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魔界王国物語

 ( 小説投稿城 )
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ヴラドゥレア @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

【序章】

万物の王であり果てしなき魔王は、
全てを創り、眠りけり

白き龍は『光』を、黒き龍は『影』を司りけり

光の者いる限り、世は影で満たされぬ
影の者いる限り、世は光で満たされぬ

光の者、独り寂しく、自らを恨みけり
影の者、独り苦悩し、自らを恨みけり

両者、冠に魔力を託し、旧き闇に敗れたり

2年前 No.0
メモ2019/04/14 10:41 : 闇月 @warabimoti★Android-xdCufVxL3h

 ※このお話は、私の妄想が爆発し、呪われた右腕の封印を解いた末路です。ありきたりなダークファンタジーです。

さらに、多くの宗教の伝承が混ざっているカオスな事態。

気軽にいいねを押してもらえるとうれしいです。

2018 3.25 アクセス数がまさかの2000超え!ありがとうございます!

変な奴ですがコメントお願い致します。


ちなみに名前のみで出たガルーダはエルドロイドの愛獣です。主人と共に逃げていました。


【目次】(不定期更新します)


第一部 炎の章 >>1-25


第二部 氷の章 >>26-43


第三部 光の章 >>44-78


第四部 風の章 >>79-104


第五部 闇の章 >>105-124


第六部 海の章 >>125-141


第七部 森の章

切替: メイン記事(144) サブ記事 (13) ページ: 1 2


 
 
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闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

エルドロイドが進み出た。
「久しぶりだな。メラディオン。変わりなかったか?」
「…特には。我が同胞が逃げ出した事くらいだ。」
その皮肉をエルドロイドは黙って聞いていたが、やがて答えた。
「そうか。以前のそなたは、皮肉など言わなかったと記憶しているが。」
二人の会話は、一見するとただの口論に聞こえるが、周りの者を畏怖させる圧倒感があった。
(…この二人がまともに会話しているのを見るのは我も初めてだ)
ヴリザードですら、この先どんな話し合いになるか見当もつかない。
メラディオンはフッと息を漏らし、
「…こんな世界だ。素直でばかりはいられない。謝ろう…用件を申してみよ」
と促した。
「それなら王女から話せば良い」
と、エルドロイドは王女を見た。

1年前 No.95

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

2週間以上更新が止まってすみません。お待たせしました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「えっ!?わ、私で大丈夫!?」
突然話をふられた王女は、当然びっくりしたがメラディオンは微かに口角を上げ、牙を覗かせた。
「…オランシアの王女か。いいだろう。憶さずに申せ。」
王女は恐る恐る前に進み出た。
後ろではアルドが『がんばれ』と口パクし、デスストームも頷いた。王女は頷き返し、口を開いた。
「あなたの宝玉を、私達に譲ってほしいんです!!」
頭を下げられたメラディオンは、フードの奥の金色の瞳を細めた。
(何を言い出すかと思えば……)
このような人間の子供が宝玉の力を知っているとは思えない。そう思いメラディオンは思案する。宝玉の事を知っているのは今では一部の悪魔と天使、それにあの種族だけのはず。エルドロイドが教えるとも思えない。
だが、そんな事なら答えは決まっている。

1年前 No.96

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

いつも使っているYahooが消えログイン出来なくなる事件が起き投稿が遅れました。復活してよかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
メラディオンは自らを炎で囲み、緑色の大蛇へと姿を変えた。
「それは無理な相談だ。宝玉を渡す事は“あの御方”への謀反を意味する。それに…この宝玉はお前達自身にも災いをもたらすからな…」
「災い?…どういう事ですか?」
大蛇は鎌首をもたげ、二又の舌を動かした。
「……まだ幼かった頃、私は魔界の山々の支配と、この宝玉の守護を任されていた」
静かに語りだしたメラディオンに、王女は少し驚いた。
(小さな頃から悪魔軍に仕えていたなんて…)
ヴォイドに情はないのだろうか。
幼い子供でさえ、無邪気に遊ぶことが許されないのだろうか。
「…人間達は私を悪魔ではなく山の主と思いこんでいた為、宝玉を奉る社には願いを捧げる人間が多く訪れた。しかし、人々の邪な心を受けすぎた宝玉はある時暴走し、魔界の山を灼いた」
それを聞いたデスストームは納得した。時が経つにつれ話に尾ひれが加わり、『メラディオンは昔、魔界中を火の海に変えた』などという伝説になったのだ。
(…確かに危険かもしれません)

1年前 No.97

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

いいね16!ありがとうございます!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
もし今でも邪なる力が残っていれば、聖なる冠と反発し、大変な事態を招きかねない。
(諦めるしかないのでしょうか…?)
ヴリザードもデスストームと同じことを思ったのか王女に「どうする」と聞いている。エルドロイドは無言でアルドと顔を見合わせた。
「…ミアラを信じよう」とアルド。
「…信じる…か」エルドロイドが呟いた。
メラディオンが言う。
「解っただろう。この玉は最早宝ではない。人の世の醜さ、その象徴だ」
「…との事です。皆様、お気の毒ですがお引き取りくださ…」
「待って!!」
グレアが言いかけた言葉を王女が止めた。
「私の…私達の望みは、この世界を救う事!!邪な思いなんてないもの!!」
「何…?」
仲間たちも次々に言った。
「ミアラの言う通りです!自分の欲の為じゃない、大切なものの為の願いなら…」
「ミアラ様に、貴方の見てきたような醜さは一切ありません」
(アルド…デスストームさん…)


メラディオンは解らなかった。

何故そこまで信じ合えるのか。種族も違うのに。

『他者を信じるな。我にのみ忠義を尽くせ』

何故希望を捨てないのか。この腐った世界で。

『悪魔…神に仇なす化け物め…』

『所詮この世界は、綺麗事ばかりだね、メラディオン。希望なんてはじめから持たない方がいい』

何故絶望しないのか。大切なものを奪われて。

『私を憎んでいい。私を忘れてもいい。お前は悪くない。悪いのは私。罪深いのはこの世界』

解らない。理解できない。

「…メラディオン。私は心を持たないが、お前は信じてみてもいいのではないか。この人間達を」
「…………」


1年前 No.98

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

━━━その時!
メラディオンの玉座に飾ってあった宝玉が目映く光を放ち、部屋の中を爽やかな風が吹き抜けた。
全員、何事かと辺りを見回す。グレアが叫んだ。
「魔王様!宝玉が…宝玉の色が!!」
メラディオンがハッと玉座を振り返ると、くすんだ青だった宝玉が美しい空色に変わっていた。
いや、戻ったのだ。
「馬鹿な…信じられぬ…」
メラディオンが呆然と呟く。
まさか、本当に戻ったというのか?何万年もの間、何をしても戻らなかった風の宝玉が。あの王女達の想いで。想いだけで。先程のエルドロイドの言葉を思い出す。
『信じてみてもいいのではないか』

(…私は……)

メラディオンは心を決め、王女とアルドの近くへやって来た。ローブを着た魔族の姿に戻っている。
「お前達の想いの力が、その宝玉を再び清きものにした」
そして、王女にその風の宝玉を手渡した。
「受け取れ」
「!いいんですか!?」
戸惑う王女にメラディオンは答える。
「私にその宝玉を護ることは出来ぬ。お前達が持つべきものだ」
「…ありがとうございます!でも…ヴォイドに…」
人間に宝玉を渡すことは、王であるヴォイドへの反逆行為。エルドロイド同様命を狙われるのではないか。
「…ヴォイド.フォール様には、この命を拾い魔王の位を与えて頂いた御恩がある。だが…お前達が来たことを私は報告しない。忠誠を誓った身ゆえこれ以上の協力は出来ない」
「それで十分だ。礼を言う。…王女、これより闇の魔王の元へ向かいダイアを救出するぞ」
その言葉に全員が驚く。デスストームが尋ねる。
「で、では、北と東はどうされますか?」
「北の魔王インペリアルと東の魔王アグレダ…彼等は比較的人間への敵意が少ない。だが闇の魔王はいつ何をしでかすか解らん。先にダイアを助けよう」

1年前 No.99

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

「確かに…早くダイアを助けたいもんね」
アルドも賛成する。
「私も…ダイアに会いたいよ」
言いながら、王女はダイアの事を思い出していた。
いつもにこにこして、皆を励ましてくれたダイア。
(今度は私達が、ダイアを助ける!)
「我に意見はない。好きにすれば良い」
ヴリザードも『そうしよう』と言ってくれているらしい。彼の素直じゃない言葉の意味が何となくわかってきた。

 その様子を眺めながらメラディオンは不思議に思った。
(人間と悪魔が仲良くしている…こんな光景、何千年ぶりか…)
…私も、あそこに入れたら。
ふとよぎった考えをメラディオンは振り払う。
(私は何を考えている?)
ヴォイドは人間を心の底から嫌っていた。すぐに闇に染まる脆弱な種族の癖に、神に護られている。
自分達の理解できないモノを拒み、恐れ、憎む。
(だが、この人間達は違うのか?)

