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奇跡の歌声

 ( 小説投稿城 )
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★tuk3624yQ7_mgE

紺ちゃんに会えるまで、私はこの声を閉じ込める。

どんなに苦しくても、どんなに叫びたくても、絶対に歌わない。

そう決めたから。

2年前 No.0
ページ: 1


 
 

★tuk3624yQ7_mgE

長い黒髪を両サイドに高く結び、目より下まで長く伸びてる前髪。いたって普通な大きめの瞳、身長は少し高め。体型もいいしすらりとした細い体。

意外と美人なのかと思いきや、マスクをしていて顔がよく見えない。

友達もいないようだ。

僕は思いきって話しかけた。

「あの、ちょっといいかな」

彼女は無言のまま振り返り、表情は変えていない。変わり者なのか、暗いのか、マイペースなのか。

「あのさ、音楽とかって興味ある?音楽って言っても、軽いバンドとか歌とか・・・」
「歌?」

だるそうな表情から一気に興味深々な顔になった。話しがいのある子で良かった。
ちょうど休み時間だったので、話し合いができる広場へ行った。

「僕は2─A、安田 流期。軽いバンドを組んでるんだ。遊びみたいな感じでやってるし、もうちょっと人がほしかったから、入らない?」
「一応入ってみるけど、もしかしたらやめるかも。よろしく、るき。それと、私は2─Dにいる、妃春 夕姫。」
「うん、よろしく。ひはじめさん。」
「妃春さんじゃない。夕姫でいい。じゃあ、そろそろ行くね」
「あぁ、うん。じゃあね、ゆうき」

ゆうきは意外とさっぱりクールな性格で、裏表がなさそうだ。

2年前 No.1

★tuk3624yQ7_mgE

糸賀原高校、2─D。妃春夕姫(ひはじめゆうき)さっぱりとした性格。マスクを外さない。

糸賀原高校、2─A。安田流期(やすだるき)個性がなく普通。遊びのような軽いバンドを組んでいる。

2年前 No.2

★tuk3624yQ7_mgE

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2年前 No.3

★tuk3624yQ7_mgE

「ごめん、るき。やっぱ私やらない。」

そう言ったのは、放課後にるきに連れられてバンドの練習をする教室に入る前だった。

「え?まだやってもいないのに?」
「ごめん。私は音楽にかかわらないって決めてたんだった。じゃ、」

そう、私は音楽にかかわらないって決めていた。また歌いたくならないように、叫びたくならないように。

紺ちゃんが来てくれるまで、待つしかない。

「ちょっと待って、一回だけでも見てみない?」
「だからやらない。申し訳ないけど、決めてるの。紺ちゃんに会うまで歌わない」
「紺ちゃん?」

るきに腕を引っ張られつい、紺ちゃんと言ってしまった。

「・・・幼なじみだよ。」

そう呟き、私はさっさと帰って行った。

2年前 No.4

★tuk3624yQ7_mgE

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2年前 No.5

★tuk3624yQ7_mgE

紺ちゃんは、私が小さい頃に出会った男の子。

家の近くの海辺で歌を歌っていると、可愛らしい男の子が『上手だね』と近寄ってきた。

その日は予定があってすぐに帰ってしまったけど、次の日に会う約束をしていた。毎日毎日あの海辺で歌を歌い、日に日に仲良くなっていった。

そして、私は紺ちゃんに秘密を話した。

「あのね、私のお母さんは人魚なの。この海よりもっと遠く離れた、広い海にいたんだけどね、人間に襲われちゃって、その生き残りがお母さんなの。
ここまで逃げて、力尽きているところをお父さんが助けた。お父さんは家に大きな水槽を作って内緒で暮らしてたんだって。」
「・・・、ゆうちゃん、人間じゃないの?」

あの時の紺ちゃんの表情は、怯えているようで、私は泣きたくなった。自分では、紺ちゃんなら理解してくれると思ったから。

「紺ちゃん、やっぱり、怖かった?よね。ごめん、これからはここに来ないから。じゃあね、紺ちゃん」

これ以上紺ちゃんといるのが怖くなって、涙がこぼれそうになって、私はその場を立ち去ろうとした。その時、紺ちゃんは腕を掴んでくれた。

「あ、ゆうちゃん!怖くなんかないよ、僕、ゆうちゃんのこと好きだよ!」
「え・・・怖くないの?友達でいてくれるの?」
「うん。だって、ゆうちゃんより僕の方が怖い存在だよ。」

