼んだ。フェニックスは溜め息をついた。
「...僕達の故郷も、ヴラドゥレアに滅ぼされた」
「...え?」
「僕らは、メルディオ王国という、とても美しく平和な国で、暮らしていた。でもある日、『彼女』は現れた」
「...ヴラドゥレア、ですね」
ダイアが後を継いだ。
「そう。ヴラドゥレアは全てを石に変え、仲間の一人に呪いをかけた。不老不死の呪いを。」
「......」
皆、何も言えない。
そんななか、アルドが進み出た。

3ヶ月前 No.7

ヴラドゥレア @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

アルドは、フェニックスの真紅の瞳を見つめて言った。
「私達の国も、貴方の国も、必ず取り戻す。約束する。だから、その宝玉を譲って欲しいの」
フェニックスは目を閉じ、ゆっくりと開けた。
誰もが固唾を飲んでフェニックスの言葉を待つ。
「...わかった」
「「「!!!」」」
「この宝玉をあげよう。君達なら、ヴラドゥレアに勝てるかもしれない...」
「ありがとう!!」
三人は大喜びだ。
フェニックスは鋭い嘴で、宝玉を通していた紐を噛みきると、アルドに渡した。
「どうもありがとう!フェニックス」
「僕の他に、魔王は九人いるはずだ。それぞれが宝玉を持っているから、全員まわって全部集まる。全て集まったら、『神の天空』に来て欲しい」
「...神の天空?」
「神の天空は、万物の王アザトースが世界を創った時に、一番最初に創造した聖地。『始まりの地』と呼ばれているんだ」
「始まりの地...」
「詳しくは、宝玉が集まったら説明するよ」
「うん、フェニックスありがとう!」
三人は礼を言って、炎の宮殿を後にした。

王女達が行ってしまうと、フェニックスは呟いた。

「永かった...遂に、この時が来た」

3ヶ月前 No.8

ヴラドゥレア @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

【断章 不老不死の罪】

 お前はお前の中の影に怯えて
自らを鎖に繋ぎ止めた
全てを忘れようとした
お前は何の為に生きていた?
それすら、今のお前にはわからない
不老不死の肉体と引き換えに魂を失った

ーオ前ノ名ハ...ー

 お前は我の贄と成る 永久に
必ず来る永別の刻を畏れるのは生きている証
お前には何が出来る?

信じる前から信じる事を畏れているお前に

...お前は生きている...

ー今、コノ刻ヲー

お前は心を失った
お前はお前を殺めた
旧き闇の力に抗えなかった

それは、お前の罪 お前の過ち

故にお前は我の贄

お前は永遠に孤独を彷徨う




死なない事こそ罪なのだから




故に......ーー





3ヶ月前 No.9

ヴラドゥレア @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

【第8章 魔鳥ジェニパーの話】

 炎の宮殿を出ると、赤紫色の鳥がいた。
「珍しい鳥だね」
アルドが言った。
「あれは魔鳥だね。身分の高い王族や貴族のみが飼える特別な鳥だよ」
ダイアが答えた。
目の前の魔鳥は、エメラルド色の首輪を着けていた。
誰かが飼っているのだろう。
(でも、一体誰が...)
すると、魔鳥が口を開いた!話せる魔鳥などそういない。
「僕はジェニパー。大魔王エルドロイドに仕える魔鳥なんだ!」
大魔王エルドロイド。竜王ヴールフィーツの決めた序列の中で、大魔王はかなり上位の存在だ。
「エルドロイド様の使い魔(ファミリエ)なの、ジェニパー!?」
王女は目を輝かせた。幼い頃会ってから、ずっと憧れている。
ジェニパーはえへん、と胸を張った。
「ふっふ〜ん。そうだよ!それでね、エルドロイドが
君達に会いたがってたから、会わせてあげたくって」
「でもどうして私達に?」
アルドが訪ねると、ジェニパーは羽をパタパタさせた。
「君達、宝玉を集めてるんでしょ?
エルドロイドは大魔王だから、色々と知ってると思う。
ヴラドゥレアを倒すためには、人間も魔族も協力しなきゃ!」
「もちろん、いいよ!」
三人は声を揃えた。
あのエルドロイドが見方になる。
三人は、とても心強く感じた。


