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そして私は頭がおかしくなった

 ( 小説投稿城 )
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★sBfOAw7292_61H


ああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああ


……そして、私は頭がおかしくなった。






「ねえ、今日映画観に行こうよ」

「えー、なんか面白い映画あったっけ?」

街中にそんな会話をするカップルがいた。
私はイラつきを隠せないでいた。けれども、殴ってはいけない。
だって、殴ったら警察に捕まってしまうから。

うなだれる暑さが私をさらにイラつかせる原因でもあった。
どこか飲み物がないか自動販売機を探す。すると、古びたデパートの前に一台自動販売機が佇んでいた。
そそくさとその自動販売機に向かう。そしてポケットから取り出したぺしゃんこの財布から、いくらかのお金をいれた。
チャリン、チャリンと自動販売機の中にお金が入っていく音が聞こえる。
それを確認して、炭酸飲料水を飲もうと思い、商品の下にあるボタンを押すのだ。
けれどいくら押しても出てこない。きっと何かの間違いだろう、そう考え諦めずに何度か押す。
けれども、やはり飲み物は出てこない。仕方がないので、他の飲み物にしようと違うボタンを押した。
けれども、やはり飲み物は出てこない。

私は思わずその自動販売機を蹴ってやろうと思った。
しかし既に周りの人間が私がお金を飲まれたことを察知し、不審な顔でこちらを見ている。
もしここで理性をなくし、自動販売機を蹴ってしまえば、きっと警察を呼ばれてしまうだろう。
私は耐えた。
すぐ暴力に走るのはよくない。

そうだ、今日は従兄弟の子供が家に遊びに来るのだ。
きっと甘いお菓子をお土産に買ってきたら、喜んでくれるはずだ。
私は地元のおいしいお菓子を子供達に手土産に買うことにした。
しかし財布の中を確認すると、お菓子を買うお金など入っていなかった。
大きくため息をつく。きっと今日は自分の星座は占いでは最下位なのだろう。
そんな時は、家でじっとしているほうが吉なのだ。私は家に帰り、静かに前から録画を貯めていたドラマをみることにした。
ドラマの内容は、恋する18歳の少女がアルバイト先で知り合った大人の男に恋する話である。
何が面白いかときかれると、困る。別に面白くないが、強いていうなら主演の女の子がかわいいからである。
そのドラマの演出はすごくコミカルで、昭和生まれの私からすれば、現代的だなとつくづく思う。
昔は漫画なんてそんなに受け入れられていなかったのだ。
そんなこんなでしばらくそのドラマを見ていると、従兄弟の子供が遊びに来たのだ。

「あー、こんにちは」

そういうと、子供たちは純粋な笑顔で挨拶を返してくれた。
私はとても朗らかな気持ちになった。

「ねえ、おじさん。まだ昼間の2時だけど、お仕事してないの?」

前言撤回。私は何も言えなかった。

「おじさんお菓子はないの?」

「あるよ、ほら、うまい棒」

「安上がりだね、おじさん」

ずいぶん生意気なガキだなと思いつつも、にこやかに微笑む。
従兄弟はというと、私には一度も挨拶をせずに、母と談笑していた。
私は近年流行りのアナと雪のうんたら女王というDVDを持ってきて、これをみようと子供に提案した。

「嫌だ、妖怪うぉってぃがいい」

「……」

1年前 No.0
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★sBfOAw7292_61H


わがままなガキだなと思いつつもにこやかに、ポケット妖怪のフィギュアをあげた。

「違うよ、これ人気ないほうだよ」

私は憤怒した。ポケット妖怪が好きな私からすれば、これは冒涜だ。
思わずそこにあったミニテーブルをひっくり返してやろうと思った。
けれども、子供が真似してはいけないと思い、耐えた。

私にはこの家に居場所がない。そう思い、やはり外へ出かけることにした。
でも外へでたところで行くあてもない。なにせ、私には友達が一人もいないのだから。
可哀想だと思っただろう。でも大丈夫、"可哀想”ではない。
一人でいるほうが楽なのだから、私にとっては都合のいいことなのだ。
少しスキップしながら、田舎道を歩いていると、犬を見つけた。
犬は不細工な顔をしており、何だか可哀想に思えた。
何故?それは、犬や猫、動物は皆可愛いものだろう?
その中で、不細工で生きるっていうのは、なかなか過酷だと思うのだ。
ペットショップでいつまでも売れ残り、保健所に送られる動物たちはきっとそうだろう。
不細工だから売れ残ったのだ。私が飼ってあげられれば、と思うが、とても飼えるような余裕がうちにはない。
私は不細工な犬を撫でた。犬は潤んだ瞳でこちらをみる。
やめろ、そんな不細工な目で見つめられても、私の心には響かないぞ。

