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…… 呪 っ ちゃ っ た 。

 ( 小説投稿城 )
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みるく ★zt5XHhDA0ug






呪っちゃった。





だってあいつ、

むかつくんだもん。

わたしのことを怒らせた

あいつのせい。

全部あいつのせい。






わたしは今日、



超えてはいけない一線を、


超えてしまった。




2009/10/06 20:46 No.0
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みるく ★zt5XHhDA0ug



その音が響いた瞬間



この手術室は急に静まり

看護婦は心臓マッサージを止めた。


あたしは素早く目を心電図に移した。




そこにあったのは……






ゼロの文字。





「20時07分……









ご臨終です」





医者は時計を見ると、無表情でそのあまりに残酷な事実を告げた。

あたしは何も言わずに下を向いたまま。

あたし今どんな表情なんだろう。

きっと、



……笑っている。






「あ……いや……」

アイリちゃんの母親は脱力し、その場にしゃがみこんだ。

雨の水滴のように、はらりはらりとゆっくりと止め処なく涙を流している。



「この子を助けてくれるんじゃなかったの?





死んだなんて……嘘でしょう?」



医者はすみませんと言って下を向いてしまった。


アイリちゃんの母親は、動かないアイリちゃんの肩を揺さぶり言った。









「あ……アイリ……お母さんを置いていかないで……?

いやよ、目を覚ましてよ……

ねえ、お願いだから―――」


そしてアイリちゃんの頬をたたく。



――だけどアイリちゃんは目を覚まさない。









「い、いやよ……

ねえ……アイリ!! アイリってば!!!!!!!









アイリイイイイ――――!!!!!!!!!!!!」

2009/12/18 21:33 No.65

みるく ★zt5XHhDA0ug


━バタン…

あたしは悲しい雰囲気の漂う手術室を、みんなが気づかないようこっそりと抜け出した。


窓の外を見ると、きれいに丸くて淡い光を放つ、美しい満月があった。

そしてこの病院を優しく照らしている。

今宵は、月夜。


こんなにも美しい月の夜に……




――夏川アイリは死んだ――






「ははは……、あはは……!」


わたしは暗い廊下を渡りながら、なるべく小さな声で笑い上げた。


ああ、面白い。

どうしても笑いが止まらない。

楽しくて楽しくて……

最高の気分。




そして病院を出ると、


さっき窓の外から見えていた月が、さっきよりも高く小さくそびえ立っていた。

そしてあたしを照らす。




今のあたしの心は


すごく、すごく最高に満ち足りている。

なにひとつ欠けていない。

そう、









この月のように。




「アイリちゃん……

あんたも大河原さんもいない今、

うちのクラスは誰のものになると思う?」



あたしは月光に手をかざし語りかける。



「あのね、あたしのものになるの……

すべてあたしのものになるんだよ

みんなあたしのことを慕う―――




学校は、あたしの城になるの……









次の人気者はあたし」

2009/12/19 21:59 No.66

みるく ★zt5XHhDA0ug

あたしはそう言うと、バス亭へと向かい歩き出した。


━ガチャ

「ただいま……」

そう言って鍵をあけて

家へ入ると、玄関先に靴が置いてあった。

今日はお母さん、珍しく帰ってきてるんだ。

お父さんはいつもいないけど。


「ああ、あんた、いたの?」

「……」

あたしはお母さんの言葉に、何も答えずに下を向く。


「あーあ、別に帰ってこなくていいんだけど?



あ、ご飯は自分でどうにかしてよ」

お母さんはそう言って誰かに電話を掛け始めた。

どうして遅くなったのかとか、あたしのことは一切聞かずに大笑いしている。


あたしは冷凍食品を加熱しながら思う。

いつもなら悲しくて泣いていた。

―――「居場所がない」と嘆いて。


だけどもう泣かない、全然悲しくないから。

それどころか嬉しくて仕方ない。

あたしには居場所ができたから。




今のあたしの最高の居場所は、学校。



学校はあたしの城―――。









次の日から学校は、2ヶ月もの間閉鎖となった。

理由はもちろん、うちの学校で死者がふたりも出たから。

それも同じクラスで、違う日程に。

こんな奇妙な事件をマスコミが放っておくはずもなく、今うちの学校にはたくさんのマスコミが押し寄せている。

ニュースはこのことで持ち切りだった。

そしていつも、大河原さんやアイリちゃんの写真が映し出されている。

あたしはそれを見るたびに嬉しくなった。


ああ、早く学校が始まればいいのに。







そして……

あの月夜の晩から1ヵ月後。



大河原さんとアイリちゃんの、









合同での葬式が開かれた。

2009/12/20 18:25 No.67

みるく ★zt5XHhDA0ug


「じゃ、行ってきます」

そしてその日、

あたしはいつもより早起きして喪服に着替えると

誰もいないドアにそう言って家を出た。


今日は葬式。

しかもアイリちゃんと大河原さんの遺族が合同で行う。

だから、二人の顔が一緒に見れるの。

あたしはそれがすごくすごく楽しみだった。

そしてあたしは、アイリちゃんのお母さんからスピーチを頼まれている。


『ヒロミちゃんはアイリの一番の友達だったみたいだから、ぜひ』


……って。

親子そろってバカだと思ったけど喜んで引き受けた。

だって、一気にあたしの人気を上げるチャンスだし。

頑張らないとね。


あたしは電車に乗りながら、スピーチの文を心の中で何度も繰り返した。








葬式場に着くと、もう式は始まっていた。

当たり前だけど黒い服の人ばかり。

みんなは親子揃って来てるけどあたしは1人。


あたしはアイリちゃんの母親と大河原さんの母親に軽く会釈し、

とりあえず適当に椅子に座った。







それから1時間ほど経ち、お経を読んだりする時間が終わった。




そして。




「ではみなさん



アイリたちの顔を……見てやってください」






アイリちゃんの母親が言った。

2009/12/21 19:20 No.68

みるく ★zt5XHhDA0ug


最初に、アイリちゃんや大河原さんの遺族が、祭壇前で合掌している。


遺族がみな合掌し終えると、あたしはゆっくりと立ち上がった。

そしてふたりのお棺の元へと歩み寄る。








「アイリちゃん……」

まず初めに見たのは――


憎んでも憎みきれないアイリちゃん。


青ざめながら微かに笑っている顔の彼女を見て、あたしは嬉しくて嬉しくて笑いそうになる。

だっていい気味で、なんていうか――

もう二度とこいつと会わずにすむと思うと……

本当に死んだんだって思うと……

今すぐ走り出したいくらい

最高に嬉しいの。



「アイリちゃん、どうして……!!!」

あたしはお棺の前で泣き崩れた。

あたしの背中をアイリちゃんの母親がそっと支える。

大して仲良くもなかったあたしがこんなに泣いてるから、

ナナコちゃんとか仲良かった子は驚いていたけど。

あたしは気にせずに泣き叫ぶ―。


「アイリちゃん、何で死んじゃったの!? ねえ……っ」

するとあたしの涙に、色んな人がもらい泣きし始めた。

なんだかいい気分……

皆バカだよね、誰一人気づかないんだから。


―あたしが殺したなんて。


「さようなら」

あたしはそう言って合掌した。





「大河原さん……」

あたしは大河原さんの遺族に一礼すると、お棺の前に立った。

大河原さんは……少し眉をしかめて、苦痛に歪んだ顔をしていた。

きっと最後までアイリちゃんが憎かったんだ。

でも大丈夫、


あいつもあんたの元へ行ったから。


そしてあたしは、再び合掌した。









アイリちゃんと大河原さんとの、最後のお別れの時間が終わった。





そして





大河原さんの母親が言う。



「ここで、古谷ヒロミさんによる送辞のスピーチです。


では、前へ……」









ついに来た。









あたしの人生を変える時間が―――

2009/12/22 20:56 No.69

みるく ★zt5XHhDA0ug



あたしはゆっくりと立ち上がった。

みんなの視線が、一気にあたしに注がれる。


……心臓の鼓動が速くなってきた。


あたしはスピーチの紙を握り締めて、ゆっくりとステージの階段を上る。

静まる会場の中、みんなの顔一人一人がよく見える。


そして置いてあるマイクをギュッと固定し直し、一度深呼吸をした。



頑張れ。

頑張れあたし……



「本日はお忙しい中を、皆様、まことにありがとうございました。

私は夏川さん及び大河原さんののクラスメイト、の古谷ヒロミと申します。


まず私は夏川さんと、今年初めて同じクラスになりました。

私から見て、夏川さんはいつも笑って輝いていて、……彼女の周りにはいつも人がいて、人気者でした。

それに対し、私はいつも1人で友達も多くありませんでした。


ですが夏川さんは、こんな私に積極的に話しかけてくれました。

困っていると助けてくれました。

私ににっこりと笑って、親友だと言ってくれたんです」



今あたし、うそをついた。



本当は学校でアイリちゃんと話したことなんて、3回くらいしかないのに。

きっとナナコちゃんとかは驚いているだろうな。


「私は夏川さんのおかげで毎日が楽しかったです。

本当に、彼女には感謝しても感謝しきれません……。


誰にも優しくて、

そして誰からも愛されて輝いていた夏川さんが死んでしまったなんていまだに信じられません。

大好きな夏川さんが死んでしまって……

本当に残念で悲しいです。


だけど私は夏川さんに大切なことを教わりました。

人を信じること、決して憎まないこと、常に優しい気持ちでいること……


私は彼女に教わったことを胸に、これからも生きていきます。



アイリちゃん、本当にありがとう。


また会おうね……」




あたしはそう言って涙を流した。


会場のみんなも泣いているのが、覆った手の隙間から見える。




あたしは涙を拭い、再び顔をあげた。


そして大河原さんのスピーチを述べていく。


大河原さんとはあまり接点がなかったから適当に考えた。




そして最後。



「私は夏川さんのことも大河原さんのことも、本当に大好きでした。

だからもう会えないと思うと苦しくて悲しくて仕方がありません。


だけど……

きっと天国の上から私を見てくれてるって信じて……

私はこれからも生きていきます。


夏川さん、大河原さん……







本当にありがとう……!!!!!!!」







あたしはそう言って泣きながらステージを降りた。


こうして









―――大嘘だらけのスピーチは終了した。

2009/12/23 21:20 No.70

みるく ★zt5XHhDA0ug

あたしはゆっくりと階段を降りていく。

みんな……涙を流しながらあたしを見ている。

あたしのスピーチ、素晴らしかったでしょ?

