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空間螺旋

 ( 小説投稿城 )
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宇菜 @omunyaisu ★iPhone=M1BQRywwiq

「もう、目の前に飛んでるものが人にしか見えない…」

1人の男が呟いた。近くにいた仮装した人間は顔を顰めて言った。
「お前頭おかしくなったんじゃないのか?」

「いやいや、鳥とかみてれば普通に見えるから。」

黄色い被り物に赤の水玉を3つつけている布を被った奴は、キャラクターで例えるとコ★★ろうだ。

彼は、席から移動し、カッターナイフを筆箱から取り出した。
手にしっかり握られたカッターナイフは、ただ相手に影響を与えるだけで傷一つついていなかった。

「怖い。」

1年前 No.0
メモ2016/08/21 04:28 : 羽異斤萬★DOCOMO-yaF4cEKEYs

赤坂なさ


小学六年生。ドライブが大好きで、キャラクターの格好をするのが趣味。教師や保護者に嫌われている。算数が良くできる。


うみ


小学六年生。カッターナイフを数本学校に持っていっているサイコ。成績はまあまあ良く優等生で通っている。妹がいる。

ページ: 1


 
 

宇菜 @omunyaisu ★iPhone=M1BQRywwiq

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1年前 No.1

宇菜 @omunyaisu ★iPhone=M1BQRywwiq

「もうちょっと小学生らしい格好が出来ないのか。」


なさはその声明に聞き飽きていた。

「失せろ……今それを思い出すな」

誰に言われたかも忘れていたようだ。
彼のなは、うみ。
「失せろは無いんじゃ無い」
いつの間にか声に出していたという。気付いたなさは、睨んだ…

鋭い目つきに怯んだ。
「うるさいんだよ」

小声で囁いたが、しっかりと彼女の耳には届いていた。
生徒たちは教室の中で気怠げそうに騒いでいた。
彼女は、回った。教室の前でブツブツと話し出した。

「私は特別。他の誰にも負けない何かを持っている」

「その格好で言わないでもらいたいな。親族か誰かに作ってもらったのか、買ったのか知らないが、某アニメのあれにしか見えない」


先生の目線に気付いたのか、双方はカッターナイフを仕舞い自分が刀を振り回すという想像をした。
「これ現実感なさ過ぎな」

なさの脳内では、すでに教室の中は赤に閉め尽くされていた。

「あれーなさ?次、これ担当だから」

黒い髪を象徴とするような日本人ぽい少女がなさに近づいた。
「ああ…ゆな…ちゃん」

ゆなは紙切れを渡して、男のほうへ向かった。
「ちょっと!これやりなさいよ!」

「疲れるなあ…」
なさは声に出さずに憎悪の感情をおもむろに出した…

プラスチックペンケースに写る顔が不細工だと思ったのか、不細工…と呟いた。


隣に座る男子生徒には聞こえており、笑われた。
其の後驚いたように身を震わせた。彼女は、赤が着いていたのだ。彼の度肝を突いた。

「いらない……いらない……いらない!!」
彼女の後ろには、悪戯をする女子生徒。
「な…何ですか?」

彼は一度安堵したが、再度彼女の赤をみてしまったが為に思考回路が怯えることを拒否してしまったようである。

「俺は…嫌いなんだ。」

誰にも聞こえなかったであろうその声。

海は聞こえなかったものの、頑なにみて居た。なさが気になるのか。

1年前 No.2

瓊ゃう @omunyaisu ★iPhone=M1BQRywwiq


「俺は何も見てないよ?お前が男と話して居たのもな」


うみは、教室を出た後話し掛けた。音楽の授業は終わっている

「ただ、カオが・・・」
相手のなさが泣き出したので、周りの先生や生徒は・・・驚いている・・・


音楽の先生夏山はなさの肩に、手を、置いた
怯えている目を見たが、夏山は逸らしたと同時に離れた・・・

「ブス何でしょ!」

なさは、うみとトイレに移行した。なさの手首は尋常じゃなく奇麗。


「奇麗だから だいじょうぶダヨ」

1年前 No.3

瓊ゃう @omunyaisu ★iPhone=M1BQRywwiq


うみはニッコリとワラってみせた・・・

手にはカッターナイフと筆箱


「イケメンは滅びろ・・・容姿端麗もな」


壁を刃で伐ったのだが、なさがしがみ付いたのでバランスを崩して倒れた。

文字で「クサッタ シ」と描いてあるのを見て、なさは再び手首をうみに見せ付けた。



「どぅ?」


「ナンダそれー!?」

妙な動きで茶化した。カオを見れないふたりはぜんぜん廊下の音も気にならなかった

1年前 No.4

瓊ゃう @omunyaisu ★iPhone=M1BQRywwiq



廊下には、クラスの中心人物の子などが騒いでいた

「あんなヤツら」

トイレに近付いて、扉を叩かれた

足音のが目立つ。掃除用具がガタゴトとするのを二人は気付き怯えた


なさは、とびらに倒立し、逆さから隙間を覗いた・・・
中心人物の□□の手には・・・モップが引かれていた。

「や・・・めろ」

「男の声がする〜〜〜!」

□□が真っ先に叫び、後の四人を集めた。
「斬りつける・・・」

うみは手を震わせた。左手はカッターナイフを握りしめて居る
眼球が乾いておりカッターナイフをまた切りつけた

1年前 No.5

瓊ゃう @omunyaisu ★iPhone=M1BQRywwiq



なさの赤を見た、男子生徒は、名前は羅気と言い父子家庭である。


羅気は、あの赤が頭から離れず、家に帰って英語勉強のビデオを観るものの・・・
集中出来ず、英語スクールから出された課題も進んでいない・・・・・・


「くっそ、何で・・・」
しかし、なさの顔を思い浮かべたようで、嗤った。
「アハハ、ワハ、ワハ!!」


一方、ふたりはまだトイレにいた。一時間ほど、中心人物たちが駄弁っていたためだ・・・なさは何故かうみを蹴った。

「オマエは、やっぱりキライだ・・・」

うみは立ち竦みなさを睨んだ

「キライか」

うみは扉を開けそそくさとどこかへ向かってしまった。

なさがまだ小声でブツブツと呟いていたが、無視している



羅気はまだ、課題が出来ないようで、自分の顔を鏡で見始めた。

最初は「イケメンだな〜」とか、話して居たが、ニキビに気付いた途端麦茶を溢した。
「サイッアク!!!」

羅気は雑巾を持ってきてカーペットに水を染み込ませた・・・
「なんで俺のイケメンなカオにニキビが出来ないといけないの〜!?」

雑巾はそのまま仕舞わずに課題に取り掛かった・・・


「まって!」

まだ学校にいたなさが叫んだ。うみはそれでも振り返らず地面を強く踏んだ



1年前 No.6

瓊ゃう ★FullBrowser=CU2CzmHChm



振り返らなかったうみは、教室にゲーム機を取りに行ったあと家路についた。

なさはまだ女子トイレに滞在していた。考え事をしているようだ。
羅気のことを気にしているようだ。