「あ、ポチ、こんなところにいたんだ」

すると後ろからそんな声がきこえた。ポチとはなんとも安直な名前だ。
後ろを振り返ると、そこそこな美人が立っていた。

「……あ、えっと」

私は吃る。こんな時何と言えばいいのだろうか。

「ポチっていうんです、かわいいでしょう」

美人はそういって笑った。
私はそれに続けて、「かわいいですね」と心にも思ってないことをいった。
世間では合わせるスキルが必要なのである。

ポチはというと、ヘラヘラと舌を出して笑っているようにみえた。

1年前 No.1

★sBfOAw7292_gQz


「やあ、ポチ、君はかわいいね」

私は二回心にも思ってないことを続けてそう言った。
美人は、そんな僕を見るなり嬉しそうな顔をしていた。
ポチは、相変わらずヘラヘラ笑っている。

「あなたの犬ですか?」

私はなんとなく美人にそう尋ねた。
美人は少し考えた様子でこう言った。

「違います」

「えっ……違うのか」

予想外の言葉に僕は思っていたことが声に漏れた。
まるで迎えにきましたという風にきたので、てっきり飼い主だと思っていた。

「じゃあ、誰の犬かわかりますか?」

「いいえ、知りません」

「えっ……知らないのか」

またもや予想外の言葉に僕は思っていたことが声に漏れた。
誰の犬かさえ分からないこの犬をなぜポチと呼んだのか……。

「ポチ、お前はどこの犬だ?」

そうポチにきくが、頭を傾けるだけであった。

「じゃあ、私はこれで」

美人はそういって、どこかへいってしまった。

「えっ……一緒に探すんじゃないのか」

私は泣きそうになった。
この犬は一体誰の犬なのだ。
大豪邸の犬じゃなければ、許さないぞ、この犬。
ポチは不細工な顔でこちらをじっと見る。

「わかったよ……飼い主を探すよ」

そうして僕はポチを仲間に引き入れ、この炎天下の中、ポチの飼い主を探すことになった。

「しかし、ポチ。お前の飼い主はどんな飼い主なんだ?」

何回聞いても同じ。返ってくる言葉はない。
私は大きくため息をついた。

「……もしかして、ポチ、お前は捨てられたのか?」

1年前 No.2

★LHuS8CogC5_nHx


ポチは何も言わない。
いや、ここで喋られても困るわけだが……。
そんな超常現象はいらない。

私はポチを抱え、あてもなく、ただただ歩いた。
この不細工な犬を飼ってくれる人間はいないだろうか。

「……一体私は何をやっているのだろう」

近くの公園のベンチにポチとともに座った。
公園では子供たちが遊んでいる。
バカみたいに寄生をあげている。
私はその様子を悠々と眺めていた。

すると、近くの奥様方が私を不審な目でみていた。
いやいや、誘拐犯でも変態でもなんでもないですよ。
なぜ、公園で安らかに座ることも許されないのか。
世間は冷たい。

私はポチと共にそっと公園を離れることにした。

気付けば夕方になっていた。川に反射する、夕焼けが妙にまぶしい。

「なぁ、ポチ。私たちは、いったいどこへ行けばいいんだろうな?」

そうポチに尋ねた。

「さぁな」

「適当な返事だな」

私はしばらく考えた。今、私は誰と会話をしたのだ?
ポチを見る。もしかして、お前しゃべられるようになったのか?
それとも私の頭がおかしくなったのか?

どっちなんだ!?

「お前の頭がおかしい」

そうポチがいった。なんて口の悪い犬なんだ。
この呪われた犬を僕は放置することに決定した。

「ちょ、待てよ」

いや、おかしいだろう。なんで、僕は犬に引き留められているんだ。

「ポチ、私に何が望みなんだ?」

「……私を飼え」

「飼え?えらそうだな。飼ってくださいだろう」

「……私を飼うと、何でも願いが叶うぞ。ほら飼え、金の亡者」

「なんでも願いが?なんだ、金の亡者とは。いや、金は一円でも欲しいが」


この会話はいつまで続くのだろう。
少し辛くなってきた。


「飼わないのか?あ?欲望の塊」

「……わかりました、飼います。はい、願い事をかなえてください」

「すぐにかなえるとはいっていない」


なんだ、この犬。一気に怪しくなったぞ。

1年前 No.3

★sBfOAw7292_gQz


そうして私はポチというどこからきた得体の知らない犬を飼うことになった。
しかし私は無職なので、とうていポチを養う能力はなかった。

だから母上に一言声をかけた。

「犬を飼うことにしました」

「出て行け」

「え?」

私はポチと共に家を追い出されました。
まさかのとんでも展開に私は口をあんぐりとあけていた。
3時間ほど玄関前で、私は泣き叫んだが、いっこうにドアも開かず泣き疲れたので
私はそのまま途方にくれながら、近くの商店会をポチと共に歩いた。

「ポチ、これからどうするかい?」

しかしポチは喋らなかった。
さきほどまでしゃべっていたくせに、なんでしゃべってほしい時にしゃべってくれないのだ。

突然無職が働きたいといっても、世間は冷たい目でこちらを見るだけで
働かせてはくれないのだ。
なぜ、働けというのに、働かせてくれないのだ?
おかしいとは思わないだろうか。

私はおかしいと思う。

けれども無職の一人の声には、だれも振り向きなどしない。
大声で叫びたかった。

社会なんか大嫌いだと。

1年前 No.4

★sBfOAw7292_gQz


所詮負け犬の遠吠えだった。

私は河原でぼんやりと夕焼けを見つめた。
小学生の頃、よくこの河原で遊んでいたか。
ザリガニ釣りをしたり、川遊びをしたり…。
あの頃に戻りたい。そして、私は完璧な人生を目指すのだ。


「それがお前の願いか?」

「は?」


突然ポチがそういった。
今まで黙っていたくせに、私の心の中を読んでいきなりしゃべりだすな。
お前は超能力者か。


「お前は過去に戻りたいのか?」

「……ああ、私は過去に戻りたい。そして、今を変えたいんだ」


ポチにそういうと、ポチはうなづいたような仕草をみせた。
まさか、ポチ、お前は過去にとばしてくれるというのか?

