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狂愛ファンタスティック

 ( 小説投稿城 )
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畏原狂助 @prodigy ★iPhone=NwJ4eEG2Le

▼主な登場人物▼


●不破 子夜 - ふわ しや●
県立上場(あげば)大学に通う1年生

●音笛 薺 - ねふえ ひと●
私立縫小沢(ぬこざわ)女子大学に通う2年生

メモ2016/10/11 20:16 : 畏原狂助 @prodigy★iPhone-stnTVFoE9f

▼目次▼


ーーーーーーーーーーーーーーーー


▼序章▼

>>1

▼第一章▼美人に棘あり

>>2-5

関連リンク: 畏原狂助 ANOTHER WORLD 
ページ: 1

 
 

畏原狂助 @prodigy ★iPhone=xrkI5ddcW1

▼序章▼


梅雨。
梅雨は嫌いだ。
湿度と雨。
最悪のコラボレーション。
これ程までに俺の気を悪くさせるものはないだろう。
俺、不破子夜はそんな想いと葛藤しながら、薄暗い夜道を歩いていた。
街灯の灯りが降り注ぐ雨を照らす。
先程買ったばかりのパンと、缶コーヒーの入ったコンビニの袋が、歩くたびに擦れ、これまた不快な音を立てる。
傘を閉じ、古びたアパートの軋む階段を上がっていく。
鍵穴に鍵を差し込んだ時、俺は異変に気付いた。
今まで空き部屋だった隣室に、人の気配がある。
俺は、暫く隣室のドアを見つめてから、ゆっくり鍵を回した。
カチャリ、と音がして、ドアが開いた。

6ヶ月前 No.1

畏原狂助 @prodigy ★iPhone=QpfAyFjXuV

▼第一章▼


美人に棘あり


重い体を無理矢理起こし、支度を済ませ、
今日も大学へ向かう。
俺の通う上場大学は県立の大学で、中堅高校で
そこそこ勉強のできた人が通うような、レベルも人気も知名度も微妙な大学だ。
そんな微妙な大学で、男女比10:0という工学部を専攻し、華もクソもないキャンパスライフを送っている。
彼女が要らないというわけではない。
出来ることなら、清楚で美人な文学少女と付き合いたい。
だが、そんな淡い願いが、陰キャラという言葉を具現化したかのような俺に叶うはずもない。
俺はノートの隅に落書きをしながら、教授の話をぼんやり聞いていた。

6ヶ月前 No.2

畏原狂助 @prodigy ★iPhone=STMZcWFqpB

「おい、不破」
講義を終え、支度をしていた俺を呼ぶ声が聞こえた。
声の主など、見なくても分かる。
こんな冴えない俺に自ら声をかける変わり者は、この広い地球、どこを探してもアイツだけだ。
「なんだよ、門土」
俺はそう言いながら振り返った。
案の定、そこには門土 柚人(もんと ゆひと)の姿があった。
ピッチピチのタンクトップを着、ダメージジーンズを履いた厳つい男は、俺の顔を見るなり、笑みを浮かべた。
「相変わらずオメェは細っちーな!ちゃんと食ってっかぁ?」
良い年してガキ大将みたいな服着てるお前に言われたくないよ、と心の中で呟きつつ、俺は「まーね」と適当に相槌を打った。

門土とは小学生の頃からの仲だ。
ガリガリの俺と、ボディビルダーかという程ムキムキの門土。
インドアな俺と、見るからにアウトドアな門土。
共通点は性別と年齢、出身地くらいだろう。
なのに何故こんなやつと付き合っているのか。
そんなこと考えても埒があかない。
取り敢えず俺らは、不思議な仲なのだ。