確かに音楽室でなさがプラスチックペンケースに写った自分の顔について呟いた時笑われたのだが、その後態度が急変した。

それはなさの手首を見てしまったからであり、なさもそれに気付いていた。

そんなことを考えていると、見回りの教師がトイレの方に立ち寄った。

しかし、一瞬の見解でどこかにいってしまった。

なさは安心した。

その頃うみは、自宅でマ●オブラザースをしていた。
そしてwi-fiで通信対戦をした後、f●のパッケージを開き、遊びだした。



1年前 No.7

瓊ゃう ★FullBrowser=CU2CzmHChm



「う〜、消えろ…消えろ…」

なさは一生懸命右手首を左手で擦っていた。

自身のコ●じろうなどのコスプレ服を学校に着ていくという癖も気にはしていたが、手首の傷に初めて辟易していた。

羅気という端から見れば完璧のイケメンに見られたからか。

1年前 No.8

瓊ゃう ★FullBrowser=CU2CzmHChm



「糞…第三ステージクリア出来ねえ…」

うみは、なさの事を忘れたいかのように、ゲームに没頭していた。
部屋の電気は付いておらず、親も帰宅前だ。孤高の状態である。

「もうすぐ妹が帰ってくるな、あのリア充」

その時、玄関で物音がし、鍵が開かれた。

「ただいまー」


うみの妹が玄関から顔を出した。
茶色の髪にフリルのついたピンク色のミニスカート、白のノースリーブ。
歳は11歳。小学五年生だ。
「チッ、八茄が帰ってきた」

顔はうみと似ており…まあ、普通だ。

1年前 No.9

瓊ゃう ★FullBrowser=CU2CzmHChm

「学校から出ないと…やばい」

コ●●ろうの着ぐるみを引っ張りながら、少女は思考する。少女の名はなさ。

なさは学校の2階のトイレに早三時間滞在している。

「くっそ、あのクソ男!!」

トイレの壁を叩き、憎しみの気持ちを牽制した。
誰かが来ないか、なさの顔が強張る。

憎しみの相手は、現在P●Pでゲームをしているうみだ。

なさはおずおずとトイレの扉を引き、教室へと向かった。
すると、教室の扉を引いたものの、鍵が掛かっていることに気がついた。

「最悪だ…」

脱落した表情をして、扉の辺りを迂回するなさ。
職員室へ行かないと鍵がない。しかし、またそこで理由を聞かれるのかと思うと、なさは階段の方向に歩いた。

下へ下がると、職員用に土間の扉が開いていた。
なさはそこをすり抜け、学校を出た。

「うみと一緒じゃないと…格好が目立つ。」

うみは普通のTシャツにズボンなのだが。

1年前 No.10

瓊ゃう ★FullBrowser=CU2CzmHChm


奇行が目立つと教師と保護者の間で有名ななさ。

まず、最初に周りにそう認知されたのは小学三年生の頃だった。

「僕と乱闘して魔法少女になってよ!」

――と、小学三年生の時、教室で叫んだのだ。放課で騒がしかった教室だが、その声は一際目立った。

それから、教師に巧みの話術をし鍵を盗み、屋上のフェンスを飛び越えるというのもあった。


「何してるんですかね…」

そこで開いていた扉から入ってきたのは、四年生の時別のクラスだった、うみだ。

「見るなー!そらの●●しものにはこんな茶番はない!」

「いやいや、屋上のフェンスから飛び降りるという話では無いぞ」

うみは呆れて、なさの腕を掴んだ。

「……お前のやっていることは、おかしい」

うみがはっきり告げると、なさはフェンスの内側に飛んだ。
下手すれば死んでいたかもしれない奇行だ。
もちろん教師にもバレている。

…そんな訳で、なさは保護者会でも`害´だと言われており、なさもそれを知っている。

決定的だったのは、五年生の卒業式での格好だ。
みんなブレザーにプリーツスカートなのに、なさはキュウ●●の着ぐるみを着てきていた。

ちなみにうみはズボンのポケットと懐にカッターナイフを5本入れていたらしい。

なさと違いうみは優等生で通っており、たまになさと関わっているのを訝しげに見られるだけだ。

1年前 No.11

瓊ゃう ★FullBrowser=CU2CzmHChm



「うみって、人を●したいとか思ったことある?」

「―――無いな」

なさが腰を掛ける。

「でも、カッターナイフとか何本も持ち歩いてるんでしょ?」

それがそうなるとは、有り得ないと言わんばかりにうみは髪をガシガシと弄った。

「自慢じゃないけど、実際に使うときは紙とか段ボールだから」

一週間後、二人は何事も無かったかのように会話していた。
朝放課の時間に階段にいた。

「へえーそうなんだ」

「ねえねえっ、何話してるの?」
すると、一人の女子生徒が階段を降りてきて二人に近づいた。

うみは、なさといる所を見られたくないので、暗い顔をしながら顔を伏せた。

女子生徒は繭優という名前で、なさと再三話したことのある地味な女子だ。
髪は肩まであり、目は前髪で隠れている。

「……なんも」
「いいや、ぶつかっただけだ。」

なさの言葉を遮り、うみがなさの前に立ち塞がった。

なさはジバ●●ンの着ぐるみのフードを被り、うみの背中に頭突きするモーションを取った。

「そっか〜!そういえばなさはディア●●見てる?」

繭優は前髪を弄りながら、手すりにもたれ掛かった。

「…いや、乙ゲー系は見てないかな」

「じゃ、俺はここで」

なさが口を開くと、うみは立ち去ろうとした。

「アイツを車の上に乗せて荒い車道でドライブしたいな…」となさは思った。

うみが階段を昇り終わり、教室へと向かっていった。

「あ〜車乗り回してえ!!」
「え?今なんて?」


「…あ、何でもない。」

1年前 No.12

瓊ゃう @omunyaisu ★FullBrowser=CU2CzmHChm



私は、残念なのだろうか、友達も出来ずに人生を終わるのか。――ふと、なさは思い更けた。

繭優と離れ、クラスに戻った時だった。

繭優はオタク女子グループで駄弁っていた。
活発そうな髪の短い女子生徒が中心でイスに座っており、繭優を含めた四、五人が囲むようにしている。

うみは教室の端の席でスマホを弄っていた。

すると、チャイムが鳴り、スマホを仕舞った。

「ホームルーム始めるわよ〜」

直ぐに担任の女教師が教室に入り、ホームルームが始まった。
女教師はなさの格好に目がいったが、口を出しても無駄だと思った。

半年前、なさがピンクのかつらを被ってきた時注意したことあるのだが……


「なに、そのカツラ。今すぐ外しなさい」

四月頃の朝のホームルーム。チャイムが鳴ったばかりの教室は騒がしかった。
が、その一言で教室は静まり返る。
何故ならクラスの誰もが不思議に思っていたからだ。

「だ、ダメですか?」

服は巡●ルカのコスプレで、御丁寧にヘッドフォンまで着けていた。

一部のオタクは知っていたようで、物珍しそうに凝視している。
そしてなさが言葉を放った。

「……じゃあ、先生が着ますか?」

実際そのコスプレ服はサイズが合っておらず、身長140cmのなさにはブカブカだった。
刹那、なさは脱ぎだした。すると、なさのスマホに大量のLINIメッセージが届いた。