なんという天才犬。

いや、もう神といっていいかもしれない。

1年前 No.5

★sBfOAw7292_gQz


「…その願い叶えてやろう」

ポチはそういった。私は目を輝かせた。

「しかし、条件がある」

「は?」

この世に及んでまだ条件があるというのだろうか。
しかもお前を飼うという最初の条件はクリアしただろ。

「まあ、のまなくてもいいが?この願いは叶わんがな」

なぜこの犬には私の心が筒抜けなのだろうか。
この犬をつかって、占いの商売をしたら儲かるかもしれないな。

「私を金にするなど、もってのほか」

ポチはそういって僕に噛み付いてきた。
全くさっきから何なんだ。

「お前のことなど、ずばっとお見通しだ」

「あ……ぱくったー、ぱくった!」

「なんのことだ?」

「それ、某ドラマの登場人物のセリフぱくっただろ?なに、ああいうのに憧れるの?」

私がそういうと、ポチは黙った。小一時間黙った。
私は必死に謝った。もう、ファンタジーでもなんでもいい。
この現実から、私を連れ出してほしい。

ポチはそうして、ようやく口を開いたのだ。

1年前 No.6

★sBfOAw7292_gQz


「さて、仕切り直して……条件がある」

ポチはえらく真剣そうな顔をしている。

「条件とは?」

「お前は過去に戻って、青春を謳歌すること」

「……あっ、当たり前だろ、そんなの」

「だが私が謳歌してないと判断すれば、お前は死ぬ」

「は?ちょ、勝手に殺さないでくれますか?」

「冗談じゃない、お前は死ぬ」

「……」

「そして、未来から来たことがバレた瞬間、お前は死ぬ」

何回私は死んでしまうのだ。
しかも条件が多くないか?

「判断期間は1年。わかったか?人間のクズ」

「ちょっと飼い主に向かって人間のクズは酷くないですか?」

「じゃあ、人間のカス」

言い直せてないのだが……。


「わかった、私はその条件を飲もう。だから過去に戻してくれ」

「よかろう、じゃあ3秒後には過去に戻っている」

「お、おう?!」

早いな……

1年前 No.7

★sBfOAw7292_fZS

私は目を覚ました。
ここは一体どこなのだろう?私はあたりを見渡す。
そこはさきほどと同じ場所であった。
しかし、ポチはいない。

もしかして、過去に戻ることができたというのだろうか?
……あれ、私の体小さくなってないぞ?
過去に戻って青春を謳歌するということは、
昔の自分に戻って、今まで起きた悪い出来事を回避するということではないのだろうか?
私はもしかして騙されたのか…。
それとも過去に戻ってないのか…。

カレーの匂いがする。
なんだかお腹すいたな…。
財布を開き残りの残金を確かめる。
残り残金、58円。これは…ひどい。
私はそっと財布を閉じた。


夕日がみえる。まぶしくて、暑苦しい。
とりあえず、家に帰ろう。
どうにか泣き寝入りしたら、いれてもらえるかもしれない。
だってニートが、無一文で社会に出るとかありえないでしょ。
せめて、あと20年は居させてほしい。
ちなみに私の年齢は25歳である。
どうだろう、なかなかの年齢であろう。
私より年下は敬え。
私より年上は社畜人生を楽しめ。
一人私は高笑いをする。


そして、家に戻る。
なんだか、少しきれいになったように感じる。
私はしばらく家の周りをうろうろする。


すると。


「なんか、変なおじさんいるんですけど。変質者ですか?」

……まずい。
さすがに逮捕歴がつくるのはまずいだろう。

声がするほうをみると、男の子がいた。
そう、それは幼い私だった。

1年前 No.8

★sBfOAw7292_fZS



「わ、私!?」

「……誰ですか、おじさん」

「お、おじ……」


この時代に私があったら、ダメじゃないのか……?ほら、タイムスリップのお約束。
しかも、未来からきたってばれたら、私は死ぬ?

おい、ポチどこだ!?


「おじさんだよ、変質者じゃないよ」

「本当?見るからにホームレスだよ」

「どこがホームレスに見えるのかな□?」

「服がなんていうか、センスないし」

「それ、ホームレスと関係あるのかな□?」


ダメだ、われながら自分と会話するとイライラする。


「僕は将来有望の医者になるんだ。ホームレスと話してる暇なんてない」

そういって、過去の私は家の中へはいってしまった。
将来有望の医者になるか……その夢は叶わないんだけどな。

私はその場を離れた。

しかし、青春を謳歌するとしたって、どっちみち過去にきても、
私は無職の放浪者。こんなの、無理だろ。
夢は、また夢の話なのか。


「よ、人間のカス」

突然、背後から声がきこえた。
馴れ馴れしいこの口調、まさか。


「ポチ!」

そう、ポチが後ろにたっていた。
相変わらずブサイクな顔で私は感動した。

「ついてこい」

「えっ?」

「いいから、ついてこい」


ポチは何も説明せずに、私にそういった。
しかし、行くあてもない私は理由もなくついていった。


そして、ついていった場所は、廃墟の学校……?
いったい、何をするっていうんだ……ポチ。


「はいってこい、新入りだ」


ポチはそういって、とある教室の中へはいっていった。
その物言いは、他に誰かいるかのようだ。

私は特に疑問をもたずに、教室の中へ入る。
すると、老若男女の人がそれぞれの席に座っていたのだ。

いったい、この集まりは何なんだ?


1年前 No.9

★sBfOAw7292_fZS


「えーっと…ポチさん一体ここは?」

ポチにそうたずねると、ポチは堂々とその問いに答えた。

「ここは、お前のような過去に未練タラタラのクズ人間が集まる、そうシェアハウスだ」

頭の上に?が何本もたつのがわかる。
そう、ツッコミどころが多すぎて何からツッコミをすればいいのかわからない。

私はもう一度教室にいる人たちを見渡す。この教室にいる人数は、おそらく私を含め10人ほど。
年齢は、10代ぐらいと思われる少女から、50代ぐらいのおじさんまでいる。

「あのさ、シェアハウスってどういうことだ?」

一番に聞きたかったポイントとしてはここである。

「そのまんまだ。このクズどもとお前たちはここで共同生活をする」

「な、なんだって……!?」

まさかとは思ったが、どこか私は安心している節もあった。
未来人の私にはどこかへ行くあてなどない。それに、お金も無一文。
誰かがいる、そして住む建物があるというだけで、少し心強い。