3ヶ月前 No.10

ヴラドゥレア @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

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3ヶ月前 No.11

ヴラドゥレア @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

エルドロイドは続ける。
「六大魔王を始めとする上層部は云わば最も闇と憎悪に満ち溢れた場所だ。少しでもしくじれば堕とされる」
「そんなのって...酷くないですか?」
ダイアが言う。確かに、強さが全てという悪魔の世界はとても過酷だ。だからといって、少しの失敗も許されないとは...厳しすぎる。
「私も同じ事を思った。そういう制度を止めるように
ヴォイド.フォールに進言したが...怒りを買ってしまった。逃げ出す他になかった。」
「そうだったんですか...」
「他に同じ考えの魔王はいなかったの?」
と、王女が聞く。
「...いた、かもしれない。同じ六大魔王のアザトースや、海魔軍隊長にして軍医のグラディオン...他にも、何人かは」
アザトースは悪魔にしては温厚で、無益な殺生を嫌っていた。世界を創った神ともいわれている。
グラディオンはとことん日和見主義者で、いつも面倒事が起きるとさっさと姿を眩ますような悪魔だ。
「だが、彼等に力添えを乞うわけにもいかない。危険が及ぶかも知れないからな...」
エルドロイドは語り終えると、溜め息をついて、朱く染まり始めた空を見上げた。
(...ヴラドゥレアは今どこに...)

3ヶ月前 No.12

ヴラドゥレア @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

【第10章 「帰ってくればいいのに」】

 「あ〜あ、王女ちゃん逃がしちゃった。急に姿消すんだもの仕方ないわね。よし、あたしナイスポジティブ」
悪魔軍の本拠地に帰りながら、ヴラドゥレアはブツブツ言っていた。
「エルドロイドは見つからないし冠は取り損ねるし...
どうすりゃいいのかしらあたしは...」
このまま魔王が集まる大広間へ行って『すみませ〜ん!
冠取り損ねてエルドロイドも見つかりませんでしたテヘペロ★☆』とか言おうものなら確実に殺される。
一寸先は闇...人間の先人はよく言ったものだ。


「...失礼しまーす...」
出来るだけ静かにばかでかい扉を開けたヴラドゥレアは
すぐさま他の魔王達の凍てつくような視線を浴びることになった。
(ヤバイわコレ...)
「...ヴラドゥレア。冠はどうした?」
そう言ったのはヴォイドだ。
「...それが、オランシアを石にしたは良いんですが、
王女に逃げられまして、冠は手に入らず...」
「エルドロイドは?」
「(何偉そうにしとんじゃ年下)オランシア近辺を捜索しましたが見つかりませんでした。」
「.........」
心の中で毒を吐きながらヴラドゥレアは報告した。
回りの魔王達から失笑が漏れたのが聞こえた。確かに聞こえた。
「2つとも逃したのか?」
「...何か文句あんの?ヴィルペア」
六大魔王の一人、ヴィルペアルヴァンクトゥシアラは、
首を傾けた。
「いや?我は単純に、逃したのかと聞いている」
「そうよ逃がしちゃったわよ!あと1歩の所で王女は急に姿眩ますしエルドロイドは匂いすら感じないし!」
(あ、ぶちまけた)
「...ヴラドゥレア。お前は六大魔王の一人ゆえ、失うのは惜しい。かといって幾度の失敗も許す訳にはいかない。次こそ、あの裏切り者を見つけ出せ」
「...かしこまりました。ヴォイド.フォール様」


「いやーヴラドゥレア、やっちゃいましたねぇ」
会議も終わり、魔王達はゾロゾロ退場していく。
そんな中でヴラドゥレアの隣にやって来たのは、海の魔王にして軍医のグラディオンだ。
本当は龍だが、普段は紫の髪をリボンでお嬢様結びにした女性の姿をしている。
「何よグラディオン...あんたなら出来たの?」
ヴラドゥレアが半ば八つ当たりに問うと、グラディオンは深い黄緑色の瞳を細めた。
「私?さあどうでしょう。まあ、私の場合喉をカラッカラに渇かせて、水を飲みにやって来た所をグサッと...」
「殺っちゃってどうする」