そうあたしはなんだか勝ち誇った気持ちになった。


そしてあたしたちは火葬場へと移動した。


ここで……大河原さんが、そしてアイリちゃんが焼かれる……

これで本当に本当に消えるんだ。

あたしはそう思うと嬉しくて叫びたくなった。


二人はタンカのようなものに乗せられ、運ばれていった。




そしてついに――





二人は火の中へと消えていった。


<パチパチパチ…>

火の燃える音がよく聞こえる。


「アイリ……アイリ……」

「アイリちゃん!!」


アイリちゃんのお母さんや、友達が泣いている。

そういえば大河原さんのことで悲しんでる人って、遺族くらいしかいない。

なんだか可哀相。

大河原さんは死んでからも報われないんだろうな。

っていうか、成仏できないんじゃないの?

火が燃えてゆく中、あたしは色々考えていた。



そしてどれくらい経ったのだろうか。

アイリちゃんと大河原さんが戻ってきた。




骨となって。






これで本当に消えたんだ……

これで邪魔者はいなくなった……!!


あたしは悲しい表情で涙を流しながら、心の中で笑った。


二人の遺族が、箱に遺骨を詰めている。

あたしはその様子を、まだ成人してないから出来ないことを残念に思いながら見ていた。





そしてそれから色々あって

長い長いこの葬式は終わりを迎えた。



帰り際。

アイリちゃんの母親は泣きながらあたしの手を握って言った。

「ヒロミちゃん、本当にありがとう。 きっとあの子も喜んでいるわ。 ありがとう……」

――と。


あたしはにっこり笑ってアイリちゃんの母親に別れを告げ、道を歩き出した。





そして帰り道の途中。



「ヒロミちゃん」





あたしは突然、後ろから誰かに声を掛けられて振り向いた。



そしてそこにいたのは……








「……ナナコちゃん、と……ヒロミちゃん?」

2009/12/24 16:36 No.71

みるく ★zt5XHhDA0ug

↑ユウミとヒロミを間違えていたためもう一度書きます! ごめんなさい;



_




あたしはゆっくりと階段を降りていく。

みんな……涙を流しながらあたしを見ている。

あたしのスピーチ、素晴らしかったでしょ?

そうあたしはなんだか勝ち誇った気持ちになった。


そしてあたしたちは火葬場へと移動した。


ここで……大河原さんが、そしてアイリちゃんが焼かれる……

これで本当に本当に消えるんだ。

あたしはそう思うと嬉しくて叫びたくなった。


二人はタンカのようなものに乗せられ、運ばれていった。




そしてついに――





二人は火の中へと消えていった。


<パチパチパチ…>

火の燃える音がよく聞こえる。


「アイリ……アイリ……」

「アイリちゃん!!」


アイリちゃんのお母さんや、友達が泣いている。

そういえば大河原さんのことで悲しんでる人って、遺族くらいしかいない。

なんだか可哀相。

大河原さんは死んでからも報われないんだろうな。

っていうか、成仏できないんじゃないの?

火が燃えてゆく中、あたしは色々考えていた。



そしてどれくらい経ったのだろうか。

アイリちゃんと大河原さんが戻ってきた。




骨となって。






これで本当に消えたんだ……

これで邪魔者はいなくなった……!!


あたしは悲しい表情で涙を流しながら、心の中で笑った。


二人の遺族が、箱に遺骨を詰めている。

あたしはその様子を、まだ成人してないから出来ないことを残念に思いながら見ていた。





そしてそれから色々あって

長い長いこの葬式は終わりを迎えた。



帰り際。

アイリちゃんの母親は泣きながらあたしの手を握って言った。

「ヒロミちゃん、本当にありがとう。 きっとあの子も喜んでいるわ。 ありがとう……」

――と。


あたしはにっこり笑ってアイリちゃんの母親に別れを告げ、道を歩き出した。





そして帰り道の途中。



「ヒロミちゃん」





あたしは突然、後ろから誰かに声を掛けられて振り向いた。



そしてそこにいたのは……








「……ナナコちゃん、と……ユウミちゃん?」


2009/12/24 18:29 No.72

みるく ★zt5XHhDA0ug

そこにいたのはナナコちゃんとユウミちゃんだった。

「ちょっと話があるの、いいかな?」

ナナコちゃんの言葉にあたしはうなずく。

そして、あたしたちは近くにあったファミレスで話すことになった。



「……」

ファミレスに着いたけど、何も話すことがなく黙るあたしたち。

あたしは必死に話題を探し、ユウミちゃんに喋りかけてみた。

「あっ……ユウミちゃん、もう退院したの?」

「うん」

「そうなんだ……」

あっさりと会話が終了し、そして再び沈黙が流れる。


話って何だろう。

っていうか、この二人とはロクに話したことがないし。

元々全然仲良くなかったのに……


もしかしたら……

アイリちゃんのこと?

さっきあたしがスピーチでアイリちゃんを「大好きです」とか言ったから、何か怪しんでいるのかもしれない……

そう思うと、少し焦って心臓が高鳴り始めた。


そのとき。


「あのね、アイリのことなんだけど」


ナナコちゃんが言った。


「さっきね、ビックリしたんだ。 その……うちらって全然グループ違うし、話したことないし……アイリとヒロミちゃんが仲いいなんて、正直想像もつかなかったしさ」

そしてユウミちゃんが続けて言う。

「だけど、ヒロミちゃんってすごく友達思いでいい子だと思ったんだよね〜! はっきり言うと、あたし達よりアイリのこと思ってたみたいで……なんか感動したし!」


この二人は何が言いたいんだろう。

あたしは注文したミルクティーを飲みながら二人の目を見る。


「そうなの、それで……あたしも、ヒロミちゃんと仲良くなりたいって思ったんだ」

ナナコちゃんが笑った。


―――仲良くなりたい?

あたしはミルクティーを飲み干し、カップをガタンと置いた。




ヒロミちゃんが口を開いた。


「だから……








ヒロミちゃん、これからはあたしたちとも仲良くしようよ」

2009/12/25 20:43 No.73

みるく ★zt5XHhDA0ug

↑訂正です。何度も間違えて本当ごめんなさい……

×ヒロミちゃんが口を開いた。

「だから……

ヒロミちゃん、これからはあたしたちとも仲良くしようよ」


○ユウミちゃんが口を開いた。

です。

2009/12/26 11:35 No.74

みるく ★zt5XHhDA0ug

二人はあたしを見てニコニコ笑っている。


「……本当に!?

もちろん、あたしなんかで良かったら! 仲良くしよう」


あたしは喜んでそう言った。


「良かったー、じゃあお互い呼び捨てでいいよねー!」

ナナコちゃんの言葉にあたしは笑って応えた。

「うん! これから仲良くしようね!」


そしてあたしたちは、そのままファミレスで色々話した。

3人とも喪服だったから、結構目立ったけど。

多分話すのなんて初めてなのに、すごく会話が弾んだ。

あたしにも本当の友達ができた……

本当の人気者になれた……

あたしはただ嬉しかった。









「ただいまー!」

あたしはいつもより明るい声で、家のドアを開ける。

今日は普段どおり、家には誰もいない。

あたしは部屋着に着替えると、ベッドに倒れこんだ。


嬉しい……

嬉しい……

今日は最高の一日だった。





アイリちゃんは完全にこの世から消えて


あたしにはナナコちゃんとユウミちゃんっていう友達ができた。





「フフ……」

あたしは1人笑っていた。


早く学校に行きたい!!

アイリちゃんなんかよりあたしの方がいいって、

あたしが人気者だって……

早くみんなに教えてあげたい!









そして

一ヵ月後。









「いってきます」

あたしは寝たままのお母さんにそう言って家を出た。






ついに、待ちに待ったこの日がきた。

昨日の夜は嬉しすぎて、ちゃんと眠れなかったほど――。




……今日は




一ヶ月ぶりの学校。

2009/12/26 11:52 No.75

みるく ★zt5XHhDA0ug


あたしは通学路を歩きながら思った。


あたしは今日から生まれ変わる。

今までの嫌われ者のあたしじゃない。

嫌われ者の古谷ヒロミじゃない……

今日からは、人気者になるの。


人気者の古谷ヒロミになる―――。


ああもう、早く学校に行きたい!