ただ、見知らぬ人間と共同生活というのはどうかと思う。
それに私以外にもポチに過去へつれてこられていた人間はいたのだ。
一体ポチは何が目的なのだろうか……。

「早く自己紹介をしろ」

ポチにそういわれ、私はボロボロの教壇の前にたった。
人に注目されるのにはなれていなく、私はおずおずと表情を歪ませ、口を開いた。

「わ、私の名前は、坂本、坂本幸四郎です。
 えっと職業は、無職で……将来の夢はいつかビッグになること……
 じっ、人生まだまだこれからだぜ!」

と意味不明な自己紹介を繰り広げ、その場を立ち尽くした。
一体どうしたことだろう。

11ヶ月前 No.10

★DNCCMnlsad_nHx

そうすると一部から、ちらほらと拍手があがった。
私は、どこか迎え入れられたような気持になり、感極まり、じんわりと涙した。

「気持ち悪い……」

ポチは横目でそう言ったが、私は器の大きな人間なので怒ったりなんてしない。

「坂本さん初めまして」

教室の席に座っていた目の細い男がそう私に手をさし伸ばした。

「は、初めまして……」

「私の名前は、黒木です。よろしくお願いします」

「あ、黒木さん……よろしくお願いします」

他人と会話する機会が久しぶりだったので、私は少し照れくさく感じた。

「坂本さんも過去に何か後悔があったんですね。この教室にいる方々も、坂本さんと同様、過去に何らかの後悔がある方々です。
どうか過去の栄光を取り戻す為に、私たちで共同生活を送っております。そして、共同生活を送るうえで、ルールがあります」

「ルール…?」

そりゃあ、もちろん複数の人間がいるなら何らかのルールは必要だ。
しかも赤の他人なのだから、そういったルールはなおさら大事だと思う。

私は納得して、黒木さんの声に耳を傾ける。

「大丈夫ですよ、そんなに難しいルールはありませんから」

そう黒木さんは優しく微笑む。

11ヶ月前 No.11

★DNCCMnlsad_nHx


黒木さんが言う共同生活を送るうえで守るべきルールはこうだ。


1.家事は曜日ごとに交代でする

2.遅くても家には20:00までには帰宅する

3.共同生活の相手を詮索しない


「細かいルールは他にもいくつかあるかと思いますが、とりあえず……
 大雑把なルールはこれぐらいですかね?」

「えーっと、この3番目の……何か詮索したらいけないという意味でもあるのですか?」

私はなんとなく気になったので黒木さんにそう質問した。
黒木さんは少し難しそうな顔をしながら、こう答えた。

「絶対に詮索してはいけない、とは言いませんが。やはり、詮索するべきではないと思うんです。
 あくまでここは私たちが過去の私たちが青春を謳歌する為だけにある、ただ生活をするだけの場所です。
 だから、プライベートに踏み込まない。いわば、表向きにするルールではなく、暗黙のルールというやつですね。

 未来人の私たちはここにいるべき人物ではありませんからね。
 深く干渉してしまえば、違うところに影響が出てしまうかもしれませんから。

 あえて、表向きのルールとして提示させていただきました」

私はその黒木さんの答えにあまりふにおちなかったが、ここは従ったほうがいいと思い、このルールを守ることを同意した。

11ヶ月前 No.12

★sBfOAw7292_sh7


「わかりました……それで、他の方々もよければ、自己紹介とか……していただけませんか?
 その名前だけでもいいので。これから一緒に生活する上で名前が分からないのは不便ですので」

私がそういうと、黒木さんはゆっくりと頷き、他の面々の自己紹介が行われた。

1人目。見た目は今時の女子高生。こんなにも若いというのに過去に後悔なんてあるのだろうか。
華奢な体に小さな顔。そして大きなまん丸とした目。近づくと甘い香りがしそうだ。

「私、花澤っていいます。家事が得意です。よろしくお願いします」

天使のような笑顔を私に向ける。花澤さんとは、うまくやっていけそうな気がする。
その時の私の顔はまさに変態だったかもしれない。人と話すこともなければ、異性と話すことなんて、滅多にない。
だから自然と嬉しくなるのは、仕方ない、自然の摂理のようなものだ。
こんな子と一緒に生活できるのかと思うと、ワクワクが止まらないのだ。
いや、いかんいかん。私の本来の目的は、それではない。

2人目。見た目は老人。80歳くらいだろうか、歩くのも辛そうなくらい腰が曲がっている。
顔の掘りが深く、まるで外人のようにみえる。若かれしときは、さぞかしイケメンだったにちがいない。

「私は、山下だ。このとおり、体が不自由であまり生活の助けはできないかもしれないが、よろしく頼む」

人生の大先輩といったところだ。私は、過去おじいちゃん、おばあちゃんといった人物と話したことがない。
気づけば、母がたの親も、父がたの親も、みな亡くなっていた。生前の話はほぼきいたことがない。
だから、私はとても物珍しくみえた。

11ヶ月前 No.13

★sBfOAw7292_sh7

3人目。中年男性。私より一回り年上だろう。良き、おとうさん……というふうにみえる。
子供がいなかったら、少し失礼かもしれないが、いてもおかしくない年齢だろう。

「僕は、山本だ。会社員をやっていた!けど、過去とかすごいワクワクするよな。
 僕たちタイムスリップしてるんだぜ?」

えらい呑気なやつだ。私は思わず苦笑いをした。
でも事実タイムスリップは人類において、もしかしたら僕たちが初なのかもしれない。
本当ならもっともっと驚いてもいいのに、私の反応はどこか薄いように感じた。
何故ならまだ実感が湧いていないからだ。過去の私に会ってもだ。

4人目。少し小太りな優しげな中年女性。
そう、近所のお店でコロッケでも揚げていそうな、そんな気さくなおばちゃんにみえる。
第一印象だけでこんなにも妄想を繰り広げることができる自分に我ながら少し感心する。
普段から考えることがないからだろうか。

「私は、下田よ。ふふ、坂本さん、すごい若いんじゃない?私の息子ぐらいかしら」

なんと、私と同い年ぐらいの息子がいるらしい。そんな女性が過去に何の後悔があるというのだろうか。
けれど、ここの共同生活のルールでは詮索してはいけない。私は精一杯の愛想笑いをした。