1年前 No.100

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

と、その二人がこちらにやって来て、メラディオンに笑いかけた。
「メラディオンさん、宝玉をくれてありがとうございます」
「私達はエルドロイド達と魔界を救い、誰も苦しまない幸せな世界をつくります」
メラディオンは目を見開き、絞り出すように「…そうか」と言った。
「それじゃあ、またいつか」
挨拶して、王女達は出て行った。残されたメラディオンとグレアは互いに言葉を交わす。
「…幸せな世界、と言っていましたね」
「そこに、私達の…悪魔の居場所はあるだろうか?」

1年前 No.101

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

【第38章 「可愛い小鳥」】

 フェニックスは城の前に座って、王女達を待っていた。正直、メラディオンと会わずに済んでホッとしていた。会えばきっと「裏切者」と罵られる。ヴリザードは元々拠点を離れていたが、フェニックスはメラディオンと同じ軍に属している。
お前は何故『そこ』にいる。
お前は“あの御方”に逆らうのか、と。
(僕は、最低だ。ミアラやエルドロイドに協力しておきながら、悪魔軍と手を切れないだなんて…)

でも、僕が一番怖いのは…

『━何を迷う事がある?余の“可愛い小鳥”よ』
「!!その声…!」
不意に懐かしい声が聞こえ、顔を上げるとそこには漆黒の鎧に身を包んだ悪魔がいた。
「モー…メント…」
そう。目の前にいるのは六大魔王の序列第5位、モーメントだ。勿論実体ではなくホログラムだが。

【ちなみに今日三月十七日はモーメントの誕生日です!!六大魔王の中で一番若いですよ!】

1年前 No.102

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

モーメントは口を開く。
『汝の役目はただひとつ。“あの御方”の為に生きることだ。忘れたか?』
フェニックスは慌てて首を振る。モーメントを哀しませてはいけない。モーメントを失望させてはいけない。
「そ、そんなわけないよ!!ただ、仲良くしてもらってるのに少し悪いかな…なんて…」
モーメントは深い紫の瞳でフェニックスを見つめ、首を傾げるようにして言った。
『…仲良く?悪魔と人間は仲良くなど出来ぬ。悪魔が人間と持つ関わりは契約と利用。持つべき感情は憎しみと蔑み。それ以外は不要だ』
「わ、わかってるよ!大丈夫、安心して!モーメントをガッカリさせる様なことはしないよ!」
そう言えばモーメントは紫の瞳を妖しく光らせた。
『それで良いのだ。フェニックス。人間共に心を許すな。エルドロイドに同情するな。汝はただ“あの御方”の指示に従え』
「…うん!もちろん!」
返事をするとホログラムは乱れ、やがて消えた…。

1年前 No.103

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h


 フェニックスとの通話を終えると、モーメントは背後にいたうみねこに声をかけた。
「…盗み聞きとは悪趣味だな。…グラディオン」
すると、うみねこが嘴を開いた。
[あら、バレてましたか]
モーメントが近付くと、うみねこは彼の鎧の肩当てに留まった。
「気付かぬとでも思ったか?わざわざ使い魔を送り込んでまで盗聴など」
うみねこは笑ったような鳴き声をあげた。
[これは失礼。貴方がどのようにしてフェニックスを丸め込むのか、少し興味がありましてねェ]
「丸め込む?違うな。それをしているのは人間共の方だ。余は奴が…フェニックスが帰るべき巣を忘れぬよう忠告したに過ぎん」
モーメントの言葉に、うみねこは面白そうに羽を震わせた。フェニックスがいずれエルドロイドの考えに共感するであろうことは皆予想していた。だからこそそれを阻止するのがモーメントの役目。
「…不死鳥は永久に、この鳥籠から逃れられない。故に心配はない」
[貴方によぉくなついた可愛い愛鳥が、その手から飛び立つことはないとでも?]
うみねこの問いにモーメントは「その通りだ」と答えた。
[その割りには、マイロードのエルドロイド排除令は伝えなかったので?]
モーメントの紫の瞳がうみねこの漆黒の目に映る。彼は何でもない事のように答えた。
「汝が何故知っているのか気になるところだが…フェニックスに言ったところであやつには何も出来まい。さあ、そろそろ行け。グラディオン」
うみねこは高らかに鳴くと、紅い月の輝く空へと飛び去った。

1年前 No.104

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

明日入学式です。ますます過疎るかもですが頑張っていきます。
第五部に入ります!
【第39章 黒のキョウダイ】

 ヴォイドへの報告を終え、屋敷へと帰ったヴァルディスを出迎えたのは家臣の黒龍、シュヴァルツだ。
「お帰りなさいませ、お嬢様。ご主人様は戻られていませんが、お客様がおみえです」
「お客様?わかった、私が対応するわ」


客人は、思いもよらない人物だった。
「おう、ヴァルディス。久しぶり、大きくなったねぇ」

「琥珀様…!!」
闇の魔王の僕、琥珀だった。
「何故ここへ?」
「いやね、ちょっとあんたに聞きたいことがあったのさ。すぐに帰るよ」
ヴァルディスは首を傾げた。父であるドナイディア公爵に用があったのではなく、自分に会いに来るなんて。
「それは…どのような?」
「あんた…ヴォイドがやろうとしてる事どう思う?天界への復讐には賛成?」
いきなり王の事を聞かれ、ヴァルディスはぽかんとする。
「勿論陛下の事は尊敬しています。…でも…復讐については…」
琥珀は驚いたようにこちらを見た。
「どうして?あんたは誰よりも、天界を憎んでいいはずだよ。あんたの兄貴の仇を討ちたくはないのかい?」
『兄』という言葉にヴァルディスは肩を動かした。兄ベリアルは天界に囚われている。天の聖光を、奪おうとしたから。

1年前 No.105

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

遅くなりすみません!今日から田舎に行きますのでまたしばらく空くと思います。
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(でも私は…天使を憎いとは思えない。罪を犯したのは紛れもなくお兄様だもの…)
黙っているヴァルディスの心を察したのか、琥珀は「もういいよ」と穏やかに言い、翼を広げた。
「もうお帰りに?」
「ああ。うちの主人を待たせてるからね。邪魔したね。」
「いえ。またいつでも…」


シュヴァルツが「見送ります」と言って出てくると、琥珀は素早く振り向いた。
「おいシュー。あんたんとこのお嬢は少し甘過ぎないかい?」
「おや、アンバー姉様。何故です?」
シュヴァルツが敬語だが砕けた口調で尋ねる。琥珀は軽くシュヴァルツを睨んだ。
「だーかーらその名前で呼ぶなっつうの…まあ、あんな子に育てたドナイディア公爵も相当だね。甘い甘い。」
「お優しいと言ってください。所で姉様。何故あんな質問を?」

1年前 No.106

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

体育祭がようやく終わった。槍も降らなかったし地球も滅亡しなかった。(某歌より)遅れてすみません!
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琥珀は弟の顔をじっと見た。
「あたしが思うに、ヴォイド陛下の目的はただ天界に復讐するだけじゃない。もっと別の事を考えてるね」
「別の事?一体何だと言うのです?」
「まあ、それが分かりゃ苦労しないさ。ヴォイド陛下はあたし達の裏の裏のそのまた裏をかいてくるだろうね…ああ、そういえば…」
琥珀はふと話題を変えた。
「他の兄弟姉妹は元気かい?ここ数百年会ってないけど」
琥珀とシュヴァルツは、五人兄弟姉妹の長女と次男だった。
「ええ、<蒼玉>サフィアル兄様はエルドロイド様が御不在の間幻夢国を任されたと。<紫玉>ラピス姉様はお変わりなく過ごしておられます。<紅玉>ルビアールは相変わらず方々を転々としているそうで」
「へえ、サフィアルの兄貴が?エルドロイドよりも優秀、なんてことになっちまうかもねェ?」
琥珀の言葉にシュヴァルツも「そうですね」と笑った。
「じゃあ、元気でやりなよ。まさかあんたがひとの下に使えるなんてねぇ」
「王宮で暮らすよりも、この方が性に合っていますから。姉様こそ、あの闇の魔王殿の側近になられたと聞いたときは驚きました。お体にお気をつけて」
そう言葉を交わし、姉弟は別れた。

11ヶ月前 No.107

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

お待たせしました…期末テスト終わりました!!

【第40章 闇の魔王の元へ】

 「…というわけでねフェニックス。東と北より先に、闇の魔王の所に行こうと思うの」
南の魔王城から出てきた王女からそう告げられ、フェニックスは内心驚く。効率的には東か北の魔王の所へ行ってからの方が良いが…。
「案内してもらえるかな?」
アルドの声で我に帰り、フェニックスはこくこく頷く。
「…もちろん!!任せて!!」
明るく言ったが、心は暗かった。
(ダークキャッスルにダイアが囚われてるって、モーメントに報告した方がいいのかな…でも、そしたらヴォイド様が何をするか…)
先程のモーメントの言葉が甦る。
『汝はただ、”あの御方“の指示に従え』
モーメントは六大魔王。六大魔王の言葉はすなわちヴォイドの言葉も同然。逆らえない。
だが…これでは王女達を騙している事になる。
(…僕は…どうすれば…)

11ヶ月前 No.108

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

お待たせしました。夏休みになれば少しはペースアップしたいです。
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重い心のまま、王女達に説明する。
「闇の魔王の城がある異空間に入るには、異界の闔(とびら)<アルタス・ゲート>を通る必要がある。ゲートへの道は、スヴェートの宝玉が導いてくれるよ」
フェニックスの言う通り、スヴェートからもらった光の宝玉が放つ光が、遥か彼方へと線のように伸びている。
「本当だ…」
「では急ぎ出発しよう。一刻も早くダイアを救出せねば」
エルドロイドが言うと、全員が真剣な面持ちで頷いた。
フェニックスは頷きながら、心がチクリと痛むのを感じた。こんな感情は初めてだった。だから、名前も知らなかった。それは…罪悪感だった。
 そんな彼を、ヴリザードは訝しげに見やった。
(…フェニックスは何を悩んでいる?仲間だった者達への反抗が恐ろしいのか?)