3ヶ月前 No.13

ヴラドゥレア @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

「...でも、どうしてエルドロイドは逃げ続けるのかしら?」
逃げれば逃げるほど罪は重くなる。
早く出てきて罪を償えば、赦されるかもしれない。
「...帰ってくればいいのに」
ヴラドゥレアが呟くと、グラディオンは三叉の矛トリアイナをクルクル回しながら答えた。
「...折角鳥籠から出られたのに、わざわざ籠に戻る鳥がいますか?自分にとって苦痛しかない場所に、自ら帰る者がいますか?」
「...それは、」
「私には考えられませんね。あの子は平和を望んでました。魔王なのに」
「それでも、何も言わずに逃げ出すなんて魔王に相応しくないわ」
「まあ、ヴォイド.フォール様の命をこなさない限りは何も出来ませんし、貴女の首も危ういですね。」
「怖いこと言わないでよ...」
真顔で怖いことを淡々と言ってのけるグラディオンに、ヴラドゥレアは溜め息をついた。
この魔王には誰も敵わない。
「ですが、」
不意に真面目な声を出したグラディオン。ヴラドゥレアは顔をあげた。
「...悔いのないように生きなさい。全て失ってから『あの頃に戻りたい』と叫んでも、もう遅いから」

「......あたしには、失うものなんてないわよ」
自分の首以外はね、と笑い、ヴラドゥレアは飛び立った。

そう。失うものなんてない。裏切り者を見つけ出し、粛清するのだ。それが自分に課せられた命令だ。



3ヶ月前 No.14

ヴラドゥレア @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

【第11章 さらわれたダイア】

 日もだいぶ傾き、空が昏くなってきた。
「いくつか空き部屋があるので、良ければ使ってください」
デスストームが言った。
それで三人は各々好きな部屋で休むことにした。

...彼等を見つめる何者かに、誰も気付かなかった。

ー夜も更け、皆が寝静まった頃、突如ダイアの悲鳴が響いた。
「ダイア!?」
王女達が駆け付けると部屋の窓は開け放たれ、ベッドはもぬけの殻だった。
アルドが声をあげた。
「ど、どうして?ダイアは...?」
するとデスストームが、ベッドを指差した。
そこには、黒い鱗がひとつ、月の光を浴びて輝いていた。
「...琥珀か」
エルドロイドが呟く。
「ええ...彼女に違いありません」
デスストームも頷く。
「琥珀...?」
王女とアルドは訳がわからない。
デスストームが説明した。
「闇の魔王様の側近の暗黒魔導龍です。賢くて、邪悪なんです」
「暗黒魔導龍...?本でしか見たことないあの、伝説の龍?」
「ええ。今では暗黒魔導龍はほとんど遺っていません。かつては栄えたようですが...」
「琥珀はその生き残り。数少ないいにしえの龍だ。
黒い龍は多くいるが、これは並みの龍の覇気ではない」
エルドロイドが続ける。

「...ダイアを探さなきゃ!」
「危険すぎる。琥珀...ひいては闇の魔王は、悪魔軍に属さぬ魔王軍。何をしでかすかわからぬ」
「でもダイアは大切な友達なの!」
「ミアラ、私も探す!」
王女とアルドは頷き合った。
「エルドロイドはここで待っていて。私達は外を探すわ」
「待て!こんな夜更けに子供が...」
だが、二人は既に扉を開け駆け出していた。
「お待ちください!」
デスストームが止めるために飛び立った。

エルドロイドは独り残り、呆然と呟いた。
「...大切な...友達...トモ...ダチ...?」

(友達...そうだ、私は...ヴラドゥレアと、友達だった。不老不死の呪いを受けたあの時から、彼女と私は共に生きてきた)

不老不死の呪い...デイクセリアの暗黒呪術だ。


2ヶ月前 No.15

ヴラドゥレア @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

「王女様!アルド様!」
デスストームが追い付くと、二人は振り返った。
「デスストームさん!」
「落ち着き下さい、二人とも。今はダイア様を助けるために何をすべきか考えましょう」
「でも...」
二人が口ごもると、デスストームは金色の瞳で王女達を見つめた。
「大丈夫。私達も協力します。それに、闇の魔王様はむやみに命を奪うような方ではありません。
エルドロイド様も心配しておられます」