6ヶ月前 No.3

畏原狂助 @prodigy ★iPhone=TOzjn2Jws0

「実はよぉ、俺なぁ、合コンすることになったんだ!」
門土が俺の隣に座って言った。
「あ、そう」
俺には全く関係ない話。
寧ろ自慢チックに聞こえる。
いや、この門土にそんな嫌味や自慢をわざと言えるほどの知能はない。
要するに一番タチの悪い天然タイプの自慢だ。
俺が奴の話を聞き流していると、奴は突然突拍子もないことを言った。
「オメェを連れてく!」
「…は?」
少し間をおき、俺は聞き返した。
「あの私立縫小沢女子大学との合コンだぜ!お嬢様大学だぜ!あっこはミスコンも毎年かわええしよぉ、可愛くて頭良くてお金持ちの彼女、出来るかもだぜ!」
肩を組み、俺のことをバンバン叩きながら言う。痛い。
「門土、悪いことは言わない。俺のことを誘うのはやめろ」
「なんでだぁ?」
「なんでって…住む世界が違うだろーが」
俺は思っていることを吐き出した。
「縫小沢女子の連中とも…お前とも」
門土の顔色を伺うように少し上を見上げる。
俺よりも高い位置についた頭は、徐々に傾いていった。
「何言ってんだお前。俺たち同じ地球人だぜ?」
何言ってんだお前はこっちの台詞だ、と言わんばかりの返答である。
「いや、そーだけども!普通生きてる世界が違うっつったらカースト的なもんだろ!なんで地球規模?!」
思わず立ち上がり、大声で言ってしまった。
周りを見ると数人がこちらを見ている。
「と、ともかく…」
俺は座りながら言った。
「門土は人気者だ。それに比べて俺は陰キャラ。合コン連れてくならいつも一緒に戯れてる連中連れてけよ」
言い聞かせるように俺が言う。
「いや、そいつらも行くけどさ。俺はお前に来てほしーんだ」
門土が言う。
「お前、いつも1人だろう。これから先、お前がヨボヨボふにゃふにゃのジジィになっても独りぼっちなのは俺が悲しい。彼女作ったり結婚したりしなくてもいい。それはお前の自由だからな。でもな、友達ぐれー作れや」
余計なお世話だと思ったが、門土があまりにも切なげに言うものだから渋々承諾してしまった。
「…はぁ、分かったよ」

5ヶ月前 No.4

畏原狂助 @prodigy ★iPhone=TOzjn2Jws0

俺は久しぶりに門土と並んで帰っている。
本当に久しぶりだ。
昔はよく2人で居たものだが、いつの間にか溝が出来てしまった。
それにしても、相変わらずこいつはデカイ。
顔を凝視していると、門土がこちらを向いた。
「なんだぁ、どうしたぁ?」
こんなにもデカく厳つい門土が、恐れられずに寧ろ好かれるのは、この気の抜けた声と無意識のうちに繰り出される巧みな話術なのかもしれない。
「その合コンってやつ、何人くんの?」
「5対5だぜ!」
5対5。
バスケができるな。
そんなくだらない事が脳裏に浮かんだ。
「場所は?」
「あれだ、あの、俺の友達の兄貴がオーナーやってる店!」
お前、友達多過ぎて誰のこと言ってんのか分かんねぇよ。
なんていうツッコミをまたしても心の中で入れてみる。
「ふーん。で、いつ?」
一番肝心な事を忘れてた。
日程だ。
「5時からな」
いや、ザックリすぎるだろう。
ん?細いのか?
いやもうそんな事どうでもいい。
普通、この状況でいつ?って聞かれて時間を答えるかよ。
まぁ「いつ」は漢字で書くと「何時」だけどさ。
「いや、何日?」
質問を変えてみた。
「だから、今日だってばよ!」
門土が笑みを浮かべて言う。
いや、急すぎるだろう。
というかその前にお前何処の忍者?