10ヶ月前 No.109

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

【第41章 滅びの魔王は嗤う】

 魔王は嗤う。
 人の抱く愚かな夢を。
 魔王は愉しむ。
 人の抱く不確かな希望を。


「良かったのか。宝玉を渡したものを罰さないで」
その問いに、ヴォイドは飲んでいた赤ワインをテーブルに置き、声の主を見た。
「あァ……殺ろうと思えば何時でも始末できる。フェニックスについては、モーメントに任せているのでな。」
言いながらヴォイドは、黒き邪神へとグラスをもうひとつ差し出した。
「貴様も飲むか?ヴィルペアルヴァンクトゥシアラ。魔法界から取り寄せた上物だ」
「いや。生憎だが我は酒は飲まん。我等邪神にとって酒など、何の悦楽にもならぬからな…」
ヴィルペアはそう断った。
「まあ、汝にとっては部下の一人二人、ただの手駒に過ぎんのだろう」
ヴォイドは仮面の奥でくぐもった笑い声をあげる。
「クク、やはり共にチェスをするならば貴様やグラディオンに限る。退屈しないからな」
自分の駒がこの手を動かすままに生き、戦い、死にゆく様は確かに面白い。だが、それだけでは足りぬ。
我は共にゲームを観賞する同志が欲しい。
「……貴様にだけは、我とて勝てぬだろうな」
「そうか。我とて汝には勝てぬ」
ヴォイドは笑った。愉しくてたまらないと言うように。

9ヶ月前 No.110

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

さあ、踊るがいい。我が眷属達。
月はあんなにも紅く美しい。

さあ、好きなだけ抗え。人間共。
その絶望こそ我が力。

「いずれ時は満ちる。さすれば、彼奴らは真の絶望と恐怖を味わうのだ」
グラスを紅い月にかざしながら、ヴォイドは呟いた。
ヴィルペアは表情ひとつ変えない。彼はきっと、世界がどうなろうとどうでもいいのだ。
自分が創ったモノなど存在しない。
護るべきものも慈しむものもない。
だが、この『劇』に興味はあった。

人の子がどの様な抗いを見せるか。
天使と悪魔の戦争の果ては。
人間と悪魔の間に絆はあるのか。
……エルドロイドは、どういった末路を辿るのか。
(……さて、どうなることか……)

9ヶ月前 No.111

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

【……2か月ぶりって……ごめんなさい!!リアルが、リアルが忙しくて!!今後もスローペースですが続けます!!】

【第42章 宝玉の示す先】

 「━━い!!おい!!起きろ」
「ダイア君、起きて」
いつの間にかうとうとしていたダイアは琥珀に乱暴に揺り起こされた。琥珀はいつの間にか戻ってきている。
「…ったくよぉ…お前、よく魔王の城で居眠りできるな。呑気すぎるだろ」
琥珀が呆れたように言って、ダイアを見下ろした。
「まあまあ琥珀さん、いくら囚われの身でも眠くなるのは当然ですよ」
翡翠が宥めるが琥珀は馬鹿にしたように
「あァ、そうか、お子様はよおくおねんねしねェといけないんだよな!あァははは!!」と笑った。
これにはダイアもカチンときた。
「お前が僕を拐ったせいで、ここ数日寝れなかったんだ!!」
「へえー?そりゃ悪かったねえ??クククッ」
全く悪びれる様子のない琥珀に溜め息をつき、翡翠は咳払いをして言った。
「ダイア君、起きて早々悪いですが、今から移動してもらうのでこの檻に入って下さい」
「移動……?」
翡翠の示す先には、ローラーが付いた移動式の檻があった。
「闇の魔王様が御呼びです」

7ヶ月前 No.112

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h


「ねえエルドロイド、魔王達の事、もっと教えてほしいな」
宝玉から伸びる光を辿り進む道すがら、王女はエルドロイドに声をかけた。ただ黙って歩くより、会話していた方がいい。
「…どうしてだ?」
エルドロイドが尋ねる。
「例え敵対していても、相手の事を少しでも知ってた方が話しやすいでしょ?」
そう答えた王女にエルドロイドは、やはり王族だ、と思った。
(民の心を知らずして王は務まらん。それと同じか……)
「…わかった。どんな事を知りたいのだ?」
「えっとね……。悪魔軍の最高幹部って、六大魔王なんだよね。六大魔王は、他の魔王より立場が上なの?」
「そうだ。ただし、地獄を治める“七つの大罪”は、私達と同格に扱われている。そして我々、六大魔王の中にも序列がある。」
「序列?」
「簡潔に言えば、強さや賢さ、魔力…総合的な実力の優劣で決まっている順位のようなものだ」
六大魔王の序列は以下の通りだ。
一位は、ヴィルペアルヴァンクトゥシアラ。
二位は、アザトース。
三位は、ヴラドゥレア。
四位は、アンラ.マンユ。
五位は、モーメント。
そして六位は、エルドロイド。
「…えっ!?エルドロイドが六位!?ものすごく強いし、頭もいいのに……」
王女が目を丸くする。エルドロイドが六位なんて、心底驚いた。

6ヶ月前 No.113

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

「もっと戦場で成果を挙げていれば、五位くらいにはなれたかもしれないが、私は戦においては役立たずだったのでな。わざと戦わぬようにしていれば、ヴォイドに気に入られる事もない」
あくまで最低限の敵しか倒さず、ろくな戦果も挙げない。そうやってヴォイドから邪魔だと思われることで、地位の昇格を避けてきた。それはヴォイドに忠誠を誓うモーメントからすれば許し難い事だったらしく、彼は事あるごとにエルドロイドを避難した。
他の六大魔王…特にヴラドゥレアは何度も「戦え」と言ってきた。「このままではお前は追い出される」と。
実際こうなってしまったのだから、彼女の進言は『魔王』としては正しかったのだろう。
「…でも、エルドロイドはそうやってまで地位を上げようとするひとじゃないもんね。それでも良かったんじゃないかな」
王女の言葉に、エルドロイドは少し沈黙し、答えた。
「……そう言われたのは初めてだ」


 話しているうちに随分進んだようで、少し先に<アルタス・ゲート>が見えてきた。

6ヶ月前 No.114

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

【期末テストがようやく終わった。多分点数的にも終わった\(^o^)/】


「これが、異界の門……」
その門は一見、ただの古びたアーチの様だった。エルドロイドの様な大型の龍でも頭を屈めずにくぐれるくらい高さがあるが、それが広野にポツンと建てられているのは何とも不可思議な光景だ。実際、ただ『通るだけ』では何も起こらない。
「この門を開く鍵は、ごく少数の者のみが知る呪文なんだ」
フェニックスはそう言って、門の前に立った。
深く息を吐き、小さな声で呟く。
「……『古の門よ、我が声を聞け。我は異界の門の開き手。真の解放者。今、72柱が序列第37位たるフェニックスが命ず……開け』!」
フェニックスの詠唱が終わると同時、門の柱と柱の間…通り道の部分に空間の歪みが生じ、目映い光がフェニックスと、後ろにいた王女達を包み込んだーー。


 「…さあ。着いたよ」
フェニックスの声に目を開けると、其処は光もなく音もない、不思議な空間だった。
「……ここに、ダイアと、闇の魔王が……?」
「何もないね……。」
アルドのいう通り、<異界>には何もなかった。しかしこの空間のどこかにダークキャッスルがあり、ダイアが囚われているのだ。
(ダイアはきっと、無事だよね。ダイアを助けて、宝玉を渡してくれるように闇の魔王に頼む…よし)
深呼吸し、王女は気持ちを引き締めた。
「……では行こうか。王女」
「…うん!」
エルドロイドの言葉に返事をし、王女は足を踏み出した。
(ダイア……待ってて!!)