2ヶ月前 No.16

ヴラドゥレア @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

「うん。わかった。ごめんなさい、取り乱して」
王女が呟く。
「無理もありません。ダイア様は、大切なトモダチなのでしょう?」
デスストームが微笑む。
「私達悪魔は、誰かを大切に思う事は滅多にありません。それが繁栄の理由でもあり、邪悪の理由でもあるのです」
「でも、デスストームさんやエルドロイドは、優しいですよね」
アルドが言うと、デスストームは金色の目を瞬いた。
「そうですか...?」
「「うん!!」」
二人は声を揃えて答えた。


「さあ、必ずダイアを助けよう!」

1ヶ月前 No.17

ヴラドゥレア @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

【第12章 琥珀の驚異】

 三人が戻ると、エルドロイドはほっとしたように溜め息をついた。
「...無事だったか」
「うん。ごめんね、エルドロイド」
「...それほど、ダイアが大切なのか?」
「当たり前だよ!友達だもん!」
「トモダチ...」
エルドロイドは呟くと、首にかけてある翠の玉を見つめた。

1ヶ月前 No.18

ヴラドゥレア @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

すみません忙しくて...これからはペースをあげたいと思います!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「それは?」
王女が聞くと、エルドロイドはゆっくりと答えた。
「...これは、昔、ヴラドゥレアにもらった魔石の欠片だ」
「ませき?」
「魔石とは、我々悪魔の命そのもの。この石が砕けぬ限り、悪魔は死なない。そして、真の友と認めた者にだけ、その欠片を分け与えるのだ」
「え...」
王女達は言葉を失った。ヴラドゥレアが、エルドロイドにそれを渡したという事は...
「ヴラドゥレアは、エルドロイドを友達と認めたって事?」
そう聞くとエルドロイドは、微かに頷いた。
「...過去の話だ。」
「......」

そう語るエルドロイドの瞳には、何の感情もこもっていないように、王女には見えた。

1ヶ月前 No.19

削除済み @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

【記事主より削除】 ( 2017/03/27 21:15 )

1ヶ月前 No.20

ヴラドゥレア @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

上記の記事は間違ったので消しました。
再度投稿します。

∽ 何故人は、喜ぶのでしょう
  何故人は、怒るのでしょう
  何故人は、哀しむのでしょう
  何故人は、楽しむのでしょう

  何の為に、苦しむのでしょう
  何の為に、悩むのでしょう

  ...其れは、心が在るがゆえ
  その為に苦しみ悩むのなら、心など要らないでしょう

  思い煩う事もなく、憎み嫉む事もない
  貴方がそれを拒むなら、私はせめてもの贈り物をあげましょう
  老いず死なぬ躯を、貴方に与えましょう

  怒りも哀しみもない世界で、永遠に生き続けましょう

  人はそれを、孤独と呼ぶのでしょう
  人はそれを、呪いと呼ぶのでしょう

  私はそれを、幸せと呼びましょう
  私はそれを、楽園と呼びましょう ∽

1ヶ月前 No.21

ヴラドゥレア @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

「ですが、何故ダイアが?」
デスストームが呟く。
エルドロイドは少し考え、口にした。
「...恐らく、彼奴も気付いたのだ。伝説が、実現し始めている事に。闇の魔王は、とても賢い悪魔。それに、他の悪魔の中には、王女達の事を知らない者も多い。」
デスストームは成る程、というように頷いた。
「確かに、そうかもしれません。もし知っていても、興味を示さない魔王もいるでしょうし」
すると、アルドが口を挟んだ。
「じゃあ、琥珀は...それに闇の魔王はどこにいるの?」
「闇の城、ダークキャッスル。この魔界の奥深く...凶暴な魔物達が巣くう場所。」
「そこまではどう行くの?」
「正直に言うと、私達にもよく分からない...。
言った通り、闇の魔王はヴォイド.フォールの正式な部下ではない。ヴォイドはともかく我々は、殆ど会うこともなかった」
「そんな...」
王女達は途方にくれた。
それでは、ダイアを助けられない。

と、家の外で、何やらバサッ、という鳥の羽ばたきのような音が聞こえた。

1ヶ月前 No.22

ヴラドゥレア @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h



 冷たい風が頬に当たって、ダイアはハッと目を覚ました。まず目に入ったのは、底が見えないほど深い峡谷。
辺りの温度がやけに低いことから、ここがかなり上空なのだとわかる。
...上空?
次の瞬間、ダイアは自分がどんな目にあったのか思い出した。
自分は、さらわれたのだ。
ふと下を向くと、真っ黒に光る鱗に覆われた腕が見え、ダイアはぎょっとした。自分を抱えて飛んでいるのは、
黒い龍、つまり琥珀だ。