5ヶ月前 No.5

畏原狂助 @prodigy ★iPhone=stnTVFoE9f

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5ヶ月前 No.6

畏原狂助 @prodigy ★iPhone=stnTVFoE9f

「あのぉ…大丈夫ですか?」
手を差し伸べてきた彼女は怪訝そうに俺の顔を見た。
「あっ、あ、はい!大丈夫です」
俺はその指先まで洗練された美しさを持つ彼女の手に、自分の手を重ね合わせた。
華奢な体からは想像出来ないような力で、俺は引っ張り上げられた。
「ごめんね。私は音笛薺。キミは?」
「あ、不破子夜って言います」
彼女は満足げに頷いた。
かと思ったら、いきなり表情を変えた。
「んね、もしかしてキミ、子夜君、上場の人?」
俺は頷いた。
「もしかして、今日、合コンに来てる?」
俺はさっきより深く頷いた。
「私、縫小沢女子なの!今日合コンに誘われていこうと思ったんだけど、レポート提出忘れちゃってて…1人、足りなかったよね?ほんっとごめん!」
手のひらをパン!と合わせて拝むように謝る彼女を俺はただただ見つめていた。
嵐のような子だ。
「あ、LINE交換しよーよ!」
彼女がスマホをチラつかせた。
俺は慌ててポケットから取り出す。
こんな可愛い子に彼氏が居ないなんて、不思議な世だなと思う。
いや、もしかしたらいるのに来てるのかも。
でも、そんな事をする子には見えない。
「あ、私ね、文学部の二年生」
「工学部一年っす」
先輩か、と目の前にいる元気発剌な彼女をみて俺は思った。
清楚ではないかもしれないが、俺の理想である美人な文学少女だ。
俺は一瞬、淡い期待に胸を膨らませたが、ふと我に返った。
ありえない。
美人の隣には、イケメンが相応しい。

5ヶ月前 No.7

畏原狂助 @prodigy ★iPhone=XQFYYnl0qJ

音笛さんを連れて、俺は席に戻った。
彼女が部屋に入った途端、場の空気が変わった。
男どもがソワソワし始めたのだ。
男ども、と言っても俺と門土は除く。
門土は食べることに夢中になっているし、
俺は事前に彼女と会ったお陰で、衝撃が半減された。
それもそのはず、こんな美人、滅多に見ない。
カジュアルな服装に身を包んでいるのにも関わらず、彼女には華がある。
どれだけ他の女達が着飾っても、それをも圧倒する華。

「音笛さん…って、すげぇ可愛いっすね」
門土の友達が言う。
音笛さんは軽く頭を下げてニコッと笑った。
その仕草が愛らしい。
「音笛さん、ハーフとかなんすか?」
門土の別の友達が言う。
音笛さんは軽く頷き「ええ」と言った。
通りで金髪に違和感がないわけだ。
天然モノというわけか。

俺は、ここまで可愛いと嫉妬心すら湧かないだろうな、と勝手に分析し、隅の方から音笛さんを見ていた。
大きくて綺麗で力のある目がパチパチと瞬きをする。
ふと、目があった。
俺は慌てて逸らす。
逸らしてから後悔する自分が、我ながら気持ち悪く思えた。
久しぶりに飲んだせいか、やけに気分が悪い。
俺は門土に一言言い、退席することにした。

5ヶ月前 No.8

畏原狂助 @prodigy ★iPhone=medQ5zIpZy

空を覆う厚い雲のせいで、いつもより幾分か暗い夜道を、トボトボと歩く。
吐き気と闘いながらなんとか家に着いた。
早速風呂に入り、酒臭さを落とす。
だんだん酔いが覚めてきた。
風呂場の鏡を覗き込んでみる。
自分で言うのもアレだが特徴のない、つまらない顔をしている。
「はぁ…」
想像以上に大きなため息が出た。
俺は風呂から出て、明日の支度をした。
ベッドに入り、目を瞑る。
音笛さん、めちゃくちゃ可愛かったな。
そんなことが頭をよぎった。
俺は寝返りを打ち、夢の世界へと入っていった。