6ヶ月前 No.115

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

【第43章 「ずっと、逃げている」】

 ダイアは移動式の檻に入れられ、闇の魔王の元に連れて行かれた。
「魔王様、連れてきました」
琥珀の言葉に頷き、闇の魔王は耳飾りを揺らしてこちらへやって来た。
「御苦労だった。…直に人間達が来るだろう。お前は配置に付け」
「はっ」
短く答え、琥珀は退室した。
残されたダイアはそわそわして、闇の魔王の私室を見回した。妖しげな小物や難しそうな本がきちんと整理して並べられている。その本の中に、ダイアは気になるものを見つけた。くすんだ赤色の古びた本。
(他の本は綺麗なのに、これだけボロボロ……)
興味をそそられ、ダイアは思わず尋ねてみた。
「あ、あの、……その本は?」
「……あぁ。これか」
闇の魔王はその本をチラ、と見た。
「これは、世に存在する古今東西、ありとあらゆる呪術についての本だ。そなたの使う精霊魔法とは真逆だな」
(!どうして僕が、精霊魔法を使えるって知ってるんだ?……ううん、それより、)
「……どうして、そんな本を?」
魔王ならば持っていても可笑しくはないだろう。しかしダイアは何となく、闇の魔王は呪術など使わないだろうと感じていた。理由などわからないが、強いて言えば闇の魔王の魔力の波動は、邪悪なものではなかったのだ。
「……もう随分昔、とある者の元から盗み出して来た。」

6ヶ月前 No.116

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

ダイアは驚いて聞き返した。
「ぬ、盗み出して……!?誰から……そもそも何でそんな本を……」
「誤解するでないぞ、私が誰かを呪いたかった訳ではない。寧ろその逆だ」
闇の魔王は本の表紙を前足で撫で、埃を払う。そして、独り言のように呟いた。
「……あれから、私はこの異界にいる。ずっと、逃げている。此処を一歩でも出れば、彼奴はすぐに私を捕まえに来るだろう」
(……逃げている……?誰から、逃げているんだ?)
ヴォイド……ではないだろう。ヴォイドは闇の魔王の居場所を知っている。
ダイアが考えるのを余所に、闇の魔王はその本を棚に直しながら言った。
「私はこの数千年、呪術について研究している。中でも興味をそそられたのが、【デイクセリアの暗黒呪術】だ」
「!別名、『虚無の呪い』……」
聞いたことがある。不老不死の肉体を得る代わりに、感情を失う呪い。エルドロイドがかけられていた。
「その通り。哀れなものだ。不滅の肉体を得ても心を失うとは……」
ダイアを拐わせたのは、デイクセリアの暗黒呪術の実例を見て、その本質を見極める為。感情を失いながら、何故エルドロイドはヴォイドに抗ったのか。
それが解ればダイアはすぐに解放しよう。
宝玉もくれてやろう。
私は知りたい。『呪い』とは何か。




6ヶ月前 No.117

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

【第44章 Dark castle】


 悪魔達は、強力な魔力の気を感知し、互いの位置をある程度知ることが出来る。王女達はエルドロイドの感覚を頼りに進み、遂にダークキャッスルへと辿り着いた。
エルドロイドがいなかったら完璧に迷っていただろう。
ダークキャッスルは、最上階から入り口まで黒いレンガが敷き詰められ、一番高い屋根には旗が立てられている。黒い四枚の羽根が十字型に並んだ紋章。
「……ここに、ダイアが囚われている」
「絶対に、闇の魔王様を怒らせることのないようにしましょう。でなければダイア様が危ない」
と、エルドロイドとデスストーム。
「…だそうだ。貴様は特に気を付けろ、フェニックス」
いつものようにヴリザードが憎まれ口を叩くがフェニックスは「……うん」と返事しただけだった。普段ならヴリザードに言い返すのだが…。
(……やはり変だ。フェニックスが我の言葉に言い返さぬとは……)
「ヴリザード?どうかした?」
王女が声をかけると、ヴリザードは耳打ちした。
「……どうも、フェニックスの様子が変だ。我の覚えている限りだと、メラディオンの城を出た辺りから」
「え?そうかな?変わらないように見えるけど……でも、口喧嘩にならなかったのは珍しいね」
 「ヴリザード!ミアラ!行くよ!!」
アルドに呼ばれ、二人は後を追いかけた。
 ヴリザードが、フェニックスと関係が深いと聞いて思い出すのは、『彼』の姿。

(……モーメント……。いや、我の思い違いならばいいが)

5ヶ月前 No.118

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

【今回はあまり展開は進みませんが、エルドロイドと琥珀の因縁が明らかに。「へえー」くらいの感じで読んでやって下さい。】

城内は不気味な程静かで、魔物の姿は見当たらない。
どこにトラップがあるかも分からないので慎重に進んでいこうと思ったその時、エルドロイドが声を上げた。
「止まれ!」
「えっ…!?」
王女が驚いて足を止めた瞬間、頭上から鉄で出来た槍が降ってきて足元ギリギリの所に突き刺さった。
「あ、危なかった……」アルドが息を吐く。
「ほんと…あと一歩進んでたら串刺しだったよ…。ありがとう、エルドロイド」
礼を言われ、エルドロイドは両目を見開いた。
『ありがとう』など言われたことはない。
自分でも、言ったことがなかった。
「私はただ、止まるように言っただけだ。それなのに礼を言うのか?」
そう聞くと王女とアルドは、逆に驚いたようだった。
「え?助けてもらったんだもの、普通のことだと思うけど」
「…人間は不思議だな」
エルドロイドがそう漏らした時、

「ああああ、エルドロイド!!まさかお前まで人間と仲よしこよしになっちまうとはねぇ!」
ねっとりとした声が響いた。
「この声と邪気…琥珀か」
「姿を表せ!」
ヴリザードが吼えると、シャンデリアの上から巨大な黒龍が飛び降りてきた。
「そんなに怖い顔すんなよヴリザード!人間嫌いで有名なあんたが、一体どうしちまったのさ?」
「貴様に話す義理はない」
ヴリザードは琥珀を睨みつけるが、琥珀はニヤニヤと笑っている。
「まぁいいけどよ…エルドロイド、お前が幻夢界の王として役に立たなくなった所で、誰も困らない。お前がいない間に、きっとお前よりも優秀な者が選ばれてるさ。例えばそう…うちの兄貴とかねぇ」
「…<蒼玉>、サフィアルか……」エルドロイドが呟く。
ヴリザードが琥珀に言い返す。
「確かに<蒼玉>は優秀だ。他の兄弟達もな。だが貴様は、とても同じ血筋を持つとは思えんな」
「クク、好きに言うが良いさ。誰が何と言おうと、あたしは父上の血を引いてる。王家の血を一滴も持たないエルドロイドとは違う」
琥珀は馬鹿にしたように言った。
王女とアルドには話が見えない。デスストームは黙っている。
「……何の話を…?」
「…琥珀の言う通り、私は幻夢界の王でありながら、王家の血を引いていない。王家であるのは、私の妃の方だ。王になったのは、悪魔界と幻夢界の結び付きを強めるための政略結婚だが」
「だからあたしは、お前が憎いんだよ、エルドロイド。何で正統な王家の血を受け継ぐ兄貴でも弟でもなく、お前が王になったのか」
琥珀が不気味な笑みを浮かべたまま言った。
「……ってことは、琥珀も王家の血を?」
アルドが呟くと、デスストームが小声で教えてくれた。
「……はい。琥珀…いえ、アンバー様は、幻夢界の第3代目国王であったネイヴィークロウ様と、その妃ラヴーシュカ様の長女にあらせられます」

5ヶ月前 No.119

削除済み @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

【記事主より削除】 ( 2018/12/01 21:21 )

5ヶ月前 No.120

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

【クリスマスも過ぎましたがなんとか再開!】

アンバーと呼ばれ、琥珀は不機嫌そうにデスストームを睨んだ。
「その名前で呼ぶんじゃねェよ、デスストーム。…あたしは、ずっとこの機会を待ってた。幻夢国の王家の者としても、闇の魔王の側近としても。お前と存分に闘えるこの機会をね!!」
そう言うが早いか、琥珀は飛び上がり、エルドロイドに踊りかかった。エルドロイドを素早く受け身を取り、二体のドラゴンはもつれあう。
「琥珀……お前が私を恨む理由は、兄弟が王になれなかった事への怒りか?」
「あァ?何もあたしは、お前が王になった事自体が気に食わないんじゃない。お前の方が兄貴よりも王として優れてるっていうなら、大人しく認めるさ。だが、お前は王に相応しくない。そりゃそうだ、お前には心がないんだから!!」
馬鹿にしたような響きを帯びた声で、琥珀は言う。
エルドロイドは答えが見付からず、黙っている。
「心がなけりゃ、民の心はおろか部下の心すら分からない。そんな奴に、どうして国を治められる?お前がこれまで王でいられたのは、お前が六大魔王だったからだ!!お前に逆らえば、それは悪魔界との同盟を無視する事になる。悪魔軍の総帥であるヴォイド陛下を敵に回すなんて馬鹿な真似、誰がするものか!!」
その言葉に、王女は思わず口を挟んでいた。
「違うよ!!私は見た……デスストームさんも、エルドロイドの部下の皆も、エルドロイドの事を慕ってた!幻夢界だって、すごく綺麗な国だった!」
「小娘がでしゃばるな!!……そもそもお前達オランシアの生き残りがエルドロイドと出会わなければ、フェニックスやヴリザード達が裏切ることもなかった…お前らは『また』人間と悪魔の絆が生まれるとでも思ってるのか!?」
(……『また』?)
その言葉に気を取られた王女は、琥珀がエルドロイドを突き飛ばしてこちらへ向かってくるのに気付くのが遅れた。
「ミアラ!!逃げて!!」
「っ!?」
ハッとして顔を上げると、琥珀の顔が目の前に迫っていた。

4ヶ月前 No.121

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

「……何をする気だ」
体を起こしたエルドロイドが険しい声を出す。
琥珀は鋭い爪を振り上げて王女に向けた。
「……この小娘はオランシアの王女なんだろ?こいつの冠とお前の身柄をヴォイド陛下に引き渡せば、万事解決するじゃないか。わざわざ宝玉を集めて回るなんて馬鹿な事をしなくて済む。いずれにせよ、あのダイアとかいうチビ猫を助ける為にはあたしを倒すしかないよ?」
「だ、駄目!!この冠は絶対に渡さない!!」
王女が答えたことに苛立ったのか、琥珀は唸り、一息に爪を振り下ろした。逃げようにも恐怖で体が動かず、王女はギュッと目を閉じた。