あたしはそう思って走り出した。




━教室前

あたしは教室のドアの前で立ち止まっていた。

少しだけ不安。

あたしが今「おはよう!」って……アイリちゃんみたいに言ったら……

みんなは返してくれるかな。


……大丈夫、きっと大丈夫……

みんなきっと返してくれる。

だって、


あたしはアイリちゃんより上なんだから――


<ガラッ>


あたしは思い切って教室のドアを開けた。

みんなの視線が一気にこちらに降り注ぐ。


あたしは勇気を出して言った。


「……おはよう!」

お願いみんな、

笑って「おはよう」って返してよ……


アイリちゃんのときみたいに。



「おはよー」

「おはよう!」

「ヒロミちゃん、おはよう!!」




ナナコちゃん達を始め、みんながそう言ってあたしの元へ駆け寄ってきた。



あたしは嬉しかった……

みんながあたしを見てる!

今、あたしがこのクラスの中心になっている!!

あたしは一人一人に笑って返した。

ああ、何ていい気持ちなの。

すごい。

優越感っていうか、なんていうんだろう。


言葉では表せないほどの最高の気持ちだった……。







そして思った。





次の人気者はあたしで……









次の“アイリちゃん”は、あたしだと。

2009/12/27 20:27 No.76

みるく ★zt5XHhDA0ug



アイリちゃんは、誰からも好かれて人気のある存在。

だけどもうアイリちゃんはいない。

それなら、そんな存在に、次はあたしがなってみせたい。


「ナナコ、おはよう!」

あたしは隣にいたナナコちゃん……ナナコに声をかけた。

アイリちゃんと全く同じように。

「おはよう!


アイリ……」



ナナコは、そういった後で口を押さえた。


「ねえ、今間違えたよね?


あたしとアイリちゃんを」


低い声のあたしに、ナナコは焦って言った。

「ご、ごめん! つい……! 



なんか似てるから―――




……怒ってる?」



怒ってる……







訳がないでしょ?




「ううん、怒ってないよ!」

あたしはそう言って笑ったあとに、小さく呟いた。


「怒ってないよ。、

……むしろ嬉しいから……」

と。






そうだ、あたしは今日から変わるんだ。



誰からも愛される人気者に変わる。

アイリちゃんのような人気者に。









あたしはアイリちゃんになる。









……アイリちゃん、安心して。

人気者だったあんたがいなくなっても、全然大丈夫。

だって……








今日からはあたしが“アイリちゃん”だから―――

2009/12/28 20:48 No.77

みるく ★zt5XHhDA0ug



そして……

それから一ヶ月が経った。


━ガラッ

「おはよー、みんな!」

朝。

あたしはドアを開けて、みんなに挨拶をした。

教室にいたみんながあたしの元へ駆け寄り、次々に挨拶を返す。





あたしはこの一ヶ月で、完全な人気者になっていた。

完全な……“アイリちゃん”になった。

元々アイリちゃんと仲良かったナナコとユウミは、今はあたしと仲良くしている。

それが、本当にアイリちゃんになったような気持ちにさせてくれるの。


ナナコなんて――

「ヒロミといると本当楽しい! もうハッキリ言っちゃうと、アイリなんかよりヒロミの方がずっといいよ!」

そう言ってあたしについてくるし。

ヒロミも、いつもあたし達と一緒にいる。



毎日が充実していた。

家では相変わらず粗末に扱われているけど、だけどこの学校が本当にあたしの居場所だと思えるから。


ここはあたしの城だと、はっきりとそう思えるから……


―――だけど。


つまらない……



敵がいないから。

アイリちゃんには大河原さんがいたし、また大河原さんにはアイリちゃんがいた。

だけど今のあたしに太刀打ちできるほどの、人気がある人間はこの学校にいない。

なんかスリルがなくてつまらない。

“アイリちゃん”となったあたしにとっては、大河原さんみたいに敵対できる人がいるといいんだけど。

まあみんなレベル低いから仕方ないか。

あたしは数学の授業中、そんなことを考えてくるくるとペンを回していた。

そのとき黒板の横にあった時間割表が目にとまった。


あ、今日って午前授業なんだ。

じゃあ……もうこの授業で終わり?

12時半には家に着くのか……







――そうだ。

あたしは回していたペンを止めて、思いついた。









アイリちゃんのお墓参りへ行こう。

2009/12/29 11:02 No.78

みるく ★zt5XHhDA0ug

↑訂正です。


×ヒロミも、いつもあたし達と一緒にいる。

○ユウミも、いつもあたし達と一緒にいる。


です。

いつも間違えてしまって本当にごめんなさい……。

最初からこんな紛らわしい名前にしなきゃよかったです←

気をつけているつもりなんですが、いつも間違えてしまいます

ごめんなさい;;

2009/12/29 12:29 No.79

みるく@pupe ★zt5XHhDA0ug

<ガタン……コトン……>


特急列車の車両で揺られる、あたし。

平日だし、結構人が少なかった。

あたしは握っていた、お墓の場所のメモを見た。

あたしの住む地区からは結構遠い場所。

近くに建てればいいのに、お金持ちなあの家族は、有名な霊園に建てたらしい。


だけどどうしても行きたかった。

それにこれ特急だし、あと30分すれば着くだろう……。


お墓参りに行って、アイリちゃんと話そうと思った。

何を話すかなんて決めていないのに……

なぜか思い立ってしまった。


アイリちゃんに会って、どうするつもりだろう。

あたしきっと、アイリちゃんのお墓なんて見たら……


嬉しすぎて狂ってしまうのに―――。


そのとき、


<終点〜●●、●●〜>


アナウンスが聞こえた。

……着いた……。


あたしは小さなボストンバッグを手に、電車を降りる。


そしてメモを頼りに歩くと、結構早く霊園にたどり着いた。




「広い……」

あたしはそうつぶやいていた。

何ここ、なんて広いの?

数え切れないほどのお墓があって、あたしは少し不気味に思った。


「……あのー」

あたしは本堂にいるおじさんに声をかけてお線香と花を買うと、お墓の入り口に入った。


どこを見てもお墓ばかり、当たり前だけど。

迷路みたい……でも見つけなきゃ。

あいつを、アイリちゃんを。



そしてどれくらい歩いたのだろう。

疲れて、もう諦めかけた……


そのときだった。


目の前に、黒くぴかぴかに光っていて、たくさんものが供えてある、一際目立つお墓が現れて……

見ると、そこには


―――「夏川」と書いてあった。

2009/12/30 12:09 No.80

みるく@pupe ★zt5XHhDA0ug


「……アイリちゃん……」

あたしはそう言って、自然と墓の前に……アイリちゃんの前にしゃがみこんでいた。


「あたし、アイリちゃんに言いたいことがいっぱいいっぱい……いーっぱいあるの。 聞いてくれるよね?」

アイリちゃんはもちろん答えてはくれない。

だけどあたしは話し続けた。


「あのね、知ってる? 今、学校ではあたしがアイリちゃんなの!!

アイリちゃんのようになっているのは――

人気者になっているのはあたしなの……


だけど、みんなあんたよりもあたしといる方が楽しそうなの。

ナナコちゃんなんて、あんたよりあたしの方がいいって言ってるんだよ!

やっぱりあんたなんて顔がいいだけだったんだね」


問わず語りであたしは続ける。


「それであたし気づいたの。

あんたは死んで正解だったんだって!!


そりゃあ皆始めは悲しんだけど……

みんなアイリちゃんよりあたしの方がいいに決まってるから!

あんたは最初からいらない存在だったんだよ!!



あのね。 本当の人気者は……


……本当のアイリちゃんはあたしなの!!!!!!! キャハハハハハハ!!!」


楽しい。 最高の気分。

どう、アイリちゃん。

何にも言い返せなくて悔しいでしょ?


あたしはアイリちゃんに勝っている!!


そしてあたしは1人で笑っていた。









そのとき。









「アハハハハハ!! アハ……






―――!!!!!!」






あたしは声にならない叫びをあげた。



あまりに驚いて、一瞬、呼吸ができなくなった。


何がなんだか分からなくなって、頭が混乱する……

あたしは金縛りにあったように、そこから目が離せなくなった。

心臓が怖いくらいに脈を上げている。






――だって目の前に、









アイリちゃんがいたから。


2009/12/31 12:52 No.81

みるく@pupe ★zt5XHhDA0ug

アイリちゃんは制服姿で、あたしの前に

しっかりと足で立って――

哀しげな目であたしを見つめている。


「……な……な……」


全身が震えちゃって、うまく声が出ない。

これは現実なの?

今あたしの目の前にいる彼女は幽霊なの? 

それとも……まさか生きていたの?


「……ど、どういうこと!? アイリちゃんは……あんたは死んだんでしょ……」

あたしの問いにアイリちゃんは―――



……答えた。


「そうよ、わたしは死んだのよ。 あなたに殺されたの」


最後に声を聞いた日とまったく同じ声で。

あたしはアイリちゃんを指差し叫んだ。

「じゃあ幽霊なの!? なんで……どうしているの!!?」




すると。




「―――あんたが許せないからよ!!!!」

アイリちゃんはそう言ってあたしの両腕を掴んだ。

どうして掴めるの!!??

幽霊なのに……どうして!!?


嫌だ……怖い……



「わたしは死んでも悔いはないと思っていた! あなたに殺されても構わないとそう思っていたわ!!