11ヶ月前 No.14

★sBfOAw7292_jcW

5人目。やせ気味の男子学生……高校生から大学生ぐらいかと思われる。
前髪が長く、あまり顔がよく分からない。なんとなく、話しかけにくい。

「……」

少年は私の顔をみると、小さくお辞儀をした。名前がわからないが、きっとそのうちわかることだろう。
その他、あと数名程度いたが、印象に残ったのはこの5人だろうか。

これからどうのような生活が待っているのだろうか。
特にワクワク感などはなかったが、どうも先が想像できなかった。
簡単な自己紹介が終わり、各それぞれ自由時間のように、別のことをし始めた。
私は一体何をしていいのかわからず、ただ呆然と教室の真ん中に立ち尽くしていた。

ポチはというと、まるで普通の犬のように、教室のすみでくつろいでいた。

このまま何をしないのも話が進まないと思い、私は精一杯の勇気を振り絞り、近くにいた花澤さんに話しかけた。
そう、話しかけた瞬間、心臓が飛び跳ねるほどの緊張でどっと汗が噴き出たのだ。もう死んでしまうかと思ったぐらいだ。

「あぁ、あのぅ……みなさん、過去に帰って、その……やり直す?謳歌するんですかね……その、どうやって」

もう何を言っているのか言っている本人も意味不明だった。
けれどそんな私を花澤さんは笑うこともなく、ちゃんと受け答えをしてくれた。

「……そうですね、私はとりあえず、自宅に帰りましたよ」

「へ、へぇ……その過去の自分に会いましたか?」

「はい……」

途端に花澤さんの天使な笑顔に陰りがみえた。しまった……変なことをきいてしまっただろうか。

10ヶ月前 No.15

★sBfOAw7292_jcW


「えぇーそうなんですねぇ!?でも、過去の自分にあったからって、これからどうするんだよ!って感じですよねー!?」

変にテンションを上げながら、私は話を変えようとした。
花澤さんはその様子を無言で見つめていた。痛々しいこの空間を今すぐにでも逃げ出したいと思った。

「……わっ、わたしなんて、過去の自分に会ったら変質者なんていわれましたしね!」

そういうと、花澤さんはフッと笑みをこぼした。わたしはそれをみて、ほっと胸をなでおろした。

「ふふふ、ポチからは、その……何か言われなかったんですか?」

「えっと……青春を謳歌しろと。さもないと、死ぬと」

「そうなんですね……じゃあ、坂本さん自身がこの過去で人生を楽しめばいいだけじゃないですか?
 過去の人間なんて、変えられませんよ」

花澤さんはそういって、自然と上目遣いでにっこりと微笑んだ。
やめろ、惚れてまうやろ!!というわたしは心の中で叫んだ。きっと顔にも出ていたかもしれない。

「そ、そうですね……でも具体的に楽しむって一体何を楽しめばいいのか、わからなくて……」

「それを考えるのは坂本さんのお仕事です。ね?」

……まったく、この娘は。

10ヶ月前 No.16

★sBfOAw7292_jcW


青春を……謳歌するか。
そもそも、まず"青春"とは一体何なのか。
過去一度も私には青春が存在しないので、イメージでしかわからない。
なんか夕日の方向へ走っていく、それが青春ではなかろうかっ!?
と全く意味不明な談義を頭の中で繰り広げていた私は、ついに知恵熱を出した。

「……ああ、もうだめだ。私死ぬのか」

「諦めるの早すぎるだろう」

目の前にはポチがいた。ポチの眉間にはシワができていた。
そういう犬種なのか、そもそも怒っているのか、はっきりしない。
どちらにしても、彼は不細工だ。

「なんだ、ポチ。私のツッコミ役になってくれるのか。ああ、そうだ漫才師を目指そう!
 夕日に向かって駆け上がれ!」

「……何をいっているんだ、お前は」

「わかりません」

「ふん、人間のゴミ屑、本当にこのまま何もしなければ、死ぬぞ?いいのか?」

「……でも、どっちみち未来に戻っても私の居場所なんてない。
 死ぬ運命なんだ」

「いや、諦めるの早いだろ。俺は、青春を謳歌すれば、死なないという条件を出しているんだぞ。
 しかもそれによってお前の未来が変わるかもしれないんだ」

「……」

私は黙った。簡単な問題さえも解けない、無限のドリル。
昔小学校の時に、泣きながら解いていたんだか。
けれども、今はそれを解く前に退いている。既に退化している。

「ポチや」

「なんだ?」

「未来が変わったら、私は、どうなるのだろう?」

「それは知らん。お前の働き次第だ」

「……」

10ヶ月前 No.17

★sBfOAw7292_jcW

返ってくる言葉は未知な返事ばかり。
結局私が動き出さなければ、先の未来は見えないのだ。

「よっし!」

「なんだ、やる気になったのか、人間のゴミステーション」

「……ああ!まず、青春を謳歌する!それは、すなわち!」

「ふむ」

「恋を、するだッ!」

「一番それ、難易度高くないか?」

ポチは呆れた表情をしている。

「青春といえば、恋愛。学生生活の時に一度は制服デートなんてものを憧れていただろう!
 そして雨には、相合傘!そして、気づけば恋に落ちる!そして、友達と恋人を奪い合う!その結果、私が勝利!……
 そして二人っきりでごにょny」