だが、痛みはやってこない。
恐る恐る目を開けると、目の前に両腕を広げて立つアルドがいた。アルドの顔からほんの数ミリの所で、琥珀の爪が止まっている。
「ア、アルド…!!」
「アルド様!!」
フェニックスとデスストームが叫んだ。
エルドロイドは起き上がった姿勢のまま唖然とし、ヴリザードは黙って成り行きを見守っている。
琥珀がゆっくりと腕を下ろし、掠れた声で聞いた。
「……何で……何で庇おうとした?お前がこの娘を庇って何になる?あたしがあと数秒遅く止まらなきゃお前は死んでたんだぞ!?何故庇おうとした!?」
アルドは静かに、だが、はっきりと答えた。
「大切な友達だから」
と。
琥珀の目が大きく見開かれる。
「…トモダチ?それだけ?たったそれだけか?」
アルドは頷いた。王女がアルドに抱きつく。
「アルド……本当にありがとう……!!私にとっても、アルドは大切な友達だよ…!!」
「友達を守るのは当たり前でしょ?」
 二人の様子を見ていた琥珀が、突如笑い出した。
「……ふ、あぁはははは!!!!」
一同は驚いて琥珀を見る。琥珀はついさっきまでの殺気が嘘のように笑い続けている。
「ハハハハハハ!!…あァ、傑作だね。面白い。…いいだろう、お前達は、主に会う資格があるみたいだ」
その言葉に一同は耳を疑った。琥珀の主、それはつまり…闇の魔王。
「け、けど、どうして……」
「言っただろ、面白いからだって。今ここでエルドロイド共々お前らを始末するより、もう少し眺めた方が楽しそうだ。気が変わらない内にとっとと行きな」
つくづく、暗黒魔導龍というのは得体が知れない。
王女は警戒しつつ、エルドロイドに聞く。
「…どうする?エルドロイド」
「……嘘は吐いていないようだ。進むべきだろう」
エルドロイドは立ち上がり、琥珀を一瞥すると歩き始める。ヴリザードが続いた。フェニックスとデスストームは顔を見合わせ、王女達に頷いてみせると彼等に続く。
「…行こう、ミアラ」
「そうだね。今は何よりも、ダイアを助けなきゃ!」

王女達が階段を上って行くのを見届けると、琥珀は闇の魔王にテレパシーで連絡した。
『魔王様、エルドロイドと王女達が、そちらに向かいました』

4ヶ月前 No.122

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

【明けましておめでとうございます。今年も魔界王国物語を宜しくお願いします。】

【第45章 闇の魔王】

 巨大な魔物の像に挟まれるようにして造られた扉を開ける。そこに待ち構えていたのは、体の各部に金の飾りを着けた大柄な黒猫。恐らく、闇の魔王だろう。
予想していた姿とは違い、王女は思わず彼をまじまじと見つめた。
(あれが…?もっと大きくて怖いのかと思ってたけど)
闇の魔王は通常の猫よりも長い尾を揺らしながら言った。
「テレパシーを通じ、琥珀から話は聞いた。そなたらは、友と、世界を救う為にここまで来た。そこに一切の無駄はない。我が宝玉を渡すに相応しい」
それを聞いた王女が身を乗り出す。
「じゃ、じゃあダイアは!?ダイアは助けてもらえるんですか!?」
闇の魔王はゆっくりと頷き、「翡翠」と配下を呼んだ。
名を呼ばれ、青緑の鱗をしたドラゴンが扉を開けて現れた。彼が押している移動式の檻の中には…
「…!ダイア!!」
「無事だったのね!!」
王女、アルドの声にダイアが目を輝かせ、鉄格子に顔を押し付けた。
「ミアラ!!アルド!!」

4ヶ月前 No.123

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

ダイアの姿を見て、デスストームもホッと息を吐く。
見たところ、怪我も衰弱もしていない。
ヴリザードはダイアと会うのは初めてなので、興味をそそられたのか、再会を喜ぶ王女達の元へ近付いた。
翡翠に檻を開けてもらい外に出たダイアは、見たことのない巨大なドラゴンにびっくりして、口をポカンと開けた。
「こ…このひとは?」
「あっ、初対面だもんね。彼は氷の魔王ヴリザード。宝玉を渡してくれて、旅に同行してくれたの」
アルドが答えるとフェニックスも言った。
「ここに来るまで、三つの宝玉をもらったんだよ!」
ダイアは目を丸くした。
「三つも!?すごいね!!…それと、よろしくね、ヴリザード!!」
ダイアが手を差し出すと、ヴリザードは大きな爪の先でそっとダイアの手に触れた。
「我の方こそよろしく頼む」
 その光景を見ながら闇の魔王は、エルドロイドだけに聞こえる小さな声で、静かに言った。
「…あれが、『絆』というものか」
「闇の魔王。いくら彼等を試す為とはいえ、ダイアを拐うなど少々やり過ぎではないか」
険しい声でエルドロイドが言うと、闇の魔王は首を傾げてみせた。
「やり過ぎ?そう『思った』のか?そなたが?心などないそなたが?」
「…『思った』のではない。『考えた』のだ。感情はなくとも思考は残っている」
「本当にそうか?闇に対抗しうるのは光。そう、絆の力。同時に、呪いに対抗しうるのは祝福。そなたを祝福する者が現れれば、デイクセリアの呪いは解けるかもしれぬぞ…?」
エルドロイドは目を細め、闇の魔王を見た。
「……私を祝福する者など、どこにもいない」
「『これまでは』な。少なくとも私には、以前会った時と比べそなたが変わったように見える。あの人間達の影響かは知らないがな」
バフォメットの言葉が頭をよぎる。
『ようやく分かったのですね。大切なのは己を、心を信じることだと』
あの時肯定はしたものの、実際はまだ、『信じる』とは何なのか、よく分からない。
闇の魔王は何もない異界の空を、空とすら呼び難い空を見上げて呟いた。
「……そなたがヴォイドを裏切ったのも、己の考えを信じていたからではないのか。私はそうだ。自分の感じた疑問は間違いではないと信じた。だから逃げたのだ」
「……お前は、『何』から逃げた」
「…………」
闇の魔王は答えず、王女達の元へ向かうと、宝玉を渡した。『闇の宝玉』…使い方一つで持ち主をも飲み込む恐ろしい宝玉だ。
(……得体の知れない奴だ。何せ、本当の名前すら分からないのだから)
「闇の魔王」。それは彼の肩書きであり、名前ではない。だが誰も、彼の名前を知らなかった。

4ヶ月前 No.124

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

第六部に入ります!明日から学校……おおう……(泣)

【第46章 六大魔王】

 (フェニックスの様子については、まだ問題ないな…)
彼奴は魔王には相応しくない程のお人好しだからどうなるかと少し気になっていたが、今となっては余計な心配だったとモーメントは思う。エルドロイドは兎も角フェニックスが悪魔軍を、自分を裏切れるはずがない。
そんな事を考えながら六大魔王専用の談話室に入ると、中は普段の倍以上に騒がしかった。
「どうする?エルドロイドを殺せなんて、ヴォイド陛下は本気で言ってるのかな?仲間なんだよ?」
アザトースが言うと、ヴラドゥレアが彼を怒鳴り付ける。
「『元』仲間よ!あんたねぇ、それでも六大魔王の序列二位なの?アイツはあたし達を裏切ったのよ!!」
「じゃあヴラドゥレアはエルドロイドが死んでもいいの!?」
「馬鹿じゃない?アイツは不死なのよ!ボスのいう『排除』っていうのは、捕まえて地下牢にでもぶちこめって事よ!社会的に存在を『抹殺』しろってね!!」
二人の言い争いを横目で見て、モーメントは溜め息を吐く。こんなに煩いなんて、それでも最高幹部か、こいつらは。
モーメントに気付いた六大魔王序列四位のアンラが、小声で説明した。
「煩いと思うだろうがそっとしておけ。先程の命令を受けてからこの調子だ」
「どうにかならんのか。余は煩いのが嫌いだ。頭が痛くなる」
アンラは二人を見て、困ったように首を振る。
「…止められるなら止めている。何を言っても聞かんのだ」

4ヶ月前 No.125

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それよりも、とアンラは深紅の瞳をモーメントに向ける。
「モーメント…貴殿はどうなのだ?貴殿は『仲間』を排除出来るのか?」
「聞かれるまでもない。それが“あの御方”のご意思なのだから、余はそれに従うだけだ。裏切者など仲間とも思わない」
モーメントは即答し、アンラに「汝はどうだ」と聞き返した。逆に聞かれ、アンラは目をしばたたいたが、はっきりと答えた。
「私とて同様だ。私達は『仲間』以前に“あの御方”の僕。嘗て共に戦ったといえど、情けはかけられない」
「その通りだ。余も汝も、ただヴォイド陛下に忠実に命をこなせばいい。他の魔王共が使い物にならずとも、余は、やる」
そう言ってモーメントはマントを翻し、談話室の奥にある自室へ戻っていく。それを見送り、アンラは溜め息を吐いた。
「………同情はしよう。エルドロイド」

4ヶ月前 No.126

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h


自室へ戻ったモーメントは、扉を閉めるやいなや壁にその鋭い爪を突き立てた。紫の瞳を光らせ、低い声で吐き捨てる。
「…エルドロイドめ…“あの御方”の僕でありながら、人間如きと馴れ合いおって…!!」
突き立てた爪を、更に深く食い込ませる。
許さぬ。赦さぬ。ユルサヌーー!!