3ヶ月前 No.9

畏原狂助 @prodigy ★iPhone=vVU51m5EIw

夜が明けた。
朝が来た。
ゆっくりと体を起こし、朝を告げる目覚まし時計を止めた。
ベッドから出て朝食の支度をする。
まだ頭がぼーっとしている。
今頃、彼女____音笛さんは何処で何をしているのだろう。
あれから頭の中は彼女のことでいっぱいで、
おかしくなりそうだ。
俺は朝食を済ませると身支度をし、家を出た。
階段を下りていくとアパートのちょうど玄関口に当たるところに、人影があった。
「あ!来た!」
その人影は俺を見つけるなり、近寄ってきた。
俺は呼吸のリズムが乱れたのを感じた。
音笛さんだ。
音笛さんが何故か俺の家の下にいたのだ。
「ど…して」
やっとの思いで声を発する。
「ふふふ、お迎えに来ちゃった!」
まだ幼い少女のような笑い方で彼女は言った。

3ヶ月前 No.10

畏原狂助 @prodigy ★iPhone=wt9EbaEe5t

お互い、講義までまだ時間があるという事で、
音笛さん行きつけのカフェで休むことにした。
無論、音笛さんを前にして寛げるわけもなく、
俺はティーカップの中に映る、貧相な顔を見つめていた。
「子夜君ってさぁ」
突然呼ばれた自分の名前に俺は顔を上げた。
「彼女、居るの?」
居るわけが、ないだろう。
「居ない、です」
小声で返す。
別に意図的に小声にしたわけじゃあない。
これがMAXなんだ。
「ふーん」
彼女がニヤニヤしている。
こういう質問はやめて欲しい。
もしかして自分に気があるのではないかと、勘違いしてしまうからだ。
「じゃあさ!」
彼女が元気よく言う。
「私なんて、どう?」
一体、何を言っているんだ。
俺はしばらくフリーズした。

3ヶ月前 No.11

畏原狂助 @prodigy ★iPhone=wt9EbaEe5t

「ちょっとぉ、聞いてる?」
彼女がイタズラっぽく言う。
「は、はい」
俺は思わず目を逸らした。
自分で言うのも何だけど、俺は頭だって良くないし、背が高いわけでも、ガタイがいいわけでもない。顔も漫画の中で言われる、モブキャラの立ち位置だ。更に言えば金も車もない。
何故俺なんだ。
いや、音笛さんの冗談なのかもしれない。
そうだ。冗談だ。冗談に決まってる。
こんなのあり得るわけがないんだ。
少女漫画でよくある可愛くない子を2人のイケメンが奪い合うとか、冴えない男主人公を美少女たちが囲むとか、そういうのはまずあり得ない。
これは俺の経験上ハッキリしてる。
イケメンが選ぶのは十中八九可愛い子で、
可愛い子が選ぶのは十中八九イケメンだ。
音笛さんみたいな所謂正ヒロイン的存在が付き合うのは、門土みたいな正主人公的存在なんだ。
世の中大切なのは釣り合いなんだ。
俺は頭の中で色々と考えた。
結果、音笛さんの言うことは冗談となった。

3ヶ月前 No.12

畏原狂助 @prodigy ★iPhone=xpeV7JIzAF

「音笛さんこそ…その…彼氏みたいな人、居ないんですか?」
話題を変えるため、声が震えるのを必死に抑え、尋ねた。
音笛さんは、ただでさえ大きな目をさらに大きくし、突然弾けたように笑い出した。
「きゃはははは!子夜くん最ッ高!」
音笛さんはそう言うと、カップを持ち上げて口元に寄せた。
「ふぅ、彼氏なんていないってば!いたら子夜くんに私なんてどう?って言わないって」
音笛さんが言う。
俺は軽く頷いて、俯いた。
音笛さんはニコニコと俺を見つめている。
俺は時計を見た。
講義まではまだ時間がある。
だが美女と2人きりのこの状況に耐え切れず、帰ることを決意した。
「あの…俺…そろそろ行きますね」
椅子から立ち上がり言う。
「えっ?もう?」
音笛さんがキョトンとして言う。
可愛い。
凄く可愛い。
「また…今度」
俺はそう言って、自分と音笛さんの分の代金を払い、足早に店を出た。

2ヶ月前 No.13
ページ: 1

 
 
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