着信音が教室に鳴り響き、急いでなさが確認すると、9999とLINIのアイコンに表示されていた。

「DOS攻撃かよ…」

そして、女教師はスマホを没収したものの、LINIの連続着信音が頭から離れず一ヶ月間まともに寝れないという症状が出た。


「―――だから、あの子には関わりたくないのよ」


過去を思い出し身震いした女教師は、別のことを考えるようにした。

ホームルームが進み、一時限目が始まった。

1年前 No.13

瓊ゃう ★FullBrowser=CU2CzmHChm



現在は九月。四月頃になさにLINIを大量送信したのは、うみではない。
不登校の理夜という女子生徒だ。
理夜は小四の時から学校に通っておらず、暇さえあれば知り合いにDOS攻撃をしたりサーバー攻撃をしたりしている。

知り合いは同級生、先輩や後輩までいる。

理夜は放課に送信出来るように、授業時間を考えていたりしたが、ミスでホームルーム中に送ってしまったわけだ。

当時、なさのスマホを担任の女教師に没収されたことも知らずに、理夜は自宅のマンションのリビングでTVを見ていた。

「――えー、お伝えしますように、●●市●●区の路上で男性が刃物に刺され重症で…」

TVのニュースキャスターが伝える。
理夜は、興味を示してニュースにのめり込んだ。
幸か不幸か、適当に電源をつけた時のニュースは殺人事件が多く、小五が見るには刺激が強かった。

「ありえねー…」

父母が毎晩包丁を使って喧嘩をしているが、それを見ていても、理夜には非現実的に思えた。
包丁なんて、見慣れてるはずなのに何故だろう。――と理夜は考えた。

例えば、レアステーキを切るナイフだったらどうだろう。全く怖くない。

なのに、目の前の画面で起きている事は恐怖。

「う…うわあああ」
理夜は自身の理性の境界線がわからなくなり、口を漏らした。
理夜がやっているDOS攻撃やサーバー攻撃は全く怖くないか?と言われれば怖いだろう。

――理夜は現在、そのようなソフトを削除してしまっている。
しかし、現在はニュースの影響か解剖に興味を示しており、PCでチャットをするときもまわりに引かれるという始末だ。

1年前 No.14

瓊ゃう ★FullBrowser=CU2CzmHChm


「う〜死ねる…」

部屋の片隅で茹だっている理夜は、リモコンでTVを付けた。
――相変わらず偶然にも殺人事件のニュースをやっており、四月とは別の場所だった。

「ッ…」

道路に書かれた字、建物と建物の間を塞いだ黄色いテープ、警察官が画面に映し出されて理夜は反射的にTVの電源ボタンを消した。

(LINIしよ…)

スマホを手に取り、タイムラインを確認してメッセージに返信する。相手は二十代の大人や高校生だ。中には年齢不詳の人間もいる。

そして飽きたら、PCを開きチャット掲示板へとアクセスしはじめた。


その頃なさは国語の授業で躓いていた。

(国語とかわかんないんだよ〜!当てられたら地獄だ…)

1年前 No.15

瓊ゃう ★FullBrowser=CU2CzmHChm



担任の女教師がなさの方を見ている。
(見てるよ…これは当てられるかも)

なさは漢字も苦手だが、文章の読解が特に苦手だ。
ノートには黒板に書かれた問題だけが綴られており、答えは書けていなかった。
女教師はじろじろとなさを見ながら思考した。
(あの子に当ててやりたいけど…また、何か起きそうで嫌だわ。)

そして手を振り上げ、窓際の奥の席の方を指した。
「――うみ君」

うみが呼ばれて顔を上げ起立した。その瞬間にズボンのポケットに忍び込ませているカッターナイフが太股に突き刺さったらしく、顔が歪んだ。
カッターナイフは刃が出ている状態では無く、大事には至らなかった。
机でカッターナイフの位置を矯正して教壇に向かう。

「――良く出来ました!」

――流石優等生と言うべきか。約40文字の文章の簡潔文を書きつらねて席に戻った。

しかし、カッターナイフが突き刺さった事にイライラしているのかノートを、広げた教科書で隠しそのままカッターナイフの刃を静寂に微塵に出してゆき無音で切り込みを入れた。


「――――………」

誰にも気付かれぬように、一人だけの殺伐会をやっている。

なさはうみの方をチラチラと見ている。――私が当てられなかったから良かった――という感情か、ただ単に気になるから見ているのか。

「先生〜〜、何で俺を当ててくれなかったんですか〜?」

お調子者でうるさいクラスのムードメーカーな須田が言った。
言ったというよりは叫んだという方が近いか。

1年前 No.16

瓊ゃう ★FullBrowser=CU2CzmHChm


授業中、うみは螺旋状に切り刻まれたノートの紙を終始見ていた。
(俺は…もう紙を切り刻んだりしない。…けど、トイレの壁とかはあれ以来切ってない。)

一週間前、なさと喧嘩したトイレでの出来事を思い更けた。
自身が成長したような感覚に覆われて、暫し身が固まった。そして静かにノートを閉じ、黒板に顔を向けた。

「はーい、今日の授業はここまで!」

女教師、佐藤が笑って言う。佐藤は、其ほど美人という訳では無いが、顔は整っており、長い髪はスタイリング剤で纏めていて、スラリとした背格好をしている。
数分後、鐘が鳴りなさはうみに近付いた。
うみは近寄るな、という目線を掛けて睨んだが、なさはノートに描いていた佐藤を見せた。
そこには、髪は固まった針金みたいにバキバキで、顔は能面、体は二頭身、と酷い絵が描かれていた。

スマホを一回取り上げられた恨みか。

1年前 No.17

瓊ゃう ★FullBrowser=CU2CzmHChm



「これはないんじゃないか…?」
うみが呆れて絵を描かれた紙を奪うと、その絵と佐藤を見比べた。
スマホを奪われた時、なさは無表情だったがそこまで執念が溜まっていたとは。
因みにスマホは放課後に返してもらったらしい。元々スマホは持ち込み可の学校なので、ホームルーム中や授業中以外は使ってもよいのだ。

「……でも、それくらい屈辱的だった」

なさはそう呟き、一呼吸してから紙をうみから取り上げ、離れていった。――もし、今自分があの紙をカッターナイフでざく切りにしていたらどうなるだろう。――とうみは思った。