「…ッ!!」
指先に痛みが走り、モーメントは我に返った。
力を入れすぎたようで、血が滲んでいる。
(………)
自分の指を何も考えずに見つめた後、モーメントは呟いた。
「……ああ、治療しなければ……。怪我をしたままでは任務に支障が出る…」

そもそも何故今、自分は怪我をした?
エルドロイドが憎かったからだ。
何故、こんなにもエルドロイドが憎い?
主であるヴォイド陛下に逆らったからだ。
……では、反逆者を始末すれば……陛下は、もっと自分を認めてくれるのではないか。

「…………エルドロイド…せいぜい余が陛下に忠を尽くす為の踏み台になるがいい」
そう呟き、モーメントは指先を治療する為に海の魔王にして軍医であるグラディオンの元へ向かった。

【……ヤンデレっていいよね←】

4ヶ月前 No.127

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【第47章 海を目指せ】

 ようやくダイアと再会できた王女達はダークキャッスルを後にし、異界から魔界へと戻って来た。
「ふぅーっ、ずっと空も地面も見れなかったから新鮮だなぁ」
数日振りに魔界へ帰ってこれたダイアは大きく伸びをする。ダークキャッスルからは何の景色も見えず、精神的にも参っていたのだ。
「ダイアが無事で本当によかったよ。何も酷いことされなかった?」
「うん、僕のことはほとんどほったらかしだったよ。一回だけ闇の魔王が色々質問しに来たけど」
「質問しに?」
「何で宝玉を集めるのか…とか」
やはり闇の魔王も、伝説を実現させようとして宝玉を集める者が現れたことに気付いていたのだろう。
「……さて、次は何処へ行くのだ、エルドロイド」
ヴリザードがエルドロイドを見る。
「東か、それとも北か。…或いはもう一ヶ所か」
「…そうだな…そろそろ悪魔軍の方も、我々の情報は把握しているだろう。先の事を考えると、敵になる危険性が高い者の所から先に回っていった方が良いだろう」
「えっと…どうして?」
王女が尋ねる。
「情報が漏れれば、その分魔王達の警戒も厳重になる。そうなれば宝玉を集めるのは困難になってくる。我々の正確な位置や目的を掴まれる前に、魔界にいる残り三人の魔王の中で一番危険な…海の魔王の元へ行く」

3ヶ月前 No.128

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

「危険な…って、どういう意味で?人間を憎んでるとか?」
アルドが聞くと、エルドロイドは首を振った。
「…いや、そうではない。海の魔王グラディオンは、正確には、『海魔軍総隊長』であり軍医という地位にいるのだが、強力な悪魔な上に敵になるか味方になるか、全く予想がつかない人物なのだ」
グラディオンは魔王でありながら気紛れで奔放で、人間を憎んでいるわけでも好んでいるわけでもない。加えてヴォイドに対してまともな忠誠心があるのかすら分からないような人物だった。
「しかし実力は桁違い。全世界の海と水を支配し、ありとあらゆる海魔…水属性の悪魔や魔物を従えている。六大魔王にも劣らない魔力の持ち主だ」
ヴリザードも付け足した。二人がそこまで言うとは、余程恐ろしいのだろうか。海の魔王グラディオンとは。
「そんなひとがもし敵になったら…」
「……怖いね……」
王女とアルドは思わずゾクリとした。その様子を見てフェニックスが言う。
「んー…、確かに気紛れでナルシストで何考えてるかわかんないけど、話の通じないひとじゃないよ。行ってみていいんじゃない?」
「……ナルシスト?」
ダイアが小声で繰り返した。ますますどんなひとなのか分からない。
「……そうだな。いずれにせよ宝玉は集めなければ。では急いで、海へと向かうぞ」
エルドロイドが指示を出し、王女達は頷いた。
ふと王女が気になったことを口にする。
「…そういえば、南の魔王の…メラディオンさんと名前が似てるけど」
「あぁ、メラディオンは基本、グラディオンと共に行動しているからな。詳しい関係は知らないが、魔王となるべく教育された者の名前はヴォイドが与えるから、ヴォイドは元々この二人をパートナーにするつもりだったのだろう。分かりやすいように名前を付けたのではないだろうか」
「そうなんだ……」

3ヶ月前 No.129

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【お待たせいたしました。繋がってる内に進めねば…!】

【第48章 海の魔王グラディオン】

 モーメントは魔法陣を使い、魔界の海底にあるグラディオンの城を訪れた。美しさを重視して造られたグラディオンの海底神殿は、他の魔王達の城と比べ神秘的な雰囲気を醸し出している。
魔王の間にて、グラディオンはモーメントを迎えた。
丁度退屈していたのか、話し相手の出現に口角を上げる。
「おやおやぁ、モーメントではないですか。どうしました、君が私の所に来るなんて。この前使い魔を通してお話ししたではないですか。あ、うみねこではなく本物のグラディオンお姉さんに会いたくなったんですか?美しい私がいなくなった悪魔界は寂しいでしょう?」
「寝言は寝て言え。出来れば会いたくなかったわ」
低い声で切り捨てるとグラディオンは黒い革手袋を嵌めた手でわざとらしく顔を覆った。
「そんな事言われたらお姉さん悲しいですよぉ?泣いちゃいますよ?」
「勝手に泣け。余が用事を済ませてから」
モーメントは鎧を外し、グラディオンに腕を見せた。
「おや、指を痛めたので?一体どうしたんですか?あと折角なので兜も外しません?」
「何故……」
「だって君、綺麗な顔してるじゃないですか。見せないなんて勿体無い」
「手の治療で兜を外す必要がない」
グラディオンは「えぇ〜」と言いつつ神殿に備蓄してあった医療器具を取ってきて、手際よく手当てしていく。
ふんふんと鼻歌混じりにモーメントの傷口を消毒しながら、グラディオンは尋ねた。
「どうです、エルドロイドは見つかりそうですか?」

2ヶ月前 No.130

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

「……現在全力を上げて捜している」
「へえ、天下のモーメント君がここまで手こずるとはね。でも、この魔界の何処かにいるんですよねぇ」
そう。エルドロイドも人間共も、魔界にいることは解っている。なのに見つけられない。それが余計モーメントを苛立たせていた。
モーメントは元より、悪魔軍の膨大な情報を管理し、軍に属する者に怪しい動きがないか監視するのが役目。
だがエルドロイドには、どうせ感情がないのだからと警戒を怠った。自分でもこの失態は大きいと感じている。
「余が…余が必ずや見つけ出し、この手で罰する…!!しかしエルドロイドの魔力が微塵も感じられぬ…奴が魔力の放出を抑えているのだ…忌々しい…!!」
基本的に、上位の悪魔は自らの力を周囲に示す為、戦闘時以外でもある程度の魔力を放出している。それは勿論自力でコントロール出来、己の位置を悟らせない為に魔力を抑える者もいた。
「エルドロイドも中々賢いですからね。お陰でモーメント君は辛抱強くモニター前で捜索隊からの朗報を待たなければならない、という訳ですか。乙ですね」
「何を他人事のように…グラディオン、汝は陛下の為に何かしようとは思わぬのか!」
「ん〜そうは言われましても私如きが偉大で完璧で無欠なるヴォイド総帥閣下のお役に立とうなど…私に出来ることはそう!ここでのんびりエルドロイド達がやって来るのを待つ事!!」
「………汝、それでも魔王か…」

2ヶ月前 No.131

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

何故、ヴォイドはこのような者を魔王に選んだのか。
常にヴォイドの為に全てを捧げヴォイドの為に動いているモーメントにとって、グラディオンのようなタイプは全くもって理解出来ない。
「まあそう言わずに♪私なりに考えはあるんですよ」
グラディオンはニヤリとして人差し指を立てた。
モーメントは腕部分の鎧をつけなおしながらグラディオンを見る。
「…考え?」
「私は、人間達に宝玉を渡します」
「なッ…!!」
ガタ、と椅子を鳴らしたモーメントを片手で制し、グラディオンは続ける。
「落ち着いてくださいな。『宝玉を渡すこと』そのものは陛下への反逆にはなりません。重要なのは『何故渡したか』ではないですか?」
「……?」
グラディオンが言わんとしていることを理解しかね、モーメントは僅かに首を傾げた。それを見たグラディオンは愉しそうに口の端を吊り上げる。
「私は敢えて宝玉を渡し、人間達に心を動かされた振りをします。そうして、彼等の目的とエルドロイドの様子を探ります。…ああ、ついでに君の可愛い小鳥のことも見ておいてあげましょうか?…その後私は悪魔界へ戻り、やらなければならないことがあるので、私の報告を聞いて君は泳がせるなり何なりお好きに」
……成る程。そういう方法もあるか。
グラディオンの態度はいまいち信用に欠けるが、流石に日和見主義の彼女(性別はないらしいが)がヴォイドを裏切ることはしないだろう。
あの後のフェニックスの様子も少し気になる。
「……では、裏切らぬのだな」
「全てはヴォイド.フォール陛下の御為に。“最後の審判”の為に……というコトでお願いしますね?」
グラディオンはわざとらしく、胸の前で逆十字を切った。