呪いをかけたのはわたし自身だから――


でも許せないのよ!!!!

あなたはわたしがまだこの世の人間だったときから……大切なものを沢山奪ってきた……

だけどあなたはわたしが死んでからも、わたしの大切なものを奪っていった!!

わたしのお母さん、そしてナナコやユウミまでも……全てを奪い取った……!!!!


そして……人気者の座まであなたはわたしから奪った―――!!!





……許せないわ!!!!!」





アイリちゃんは涙を流しながらそう叫んで――









あたしの手を引っ張った。









いや……


殺される……


死にたくない!!





誰か……!!!!!









誰か助けて!!!!!!!!!

2010/01/01 12:46 No.82

みるく@pupe ★zt5XHhDA0ug

アイリちゃんに手を引っ張られた。

アイリちゃんの身体がふわっと宙に浮き、つられてあたしの身体も浮きそうになる。

周りには誰もいない―――

……もうダメだ。

あたしはゆっくりと目を閉じた。







そのとき―――


「ここ、なんだか迷路みたーい!」

「そうだね、広いね〜」


小さな子供を連れた親子がやってきた。

そして、子供はアイリちゃんを見るなり……


「……うわあああああん!!! あああぁぁん!!!!」


大声で泣き出した。



「ど、どうしたの!?」

その子のお母さんは、驚いてその子を宥めている。

「あのお姉ちゃんの上に、浮かんでるお姉ちゃんがいるう!!!! 変だ!!!」

その子は、そう言ってアイリちゃんの方を指差した。


お母さんは言った。

「え?

誰も浮かんでなんかいないじゃない……」




――え??

あたしは振り返った。



そしたらもうアイリちゃんはいなかった―――。



あ……

いなくなったんだ……



……怖かった……!

まだ全身が震えている。

本当にびっくりした……


あのアイリちゃんは一体何なの?

人間じゃないから幽霊だろう。

だけどどうしてあたしに触れたの?

もしかして……


まだ成仏できないほどあたしのことを 憎んでいる――?


そう思った瞬間、背筋が凍った。




……今はこんなこと考えてないで、早く逃げなくちゃ。

このお母さんは、泣きやまない子どもをなだめるためにまだここにいる。

きっとこの親子がいればアイリちゃんは出てこないだろう。



逃げよう……!









そう思って足を踏み出した瞬間、


どこからだろう……






あたしの耳に、聞きなれたあの声が聞こえてきた。









『見てなさいよ』



2010/01/02 16:26 No.83

みるく@pupe ★zt5XHhDA0ug


「!?」

あたしはその声に振り返った。

……誰もいない。


今確かに聞こえたのに。

あいつの、アイリちゃんの声が……!

低い声で、『見てなさいよ』――確かにそう言った……。


アイリちゃんはあたしのことが憎くて憎くて仕方がないんだ。

アイリちゃんの大切なものを全て奪ったあたしが許せないんだ……

きっとあたしのことを、本当に殺すつもりなんだろう。


「いや……!」

あたしは小さな声で叫んでいた。


……大丈夫……

絶対に死なない!!! あたしは死なない!!

あたしは悪くない……!

あたしは嫌な気持ちを振り切るようにして、駅へと走り出した。



そのとき思った。


アイリちゃんも……

大河原さんが呪われていく様子を見ていたとき、こんな気持ちだったのだろうか――



そして電車に乗り込んだ。







━ガチャッ

「ただいま……」

家のドアを開けながらそう言った。

もちろん応答はないんだけど。



あたしは部屋着に着替えると、パソコンの前に立った。

あのサイトを……あたしが運営している、呪いのサイトを見るために。

いつも毎日毎日依頼が来るんだけど、

最近色々と忙しくて見ていなかった。

絶対たくさん溜まってるだろうな。 急いで処理しなきゃ……。



そしてパソコンを開いた。

2010/01/03 11:06 No.84

みるく@pupe ★zt5XHhDA0ug


「……

あれ??」


━カチッ

何度クリックして押しても、そのサイトは出てこない。


━カチッ

━カチッ

「どうしてよ! 出てきてよっ!!」

あたしは1人パソコンに喋りかけながら、何度も押した。

だけどやっぱり出てこない。

そして……


<パッ>


「きゃああっ!!!」

突然、



画面一面が真っ赤に染まった。



あたしは怖くて驚いて、全身が震えだした。

心臓がバクバク脈を立てて、落ち着かない。

あたしは震える手で、急いで電源を切った。


……どうしてなの!!??

昨日までこんなことはなかった。

それにあのサイト以外はちゃんと見れた。

なのに……どうして……!


―――あたしははっとした。


これはアイリちゃんの呪い―――?

もうこれ以上、あたしに呪いはさせてはいけないと思って……?


アイリちゃんはあたしを呪い返しているの?


「……」

だめ、こんなこと考えてちゃ。

だってあたしは人気者。


本当のアイリちゃんなんだから――


絶対あたしは死なない。

呪いなんかには負けない……









━翌日


「おはよう……」

あたしは元気のない声でそう言って教室に入った。

昨日は寝不足で全然眠れなかった。

「おはよう!」

「ヒロミ、おはよー」

「元気ないよ?」

みんながいつものように寄ってくる。

あたしは大丈夫、とみんなに笑顔で返すと席についた。


そうだ、あたしは人気者なのだから。

アイリちゃんよりずっと上の……本物の人気者……

だから呪いになんて負けるはずはないんだ。


「ヒロミ」

顔を俯かせていると、突然上から声がして顔を上げた。

「あ、ナナコ!」

「あのね、あたし来週の日曜日誕生日なんだ。 前まで仲良くなかったから言えなかったんだけど……。 それでね、11時からあたしの家で誕生日会やるからヒロミも来て!! ユウミとか皆来るし、お願いっ!」

ナナコはそう言って、顔の前に手を合わせた。



「うん、もちろん行くよ!! プレゼント持っていくから楽しみにしてて」

あたしは笑顔で返す。

「ありがと〜、じゃあ待ってるからねっ」

そしてナナコはどこかへ行ってしまった。



……このとき、少しだけど胸騒ぎがした。








 

だけどあたしはそれを全然気にしていなかった。

2010/01/04 11:36 No.85

みるく@pupe ★zt5XHhDA0ug

<キーン コーン……>

かったるい授業の終わりを知らせるチャイムが鳴り、

「気をつけー、礼」

「「ありがとうございましたー」」

先生への礼が終わると……

「ヒロミ!」

「ヒロミちゃん」

みんなあたしの席へとやってくる。

これは毎日のこと。


前のあたしだったら……

席に1人でぽつんとしているか、喋ることもないから

迷惑な目で見られるだけなのに、無理矢理人の集まりに近づいていた。

でも今は違う。


座っているだけで、気づくとみんなあたしの机を囲んでいる。

もう慣れたけど、これはすごく快感で……本当に嬉しいことだった。


「ねえ」


あたしは座ったまま、あたしを囲む皆に切り出した。



「……皆、アイリちゃんのこと……好きだった?」






あたしの一言に、場の空気が一瞬凍りついた。


でもいい。

ずっとずっと聞いてみたかった。

もしかしたら嫌われるかもしれないけど、それでも聞きたいから。


誰一人言葉を発しず、沈黙が流れる。

沈黙を破りたくてあたしから言った。

「……あたし、アイリちゃんのお葬式では大好きって言ったけど――
あれはウソなんだ。 本当は嫌いだった」

と。



すると、


「あ、えっと……あたしも嫌いだったなー」

「わ、私も……」

「好きじゃなかったかも」


皆口々に、アイリちゃんの悪口を言い出した……。






―――ねえアイリちゃん、見ているんでしょ?




分かったでしょ、あんたはやっぱり嫌われていた。

あんたは人気者なんかじゃなかった。




必要のない存在だった……









死んでも良い存在だったんだよ!!!!!!!!!!!!









「……フフフフ」


あたしは皆にばれないように小さく笑った。

これではっきりしたから。



ああ、いい気味。









あたしはアイリちゃんに勝った―――!