別に佐藤に何も恨みはないし、当てられることもどうでもいいが、目線が少し気に障っていた。

佐藤はクラスの男子と仲が良く、一部の噂では長身でイケメンの生徒とLINI交換をしているというものもあった。

――うみは、自分を哀れな目で見ているのか、それとも特別な感情を抱いているのか、どちらにせよ気に食わない様子だ。

だが、それで佐藤を象った絵が描かれた紙をざく切りにしたら、トイレの壁に文字を彫るのと同じだ…。

自分に装備されたカッターナイフの重みを感じながら、席を立ち次の時限の内容を確認した。理科と書いてあり、移動教室だ。
適当な男子グループに紛れ込み、話に混ざりながらその後をついていった。

1年前 No.18

瓊ゃう @omunyaisu ★FullBrowser=CU2CzmHChm



ある日、うみはカッターナイフの刃が割れたので新しいものを買いに出掛けた。

土曜日の真昼だった。

うみはカッターナイフに拘りがある訳では無いが、収納性を重視していた。

駅前まで数十分歩き、ショッピングモールに入っていく。
土曜という事もあって、人が多くうみはため息をつきながら文房具屋へと向かった。

「ママー!ママー!!」

小さい子供が叫ぶ。二歳ぐらいだろうか。

「ぎゃあああああああ」

赤ん坊も立て続けに泣き喚く。
子供が苦手なうみは目を細めて早足で歩いた。

(好きなカッターナイフを買いに行けるのは良いけど…休みに泣き声は聞きたくないよな)

――文房具屋に着き、カッターナイフが置いてある場所へと進む。いつもの行程だ。

持ちどころが大きくて派手なもの。取り出すレバーが小さく全体的に小さいもの。柄が付いていてキュートなもの。

迷わず全体的に小さいものを選び、手にとってレジへ向かった。

「え――560円です」

無機質に財布から760円を取り出し、店員に渡した。

「760円からお預かりしますっ 200円のお返しです ありがとうございましたー」

うみはお辞儀をする店員を見ながら、店を出た。

(このカッターナイフは、小さい割りに刃がでかいんだよな)

1年前 No.19

あたあた @omunyaisu ★FullBrowser=CU2CzmHChm

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1年前 No.20

瓊ゃう @omunyaisu ★FullBrowser=CU2CzmHChm


妹が可笑しな人間につけ込まれていると考えたうみは、寝れずに苦悩が続いた。
朝日がカーテンの隙間から射した頃、ハッとしてランドセルを開き、宿題を見たところやってあり安堵した。
別の部屋にいるはずの八茄は早朝から出掛けており、うみはスマホに潜ませてあるGPSアプリを開いた。


「…早朝からどこに行ってるんだよ」

最早、心配ではなくどこに行ったか知りたいだけなように見える。
情報の無いGPSアプリを終了して学校に行く支度をした。

その後、エレベーターに落ちていた一冊の本を拾いパラパラと捲ると気色悪いものが次々と出てきた。
そんな本を捨てようとしたら、八茄に遭遇した。

八茄は財布をミニスカートのポケットにしまうと、得意気そうに言った。

「それは、外科医とかが見る本なんだよ」

妹に指摘されうみはばつが悪そうに本を睨み付けた。

「外科がどうしたんだ。こんな気持ち悪い本見れるか」

そう吐き捨てうみは学校へ向かった。
八茄はうみが道路の角を曲がり姿が見えなくなったのを確認してから本の中を見た。

「理夜ちゃんが落としたのかな…」

1年前 No.21

瓊ゃう ★DOCOMO=yaF4cEKEYs

うみは、学校に着いてからも外科医学書の内容が頭から離れないようで、不機嫌そうだ。
なさはそんなうみを見て、思った。
(なんか、うまくいかなさそうな予感がする)
何事も巧くすり抜けるうみを見てきたなさは、気分が良かった。
「どーもー」
その時、6-2の教室に理夜が来た。無造作に扉を開けてずかずかと教室に入り込んだ理夜は、注目の的になった。
目的は、うみだ。理夜となさは面識があるのでなさは目を丸くした。
足を進め、うみの机の前で立ち止まった。
手には朝エレベーターに落ちていた物と別の外科医学書が持たれており、それを眺めながら話し出した。
「これ、新品なんですけど、古そうなの落ちてなかったですかね?うみ兄さんのマンションに行ったきり無いんですよ」
外見的象徴は全くないが、どこかがおかしい。例えば、持っているもの、話し方、行動…うみは思った。
しかし、相手は普通と思っているようで、淡々と返すことにした。
「今朝、エレベーターに落ちてたから俺が拾ってあなたに渡すよ」
うみは、なさをチラリと見た。今日のなさはア●ナの衣服とウィッグを一式身に付けており、オタク系男子の久留米が凝視している。
好きキャラなのだろう。
理夜はというと、外科医学書を見せびらかしながら教室を出ていった。
うみは迷惑そうな顔をして、買ったばかりのカッターナイフをポケットの中で探った。他のカッターナイフと比べると小ぶりだが、刃は一番大きく鋭利だ。
そのカッターナイフを指の感触だけで楽しんでいると、佐藤が教室に入って来た。担任だ。
佐藤は先ずなさを睨み付けると、教室中を見渡し最後にうみを見た。そして目を薄めて笑い言う。
「うみ君はー、いるねっ では、ホームルームをはじめま〜す」
うみはその扱いに心底苛ついたようで、佐藤が街で男子生徒と腕を組んで歩いていた画像をなさに送信した。
佐藤はそんなうみの行動に目も暮れず、その男子生徒にアイキャッチをしている。
そして、長い髪を華麗にかきあげて出席確認の紙を広げた。
数十分が経ち、出席確認は終わった。
佐藤が一時限目の用意をしていると、なにやら職員室から内線がかかってきたようだ。
「はい、六年二組佐藤です」
教室の緊張の糸が解れ、会話をする声が聞こえる。
「えっ…五年の…はい、はい」
うみは佐藤の話し声を聞いており、"五年"でピクリと肩が動いた。
佐藤は受話器を置き、うみの方へと向かった。そして深刻そうに顔を近づけて告げる。
「うみ君、今すぐ帰宅して貰うわ…長崎理夜ちゃんという生徒が、うみ君を解剖すると言って階段から離れないらしいの」
「詳しいことを教えてください 何を持っているのか、なぜ教室に来ていないのか、聞くまで帰りません」
ポケットにカッターナイフを六本、忍ばせながら無表情で言う。
「な…何も持っていないけど…頑なにポケットの中を見せないみたいだし…」
「なぜ、来ていないのか聞きたいんですが 先生が取り押さえているんでしょう?」
そう言い、ハッと渇いた笑いを漏らした。
「うみ君の為にやっているのよ…!?」
しかし内心、恐怖心を感じていた。解剖の意味は、嫌でもわかる。そして、ポケットに何か凶器が入っているかもしれないというのも…