2ヶ月前 No.132

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【第49章 美しい世界】

 魔界の海には、こんな言い伝えがある。
『海には恐ろしい悪魔が棲んでいて、数百年に一度、美しい娘を生け贄に要求してくる』。
海が美しく、生き物がその恩恵に与れるのは、悪魔が生け贄の魂と引き換えに海を護っているからだと。

「その悪魔こそがグラディオン…『美しいもの』に異常なまでの執着を持つことで有名だが、生け贄の話は、大昔海が荒れた時、生け贄を捧げたら海が鎮まった事から人間が加えたものだ。グラディオンとしては喜んでいるやも知れんが」
エルドロイドが歩きながら話す。
一同は今、海の近くに作られた港町アクアンに来ていた。グラディオンの城は海底にある為、地上から魔方陣を使って行く。わざわざアクアンまで来たのは、少しでも魔法に使う魔力を小さくする為だ。
「皆さん、ダイア様もお疲れでしょうし、今日はアクアンで宿をとりましょう。グラディオン様の所へは明日」
デスストームが提案した。その考えに皆は頷く。
「そうだね、私も疲れちゃったし」
王女も賛同した。

悪魔が魔界を訪れるのは珍しくないので、宿屋の主人はエルドロイド達を見ても追い払おうとはせず、普通に泊めてくれた。
「エルドロイド達が魔王だってバレないかな?」
「主人の対応からするに、我々の姿は知らないようだ。心配ないだろう」
アルドとエルドロイドが話す横で、フェニックスはややテンションが上がっている。
「お〜…!!僕、宿屋なんてはじめて…」
「寧ろ宿屋に泊まったことがある魔王が他にいるのかフェニックス」
ヴリザードが冷めた態度で突っ込んだ。


2ヶ月前 No.133

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h


翌朝、久々にベッドで眠って疲れが取れた王女達は、食堂に下りてエルドロイド達と合流した。
グラディオンの元へは朝食後すぐに向かう。
宿の女性が、湯気の立つスープとパンをテーブルに起きながら話しかけてきた。
「お客様方、この町へは観光で?」
「少し捜し物があってな。『海の魔王』に関する物で」
エルドロイドが素早く答える。
「そうですか…海の魔王だけでなく、この町の近海には、『魚龍族』の集落もあるそうですよ。魚龍族を一目見ようと観光で来る方は多いです」
「ぎょりゅう……って?」
王女が小声でデスストームに聞く。
「水属性の悪魔の総称です。文字通り魚と龍が混ざったような姿のもの、鱗や水掻きのある人間の姿のもの、普通の龍や人間と変わらぬ姿のものなど、多種多様な種です。グラディオン様も、魚龍族ですよ」
「へぇ……」
王女はパンをかじりながら、悪魔と一口に言っても色々いるのだなと思った。

2ヶ月前 No.134

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 主人に礼を言い、王女達は、宿屋を後にした。
改めて見ると、町中の至るところに水路が張り巡らされていて、何処に行っても水の流れる音がする。海岸までの道は、まるで御伽噺のような町並みだった。
人目を避ける為に路地裏を通り、海岸へやって来た王女達は、どこまでも続く紺碧の海に圧倒された。
「うわぁ……!!」
「キレイ…」
宿の窓からも海は見えたが、こうして間近で見るのとは全く違う。朝の海は日の光を受け、目映く煌めいていた。
「では、魔方陣を発動する。私の側に寄れ」
エルドロイドが言った。王女達が彼の近くに集まると、足元に魔方陣が出現する。
「━━海底神殿・アクアメイズへ…」
その瞬間、魔方陣が光を放った。


目を開けた王女の視界に飛び込んできたのは、神話にしか存在しないような、美しく神秘的な建造物。
純白の柱や壁を用いるなど、魔王の城とはにわかに信じ難い。『美しく』という目的だけでデザインされたのだろう。
見上げれば首が痛くなるほど高い天井には絵画が、通路には様々な魔物の彫像が飾られている。
何より驚くべきは、水のない神殿内に…つまりは空中に、色とりどりの魚が泳いでいることか。
「どうして魚が…?」
「グラディオンの魔法だろう。この神殿は水中と同じ空間であり、かつ我々はその影響を受けず呼吸が出来る。…恐ろしい魔力だ」
ヴリザードが呟いた。

1ヶ月前 No.135

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 通路を進んで行くと、やがてステンドグラスや彫像で飾られた、円くて広いホールのような場所に出た。
中央には豪華なテーブルと、八つの椅子が用意されている。
「…座れ…ってこと?」
王女が周囲を見回しながら言う。相変わらず魚は泳いでいるが、辺りに魔物の姿はない。
「変な仕掛けはないようだ…席に着いてみよう」
テーブルの上には美しい紫の花と、<welcome>と書かれたプレートが飾られている。歓迎してくれるつもりなのだろうか。向こうの意図がよく分からぬまま、七人は椅子に座った。やはり一つ余る。
「…なら、ここはこの神殿の主の席か」
エルドロイドの言葉と同時に、閉まっていた扉が開け放たれ、紫のドラゴンが現れた。悠々とホールを一周し、余っている席の近くへと降り立つ。その瞬間、ドラゴンは女性に姿を変えた。
長い紫の髪をリボンでお嬢様結びにし、袴を着た翠色の瞳の女性。その顔立ちは、まさに絶世の美女。
子供達は、呆気にとられて女性を見つめた。その美貌はさることながら、彼女は王女達が初めて目にする『人間の姿の悪魔』だった。
彼女は椅子に腰を下ろし、客人達に笑顔を向けた。
「皆々様、ようこそ私の海底神殿へ!私は海の魔王グラディオンです。お会いできて嬉しいですよ」
芝居がかった仕草を交え、朗々とした声で、グラディオンは言った。



1ヶ月前 No.136

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「あ、あのっ、あなたにお願いがあって…」
王女が切り出すと、グラディオンは指をスッと動かした。するとテーブルに、ティーセットとケーキが現れる。
「まあそう慌てずに。折角こんな海底まで来てくれたのですから、おもてなしをさせて頂きたい」
グラディオンは召し上がれ、とばかりに片手でケーキを示す。王女達は、戸惑いながら顔を見合わせた。
敵対的でなかったのは嬉しいが、ここまで友好的にされるとは思わなかった。
「ん?どうしました?別に毒なんて入ってませんよ?」
そう言うとグラディオンは、自分のケーキを食べ始める。エルドロイドとヴリザードは警戒したように動かないが、王女はおずおずとフォークを持った。
ケーキにそっとフォークを刺して、一口だけ口にする。
「……!!美味しい…」
目を丸くした王女に押され、アルドとダイアも食べ始める。グラディオンは嬉しそうに微笑んだ。
「フフ、そうでしょう?これは悪魔界の貴族にも人気の一品なんですよ」
「…悪魔も、お菓子を食べるんですか?」
「勿論!我々だって美味しいものは好きですとも。美しいものを見れば感動するし、楽しければ笑うし、悲しければ泣く。そう考えれば、人間との違いなんて姿形や魔力量くらいのモノではないですか?」
グラディオンの言葉に、王女はハッと目を見開いた。
その通りだと思った。魔王にもフェニックスやエルドロイド達みたいな者がいるのだから、他の悪魔だって、争いを嫌う者がいるはずだ。人間にも善人と悪人がいるのに、人間達には『悪魔』というワードだけで凶暴なイメージがある。
「…グラディオン。それはお前の本心か?」
エルドロイドが尋ねた。
「本心?いいえ、これは私個人の考えでなく客観的に観た事ですよ…まあ実際、我々悪魔の『本能』は血や戦いを好んでいるわけですが、それは旧い悪魔の話。貴方やフェニックスみたいな若者は、だいぶ本能が薄らいでるようですが」


1ヶ月前 No.137

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グラディオンはエルドロイドとフェニックスを指差し、目尻を吊り上げた。エルドロイドが黙っていると、グラディオンの形の整った唇が開き、鋭い牙が覗く。
「フフ…賢い貴方なら解るでしょう。貴方達は争いたくなくとも、ヴォイド陛下は神々や天使の血を欲している。彼が嘗て、神々と天使からどの様な仕打ちを受けたのか…想像出来ますか?」
「…いや。ヴォイドの目的は”最後の審判“における天界への復讐と、封じられた邪神イルテバークの復活…というのが、天使や悪魔の間では当然のように語られているが、何故彼がそこまで天を憎むのかは知らない…しかし」
エルドロイドはグラディオンの言葉を受け入れ、その上で続けた。紅い瞳でグラディオンを見つめる。
「喩えどの様な理由が、過去があろうとも、世界を壊し数多のものを犠牲にすることは認められない。下手をすれば、天界や悪魔界だけでなく全ての世界が危険に晒されるのだぞ」
話の次元が宝玉の事から逸れていると感じ、王女はそわそわと足を動かした。
二人は一対、何の話をしているのか?
(私は、宝玉を集めるのはオランシア王国とメルディオ王国を救う為だとしか思ってなかったけど…エルドロイドは、もっとずっと恐ろしい事を阻止しようとしてるの…?)
『最後の審判』とは。『天界への復讐』とは。『邪神イルテバークの復活』とは。
━━何か、とてつもなく恐ろしいことが起ころうとしている。
王女はそう直感した。