あたしは1人、ただ最高な気持ちに包まれていた。








当然、これから何が起こるのかも知らずに。



2010/01/07 20:38 No.86

みるく@pupe ★zt5XHhDA0ug

―――そしてあの日から……

アイリちゃんがあたしの目の前に現れることはなかった。


「ねえヒロミー、何買うっ!?」

あたしの隣にいるユウミが問いかけてくる。

今日はユウミに誘われて、一緒にナナコの誕生日プレゼントを買いに駅まで出てきた。

友達と一緒に、こうやって買い物とかするなんて……あたしにとっては初めてのことだった。


「あ、うーん、コレとか可愛くない?」

あたしは、適当にそこに置いてあった鏡を手に取って言った。

ユウミはそれを見てニコっと笑う。

「うん、カワイー!! いいじゃん! じゃああたしはこのポーチにしよぉ」

そして買い物を済ませると、あたし達はビル内のカフェで休憩することにした。


「あー疲れた、今日めっちゃ人多いしっ!」

ユウミは椅子に座るとそう言って、派手にストーンが散りばめられた携帯をいじり始めた。

あたしは静かにココアを飲む。

そしてそんなユウミを見て思った。


ユウミは派手で、見た目も性格もギャルっぽい女の子だ。

もともと、こういう子は苦手だし世界が違いすぎるから、今まで話したことなんて全くなかった。

だけど今では、こうして一緒に買い物するまでになった。

きっとアイリちゃんが死ななかったら、ユウミと友達になんて一生なれなかったんだろうな。


「あの、ユウミ」

「あ……何?」

ユウミはあたしの問いに、急いで携帯をしまって答えた。


「ユウミ、前の足の怪我……本当は誰にやられたか、知ってるの?」

あのときはアイリちゃんが犯人に仕立てられていた。

でもその後、アイリちゃんが大河原さんに土下座しながら、

「本当はあなたが犯人って知ってるけど、わたしが犯人って事にしていいから許して」

って感じで訴えかけて……

結局、誰が犯人なのかは分からないで終わった。


「……あたしも、はっきりとは分からないけど。


多分あいつでしょ、大河原」

ユウミは真剣な目つきで言った。


「後からアイリから聞いて分かったんだけど、あの時教室にいたのは大河原しかいなかったんだって。

それにあたし、大河原が階段から落ちたとき、色々言ってあいつに憎まれてたから」

ユウミは、グラスに入ったオレンジジュースの氷を

ストローで回しながら言った。


あたしの知らなかった事実が……


次々と明らかになっていく。



「それで……あたしが落ちたとき、アイリは本気で心配してくれて、大河原のことを本気で怒ってくれた。


めっちゃ嬉しかったんだけど、もう……




……アイリはいないんだよね……」



ユウミはそう言って、少し涙を流した。





<ドクン……>


あたしの心臓が高鳴り始める。

だ……だめ……やめて……

やめてやめてやめて。

アイリちゃんのことを思い出して泣いたりしないで。


あいつを喜ばせるようなことしないで!!!!!!

やめて!!!!!!




<ガタンッ>

あたしは思わず立ちあがって叫んでいた。



「……何言ってんの!!??



アイリちゃんのこと嫌いなんじゃないの!!!!????」


2010/01/06 18:18 No.87

みるく@pupe ★zt5XHhDA0ug

「え……あ……」

ユウミは少し驚いていた。

「……じょ、冗談だよ、嫌いに決まってんじゃんっ! ウソ泣きするほどアイリがいなくなってくれて嬉しいのぉ!! アハハ」

ユウミはそう言って少し笑ったけど、明らかに戸惑っている。

「……本当に? 本当にアイリちゃんのこと、嫌い???」

あたしは下を向いたままそう言った。

「もぉー、さっきから何言ってんのっ? ヒロミ、なんかおかしいよぉ!」

「答えて……




本当に!!!!????」


あたしの大声に、ユウミは驚いたようで肩を上げる。

「ほ……本当だ……よ」


「そっ、か……安心した」

ユウミの『本当』という言葉で

少しだけど心が軽くなって、あたしはそう言ってフゥッと息を漏らした。




「でも」


「な、何ぃ?」



あたしの言葉に、ユウミは苦笑いする。






「もし……もし裏切ったりしたら――」




あたしはずっと俯いていた顔を上げて、



ユウミを睨んで言った。









「――――死んだって許さないから!!!!!!!!!!!!!!」

2010/01/07 18:52 No.88

みるく@pupe ★zt5XHhDA0ug


「わっ……分かった!! 分かったってぇ!!!!」

ユウミは焦ってそう言うと立ち上がった。

「もう帰ろう、プレゼントも買ったし……」

「……うん」

あたしはユウミにそう返すと、お金を払ってその店を出た。

そして二人で駅まで歩く間、

あたしたちは一言も会話を交わさなかった。


駅━

「……じゃあ、あたしこっちだから!」

ユウミはあたしと反対側のホームの階段を指差す。

そして、


「また明日ねぇ、ヒロミ!!」


いつものようににっこり笑うと、あたしに大きく手を振った。

「あっ……、じゃあね」

あたしは少し驚いたけど小さく手を振り、

ホームの階段を上っていった。

するとちょうど電車が来ていて、しかも席ががらりと開いている。

あたしは電車に乗ると、はぁーっとため息をついて席に座った。


<ガタン……ゴトン……>

電車が動き出す。


……何やってるの?

あたし何やってるの!!???

ユウミにあんな姿見せて……!!!

アイリちゃんのことでユウミが泣いたとき、

隣でアイリちゃんが勝ち誇ったように笑っている気がして―――!!!!!!

どうしようもなく悔しくて!!!

それで、思わず立ち上がってしまった。


だけど……今になってすごく後悔した。

どうしよう。

もしかしたら嫌われているかもしれない。

もしかしたら、



―――人気者でいられなくなってしまうかもしれない―――


<ドクン!!>

心臓が強く鳴り出した。


今になってこんなに後悔するなんて。

怖くなるなんて。

本当にあたし何やってるの……!!


だ……大丈夫……

アイリちゃんのこと嫌いだって、ユウミは言ったんだから!!

あたしがアイリちゃんなんかに負けるはずはない!!!!



アイリちゃんのことなんかみんな大っっっ嫌いなんだから!!!!!



あたしは必死に、そう言い聞かせた。




だけど、電車に揺られながら、



不安で不安で今にも泣き出しそうで仕方なかった。

2010/01/08 21:24 No.89

みるく@pupe ★zt5XHhDA0ug


そして翌日。


朝、あたしは教室前に依然と立ち尽くしていた。

怖い……

もしユウミに、いや、皆に嫌われていたらどうしよう。

……アイリちゃんみたいに皆に無視されて……

そんなの嫌!!

<ドクンッ ドクンッ>

心臓の音が大きくなっていくのが聞こえる。




<ガラッ>

―――あたしは思い切ってドアを開けた。


教室にいたみんなの視線が一気にあたしへと注がれる。

そこにはナナコもユウミもいる。


「おはよう!」


いつもみたいに笑顔で言った。









「おはよー!!」

「おはよう、ヒロミ」

「おはよう」






皆は……


いつものように挨拶を返してくれた。

あたしはすごく安心して、ゆっくりと笑顔を作って返した。


良かった。 良かった。 良かった。


皆普通に接してくれた……。







その後、あたしはいつも通りチヤホヤされて、一日が終わった。



休み時間も、昼食のときも、移動教室のときも、ずっと――――。









そして。







ナナコの誕生日会の日がやってきた。

2010/01/10 00:58 No.90

みるく@pupe ★zt5XHhDA0ug


<ガチャ……>

「行ってきます」

あたしはナナコへのプレゼントの鏡を手に、家を出て歩き出した。


……どうしてだろう。

すごく楽しい一日になるはずなのに、なんだか怖くて緊張している。

何か……何かが起こりそうな気がして―――

胸の高鳴りが止まらなかった。



いつのまにかあたしはナナコの家の前に着き足を止めていた。

そして一つ深呼吸をするとチャイムを押した。

<ピンポーン>

「はい、今開けます!」

中からナナコの声が聞こえてくる。

<ガチャッ>

「ああ、ヒロミ」

「……ナナコ……!」

あたしは出てきたナナコの姿を見て、驚いた。

なんだか……瞳がいつもより赤黒いような気がした。

そしていつも笑顔なのに、笑っていなかったから。

「あ……お誕生日おめでとう!」

あたしは、目の前にいるナナコに笑顔でそう言った。





だけど。




「……」


ナナコは何も言葉を返さずに、くるりとあたしに背を向けた。





―――え?




どうして……



どうして返してくれないの……






<ドクンッ>

あたしの心臓がまた高鳴り始める。






「……おじゃまします」


あたしは小さくそう言うと、



何も言わないナナコの後ろについて、



ユウミ達がいるリビングへと歩いた。

2010/01/11 10:24 No.91

みるく@pupe ★zt5XHhDA0ug

「ねえナナコってば。 ……どうして返事してくれないの?」

そう言うあたしを無視して、

<ガチャッ>

ナナコはリビングのドアを開けた。

椅子に座ってケーキのトッピングをしていたユウミ達が、じろりとあたしを見る。

……ユウミ達と目が合った瞬間……

あたしはぴしっと身が引き締まるような恐怖に襲われた。


ユウミ達の目はナナコと同じように赤黒かったから。

そしてそのままあたしを視界にとらえて、離さなかった―――。


どうしてなの……


「ナナコ、ケーキできたよぉ!!」

ユウミが言った。

「わーありがとー! すっごい嬉しい!! さっそく食べよ〜」

ナナコはそう言って、その場にいた人数を数え始める。

ここにいるのはあたしを入れて9人だった。


なのに。


「8人だから……8等分でいいか」


ナナコは隣にいたあたしを無視してそう言った。


その瞬間、あたしは悲しみを通り越して怒りが頂点に達していた。


「ちょっと何言ってんの!? あたし合わせたら9人だから―――」


あたしはナナコの肩をつかんで言う。



<バッ>

ナナコはあたしの手を乱暴に振り払うと―――





またあの赤黒い瞳であたしを睨みつけて言った。





「何あんた、いたの?」





<ドクンッ>



心臓がまた大きく鳴り始めた。

「え……? な、ナナコ……」

……声が震える。







それを見ていたユウミが、赤黒い瞳であたしを睨んで言った。


ナナコと同じように。









「出てけよ」

2010/01/12 18:20 No.92

みるく@pupe ★zt5XHhDA0ug


<ドクン……>


心臓が高く大きく鳴った。


なんて返していいのか分からなくて

頭の中で必死に言葉を捜すけど、見つからない―――。



ナナコとユウミは、そのままずっとあたしを睨みつけている。




「あたしあんたのこと大嫌い」

ナナコはそう言うと、軽くあたしを突いた。

あたしはバランスを崩して、その場にしりもちをつく。



「アハハハハ!!」

「ダサッ」


そこにいる全員があたしを見て笑っている。



「……何なの!?」


あたしは涙目でそう言って立ち上がった。


するとユウミがぼそっと呟いた。



「……出てけっていったの、聞こえないのかよ」





そして

<パン、パン>



「出ーてーけ、出ーてーけ」



拍手に合わせてコールを始めた。




「ちょっと……どうして!? どうして急に―――」


「「出ーてーけ、出ーてーけ、出ーてーけ」」



あたしの言葉を消して―――



そこにいる全員がコールを始めた。



あたしを囲んで。









「あ……」


あたしは赤黒い瞳をして

あたしを囲む全員と目が合って、


怖くて鳥肌が立って震えてしまった。



どうして……

どうしてなの……

こんなの絶対おかしい……



嫌……









……怖い!!!!