1年前 No.22

瓊ゃう ★DOCOMO=yaF4cEKEYs

その日、うみは午前中に帰宅した。
職員室では、理夜を児童相談所に通告するか会議が開かれた。
しかし、ポケットからナイフや凶器は確認されておらず、理夜の口からは「うみ兄さんを解剖したい」としか発せられなかったわけだ。
うみはマンションに着いた途端、ある不安が湧いていた。
ここ何週間かなさが羅気と関わりを持たないよう、監視していた訳だが、午前中に帰宅してしまったからには監視が出来ない。
それが、理夜の事よりも優先されていた。
LINIを確認すると、画面にはなさから<大丈夫!?>、<理夜ちゃんが何かしでかしたんだよね>というメッセージが来ていた。
それに<大丈夫。先生がマークしてるから>と返信した。
「つまんねえ、オンラインゲームでもするか」
非日常な事が起こってもつまらないと抜かし、PCを開いた。ゲームは、最新のもので海外ユーザー数が伸びているものだ。
うみのlevelは30程で、初心者との狭間だ。
早速キャラを選択し、戦場となるグラウンドにキャラがスタンドした。
アイテムを買い、装備する。戦いが開始された。
うみはアイテムを使いながら弓矢で攻撃して相手を倒した。
倒す瞬間、リアリティーはあまりないが血飛沫が飛ぶ。
数十分後戦いが終わり、うみはオンラインゲームを終わった。
「解剖………やだなぁ」

1年前 No.23

削除済み ★DOCOMO=yaF4cEKEYs

【記事主より削除】 ( 2016/08/09 03:08 )

1年前 No.24

瓊ゃう ★DOCOMO=yaF4cEKEYs

その頃理夜は教師に連れられ別室にいた。
「あ〜暇。なんか面白いものないすか?」
教師にフランクに話し掛けるが、頑なに外科医学書を離さず手術の様子の頁をずっと見ている。
教師は眉間にシワを寄せたあと、「無いかな。それよりも今は社会の授業だよ」と指摘した。
「じゃあ、何か話してくださいっす」
「う〜ん、六年生にコスプレや着ぐるみのような格好をしてくる子がいるんだけどさ、外でも学校でも注目の的になっちゃうじゃん。その子みたいに周りに影響を与えちゃうよりはまだ君のがましだと思うんだけどなあ。友達もたくさんいるようだし。勉強する意欲があるなら普通の勉強した方が良いと思うよ。さっきみたいに"解剖したい"とか言っても絶対出来ないからね」
「あ、知ってるすその人。手にヤバい痕がいっぱいあるんすよ」
沈黙が続く。すると、教師は深長な顔もちで椅子から立ち上がり、ちょっとすぐ戻ってくるからねと別室から出ていってしまった。
理夜はランドセルを背負い、窓から外を見渡したあとそそくさと別室を出た。

1年前 No.25

瓊ゃう ★DOCOMO=yaF4cEKEYs

そして、理夜は教師になにも言わずに帰宅した。
部屋にランドセルを投げつけてベッドに転がった。
スマホを手に取りTwitterを開く。"コスプレ"と検索した。
画像が表示され煌めいた容姿に理夜はたじろいだ。
「こんなの…他人に影響なんか無いでしょ」
教師に言われたことを思い出したようだ。なさと比較された事を。
「普通じゃないだけ」
すると、裏垢らしきものが理夜の目に留まった。
それの投稿を見ていくと、コスプレをしているものの顔は出ていない。未成年が見るにはふさわしくないものまである。
「きもっ」
理夜はドアにスマホを投げつけた。
ガン!と音が響き無様に落とされた。
誰かからLINIの着信が来るが、無視をしている。電話をかけている相手は30代の男だ。
因みにうみはというと、昼食を冷蔵庫にあるもので軽く済ませた後、ニタニタ動画のランキングをチェックしていた。
「お、新しい実況出た」
アクションゲームの実況動画を観る。
数時間かけてランキングに入ってる物を一通り観たあと、ニタ生クルーズを新しいタブで開き閲覧しだした。
うみは解剖の事なんて忘れて<働けww>などのコメントを流した。
「ただいまー」
クルーズに夢中になっているうみの後ろに立っていたのは、珍しく夕方に帰宅した八茄だった。
「兄が大変な事になってるんだから、昼間くらいに仮病でも使って帰ってくるかと思ったよ」
「だから、いつもより早く帰ってきたじゃん」
うみは八茄を凝視した。白のノースリーブ、ミニデニムパンツ、ニーハイ。八茄の今日の格好だ。
「本当に、俺は久々に恐怖を感じたよ。八茄も関わるなよ」
「お兄ちゃんがそこまで言うなら、距離置こうかな」
ポニーテールの髪を揺らし、うみの部屋を出ていった。
しかし八茄は、ガラケーから<なんでお兄ちゃんを怖がらせるような事言ったの?>と理夜にLINIで軽く言う。
数分後理夜からは<頭良さそうだから、どんな脳ミソしてるのかと思って>と返事が来た。

1年前 No.26

瓊ゃう ★DOCOMO=yaF4cEKEYs

<だからと言って先生がお兄ちゃんを帰すまでのことを>と八茄は入力して全消しした。
八茄は別室にいるうみの様子を確認するため耳をたてた。切るような音がたまに聞こえるからだ。
その音がすると八茄は体が震えて涙が浮かぶ。
八茄は服を脱いで部屋着に着替えた後、日記帳の今日の日付に書かれていた"桜と服を買いに行く"という文字を消した。
いつもは遊びで夜10時から11時に帰るものの、うみが心配で家にいるという訳だ。
「お兄ちゃん、ご飯作ろうか」
ニコニコと笑い兄の部屋の扉をノックする。しかしその瞬間、チャイムが鳴った。
ピンポンピンポンピンポンと連続して押される。ドアノブもガチャガチャと弄られた。
うみはついてくる八茄を抑え、玄関の扉から外をのぞいた。笑いながら立っていたのは理夜だ。手にはメジャーを持っており、見せ付けるように出したり仕舞ったりを繰り返している。
「これで、うみ兄さんの脳ミソを測るんだ…!!あのあの、お願いだから出てきてくれませんか!」
冗談なのか、本気なのか、瞳孔を開いて言われた言葉にうみは「可笑しい」と呟いた。
扉越しに理夜をまじまじと見るが、凶器などを持っている様子は一切ない。
「お願いです…!!お願いです…!!」
近所迷惑になるから止めてくれと言おうとしたが、八茄がLINIの友達から理夜を消していたのでやめた。
さらに、着信拒否までしている。
しかし、メスを持たないのにどうやって?とうみは思った。
「うみ兄さんは、カッターナイフをメスみたいに大量に持ち歩いてますよね!?そしたら、解剖の仕方なんてわかるんじゃないですか!」
「あぁ、バレてるのか。今あなたにカッターナイフを見せてあげようか?」
うみは言動が先走った自分に驚いた。
ズボンを見ただけでは全く入っているかわからないのに、的中した現実を言われてしまったのだ。
しかし、再び扉から外を覗くと理夜はいなくなっていた。
一本持っていたカッターナイフを後ろポケットから出すと、玄関の鍵を静かに開けマンションの廊下に立った。
理夜は、カッターナイフを手に握っていたうみを見て笑いながら跳び跳ねた。それから走り出し、階段を使って逃げていった。