1ヶ月前 No.138

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「へえ?いつの間に他の世界のことまで心配するほどお優しくなったんです?我々が気にすることはありませんよ、他の世界の人々は何も知らず、苦しむ間もなく滅びるでしょう」
「まさかお前までそのような考えだったとはな。少しは話が分かるかと考えていたが、所詮はお前も『悪魔』だったか」
グラディオンとエルドロイドの会話は口論のようでいて、二人の間に流れる空気は冷めきっていた。
余裕のある笑みを崩さぬグラディオンと、無表情のエルドロイド。グラディオンはエルドロイドの言葉を受け、けらけらと笑った。
「ははっ、勿論勿論。私は悪魔ですとも。貴方もフェニックスも、ヴリザードもね?」
「………」
フェニックスは俯き、ヴリザードは鋭い目でグラディオンを見る。グラディオンは面白そうに目を細め、不意に王女達へと顔を向けた。
「では、悪魔同士での議論はやめて、人間や猫族にも意見をお伺いしましょう!」
「…えっ?」
それまで蚊帳の外だったのにいきなり話を振られ、王女達は、ビクッとした。グラディオンは大袈裟な身振りを交えて言う。
「その様子だと、エルドロイドは何も教えてないようですね?もうじき始まるのですよ、“最後の審判”が!最後の審判…それは互いの全てを賭けた、天使と悪魔の最終戦争!エルドロイドの目的は、悪魔軍の勝利を防ぐこと。何故って?悪魔軍が勝てば、天界だけでなく人間界、魔界、魔法界さえ滅びるのだから!それはつまり、魔法界にあった彼等の故郷『メルディオ王国』が助かる道はなくなるということ!!心が無くとも本能的に故郷を守ろうとしているのでしょうね?しかし、貴方達は何も知らなかったのでしょう?一対貴方達は、何故宝玉を集めていたのですか?」

1ヶ月前 No.139

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「私達は…ただ、オランシア王国とメルディオ王国を…ヴラドゥレアとヴォイドの手から助け出さなきゃって…」
グラディオンから与えられた情報の多さに、王女の頭は混乱する。
(天使と…悪魔の、戦争?悪魔が勝ったら、魔界も滅びる…!?じゃあ、ただ宝玉を集めるだけじゃ…)
「…本当、なの?エルドロイド」
アルドが問いかけると、エルドロイドは暫し目を閉じて、小さく「ああ」と答えた。本人からも肯定され、アルドとダイアは唖然とする。
「…黙っていたことは詫びよう。最後の審判のことは、お前達には最後まで知られないようにしたかった。本来『人間』には知られてはならないことだ。…だが、こうなっては仕方ない。…隠さず伝えよう」
エルドロイドは深紅の瞳を開け、グラディオンに指を突き付けた。
「私は最後の審判でお前達悪魔軍の勝利を防ぐ。宝玉を集めることで光と影の龍を解放し、ヴラドゥレアやヴォイド達によりもたらされた悲劇を終わらせる。その先に、オランシアとメルディオの救済もある…だから改めて、お前達の意志を確かめたい」
エルドロイドは王女、アルド、ダイアの三人を見つめる。
「敵はヴラドゥレアやヴォイドに留まらず、『悪魔軍』そのものだ。ここからの旅は更に危険なものになる。それでも尚、私と共に宝玉を集める覚悟はあるか」
三人は顔を見合わせた。
考える必要などなかった。
「…勿論!約束したもの、オランシアもメルディオも助けるって!」
アルドがフェニックスに向けて笑いかける。
「…アルド…」
「僕達は、エルドロイド達の仲間だもん。どこまでも一緒に行くよ」
「…ふ、それでこそ我が認めた者達だ」
ダイアも力強く頷いた。ヴリザードが静かに笑みを溢す。
王女はエルドロイド、フェニックス、ヴリザードに向けて頷き、未だ笑みを崩さぬグラディオンを見据えた。
「グラディオンさん。私は、私達は、故郷だけでなく魔界を、いいえ、『大切なもの』を護る為に宝玉を集めます。だから、あなたの持っている宝玉を譲ってほしいんです!」
グラディオンの口角が更に吊り上がった。
(まさかまさか、ここまで熱く語って頂けるとは。これなら充分『心が動く』というものです。エルドロイドの裏切りの目的も、王女達の意志の堅さもよく解った。この辺りで良いでしょう…ここからの演技が大切です)
「……嗚呼、貴方達の想い、絆は実に美しい!!」
グラディオンは感動したように、声を上げた。

1ヶ月前 No.140

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1ヶ月前 No.141

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【第七部に入ります。いよいよ後半かな?】

【第50章 裏切り者は誰か】

 ━━悪魔軍の本拠地、闇淵宮ヘル・ゲーティアにて。

「…エルドロイドと人間共は、確かに“最後の審判”で我等の邪魔立てをすると、そう言ったというのか」
玉座に座り足を組んだヴォイドが低い声で尋ねる。
壁に反響して不気味に響くその声に、多くの魔王達は喉を鳴らす。
「…はい。グラディオンより報告がありました。今しがた彼女の元にエルドロイド達が来たと。そして彼女は奴等の目的を探り宝玉を渡したと」
ヴォイドの前に跪いたまま、モーメントが告げる。
六大魔王がざわつく。一方既に彼等に宝玉を渡した魔王達は落ち着かない様子でヴォイドの反応を伺う。
ヴォイドは玉座の肘置きを鋭い爪でなぞっていたが、やがて小さく含み笑いを漏らした。
「……ク、クク……面白いではないか。心も持たぬくせに我等に逆らうなど、やはり『宿命』には抗えぬか。愚かな『影』だ…。よもや人間まで首を首を突っ込んで来るとはな」
怒っている口振りではない。寧ろ面白がっている。
「……残る魔王の拠点から、奴等の目指す大方の位置は把握出来ます。即刻追跡隊を向かわせますか」
モーメントがそっとヴォイドを見上げる。
ヴォイドは片手を大きく広げた。
「━━まだだ。まだ泳がせろ」
『!?!?』
ヴォイドの言葉にヴィルペア以外の魔王は唖然とする。すぐにでも動くかと思っていた。

1ヶ月前 No.142

闇月 @warabimoti ★Android=xdCufVxL3h

【上の記事なんで「首を」が二回も書かれてるんだ】

「奴等の愚かな希望など容易に潰せる。喩えこの中に、奴等の吐く綺麗事に惑わされ宝玉を渡した裏切り者が何人いようと構わぬ。時が来れば“最後の審判”は始まるのだからな」
ヴォイドはその場の全員に言い聞かせるように、ゆっくりと話す。それを聞いてモーメントが素早く他の魔王達を振り返る。
「しかし陛下、この中に宝玉を渡した者がいるならば刻処刑を…!!」
「言った筈だ。裏切り者がいようと構わぬと。我への反逆の意思があろうがなかろうが、貴様等はただ天界の者共と戦えば良い。天使共の羽をもぎ、地へと叩き落とせ。その後で存分に『褒美』をくれてやろう。今重要な戦力を減らすのは愚行というもの」
ヴォイドはクク、と肩を揺らした。『褒美』が何を表すのか、魔王達は悟った。ヴォイドが天界への復讐を果たすまでは生かし、利用価値が無くなれば裏切りの代償として処分される。
「悪魔としての矜持も魔王としての責務も忘れたならば、せめて我が復讐の道具として、我を喜ばせよ。…誰が裏切り者かの特定はまだしない」
余裕の態度で足を組み、ヴォイドは言い放つ。
「…あァ…それと、偵察隊は撤退させて良い。エルドロイドの元には既に半分以上宝玉が集まっているはず。この際、審判にて我等の邪魔をするべく悪魔界へ飛び込んで来るのを待とうではないか」
宝玉を渡した魔王達は、ある覚悟を決めると、跪いた。
『……イエス。マイロード』


26日前 No.143

闇月@創作の民 @yomogineko ★Android=b1xWjEVZxr

【アカウント変えましたが私は本物だ!】

 その場は解散となり、ヴォイドと六大魔王が姿を消すと、他の…宝玉を渡した魔王は顔を見合わせた。フェニックスとヴリザード、闇の魔王、グラディオンが不在の為、今ここにいるのはメラディオンとスヴェート。
「…さて、厄介なことになった。このままでは我等は処刑台行きだな」
西の魔王スヴェートが首を振りながら言うと南の魔王メラディオンが口を開いた。
「…陛下は何故、『特定はしない』などと仰ったのだろうか。モーメントの言葉からして、既に誰が宝玉を渡したのかは露見しているはず。我々が宝玉を渡したのだということは分かっているはずなのに」
「……陛下のいう『裏切り者』とは…エルドロイド達の思想に共感し、宝玉を明け渡した者。グラディオンのように懐柔されずに悪魔軍のことを考えて宝玉を渡した者は裏切り者にはならない。いずれ陛下は我等に『宝玉を渡した理由』を問い質すだろうな」
「………私は、宝玉を渡したことを悔いてはいない。しかし、天使と戦うことは変わらない……」
「最早我等だけでは何も出来まい。あとはエルドロイド達に賭けよう」

20日前 No.144
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