<バタン!!>


あたしは全力で走ってナナコの家を出た。






リビングに、ナナコへのプレゼントを置き忘れたまま―――。

2010/01/13 19:10 No.93

みるく@pupe ★zt5XHhDA0ug



あたしは強く風を切って――

ただ走り続けた。


<ガッ>

「あ!」

石につまづいてあたしは声を上げた。

膝を見ると、すっかり擦りむけてしまっている。


「はぁ……はぁ……」

息が切れて呼吸が上手くできない。

何かもが痛くて何もかもが嫌!

あたしは立てなくて、そのまま道路にしゃがみこんだ。


どうして…………


どうして突然、あんなに態度を変えてしまったの……

昨日まで普通に話してたのに。

―――あの日ユウミと色々あったから?

……いや違う、だって翌日には、普通に笑って話しかけてくれたもん……


もう分からない。

どうしてこんなことになってしまったのだろう。

絶対みんなおかしいよ。

あんな、赤黒い瞳をして―――







<ドクンッ>


あたしははっとして、突然心臓が跳ね上がった。









そうだ。









おかしいんだ。









赤黒い瞳なんて普通じゃない。


それも、ナナコの家に来ていた全員が赤黒い瞳だったなんて。


そして全員が、突然あたしへの態度を変えた。


何かが起こらない限り、こんなことある訳ない。







絶対に何かが起こった。







みんな何かがおかしいんだ。









もしかして……



「アイリちゃんが何かしたの?



アイリちゃんが……









ナナコたちを呪ったの……?」



あたしはポツリとそう呟いていた。

2010/01/14 18:01 No.94

みるく@pupe ★zt5XHhDA0ug

そう呟いたけど、答えは何も返ってこなかった。

「……はぁ」

あたしは溜息をついて、重い体を起こすと、歩き出そうと足を出した……




そのときだった。




「……!!」





『だからあのとき見てなさいよ、って言ったじゃない』



突然、あの声が聞こえた。

一生忘れることのない――

アイリちゃんの声が。



目の前にはアイリちゃんが立っていた。



『そうよ、わたしがナナコたちを呪ったのよ。

これからはナナコたちは全てわたしの思うままになるのよ』


「……っどうして!? ナナコたちを元に戻して!」

あたしはその聞こえる声に返した。

アイリちゃんはあたしを無視して話し続ける。


『わたしはやっぱりあなたを許せない。

わたしの命を奪い、わたしの大切なものを奪ったあなたが一生許せない。

あんなにわたしを慕ってくれたユウミもナナコも

わたしのことを嫌いだと言って

あなたを慕うようになった……

そうさせたあなたを、わたしはずっと許すことができないわ……



だから。




これからクラスの皆は全員わたしの思うままよ。 ……一生ね』



アイリちゃんはそう言って高らかに笑い上げると―――





『……さよなら』



そう言って姿を消した。

2010/01/16 00:08 No.95

みるく@pupe ★zt5XHhDA0ug


「……」

あたしはどうしようもなく震えてしまい、両手で腕を包んで歩きだした。


……学校を休んだりしたらお母さんに殴られる。

だからあたしは絶対明日学校へ行かなくてはならない。

明日からどうすればいいの

あたしは誰を信じればいいの

あたしはどこを居場所にすればいいの


あたしはどうしたら幸せになれるの


キリのない疑問がただ頭の中で渦巻いていた。


━翌日

あたしはまた教室前で突っ立っていた。


昨日は「明日なんて一生来なければいい」と思っていたけど

それでも今日という日は来てしまった。

あたしは教室へ入らなければいけない。

何のために入るんだろう。

傷つくため?

……そうだ、あたしは傷つくためにこの教室に入る。

「……はは」

あたしは小さく笑っていた。

――もうバカみたい。

全てがあたしを苦しめるためにあるみたいだ。


<ガラッ>

「おはよ……」

あたしは思い切って教室のドアを開けた。

中にいた人達は、当然あたしのことをじろりと見る。

そして……

「うわ、あいつ来たよー」

「気持ち悪い」

「いいよ、無視しよ!」

あたしに聞こえるようにそう言って、もちろんいつものように挨拶をすることもなくヒソヒソと話を始めた。


あたしは黙って、後ろの自分の席へと歩き出す。

歩いている間、みんなの視線を一気に感じた。


「学校来なくていいっつーの」

「マジウザイ、どっか行けよ」


ナナコやユウミの声までも聞こえる。




そして。



「あ、そーだ、こんなのいらないから返すねっ!」

ナナコはそう言って、あたしが昨日ナナコに渡す予定だったプレゼントの鏡を、勢い良くあたしの方へと投げた。





<パリーン!>







床に投げつけられた鏡はバラバラに割れ、


それを見て笑っているナナコやユウミの顔が何個も映し出される。









これは全てアイリちゃんがしていることなんだ。

ナナコも、ユウミも、このクラスの皆も何もかもアイリちゃんが動かしている。

だから大丈夫。 耐えられる。

そう言い聞かせてあたしは学校に来た。









だけど。









「もう無理……」









あたしは割れた鏡を拾わずに、スクバを手にして教室を出た。




2010/01/16 17:24 No.96

みるく@pupe ★zt5XHhDA0ug

「待ちなさい!」

廊下を走っていると、担任のそんな言葉が聞こえた。

だけどもう限界。

……もう嫌、もう無理……

あたしは走り続けた。

そして、偶然にも校門が開いていたから、あたしはすんなりと学校を出ることができた。


「……はぁ、はぁ」

息が切れる。

あたしは広く白い学校の校舎を見返りながら思った。


あたしはこのとき初めて気づいた。


アイリちゃんが死んでから、あたしはアイリちゃんとよく似た人生を辿っている。


人気者になり。

間もなく親友の裏切りに合い……

そして今、あたしはたったひとり。


いやアイリちゃんだけじゃない、大河原さんとも同じ。

これも全て……呪いのせいなのだろうか。

あたしがアイリちゃんに呪いを教えたあの日から、

あたし自身も呪われていったのだろうか。

……それじゃあ



あたしも近いうちに死ぬ?



大河原さん、そしてアイリちゃんと同じように―――。



そう考えた瞬間鳥肌が立ち、寒気がした。





嫌だ嫌だ嫌だ。

こんなこと考えていたくない。

学校が嫌、だけど死ぬのはもっと嫌。

……いや、死ぬのが嫌なんじゃない。

……あれほど憎かったアイリちゃんと大河原さんと同じになることが嫌なんだ。


――あたしは再び走り出した。

家へと向かって。



━家


家に着き、部屋着に着替えたあたしは呆然と台所に立っていた。

どうしよう。

今日、お母さんは昼過ぎには帰ってくる……

そしたらあたしはきっと、怒鳴られ殴られて……家を追い出されるだろう。


だけど。


学校になんてもう戻れない。

明日も明後日も、その次も学校はある。

でももう行けない。

―――学校はもうあたしの居場所では、城ではない。

ただの怖い場所でしかない。


「……」

<ダンッ>

あたしは冷蔵庫にあったペットボトルのジュースを飲み干すと、勢いよくテーブルに置いた。

もういい。

あたしは覚悟を決めた。

お母さんに「学校に行きたくない」と伝えて……


それで、お母さんの気の済むまで殴られよう。



怖くて怖くて怖くて、どうしようもないけれど。



あたしは耐えるしかない。





あたしは昼食を作り食べ終えて、洗い物を始めた。







そのとき。



<ガチャッ>


家の鍵を開ける音が聞こえて、あたしの心臓がビクンと跳ね上がった。







……お母さんが帰ってきた。

2010/01/18 18:31 No.97

削除済み ★R9vVWFQsrCM

この投稿は ”ポンデリング” 削除されました】 BY 愛浦☆マスター ( 2010/01/20 13:04 )

2010/01/18 14:47 No.98

削除済み ★BbSbaaucpBE

この投稿は ”ポンデリング” 削除されました】 BY 愛浦☆マスター ( 2010/01/20 13:04 )

2010/01/18 21:58 No.99

みるく@pupe ★zt5XHhDA0ug



「あ……


―――っっお母さん!!!」


あたしは玄関先まで走りだし、お母さんに向かって叫んだ。

お母さんは少し驚いた表情で何かを言おうとしている。

だけどあたしはそれをさえぎって、大声で言った。



「あたし学校早退したの!!!

ごめんなさい!!!