1年前 No.27

瓊ゃう ★DOCOMO=yaF4cEKEYs

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1年前 No.28

瓊ゃう ★DOCOMO=yaF4cEKEYs

なさは授業中に佐藤から100点のテストを無事受けとった。
やった…!100点だ!!となさは心の中で喜ぶ。
その気持ちのまま六時限目が終わり、一軒家の自宅まで帰った。
中古の木造一階建てを6歳の時に親が借りた。
「新しいコスプレ服出来そうよ」
なさが玄関で靴を脱ぐと、玄関からすぐ見えるリビングで、ミシンを使い布を縫い合わせている女性がいた。なさの母親だ。
「今度は何のキャラなの?」
「●倉杏子よ」
母親はそう言い、出来上がった衣装を広げ、なさの体に合わせた。
「あ〜〜ちょっと大きいかな」
正確な寸法で作るのは面倒くさいらしく、今まで作った衣装もサイズはバラバラだ。
母親はクローゼットの掛け軸に●倉杏子の衣装を掛けた。
「これは、明日アイロンして、明後日ぐらいには着れるわね!!」
…とまあ、こんな環境なのでなさは痛くなってしまったのである。
因みにウィッグはア●ナと巡●ルカしか持っていない。
「…ねえ、い…ま着ても良い?」
「良いよ〜」
なさはクローゼットから●倉杏子の衣装を取り出す。グロい所をまとめてある動画を思い出したようだ。
少し身震いしながら、慎重に服を着ていく。
「着たよー」
台所でアイスティーを飲んでいた母親は、リビングに駆け寄った。
「おぉ!なさは杏子ちゃんというキャラではないけどウィッグを買えば最高に似合ってるねー、杏子ちゃんの良いところはルックスも勿論だけどサバサバした性格も良いからね!」
なさは後半無視して四畳の自室へ向かった。

1年前 No.29

瓊ゃう ★DOCOMO=yaF4cEKEYs

数日後、なさは●倉杏子のコスプレ衣装を学校に着ていった。
階段でうみに鉢合わせ、辺りに人が少ない事から話し出した。
「お前は、俺がカッターナイフを持っているのを、人を殺す為とか言ったよな」
珍しくうみから話を切り出されたなさは、驚いたような顔をしたのちに眉をひそめた。ポニーテールを揺らして俯きながら上履きを履いた足を微かに震わせた。
「言ったけど、何?」
「じゃあ、お前は自殺したいから手首がそんなんなのか?」
うみは悪気がなく、きょとんとした顔をしている。
一方、なさは目から涙を流して泣いていた。号泣ほどではないが、鼻が赤くなっていた。
窓から照らされる曇天の陽が一層重た苦しい空気を醸し出していた。
暫くすると、オタク系男子の久留米とオタク女子グループが教室から出てきて階段を降りてきた。
双方から注目を浴びせられたなさは、廊下に駆け上がりトイレに入った。
「大丈夫なの…?あれ」
短髪で活発そうな樫本という女子が心配そうにしており、繭優は残されたうみを悪もののように見ていった。
「赤坂さあ〜〜ん、どうしたのお?泣いてるのお!?」
という声がトイレから聞こえ、樫本たちはクラスの中心女子グループがなさに絡んでいると考えた。
「ちょっとー、今日の格好ヤバくない!?」
「いつもヤバイでしょ」
女子トイレではまだ尋問が続いていて、茶髪や派手な服を着たクラスの中心女子グループに囲まれたなさは、それらを見上げながら爽やかに笑っていた。
「ねーっ、なんで普通の格好できないのー?」
サイドテールをカールさせた女子が指を指しながら言った。
「別に良いじゃん、どんな格好でも」
なさはそう言ってわざとバケツを足に引っ掛けると、バケツは横に倒れ、大量に水が溢れた。
そして早足でうみを追いかけ、ビンタするか飛び蹴りするか迷っていた。
一階に降りてみると、うみが柱に凭れながらスマホを触っていた。
近くに寄ってダン!と柱を足で蹴る。
「私が自殺するわけ無いだろ」
丁度いい音量で言葉を連ねたその瞬間、強く手を振り翳した。
が、柱が叩かれた。
「今、通知表をオール3にするにはどうすればいいか試行錯誤しているんだ」
ニコニコとうみはカッターナイフをズボンのポケットから取り出し、なさのコスプレ衣装の胸元に突き立てた。
「3ぐらい余裕じゃん 一生優等生として生きていくのなら。」
「そりゃあ、授業で当てられたら当たり障りのない回答をし、宿題はきちんと出していたら優等生だけど」

1年前 No.30

瓊ゃう ★DOCOMO=yaF4cEKEYs

「へえ」
なさは欠伸をしてクラスの中心女子グループの一員の靴を蹴った。
罪悪感に襲われたが、母親に作ってもらった服を馬鹿にされた事を思い出したらぴょんぴょんと飛び跳ねて教室へと向かった。
「うみは授業で当てられてもちゃんと答えるし、宿題も出す 自分で優等生って思ってるんだね」
それでも服を馬鹿にされたことを許せないなさは、うみに八つ当たりするようにから笑いした。
階段の真ん中の段から見下ろしている。
「優等生だよ 俺は、サイコパスと言われても優等生だから」
うみはまるで自分に言い聞かせるように、土間と階段の狭間の壁をじっと見つめながら言った。