「おや、お目覚めかい。坊や」
いやにねっとりとした猫なで声で、琥珀は笑った。
「...僕をどこにつれていくつもり?」
ダイアはなるべく落ち着いた声で問いかけた。
恐怖を悟られないようにしなければ。相手が戦けば戦くほど喜ぶのだ。暗黒魔導龍というのは。
「そう睨むもんじゃないよ。別にとって食おうってわけじゃないんだから。お前はこれから、闇の魔王の城へ連れていかれる。そして、闇の魔王の質疑に答えるんだ」
琥珀は淡々と答えた。
「質問?」
ダイアは首を傾げた。闇の魔王が、自分に何の用があるんだろう。
「何を聞くかは知らない。あたしの役目は、お前を城まで連れていくこと。」
そう言って琥珀は、翼を大きく上下させた。
スピードが速くなり、ダイアは目を開けていられないほどの強風に見舞われた。
「さあ、もうすぐだ。落ちるんじゃないよ!」

1ヶ月前 No.23

ヴラドゥレア @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

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29日前 No.24

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

ハンドルネーム変えました。

【第14章 氷の宮殿へ】

「あの、フェニックス様、一体何処へいかれているのですか?」
デスストームが、先頭を行くフェニックスに声をかけた。
魔界と悪魔界を繋ぐ異空間。その狭間に、ダークキャッスルは存在するという。
だが現在一行は、魔界の北方に向かっていた。
「わかってるよ。闇の魔王に挑むのは、僕らだけじゃ不安だ。だから、他の魔王に協力してもらった方がいい」
「他の、魔王...」
アルドが繰り返す。確かに他の魔王がいれば、勝率は上がる。だが...
「でもフェニックス、他の魔王が私達をヴォイドの所に連れていこうとしたらどうするの?」
他の魔王がヴォイド.フォールの部下ならば、その可能性も十分にある。
だがフェニックスは言った。
「大丈夫!もしそうなったら戦うし、きっとみんな、こんなのおかしいって思ってるはずだよ。
まずは、氷の宝玉を持つ氷の魔王・ヴリザードに会いに行こう」
「ヴリザード様に!?あの方は人間があまり好きではないのでは...?」
デスストームが驚き、エルドロイドも頷く。
「ヴリザードがそう簡単に我々に宝玉を渡すとは思いがたい」
「だからこそだよ。人間に対する憎しみは、人間が解かなきゃ意味がないんだよ」
フェニックスの言葉に、王女アルドは顔を見合わせた。
(人間が解かなきゃ意味がない...)
「...行こう。アルド」
「うん!ミアラ!」

デスストームとエルドロイドはしばし呆然としていたが、やがて溜め息ながらに了承した。

かくして、一行は氷の宮殿を目指したー。



23日前 No.25

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

第二部に入ります

【第15章 捜索】

 ーその頃、悪魔界では、ヴォイド.フォールと六大魔王が偵察隊の報告を待っていた。
六大魔王。それは、ヴォイド.フォールが選んだ最強の悪魔達である。エルドロイドの他には、
旧き闇・ヴラドゥレア
万物の王・アザトース
終焉の邪神・ヴィルペアルヴァンクトゥシアラ
邪悪の王・アンラ・マンユ
暗黒の支配者・モーメント
...この五人が、現在の悪魔軍の指揮官である。
だが滅多に揃うことはないため、互いに雑談したり談笑したりしている。