……あ、あたし……みんなに嫌われてて……

どうしても嫌だったの!!


だけど―――


お……お母さんの気が済むまで殴っていいから……

あたしのことが嫌いだって、殴ったって何したっていいから……


しばらく学校休ませてください!!!!!!!


お願いしますっ!!!!!!!!!!!」



あたしはバッと頭を下げた。

<コツン……>

お母さんがパンプスを脱ぐ音が、俯いたままの耳に聞こえてくる。

そしてお母さんの足音がゆっくりと近づいてくるのを感じた。


あたしは殴られると覚悟を決めて、きつく目を閉じた。








だけど。



<ピピピ……>



電話のボタンを押す音が聞こえて、あたしは頭を上げた。

気づくとあたしの目の前にいたはずのお母さんは後ろにいて、

長い爪でどこかへ電話をかけている。


そして途端に笑顔になって会話を始めた。


「あー、ヒロ君?

うん、そぉー、今帰ってきたー。 

……へぇー、そうなんだぁ!! フフフ」




「お母さん。 あたしのこと怒らないの……」

あたしは笑顔で電話しているお母さんに言った。


お母さんは小声で、だけどあたしを強く睨みつけて言う。



「……いいから消えて」





と。





「……」


<バタン>

あたしは黙って自分の部屋にこもった。






そっか。



お母さんはあたしのことを殴るはずないか。


だってあたしのことなんて

なんとも思ってないもんね。



娘としても、血のつながった肉親として思ってないのは当然……




存在自体、無視しているんだ。

なんとも思っていない。

だから……

あたしのことを褒めないけど怒りもしない。

こういうのを本当の孤独と呼ぶのだろうか。


あたしバカだったのかも。

殴られる、殴られると不安に震えていながらも……

―――本当は心のどこかで期待していたのかもしれない。

お母さんが、あたしのことを娘として……

いや、せめて人間として意識してくれていることを。







「……はは」


あたしは不意に小さく笑っていた。







なんかもう、



何のために生きているのか分からない。

2010/01/20 21:49 No.100

みるく@pupe ★zt5XHhDA0ug


ねえ。

誰か教えて。


あたしがここに……

この世に生きている意味を。


そして慰めてよ。


「あたしはいらない存在なんかじゃない」

「あたしは孤独じゃない」


って……

誰でもいいから、




「そう言ってよ……」

熱はないのに。

寒気がして、がたがたと体が震える。

だけど涙は出ない。




もういい。




もう……

なんかもう……


全てがどうでもいい……









<バタン>



学校に行かなくなって幾日が経った、ある朝。


自分の部屋で眠りについていたあたしは、家のドアが閉まる音で目が覚めた。

お母さんがどこかへ出かけるのだろう。

そしてあたしは重い体を起き上がらせると、部屋を出て台所で朝ご飯を作り始めた。


カレンダーをふと見てみると……

学校を行かなくなってから、もう一ヶ月も経っていた。

終業式まであと二週間しかない。

ほんの一日だけ休んだような気になっていたのに、あたしの周りで時間はこんなにもはやく進んでいたなんて……。

あの日から、食事を作るためとか、大切な用事でしか部屋から出ず、

ほとんど部屋でパソコンをしていたから、時の流れの感覚がだんだん薄れてしまっていたんだ。



<カチャ……>

食器棚からお皿を取り出して、あたしはぼーっと考えていた。




あたしはもう、笑ったり、悲しんだり、驚いたり、

生きている上で感じるあたりまえの感情を―――

もうほとんど失ってしまった。


きっとずっとこのままなんだろう。

これからずっと学校も行かず、社会にも出ず。

ここで、起きてパソコンをして眠って……

そんな毎日を繰り返していくのだろう。

それより前に、呪いによって死んでしまうのかもしれないけど。


もう何でもいい。 どうでもいい……







あたしはもう



―――人間として廃している。









あたしは……もう―――――………。

2010/01/21 21:36 No.101

みるく@pupe ★zt5XHhDA0ug



翌日。


<カチャカチャ、カチャ>

あたしはいつものように無心でパソコンをする。

この時間は何て快適なんだろう。

何も考えずに済む、いや、楽しくて嬉しいことだけを考えていられる……

傷つかずに済む。

だけどその度に……

「一生このままなのだろうか」

という不安が襲ってきて、胸が痛くて気分が悪くなる。

学校へ行くなんてもう嫌、だけどずっとこのまま家にいるのも嫌。

あたしの心は複雑に揺れていた。





<ピンポーン>






突然鳴らされたチャイムは、静かなこの家にはあまりにも響きすぎた。

あたしは驚いて肩をびくんと上げた。


どうしよう。

いるすを使おうか。

いや、でも……出るべきだろう。


「は……はい……」


あたしは震えてそう言いつつ、ドアの丸穴を覗き込んでみた。

こんな時間に来るなんて、宅配便の人くらいしか居ないだろうけど……









「!!」

あたしは驚いて、バッとドアの前から離れた。




そこにはナナコがいた。



そう分かった瞬間、突如どうしようもない震えと寒気が込みあがってくる。

体中が震えて、ガタガタと歯の音がうるさい位に聞こえた。


だ……大丈夫……

やっぱりいるすを使えばいい。

これ以上、傷つきたくなんかない。



「ヒロミ、いるんでしょう? さっき声がしたのに、まさかいるすでも使うつもり?」



ドアの向こうから声が聞こえた。

あたし、さっき返事してしまったんだ!



どうしようどうしようどうしよう。









……開けるしかない―――









<ガチャッ>





あたしはまだ震えたまま、そっとドアを開けた。




2010/01/23 11:57 No.102

みるく@pupe ★zt5XHhDA0ug


「……久しぶりー!」

笑いながら明るい声でナナコが言うから、

「あ……、うん」

あたしもつられてか、俯きながら少し笑って答えていた。

何で来たの?―――

そう聞きたいけど、怖くてナナコの言葉をただ待っていた。


「あたし、今日はあんたに言いたいことがあって来たんだよね」


ナナコのよく通った声が耳に入る。

あたしの返答を待たぬままナナコは続けた。


「明日学校に来て。 何が何でも、絶対」


学校。

それを聞いただけで寒気に襲われた。


なのに。


学校に行けって!!?

あんなに辛く悲しい思いを……憎く悔しい思いをした学校へ行けだなんて――

絶対に嫌!


そう思ったことは何一つ言えずに……

あたしは俯いたまま言った。


「どうして?」

この言葉が今のあたしにとっては精一杯だった。


「別に理由なんて必要ないでしょ? いいから、来てって言っているの」

「……」

ナナコがどんな表情をしているのか知るのさえ恐くて、あたしは顔を上げられなかった。


「分かった?」

「……」

ナナコの言葉に返事ができないあたし。


ナナコは少し怒ったのか、再び声を上げて言った。

「―――分かった!?」


「は……はい!」

あたしは肩を上げて答える。

「じゃあ明日。 楽しみにしてるから」

ナナコは明るい声で言うと、

<バタン>

あたしの家から出て行った。



やっと顔が上げられる。

ああ、怖かった……


ナナコは、こんなことだけ言いに来たの?

わざわざ学校を休んでまで―――


「……」



ナナコが何のために「学校へ来て」だなんて言ったのかは分からない。

だけど……明日。

何かが起こるんだ。


あたしの心を再び引き裂く、何かが―――。


もう嫌、学校なんて行きたくない。

どうしてわざわざ苦しい思いをしに行かなくちゃいけないの?







……あれ?

だけど。



そうだ、どうせあたしはもうすぐ死ぬんだ。


明日何が起ころうとも、

アイリちゃんによる呪いで―――

どうせ死ぬ運命なんだ。



そう分かった瞬間、あたしの心はすっと軽くなった。







そうか。 明日何が起ころうとも……




あたしはどうせ、アイリちゃんによる呪いでもうすぐ死ぬんだ。





それならもう何が起こったっていい。





もうなんだっていい。






「……」

あたしはふらふらと立ち歩き、再びパソコンの前に立った。



そうだよ、ちょっと明日、外の世界へ出るってだけのことなんだ。

明日さえ乗り越えれば……

またこの至福が待っている。

もう怖くない。


学校なんかどうでもいい。


<カチャカチャ……>

「ふふ……ふふふ……」

あたしはキーボードを打ちながら、一人笑いを浮かべていた。

2010/01/24 14:18 No.103

みるく@pupe ★zt5XHhDA0ug


翌日。

<ガチャ……>

あたしはまだ寝ているお母さんを起こさぬよう、静かにドアをあけて家を出た。

久しぶりに着る制服がなんだか慣れないような感じがして、落ち着かない。


あたしは、黙々と歩き学校へと急いだ。

前だったらきっと不安で不安で、こんな普通に学校へと歩ける状態じゃなかったと思うのに。


今は……何も怖くない。

不安も心配も何もない。

ただ、早く終わらせたいという思いだけ……。

それにしても―――

どういうわけか、今日は誰ともすれ違わない。

どんなに早く行っても遅く行っても、人が多く通るこの通学路では絶対誰かと会うのに。

何でだろう。

あたしは疑問を抱きつつ、足を進めた。


━教室前

そして教室の前に着いた。

なんだかやけに静か。

誰もいないの?

隙間から教室の中をちらっと除いてみると―――


そこにいたのはナナコ1人だけだった。


何でナナコしかいないの?

なんかさっきから……おかしくない?