1年前 No.31

瓊ゃう ★DOCOMO=yaF4cEKEYs

そう言えば、カッターナイフを何本か家に忘れてきて一本しか無いんだ、とうみは錯誤して不安そうにポケットをまさぐった。
「俺はついに、サイコから脱却出来そうだよ」
「何で?」
理由を知らないなさは不思議そうに首を傾げた。
そしてうみは心なしか気持ちが晴れていた。それは、自分が毎朝数本のカッターナイフをポケットの中に入れないと気が済まないのに比べて、今日は入れるのを忘れたからだ。
あれだけ机の引き出しに大事に何十本も収納してあり、トイレの壁やノートを乱雑に切りつけるのが日常茶飯事だったのに、忘れたのだ。
うみは、それでも教室で真面目に授業を受けていた。カッターナイフが一本しか無いのを気にせずに。
黒板に書かれた文章を丁寧にノートに書き写し、理科の先生の話もしっかり聞いていた。
「因みに地球は、何百億年も前に惑星として生まれてなー、その衛星となった月は色んな説があって地球に衝突して出来ただとか、岩が集まって出来ただとか…」
話の長さになさを含めて生徒の大半が他ごとをやっていたり寝ていたりしていたが。
一人だけきちんと話を聞いている生徒、うみが理科の先生の視界に入った。
実は、理科の先生はうみに黒板に書かれた問題を答えさせようと思っていたが、異変に気付いて話をしていたのだ。
異変とは、うみの机の上にカッターナイフが孤独そうに佇んでいたからだ。
しかも教科書もノートも机の中に仕舞われている為、不自然に見える。尤も、カッターナイフを使う授業では無いのだが。
「おい…、カッターナイフいらなくないか?」
理科の先生は、注意しなければいけない生徒そっちのけで、指摘した。

1年前 No.32

瓊ゃう ★DOCOMO=yaF4cEKEYs

「あ、筆箱から落ちちゃったみたいで…教科書も、腕にあります!」

指摘されたが、うみは優等生ぽい言い回しで理科の先生の疑念から逃れた。




ある日、なさが教室付近のいつも行くトイレで見つけたものだった。
個室内に入ると、閉められた便座蓋に3DSが置いてあるではないか。
「なんだこれ」
なさはゲームに興味がないが、3DSが高価なものとは知っていたので、手に取った。
しかしその瞬間、何者かがその個室に立ち寄る。

「あっ…トイレ中でしたか…」
その人物は、腰まで伸ばした黒髪に目に掛かる切り揃えられた前髪が特徴の目の大きい可愛いげのある少女だ。
だが、小学生にしては高身長である。165センチぐらいだろうか。

なさは自分より身長が25cmほど高い少女を見上げながら、便座蓋に慌てて置いた3DSの事を言おうとした。「蜜柑は、今日からこの学校の6-2に通うんです」
開いた口をしたまま遮られた言葉は、転校生と言わんばかりの自己紹介だった。

蜜柑という少女は、便座蓋に鎮座している3DSをなさへ感謝するようにお辞儀しながら掴み、セーターのポケットに突っ込んだ。
よくよく蜜柑の格好をチェックすると、白シャツに紺のセーターを羽織り黒のズボンを履いている。
ボーイッシュだな、となさは考えて自分のフリルのついたスカートを見た。
普通の人がみればメイド服であり、本来は●ムのコスプレ服である。
「フルネームは長谷川蜜柑です」
「へえ、転校生なんだ。しかも私のクラスだし…」
「というか、赤坂さんの着てる服ってコスプレですよね?」
なさの左側の胸元に付いていた名札を見たからだろうか、名字を読んだ。
「あ、うん そうだけど」
何かしら容姿から感じ取れるものが蜜柑にはあるので、なさは警戒しながら相手の情報を得るために注視した。
「蜜柑もコスプレします。しかも男装…」

1年前 No.33

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「男装……か――ちょっとよくわかんない」

「あ…あぁ!わかんなくていいよ、赤坂さんは…」
この時、微妙な空気が流れた。―蜜柑はオタクか?となさは一瞬思った。
しかし、なさみたいにコスプレ服を着ているわけではないので普通の小6のように窺える。

――――――――――


「この人が、今日から6-2の仲間になる、長谷川 蜜柑さんよ〜!みんな仲良くしてあげてね」
ホームルーム前に担任の佐藤が蜜柑の肩に手を置きながら言った。
初めて見る面が並び、蜜柑は緊張しながらチョークを手に取り黒板に自分の名前を書いた。

「長谷川 蜜柑です よろしく……ます」
語尾が消えるような感じで言い、それを凝視している生徒たちに佐藤が補足する。
「緊張してるから、えーと、どこの県から来たんだっけ?」
うみは、端の席で蜜柑を見た。バッチリメイクと艶のある巻き髪、タイトなレディーススーツ、短いヒールを履いた佐藤と、目が大きく、切り揃えられているが手入れの行き届いていない黒髪ロング、シャツにセーター、ズボンという蜜柑。
その組み合わせは、うみには不気味に感じた。それは服装が華やかだとか男子のようだとかいうのではない。


というか、6-2の生徒たちがそう感じているだろう。

なぜなら、蜜柑は、両手にメリケンサックを装着していて、それに佐藤が気付いていないからだ。

「というか…せんせー」
お調子者の須田(?)が指摘しようとした。が、
「じゃあ、あそこの席ね」

と佐藤がうみの斜め後ろの席を指で指したので、須田(?)の発言は遮られた。

そして、生徒たちはざわめき始める。

「なんだあれ…漫画とかで見たことあるんだけど」
「わたしもー」

「おもちゃみたい」
「だけどあんなのつけてるなんて…」

唯でさえ小6にしては身長が高くて目立つというのに、メリケンサックで更に目立っているのだ。

その時、彼女を注視していたなさはまたある事に気が付いた。
蜜柑は、防弾チョッキを着ていて、ウエストポーチを腰に掲げているがその中に口径45cmピストルが入っていたのだ。

なさは蜜柑が席に座った途端、体を正面に向けて机に突っ伏した。

――ウエストポーチの蓋の隙間から見えたが、モデルガンなのか…?
――胸のところが可笑しいと思ったら防弾チョッキか。胸を隠したいのかなんなのかわかんないけど。

とりあえず、蜜柑と席の近いうみに警戒するようにLINIを腕で隠しながら送るが、返事はない。

うみは一時限目の予習をしており、返事をしている余裕は無いようだ。


――――――――――

一時限目の休み時間に、生徒たちは蜜柑の机に集まった。

「ねーねー、●●県ってどんなとこ?」

クラスの中心グループのサイドテールをカールさせた関元がニコニコと笑いながら質問した。

「…し……ぜん……………………」
「え?」

蜜柑が小声で俯きながら言うと、関元は口を開けながら戸惑った。
「大丈夫だって、適当で!」
茶髪の野村が気さくに蜜柑の肩を叩く。
蜜柑は背が高いのと目が大きいので、中心グループの目に留まったのだろう。

そして派手な5,6人に囲まれながら蜜柑は言った。
「ふつ………………………………す」

場が凍った。中心グループは去っていった。
常時無表情なのもあるが、声が小さすぎるからだろう。

一部始終を見ていたうみは、うるさかったなーと思いながらズボンのポケットに入れてあるカッターナイフを探った。
一本に減らすことは出来たものの、あれから一本ずつ増えていき今では10本に至る。

