向日 樹 ★ww0ecodAhg_EP8 君は今、しあわせですか? 8ヶ月前 No.0
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向日 樹 ★ww0ecodAhg_EP8 君は今、しあわせですか? 8ヶ月前 No.0
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向日 樹 ★Android=C0s6WTVtmb
夢の中の彼は、
とってもとってもキレイだった。
私が思い描いた初彼なんかと、
比べ物にならないくらい、
キレイでかっこよかった。
これは、天使なの?
天使の彼は、
ニッコリ私に、
微笑みかけた。
ああ、本当だ。
本当に彼は、天使なんだ。
そう、思ったとき、
私は目覚める。
う?うん?
いつもの場所で、
目覚めた私は、
ただ夢の残像にすがりたい気持ちで、
ショックを受ける。
おはよう。
また一日の
始まりだった。
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朝、目覚ましの音で目覚めた私。
いつもの部屋。鏡に映る私の顔。
宿題は確か、やったはず。散らかってはいないだけ。でも、出しっぱなしにしたままの、文房具と教科書がベッドの上からでも見えた。
なんだ、また夢か。
立ち上がると右手で、頭とお腹をポリポリとかく。お腹には、からだニキビらしいブツブツとしたものができている。
なんか、やだなぁ。
ポツリと呟く私。でも呟きながらも、体はいつもと同じように、制服のあるクローゼットの方へと、向く。
憧れて入った学校の制服。でも別に憧れてたといったって、この学校の制服を気に入っただけ。水色のリボンの制服は、県内で調べてはみたものの、この学校しかなかったから。
よいしょ。
別に声を出すほどではない。体は痛くないし、熱があるわけでもない。私はいたって健康。
だけど、
痛っ。
部屋にあった、机にぶつかる。机の隅はいたんで、木の裂け目ができて突起でている。
にゃろう。
痛いわけだ。私の膝からは、少々の血が出ていた。
絆創膏は、っと。
なんでも溜め込んでいれてある小さなボックスが、本棚の所に置いてある。それを見ると、
よっしゃ、あった。あった。
絆創膏が二・三枚、やっぱり入っていた。歪んでもいい。適当にその絆創膏を膝に貼ると、机に散らばってたままの文房具と教科書を鞄に詰め、一階に降りていこうと思った。
その時目に留まる、私の制服姿は、自画自賛。とてもキレイで美しかったように見えた。
お母さん、ご飯ー。
そして私は二階から一階に続く階段で、大声をあげていた。
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大声を出して、一階に降りていったはいい。だけど私は、最後の階段を降りきった所で、またもや躓いてしまう。
おっと、っと。
何やってんの、あんたは!
躓いた拍子に、階段を降りた後に向かう本棚にぶつかる。
痛い・・・。
確かに痛い・・・。
私はぶつかった額を、右手で軽くさすった。
なにやってんの!早くご飯にしなさい!!
はい・・・。
大人しく返事をし、キッチンのテーブルに腰かける私。真向かいでは、かたくなな父が、静かに朝食を前に味噌汁をすすっている。
今日も、ご飯と味噌汁だけ、か。
私は毎朝出る、この朝食のメニューが嫌いでだった。嫌いで嫌いで、仕方ないのが実は本当の話だった。それでいつものように、ぼおっと、朝食を眺めていた。だが、
早く、なさい!
そう言う母、千津子に私は怒りを浸透させて怒りながら、ただ黙って、父のように静かに味噌汁をすすった。
ああ、今日も晴れか・・・。
朝食を食べながらキッチンから眺めた窓から見えるのは、快晴の空だった。私はぼんやり考え事をしていた。
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朝食を食べ、重たい足取りで玄関のドアを開けた。手は重たい重力だけじゃない。何がそんなにも、つめなきゃいけない物があるか分からない、詰めに詰め込んである鞄を持っていた。
いってきます。
けしてか細いわけじゃない、私の声。だけど、大きいわけでもなく小さい方だ。
はい、はい。いってらっしゃい。
ドアを片手で閉める際、私の後ろで母の声がした。
五月蝿い。
けして何を話しかけているわけではないのだが、私はとっさにそう思った。それとも、そういう習性があるのか・・・分からない。私は母にたいして、
五月蝿い、と
よく思う。
えてして父は、何も話さないで黙りこくっているばかりで、
いなくなってほしい、と
よく、よく、思うのだ。
はあぁ、、、。
ドアの外で、一人静かにため息を漏らす私。目にはいるのは、咲き乱れるチューリップやパンジーなどの花々。母が暇を探しては、
世話をしている花壇が見えた。だけど私は、あの人に忙しいときなどない。暇なだけではないか、と考えることが多かった。
五月蝿い。
家の門の扉をあける私。外から感じる、母と父の気配に苛立ちを感じていた。
ああ、今日も一日のはじまり・・・。
呟いた私は、静かに足を運び、更にうるさくイラつく場所、学校へと歩きだしたのだった。
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三十分も歩くと、学校には着いた。門に近づくにつれ、私と同じ水色のリボンをした女生徒の群れで道はいっぱいになっている。
五月蝿い・・・。
ゆっくり歩く私を尻目に、前や横や後ろ、すべてを同じような顔をした女子達で囲まれるのだ。それはけして気分がいいものではない。
あ、ごめんなさい。
校門を通り学校の中に入ると、さらに五月蝿く私の耳を痛ませる。
五月蝿い・・・。
廊下でお喋りをしている際、私にぶつかった、この女生徒に思わず呟く私。
ご、ごめ、ん。いや・・・いえ、すみますん。
私は学校では堂々としていた。家ではあれで、小さく大人しくしてなくてはならないという恐怖観念にとらわれるが、学校では自由だ。誰もが自由だと思っている。たとえ私からぶつかろうと、言葉を遮らそうとも、足を踏もうとも、私は私から謝ることはいっさいなかった。
女の園か、・・・。
私は教室の窓近くの自分の席で、この五月蝿い女子高、学校の事と家の事、そして世の中の事を、またぼんやり考えていた。