「...それにしても、あの時ヴラドゥレアがあやつをとらえておれば、こんな面倒な事にはならなかったものを」
小さな声で、ヴィルペアが呟いた。
が、ヴラドゥレアにはしっかり聞こえていた。
「何ですって!?もう一回いってみなさいよ!」
ヴラドゥレアが突っかかるのを、アンラが諫めた。
「私達が争ってどうするのだ、ヴラドゥレア?」
「チッ...わかったわよ。ボスの前で、見苦しい真似は出来ないしね」
先程から黙って、バルコニーから下界を見下ろしているヴォイドをチラリと見て、ヴラドゥレアが言った。
ここ最近、ヴォイドの機嫌は悪くなる一方だ。
少しでもへまをすればくびが危ない。色んな意味で。
と、ヴォイドがこちらへやって来た。
五人はお喋りを止め、姿勢を正した。
「...手がかりはまだ掴めぬのか?」
ヴォイドの問いに、モニターの前で作業をしていたモーメントが答える。
「はっ。現在ヴァルディスが偵察隊を率いて捜索中です」
「ヴァルディス...貴族バールデール一門の息女か。
確か、弁護士であったな」
「ええ。知力、洞察力共に優れている彼女ならば、きっと朗報を持ち帰るでしょう」

「それは...楽しみだな」
ヴォイドは鋭利な牙を覗かせ、にやりと笑った。





22日前 No.26

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

【第16章 独りぼっちの魔王】

 氷の宮殿の前で、人間と悪魔のグループが集まっていた。
「じゃあ、私とアルド、デスストームさんで中に入るね。フェニックスとエルドロイドはここで待ってて」
王女が言った。
「オッケー!」
「…わかった」
フェニックスとエルドロイドは頷いた。

宮殿に入ると、一気に体が冷えるのを感じた。
それもそのはずで、この宮殿は全て氷で出来ているのだ。
「さ、寒いね…」
「凍りそう…」
「ですがお二人とも、見てくださいこの彫刻!」
デスストームの言う通り、宮殿内は繊細な彫刻が施され、キラキラと煌めいていた。
「これ、氷の魔王がしたのかな」
思わず声に出して、アルドが聞いた。
「恐らくは。先程から全く魔物を見かけません。門番もいませんでした。魔王ともあれば、かなりの僕がいるはずですが…」
デスストームが不思議そうに呟いた。

「独りぼっちの魔王、か」
王女が小さな声で言った。

19日前 No.27

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【第17章 氷の玉座に刻まれた紋章】

 王女達は、永遠に続くかと思われる長い長い螺旋階段を上りきり、最上階、魔王の間へと辿り着いた。
広々とした部屋にぽつんと置かれた玉座には、誰も座っていなかった。
「これが玉座か…ん?」
王女は、玉座の裏に古い文字が刻まれている事に気付いた。その横には、水色の冠の紋章がある。
「ねえ、みんな、これ何?」
「何ですか?…こ、これは…!」
デスストームは青ざめた。
「…『我が永久の宮(みや)に立ち入りし者、声なき骸と成りぬべき』…」
「それって…?」
アルドが首を傾げる。声なき骸、とは?
デスストームは震える声で答えた。
「…氷の魔王の宮殿に入った者は、声すら出せない骸骨となるだろう。つまり、死ぬという意味です…」
王女とアルドは耳を疑った。
「「えっ…!?」」

すると、部屋の温度が急激に下がり、扉が音もなく開いた。

19日前 No.28

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

【第18章 秘密】

 その頃、扉の前では。
フェニックスとエルドロイドは、二人で王女達を待っていた。
別に話すこともないので、互いに一言も口を開かず、
何となく気まずい空気が流れる。
そういえば、とフェニックスは思い出す。
悪魔軍にいた頃は、エルドロイドと話す事なんて滅多になかった。自分はもっぱらモーメントにくっついていたな、とつい最近の事なのに懐かしく思う。
モーメントは、“あの御方”…ヴォイド.フォールの野望を叶えるには、自分の破壊と再生の力がきっと役に立つと言ってくれた。それがとても嬉しかった。
(このまま僕がエルドロイドに味方したら、モーメントやヴラドゥレアは怒るかな)

と、ふいにエルドロイドが声をかけてきた。
「フェニックスは、悪魔軍のやろうとしている事についてどう思う?」
「天使を倒して、神を封じようとしてること?」
ヴォイド.フォールは、邪神を封じた天使や神々を深く憎み、同じことをしようとしていた。
「そう。私は、彼は間違っていると思う。…といっても、私に心などないのだが」
半ば自嘲気味に、エルドロイドは漏らした。
「…僕は、仲間が傷付くのも嫌だけど、ミアラ達が悲しむのも見たくないな」
「…優しいのだな。お前は」
「……」
フェニックスは、エルドロイドの目を真っ直ぐに見れなかった。
デイクセリアの呪いを解くのを、もう諦めている彼に対して、いたたまれない気持ちになったのと、もう1つ。
フェニックスには、この場の誰にも話していない事があった。