まあ、周りにわかるように武器をつけてくるやつよりはいいよな。とうみは思いながら校庭のグラウンドをカッターナイフで切りつけに、出掛けた。

1年前 No.34

瓊ゃう ★DOCOMO=yaF4cEKEYs

ドンドンドン
扉を叩く鈍い音が続く。
体育館裏に設備されているトイレが開かないからだ。

近くにいたうみは、びっくりして肩が揺れた。
そして、即座にカッターナイフをズボンのポケットに仕舞い、その場を離れた。

ドン、ドン、ドン

まだ轟音が響いているので、気になったうみは音の発生源へ戻った。

少し離れた所で、壁から覗く。

すると、そこにいたのは長い金髪を前髪の位置で両脇とも結んでいる子と、巨大な帽子にカンバッチを10個以上ぶら下げ、古びたワンピースを着た130cmくらいの小柄な子だった。
うみは、その光景に目眩がして、又もやその場から早足で去った。

「トイレ……あかねーなぁ」
「壊れてる。」

彼女たちは、何度もドアを叩いても開かないトイレに辟易していた。

巨大な帽子とカンバッチが特徴である小柄な子は、口元まで帽子に覆われているため、表情が見えづらい。

「もう行くかー 転校してきた日に遅刻してるわけだしっ」
「普通に起きた。」

前髪の位置で変に結んだ子は、それ以外は至って普通に見える。
実は、この子らは蜜柑と同じ小学校からやって来たのであった。

1年前 No.35

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「二時間目からですが、よろしくでーっす!」

綺麗な金髪を変な位置で結んだ子がハイテンションで言った。

そういえば、教師に促されて教室に入ってくる時もドアを勢いよく開けてうるさかったのだ。
その子は赤色のチョークを取るなり黒板に自らの名前を書き出した。

名は『阿佐ヶ谷 ねつき』らしい。

ねつきが赤色のチョークを元の位置に戻した直後、金属音の軋む音がして、ねつきの居る6-2のクラスメイトは一斉にドアに注目した。

おずおずと、ドアから入室してきたのは多数のカンバッチを巨大な帽子に付けた、小柄な子だ。

「………」

一言も発しずに入り口付近から動かない。巨大な帽子で顔の半分以上が隠れており、表情が伺えないが何かを訴えたいようで、6-2の担任教師、佐藤は「あー、あの子も今日からこのクラスなの 入ってきて」と、手招きした。

小柄な子はとてもゆっくりと、教壇まで歩いてクラスメイトの方を向いてお辞儀をした。

しかし、クラスメイトは天真爛漫に振る舞うねつきに興味津々で、その行為を見ていなかった。

それだからなのか、小柄な子は『一條 るし』と書かれた名札を手で握りながら、担任に事前に言われたのであろう席にこれまたゆっくりと歩いていき、座った。

「ま、みんなー!二人をよろしくねー!…てか、そこのコスプレしてる子!るしが向こう行ったの教えてよー!」

そう言い、再び赤色のチョークを手に取ったかと思えば、ハートマークを名前の周囲に装飾してスカートのポケットからスマホを出すと写真を撮った。

1年前 No.36

瓊ゃう ★DOCOMO=yaF4cEKEYs

そして、その写真を蜜柑に見せに行った後、佐藤に指示された席に座った。

「……じゃ、二時間目の授業を始めるけど…」
佐藤が長い髪を右手でかきあげて、教科書を捲ろうとするが…

ここで蜜柑の右手にはめてあるメリケンサックに視線が的中してしまったのだ。
胸の辺りの違和感はさておき、人を殴る凶器を装着しているわけだから、佐藤は口をわなわなと震わせた。

「なっ…な…」

注意しそうになるけれど、なさの件があってそれは出来ないみたいだ。

叱ることをやめて教科書の文章を読む。

「レッスン4、自分の好きなものを英語でいいましょう!えー、二人組になってください」

生徒はそう言われると、席を立ち上がり各自ペアになっていく。仲の良い子同士でなるのだろう。

蜜柑と、ねつきは知り合いみたいな感じだったので適当に交渉して二人組になった。

周囲はいつもと変わりない様子だ。
なさは蜜柑が、ねつきと組んでいるのを注視していた。
そして、黒板に書かれた会話形式でクラスの人たちは話し出した。

教室が一斉に声に包まれるなか、蜜柑はウエストポーチから45口径のモデルガンを取り出した。

「早い、はやいって」
そのモデルガンを見たねつきは、先程よりも小さな声で言った。
「は…はろー…」
「はろー!」
「アイ、ライク…ピストル…」

蜜柑はそう言うと、モデルガンを大事そうに撫でて微笑んだ。
しかしその光景を佐藤が目撃してしまい、教壇から言いはなった。

「ちょっと!何持ってるの!?」
生徒たちが蜜柑に注目する。すると、蜜柑は即座にモデルガンをウエストポーチにしまい、メリケンサックも手から外して隠した。

「あ…あの…」
蜜柑が怯えて涙目になり、シャツの裾を両手で握りしめた。
「まーまー、私が言っておきますからー!」

ねつきが周囲を見渡し満面の笑みで諭すと、蜜柑の肩をさすった。
佐藤はハッと我に返ったように閉口する。

そして、なさの方をチラリと見た。

1年前 No.37

瓊ゃう ★DOCOMO=yaF4cEKEYs

なさは佐藤の事など見ておらず、るしとペアを組んで話していた。

「まあ、長谷川さんは後で…」
「なあなあ!なんで胸の所が変なのー?」

佐藤が「後で職員室に来い」と、告げようとしたら須田がその言葉を遮って割り込んだ。
蜜柑は指摘された途端、俯いて長い黒髪で顔に影がかかった。
どう考えても自分の胸元に対して言っているのだろうと考える。
「あ…………あの…」
防弾チョッキを着ているのだから目立つだろう。
そして、隠しようがない事実に隣で聞いていたねつきでさえ笑顔がない。

「いやいや!!それはないでしょ!……須田?君!?」

だが、瞬時に須田の胸元の名札を見て、指を指して吐き散らすように言った。
これには、佐藤も同調するようで「須田くん、やめなさい」と慎重な面持ちになった。

なさはその一部始終を見ており、初対面の時のイメージでは男装する背が高い人だったので、更に落胆した。
巨大な帽子にカンバッチを付けた彼女は、黒板の方を向いてボーッとしていた。

――目も鼻も帽子で隠れているけど、見えているのだろうか。
となさは思い教科書に目をやった。

1年前 No.38

瓊ゃう ★DOCOMO=gbA1uL4Zsm

なさは、自分と同じような子だなぁと思っていたが、到底仲良くできそうにないなと結論付けた。

ねつきは最もその存在だ。

休み時間、蜜柑とねつきとるしが話していると、なさはそれに近付き蜜柑の袖を引っ張った。

蜜柑は困惑しながらも、なさに誘導されて教室の外に出た。

「蜜柑、あのコスプレっ子に気に入られてるなぁー」
「………」

ねつきもなさとは合わないと思っているらしく、僅かに目を細めた。

2ヶ月前 No.39
ページ: 1

 
 
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