「そのへんで、妄想はやめろ。吐き気がする。それに周りの人間がそれを聞いているということも考え、自重しろ」

気づけば、教室の中にはまだごくわずかだが人がいることに気がついた。
皆ヒソヒソ声でゴミ虫を見るような目で私をみていた。

10ヶ月前 No.18

★FIMibOLPgo_GWa

お久しぶりです!!!
---------------------

「……はあ、恋をするといったものの……まず人を好きにならねばならん」

私は空に向かってぼやいた。
気づけば、空はオレンジ色に染まっていた。

いつから人を好きになっていないだろう。
そう、中学校からかもしれない。

当時私は、黒縁メガネをつけて、休み時間に数学のノートを持って猫背で歩き回る、
そう見るからにガリ勉男だった。
そんな少年時代、一度恋をしたのだった。

同じクラスのいつも中心にいる女子ではなく、教室の隅で少人数の友達と
笑いあう、奥ゆかしい地味な女の子が好きだった。
なぜ好きになったのかわからない、ただ気付いたら目で追っていた。
でも告白する勇気なんてなかった。

とある日のことだった。
学校が休みの日、友達のいない私は昆虫図鑑でも見て暇を潰そうと図書館へ向かっていた。
その時だ、例の地味女子がいた。一人ではなかった。隣にイケメン男子をつれて歩いていたのだ。
もしか、あれは……お兄ちゃんだな!そうお兄ちゃん。

しかし私は気になって、影からこっそり二人の様子を伺っていた。
イケメン男子と地味女子が楽しそうに会話をしている。
私は、どんな気持ちだったのだろう。思い出したくもない。
そして、決定的瞬間を捉える。

そうイケメン男子と地味女子がそう……接吻をしたのだああああああああああああああああああ。
そこで私は狂った。兄弟ではありえない。いやありえたとしても、もうそれは……。
私は勝手に恋して勝手に玉砕したのだった。
今まで、ときめいていた時間を返せと思った。

目から涙はでなかった。
ただただ、言葉を失った。

そこからほぼ記憶がない。
気付いたら家に帰っていた。
やっぱりイケメンがいいか!ちくしょう!女はみんな顔だ!くそがっ!
私は心の中で叫んだ。

でも、ようやく気付いた。
私は何も行動しなかったのだ。
彼女に恋をしているだけで、みているだけ。
そんな男がイケメンを貶す権利などない。
それに気付いた瞬間、涙がボロボロと落ちた。
なんでさっきは涙一つでなかったのに。

すごく、すごく、自分が虚しく感じる。

2ヶ月前 No.19

★FIMibOLPgo_GWa


「どうされたんですか?」

花澤さんが心配そうに私の顔を伺っていた。

「あ、え……ちょっと昔のことを思い出していまして」

「?そうなんですか、ふふ」

「ななななんで笑うんですかっ!?」

「いえ、昔って、坂本さんまだお若いでしょ?」

「……」

いやいや、花澤さんのほうがわけーし!
でも立ち振る舞いは断然花澤さんのほうが大人っぽい。
そう思うと、何も言い返せなくなった。

「そろそろご飯ですよ、皆さん待ってます。行きましょう」

「ご飯?みんなで食べるんですか?」

「いえ、そういうわけじゃないんですけど。坂本さん今日初めてじゃないですか。
 ……そうですね、歓迎会というか、ご飯食べながら、坂本さんとみんなもっとお話したいんじゃないですかね」

「……」

そういう場は正直苦手だ。
でもみんなの気持ちを無下にするのもいい気はしない。

「どうしましたか?」

「いえ、行きましょう」

「はい!」

2ヶ月前 No.20

★FIMibOLPgo_GWa

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2ヶ月前 No.21

@fuu1234 ★FIMibOLPgo_Cdd

このガキ、口の聞き方を教えてやろうかとニートが言う。
いや、言うのはやめた。争いはよくない。そうだ、平常心平常心。

「なんで、教えてくれてもいいじゃん?」

「無理、まじきもい」

「は?」

なにこいつ、ころしてもいいかな?
目元がピクピクと痙攣するのがわかる。

「ああ、ええっと、彼は、下田くんだよ」

花澤さんが何かを感じ取ったのか、慌てた様子でわたしにそう言う。
下田か、下田てめーだけはまじ許さん。

「……」

下田は無言でそのまま飯を食べる。
山本さんは相変わらず、私に話しかけるのだが、この後から私は上の空だった。
下田のような人間は元の時間にも存在した。まるで、すべて拒絶しているような瞳。
私はそんな扱いをされるのが苦手だ。いや、誰もが苦手だろう。

でもどこか彼は私と似ているような気もして
これはもしかして同族嫌悪というやつなのかもしれない。

そう思うと、余計モヤモヤしてきて、話に集中なんてできなかったのだ。

25日前 No.22

@fuu1234 ★FIMibOLPgo_Cdd


ご飯を終えた私は自分が今後寝泊まりするところへ、山本さんに連れていかれた。
ほ、保健室……だと……!?私は変にドキドキした。だが、一緒にいるのは、山本さん。

「あのさ、坂本さん」

「えっ、なに!?」

山本さんが、少し疲れた声で話しかけてきた。
今から何がはじまるというのだ……!?えぇ!?あれか!?

「下田くんと仲良くしてね」

「へっ!?」

「?下田くんと仲良くしてほしいんだ」

……なんだ、その話か。
いや、その話でいいんだ。
なにをいっているんだ、私は。
気が狂っているのかもしれない。

「下田くん……とですか」

少し言い方が、嫌だというのが伝わったかもしれない。

「彼、いつも一人だからさ、一応シェアハウス仲間ということで
 ここの情報は共有したいし、仲良くしようっていう方向なんだ」

……仲良くね。
私は、その言葉があまり好きではなかった。
なぜ、仲良くすることが美徳みたいになっているんだ。
別に、仲良くせずとも生きていけるのだ。
業務的な会話でも、一緒に共存はできるはずだ。
そこに愛がなくとも!!!!