17日前 No.29

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

【第19章 氷の魔王ヴリザード】

 その美しさに、王女とアルドは思わず見とれた。
藍色の鱗に、エメラルド色の一本角。金と銀の翼に、紫の瞳。意外かもしれないが、紫の眼の悪魔は珍しい。
魔王の中ではヴリザードの他、モーメントくらいしかいないのだ。
悪魔界の月は基本的に紅。不吉の象徴とされるのは蒼い月。紅と蒼。二つの色が混ざった紫は、神秘の色とされ、この瞳の者は畏れられ、敬われてきたのだった。



11日前 No.30

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

やがて、しびれを切らしたようにヴリザードが言った。
「…いつまで我を見ている」
「あ、ごめんなさい…あなたが、氷の魔王ヴリザードさん?」
ヴリザードはじろりと王女とアルドを見、デスストームの姿を認めると目を見開いた。
「…デスストーム、何故エルドロイドと共に逃げたはずの汝がここにいる。この人間達は何者だ」
微かに険しさを滲ませた声だった。
デスストームは金色の瞳で彼を見つめ、臆さずに答えた。
「彼女達は、オランシア王国の王女ミアラ様と、ご友人のアルド。現在我が主エルドロイド様、フェニックス様と共に、この魔界を救うために旅しております」
「オランシア王国…先日ヴラドゥレアが石にした所か。
生き残りがいたとはな。…魔界を救う?どうやってだ?
“あの御方”に逆らえばどうなるか、解らぬのか」
そう言ってヴリザードは、信じられないと言いたげに首を振った。
「…デスストームさん、あの御方って…」
アルドが声を潜めて尋ねる。
「ヴォイド.フォールの事です。その名を呼ぶことすら、皆は恐れているのですよ」
その圧倒的な力は、全ての天使が束になっても敵わないと言われているのだ。



8日前 No.31

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

「…それで、汝らは何の用があって此処へ来た?
我が永久の宮に立ち入るとは、死すらも恐れぬのであろうな、汝らは」
死。その不気味な言葉が、氷の壁に谺する。
デスストームは臆さずに答えた。
「オランシア王国…そして、この魔界を救うために、私達は旅しております。貴方の持つ、氷の宝玉を王女様にに渡してほしいのです」
「……」
ヴリザードは目を細め、ふう、と息を吐いた。
人間と裏切り者の為に命を危険に晒す程、自分はお人好しではないし、エルドロイドともそれほど親しかったわけではない。
「…我が協力する意義が見当たらない」
「それは、……」
デスストームが言葉につまる。
 そんな中、王女が言った。
「ねえ、ヴリザードの鱗って綺麗だね」
((!?))
アルドとデスストームはぎょっとする。
こんなときに何を言っているんだろう?

1日前 No.32

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

「…綺麗?この我が美しいと申すか。愚かな」
ヴリザードは冷たく切り捨てた。
「愚かって事はないでしょう」
アルドがムッとして言った。だがヴリザードは取り合わない。
「美しいことに何の意味がある?
見た目が美しくとも中身は解らぬ。
見た目が醜くとも中身は解らぬ。我が知人は、美しさを追い求めているが…我にはさっぱり解らぬな」
ヴリザードの言葉に、デスストームはいつも美しくあることに命をかけているあの魔王を思い出した。
(グラディオン様の事ですか…)

そう言われても王女は平気そうにしている。
「そうかな?綺麗な事は素敵だと思うな、私は」
「まあ良い。それより、エルドロイドは何処にいる?
“あの御方”が探している。ヴラドゥレアも」
その質問に、三人は身を固くした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「へくしっ!!」
グラディオンは鼻を擦りながら言った。
「…風邪ですかね。昨日の患者に風邪引きがいたのでしょうか。」
「大丈夫ですか?」
部下が尋ねる。
「う〜ん……ハッ!!もしや誰かが私の美しさを噂してるとか!そうですねそうでしょうとも!!フ、フフフフフ」
「………」
急に語りだした主を、部下はポカンと見つめた。

1日前 No.33
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