紺ちゃんは下を向いてうずくまった。

「だって、だってさ、ゆうちゃんが今まで見てきた僕は、偽物だもん。こんなすべすべした肌じゃないし、足だけで歩かないし、全部、全部・・・」

ぽたぽたと涙がこぼれ落ち、途中で声がかすれた。

「何言ってるの?紺ちゃんは人間でしょ」
「ごめん、ゆうちゃん。僕、人間じゃないんだよ・・・」

2年前 No.6

★tuk3624yQ7_mgE

下を向いたまま涙はこぼれ、小さな声で泣いている。

「人間じゃないなら、誰なの?」

紺ちゃんは何も答えず、うつむいたまま。

「ねぇ紺ちゃん!なんな・・・」

気がついたら紺ちゃんの姿はなかった。ずっと見ていたはずなのに、知らないうちに消えている。

「紺ちゃん、紺ちゃん!」

呼んでも返事はなく、波の音がするだけだった。

「どこにいるの、紺ちゃん!出てきてよ!紺ちゃん!いきなり消えるなんて卑怯だよ!一人にしないで!」

苦しい。紺ちゃんがいなくなったら、私はまた独りになってしまう。水の中で眠り続ける人魚の母親、お母さんを助けるために薬を取りに行って帰って来ない父親。

「お願いだから戻って来てよ、私を独りにするなんて許さないよ!絶対、絶対許さないんだからぁ・・・」


あの日から紺ちゃんは現れなくて、私は歌を歌わなくなった。苦しくて叫びたくなった時は海辺で叫び、海辺に行けない時のために、マスクは外さなくなった。

2年前 No.7

★tuk3624yQ7_mgE

「ねぇ妃春さん、柴野良くんってどこに行ったの?ねぇ、ねぇ」
「妃春さんなら知ってるでしょ、どこに引っ越したの?なんでいなくなったの?」

柴野良くんと呼ばれているのは、紺ちゃんのこと。突然いなくなったのを不思議に思っているのだろう。

(そんなの私が知りたいよ。どうしていなくなっちゃうの?どこに行ったの?)

「妃春さん!無視してんなよ!」

(あっ、マスクが!)

「やめてよ!!」

周りが静まり返る。

「う、ぅえ〜ん、うえ〜ん、」
「どうした!杉田さんどうしたの?」

私は咄嗟にその場から立ち去った。

2年前 No.8

★tuk3624yQ7_mgE

私は学校を飛び出し、いつもお世話になっている女性警察官の元へ向かった。

「あれ、夕姫ちゃん?どうしてここにいるの。学校は?」

何も答えずただ、交番の前で息を切らしているだけだった。

「とりあえず、中に入りな。学校には伝えておくから」
「・・・ごめんなさい、早乙女さん・・・」

私は交番の椅子に座り、涙を流していた。

しばらくして担任の先生が私のランドセルや他の持ち物を持ってきてくれた。

「妃春さん、何があったの?怒らないから、嘘つかないで言ってくれる?」

私はそんなのどうでもよかった。怒ったって構わない。最初から嘘なんてつくつもりなかった。教師のこういう優しさが昔から嫌いだった。

「杉田たちの質問を無視してキレられた。それで怒鳴っただけ」

嘘じゃない。本当のことだ。

「杉田さんね。呼び捨てする人、他にいないよ。まぁ、とりあえずわかった。杉田さんたちも同じこと言ってるから、明日学校に来てね」

2年前 No.9

★tuk3624yQ7_mgE

次の日は学校に行かなかった。その次の日は遅刻して、その次の日は早退した。

だんだん学校に行く回数も減って、ついに私は不登校になった。

心配して電話してくる担任。毎日毎日うざったい。時々家に訪れる早乙女さん。いろいろ買ってきてくれて、優しくて、たまに一緒に寝てくれたり。

嬉しい。早乙女さんは家の事情を分かってくれていて、気が楽になる。

「夕姫ちゃん、明日から高校行ける?勉強はばっちりだけど、気が重かったら休んでね」

「うん、大丈夫。」



2年前 No.10

★tuk3624yQ7_mgE

「あ、blacksugar(ブラックシュガー)新曲出してる。聞いてみよ」

曲を聴くぐらいなら大丈夫だった。高校の入学式のために電車を待っていると、足元をフワッとしたものが通った。

(犬?)

足元を見るとそこには意外すぎる生き物がいた。

「え…狐?どうしてここに…」

可愛らしい狐が私の足元をうろうろしていた。一歩動いてもまたついてくるし、一メートル離れてもまたついてくる。待っていた電車がきて乗り込もうとするが、狐がついてくるので

仕方なく急いで鞄の中へ狐を入れた。

2年前 No.11

★tuk3624yQ7_mgE

持ち物なんてそんなにないはずなのに、私の鞄だけものすごく膨らんでいる。

もごもごと奇妙にうごめき、触れると生温かい。

ばれないように鞄のチャックは大きく開けず、中のものは強引に引っ張りだした。

無事、入学式を終えて、急いで家に帰った。

「ただいま!」

家に帰るなり部屋に閉じこもり、鞄から狐を出した。

「ふぅ、何なのこの狐!今すぐ捨ててやる!」

「あっ、ちょっと待って〜!」

「・・・?空耳か」

再び窓から捨てようとする。

「うわ〜、やめて、僕だよ!」

「・・・しゃベ、った?」

2年前 No.12

★tuk3624yQ7_mgE

完全な黒歴史ですね。はい。

2ヶ月前 No.13
ページ: 1

 
 
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