私は何を言っているのだろう。
ただ、仲良くしたくない人間と仲良くするのは、とても苦痛なのだ。
周りの人間は、普通に周りと溶け込み、仲良くやっている姿がとても不思議で仕方ない。

その後、山本さんは保健室のベッドでしゃべることもなく眠ってしまった。
ずっと喋り続けるのではないかと恐れていたので、わたしは彼も人間なのだと安心した。

私はというと、ちょっと眠れないので外で少し散歩することにした。
すると、人影が廊下を歩いていくのがみえた。も、もしかして、幽霊?なんていう安直な考えはやめよう。
おそるおそる近づいてみると、それは見覚えのある人物だった。

「花澤さん!」

目を輝かせる私。

25日前 No.23

@fuu1234 ★FIMibOLPgo_Cdd


「あっ、坂本さん。どうしたんですか?」

「は、はははなざわさんこそ、どうしたんですか!!!!!」

「えっ」

ちょっとテンションがきもすぎたのか、花澤さんは引いている様子だった。

「ちょっと、散歩。いつもこうして夜は散歩してるんです」

「でっでも女子一人じゃ危ないんじゃ!!!!」

「いえ、このシェアハウス内の散歩ですから、大丈夫かと思います」

「……お供します!!!!!!」

「えっ」

どうしよう、少し迷っている花澤さん。
なんでこういう時、空気読めないんだろう、私。
普通一人で散歩しているときって、一人になりたいときだよな。

「じゃあ、お願いします」

にっこり微笑む花澤さん。もう天使としかいいようがないこの笑顔。

「坂本さんも散歩なんですか?」

「まあ、ちょっとねれなくて……」

「ふふ、最初の1日目ですもんね。でも周りはみんないい方ばかりですので
 緊張しないで大丈夫ですよ」

「……そう、ですよね」

花澤さんがいるし、緊張しないというのは正直無理な話です。
なんて言えたら、かっこいいんじゃないだろうか。

いやいや、映画の見過ぎ。
そういや、ここのルールで詮索はしてはいけないというルールがあったけれど……。

「は、花澤さんはどうして、ここに?」

気になって仕方がないので、さっそくルールをやぶる私。
そう私は不良なのだ。



-----

やっちまった、下田さんかぶってるーーーーー!
少年のほうは山田でお願いします。すみませーーーーん。

25日前 No.24

@fuu1234 ★FIMibOLPgo_Cdd

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25日前 No.25

@fuu1234 ★FIMibOLPgo_Cdd


「あの□坂本さん?」

「えっ、なんですか!?」

「そろそろ帰りませんか。0時こえちゃいましたし」

「えっ、あっ、そう、そうですね!そうだ!」

「え……は、はい」


その後の会話はなにも覚えていない。
ただ私はしんでいた。

山本さん慰めて。


翌日。


目を覚ますと、そこは保健室、山本さん。
夢ではなかったようだ。

私は青春を謳歌するためにやってきたのだ。
過去へ。ミニ私にも会えたが、実際これから何をすればいいのだろう。
ポチに相談してみようか。そう思い、保健室の扉をあけると、そこにはポチがいた。

相変わらず、不細工だ。


「ポチ、グッドモーニング!」

「お前」

「え?」

「ルールを破っただろう」

「え?」

いや、なんのことやら。私不良ですし、ルール破るの当たり前だし。
ん□?

「ルールを破ったお前には罰をやる」

「ば、罰……!?恥ずかしい写真はダメよ!!!!」

「ちげーよ」

「じゃ、じゃあ何!?体!?」

「ちげーよ」

ポチはツッコミ役としてはとても優秀な犬だ。
来世では一緒にお笑いコンビを組みたいものだ、あっははは。

25日前 No.26

@fuu1234 ★FIMibOLPgo_Cdd


「んで、ばつってなんですか?」

死とかやめてくれよ、頼むから。
人に殺されたり、交通事故だけは本当に勘弁してほしい。
ニートだけど普通に寿命で死にたいから、お願い。

「なににしようかな?」

ポチがにやりと笑う。
なにもったいぶってんだよ、このくそ犬!

「散歩に付き合え!クズ!」

「え……?」

拍子抜けした私。
ポチは散歩紐を渡す。
そして、抑えきれないしっぽのふり。
こいつ、元は犬なんだな。

「あの……ポチさん」

「なんだ?」

「わたし、これから何をすればいいんでしょう」

「だからいったろ!青春を謳歌しろって!頭ニワトリなのか?」

「……でもポチさん、どう謳歌すればいいのか、私のようなニワトリ頭ではわからなくてですね」

「ふん、そこまで教えてやらなきゃならないのか!?俺が上司ならお前クビだぞクビ!」

「ぐうの音もでないです」

「……とりあえず、やりたいことをやる。それだけだ」

「やりたいこと?……私のやりたいことって?」

「いや、お前のことだろ」

「……働きたくない」

「それは願望だろ」

25日前 No.27

@fuu1234 ★FIMibOLPgo_F2B


「私のやりたいことって……なんだろうな」

私の、やりたいこと。
過去にできなかったこと。
……なんだろうな。


私は近くの公園で一人座り、考えていた。
昼間からこんなところに大人がいるなんて、
変だし、気持ち悪い……よな。

花澤さん……。
君もまたあちら側の人間なのか。
深くため息をつく。
でも花澤さん彼氏と別れたっていってたし、
まだチャンスはあるわけなだよな……。

でも私なんかきっと眼中になくて、
花澤さんは前の彼氏と別れたことにショックを受けていて。
花澤さんの彼氏って、どんな人なんだろう。
そういや、過去の私がいるということは、
過去の花澤さんもいるのだろうか。
けれど、私が子供ぐらいなのだから
花澤さんは、赤ちゃんかもしれない。

それに、過去の花澤さんの居場所なんて…わからないし。
わかったところで、私は花澤さんの過去を詮索してもいいのだろうか。

14日前 No.28

@fuu1234 ★FIMibOLPgo_F2B


「ちか!」

「…たかしくん!」

とある男女の会話が聞こえた。

ちかと呼ばれた、高校生ぐらいの少女。
黒くつやつやと長い髪。白い肌。そう、美少女。
丸い大きな目が、どこか花澤さんとにている気がする。

たかしと呼ばれた、高校生ぐらいの少年。
爽やかで明るい笑顔は、とても好印象で
身なりもきちんとしており、私としては気にくわないが、まあ
イケメンと呼ばれる部類だろう。

「待ってくれなくてもよかったのに」

「一緒に帰りたかったの!……それに、待ってる時間も楽しいから」

なんだこの甘酸っぱい会話は。

「…ありがとよ、いつも待っててくれて」

「ふふ、そうだ、ちょっと喫茶店寄ってこようよ!」

「おう」


……いいなー。じゃない!
茂みに隠れて私は一体何を盗み見しているのだあああああ!
ちっくしょーーーーー!