<ガラッ>


ドアを開けると、窓際にいたナナコがどこか楽しげにじろりとあたしを見つめた。

ああ、鬱陶しい。

わざわざ学校に来たんだから、早く帰らせて。


「やっぱり来たね」

ナナコはそう言って笑った。

昨日のような震えや恐怖はなく、あたしはナナコに近づいて窓にもたれかかると、毅然として答えた。

「……何でみんないないの?」

すると……


「何でって……。

今日は午後登校の日だから、みんなが来るのはあと2時間後だもん。

運動部の朝練があるから門は開いてるけど!」



ナナコは微笑を浮かべて言った。

なんか不気味、ていうか意味不明。

なんでみんなが来る2時間も前にあたしを呼んだのだろう。

まあいいや、……早く帰りたい。



「……あ、そう、で用って何? 早く帰りたいからさっさと済ましてよ」



投げやりに話すあたし。






「うん。 大丈夫。



すぐ終わるから!」




ナナコはそう言って―――







<ドンッ>









あたしを押した。

2010/01/25 20:26 No.104

みるく@pupe ★zt5XHhDA0ug

「……!」

ぐらりと視界が揺れた。



体が半分窓の外へ出る。



全身が宙に浮く感覚がした……







何?


あたし、

押されたの?



もしかしてあたし



今死にそうな状態になってる―――?






「え……





っいや!!!」



<ガッ>


「……っ」

あたしはとっさに右手で窓のふちを掴んだ。

頭を揺らして上を覗くと

睨みながらあたしを見下ろすナナコがいた。


「ど……うしてっ」

声が上手く出ない。

<ガッ……>

あたしは左手も持ちあげて、窓のふちを掴み取った。





ナナコは少し鼻で笑った後で言った。

「わたしの気持ちが分かった?」

「!?」


あたしは驚いて、両手を思わず離しそうになった。

だって、そう言うナナコの声は……

アイリちゃんそのものだったから。

「アイリ……ちゃん……あ、アイリちゃんなの!?」

「わたしもこんな風にして殺された。 あなたに……ね。

ねえ、わたしがどれだけ悲しくて苦しくて無念で悔しかったか……あなたもやっと分かったでしょう?」


ナナコはそう言ってあたしの右肩を強く押した。

衝動で、あたしの右手がぶらりと垂れ下がる。

だけど、また上げて窓のふちを掴む力が……もう、ない。


「ねぇっ……てば、アイリちゃん? アイリちゃんなの!? 」

あたしは渾身の力を込めて叫んだ。

ナナコは何も言わない。



「お願い!!! 許して、助けてえ!!」




ああ、今になって、悲しいとか辛いとか……


人間として当然の感情が蘇ってくるだなんて。

皮肉だ。


だけど。


ナナコはそれを無視して……







「一生呪ってやる」




そうぼそっと呟くようにして言った。





<ドン>


あたしは左肩も押されて、両手が下がり―――









全身が下へ下へと落下していった。




「や……だ、やだ、やだ、


やだあああああぁ!! 誰か――――――!!!!!」






あたしの叫びはむなしく響いていた。






2010/01/26 22:22 No.105

みるく@pupe ★zt5XHhDA0ug

★最終章 上









<ドンッ!>





あたしは、体ごと地面に強打した。

もうなにも感じない。

痛くない。


……なにがなんだかわからない。





だけどあたしはまだ意識がある。

もうすぐ死ぬのは知っている。

だからあたしは命の限り思い出そう。

―――アイリちゃんのことを。

あたしの意識が途絶えるまで、ずっと……。



あれは、

さっきのナナコは……

アイリちゃんだったのだろうか。

だってあの声、あの喋り方は。

一生忘れることのないアイリちゃんそのものだった。


――「一生呪ってやる」――


この言葉を最後にあたしに伝えるために、ナナコに乗り移ったのだろうか。

それともナナコ自身があたしに言った言葉なの……?

だってナナコは……そしてユウミも――

結局あたしのことなんか、友達だなんて思っていなかったもんね。

アイリちゃんの呪いは関係なく。

こんなあたしと友達になんか、なりたくなかったよね……


ああ……


もうだめかもしれない。

何を考えているのかも自分でもわからない

頭がボーッとして

自分の息遣いだけが聞こえて

胸が苦しい

あたしが持つのはあとどれくらいなのだろう

きっとあと10分くらい?

もう時間の感覚さえも分からないよ

……ああ、やっぱり―――

呪いに関わったものはみんな死ぬ運命なんだ。


あたしも大河原さんもアイリちゃんも。





<半端ですが一旦切らせて頂きます。
 下は明日更新します>

2010/01/27 22:09 No.106

みるく@pupe ★zt5XHhDA0ug

★最終章 下

(まだ最終回ではありません。 
 紛らわしい書き方をしてしまって、申し訳ありません><
 ですがあと2〜3話で完結です)




-----------------





「……お母さん……」


ふとそう呟いたあと、生ぬるい涙一筋が、ツーッと頬を濡らすのを感じた。

あたしはお母さんにも結局愛してもらえなかった。

……最後まで。

最後に、一瞬……一瞬でいいから……

あたしのことを抱きしめてほしかった。

こんな不細工なあたしでも、少しでいいから愛してほしかった……。





あたしは―――

人気者になりたくて、誰かと必要とされたくて、

命を懸けてやっと人気者の座へ辿りついたけれど……

――……そんなの意味があったのだろうか。


形だけは「人気者」になっても、

みんなあたしのことを愛してくれなくて。

最後にはこうして裏切られ。



結局孤独が積みあがって苦しくなるだけだった……



違う。

あたしがほしかったのは、こんな苦しい思いじゃなかった。


人気者なんて座もいらなかった。


ただ……




ただ誰かに愛されたかっただけだった……






涙が溢れ出した。







今なら分かる。


最初から呪いなんてしなければ―――




人を貶めようだなんて考えなければ……!

あたしはこんなことにならなかった。


いや、あたしだけじゃない。


大河原さんもアイリちゃんも、醜いだけである自分への見栄を捨ててしまえば―――

こんなことにはならなかったのに。



誰も傷つかずに済んだのに。



きっとあたしもアイリちゃんも大河原さんも友達になれたのに。





きっと皆、






当たり前の幸せを手に入れられた。



「ゴホッ……!」


喉の奥が苦しくなって咳を吐くと、血が地面を濡らしていくのが見えた。







「呪いなんてしなけれ……ば……









あ……、あ、ごめん……なさい……」





あたし


もう何を言っているのか……

……分からない


モウナニヲイッテイルノカワカラナイ





「謝るから……


お願い、ねえ……ねえ……









誰かあたしを愛して」









そして。





あたしは









静かに瞳を閉じた。

2010/01/28 20:08 No.107

みるく@pupe ★zt5XHhDA0ug



「……」

体の下に血を敷いて倒れるヒロミの前に、ある少女が音も立てずに依然と立っていた。

太陽の光が眩しくなってきた、と少女は太陽に手をかざし、校庭をただ見つめていると。

「おはよう!」

「おはよ〜、もう午後だけど!」

少しずつ生徒達がやってきて、さっきまで静かだった校庭は挨拶を交わす声で、賑やかになっていた。


<ポンッ>

「おはよー、ナナコ!」

後ろ向きの少女の肩を軽くたたいて、派手な外見をしたある少女がそう声をかけた。

「あ、おはよう。 ユウミ」

少女はそう言って、にやりと笑った。




「……!?」

ユウミと呼ばれるその少女は、目の前に倒れるヒロミの姿を見つけると、言葉にならない叫びを上げた。

そして両手で口を覆いながら言う。

「こ……これは……ヒロミなの!?」

「うん、あたしが来たらもう倒れてたの」

少女は淡々と答えた。


「あ…… あ、あたし、先生に知らせてくるっ!!」



ユウミはそう言って、走って昇降口の中へ入っていった。







<次回最終回です>


2010/01/29 17:52 No.108

みるく@pupe ★zt5XHhDA0ug

「……ふふ」

少女は、そっとしゃがみ込んでヒロミの額に手を触れてみた。

そして、優しい優しい声で語りかける。


「あなたが死んで、ユウミは呪いが解けたみたいだね。

あたしも呪いが解けた。


だけどあたし、あなたが死んでくれて嬉しいの。


あたし、アイリに呪われる前からあなたのことが嫌いだった。

ミユちゃんもアイリも死んだあと、

人気者の座に着くのはあたしだと信じていたのに……


人気者になったのはあんただった。

だからね、あたし、人気者のあなたが許せなかったの。


でももう邪魔者は誰もいない……」


「先生、こっちです! ヒロミが、ヒロミが倒れてて……ナナコが最初に見つけたんですけど……」

遠くにユウミの声が聞こえる。

先生の後ろについてだんだんこっちへと近づいてくる。

少女は立ち上がった。


「……」

そして。




<ドン>

見下ろしたヒロミの頭を軽く蹴ってみせて、


にやりと笑って小さく呟いた。









「次はあたしが人気者……」









――――と。









…… 呪 っ ちゃ っ た 。  E  N  D 

2010/01/30 10:41 No.109

削除済み ★13UmA40Ow0s

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2010/02/01 19:20 No.110

削除済み ★13UmA40Ow0s

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2010/02/01 19:24 No.111

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2010/02/28 19:57 No.112

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2010/07/08 18:28 No.113

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2010/07/11 13:17 No.114
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