やっぱり、ちかって子は、花澤さんみたいじゃなくて、きっと花澤さんだ。
でもそう考えると過去でみた私の年齢は、子供だった。一体どういうことなのだろう。

14日前 No.29

@fuu1234 ★FIMibOLPgo_F2B


「見たんですね」

突然聞きなれた声が後ろで聞こえた。
えっ……後ろに誰かいる?

おそるおそる振り返ると、そこには、花澤さんがいた。

「えっ…と」

「見たんですね、過去の私」

「すみません」

「いいんですよ、別に。
 でも私がここで声をかけなければ、
 坂本さんはあの二人を追っていましたか?」

気のせいか、花澤さんに瞳がない。
お、怒ってらっしゃる?

「い、いえ……」

「そうでしょうか?でも、知りたかったなら
 教えてあげますよ。あの二人の結末を」

「結末……?」

結末ってなんだ?彼氏と別れたって、花澤さんは言ったじゃないか。
それが結末じゃないのか?

14日前 No.30

@fuu1234 ★FIMibOLPgo_F2B


「はい、結末です。知りたいんですか?」

「えっ……と、なんかあったんですか?」

花澤さんは茂みから出て、私の目の前に立つ。

「たかしくんは、死にます」

「えっ……」

「死別するんです」

花澤さんはにっこりと笑う。
なんで笑うんだ?

「それが結末で、変えられない過去で
 私の変えたい過去」

花澤さんはうつむきがちでそう強く言った。
ここに来た理由はそれなのか。

でも死を変えることなんて、それは許されることなのだろうか。
いや、誰の許しが必要なのだろうか。

「私は絶対に変えてみせる」

「……」

「じゃあ、さよなら、坂本さん」

「ま、まって」

「なんですか?」


「わ、私も、それ、手伝うよ」

「何言ってるんですか?」

何言ってるのか、自分でも分からない。
けれど、このまま花澤さんを一人でいかせたらいけないと思ったんだ。
何故だかわからないけれど。


「手伝いたいんだ」


そう強くもう一度言った。

「勝手にしてください」

14日前 No.31

@fuu1234 ★FIMibOLPgo_F2B

私は花澤さんのあとをついていく。

「たかしくんは、将来どうなりたい?」

「なんだ、その質問は」

「だって、もう高校2年生だよ。そろそろ将来考えたほうがいいと思わない?」

「……そうだな」

「なに?考えてないの?」

「今は、特には考えてないな」

「ふーん、そうなんだ……」


喫茶店で話す二人の高校生を横目で見る大人たち。
そう、私たち。


「……は、花澤さんは将来何になりたかったんですか?」

私は空気を少しでも和ませようと質問してみた。

「なんで、坂本さんにいわなきゃいけないんですか」

おっとっと……。
和むところか火に油をかけたかのような感じだ。
花澤さんイメージ変わったな……。

今が本当の花澤さんなんだろうな。

そういや、たかしくんはなんで死んでしまうのだろう。
今の彼をみて、とても病気だとは思えない。

可能性が高いというなら、事故死……なのだろうか。
とてもきける雰囲気ではない。

14日前 No.32

@fuu1234 ★FIMibOLPgo_F2B


「坂本さん、帰りましょう」

「えっ、でも二人まだいる・・・・・・」

「彼が死ぬ日、死ぬ時間はわかっています。
 いつまでも観察しても意味はないでしょう」

花澤さんはそう冷たく言い放つと、さっと店から出て行ってしまった。

「花澤さん」

「なんですか?」

「彼ってどんな人だったんですか?」

「…優しい人でした。とても。わたしだけじゃなく、みんなにも優しく振舞う、そんな
 どこにでもいる人です」

どこにでもいる、というのがどことなく強調されたように感じる。

「優しい人か。わたしはとても、なれないな。花澤さんの彼は、すごいな」

「…そんなことないですよ、坂本さんも優しいです」

「えっ?」

「私がそう思うんです。だから坂本さんは優しいです。
 でも、それは特別なことなんかじゃなくて、みんな優しいものなのです。

 じゃないと、こんな世界とうに滅んでいます」

花澤さんはそう続け、きゅっと唇をかみしめた。

7日前 No.33

@fuu1234 ★FIMibOLPgo_F2B


「優しいって……なんだろうな」

私はそう保健室でつぶやいた。
山本さんは外出しており、私一人いるこの部屋はどこか広く感じる。

優しさの塊である私が
優しさを問う。

さっぱりだ。

花澤さんの力になりたいのに、
さっぱりなにも案が思いつかない。
そもそも花澤さんのことも、花澤さんの彼氏のたかしくんのことも知らないのだ。

ここは本当に過去なのだろうか。
過去を勝手に変えてしまっていいのだろうか。

花澤さんは、花澤さんの彼氏、「たかしくん」の生死を変えてしまっていいのだろうか。
それの判断は……誰がするのか。

迷いに迷って
迷い続け、
その先の答えはちゃんと出るのだろうか。

こんな考えたところで、何か解決するのだろうか……
このモヤモヤした気持ちを打ち消すにはきっと。


動くしかないのだ。


1日前 No.34
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